JP2000203906A - セメント及びコンクリ―トの補強用繊維 - Google Patents

セメント及びコンクリ―トの補強用繊維

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JP2000203906A
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concrete
fiber
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Tadashi Kikyoya
正 桔梗谷
Makoto Yasunobu
誠 安延
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TAKAO SHOJI KK
Takao Shoji KK
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SANSEI TORYO KOGYO KK
TAKAO SHOJI KK
Takao Shoji KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セメント及びコンクリートの繊維補強効果を
向上させ、曲げ強度、靭性、耐衝撃性の改善されたセメ
ント及びコンクリートを得ることが可能なセメント及び
コンクリート補強用繊維を提供することを目的とする。 【解決手段】 繊維10の束を、アルカリ分解性、及び
/又は、アルカリ可溶性の樹脂よりなる集束剤11で集
束することにより、セメント及びコンクリート中での分
散性を制御できるので、繊維10がセメント及びコンク
リート中に均一に分散され、毛玉状態になることがな
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、曲げ強度及び曲げ
靱性に優れたセメント及びコンクリートの補強用繊維に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、セメント系構造物製造に関して
は、近年、補強材として、軽量化、高強度化、高機能化
の方法として、従来の比重が大きい、従って重量が大で
ある鉄筋から、比重が小さい、従って軽量化が可能な高
分子系の高張力繊維を用いる要望が増えてきている。
【0003】しかしながら、補強材の混入に関しては、
分散はなるべく単繊維にまで分散させた方が強度が発現
しやすいが、はじめから単繊維の状態では、嵩密度が小
さく、比重も軽いことから、セメント及びコンクリート
の上に浮いてしまい、混合が非常に困難である。
【0004】むりやりセメント及びコンクリートの中に
押し込んでから混練しても、毛玉状態になり、セメント
及びコンクリートの一部分の場所に偏在したり、空気を
包含して気泡の様な欠陥部分を形成しやすい。
【0005】更に、むりやり強いせん断力と長時間をか
けて混合したところで、繊維が、せん断力を受け、切れ
て短繊維になってしまったりして、いずれにしても高強
度発現は困難であった。
【0006】又、セメント及びコンクリートはアルカリ
性が高い物質であるので、繊維本来の強度よりも、繊維
が耐アルカリ性に優れていることが重要であった。
【0007】従って、これらの問題点を解決するため
に、下記のような特許が出願されている。
【0008】(1)(特開平10−251470)炭素
繊維をグリセリン等により束ねてから短繊維に切断した
もの
【0009】(2)(特開平07−300773)繊維
に水溶性共重合ポリエステルとワックスを混合したもの
【0010】(3)(特開平05−200727)アル
カリ水解性包装材料に種々のセメント混和剤を包装した
もの
【0011】(4)(特開平10−279335)AL
C(軽量発泡コンクリート)補強用短繊維では、水溶性
の集束剤で、水中に混入後、3秒以上3分以内に開繊す
るもの
【0012】(5)(特開H06−330587)繊維
に接着剤を含浸し、さらに、これを、熱収縮性チューブ
でロッド化する
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する問題点を解消し、セメント及びコンクリート
の繊維補強効果を向上させ、曲げ強度、靱性、耐衝撃性
の改善されたセメント及びコンクリートを得ることが可
能なセメント及びコンクリート補強用繊維を提供するこ
とを目的とする。
【0014】しかしながら、(1)の方法は、ほぐれ易
すぎるので、短繊維の場合には使えるが、更に強度の期
待できる長繊維の使用が困難である。
【0015】(2)は、ワックスを混合しているので、
保存安定性や、熱のかかる場合には、使いにくく、か
つ、ワックスが繊維とコンクリートとの密着を阻害する
場合がある。
【0016】(3)は、予め袋状のものに、種々の成分
を入れておかねばならず、繊維そのものは樹脂で固めて
いるわけではないので、混合する際、もつれ合ってほぐ
れにくい場合がある。
【0017】(4)は、ALCの様な水分の非常に多い
系では有効であるが、一般のコンクリートに含有される
程度の水分では、ほぐれ易さの制御が困難である。
【0018】(5)は、耐アルカリ性に劣る繊維でも使
用できるというメリットはあるあが、製造に手間とコス
トを要する。
【0019】又、軽量な鉄筋代替物としての効用には優
れるが、高張力、高機能繊維をコンクリート全体に均一
に分散することは不可能である。
【0020】さらに、耐アルカリ性に劣る繊維をそのま
まコンクリート補強用繊維として使用すれば、経時的に
劣化し、その結果、形成されたコンクリートの強度は大
幅に減少することになる。
【0021】現在、高強度コンクリートの製造に当た
り、種々の繊維を混合して、繊維補強を行うことで、引
っ張り強度、曲げ強度、靱性などを大幅に向上すること
が可能であることが知られている。
【0022】補強繊維としては、ステンレス繊維、アス
ベスト繊維や、合成樹脂系のアラミド繊維、ビニロンな
どが用いられている。
【0023】しかしながら、ステンレス繊維は、比重が
重く、コンクリートとの混合性には優れるが、防錆処理
を施しても錆の問題を完全に解決できず、又、アスベス
ト繊維ではその発癌性の問題があるため使用は困難であ
る。
【0024】一方、高張力繊維は、比重が軽く、繊維が
細いため、効率よく分散されれば、最も強度アップが大
であり、有効であるが、しかしながら、ほぐれにくく、
分散が非常に困難である。
【0025】又、コンクリートの場合、コンクリートス
ラリーと高張力繊維とを混練すると、混練時、繊維同士
が絡まり易いので、補強繊維の繊維長及び含有量を増加
させることができないので、十分な補強効果が得られな
いという問題もある。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意検討した結果、繊維に、アルカリ分
解性、及び/又は、アルカリ可溶性の樹脂よりなる集束
剤を付与してセメント及びコンクリート中での分散性を
制御するとき、所望の高強度のセメント及びコンクリー
トが得られることを究明した。
【0027】又、ケブラー繊維の様な繊維は、耐アルカ
リ性には劣るので、高張力な高機能繊維であるにもかか
わらず、セメント及びコンクリート用補強繊維には用い
ることが困難であったが、繊維を、あらかじめ、耐アル
カリ性の樹脂でコーティングすることにより、耐アルカ
リ性を向上させ、更に、この耐アルカリ性の向上した繊
維を、アルカリ分解性、及び/又は、アルカリ可溶性の
樹脂で形状化することにより、分散性に優れたセメント
及びコンクリート補強用繊維を得ることが出来た。
【0028】この耐アルカリ性樹脂で覆うということ
は、繊維1本ずつを耐アルカリ性の樹脂で覆っても良い
し、繊維を束ねたものに含浸させる形で覆っても良い。
【0029】ここで、耐アルカリ性樹脂であらかじめコ
ーティングするにあたり、大きな繊維束をコーティング
することも可能であるが、繊維1本1本、或いは、なる
べく、小さな繊維束の状態でコーティングする方がよ
い。
【0030】なぜなら、大きな繊維束でコーティングし
た場合、内部にまでコーティング剤が入り込まないた
め、繊維束の外側が主としてコーティングされる。
【0031】この場合、セメント及びコンクリート配合
物で混練される際、耐アルカリ性コーティングに亀裂な
どが入ると、その繊維束全体が、セメント及びコンクリ
ートのアルカリ成分により劣化するが、細い繊維或い
は、その小さな束の場合には、コーティングの欠陥部分
の可能性が低くなり、その結果、全体としての耐久性の
劣化が少ないことが期待できるためである。
【0032】又、耐アルカリ性に乏しい繊維を、あらか
じめ耐アルカリ性に優れた樹脂でコーティングすれば、
セメント及びコンクリートとの混練の際に、このままで
も使うことは可能であるが、耐アルカリ性樹脂でコーテ
ィングされた太い束の状態で混合すれば、混合はしやす
いが、セメント及びコンクリート混練の際に、この束は
ほぐれにくく、従って、セメント及びコンクリート中で
の分散が悪いため、セメント及びコンクリートの強度向
上はあまり期待できない。
【0033】一方、細い繊維の状態、或いは、小さな繊
維束でコーティングされたものは、見かけ比重が軽いの
で、均一な混合状態にすることは困難である。
【0034】耐アルカリ性の低い繊維でも、なるべく細
い繊維の状態、或いは、小さな繊維束の状態で耐アルカ
リ性樹脂によるコーティングした後、アルカリ分解性、
及び/又は、アルカリ可溶性の樹脂で形状化することに
より繊維束を太くし、セメント及びコンクリートに混練
しやすく、かつ、混連中に容易に細い繊維の状態にまで
分散することが可能である。
【0035】従って、2段階で樹脂処理することにによ
る効果は大である。
【0036】かくして本発明によれば、繊維あるいは、
耐アルカリ性コーティング剤によりコーティングされた
繊維、あるいは、耐アルカリ性コーティング剤によりコ
ーティングされた繊維束のいずれか、あるいはそれらの
組合せから構成され、且つアルカリ分解性、及び/又
は、アルカリ可溶性の集束剤が付着された束状の繊維で
あって、該繊維束をアルカリ水中に浸漬し静置した際
に、個々の単繊維に開繊するセメント及びコンクリート
補強用短繊維が提供される。
【0037】更に、セメント及びコンクリートに混入さ
れる繊維の長さは、長い方がセメント及びコンクリート
の強度が増加するが、長すぎると、混入のみならず、混
練による均一化が困難である。
【0038】従って、セメント及びコンクリート補強用
繊維を加工し、コンパクトな形に形態付与しておき、こ
れを混入する方法が推奨される。
【0039】具体的には、セメント及びコンクリート補
強用繊維を、アルカリ分解性、及び/又は、アルカリ可
溶性樹脂を用い、折り畳み形状、断面がコイル形状、断
面が楕円形状、断面が多角形状、任意の本数の繊維束の
外周部に繊維束をコイル状に巻き付け、アルカリ分解
性、及び/又は、アルカリ可溶性の樹脂を用いて固化し
た形状に2次加工されたものを用いると、セメント及び
コンクリート混練時、加工された部分が先にほぐれ、セ
メント及びコンクリート中で繊維の長さを大きくするこ
とが可能である。
【0040】繊維の加工は、 1)あらかじめ形態付与加工した後に、アルカリ分解
性、及び/又は、アルカリ可溶性樹脂で加工された形状
を固定しても良く、あるいは、 2)繊維に、先に、耐アルカリ性樹脂によるコーティン
グを施した後に、形態付与し、次いで、アルカリ分解
性、及び/又は、アルカリ可溶性樹脂で加工しても良
く、或いは、 3)繊維に、先に、耐アルカリ性樹脂によるコーティン
グを施した後に、アルカリ分解性、及び/又は、アルカ
リ可溶性樹脂で加工した後に、形態付与しても良い。
【0041】2、3)の様に、耐アルカリ性樹脂や、ア
ルカリ分解性、及び/又は、アルカリ可溶性樹脂などに
より、予め樹脂で覆われた繊維は、元の繊維に比し、比
重も増し、剛性も増しているので、2次加工しやすい。
【0042】
【発明の実施の形態】本発明においては、セメント及び
コンクリートに対する繊維補強効果向上の目的で、前記
セメント及びコンクリート原料に、下記補強用繊維を混
合する。
【0043】また、高張力繊維は、無機繊維に比べて繊
維自身の曲げ剛性が低いため、セメント及びコンクリー
トの補強を行った時に、優れた補強効果を示す。
【0044】大きな骨材を含有しているコンクリートで
は、短い繊維では骨材によりセメントが骨材により分断
され、セメント相互とのマトリックスの形成がしにく
く、短繊維とマトリックスとの接着面積が減少して補強
効果が低下するが、長繊維の場合には、柔軟な形態を取
り得るため、骨材部分を迂回し、繊維が骨材により分断
することは希である。
【0045】従って、長繊維の場合には、マトリックス
に埋入されている量が多く、繊維とマトリックスとの接
着面積が増加するため、補強効果が優れる。
【0046】上記繊維は、例えばマルチフィラメントの
状態で集束剤を付着された後、更に2次的にワインドさ
れたり、折り畳まれたりすることにより、長繊維をコン
パクトに成形することにより過剰に切断されることな
く、長繊維をコンクリートに混合することが出来る。
【0047】この2次的な構造は、セメント及びコンク
リート混練時に、力学的に、又は、アルカリ条件下での
集束剤の溶解又は分解により比較的容易にほぐれ、1次
的な構造になったり、更に、元の、繊維にまで戻すこと
が可能である。
【0048】このほぐす程度は、樹脂の使用量並びに樹
脂の種類の選択により制御が可能である。
【0049】一方、短繊維の方が良ければ、この一次的
な集束された繊維束を、所定の長さに切断されて短繊維
となる。
【0050】上記の短繊維はアルカリ分解性、及び/又
は、アルカリ可溶性の集束剤で適度に集束されているた
め、アルカリ水の存在下で制御された速度で分散させる
ことが可能である。
【0051】つまり、セメント及びコンクリートは、ダ
イラタンシー性がつよく、補強用繊維が集束されていな
い場合は繊維同士が絡まりやすくなり分散が困難とな
る。
【0052】特に、補強用繊維長が長い場合は顕著であ
る。
【0053】その結果、繊維が長い場合、ままこ状の部
分が多く、セメント及びコンクリートの表面(肌)の状
態も優れない。
【0054】従って、補強用の繊維は、アルカリ水の存
在下で適度な速度で分散し、分散後も繊維同士が絡まら
ないことが必要である。
【0055】ここで、繊維が適度な速度で分散するとい
うことは、混練の際、水の存在下で直ちに個々の単繊維
にまで開繊はしないが、単繊維状に開繊するのに多くの
時間は要しないということである。
【0056】即ち、混練の初期には、繊維がマトリック
ス全体に広がる必要があり、繊維のアスペクト比は低い
(繊維が集束している状態)方が、剛性が高いため、セ
メント及びコンクリートスラリー中に広がりやすい。
【0057】従って、補強用繊維は開繊せずに集束して
いる必要がある。
【0058】混練の際、繊維が直ちに開繊すると、補強
繊維がスラリー全体に行き渡らず、一ヶ所にかたまる傾
向があり、繊維同士が非常に絡まり易くなる。
【0059】そして、繊維が集束している状態で、スラ
リー中に分散した後、アルカリ分解性、及び/又は、ア
ルカリ可溶性処理剤がアルカリ水に分解ないし溶解し、
今度は繊維が速やかに開繊することで、分散状態の良好
な均一なスラリーを得ることができる。
【0060】上記アルカリ分解性、及び/又は、アルカ
リ可溶性の集束剤は、該集束剤が付着された短繊維束を
アルカリ水中に浸漬し静置させた際に、個々の単繊維に
開繊するまでに要する時間が混合中に達成できる範囲で
あればどのような処理剤でもかまわない。
【0061】上記集束剤のうち、アルカリ分解性の集束
剤としてはアルキド樹脂系、フタル酸樹脂系、ポリエス
テル系樹脂などを用いることが出来、一方、アルカリ可
溶性の集束剤としては、カルボキシル基含有高分子、カ
ルボキシル基含有多糖類、カルボキシル基含有モノマー
の単独重合体または共重合体、フェノール性水酸基を含
有する高分子、セラック系樹脂、カゼイン系樹脂などを
用いることが出来る。
【0062】さらに、アルカリ分解性、及び/又は、ア
ルカリ可溶性の集束剤の付着量(繊維重量に対する処理
剤の重量%)は、1%以上70%未満、好ましくは3%
以上50%未満、さらに好ましくは5%以上30%未満
であることが望ましい。
【0063】集束剤付着量が1%未満である場合には、
適度な集束性を得ることが困難であるため好ましくな
い。
【0064】また、集束剤付着量が70%以上になる
と、セメント及びコンクリートの硬化時間を遅延させた
り、溶解ないし分解しにくくなるため、分散時間が長く
なるだけでなく、得られるセメント及びコンクリートも
比較的多量の異物(集束剤)を含むことになるため機械
的強度も低下する可能性があり好ましくない。
【0065】耐アルカリ性樹脂としては、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、フッ素樹脂などを用い
ることが出来る。
【0066】さらに、耐アルカリ性樹脂の付着量(繊維
重量に対する処理剤の重量%)は、1%以上100%未
満、好ましくは3%以上70%未満、さらに好ましくは
5%以上50%未満であることが望ましい。
【0067】耐アルカリ性樹脂の付着量が1%未満であ
る場合には、十分な耐アルカリ性を繊維に付与すること
が困難であるため好ましくない。
【0068】また、耐アルカリ性樹脂の付着量が100
%以上になると、セメント及びコンクリートの硬化時間
を遅延させたり、繊維そのものの強度よりも、耐アルカ
リ性樹脂の強度による影響が大きくなり、結果的に、重
量当たりの強度が低下してしまうので、好ましくない。
【0069】次に補強用繊維の繊維長は、2〜500m
m、好ましく3〜400mm、特に好ましくは、骨材の
直径の2倍程度であることが望ましい。
【0070】該繊維長が2mmより短い場合には、得ら
れるセメント及びコンクリートの機械的特性、すなわ
ち、曲げ強度、耐衝撃性、靱性等を十分に高めることが
困難となる。
【0071】この理由は、通常セメント及びコンクリー
トには直径1〜50mm程度の骨材が含まれ、繊維長が
2mm未満になると骨材をまたいで(迂回して)補強す
ることができないためである。
【0072】一方、該繊維長が500mmを越える場合
には、セメント及びコンクリートの原料との混練の際、
繊維同士が絡まり易くなって混練が困難となり、十分な
補強効果が得られなくなるため好ましくない。
【0073】また、補強用繊維の混合量(セメント及び
コンクリートマトリックス原料に対する補強繊維の重量
%)は、0.05〜3.0%、好ましくは0.1〜2.
0%、さらに好ましくは0.2〜1.0%にすることが
望ましい。
【0074】補強用繊維の混合量が0.05%未満にな
ると、補強効果は低下する傾向にあり、十分満足し得る
機械的特性は得難くなる。
【0075】一方、3.0%を越える場合にはセメント
及びコンクリートの原料との混合の際に繊維同士が絡ま
り易くなり、ファイバーボールが形成されて、マトリッ
クス中で異物として働き、補強効果が低下する場合があ
る。
【0076】又、集束された繊維の2次的な形状として
は、図3〜4に記載した様に、断面がコイル形状のもの
や、図5に記載したように、断面が楕円形状、多角形状
(3角形、四角形、六角形等)のものが例として上げら
れる。
【0077】更に、集束された繊維の2次的な成形の形
状のその他の例としては、例えば図6に示した様に、コ
イル状に成形された集束された繊維を更に大きなコイル
にしたダブルコイル形状、あるいは、集束された繊維束
を任意の本数束ね、それを芯にしてその外周部に別の集
束された繊維束を巻き付け、これをアルカリ分解性、及
び/又は、アルカリ可溶性樹脂で固化した形状(芯+コ
イル状)も例として上げられる。
【0078】なお、長い繊維をコンパクトにまとめ、し
かも、繊維を固定している樹脂が分解、及び/又は、溶
解により除去され、再び、元の長さの繊維に戻せる形状
であれば、どのような形状でも良く、図1〜6に記載以
外の考えれられる形状も全て含まれるものとする。
【0079】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、実施例で用いた試験片の作製方法、評価法は
下記の通りである。
【0080】(1)耐アルカリ性樹脂、並びに集束剤の
付着方法
【0081】所定濃度の集束剤樹脂溶液中に繊維の束を
を浸漬して集束剤を付着させた後、180℃×3分の条
件で乾燥、熱処理を行った。なお、集束剤の付着量は樹
脂溶液の濃度を変化させることでコントロールした。
【0082】(2)試験片の作製方法
【0083】セメント、土、砂、補強用繊維及び水を、
オムニミキサー(型式:OM−10−E、容量:10
L、GARBRO社製)を用いて300rpmの攪拌速
度で1分間混練し、繊維が均一に分散したコンクリート
スラリーを得た。
【0084】この均一スラリーを十分な大きさの金属製
の型枠に打設し、水が蒸発しない状態で硬化させ、繊維
補強コンクリートを得た。
【0085】これから、4×4×16cmのサンプルを
切り出し試験片とした。
【0086】(3)引っ張り強度
【0087】上記試験片を、圧裂による試験方法で測定
した。
【0088】円柱供試体を横にして、上下から平らな加
圧板で一様に加圧した時の破壊荷重をもとめ、次式より
算出した。
【0089】σ=(2P)/(πdl)
【0090】d:供試体の直径(cm)、 P:試験機
の示す最大荷重(kg)
【0091】1:供試体の長さ(cm)
【0092】
【実施例1】補強用繊維として、1800デニール/1
000フィラメントのビニロン繊維を用い、集束剤とし
てアルキド樹脂を前述の方法で、固形分濃度として、繊
維の10重量%付着させた後、繊維長が12mmとなる
様にカットし、補強用繊維を得た。
【0093】次いで、該補強用短繊維の混合量(マトリ
ックス原料に対する補強繊維の重量%)が0.5重量%
となるように配合して、前述の方法により、繊維補強コ
ンクリートの試験片を作製し、引っ張り強度を測定し
た。
【0094】
【実施例2】集束剤で処理するまえに、繊維を、耐アル
カリ性のエポキシ樹脂で、固形分濃度として、繊維の1
0重量%でコーティングしたものを用いた以外は、実施
例1と同様の方法で行った。
【0095】
【比較例1】補強用繊維を添加しないで、試験片を作製
し、引っ張り強度を測定した。
【0096】
【比較例2】繊維に集束剤を付着させない状態の補強用
短繊維の混合量(マトリックス原料に対する補強繊維の
重量%)が0.5重量%となるように配合して、前述の
方法により、繊維補強試験片を作製し、引っ張り強度を
測定した。
【0097】混合状態と引っ張り試験の測定結果を表1
に示す。なお、測定の繰り返し測定数は5とし、その平
均値で示した。
【0098】比較例1に見られるように、補強用繊維を
添加しない系では、強度が発揮できない。
【0099】実施例1並びに比較例2に見られるよう
に、アルカリ分解性、及び/又は、アルカリ可溶性樹脂
で形状化することにより、分散性が大幅に向上し、その
結果、引っ張り強度に代表される性能が大幅にアップし
ている。
【0100】一方、アルカリ分解性、及び/又は、アル
カリ可水溶性樹脂で形状化されていない系である比較例
2では、補強用繊維の分散が不均一であり、その結果、
引っ張り強度の発現が少ない。
【0101】又、実施例2では、耐アルカリ性樹脂でコ
ーティングされ、耐アルカリ性の増した繊維を、アルカ
リ分解性樹脂で形状化された繊維では、混合性に優れ、
繊維は、均一にほぐれ、耐アルカリ性樹脂コーティング
された状態で混合されていた。
【0102】その結果、引っ張り強度も向上が認められ
る。
【0103】
【実施例3】実施例2で得られた耐アルカリ性コーティ
ングされた長さ100mmの繊維(一次繊維)を直径3
mmのコイル形状に加工されたものを、実施例2で用い
られたものとおなじ、アルカリ分解性の集束剤で処理し
て、形状化したものを、試験片重量に対して1.0重量
%添加して、繊維補強コンクリートの試験片を作成し、
引っ張り強度を測定した。
【0104】コイル状に加工されたものは、直径は3m
mで、約10巻きで、長さが約5mmであった。
【0105】混合されたコンクリートサンプル中で、補
強用繊維の添加量は、セメントに対し重量%で1%も含
有されていたが、繊維は耐アルカリ性樹脂に覆われてい
るため、セメント混練中も、あまりほぐれず、形態は、
ほぼ一次繊維のままを保ったままで、ほぼ均一に混合さ
れていた。
【0106】更に、補強用繊維を多く含有させることが
可能であり、その結果、引っ張り強度も高かった。
【0107】
【表1】 ×:繊維が、大きな塊となって存在し、気泡を含んでい
【0108】
【発明の効果】本発明のコンクリート補強用方法は、ス
ラリー中で分散性に非常に優れ、かつ、コンクリート養
生の条件下で繊維が殆ど劣化しないため、補強効果に著
しく優れるものである。従って、本発明の繊維を使用す
れば、曲げ強度等の機械的特性に優れたが得られ、鉄筋
などと比較して軽量な構造物の素材として好適に使用で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係わる繊維を集束剤で集束
させた状態を説明するための図
【図2】本発明の実施例2に係わる繊維を予め耐アルカ
リ性に優れた樹脂でコーティングしたものを束ねて、こ
れを集束剤で集束させた状態を説明するための図
【図3】本発明の実施例3に係わる集束させた繊維を2
次加工し、コイル形状に成形たものの形状を説明するた
めの図(その1:断面図)
【図4】本発明の実施例3に係わる集束させた繊維を2
次加工し、コイル形状に成形したものの形状を説明する
ための図(その2:側面図)
【図5】集束させた繊維を2次加工し、種々の形状を付
与させたものの形状を説明するための図(その1) 形状の断面が楕円形状、三角形状、四角形状、及び6角
形状のものを示す。
【図6】集束させた繊維を2次加工し、種々の形状を付
与させたものの形状を説明するための図(その2)。形
状がダブルコイル形状、芯+コイル状で、芯が1本のも
の、及び芯+コイル状で、芯が複数本束ねられたものを
示す。
【符号の説明】
10 繊維 11 集束剤 12 耐アルカリ性に優れた樹脂 13 繊維束

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維状物質を、アルカリ分解性、及び/
    又は、アルカリ可溶性の樹脂で覆うことを特徴とするセ
    メント及びコンクリートの補強用繊維。
  2. 【請求項2】 上記繊維状物質が、耐アルカリ性に劣る
    場合、あらかじめ、耐アルカリ性に優れた樹脂で覆った
    ものである、請求項1に記載のセメント及びコンクリー
    トの補強用繊維。
  3. 【請求項3】 上記コンクリート補強用繊維の形状が、
    折り畳み形状、断面がコイル形状、断面が楕円形状、断
    面が多角形状、任意の本数の繊維束の外周部に繊維束を
    コイル状に巻き付け、アルカリ分解性、及び/又は、ア
    ルカリ可溶性の樹脂を用いて固化した形状である請求項
    1又は2に記載のセメント及びコンクリートの補強用繊
    維。
  4. 【請求項4】 上記のアルカリ分解性の樹脂として、ア
    ルキド樹脂、フタル酸樹脂、ポリエステル樹脂からなる
    請求項1〜3のいずれかに記載のセメント及びコンクリ
    ートの補強用繊維。
  5. 【請求項5】 上記のアルカリ水溶性の樹脂として、カ
    ルボキシル基含有高分子、カルボキシル基含有多糖類、
    カルボキシル基含有モノマーの単独重合体または共重合
    体、フェノール性水酸基を含有する高分子、セラック系
    樹脂、カゼイン系樹脂からなる請求項1〜3のいずれか
    に記載のセメント及びコンクリートの補強用繊維。
  6. 【請求項6】 耐アルカリ性に優れた樹脂として、エポ
    キシ樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、フッ素樹脂から
    なる請求項2〜5のいずれかに記載のセメント及びコン
    クリートの補強用繊維。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105780480A (zh) * 2016-03-24 2016-07-20 李许生 可卷曲贴面材料的制备方法
WO2016180605A1 (en) 2015-05-08 2016-11-17 Construction Research & Technology Gmbh Composite fiber for inorganic binder applications

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