JP2000202281A - 選択的窒素吸着剤およびそれを用いた空気分離方法 - Google Patents

選択的窒素吸着剤およびそれを用いた空気分離方法

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眞培 金
Hisanao Jo
久尚 城
Haruo Yoshioka
治夫 吉岡
Hiromi Kiyama
洋実 木山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リチウムイオン交換率が従来のものほど高くな
くても、高い選択的窒素吸着性能を示しうる選択的窒素
吸着剤およびそれを用いた空気分離方法を提供する。 【解決手段】ホージャサイト型結晶構造をもつゼオライ
トであって、必須カチオンとしてアンモニウムイオンお
よびプロトンの少なくとも一方を含有するとともにリチ
ウムイオンを含有し、760Torr、20℃の条件下
で、下記の式(1)に示される窒素吸着特性を備えた選
択的窒素吸着剤である。 y1 =ax+b ………(1) y1 :ゼオライト結晶単位格子当たりに吸着した窒素の
数 x :ゼオライト結晶単位格子当たりに会合したLi+
の数 a,b:zに関する変数(ただし、zは〔H+ のモル
数〕/(Li+ 以外のカチオンの合計モル数〕で、0.
3〜1.0の範囲内)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気等の窒素含有
ガスから窒素を選択的に吸着する際に用いられる選択的
窒素吸着剤およびそれを用いた空気分離方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】窒素含有ガスから窒素を選択的に吸着分
離する方法のひとつとして、プレッシャースウィング法
(PSA法)がある。このPSA法は、ゼオライト等の
吸着剤を使用し、例えば空気のような窒素と酸素の混合
ガスから、極性の強い窒素を、加圧下で選択的に吸着さ
せて酸素を取り出し、減圧によって吸着した窒素ガスを
放出させて吸着剤を再生する、という操作を、サイクル
的に繰り返すことによって窒素と酸素の吸着分離を行う
ものである。
【0003】上記PSA法に用いられるゼオライトにお
いて、極性成分に対する吸着能は、ゼオライト中に会合
されているカチオンの種類によって異なり、電荷密度の
高いカチオンほど吸着量が増加することが知られている
(文献1:H.Minatoand Watanab
e,Sci.Pap.Coll.Gen.Educ;U
niv.Tokyo 28,p.215〜220〔19
78〕)。そして、ゼオライト中のカチオンの数は、骨
格中のAlに対応しており、上記骨格中のAlの数が多
い方が吸着サイトとなるカチオンの数も多くなるので吸
着剤としてより好ましい。また、ゼオライト結晶構造中
の細孔径および細孔容積が大きいものほど吸着量が大き
く、吸・脱着の際の拡散速度が速いといわれている。
【0004】このような観点から、酸素製造PSAに使
用する吸着剤としては、従来から、Caでイオン交換さ
れたA型ゼオライト(MS5A)やホージャサイト構造
のX型ゼオライト(CaX)等が工業的に多用されてい
る。
【0005】ところで、最近、リチウムイオンでイオン
交換されたX型ゼオライト、特に低シリカX(LSX)
ゼオライトが、従来のMS5AやCaXよりも著しく高
い性能を示すことが見いだされ、酸素製造PSA用の吸
着剤として実用化が進められている(文献2:米国特許
第4859217号公報、特公平5−25527号公
報)。また、上記リチウムイオンを、単独ではなく他の
2価のカチオンと併用することが効果的であるという特
許も出されている(文献3:米国特許第5152813
号公報、特公平7−57300号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記イ
オン交換を行うためのリチウム源は、他のカチオン成分
に比べて価格が高い上に、非常にイオン交換されにくい
という問題がある。すなわち、Li+ −LSXは、通
常、Na+ −LSXやNa+ ・K+ −LSXの1価カチ
オン(Na+ ,K+ )をリチウムイオンへ交換する操作
が行われるが、例えばNa+ −X型ゼオライトのナトリ
ウムイオンをリチウムイオンへ交換する場合のイオン交
換平衡等温線(文献4:H.S.Sherry,J.P
hys.Chem.70〔1966〕1158)から見
ても、X型ゼオライトへのリチウムイオン交換は困難で
あることがわかる。ちなみに、Na+ −LSXのナトリ
ウムイオンをリチウムイオンへ交換してリチウムイオン
が80%以上含有されたものを得ようとすると、ゼオラ
イトに取り込まれるリチウムイオンの量の少なくとも4
倍〜15倍程度のリチウムが必要である。
【0007】また、高い窒素吸着性能を得るためには、
SiO2 /Al2 3 の比が2.0〜2.5でリチウム
イオンを88%以上含有させることが必要であるとの報
告(上記文献2)や、Na+ −LSXからLi+ −LS
Xへイオン交換していく場合、リチウムイオンの割合が
67%程度に達するまでは殆ど窒素吸着性能に変化がな
く、67%を超えてから窒素吸着性能が著しく向上する
との報告(上記文献3)がある。
【0008】このように、高い選択的窒素吸着性能を有
する吸着剤を得ようとすれば、交換効率の悪いリチウム
イオンを、かなり高い割合までイオン交換する必要があ
るため、高価なリチウム源を大量に消費しなければなら
ず、コスト的な負担が大きい。したがって、酸素製造P
SAへの実用的な使用を考えると、リチウムイオン交換
効率を向上させることと、高い吸着性能を維持しながら
リチウムイオンの会合率を低減させることが重要な課題
となっている。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、リチウムイオン交換率が従来のものほど高くな
くても、高い選択的窒素吸着性能を示しうる選択的窒素
吸着剤およびそれを用いた空気分離方法の提供をその目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、ホージャサイト型結晶構造をもつゼオラ
イトであって、必須カチオンとしてアンモニウムイオン
およびプロトンの少なくとも一方を含有するとともにリ
チウムイオンを含有し、760Torr、20℃の条件
下で、下記の式(1)に示される窒素吸着特性を備えて
いる選択的窒素吸着剤を第1の要旨とする。
【0011】
【数3】
【0012】また、上記選択的窒素吸着剤のなかでも、
特に、760Torr、20℃の条件下で、下記の式
(2)に示される窒素−酸素分離特性を備えているもの
を第2の要旨とする。
【0013】
【数4】
【0014】そして、本発明は、上記選択的窒素吸着剤
に空気を接触させ、空気中の窒素を選択的に吸着させる
ことにより、窒素と酸素を分離する空気分離方法を第3
の要旨とする。
【0015】すなわち、本発明者らは、ナトリウムイオ
ンやカリウムイオンが会合したゼオライトを、一旦アン
モニウムイオン(NH4 + )でイオン交換したのち、リ
チウムイオンでイオン交換するか、リチウムイオンとア
ンモニウムイオンで同時にイオン交換する等の操作を経
由して得られる選択的窒素吸着剤は、リチウムイオンの
会合率が低くても、従来のものに比べて高い選択的窒素
吸着性能を発揮することを見いだし、本発明に到達し
た。すなわち、従来の選択的窒素吸着剤は、リチウムイ
オンの会合率が約67%を超えないと顕著な吸着性能が
得られなかったのに対し、本発明の選択的窒素吸着剤
は、ナトリウムイオンやカリウムイオン等の含有割合を
低く抑え、リチウムイオン以外にアンモニウムイオンお
よびプロトンの少なくとも一方を含有させることによ
り、リチウムイオンの会合率が低くても、充分に優れた
窒素吸着性能を発揮する。そして、上記選択的窒素吸着
剤を用いた空気分離方法によれば、リチウムイオンの会
合率が低くても、充分に優れた窒素吸着性能を発揮する
ことから、低コストで効率よく空気分離を行うことがで
きる。
【0016】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。
【0017】まず、本発明における選択的窒素吸着剤と
は、窒素含有ガスから窒素を選択的に吸着して分離する
のに用いられるものである。上記窒素含有ガスの代表的
な例としては、空気があげられ、この場合、空気から窒
素を吸着分離して酸素を発生させるのに利用されること
が多い。また、空気だけでなく、酸素,アルゴン,ヘリ
ウム,ネオン,水素等と窒素との混合ガスから窒素を分
離することにも用いられる。
【0018】そして、本発明の選択的窒素吸着剤は、例
えばつぎのようにして製造することができる。すなわ
ち、まず、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンの少
なくとも一方を含有する、ホージャサイト構造をもつ結
晶性X型ゼオライトを準備する。
【0019】上記ゼオライトのSiO2 /Al2 3
は、3.0未満であることが好ましく、なかでも、Si
2 /Al2 3 比が2.0程度に設定された低シリカ
X型ゼオライト(LSX)を用いることが特に好適であ
る。
【0020】なお、本発明の出発物となるゼオライトの
調製方法を、LSX(SiO2 /Al2 3 比=2.
0)を例にとって詳細に説明する。すなわち、まず、水
酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水,アルミン酸ナト
リウム溶液,ケイ酸ナトリウム溶液等の原料を、下記の
組成比で配合し、ゲル状のLSX前駆体を調製する。 〔組成〕 SiO2 /Al2 3 :1.5〜3.0 (Na2 O+K2 O)/Al2 3 :4.5〜7.3 K2 O/(Na2 O+K2 O) :0.2〜0.4 H2 O/SiO2 :50〜70
【0021】上記各原料は、水酸化ナトリウム,水酸化
カリウム,水,アルミン酸ナトリウム溶液,ケイ酸ナト
リウム溶液の順で配合し、ケイ酸ナトリウム溶液は、激
しく攪拌しながら投入する。しばらく攪拌を続けるとS
i源とAl源が反応してゲル状の固形物が生成し、反応
温度が約40℃まで上昇する。このとき、結晶の生成を
迅速かつ均一にするために種結晶を添加するようにして
もよい。なお、上記種結晶は、既知の方法で合成され
た、比表面積が700m2 /g、SiO2 /Al 2 3
比が2.0のLSXであり、ゲル重量に対して、約0.
1〜0.5重量%程度添加される。そして、全ての原料
の混合が終了した後、ゲルの状態が均一になるまで約1
0分以上攪拌を続ける。得られたゲルをテフロン製また
はステンレス製の容器に移し、40℃または60℃に設
定した恒温槽で24〜120時間静置して熟成を行った
後、60〜100℃の温度で0〜24時間静置してさら
に結晶化を完成させる。そして、生成物を、イオン交換
水を用い、洗浄液のpHが10以下になるまで充分に濾
過洗浄を行ったのち、100℃に設定された乾燥器に入
れて一晩乾燥することにより、Na+ ・K+ −LSX結
晶粉末を得ることができる。
【0022】このようにして得られたLSXの結晶粉末
は、そのまま粉末で、あるいは打錠成形して吸着剤とし
て用いる場合もあるが、一般的には、コロイダルシリカ
(例えばカタロイド30:触媒化成社製),カオリン系
の粘土等をバインダーとして添加してペレットまたはビ
ーズ状に造粒される。また、バインダーの添加によって
吸着剤単位重量当たりの吸着性能が低下することを防ぐ
ために、造粒品をアルカリ溶液に浸して所定時間加熱す
ることによってバインダー部分をゼオライト化する処理
が行われる場合もある。上記バインダーのゼオライト化
は、バインダーの種類とアルカリ溶液中での処理条件に
もよるが、ほぼ100%のゼオライト化を達成できると
考えられている。なお、X型ゼオライト、特にLSXの
場合は、バインダーがゼオライト化する際に、若干A型
ゼオライトが生成する傾向があり、その影響で、造粒前
の結晶粉末に比べて造粒品の吸着性能が幾分低下する場
合もある。ただし、生成するA型ゼオライトの割合は、
いずれも10%以下程度であり、A型ゼオライトを含む
造粒品は、本発明の特徴的な吸着性能を示すため、問題
はない。
【0023】本発明の選択的窒素吸着剤は、上記出発物
となるゼオライトを用い、例えば、まずアンモニウムイ
オンでイオン交換し、つぎにリチウムイオンでイオン交
換する方法によって得ることができる。
【0024】上記アンモニウムイオンによるイオン交換
は、例えばつぎのようにして行うことができる。すなわ
ち、まず、上記出発物となるゼオライトを、2Nの硝酸
アンモニウム水溶液(母液倍率約15倍)に浸して80
℃で2時間静置する操作を複数回(例えば1〜5回)繰
り返す。このとき、硝酸アンモニウム水溶液にアンモニ
ア水を少量加えてpHを約9.0程度の弱アルカリに調
整することが好ましい。これにより、ナトリウムイオン
等の1価カチオンがアンモニウムイオンに交換されたゼ
オライト(出発物であるゼオライトと区別して「中間置
換体」という)を得ることができる。なお、上記「母液
倍率」とは、ゼオライトのイオン交換サイト数に対する
イオン交換処理に用いた溶液中のイオン倍率をいう。
【0025】また、上記中間置換体のリチウムイオンに
よるイオン交換は、例えばつぎのようにして行うことが
できる。まず、リチウム源として、硝酸リチウム,塩化
リチウム等を用いる。リチウムイオン交換は、上記リチ
ウム源の水溶液を用いて行われるが、このとき、水酸化
リチウムを加えてpHを約9.0程度の弱アルカリ性に
調整することが好ましい。すなわち、リチウムイオンに
限らず、イオン交換処理に用いる水溶液が酸性である場
合は、X型ゼオライトの結晶構造が壊れやすいからであ
る。また、リチウム水溶液の濃度による影響は特にない
が、あまり濃度が低いと大量の溶液が必要であり、逆に
濃度が高いと高価なLi源の消費が増えるので、通常は
約1〜3N程度の溶液を用いてイオン交換を行うことが
好ましい。
【0026】そして、バッチ式のイオン交換よりもイオ
ン交換反応塔にゼオライトを充填してリチウム水溶液を
連続で流通させる方式の方が効率がよい。ただし、実験
室規模では、流通式を採用することは困難なため、例え
ば比較的濃度の低いリチウム水溶液(1Nの硝酸リチウ
ム水溶液)を、母液倍率0.4〜5倍程度で用いること
が好適である。なお、リチウムイオン交換率をさらに高
めるには、母液倍率が5倍の溶液を繰り返し用いるよう
にすることが好ましい。
【0027】前記中間置換体(アンモニウムイオン会合
型ゼオライト)は、従来の、ナトリウムイオンやカリウ
ムイオンが会合してなるゼオライトに比べて、同じ母液
倍率のリチウム溶液を用いても、イオン交換率が高く、
リチウムイオン交換効率が著しく向上している。しか
も、この中間置換体から得られる選択的窒素吸着剤は、
リチウムイオン会合率がさほど高くないものであって
も、優れた選択的窒素吸着性能を有している。
【0028】なお、上記製法によって得られるリチウム
イオン会合型ゼオライトにおいて、ゼオライト骨格に会
合するカチオンとしては、リチウムイオンの外に、出発
物に会合していたナトリウムイオン等や、中間置換体に
会合していたアンモニウムイオンが残留している。ただ
し、上記アンモニウムイオンは、300℃以上に加熱す
るとアンモニア(NH3 )が脱離してプロトン(H+
が残るのであり、上記リチウムイオン会合型ゼオライト
を吸着剤として用いる場合には、ゼオライトに吸着され
ている水分除去を目的として約400℃程度の加熱が行
われるため、ゼオライト中のアンモニウムイオンは殆ど
プロトンに変化していると考えられる。
【0029】また、上記製法において、アンモニウムイ
オン交換された中間置換体をリチウムイオン交換する場
合に、アンモニウムイオンを、まずプロトンに変換して
からリチウムイオン交換を行うこともリチウムイオン交
換効率を向上させる上で効果的といえる。しかし、LS
Xの場合、アンモニウムイオンで交換された割合が多け
れば多い程、加熱によるゼオライト結晶構造の破壊が著
しくなる。そこで、できるだけ加熱・乾燥等を行わずに
アンモニウムイオン交換後に濡れたままの状態でつぎの
リチウムイオン交換を行う方が好ましい。また、リチウ
ムイオン交換前に不要なイオンが残らないよう、上記中
間置換体を純水を用いて軽く洗浄することも効果的であ
る。このようにして、ナトリウムイオンおよびカリウム
イオンの70〜100%がアンモニウムイオンに変換さ
れた中間置換体を得ることが、リチウムイオン変換効率
を上げる上で、好ましい。
【0030】なお、本発明において、最終的に得られる
Li+ 会合型ゼオライトにおいて、ナトリウムイオンや
カリウムイオン等、リチウムイオン以外のカチオンにつ
いては、その含有割合をできるだけ低くすることが、選
択的窒素吸着特性の点で好適である。なかでも、ナトリ
ウムイオン,カリウムイオン等の含有割合を10%未満
に設定することが、より効果的である。
【0031】ナトリウムイオン,カリウムイオン等を含
まない最終品を得るには、例えば3つの方法が考えられ
る。すなわち、第1に、100%リチウムイオン交換を
行ったのち、リチウムイオンの一部をアンモニウムイオ
ンに交換する方法、第2に、リチウムイオンとアンモニ
ウムイオンの両方を含む溶液を用いて同時にイオン交換
する方法、第3に、アンモニウムイオン交換処理を何回
も繰り返してナトリウムイオンが残らないよう、100
%までアンモニウムイオンに交換する方法である。な
お、上記第2の方法は、出発物であるゼオライトから中
間置換体をつくるのに適用するだけでなく、例えばある
程度アンモニウムイオン交換を行った中間置換体に適用
することもできる。
【0032】上記第1の方法では、簡単にLi+ ・H+
系のLSXを調製できるが、リチウム源の使用量の削減
は期待できず、リチウム源の回収が必要となる。また、
上記第2の方法は、1回のイオン交換操作で目的とする
Li+ ・H+ 系のLSXを調製できることと、イオン交
換溶液中に添加するアンモニウムイオンの割合分だけリ
チウム源の使用量を削減できることが利点である。そし
て、第3の方法は、最もリチウム源の使用量の削減が期
待できる方法であり、リチウムイオン交換後の排液中に
はナトリウムイオンが混在しない分、リチウムイオンの
回収も容易と考えられるが、LSXはアンモニウムイオ
ン交換により結晶構造が破壊されやすいという問題点が
ある。しかし、本発明者らは、すでに述べたように、ア
ンモニウムイオン交換後の濡れたままの状態ではまだ結
晶構造の破壊が殆ど進行しないという知見を得ており、
上記中間置換体を乾燥せずに直接リチウムイオン交換す
ることによって、ナトリウムイオンの含まれないLi+
・H+ 系のLSXを調製することができる。
【0033】このようにして得られる本発明の選択的窒
素吸着剤は、従来にない、優れた選択的窒素吸着性能を
示すものであり、その特性は、760Torr、20℃
の条件下で、下記の式(1)で示すことができる。
【0034】
【数5】
【0035】上記式(1)は、つぎのようにして得られ
たものである。すなわち、まず、完全に脱水されたホー
ジャサイト型ゼオライトの単位格子を分子式で示すと、
(9 6-x)/y〔Al(96-x)Si(96+x)384 〕と表すこと
ができる。ここで、Mは交換可能なカチオンであり、y
はその価数である。したがって、1価のカチオンはAl
と同じ数(y=1)、2価のカチオンはAlの1/2の
数(y=2)、3価のカチオンはAlの1/3の数(y
=3)だけ含まれる。そこで、ホージャサイト型ゼオラ
イトの窒素吸着性能を、リチウムイオン交換率を変えて
測定することにより求め、得られたデータをプロットす
ると、Li/Al比の違いによって、窒素吸着性能が左
右されることがわかった。このことは、前記文献2にも
記載されている。一方、文献5(吉田ら,第13回ゼオ
ライト研究発表会講演予稿集,p145,1997)に
よると、リチウムイオン交換率と窒素吸着量との関係
を、単位格子中のリチウムイオンの数と単位格子中に吸
着された窒素分子の数でプロットすると、単位格子中の
リチウムイオンの数が64個以上の範囲では、Si/A
l比の関係がなく、同一直線上に乗る、と報告されてい
る。
【0036】そこで、本発明者らは、本発明にかかる試
料について、横軸に単位格子中のリチウムイオンの数を
とり、縦軸に単位格子中に吸着された窒素分子の数をと
って、760Torr、20℃における吸着特性を調べ
たところ、図1に示すように、全ての直線が、従来のL
+ ・Na+ −LSXが示す直線とは異なる、斜線で示
す領域Sに属することがわかった。そこで、この領域S
に属する直線群を、包括的な関係式で示すと、近似的
に、上記の式(1)が得られる。なお、h1 は、単位格
子中のリチウムイオンの数が96個のとき(100%リ
チウム交換したとき)の吸着窒素分子数(最大値)であ
り、交換カチオンの種類と割合によって、ここを通る直
線の勾配が変化する。直線Aは、本発明における窒素吸
着性能の下限を示すもので、z=0.3となる場合の直
線である。また、直線Bは、本発明における窒素吸着性
能の上限を示すもので、z=1.0となる場合の直線で
ある。そして、直線Cは、従来の、例えばH+ を含まな
いLi+ ・Na+ 系ゼオライトの吸着特性を示すもの
で、z=0となる場合の直線である。
【0037】なお、図1において、上記式(1)が有効
なのは、通常、y1 が0.5h1 〜h1 の間にある場合
であり、y1 が0.5h1 を下回る領域では、イオン交
換後の加熱活性化操作時にホージャサイト型結晶構造が
破壊される等して、所定の勾配の直線から外れる場合が
ある。したがって、本発明において、上記式(1)の適
用は、y1 が0.5h1 〜h1 の範囲内に限定すること
が好ましい。
【0038】また、上記式(1)において、ゼオライト
を粉末のまま用いる場合と、ペレット等に造粒して用い
る場合とでは、前述のように、造粒時におけるバインダ
ーレス化の程度、結晶性、A型ゼオライトの混在等によ
って、定数の範囲が異なる。すなわち、粉末の場合、
b′の値は−16.1〜−15.1となり、造粒品(A
型ゼオライトが10%未満)の場合、b′の値は−1
9.6〜−15.6となる。
【0039】さらに、本発明の選択的窒素吸着剤は、窒
素吸着特性に優れるだけでなく、窒素と酸素の分離効率
についても優れていることが望ましく、その分離係数に
関する特性が、下記の式(2)で示されるものが好適で
ある。
【0040】
【数6】
【0041】上記式(2)は、つぎのようにして得られ
たものである。すなわち、本発明にかかる試料につい
て、横軸に単位格子中のリチウムイオンの数をとり、縦
軸に窒素/酸素分離係数をとって、760Torr、2
0℃における吸着特性を調べたところ、両者の関係は直
線性を有しており、図2に示すように、全ての直線が、
従来のLi+ ・Na+ −LSXが示す直線とは異なる、
斜線で示す領域Tに属することがわかった。そこで、こ
の領域Tに属する直線群を、包括的な関係式で示すと、
近似的に、上記の式(2)となる。なお、h2 は、単位
格子中のリチウムイオンの数が96個のとき(100%
リチウム交換したとき)の分離係数(最大値)であり、
交換カチオンの種類と割合によって、ここを通る直線の
勾配が変化する。直線A′は、本発明における分離特性
の下限を示すもので、z=0.3となる場合の直線であ
る。また、直線B′は、本発明における分離特性の上限
を示すもので、z=1.0となる場合の直線である。そ
して、直線C′は、従来の、例えばH+ を含まないLi
+ ・Na+ 系ゼオライトの吸着特性を示すもので、z=
0となる場合の直線である。
【0042】なお、図2においても、上記図1の場合と
同様の趣旨から、上記式(2)の適用は、y2 が0.6
7h2 〜h2 の範囲内に限定することが好ましい。
【0043】また、上記式(2)においても、式(1)
の場合と同様の趣旨から、ゼオライトを粉末のまま用い
る場合と、ペレット等に造粒して用いる場合とで定数の
範囲が異なるのであり、粉末の場合、d′の値は−4.
16〜−2.96となり、造粒品(A型ゼオライトが1
0%未満)の場合、d′の値は−5.06〜−3.06
となる。
【0044】このような特性を備えた本発明の選択的窒
素吸着剤は、空気から窒素を選択的に吸着分離する方
法、なかでもPSA法による空気分離方法に用いること
が好適である。すなわち、上記選択的窒素吸着剤は、リ
チウムイオン会合率が低くても、充分にすぐれた窒素吸
着性能および窒素酸素分離特性を備えているため、これ
を用いることにより、低コストで効率よく酸素もしくは
窒素を得ることができる。また、この吸着剤を使用する
ことによって、2成分以上の混合ガスから、極性のある
ガス成分を選択的に吸着させて、非極性のガス成分を効
率よく得ることができる。上記極性のあるガス成分とし
ては、CO,CO2 ,水分等があげられ、非極性あるい
は極性の弱いガス成分としては、酸素,アルゴン,水
素,ヘリウム等があげられる。
【0045】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0046】
【実施例1】前記製法に従って、Na+ −LSX(Si
2 /Al2 3 比=2.0)の造粒品(ペレット状)
を調製したのち、アンモニウムイオンでイオン交換し、
ついでリチウムイオンでイオン交換することにより、交
換カチオンの含有割合の異なる、4種類の試料(Li+
・H+ ・Na+ −LSX)を得た。なお、アンモニウム
イオン交換は、母液倍率約25倍の2Nの硝酸アンモニ
ウム水溶液に造粒したLSXを浸して80℃で2時間静
置する操作を2回行った。そして、アンモニウムイオン
交換後の試料は、乾燥せずに濡れたままの状態でリチウ
ムイオン交換を行った。上記リチウムイオン交換は、p
Hを9.0に調製した1Nの硝酸リチウム水溶液を使用
して、100℃で2時間処理した。上記硝酸リチウム水
溶液の使用量は、リチウムイオンのモル数がイオン交換
しようとするゼオライト中のAlのモル数に対して1〜
5倍になる量を用いた。また、イオン交換法は、すでに
述べたように、流通式イオン交換法が好ましいが、実験
室規模の実施であることから、バッチ式イオン交換法を
採用し、イオン交換操作を数回繰り返した。このように
して得られた各試料中のカチオンの含有量を、誘導結合
プラズマ(ICP)発光分析にて測定した。この結果
を、Al含有量に対するモル比として、下記の表1に示
す。また、各試料の窒素有効吸着量(760Torrに
おける窒素吸着量と210Torrにおける窒素吸着量
との差)を測定するとともに、窒素と酸素の分離係数
(N2 /O2 )を算出して、下記の表2に示す。
【0047】なお、プロトン(アンモニウムイオン)の
含有量は、ICP等の化学分析で直接測定することは困
難であるが、上記ゼオライト中のカチオンは全て1価
で、その合計数はAlの数に等しいことから、Na+
Li+ の各カチオンの数の合計を求め、Alの数に対す
る不足分をプロトンの数として見積もることにより求め
た。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】上記の結果から、リチウムイオン交換率が
高くなればなるほど、リチウムイオン以外のカチオン中
のプロトンの割合(H/〔H+Na〕)が増加するとと
ともに、窒素有効吸着量および分離係数が高くなること
がわかる。
【0051】
【実施例2】上記実施例1と同様のLSXペレットを用
い、リチウムイオン以外のカチオンが全てプロトンに置
換された試料を作製するために、まずリチウムイオン交
換をほぼ100%行い、つぎにアンモニウムイオン交換
を行った。各イオン交換の操作は、実施例1と同様であ
る。そして、アンモニウムイオン交換に用いる硝酸アン
モニウム水溶液の使用量を調整して、リチウムイオン交
換率の異なる10種類の試料(Li+ ・H+ −LSX)
を得た。そして、上記実施例1と同様にして、各試料中
のカチオンの含有量を、ICP発光分析にて測定した。
この結果を、Al含有量に対するモル比として、下記の
表3に示す。また、実施例1と同じく、各試料の窒素有
効吸着量と分離係数を求め、下記の表4に示す。
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【比較例1,2】比較例1として、実施例1と同様のL
SXペレットを直接リチウムイオンでイオン交換して、
リチウムイオン交換率の異なる6種類の試料(Li+
Na+ ・K+ −LSX)を得た。また、比較例2とし
て、上記LSXペレットを、まずナトリウムイオン交換
してカリウムイオンを完全に除去してからリチウムイオ
ン交換を行うことにより、リチウムイオン交換率の異な
る6種類の試料(Li+ ・Na+ −LSX)を得た。そ
して、これらの試料について、実施例1と同様の測定を
行い、その結果を、下記の表5,表6に示す。また、実
施例1と同じく、各試料の窒素有効吸着量と分離係数を
求め、下記の表7,表8に示す。
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】
【実施例3、比較例3】実施例1,2、比較例1,2の
試料は、いずれもLSXをペレットに造粒したものを用
いているため、すでに述べたように、ホージャサイトX
型結晶以外に、部分的にA型結晶が含まれている。A型
結晶は、ホージャサイトX型結晶に比べて細孔径および
細孔容積が小さいので、窒素吸着量も低くなる。また、
バインダーレス化が充分に行われずに非結晶質のものが
含まれることによる吸着性能の低下も考えられる。そこ
で、このような吸着性能の低下を避けるために、合成さ
れたLSX結晶粉末を造粒せず、粉末のまま打錠成形し
たのち、実施例2および比較例1と同様のイオン交換操
作を行い、それぞれリチウムイオン交換率の異なる複数
種類の試料を得た。そして、これらの試料について、実
施例1と同様の測定を行い、その結果を、下記の表9,
表10に示す。また、実施例1と同じく、各試料の窒素
有効吸着量と分離係数を求め、下記の表11,表12に
示す。
【0060】
【表9】
【0061】
【表10】
【0062】
【表11】
【0063】
【表12】
【0064】
【実施例4,5】実施例1と同様のLSXペレットを用
い、イオン交換の条件を種々変化させてアンモニウムイ
オン交換とリチウムイオン交換を、この順で行い、リチ
ウムイオン以外にプロトンとナトリウムイオンを含有す
る複数種類の試料を得た。そして、これらのうち、リチ
ウムイオン以外のカチオン中のプロトンの割合(H+
〔H+ +Na+ 〕)が0.2のものを実施例4、同じく
0.6のものを実施例5とした。
【0065】このようにして得られた実施例,比較例の
各サンプルについて、まず、10-2Torr以下の圧力
で真空引きしながら400℃で一晩加熱して吸着水を除
去する処理を行ったのち、20℃での窒素の吸着等温線
を測定した。そして、それぞれの760Torrでの窒
素吸着量を縦軸にとり、リチウムイオン含有量のAlに
対するモル比を横軸にとって相関グラフを作成した。こ
れを図3〜図5に示す。また、上記各サンプルについ
て、先に求めた窒素と酸素の分離係数(N2 /O 2 )の
値を縦軸にとり、リチウムイオン含有量のAlに対する
モル比を横軸にとって相関グラフを作成した。これを図
6〜図8に示す。
【0066】上記図3および図6によれば、実施例1
(Li+ ・H+ ・Na+ −LSX)の窒素吸着量と分離
係数は、リチウムイオン以外のカチオン中のプロトンの
割合が増加するほど、実施例2(Li+ ・H+ −LS
X)に近づくことがわかる。また、比較例1,2品は、
リチウムイオン交換率が約2/3に達するまで窒素吸着
量と分離係数が殆ど増加していないのに対し、アンモニ
ウムイオン会合体を経由した実施例1,2品は、リチウ
ムイオン交換率の低い段階から窒素吸着性能が増加して
いることがわかる。このことは、従来、リチウムイオン
交換の初期は、SI' とSIIサイトに優先的にリチウム
イオンが導入され、その領域では吸着性能の増加が認め
られないが、SIII サイトにリチウムイオンが導入され
始める領域から吸着性能が向上する」と説明されてきた
こと(前記文献5)に相違しており、注目すべき現象で
ある。
【0067】また、図4および図7によれば、LSXを
ペレット化せず、粉末のまま打錠成形したものを用いた
実施例3品、比較例3品は、ペレット化したもの(実施
例2品、比較例1品)に比べて、それぞれ平行的に窒素
吸着量と分離係数が増加していることがわかる。
【0068】さらに、図5および図8によれば、同じL
+ ・H+ ・Na+ −LSXであっても、リチウムイオ
ン以外のカチオン中のプロトンの割合が高い実施例5品
(H + /〔H+ +Na+ 〕=0.6)の窒素吸着特性
は、実施例2品のLi+ ・H+−LSXのそれに近く、
逆に、リチウムイオン以外のカチオン中のプロトンの割
合が低い実施例4品(H+ /〔H+ +Na+ 〕=0.
2)の窒素吸着特性は、比較例1品のLi+ ・Na+
LSXの結果に近くなることがわかった。
【0069】そして、上記実施例1〜5、比較例1〜3
のデータから、それぞれ、単位格子当たりのリチウムイ
オンの数と吸着窒素分子の数の関係式と、単位格子当た
りのリチウムイオンの数と分離係数(N2 /O2 )の関
係式を求めると、前記式(1)および式(2)に含まれ
ることがわかった。
【0070】
【実施例6】上記実施例1の(リチウム含有率80
%)の試料を、一般的な二塔式PSA法による小形空気
分離装置に装填し、従来公知の所定の運転条件で、実際
に空気分離を行った。そして、空気中の窒素を上記試料
に吸着させることにより、従来の吸着剤を用いた場合に
比べて酸素発生量を大幅に向上させることができ、かつ
高純度の酸素ガスを得ることができた。
【0071】
【発明の効果】以上のように、本発明の選択的窒素吸着
剤は、従来にはない、優れた選択的窒素吸着性能を備え
たもので、従来よりもリチウムイオン交換率の低いもの
であっても、従来と同等かあるいはそれ以上の優れた選
択的窒素吸着性能を示す。したがって、高価なリチウム
の含有量を大幅に低減することができ、低コストで高性
能の選択的窒素吸着剤となる。
【0072】そして、本発明の空気分離方法によれば、
リチウムイオン会合率が低くても充分に優れた窒素吸着
性能を発揮する、上記特殊な選択的窒素吸着剤を用いる
ため、低コストで効率よく空気分離を行うことができる
という利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の選択的窒素吸着剤の窒素吸着特性を示
す線図である。
【図2】本発明の選択的窒素吸着剤の窒素吸着特性を示
す線図である。
【図3】実施例品および比較例品の窒素吸着特性を示す
線図である。
【図4】実施例品および比較例品の窒素吸着特性を示す
線図である。
【図5】実施例品および比較例品の窒素吸着特性を示す
線図である。
【図6】実施例品および比較例品の窒素吸着特性を示す
線図である。
【図7】実施例品および比較例品の窒素吸着特性を示す
線図である。
【図8】実施例品および比較例品の窒素吸着特性を示す
線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉岡 治夫 大阪府堺市築港新町2丁6番地40 大同ほ くさん株式会社堺工場内 (72)発明者 木山 洋実 大阪府堺市築港新町2丁6番地40 大同ほ くさん株式会社堺工場内 Fターム(参考) 4G066 AA61B AA62B BA36 CA27 DA03 FA12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホージャサイト型結晶構造をもつゼオラ
    イトであって、必須カチオンとしてアンモニウムイオン
    およびプロトンの少なくとも一方を含有するとともにリ
    チウムイオンを含有し、760Torr、20℃の条件
    下で、下記の式(1)に示される窒素吸着特性を備えて
    いることを特徴とする選択的窒素吸着剤。 【数1】
  2. 【請求項2】 760Torr、20℃の条件下で、下
    記の式(2)に示される窒素−酸素分離特性を備えてい
    る請求項1記載の選択的窒素吸着剤。 【数2】
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の選択的窒素吸着
    剤に空気を接触させ、空気中の窒素を選択的に吸着させ
    ることにより、窒素と酸素を分離することを特徴とする
    空気分離方法。
JP11008449A 2000-04-20 1999-01-14 選択的窒素吸着剤およびそれを用いた空気分離方法 Pending JP2000202281A (ja)

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