JP2000200883A - メモリセル用キャパシタの製作方法及び基板処理装置 - Google Patents

メモリセル用キャパシタの製作方法及び基板処理装置

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JP2000200883A
JP2000200883A JP10377497A JP37749798A JP2000200883A JP 2000200883 A JP2000200883 A JP 2000200883A JP 10377497 A JP10377497 A JP 10377497A JP 37749798 A JP37749798 A JP 37749798A JP 2000200883 A JP2000200883 A JP 2000200883A
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hsg
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substrate
capacitor
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Sumio Sakai
純朗 酒井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 DCバイアス印加時の容量低下、TDDB
特性の悪さ及びTa25膜と組み合わせた際の問題等の
HSGが抱える諸課題を解決する。 【解決手段】 清浄な燐添加アモルファスシリコン薄膜
を真空中で加熱しながらその表面にSi26ガスを供給
して結晶核を形成し、その後530℃〜650℃でアニ
ール処理をして半球状の結晶粒群であるHSGを形成す
る。この後、Si 26とPH3 の混合ガスをHSGの表
面に供給して別の燐添加アモルファスシリコン薄膜90
9を作成し、その上にSiNO膜又はTa25膜を誘電
体膜として作成する。別の燐添加アモルファスシリコン
膜909から燐がHSGに拡散して燐濃度を高めるとと
もに、HSGの各グレイン904間のくぼみ凹部905
を埋める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願の発明は、各種メモリデ
バイスの製造に関するものであり、特にそのメモリセル
に用いられるキャパシタの製作方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】半導体を基盤にした電子デバイスにおい
て、電荷を蓄積することにより情報を記憶するメモリデ
バイスは、電子回路を構成する重要な機能デバイスであ
る。この中でも、トランジスタ1個とキャパシタ1個で
メモリ機能を構成できるDRAM(Dynamic Random Acc
ess Memory,逐次応答読み書きメモリ)は構造が簡単で
高集積が可能なことから、メモリデバイスの生産高の大
半を占める重要なデバイスである。DRAMのメモリセ
ルの構造としては、基板の上にセルを積層する積層容量
型(STC型)と基板内に設けたトレンチ内に電荷を蓄
積するトレンチ型に大別される。このうち、STC型
は、セル構造や材料選択等で自由度が高いため、多くの
メーカーで採用されている。
【0003】メモリ技術の歴史は記憶容量の増大の歴史
であり、64Mビット、256Mビット、そして、1G
ビットへと開発が進んできた。そしてさらに、現在で
は、4メガビットDRAMのデザインルールが固まりつ
つある。このような高記憶容量化の歴史は、言い換えれ
ばデバイスの高集積度化の歴史であり、限られたスペー
スの中でいかに微細な回路を形成するかの歴史であっ
た。高集積度化は、メモリデバイスでは、一つのデバイ
スにおけるメモリセルの数を多くすることを意味する。
このことは、一つのセルが占めるスペースが小さくなる
ことを意味する。
【0004】しかしながら、占有セルスペースが低下す
ると、セルを構成するキャパシタの電極面積が減少し、
必要な電荷蓄積容量が得られない問題がある。即ち、キ
ャパシタへの電荷の蓄積によって情報の記憶を行うメモ
リデバイスでは、必要な電荷蓄積容量が確保される必要
があり、電荷蓄積容量を示すキャパシタンスCは、 C=ε(φ)・ε(di)・S/d…(1) で表される。ε(φ)は真空の誘電率、ε(di)は誘電体膜
の比誘電率、Sはキャパシタ電極面積、dは誘電体層の
厚さである。この式(1)から分かるように、電荷蓄積
容量Cはキャパシタ電極面積Sに比例する。しかしなが
ら、上述したセル占有スペースが小さくなると、充分な
キャパシタ電極面積が確保できずに、必要とされる電荷
蓄積容量が得られない問題がある。
【0005】例えば、メモリセルで多用されているST
C型(容量積層型)の構造では、ビット線を構成するト
ランジスタのゲートの上方にメモリセルを積層する。現
在検討されている256メガビット以降のDRAMで
は、ゲート長は0.18μmとされており、その上に積
層されるキャパシタの占有面積は、0.24μm四方程
度に小さくする必要が生じている。
【0006】このようなセル占有スペースの減少と必要
なキャパシタ電極面積の確保という相反する要請を満た
すため、フィン型、円筒型、多重円筒型、クラウン型
等、様々な工夫がキャパシタの構造に加えられてきた。
しかしながら、このような様々な工夫によっても、高集
積度化とそれに伴うセル占有スペースの減少の要請を同
時に満たすことは困難であり、このようなボトルネック
を一気に解消する技術として、HSG(Hemi-Spherical
Grains)の技術が開発されるに至った。
【0007】HSGは、表面に形成された半球状の結晶
粒群のことである。図6を使用してHSGの形成メカニ
ズムについて説明する。図6は、HSGの形成メカニズ
ムについて説明した図である。
【0008】まず、清浄な表面を持つアモルファスシリ
コン膜901を結晶化が生じる程度の温度に加熱する。
清浄な表面とは、酸化膜や保護膜が除去され異物等が付
着していない面という意味である。清浄な表面では、シ
リコン原子902が高い移動度で拡散する(図6
(1))。拡散するシリコン原子902は互いに衝突
し、結晶核903が形成される(図6(2))。結晶化
は、結晶核903ができたところから下方に(より深い
方に)進み、直径100オングストローム程度の半球状
の粒(グレイン)904となって結晶成長する(図6
(3))。同時に、高い移動度を持つアモルファスシリ
コン膜901の表面のシリコン原子902は、グレイン
904上部に回り込む。従って、グレイン904は上方
にも成長する(図6(4))。そして、グレイン904
は、表面拡散するシリコン原子902が溜まる場とな
り、より大きなグレイン904に成長する。この結果、
HSGが完成する。HSGによると、平坦な面に比べて
2倍以上の表面積になることが分かっており、より一層
高集積度化が進む次世代のメモリセルのキャパシタ電極
用に有力視されている。
【0009】HSGを形成した円筒形の下部電極を有す
るキャパシタの製作工程について、図7を使用して説明
する。図7は、HSGを形成した円筒形の下部電極を有
するキャパシタの製作工程について説明する図である。
図7(1)に示すように、シリコンよりなる基板9は、
素子分離部911で各素子に分離されている。そして、
各素子には、FET(電界効果トランジスタ)912が
既に形成されている。FET912は、基板9に不純物
を注入して形成した一対のソース電極913及びドレイ
ン電極914と、ソース電極913とドレイン電極91
4の間の領域に絶縁層を挟んで対向するようにして設け
たゲート電極915とから成っている。そして、ゲート
電極915は、DRAMのワード線になっている。ま
た、ソース電極913には、コンタクト配線916が形
成されている。このコンタクト配線916は、DRAM
の下部ビット線になっている。
【0010】まず、図7(1)に示すように、FET9
12を覆うように設けたシリコン酸化膜917に接続用
ホール918を開ける。次に、図7(2)に示すよう
に、低抵抗多結晶シリコンを接続用ホール918内に埋
め込んで接続電極919を形成する。そして、図7
(3)に示すように、その上にさらにシリコン酸化膜
(以下、上側シリコン酸化膜)920を形成する。次
に、図7(4)に示すように、接続電極919の上側の
位置に、キャパシタ電極の形状に合わせたキャパシタ用
ホール921を形成する。
【0011】そして、図7(5)に示すように、キャパ
シタの下部電極を構成する燐添加アモルファスシリコン
膜922を全面(キャパシタ用ホール921の内面を含
む)に作成する。燐の濃度は、2×1020cm-3程度で
ある。この燐添加アモルファスシリコン膜(以下、P:
a−Si膜)922の作成は、Heで1%に希釈したP
3 ガスをSiH4 ガスに混合して導入し、減圧CVD
(化学蒸着)法で堆積させる。
【0012】この後、図7(6)に示すように、キャパ
シタ用ホール921の内面以外の最上面の部分に堆積し
たP:a−Si膜922を、CMP(化学的機械研磨,
Chemical Mechanical Polishing )法で除去する。さら
に図7(7)に示すように、上側シリコン酸化膜920
をエッチングによって除去する。この結果、P:a−S
i膜922より成る円筒形下部電極923が形成され
る。
【0013】次に、P:a−Si膜922で形成された
下部電極923の表面を清浄にするため、基板9を希釈
フッ酸溶液で洗浄する。即ち、HF/H2O =1/50
0の希釈フッ酸溶液に基板9を10分間浸し、その後、
水洗、乾燥する。この結果、P:a−Si膜922の表
面の酸化膜等が除去され、清浄な表面が露出する。そし
て、この基板9を直ちに真空装置に搬入し、背圧1×1
-6Paに排気された真空チャンバー内に配置する。そ
して、ヒータによって基板9を加熱して590℃まで昇
温させた後、Si26ガスを12SCCMで1分間照射
する。この結果、P:a−Si膜922の表面に前述し
たような結晶核が形成される。尚、SCCMは、0℃一
気圧で換算した一分あたりの流量(cm3 )である。
【0014】引き続き、基板9を真空中で590℃に加
熱するアニールを2分間行う。このアニール中、P:a
−Si膜922中からシリコン原子が結晶核に供給さ
れ、結晶核が成長していく。この結果、図7(8)に示
すように、表面に直径30から40nmの半球状結晶粒
が多数一面に形成され、HSGを有する下部電極923
が得られる。
【0015】そして、基板9を真空装置から大気に取り
出し、基板9の表面に酸化膜を形成させる。この酸化膜
の形成は、この後のアニール処理の際にHSGの形状が
変化しないよう固定するためである。その後、基板9は
加熱炉に入れられ、加熱炉内で750℃1時間のアニー
ルが施される。これによって下部電極923の深部に残
ったアモルファス層を結晶化させ多結晶にする。この工
程は、その後の熱処理でアモルファス層から供給される
シリコン原子がHSGの形状を変化させて表面積を低下
させることを避ける目的である。
【0016】次に、加熱炉から基板9を大気に取り出
し、前述した希釈フッ酸溶液で再び処理し、表面酸化膜
を除去する。そして、基板9を減圧CVD装置に搬入し
て、キャパシタを構成する誘電体層の形成を行う。誘電
体層の形成は、まず、SiH4とNH4 ガスを用いてS
34膜を作成した後、この上に、SiH4 およびO2
ガスを用いてSiO2 膜を作成することにより行う。こ
の結果、Si34膜とSiO2 膜の積層膜(以下、Si
NO膜と呼ぶ)が、図7(9)に示す誘電体層924と
して得られる。このSiNO膜は、電流リークのない良
質な誘電体層924を構成する。尚、Si34膜とSi
2 膜の積層は何回か繰り返される場合がある。
【0017】最後に、減圧CVD装置にてSiH4 とP
3 の混合ガスを用いて、基板9の表面に燐添加ポリシ
リコン膜を形成し、上部電極925とする。これによっ
て、図7(10)に示すように、HSGの形状を有する
下部電極923と、SiNO膜よりなる誘電体層924
と、燐添加ポリシリコン膜よりなる上部電極925とか
ら構成されたキャパシタ926が完成する。そして、下
部ビット線と上部ビット線との配線等を行って、最終的
にメモリセルが出来上がる。
【0018】上記のような工程を経て製作されたキャパ
シタの構造において、円筒形である下部電極923の外
側面、内側面、底面、上端面のすべてが、式(1)のキ
ャパシタ表面積Sとして機能し、加えて、HSGの形成
により、その表面積は平滑な面に比較して2倍程度の面
積を有する。このため、DRAMの高集積化が進んでキ
ャパシタのために許容される占有スペースが縮小されて
も、必要とされる容量(例えば25fF)を確保するこ
とができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】としかしながら、発明
者の研究によると、上述した従来の方法では、幾つかの
重大な問題があることが判明した。以下、この点につい
て説明する。
【0020】第一の問題は、DCバイアス電圧印加時の
容量低下の問題である。即ち、上記方法で製作したキャ
パシタの電流-電圧特性を測定したところ、DCバイア
ス電圧が0Vの時には、キャパシタの電荷蓄積容量(以
下、単に容量)は25fFを越えているが、DC電圧を
プラス2Vからマイナス2Vまで変化させると、容量が
減少することがわかった。特に、上部電極にマイナス、
下部電極にプラスを加えたときには、DC−1.4V程
度の小さいバイアス電圧を加えただけで、容量が20%
も低下してしまった。DRAMデバイスでは、キャパシ
タにDC電圧を加えて電荷を蓄積するため、DCバイア
ス電圧を加えたときの容量が実際の性能である。DCバ
イアス電圧を加えたときにも容量が低下しないことが、
DRAMデバイスの性能向上には欠かせない。
【0021】上述した容量の低下の原因を調べるため
に、HSGを形成しない単純な円筒形の下部電極のキャ
パシタを製作して、電気特性を比較評価したところ、容
量は、DCバイアス電圧0Vで13fFであり、半減し
たが、DCバイアス電圧を+2Vから−2Vに変化させ
ても容量の減少率は3%以下であった。このことから、
HSGを形成することに容量低下の原因があることが判
った。
【0022】従来のHSGを形成しないキャパシタで
も、電極である燐添加ポリシリコン層の燐濃度が低い
と、DCバイアス電圧を加えたときに容量が低下する。
この点を図8を使用して説明する。図8は、キャパシタ
の容量低下の原因についての説明図である。
【0023】図8において、キャパシタは、不純物を添
加した半導体よりなる一対の電極931,932と、こ
の一対の電極931,932の間に挟まれた誘電体層9
33より構成される。このキャパシタにDCバイアス電
圧を加えると、電極931,932が半導体で形成され
ているために、逆方向電界(キャリアが誘電体層933
に向かうのとは逆に移動する電界)が与えられた一方の
電極931では、キャリアがDC電源の+側に向かって
集められる。この結果、この一方の電極931と誘電体
層933と間の接合面から相当の範囲に亘ってキャリア
が不足した空乏層934が出現する。
【0024】空乏層934が出現すると、見かけ上誘電
体層933の厚さが厚くなったように振る舞う。言い換
えると、誘電体層933の容量に加えて、空乏層934
の容量が直列に接続された状態となる。空乏層934の
出現によって全体の容量がどう変化するかを説明する。
空乏層934が出現した際の全体の容量は、 C=1/(1/C(di)+1/C(de))…(2) として表される。C(di)は誘電体層933の容量、C(de)
は空乏層934の容量である。ここでは、誘電体層93
3と電極931の接合界面に出現する仕事関数による空
乏層は無視している。
【0025】(2)式のCの大きさを、もとの容量であるC(d
i)と比較するため、C-C(di)の正負について検討する。
式(2)より、 C-C(di)={C(di)・C(de)/(C(di)+C(de))}-C(di)…(3) となる。C(di)で割っても正負は変わらないため、式(3)
をC(di)で割ると、 {C-C(di)}/C(di)={-C(di)/(C(di)+C(de))}…(4) となる、式(4)の右辺は明らかに負であり、従って、C<C
(di)、即ち、空乏層934が出現した際の全体の容量
は、出現する以前に比べて低下する。
【0026】空乏層934の厚さwについて、誘電体層
933が酸化シリコンである場合を例にして試算してみ
る。それぞれの容量は、 C(SiO2)=ε(φ)・ε(SiO2)・S/d…(5) C(Si)=ε(φ)・ε(Si)・S/w…(6) 上式で、ε(SiO2)は酸化シリコンの比誘電率、ε(Si)は
空乏層(シリコン)の比誘電率である。空乏層厚wは、D
Cバイアス電圧に依存する。DC電圧−2Vをかけたと
きの全体の容量C(-2V)が、電圧0Vのときの全体の容量C
(0V)の85%に減少したとすると、 C(-2V)=0.85・C(SiO2) であり、これが合成容量に等しいから、 0.85・C(SiO2)=1/(1/C(SiO2)+1/C(Si)) となる。この式から、 C(Si)/C(SiO2)=5.7 となり、空乏層934が形成する容量は誘電体層933
の5.7倍であることがわかる。ε(Si)は11.7、ε
(SiO2)は3.9であるから、誘電体層933の厚さを
5.5nmとして式(5)(6)に代入し、式(6)/式(5)を行
うと、 5.7=(ε(SiO2))/d)/(ε(Si)/w) より、 w=2.91 となり、空乏層厚934の厚さwは2.91nm程度と
計算される。
【0027】さて、前述したHSGを形成する従来のプ
ロセスでは、 HSGの結晶核を形成するために、真空
中で590℃に加熱しながら、Si26ガスを12SC
CM照射している。そして、HSGを形成するため、引
き続いて同様の温度でアニール処理している。このよう
な高温処理の最中に、P:a−Si膜の表面から燐が真
空中に蒸発すると考えられる。
【0028】加えて、Si26ガスを照射して結晶核を
形成する際、P:a−Si膜の表面にはSi26ガスの
分解によりシリコン膜が堆積する。このシリコン膜は、
燐を含まない層である。後のアニールによって下層から
燐が拡散するものの、その濃度は低く、従って、形成さ
れたHSGの表面の燐濃度は低下する傾向にあるものと
考えられる。これらのことから、前述した空乏層の出現
が引き起こされていると考えられる。
【0029】HSGを形成することで実効的なキャパシ
タ電極の表面積を2倍に出来ることは、DRAMの高集
積化に必須の技術要素であるが、空乏化で20%も容量
が低下すると、表面積が2倍になっても容量は1.6倍
にしか増加しないことになってしまう。これでは、HS
G形成技術を導入しても、そのメリットは殆ど無くなっ
てしまう。
【0030】HSGにおける燐濃度の低下に起因した空
乏層の出現を抑制する方法として、HSGの形成後に燐
を追加拡散させる方法がある。具体的に説明すると、同
様にHSGを形成し、基板を大気に取り出してHSGの
表面に酸化膜を施した後、アニール処理を行ってP:a
−Si膜をポリシリコン膜に結晶化させる。この後、燐
の追加拡散導入を行うために、基板を大気に取り出して
希釈フッ酸溶液で表面の酸化膜を再び除去した後、別の
加熱炉に基板を搬入する。そして、H2 で1%に希釈し
たPH3 ガスを雰囲気の圧力が5Torrになるように
加熱炉内に導入し、基板の温度を780℃に維持して2
時間のアニール処理を行う。この結果、HSGに燐が追
加拡散され、燐濃度を上昇させることができる。このよ
うな工程を付加することにより、空乏層の出現による容
量の低下を5%以下に抑制することが可能である。
【0031】しかしながら、このプロセスは、780℃
という極めて高い温度に、かつ、2時間と長い時間、基
板を晒す必要があるために、他の部位の不純物の拡散を
不必要に助長し、デバイスの性能を他の面で劣化させて
しまう欠点がある。また、工程数が増加するため、生産
性上のデメリットもある。
【0032】また一方、発明者の研究によると、従来の
方法は、第二の問題として、キャパシタの信頼性上の問
題を抱えていることが判った。以下、この点を説明す
る。
【0033】キャパシタの信頼性を調べる方法のひとつ
に、TDDB(Time Dependence Dielectric Breakdow
n、誘電体の絶縁破壊の時間依存性)テストがある。こ
れは、キャパシタに一定電圧を一定温度条件で与えて、
時間経過とともにリーク電流がどう変化するかを調べる
ものである。キャパシタに加える電界を増加させると、
最初は徐々にリーク電流が増加し、その後急激にリーク
電流が増加して絶縁破壊に至る。HSGを形成したキャ
パシタと、HSGを形成しないキャパシタをTDDBテ
ストで比較すると、誘電体層の厚さが同一である場合に
は、HSGを形成したキャパシタの方が低電圧領域でも
より短い時間で絶縁破壊に達する確率が高いことが判明
した。
【0034】図9は、上記問題を確認したTDDBテス
トの結果を示した図である。図9に示す例は、電圧6
V、温度80℃におけるテスト結果であり、破線がHS
Gを形成したキャパシタ、実線がHSGを形成しないキ
ャパシタである。図9からわかるように、HSGを形成
しないキャパシタの場合、数1000秒程度まで絶縁破
壊が生じていないのに対し、HSGを形成したキャパシ
タの場合、数100秒を越えたあたりで絶縁破壊が生じ
てしまっている。
【0035】HSGを形成したキャパシタの上述したT
DDB特性の低下の推測される原因について、図10を
使用して説明する。図10は、HSGを形成したキャパ
シタの絶縁耐圧の低下の原因について説明した図であ
る。
【0036】HSGを形成したキャパシタの絶縁耐圧の
低下の一つの原因は、HSGを構成する各グレイン間の
底部の部分で誘電体膜の厚さが薄くなっているためので
あると考えられる。HSGの形成は、前述した通り、ア
モルファスシリコン膜中のシリコン原子を取り込みなが
らグレインを成長させるメカニズムである。従って、グ
レインが成長すればその近傍のアモルファスシリコン層
はシリコン原子が奪われる。その結果、図10に示すよ
うに各グレイン904の根元の両側にくびれが生じる。
くびれが生ずると、各グレイン904間の底の部分にさ
らに凹部(以下、くびれ凹部と呼ぶ)905が形成され
る。このくびれ凹部905は、図10に示すように、開
口幅よりも内部空間の方が少し大きい形状である。開口
の幅L1は100〜200オングストローム程度で、内
部空間の幅L2は150〜250オングストローム程度
と想像される。
【0037】前述したように、誘電体膜には減圧CVD
法により作成されたSiNO膜等が使用されるが、誘電
体膜を作成する際、上述したような深いところに形成さ
れるくびれ凹部905の内部には原料ガスが充分に到達
せず、図10に示すようにくびれ凹部905内では誘電
体膜906の膜厚が薄くなる傾向にあるものと考えられ
る。膜厚が薄くなると、周知のように絶縁耐圧が低下す
る。図9に示すTDDB特性の低下は、このくびれ凹部
905内での誘電体膜906の薄いところでの絶縁破壊
に一つの原因があるものと推定される。
【0038】TDDB特性を改善するためには、誘電体
膜の厚さを増加させてHSGを使わないキャパシタと同
等の性能を引き出す方法が考えられる。具体例として、
酸化膜換算の膜厚(SiO2 の誘電率に換算したときの
膜厚)を5nmから6nmに増加させると、低電圧(6
V程度)の絶縁破壊確率は2/100以下になり、HS
Gを形成しないキャパシタと同程度までTDDB特性を
改善することが可能である。
【0039】しかしながら、前述した通り、キャパシタ
の容量は誘電体層の厚さdに反比例するから、誘電体膜
厚を6nmにしたことにより容量は5/6=83%に低
下してしまう。このことは、HSGの表面積増加効果を
83%に低減させることを意味しており、HSGを使わ
ないキャパシタに対してHSGの表面積増加効果が2倍
としても、容量の増加率としては1.66倍にとどまる
結果になることを意味する。
【0040】HSGを形成したキャパシタのTDDB特
性の低下の別の原因は、局所的な電界の集中があるため
であると考えられる。HSGは、単純な一つの結晶で形
成されていることはあまりなく、幾つかの結晶から成っ
ている。そして、図10中に拡大して示すように、グレ
イン904の表面に異なる結晶の界面が存在している場
合、鋭い突起部又は段差等(以下、鋭部)907が形成
されていることがある。鋭部907が形成されている
と、誘電体膜906中の電界がこの部分に集中し、絶縁
破壊が生じやすいものと考えられる。
【0041】またさらに、発明者の研究によると、従来
の方法は、第三の問題として、次世代の誘電体材料とし
て期待されるTa25との組み合わせ上の問題も抱えて
いることがわかった。以下、この点を説明する。
【0042】前述した通り、HSGによれば、限られた
スペースでキャパシタ電極の表面積を大きくできるた
め、容量の増大に大きく貢献できる。しかしながら、2
56メガビット以降のメモリデバイスの仕様としては、
それのみではまだ不十分であることがわかってきた。一
例を示すと、0.3μm×0.5μmの領域がキャパシ
タの占有スペースとして許されており、このスペースに
25fFのキャパシタを製作することが必要であるとす
る。この場合、キャパシタの下部電極を高さ1μmの筒
形にし、その内外面及び底面をHSGの形状とした場合
でも、キャパシタの容量は、25fFに満たない。
【0043】容量をさらに大きくする方法として残され
ているのは、式(1)のε(di)を高くすること、即ち、
誘電体層の材料をより誘電率の高い材料に変更すること
である。従来、誘電体層としては前述したSiNO膜が
使用されている。このSiNO膜の比誘電率は、実用的
な膜厚において4.2程度である。このSiNO膜より
高い比誘電率を持つ材料として最も有力視されているの
が、Ta25である。Ta25の比誘電率はSiNO膜
よりはるかに高い8程度である。HSG構造とTa25
膜を組み合わせれば現在の2倍近い容量が確保でき、次
世代のメモリデバイスの中核的な技術になると予想され
る。
【0044】ところが、発明者の研究によると、HSG
構造とTa2O5膜の組み合わせには、意外な欠点がある
ことがわかった。図11は、HSG構造とTa25膜を
組み合わせた際の問題点を説明した図である。前述した
SiNO膜は、比較的膜厚が薄くても充分な絶縁耐圧を
有し、誘電率についても比較的膜厚が薄くても期待され
た値が得られる。一方、Ta25膜は、SiNO膜より
高い誘電率を有する材料ではあるが、必要な絶縁耐圧や
期待された誘電率を得るためには、比較的膜厚を厚くす
る必要がある。より具体的に説明すると、SiNO膜は
5〜6nmの厚さで足りるが、Ta25膜は10nm程
度の厚さとする必要がある。
【0045】前述したように、HSGを形成させると、
各グレインの根元の部分がくびれてくびれ凹部が生じ
る。くびれ凹部内は、前述した通り薄膜を厚く堆積させ
ることが困難であり、誘電体膜の厚さが薄くなり易い。
従って、Ta25膜にとって、くびれ凹部の存在は深刻
である。図10に示す場合と同様にくびれ凹部内でTa
25膜の膜厚が不足すると、必要な絶縁耐圧や期待され
る誘電率が得られなくなる。必要な膜厚を得ようとして
誘電体膜906の堆積時間を長くすると、図11に示す
ように、くびれ凹部905の開口の部分が塞がってしま
い、内部に空洞(ボイド)908が発生してしまう。空
洞908が発生すると、やはり絶縁耐圧の低下が生じ
る。また、その部分は真空の誘電率に等しくなってしま
うので、全体の誘電率もまた低下してしまう。
【0046】このように、HSG構造とTa25膜の組
み合わせは将来の技術としては非常に有望であるが、く
びれ凹部の存在に関連した深刻な問題を内包している。
本願の発明は、これらのHSGの技術的課題を解決する
ために成されたものである。
【0047】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願の請求項1記載の発明は、二つの電極の間に誘
電体層を介在させた構造のメモリセル用キャパシタを製
作する方法であって、表面が清浄化された燐添加アモル
ファスシリコン薄膜を真空雰囲気又は酸化物質の存在し
ない雰囲気で所定の温度に加熱しながらその燐添加アモ
ルファスシリコン薄膜の表面に所定量のシリコン水素化
合物ガスを供給し、引き続いてその燐添加アモルファス
シリコン薄膜を530℃〜650℃でアニール処理をし
て、半球状の結晶粒群であるHSGを形成する第一の工
程と、この第一の工程の後、シリコン水素化合物ガスと
燐化合物ガスとを混合してHSGの表面に供給してHS
Gの表面に別の燐添加シリコン膜を作成する第二の工程
とを含むプロセスによって前記二つの電極のうちの一方
の電極を形成するという構成を有する。上記課題を解決
するため、本願の請求項2記載の発明は、上記請求項1
の構成において、前記プロセスの後、前記別の燐添加シ
リコン膜の表面にタンタル及び酸素を含むガスを供給し
て当該表面にTa25膜を堆積させて前記誘電体層とす
るという構成を有する。上記課題を解決するため、本願
の請求項3記載の発明は、上記請求項2の構成におい
て、前記Ta25膜の作成は、前記別の燐添加シリコン
膜の表面を大気に晒すことなく、当該表面にタンタル及
び酸素を含むガスを供給して行うという構成を有する。
上記課題を解決するため、本願の請求項4記載の発明
は、上記請求項3の構成において、前記Ta25膜を堆
積させて前記誘電体層とした後、当該Ta25膜の表面
を大気に晒すことなく、当該表面の上に他方の電極を形
成するという構成を有する。上記課題を解決するため、
本願の請求項5記載の発明は、真空に排気されることが
可能な複数の処理チャンバーと、処理チャンバー間で基
板を大気に取り出すことなく真空中で搬送することが可
能な搬送ロボットとを備えた枚葉式の基板処理装置であ
って、前記複数の処理チャンバーのうちの一つの処理チ
ャンバーは、表面に燐添加アモルファスシリコン膜が堆
積しその燐添加アモルファスシリコン膜の表面が清浄化
されている基板のその表面にシリコン水素化合物ガスを
供給した後に基板を所定温度に加熱して半球状の結晶粒
群であるHSGを形成させるとともに、シリコン水素化
合物ガスと燐化合物ガスの混合ガスをHSGの表面に供
給してHSGの表面に別の燐添加シリコン膜を堆積させ
ることが可能であり、前記複数の処理チャンバーのうち
の別の一つの処理チャンバーは、キャパシタの誘電体層
を成す誘電体膜を前記別の燐添加シリコン膜の上に形成
することが可能であるという構成を有する。上記課題を
解決するため、本願の請求項6記載の発明は、上記請求
項5の構成において、前記別の一つの処理チャンバー
は、前記誘電体膜としてTa25膜を作成するものであ
るという構成を有する。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態につ
いて説明する。実施形態のメモリセル用キャパシタの製
作方法の大きな特徴点の一つは、HSGを形成する第一
の工程の後、シリコン水素化合物ガスと燐化合物ガスの
混合ガスをHSGの表面に供給し、燐が添加された別の
シリコン膜をHSGの表面に堆積させる第二の工程が行
われる点である。そして、この第一の工程と第二の工程
は、同一の基板処理装置を用いて連続して行われるよう
になっている。まず、これら第一第二の工程を行う第一
の実施形態の方法に使用される基板処理装置の構成につ
いて説明する。
【0049】図1は、本願発明の第一の実施形態の方法
に使用される基板処理装置の正面断面概略図である。図
1に示す装置は、排気系11,12を備えた処理チャン
バー1と、処理チャンバー1内に所定の原料ガスを導入
するガス導入手段2と、処理チャンバー1内の所定位置
に基板9を配置するためのサセプタ3と、処理チャンバ
ー1内の所定位置に配置された基板9を加熱するヒータ
4とから主に構成されている。
【0050】この図1に示す装置はコールドウォール型
の装置であり、処理チャンバー1の器壁には不図示の水
冷機構が付設されている。また、二つの排気系11,1
2のうち一方の排気系(以下、第一排気系)11は、基
板9が配置されて処理される空間(処理空間)を排気す
るものである。また、他方の排気系(以下、第二排気系
12は、加熱のためのヒータ4が配置された空間(以
下、加熱空間)を排気するものである。
【0051】処理チャンバー1には、ゲートバルブ13
を介在させた状態で不図示の予備チャンバーが気密に接
続されている。予備チャンバーは処理チャンバー1と同
様に排気可能となっており、不図示の搬送ロボットが内
部に設けられている。搬送ロボットは、必要に応じて不
図示のロードロックチャンバーを経由しながら大気側と
処理チャンバー1内との間で基板9を保持して搬送でき
るよう構成されている。
【0052】ガス導入系2は、シリコン水素化合物ガス
としてのジシラン(Si26)を導入するジシラン導入
系21と、燐化合物ガスとしてのホスフィン(PH3
を導入するホスフィン導入系22と、アルゴンガスを導
入するアルゴンガス導入系23とを備えている。各々の
系21,22,23には、バルブ211,221,23
1及び流量調整器212,222,232等が設けられ
ている。
【0053】サセプタ3は、処理チャンバー1の底面に
固定された台状のものであり、上面に基板9が載置され
る。サセプタ3の内部には、昇降可能なリフトピン5が
設けらている。リフトピン5の下端はピン支持板52に
固定されている。ピン支持板52は、大気側に設けられ
た昇降駆動源51によって上下動するようになってお
り、これによってサセプタ3の上面に設けられた穴を通
してリフトピン5が昇降するようになっている。基板9
をサセプタ3に載置する際には、リフトピン5が上昇し
てサセプタ3の上面から突出し、基板9がリフトピン5
の上に載った後にリフトピン5が下降する。リフトピン
5の上部は、サセプタ3に設けた凹部に退避し、基板9
がサセプタ3の上面に載置される。また、ピン保持板5
2は、ベローズ53を介して処理チャンバー1の底面の
開口の縁に気密に接続されている。従って、サセプタ5
内の空間に真空漏れが生ずることは無くなっている。
【0054】ヒータ4は、サセプタ3の内部に配置され
ている。ヒータ4は、主に輻射加熱によって基板9を加
熱するものが採用される。具体的には、通電により発熱
するカーボンヒータ等が使用できる。ヒータ4からの輻
射熱は、サセプタ3に与えられ、サセプタ3を経由して
基板9が加熱される。サセプタ3は、シリコン製であ
り、熱伝導性よく基板9に接触するようになっている。
【0055】尚、必要に応じて基板9をサセプタ3に静
電吸着し、熱伝導性を向上させることが行われる。ま
た、基板9の温度は不図示の熱電対等によって検出さ
れ、不図示のヒータ制御部に送られるようになってい
る。ヒータ制御部は、検出結果に従ってヒータ4を負帰
還制御し、基板9の温度が設定された温度になるように
ヒータ4を制御する。尚、基板9がサセプ3に載置され
た際には、リフトピン5が挿通されたサセプタ3の孔
は、リフトピン5の上部によって気密に塞がれるように
なっている。従って、基板9がサセプタ3に載置された
際には、処理空間と加熱空間とは隔絶された状態とな
る。
【0056】そして、処理空間を排気する第一排気系1
1は1000リットル/秒程度の排気速度のターボ分子
ポンプを使用している。一方、加熱空間を排気する第二
排気系12は、300リットル/秒程度の排気速度のタ
ーボ分子ポンプを使用している。従って、処理空間が加
熱空間に比べて低圧になるようになっている。この構成
は、原料ガスが加熱空間に拡散して熱分解等によりヒー
タ4の表面に堆積物を生じるのを効果的に防止してい
る。
【0057】尚、サセプタ3がシリコン製であるのは、
基板9を汚損しないよう基板9と同じ材質にするためで
ある。また、発熱したヒータ4からは吸蔵ガス等が放出
されることがあり、このようなガス放出によって処理チ
ャンバー1内の雰囲気が汚損されることがないよう、第
二排気系12がヒータ4の周辺を排気している。また、
サセプタ3の側部には、不図示の水冷機構が設けられて
いる。これは、サセプタ3からの熱が処理チャンバー1
に伝わって処理チャンバー1を加熱しないようにするた
めである。
【0058】尚、サセプタ3に載置された基板9の上側
に位置するようにして、熱反射板が基板9と平行に設け
られる場合がある。この熱反射板は、基板9やサセプタ
3から放出される輻射線を反射して基板9に戻すことで
基板9の加熱効率を高めるものである。尚、装置全体の
動作は、不図示の制御部によって制御される。制御部
は、ガス導入系2の各流量調整器212,222,23
2に信号を送り、所定の流量及び混合比でガスを導入で
きるようになっている。
【0059】次に、図1に示す装置を使用した第一の実
施形態のメモリセル用キャパシタの製作方法について説
明する。まず、図7(7)に示す円筒形下部電極923
の形成までは、従来の方法と同様である。従って、説明
は省略する。図7(7)に示すようなP:a−Si膜9
22よりなる円筒形下部電極923が形成された基板9
を、同様に希釈フッ酸溶液で洗浄し、表面酸化膜を除去
する。この基板9を、図1に示す処理チャンバー1内に
搬入し、リフトピン5の昇降によってサセプタ3上に載
置する。
【0060】処理空間を第一排気系11によって所定の
真空圧力に維持しながら、ヒータ4によって基板9を5
90℃まで加熱する。そして、ガス導入手段2を動作さ
せて、Si26ガスを12SCCMの流量で1分間導入
する。導入されたSi26ガスは、基板9の表面で分解
し、P:a−Si膜の上にノンドープのアモルファスシ
リコン膜(以下、a−Si膜)を堆積させる。このa−
Si膜は、後に形成するHSGの結晶核を提供するもの
である。
【0061】引き続いて、基板9をサセプタ3に載置し
たままとし、ガスを導入しないでアニール処理を施す。
第一排気系11によって処理空間の圧力を10-5Pa程
度に維持し、基板9を590℃の温度に2分間加熱す
る。この結果、a−Si膜の表面にHSGが形成され
る。ここまでが、第一の工程である。
【0062】第一の工程に引き続いて、基板9をやはり
サセプタ3に載置したままとし、第二の工程を行う。即
ち、処理チャンバー1内にSi26ガスとPH3 ガスと
を混合して導入する。Si26ガスの流量は、12SC
CM程度である。また、PH3 ガスはアルゴンガスで1
%に希釈されており、希釈したものの全体の流量は4S
CCM程度である。基板9の温度を同様に590℃に維
持しながら、このようなガス導入を1分間行う。この結
果、形成されたHSG及びa−Si膜の表面にさらに燐
添加アモルファスシリコン膜(以下、上層P:a−Si
膜)が6〜10nm程度の厚さで堆積する。
【0063】この後、リフトピン5が上昇して基板9は
サセプタ3から離れ、不図示の搬送ロボットによって処
理チャンバー1から不図示の予備チャンバーに取り出さ
れる。この搬送中に基板9は自然放熱によって冷却さ
れ、10秒以内に200℃以下まで急速に温度が低下す
る。
【0064】次に、前述した従来の方法と同様に、基板
9を大気に取り出して表面酸化膜を形成した後、基板9
を別の加熱炉に搬入し、750℃1時間のアニールを施
す。これによって下部電極の深部に残ったアモルファス
層が結晶化し多結晶になる。この結果、HSGを形成し
た下部電極が完成する。その後、従来と同様に、キャパ
シタを構成する誘電体層としてSiNO膜を作成し、そ
の上に、上部電極として燐添加ポリシリコン膜を作成す
る。これで、本実施形態のキャパシタの製作方法が終了
する。
【0065】上記実施形態の方法で製作したキャパシタ
の電気特性を測定したところ、下部電極側に逆方向電圧
を2Vまで加えても、電圧0Vの場合の容量に対して容
量の低下は3%にとどまった。従って、本実施形態の方
法によれば、逆方向電圧印加による容量低下の問題が抑
制され、HSGによる容量倍増の効果が損なわれること
がないことが確認された。
【0066】このような本実施形態の方法の効果がなぜ
生じるのかについて、以下に説明する。図2は、実施形
態の方法により製作されたキャパシタの下部電極の表面
を拡大して図示したものである。
【0067】まず、第一の工程において、前述の通り、
HSGを形成する際に真空中で590℃程度に基板9を
加熱すると、下部電極923を構成しているP:a−S
i膜中の燐が拡散し、その一部は基板9の表面から雰囲
気(真空)中に放出される。従って、形成された下部電
極923は、その表面付近に燐濃度が低下した層があ
り、その下に燐濃度が高い層があると考えられる。そし
て、第二の工程において、その上に上層P:a−Si膜
を堆積させることになる。結局、完成した下部電極92
3は、図2(1)に示すように、燐が十分添加された下
部層941と、燐濃度が低いHSGを含む中層942
と、上層P:a−Si膜より成る燐濃度の高い上層94
3とからなる3層構造となっている。
【0068】そして、キャパシタを完成させる工程、す
なわち、誘電体層を構成するSiNO膜の作成工程、上
部電極を構成する燐添加ポリシリコン膜の作成工程にお
いて、基板9が十分に加熱され、この際に下部電極92
3内で燐が拡散する。この結果、下部電極923は、図
2(2)に示すように、上記3層構造が解消し、一様な
燐濃度になると考えられる。この一様になった燐濃度
は、最初にP:a−Si膜を作成した際の添加濃度2×
1020cm-3とほぼ同一の濃度であり、HSGの形成過
程で燐濃度が低下することがなくなっている。このよう
に高い燐濃度が維持されることから、前述したようにキ
ャパシタの容量減少率が3%にとどまるものと判断され
る。
【0069】例えば256メガビットのDRAMでは、
256メガ個のメモリセルを有し、それらは100mm
2 程度の領域に形成される必要がある。よって、1個の
セルが占有できる面積はたかだた0.28μm2 であ
る。上述したように、キャパシタの下部電極を筒形と
し、かつHSGを形成して表面積を2倍にすることで、
このような狭い領域であっても、要求される25fFの
静電容量を確保できることになる。そして、空乏化が防
止されているので、電圧を加えたときの容量減少率が低
減され、メモリー機能として電荷を蓄えるときに加える
電圧状態で、十分な容量が得られることを示しており、
非常に有用なことである。そして、前述した燐の追加拡
散のような過度の加熱工程を加えることなく空乏化を防
止できるので、デバイス性能の向上という観点からもそ
の技術的意義は極めて高い。
【0070】また尚、本実施形態の方法で使用された装
置は、バッチ式装置ではなく枚葉式装置である。そし
て、リフトピン5によって上昇した基板9を搬送する不
図示の搬送ロボットを備えている。この点は、上層P:
a−Si膜を作成した後に直ちに搬送ロボットが基板9
を保持して搬送することによりその温度を急速に下げる
ことができることになり、P:a−Si膜から再び燐が
蒸発することが防止されている。この点も、燐濃度を増
加させる空乏化抑制に大きく貢献している。
【0071】また、本実施形態の方法によれば、TDD
B特性は、HSGを形成しない場合と同程度まで改善さ
れる。この点を、図3を使用して以下に説明する。図3
は、TDDB特性が改善される理由について説明する図
である。図3に示すように、本実施形態の方法により製
作されたキャパシタの下部電極923は、HSGを構成
する各グレイン904間に形成されたくびれ凹部905
が薄膜で埋まった構造となっている。この薄膜は、HS
G完成後の第二の工程において堆積させた上層P:a−
Si膜909である。図3からわかるように、完成した
下部電極923の構造では、各グレイン904間の凹部
はグレイン904の半球状の面によって形成されている
のみである。そして、この凹部は上に向かって断面積が
広くなる形状であり、曲率も大きい。従って、この下部
電極923の上にSiNO膜等の誘電体膜を堆積させた
際、従来のように膜厚が低下する問題がない。このた
め、本実施形態の方法により製作したキャパシタによる
と、TDDB特性が、HSGを形成しないキャパシタと
同程度まで改善される。
【0072】また、HSG形成後に堆積させた上層P:
a−Si膜は、図10に示すような鋭部907を覆う状
態となる。上層P:a−Si膜もHSGと同様に後の加
熱処理によって燐添加ポリシリコン層となるため、完成
した下部電極923の表面に図10に示すような鋭部9
07が現れることが無くなる。尚、図10に示すような
鋭部907は、HSGの各グレインのような微細で複雑
な形状に結晶成長する過程で生ずると考えられ、上層
P:a−Si膜が結晶成長する際には生じにくい。
【0073】尚、図3から明らかなように、上層P:a
−Si膜をあまり厚く作成してしまうと、HSGの凹凸
を埋めてしまい、表面積が減少することになってしま
う。具体的には、上層P:a−Si膜は、10nm以下
の厚さとすることが好ましい。また、くびれ凹部905
を埋めたり鋭部907を緩和させたりする観点からは、
上層P:a−Si膜は6nm以上とすることが好まし
い。結局、上層P:a−Si膜は、6nm以上10nm
以下の厚さとすることが好ましい。
【0074】従来の方法では絶縁破壊を抑止するために
誘電体膜厚を5nmから6nmに増加させていたが、本
実施形態の方法により実際に製作したキャパシタでは、
再び5nmまで薄くした。にもかかわらず絶縁破壊特性
に劣化は見られず、容量を1.06倍に増加させること
ができた。誘電体膜厚を6nmから5nmに薄膜化すれ
ば、容量は6/5=1.2倍に増加するはずであるが、
図3に示すようにくびれ凹部905を上層P:a−Si
膜で埋めて塞いでしまった分だけ表面積が減少し、この
ため1.06倍の回復にとどまったと推定される。
【0075】表1は、HSGの有無、従来の製法か本実
施形態の製法か、さらに、誘電体膜の厚さによって、キ
ャパシタの容量がどのようになるかを比較したものであ
る。表1では、HSG無しの単純な筒形のキャパシタの
容量を1とし、これに対する比率で容量が示されてい
る。
【表1】 表1から解る通り、総合的にキャパシタ性能を比較すれ
ば、本実施形態の方法によるとともに誘電体膜厚を5n
mとしたキャパシタが、良好な絶縁破壊特性を維持しつ
つ最も容量が大きいことが分かった。キャパシタの絶縁
破壊は、文字どおりキャパシタの永久破壊を引き起こし
てメモリーセルの機能を不能化するとともに、大きなリ
ーク電流が流れつづけることによってメモリデバイス全
体の機能を低下もしくは停止させる極めて深刻な事態を
引き起こす。よって、絶縁破壊特性の向上はHSGをメ
モリデバイスに用いるための最も重要な課題の一つであ
る。
【0076】次に、本願発明の第二の実施形態の方法に
ついて説明する。この実施形態の方法は、キャパシタの
誘電体層を担う薄膜として、Ta25膜を堆積させる方
法である。以下の説明は、請求項5及び請求項6の基板
処理装置の実施形態の説明でもある。
【0077】まず、第二の実施形態方法に使用される基
板処理装置の発明の実施形態について説明する。図4
は、本願発明の第二の実施形態の方法に好適に使用され
る基板処理装置であって請求項5及び請求項6の発明の
実施形態の装置の平面概略図である。
【0078】図4に示す装置は、マルチチャンバータイ
プの装置であり、中央に配置されたセパレーションチャ
ンバー6と、セパレーションチャンバー6の周囲に設け
られた複数の処理チャンバー7,71,72及び二つの
ロードロックチャンバー8とからなるチャンバー配置に
なっている。各チャンバー6,7,71,72,8は専
用又は兼用の排気系によって排気されるようになってお
り、各チャンバー6,7,71,72,8同士の接続個
所にはゲートバルブ60が設けられている。
【0079】また、セパレーションチャンバー6内に
は、搬送ロボット61が設けられており、いずれか一方
のロードロックチャンバー8から基板9を一枚ずつ取り
出し、各処理チャンバー7,71,72に送って順次処
理を行うことになっている。そして、最後の処理が終了
した後、いずれか一方のロードロックチャンバー8に戻
すようになっている。また、ロードロックチャンバー8
内のロック内カセットと外部カセット82との間で基板
9を搬送するオートローダ81が設けられている。尚、
前述した図1に示す装置も、図4に示すのと同様のマル
チチャンバータイプの装置として構成されると好適であ
る。
【0080】図4に示す複数の処理チャンバー7,7
1,72のうちの一つの処理チャンバー(以下、第一処
理チャンバー)71は、図1に示す処理チャンバー1と
同様の構成とされる。そして、別の処理チャンバー7,
72のうちの一つの処理チャンバー(以下第二処理チャ
ンバー1)72は、図5に示す構成とされる。図5は、
図4に示す基板処理装置の第二処理チャンバー72の構
成を示す正面概略図である。図5に示す第二処理チャン
バー72は、図1に示す構成と基本的に同様である。但
し、以下の点が異なっている。
【0081】まず、第二処理チャンバー72内は、第一
第二の二つの排気系721,722によって排気される
が、第一排気系721は、排気速度300リットル/秒
のターボ分子ポンプ723と、排気速度1000リット
ル/分のドライポンプ724とをバルブ720で切り替
えて使用するようになっている。尚、ヒータ725によ
る基板9の加熱は、図1に示す装置のヒータ4に比べて
低く、170℃程度である。
【0082】また、ガス導入手段726は、Ta有機化
合物ガス導入系727と、酸素ガス導入系728とを備
えている。Ta有機化合物ガス導入系727は、Ta
(OCH35,Ta(OC255 のようなタンタルと
酸素を含有した有機物化合物ガスを導入するようになっ
ている。Ta有機化合物ガス導入系727の配管や流量
調整器などは150℃程度に加熱されており、Ta有機
化合物ガスをこの程度の温度に加熱した状態で導入する
ようになっている。また、酸素ガス導入系728は、酸
素ガスを導入する配管にバイパスさせて設けた補助配管
上にオゾン発生器729を備えている。このため、酸素
ガス導入系728は、0〜3%程度のオゾンの含有した
酸素ガスを導入することが可能となっている。
【0083】次に、上記図4及び図5に示す装置を使用
した第二の実施形態の方法について説明する。まず、H
SGを形成し、この上に上層P:a−Si膜を形成する
工程までは、前述した第一の実施形態の方法と同様であ
る。ここまでの工程は、図4に示す第一処理チャンバー
71で行われる。そして、第一処理チャンバー71から
基板9を搬送ロボット61によって取り出し、第二処理
チャンバー72に搬送する。そして、リフトピン5の昇
降により、基板9はサセプタ3に載置される。基板9
は、ヒータ725の熱によって170℃程度に加熱され
る。第二処理チャンバー72内は、第一排気系721の
ターボ分子ポンプ723によって1×10-5Pa程度ま
で予め排気されている。
【0084】そして、バルブ720によってドライポン
プ724による排気に切り替えた後、Ta有機化合物ガ
スとしてTa(OCH35又はTa(OC255 ガス
を5SCCMの流量で導入する。処理空間の圧力はドラ
イポンプ724によって1mTorr程度に維持し、基
板9の表面にTa25膜を8〜12nm程度の厚さで形
成する。この際、加熱空間は、図1に示す装置の場合と
同様に、第二排気系722によって処理空間よりも高い
圧力になるように排気されている。従って、Ta有機化
合物ガスがヒータ725などに到達して薄膜を堆積させ
ることはない。
【0085】次に、Ta有機化合物ガス導入系727の
動作を止めてTa25膜の成長を停止させた後に、酸素
ガス導入系728を動作させ、オゾン発生器729を使
用しながらオゾン含有酸素ガスを導入する。同時に、ヒ
ータ725による基板9の加熱温度を上昇させ、基板9
の温度を800℃とする。この結果、堆積したTa25
膜中に十分な量の酸素が供給される。そして、この加熱
によって、Ta25膜の下側のHSG内に残っていたア
モルファス状態のシリコンが結晶化し、HSGは完全に
ポリシリコンとなる。
【0086】その後、ヒータ725による基板9の加熱
を停止し、第一排気系721の排気をターボ分子ポンプ
723に切り替えて処理空間を5×10-5Pa以下まで
排気する。その後、リフトピン5を昇降させ、ゲートバ
ルブ60を開いて搬送ロボット61によって基板9を第
二処理チャンバー72から取り出す。
【0087】次に、上述のように作成したTa2O5膜の
上にTiSiN膜を作成し、キャパシタの上部電極とす
る。TiSiN膜の作成は、TiCl4 ガス、SiH4
ガスおよびN2 ガスを用いたプラズマCVD法により行
う。即ち、処理チャンバー内にTiCl4 ガス、SiH
4 ガスおよびN2 ガスを混合させて導入し、処理チャン
バー内を所定の真空圧力に保ちながら、高周波放電等に
よりプラズマを形成する。プラズマ中では、各原料ガス
の分解や合成等が生じ、基板9の表面にTiSiN膜が
堆積する。TiSiN膜が上部電極となり、これによっ
てキャパシタが完成する。
【0088】このような第二の実施形態の方法により実
際にキャパシタを製作したところ、SiNO膜を誘電体
膜として堆積させた第一の実施形態の方法によるキャパ
シタと同等のTDDB特性を示した。そして、キャパシ
タの容量は、さらに改善され、34fFが確保できるこ
とが判った。上述した第二の実施形態の方法では、HS
G形成とTa25膜作成とを真空中で連続して成膜でき
る複合型の基板処理装置を使用しているが、この点は、
前述した通り、HSGの燐濃度低下を防止するための構
成として、HSGの上に上層P:a−Si膜を堆積させ
るという本実施形態の方法を採用することで初めて可能
となっている。
【0089】HSGにおける燐濃度の低下を防止する方
法として、前述したHSG形成後の燐の追加拡散を行う
方法によると、HSG形成後に基板9を780℃という
高温に晒すことから、HSGの変形を防止するため、H
SG形成後に基板9を大気に取り出して表面に酸化膜を
形成する必要がある。燐の追加拡散を行う加熱炉に酸素
導入機能を持たせて加熱炉中で酸化膜を形成する方法も
考えられるが、この方法でも、燐の追加拡散後は、基板
9を大気に取り出して酸化膜を溶液で除去した後に、誘
電体膜の作成を行う必要がある。いずれにしても、HS
G形成後に600℃を越える高い温度に基板9を維持す
る必要がある方法では、HSG形成と誘電体膜作成との
基板9を大気に取り出さなくてはならない。このような
大気への基板9の取り出しがあると、基板9中に汚損物
質が混入する可能性が高くなって品質上の問題が生じ
る。また、工数が増えるので、生産性上の問題もある。
【0090】一方、本実施形態の方法によれば、HSG
における燐濃度の低下を補償するため構成として、HS
G形成後にさらに上層P:a−Si膜を堆積させるとい
う構成を採るので、HSG形成後に基板9を600℃を
越える高い温度に晒す必要がなく、従って、HSG変形
防止のための表面酸化膜の形成も不要である。このた
め、上述したようにHSGの形成とTa25膜作成とを
真空中で連続して行うことができるのである。
【0091】従って、本実施形態の方法によれば、下部
電極と誘電体層との界面等における品質劣化の問題や工
数増加による生産性低下等の問題が抑制される。前述し
たHSG形成後に燐を追加拡散させる構成では、図4及
び図5の装置を使用することは事実上不可能であり、こ
のような効果は望めない。尚、Ta25膜作成後はTa
25膜自体がHSGの表面形態の変化を防ぐため、前述
した800℃の酸素雰囲気アニールのような高温処理を
しても差し支えない。尚、上部電極であるTiSiN膜
の作成のためのプラズマCVDを行う装置は、図4及び
図5に示す装置とは別の装置とし、基板9をいったん大
気に取り出してからTiSiN膜の作成を行うようにし
てもよいが、図4に示す処理チャンバー7の一つを、上
記プラズマCVDを行う構成としてもよく、この方が誘
電体層と上部電極との界面等における品質劣化が同様に
防止できるので好適である。
【0092】HSGやアモルファスシリコン膜の表面の
燐濃度の低下を抑制する方法は、他にも考えられる。一
つは、下部電極923の基盤であるP:a−Si膜を形
成するときに予め燐濃度を高くする手法である。具体的
には、燐濃度を5×1020cm-3に高めたP:a−Si
膜を作成する。HSG形成中に燐濃度が低下してもまだ
十分な濃度を維持できるようにするとの考え方である。
しかしながら、燐を2×1020cm-3よりも高濃度で添
加すると、燐はアモルファスシリコン中で偏析し、シリ
コン原子の移動を阻害する作用がある。この結果、HS
Gの形成が阻害され、HSGができない平坦な面が出現
する。従って、HSGによる容量倍増の効果が期待でき
なくなってしまう。
【0093】燐濃度低下を防止する別の方法として、S
26ガスを導入してP:a−Si膜表面にHSGの元
になる結晶核を形成する際、同時にPH3 ガスも導入す
る方法がある。しかしながら、この方法を用いると、H
SGのグレイン直径が小さく、また、グレインの数密度
が低下してしまう。これは、P:a−Si膜の表面に吸
着した燐原子がシリコン原子の移動を阻害してHSG形
成に影響を与えるためである。また、PH3 ガスの導入
だけの場合、HSG形成に適した基板9の加熱温度を大
きく越える高い温度に基板9を加熱しない限り、表面か
らの燐の拡散は極めて不十分で効果は期待できない。
【0094】一方、上述した各実施形態の方法は、既に
HSGが形成された後に上層P:a−Si膜を作成する
ものである。従って、HSGのグレイン直径が小さくな
ったりグレインの数密度が小さくなる問題は生じない。
そして、上層P:a−Si膜を燐の供給源として利用
し、その後の加熱処理によって上層P:a−Si膜から
HSG中に燐を追加拡散させる。従って、その効果は上
記PH3 ガスの導入のみの場合に比べて比較にならない
ものとなる。
【0095】より詳しく説明すると、上述した各実施形
態の方法において、HSGは、多結晶であり、双晶をと
もなった複数の結晶面を有する。従って、その上に作成
した上層P:a−Si膜が結晶化する際も、双晶をとも
なった複数の結晶面を有するポリシリコン層となる。単
結晶の場合には5×1018cm-3程度が燐添加濃度の限
界であるが、多結晶の場合はこれ以上の高い濃度で燐を
添加することができ、HSGの上層のポリシリコン層が
燐の豊富な供給源となる。即ち、上層のポリシリコン層
から効率的に下層のHSGに燐が拡散し、HSGの燐濃
度を上昇させる。また、多結晶のために取り込まれた燐
はシリコンと安定に結合していて容易に再蒸発しないこ
とも、HSGの燐濃度の向上に貢献している。
【0096】尚、HSGの形成機構は前に述べた通りで
あるが、当然のことながら、「HSG」が物理的に完全
な半球状のグレインのみからなるものに限定されないこ
とは明らかである。半球状の場合もあるし、1/3の球
状の場合もあるし、3/4の球状の場合もある。また、
半楕円状になることもあるであろうし、丸みを帯びた直
方体状になることもある。要は、最初に形成された結晶
核にシリコン原子が集まって結晶成長した結果、微細で
複雑な凹凸形状が形成されていれば、すべてHSGと呼
び得る。
【0097】また、HSGを形成する際の基板9の加熱
温度については、前述した例では590℃であったが、
物理現象であるゆえ、これに限定されるものではないこ
とは明らかである。発明者の研究によると、530℃〜
650℃の範囲の温度でHSGを形成できることが確認
されている。尚、HSG形成の前の結晶核を作るための
シリコン水素化合物ガスの供給の際の基板9の温度は、
シリコン水素化合物ガスを基板9の表面で分解するに必
要な温度である。従って、HSG形成の際の温度と同じ
でもよいが、530〜650℃程度の範囲で適切に定め
れば良い。これは、上層P:a−Si膜を形成する際の
温度についても同様である。
【0098】さらに、シリコン水素化合物ガスの例とし
ては、モノシラン(SiH4 )やジシラン(Si26
が挙げられたが、トリシラン(Si38)等を使用して
もよい。同様に、前述したホスフィン(PH3 )の以外
の燐化合物ガスでも実施可能である。また、HSG形成
の際やその後の加熱処理では、基板9は真空雰囲気に配
置されたが、この一つの理由は基板9の酸化を防止する
ためである。従って、酸化物質の存在しない雰囲気例え
ばアルゴン等の不活性ガスの雰囲気であれば、真空でな
い雰囲気で基板9を処理して良い場合もある。尚、上記
説明では、HSGを形成する電極は下部電極であった
が、本願の発明はこれに限定されるものではない。例え
ば、一対の電極が横に並びその間に誘電体層が形成され
る構成では、上部電極,下部電極の区別はなく、いずれ
か一方にHSGを形成すれば良い。
【0099】
【発明の効果】以上説明した通り、本願の各請求項1の
発明によれば、キャパシタの一方の電極を構成するHS
Gの燐濃度が高くなるので、DCバイアス印加時の空乏
層の出現が抑制される。従って、DCバイアス印加時の
電荷蓄積容量の低下が低く抑えられHSG形成による電
荷蓄積容量の倍増効果が損なわれることがない。このた
め、益々高集積度化,高記憶容量化するメモリデバイス
の製造に適した非常に優れた方法となる。また、請求項
2の発明によれば、上記請求項1の発明の効果に加え、
より高い誘電率酸化を持つTa25膜が誘電体層として
作成されるので、さらに電荷蓄積容量を高くすることが
できる。また、作成されたTa25膜は、HSGの形状
変化を抑制してHSGの形状を固定する作用があるの
で、後の工程で高温処理する場合も、基板を大気に取り
出して表面に酸化膜を形成させる必要がない。また、請
求項3の発明によれば、上記請求項2の発明の効果に加
え、Ta25膜が電極の上に真空中で連続して作成され
るので、電極とTa25膜との界面における汚損等が防
止される。従って、良質なメモリデバイスの製造に貢献
できる。また、請求項4の発明によれば、上記請求項3
の効果に加え、誘電体層としてのTa25膜の上に他方
の電極が真空中で連続して作成されるので、Ta25
と他方の電極との界面における汚損等が防止される。従
って、さらに良質なメモリデバイスの製造に貢献でき
る。また、請求項5の発明によれば、上記請求項1の発
明と同様の効果に加え、キャパシタの誘電体層を成す誘
電体膜を前記別の燐添加シリコン膜の上に真空中で連続
して形成することができるので、下部電極と誘電体層と
の界面における汚損等が防止される。従って、良質なメ
モリデバイスの製造に貢献できる。さらに、請求項6の
発明によれば、上記請求項5の発明の効果に加え、より
高い誘電率酸化を持つTa25膜が誘電体層として作成
されるので、さらに電荷蓄積容量を高くすることができ
る。また、作成されたTa25膜は、HSGの形状変化
を抑制してHSGの形状を固定する作用があるので、後
の工程で高温処理する場合も、基板を大気に取り出して
表面に酸化膜を形成させる必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第一の実施形態の方法に使用される
基板処理装置の正面断面概略図である。
【図2】実施形態の方法により製作されたキャパシタの
下部電極の表面を拡大して図示したものである。
【図3】TDDB特性が改善される理由について説明す
る図である。
【図4】本願発明の第二の実施形態の方法に好適に使用
される基板処理装置であって請求項5及び請求項6の発
明の実施形態の装置の平面概略図である。
【図5】図4に示す基板処理装置の第二処理チャンバー
72の構成を示す正面概略図である。
【図6】HSGの形成メカニズムについて説明した図で
ある。
【図7】HSGを形成した円筒形の下部電極を有するキ
ャパシタの製作工程について説明する図である。
【図8】キャパシタの容量低下の原因についての説明図
である。
【図9】従来の方法の問題を確認したTDDBテストの
結果を示した図である。
【図10】HSGを形成したキャパシタの絶縁耐圧の低
下の原因について説明した図である。
【図11】HSG構造とTa25膜を組み合わせた際の
問題点を説明した図である。
【符号の説明】
6 セパレーションチャンバー 60 ゲートバルブ 61 搬送ロボット 71 第一処理チャンバー 72 第二処理チャンバー 9 基板 904 グレイン 906 誘電体膜 909 上層P:a−Si膜 923 下部電極
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年1月12日(1999.1.1
2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】しかしながら、セル占有スペースが低下す
ると、セルを構成するキャパシタの電極面積が減少し、
必要な電荷蓄積容量が得られない問題がある。即ち、キ
ャパシタへの電荷の蓄積によって情報の記憶を行うメモ
リデバイスでは、必要な電荷蓄積容量が確保される必要
があり、電荷蓄積容量を示すキャパシタンスCは、 C=ε(φ)・ε(di)・S/d…(1) で表される。ε(φ)は真空の誘電率、ε(di)は誘電体層
の比誘電率、Sはキャパシタ電極面積、dは誘電体層の
厚さである。この式(1)から分かるように、電荷蓄積
容量Cはキャパシタ電極面積Sに比例する。しかしなが
ら、上述したセル占有スペースが小さくなると、充分な
キャパシタ電極面積が確保できずに、必要とされる電荷
蓄積容量が得られない問題がある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】次に、P:a−Si膜922で形成された
下部電極923の表面を清浄にするため、基板9を希釈
フッ酸溶液で洗浄する。即ち、HF/H2O =1/50
0の希釈フッ酸溶液に基板9を10分間浸し、その後、
水洗、乾燥する。この結果、P:a−Si膜922の表
面の酸化膜等が除去され、清浄な表面が露出する。そし
て、この基板9を直ちに真空装置に搬入し、背圧1×1
-6Paに排気された真空チャンバー内に配置する。そ
して、ヒータによって基板9を加熱して590℃まで昇
温させた後、Si26ガスを12SCCMで1分間供給
する。この結果、P:a−Si膜922の表面に前述し
たような結晶核が形成される。尚、SCCMは、0℃一
気圧で換算した一分あたりの流量(cm3 )である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、発明者
の研究によると、上述した従来の方法では、幾つかの重
大な問題があることが判明した。以下、この点について
説明する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】(2)式のCの大きさを、もとの容量であるC(d
i)と比較するため、C-C(di)の正負について検討する。
式(2)より、 C-C(di)={C(di)・C(de)/(C(di)+C(de))}-C(di)…(3) となる。C(di)で割っても正負は変わらないため、式(3)
をC(di)で割ると、(C-C(di)) /C(di)={-C(di)/(C(di)+C(de))}…(4) となる、式(4)の右辺は明らかに負であり、従って、C<C
(di)、即ち、空乏層934が出現した際の全体の容量
は、出現する以前に比べて低下する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】空乏層934の厚さwについて、誘電体層
933が酸化シリコンである場合を例にして試算してみ
る。それぞれの容量は、 C(SiO2)=ε(φ)・ε(SiO2)・S/d…(5) C(Si)=ε(φ)・ε(Si)・S/w…(6) 上式で、ε(SiO2)は酸化シリコンの比誘電率、ε(Si)は
空乏層(シリコン)の比誘電率である。空乏層厚wは、D
Cバイアス電圧に依存する。DC電圧−2Vをかけたと
きの全体の容量C(-2V)が、電圧0Vのときの全体の容量C
(0V)の85%に減少したとすると、 C(-2V)=0.85・C(SiO2) であり、これが合成容量に等しいから、 0.85・C(SiO2)=1/(1/C(SiO2)+1/C(Si)) となる。この式から、 C(Si)/C(SiO2)=5.7 となり、空乏層934が形成する容量は誘電体層933
の5.7倍であることがわかる。ε(Si)は11.7、ε
(SiO2)は3.9であるから、誘電体層933の厚さを
5.5nmとして式(5)(6)に代入し、式(6)/式(5)を行
うと、 5.7=(ε(SiO2)/d)/(ε(Si)/w) より、 w=2.91 となり、空乏層厚934の厚さwは2.91nm程度と
計算される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】さて、前述したHSGを形成する従来のプ
ロセスでは、HSGの結晶核を形成するために、真空中
で590℃に加熱しながら、Si26ガスを12SCC
供給している。そして、HSGを形成するため、引き
続いて同様の温度でアニール処理している。このような
高温処理の最中に、P:a−Si膜の表面から燐が真空
中に蒸発すると考えられる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】加えて、Si26ガスを供給して結晶核を
形成する際、P:a−Si膜の表面にはSi26ガスの
分解によりシリコン膜が堆積する。このシリコン膜は、
燐を含まない層である。後のアニールによって下層から
燐が拡散するものの、その濃度は低く、従って、形成さ
れたHSGの表面の燐濃度は低下する傾向にあるものと
考えられる。これらのことから、前述した空乏層の出現
が引き起こされていると考えられる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】HSGを形成したキャパシタの絶縁耐圧の
低下の一つの原因は、HSGを構成する各グレイン間の
底部の部分で誘電体膜の厚さが薄くなっているためであ
と考えられる。HSGの形成は、前述した通り、アモ
ルファスシリコン膜中のシリコン原子を取り込みながら
グレインを成長させるメカニズムである。従って、グレ
インが成長すればその近傍のアモルファスシリコン層は
シリコン原子が奪われる。その結果、図10に示すよう
に各グレイン904の根元の両側にくびれが生じる。く
びれが生ずると、各グレイン904間の底の部分にさら
に凹部(以下、くびれ凹部と呼ぶ)905が形成され
る。このくびれ凹部905は、図10に示すように、開
口幅よりも内部空間の方が少し大きい形状である。開口
の幅L1は100〜200オングストローム程度で、内
部空間の幅L2は150〜250オングストローム程度
と想像される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】前述したように、誘電体層には減圧CVD
法により作成されたSiNO膜等が使用されるが、誘電
体膜を作成する際、上述したような深いところに形成さ
れるくびれ凹部905の内部には原料ガスが充分に到達
せず、図10に示すようにくびれ凹部905内では誘電
体膜906の膜厚が薄くなる傾向にあるものと考えられ
る。膜厚が薄くなると、周知のように絶縁耐圧が低下す
る。図9に示すTDDB特性の低下は、このくびれ凹部
905内での誘電体膜906の薄いところでの絶縁破壊
に一つの原因があるものと推定される。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】ところが、発明者の研究によると、HSG
構造とTa25 膜の組み合わせには、意外な欠点がある
ことがわかった。図11は、HSG構造とTa25膜を
組み合わせた際の問題点を説明した図である。前述した
SiNO膜は、比較的膜厚が薄くても充分な絶縁耐圧を
有し、誘電率についても比較的膜厚が薄くても期待され
た値が得られる。一方、Ta25膜は、SiNO膜より
高い誘電率を有する材料ではあるが、必要な絶縁耐圧や
期待された誘電率を得るためには、比較的膜厚を厚くす
る必要がある。より具体的に説明すると、SiNO膜は
5〜6nmの厚さで足りるが、Ta25膜は10nm程
度の厚さとする必要がある。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】この図1に示す装置はコールドウォール型
の装置であり、処理チャンバー1の器壁には不図示の水
冷機構が付設されている。また、二つの排気系11,1
2のうち一方の排気系(以下、第一排気系)11は、基
板9が配置されて処理される空間(以下、処理空間)を
排気するものである。また、他方の排気系(以下、第二
排気系12は、加熱のためのヒータ4が配置された空間
(以下、加熱空間)を排気するものである。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】サセプタ3は、処理チャンバー1の底面に
固定された台状のものであり、上面に基板9が載置され
る。サセプタ3の内部には、昇降可能なリフトピン5が
設けられている。リフトピン5の下端はピン支持板52
に固定されている。ピン支持板52は、大気側に設けら
れた昇降駆動源51によって上下動するようになってお
り、これによってサセプタ3の上面に設けられた穴を通
してリフトピン5が昇降するようになっている。基板9
をサセプタ3に載置する際には、リフトピン5が上昇し
てサセプタ3の上面から突出し、基板9がリフトピン5
の上に載った後にリフトピン5が下降する。リフトピン
5の上部は、サセプタ3に設けた凹部に退避し、基板9
がサセプタ3の上面に載置される。また、ピン保持板5
2は、ベローズ53を介して処理チャンバー1の底面の
開口の縁に気密に接続されている。従って、サセプタ5
内の空間に真空漏れが生ずることは無くなっている。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正内容】
【0070】また尚、本実施形態の方法で使用された装
置は、バッチ式装置ではなく枚葉式装置である。そし
て、リフトピン5によって上昇した基板9を搬送する不
図示の搬送ロボットを備えている。この点は、上層P:
a−Si膜を作成した後に直ちに搬送ロボットが基板9
を保持して搬送することによりその温度を急速に下げる
ことができることになり、P:a−Si膜から再び燐が
蒸発することが防止されている。この点も、燐濃度を増
加させる空乏化の抑制に大きく貢献している。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正内容】
【0075】表1は、HSGの有無、従来の製法か本実
施形態の製法か、さらに、誘電体膜の厚さによって、キ
ャパシタの容量がどのようになるかを比較したものであ
る。表1では、HSG無しの単純な筒形のキャパシタの
容量を1とし、これに対する比率で容量が示されてい
る。
【表1】表1から解る通り、総合的にキャパシタ性能を
比較すれば、本実施形態の方法によるとともに誘電体膜
厚を5nmとしたキャパシタが、良好な絶縁破壊特性を
維持しつつ最も容量が大きいことが分かった。キャパシ
タの絶縁破壊は、文字どおりキャパシタの永久破壊を引
き起こしてメモリセルの機能を不能化するとともに、大
きなリーク電流が流れつづけることによってメモリデバ
イス全体の機能を低下もしくは停止させる極めて深刻な
事態を引き起こす。よって、絶縁破壊特性の向上はHS
Gをメモリデバイスに用いるための最も重要な課題の一
つである。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正内容】
【0079】また、セパレーションチャンバー6内に
は、搬送ロボット61が設けられており、いずれか一方
のロードロックチャンバー8から基板9を一枚ずつ取り
出し、各処理チャンバー7,71,72に送って順次処
理を行うようになっている。そして、最後の処理が終了
した後、いずれか一方のロードロックチャンバー8に戻
すようになっている。また、ロードロックチャンバー8
内のロック内カセットと外部カセット82との間で基板
9を搬送するオートローダ81が設けられている。尚、
前述した図1に示す装置も、図4に示すのと同様のマル
チチャンバータイプの装置として構成されると好適であ
る。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正内容】
【0082】また、ガス導入手段726は、Ta有機化
合物ガス導入系727と、酸素ガス導入系728とを備
えている。Ta有機化合物ガス導入系727は、Ta
(OCH35,Ta(OC255 のようなタンタルと
酸素を含有した有機物化合物ガスを導入するようになっ
ている。Ta有機化合物ガス導入系727の配管や流量
調整器などは150℃程度に加熱されており、Ta有機
化合物ガスをこの程度の温度に加熱した状態で導入する
ようになっている。また、酸素ガス導入系728は、酸
素ガスを導入する配管にバイパスさせて設けた補助配管
上にオゾン発生器729を備えている。このため、酸素
ガス導入系728は、0〜3%程度のオゾンを含有した
酸素ガスを導入することが可能となっている。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正内容】
【0084】そして、バルブ720によってドライポン
プ724による排気に切り替えた後、Ta有機化合物ガ
スとしてTa(OCH35又はTa(OC255 ガス
を5SCCMの流量で導入する。処理空間の圧力をドラ
イポンプ724によって1mTorr程度に維持し、基
板9の表面にTa25膜を8〜12nm程度の厚さで形
成する。この際、加熱空間は、図1に示す装置の場合と
同様に、第二排気系722によって処理空間よりも高い
圧力になるように排気される。従って、Ta有機化合物
ガスがヒータ725などに到達して薄膜を堆積させるこ
とはない。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正内容】
【0087】次に、上述のように作成したTa25 膜の
上にTiSiN膜を作成し、キャパシタの上部電極とす
る。TiSiN膜の作成は、TiCl4 ガス、SiH4
ガスおよびN2 ガスを用いたプラズマCVD法により行
う。即ち、処理チャンバー内にTiCl4 ガス、SiH
4 ガスおよびN2 ガスを混合させて導入し、処理チャン
バー内を所定の真空圧力に保ちながら、高周波放電等に
よりプラズマを形成する。プラズマ中では、各原料ガス
の分解や合成等が生じ、基板9の表面にTiSiN膜が
堆積する。TiSiN膜が上部電極となり、これによっ
てキャパシタが完成する。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正内容】
【0094】一方、上述した各実施形態の方法は、既に
HSGが形成された後に上層P:a−Si膜を作成する
ものである。従って、HSGのグレイン直径が小さくな
ったりグレインの数密度が低くなる問題は生じない。そ
して、上層P:a−Si膜を燐の供給源として利用し、
その後の加熱処理によって上層P:a−Si膜からHS
G中に燐を追加拡散させる。従って、その効果は上記P
3 ガスの導入のみの場合に比べて比較にならないもの
となる。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年1月20日(1999.1.2
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図10】
【図11】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二つの電極の間に誘電体層を介在させた
    構造のメモリセル用キャパシタを製作する方法であっ
    て、 表面が清浄化された燐添加アモルファスシリコン薄膜を
    真空雰囲気又は酸化物質の存在しない雰囲気で所定の温
    度に加熱しながらその燐添加アモルファスシリコン薄膜
    の表面に所定量のシリコン水素化合物ガスを供給し、引
    き続いてその燐添加アモルファスシリコン薄膜を530
    ℃〜650℃でアニール処理をして、半球状の結晶粒群
    であるHSGを形成する第一の工程と、この第一の工程
    の後、シリコン水素化合物ガスと燐化合物ガスとを混合
    してHSGの表面に供給してHSGの表面に別の燐添加
    シリコン膜を作成する第二の工程とを含むプロセスによ
    って前記二つの電極のうちの一方の電極を形成すること
    を特徴とするメモリセル用キャパシタの製作方法。
  2. 【請求項2】 前記プロセスの後、前記別の燐添加シリ
    コン膜の表面にタンタル及び酸素を含むガスを供給して
    当該表面にTa25膜を堆積させて前記誘電体層とする
    ことを特徴とする請求項1記載のメモリセル用キャパシ
    タの製作方法。
  3. 【請求項3】 前記Ta25膜の作成は、前記別の燐添
    加シリコン膜の表面を大気に晒すことなく、当該表面に
    タンタル及び酸素を含むガスを供給して行うことを特徴
    とする請求項2記載のメモリセル用キャパシタの製作方
    法。
  4. 【請求項4】 前記Ta25膜を堆積させて前記誘電体
    層とした後、当該Ta25膜の表面を大気に晒すことな
    く、当該表面の上に他方の電極を形成することを特徴と
    する請求項3記載のメモリセル用キャパシタの製作方
    法。
  5. 【請求項5】 真空に排気されることが可能な複数の処
    理チャンバーと、処理チャンバー間で基板を大気に取り
    出すことなく真空中で搬送することが可能な搬送ロボッ
    トとを備えた枚葉式の基板処理装置であって、 前記複数の処理チャンバーのうちの一つの処理チャンバ
    ーは、表面に燐添加アモルファスシリコン膜が堆積しそ
    の燐添加アモルファスシリコン膜の表面が清浄化されて
    いる基板のその表面にシリコン水素化合物ガスを供給し
    た後に基板を所定温度に加熱して半球状の結晶粒群であ
    るHSGを形成させるとともに、シリコン水素化合物ガ
    スと燐化合物ガスの混合ガスをHSGの表面に供給して
    HSGの表面に別の燐添加シリコン膜を堆積させること
    が可能であり、 前記複数の処理チャンバーのうちの別の一つの処理チャ
    ンバーは、キャパシタの誘電体層を成す誘電体膜を前記
    別の燐添加シリコン膜の上に形成することが可能である
    ことを特徴とする基板処理装置。
  6. 【請求項6】 前記別の一つの処理チャンバーは、前記
    誘電体膜としてTa25膜を作成するものであることを
    特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
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