JP2000198992A - 合成樹脂材を含む粒状物、その製造方法および粒状物の炉への吹き込み方法 - Google Patents

合成樹脂材を含む粒状物、その製造方法および粒状物の炉への吹き込み方法

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JP2000198992A JP31301699A JP31301699A JP2000198992A JP 2000198992 A JP2000198992 A JP 2000198992A JP 31301699 A JP31301699 A JP 31301699A JP 31301699 A JP31301699 A JP 31301699A JP 2000198992 A JP2000198992 A JP 2000198992A
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高炉吹込み時にタンク、配管で詰まる原因と
なるフラフ状異物を発生させない、合成樹脂材を含む表
面が溶融固化した粒状物、その製造方法および粒状物の
炉への吹き込み方法を提供する。 【解決手段】 50〜300℃の範囲内の融点を有する
成分を10%以上含有している合成樹脂材を含む表面が
溶融固化した粒状物を気送して、炉に吹き込む、粒状物
の炉への吹込み方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック特に
紙含有プラスチックフィルム等の合成樹脂類を高炉やス
クラップ溶解炉等の炉の吹込み燃料として使用する際
の、合成樹脂材を含む表面が溶融固化した粒状物、その
製造方法および粒状物の炉への吹き込み方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、産業廃棄物や一般廃棄物としての
プラスチック等の合成樹脂類が急増しており、その処理
が大きな社会問題となっている。なかでも高分子系の炭
化水素化合物であるプラスチックは燃焼時に発生する熱
量が高く、焼却処理した場合に焼却炉を傷めるために大
量処理が困難であり、その多くがごみ埋め立て地等に投
棄されているのが現状である。しかし、プラスチック等
の投棄は環境対策上好ましくなく、その大量処理方法の
開発が切望されている。
【0003】このような背景の下、プラスチック等の合
成樹脂類を高炉等の補助燃料として用いる方法が提案さ
れている。これらの方法は、合成樹脂の粉砕物を羽口等
から高炉内に燃料として吹き込むもので、例えば前者に
おいては、炉内に吹き込まれる合成樹脂粉砕物の実質的
な条件として、粒径1〜10mm、嵩密度0.35以上
という条件が示されている。
【0004】しかしながら、プラスチック等の合成樹脂
類を高炉等の吹込み燃料として使用する場合、次のよう
な解決すべき問題点があることが明らかとなった。産業
廃棄物や一般廃棄物として廃棄されるプラスチックを形
態別に見た場合、概ね板材等の塊状プラスチックとフィ
ルム状プラスチックとに大別され、このうち後者のフィ
ルム状プラスチックも廃棄プラスチック全体の中で相当
量を占めている。しかしフィルム状のプラスチックの粉
砕物は搬送性や流動性が極めて悪く、燃料として用いる
際の取り扱いに大きな問題があることが判明した。
【0005】従って、このような問題を解決しない限り
フィルム状プラスチックを高炉等の吹込み燃料として使
用することは事実上不可能であり、さらにはフィルム状
プラスチックが廃棄プラスチック全体の中で相当の割合
を占める状況を考慮すると、フィルム状プラスチックの
利用を可能としない限り、廃棄物たるプラスチックの大
量処理と有効利用というメリットが失われることは明ら
かである。
【0006】また、高炉に燃料としてプラスチックを吹
き込むためには、燃焼性等を確保するため粉砕処理した
プラスチックを用いる必要があるが、処理コストの面か
ら、粉砕できる粒径には限度があり、このため従来技術
に示されるように粒径1〜10mm程度が細粒化の限界
となる。しかし、塊状プラスチックをこの程度の粒径に
粉砕したものは高炉内での燃焼性が十分に得られない場
合があり、このため未燃焼のプラスチックがベットコー
クス内で融着して炉内の通気性を著しく阻害し、高炉の
操業に支障をきたす恐れがある。
【0007】さらに、塊状プラスチックを破砕処理した
ものは不規則で角ばった形状をしているため、1〜10
mm程度の粒径のものでは貯留サイロから切り出す際の
排出性や高炉に気送する際の流動性、搬送性が悪く、サ
イロの切出部や気送管系の途中で詰まりを生じ易いとい
う問題もあることが判明した。したがって、従来技術で
提案されているように単にプラスチックを1〜10mm
程度の粒径に粉砕して嵩密度の高い粒状体に加工し、こ
れを高炉に吹き込むということだけでは、廃棄物たるプ
ラスチックを工業規模で高炉等の吹込み燃料として利用
することは極めて難しい。
【0008】
【発明が解決しょうとする課題】上述した問題点を解決
するために、特開平09−137926号公報(以下、
「先行技術1」という)に炉への燃料吹込み方法が開示
されている。特開平09−137926号公報に開示さ
れている方法によると、廃棄合成樹脂類中のフィルム状
合成樹脂材の存在が合成樹脂類の炉燃料としての利用を
事実上不可能にしていることを指摘した上で、燃料に供
すべき合成樹脂類を、フィルム状合成樹脂類を主体とす
る合成樹脂類とそれ以外の合成樹脂類とに分別された状
態で加工処理設備に受け入れ、これらをそれぞれ異なる
工程で気送用固体燃料に適した粒状物に加工し、この加
工後の粒状合成樹脂を炉に気送する。
【0009】しかしながら、先行技術1によると、フィ
ルム状合成樹脂材に紙、ダンボール等の溶融しない成分
が混入する(特に、10%以上)と、高炉吹込み時に、
タンク、配管で詰まる原因となるフラフ状異物が減容固
化で生じる。また、融点の異なるフィルムの混合物でも
同様に、フラフ状異物が減容固化で生じる。その結果、
高炉吹込み時に、タンク、配管で詰まりが生じるという
問題点がある。
【0010】更に、特開平10−102110号公報
(以下、「先行技術2」という)に竪型炉への可燃性廃
棄物の吹込み方法が開示されている。特開平10−10
2110号公報に開示された方法によると、レースウェ
イ内におけるコークスや種々の補助燃料の燃焼状況を観
察、検討した結果、一定以上の粒径を有し強度の大きい
固形燃料の場合、レースウェイ内でコークスと同様に燃
焼効率よく燃焼させることが可能であることを指摘した
上で、粒径が10mm以上の可燃性廃棄物を、銑鉄を製
造する竪型炉のレースウェイ内へ送風羽口を介して吹き
込み燃焼している。
【0011】しかしながら、先行技術2によると、合成
樹脂含有率50%未満の可燃性廃棄物の成型、吹込みで
は、成型粒が崩壊し易く、先行技術1と同様に、フラフ
状異物が発生し易くなり、高炉吹込み時に、タンク、配
管で詰まりが生じるという問題点がある。
【0012】従って、この発明の目的は、従来の問題点
を解決して、フィルム状合成樹脂材に紙、ダンボール等
の溶融しない成分が10%以上混入した場合、合成樹脂
含有量50%未満の場合においても、高炉吹込み時にタ
ンク、配管で詰まる原因となるフラフ状異物を発生させ
ない、合成樹脂材を含む表面が溶融固化した粒状物、お
よび、粒状物の炉への吹き込み方法を提供することにあ
る。更にこの発明の目的は、溶融しない成分および融点
の異なる複数の成分からなる合成樹脂を一度に処理する
ことができる生産性の高い、合成樹脂材を含む表面が溶
融固化した粒状物の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した従
来技術の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結
果、50〜300℃の範囲内で異なる融点を有する複数
の成分からなるプラスチック等の合成樹脂材が10%以
上含有されるように、紙等の溶融しない成分を含む原料
を調製し、このように調製された原料を、すりつぶし、
および、圧縮押し出し工程を含むリングダイ式造粒機に
よって、合成樹脂材を含む表面が溶融固化した粒状物を
製造すると、粒状物は、紙等の溶融しない成分は圧密さ
れて中心部を形成し、溶融する成分が表面に溶融固化さ
れた状態になり、その結果、粒状物を高炉羽口に吹き込
むと、タンク、配管で詰まる原因となるフラフ状異物を
発生させないことを知見した。
【0014】この発明は、上記知見に基づいてなされた
ものであって、この発明の粒状物の第1の態様は、合成
樹脂材を含む表面が溶融固化した粒状物である。
【0015】この発明の粒状物の第2の態様は、合成樹
脂材を含む表面が溶融固化した、炉吹込み用粒状物であ
る。
【0016】この発明の粒状物の第3の態様は、前記合
成樹脂材は、50〜300℃の範囲内の融点を有する成
分を10%以上含有していることを特徴とするものであ
る。
【0017】この発明の粒状物の第4の態様は、前記合
成樹脂材は、紙含有フィルム状プラスチックを含有する
ことを特徴とするものである。
【0018】この発明の粒状物の第5の態様は、前記粒
状物は、圧密され嵩密度が高い中心部材と前記中心部材
を覆う溶融固化している表面部材とからなることを特徴
とするものである。
【0019】この発明の粒状物の第6の態様は、前記粒
状物の粒径が40mm以下であることを特徴とするもの
である。
【0020】この発明の粒状物の第7の態様は、圧縮成
型によって製造された粒状物である。
【0021】この発明の粒状物の第8の態様は、前記圧
縮成型がリングダイ式造粒機によって行われることを特
徴とするものである。
【0022】この発明の粒状物の炉への吹込み方法の第
1の態様は、合成樹脂材を含む表面が溶融固化した粒状
物を気送して、炉に吹き込むことを特徴とするものであ
る。
【0023】この発明の粒状物の炉への吹込み方法の第
2の態様は、前記合成樹脂材は、50〜300℃の範囲
内の融点を有する成分を10%以上含有していることを
特徴とするものである。
【0024】この発明の粒状物の炉への吹込み方法の第
3の態様は、前記合成樹脂材は、紙含有フィルム状プラ
スチックを含有することを特徴とするものである。
【0025】この発明の粒状物の炉への吹込み方法の第
4の態様は、前記炉が高炉であることを特徴とするもの
である。
【0026】この発明の粒状物の製造方法の第1の態様
は、50〜300℃の範囲内の融点を有するプラスチッ
ク等の合成樹脂材が10%以上含有されるように、原料
を調製し、このように調製された原料を、すりつぶし、
および、圧縮押し出し工程を含むリングダイ式造粒機に
よって、合成樹脂材を含む表面が溶融固化した粒状物を
製造することを特徴とするものである。
【0027】この発明の粒状物の製造方法の第2の態様
は、前記合成樹脂材は、紙含有フィルム状プラスチック
を含有することを特徴とするものである。
【0028】この発明の粒状物の製造方法の第3の態様
は、前記粒状物は、圧密され嵩密度が高い中心部材と前
記中心部材を覆う溶融固化している表面部材とからなる
ことを特徴とするものである。
【0029】この発明の粒状物の製造方法の第4の態様
は、前記粒状物の粒径が40mm以下であることを特徴
とするものである。
【0030】この発明の粒状物の製造方法の第5の態様
は、前記リングダイ式造粒機は、円周上に多数の穴があ
いた円筒形のダイリングと、そして、円筒形のダイリン
グとの間の摩擦で回転する複数のロールからなってお
り、前記粒状物は、前記原料を円筒形のダイリングと複
数のロールとの間ですりつぶされ、円筒形のダイリング
の穴から連続的に圧縮押し出され、所定の長さで切断さ
れて製造されることを特徴とするものである。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の合成樹脂材を含む表面が
溶融固化した粒状物、その製造方法および粒状物の炉へ
の吹き込み方法の1つの態様を詳細に説明する。図1に
本発明の合成樹脂材を含む表面が溶融固化した粒状物の
製造方法の概要を示す。この発明の合成樹脂を含む表面
が溶融固化した粒状物の製造方法において、製造される
粒状物は、融点が50〜300℃の範囲内にある成分
(例えば、ポリエチレンフィルム)(以下、「A」とい
う)、および、その他の非溶融成分(例えば紙)(以
下、「B」という)からなっている。Aは造粒中のすり
つぶし、圧縮押し出しの工程における摩擦熱によって半
溶融して、造粒後に固化されるので、粒の強度を高め、
崩壊しにくくなる。Bは上述した造粒中のすりつぶし、
圧縮押し出しの工程において、圧密され、粒の嵩密度を
向上させる。その結果、吹込み量が増大する。なお、A
は、融点が50〜300℃の範囲内で異なる複数の成分
からなっていてもよい。更に、好ましくは、上述した成
分の融点は100〜280℃の範囲内である。融点が1
00〜280℃の範囲内であるとき、粒の強度が十分高
まり、崩壊しにくくなる。
【0032】本発明においては、50〜300℃の範囲
内の融点を有する成分が10%以上含有されるように、
プラスチック等の合成樹脂材を配合する。その理由は、
このように配合したものを、すりつぶし、および、圧縮
押し出し工程を含むリングダイ式造粒機にて粒状物を製
造すると、粒状物は、圧密され嵩密度が高い中心部材と
中心部材を覆う溶融固化している表面部材とからなり、
例えば、中身が圧縮成型され表面が溶融固化している円
柱状の粒に成型され、その結果、成型粒を高炉羽口に吹
き込むと、タンク、配管で詰まる原因となるフラフ状異
物を発生させないからである。本発明において、上述し
た50〜300℃の範囲内の融点を有する成分は、好ま
しくは50%以上含有されている。
【0033】50〜300℃の範囲内の融点を有する成
分が10%未満の場合には、表面の溶融固化が不十分と
なり、成型された粒が崩壊して、タンク、配管で詰まる
原因となるフラフ状異物が発生してしまう。
【0034】粒状物の表面を溶融固化させる重要な理由
の1つに、粒状物の強度を上昇させることによって、粒
状物の燃焼効率を向上させることがある。即ち、粒状物
の表面が溶融固化すると、粒状物の強度が上昇する。粒
状物の強度が小さいときは、気送(搬送)中に、粒状物
が崩壊して、レースウエイの中に、崩壊した小さい形状
のまま送りこまれるので、レースウエイ中に滞留する時
間が極めて少なく、燃焼効率が悪くなってしまう。
【0035】更に詳細に述べると、羽口から吹き込まれ
た粒径の大きな合成樹脂材は、燃焼しつつ旋回状態でレ
ースウエイに長時間滞留して、ある程度小さくなるまで
その旋回状態を維持しつつレースウエイに滞留する。そ
の後、粒径がある程度小さくなると、レースウエイから
飛散していく。一方、粒径の小さな合成樹脂材は、羽口
から吹き込まれると、レースウエイに滞留することな
く、直ちに飛散してしまう。
【0036】一般的に、重力場あるいは遠心力場で流体
中を運動する粒子に作用する抵抗力が、粒子の推進力と
つりあったときの粒子速度が、いわゆる終末速度であ
る。羽口から吹き込まれた合成樹脂材のレースウエイ内
での終末速度が、このレースウエイ内から排出されるガ
スの流速よりも十分に大きい間は、この合成樹脂材は、
レースウエイから飛び出すことができず、この間、レー
スウエイ内を循環・滞留するので十分に燃焼することが
でき、合成樹脂材の燃焼効率が高くなる。上述したよう
に、本発明の合成樹脂材を含む表面が溶融固化した粒状
物は、高炉に吹き込まれたとき、強度が高いことに起因
して、その燃焼効率が高いことがわかる。
【0037】プラスチック等の合成樹脂材を配合して原
料を調製し、このように調製された原料を粒状物に製造
するときに用いるリングダイ式造粒機は、すりつぶし、
および、圧縮押し出し工程を含むものであればよい。例
えば、円周上に多数の穴があいた円筒形のダイリング
と、そして、円筒形のダイリングとの間の摩擦で回転す
る複数のロールからなっており、上述した原料を円筒形
のダイリングと複数のロールとの間ですりつぶし、円筒
形のダイリングの穴から連続的に圧縮押し出されるもの
であればよい。上述したすりつぶし、圧縮押し出しの工
程の間に、圧密され嵩密度が高い中心部材と中心部材を
覆う溶融固化している表面部材とからなる粒状物が製造
される。なお、粒状物の製造に際しては、連続的に圧縮
押し出されたものは所定の長さに切断される。所定の長
さは、40mm以下であり、好ましくは、15mm以下
である。
【0038】この発明の合成樹脂材は、紙含有フィルム
状プラスチックを含有するものであってもよい。即ち、
搬送性や流動性が極めて悪く、燃料として用いる際の取
り扱いに大きな問題のあるフィルム状プラスチックだけ
でなく、紙、ダンボール等を含有してもよい。
【0039】この発明においては、成型粒(粒状物)の
表面が溶融固化していることが必要である。即ち、成型
粒は、圧密され嵩密度が高い中心部材と前記中心部材を
覆う溶融固化している表面部材とからなっていることが
重要である。上述した中心部材の平均嵩密度は、好まし
くは、0.25g/cm3以上である。更に、溶融固化
している表面部材の厚さは、好ましくは、1mm以上で
ある。
【0040】この発明においては、成型粒の粒径は40
mm以下、好ましくは、5〜10mmである。
【0041】この発明の合成樹脂材を含む表面が溶融固
化した粒状物は、炉、特に高炉羽口への吹込みに適して
いる。特に、この発明の表面が溶融固化した粒状物は、
気送に際して、粒状物が崩壊することなく、また、熱効
率にも優れている。
【0042】上述したように、この発明の方法による
と、圧密され嵩密度が高い中心部材と中心部材を覆う溶
融固化している表面部材とからなる成型粒が製造され、
高炉等に吹き込まれるので、タンク、配管において詰ま
る原因となるフラフ状異物が生じない。
【0043】図2にこの発明の粒状物の拡大図を示す。
粒状物6は円柱形状からなっており、中心部に紙または
高融点プラスチック等10が圧密された状態で位置し、
その一部10が粒状物の表面に露出している。溶融固化
した表面部材9の厚さ11は1mm以上である。溶融固
化した表面部材が粒状物の表面積の10%以上、好まし
くは50%以上である。
【0044】
【実施例】この発明の方法を、比較例と比較しながら説
明する。先ず、この発明の粒状物と、従来の溶融造粒法
による粒状物を比較した。従来の溶融造粒法、即ち、合
成樹脂類を高速回転する回転刃で裁断または破砕すると
ともに、裁断または破砕による摩擦熱によって合成樹脂
材を半溶融化させ、この半溶融化した合成樹脂材を更に
急冷することによって収縮固化させ、上述した収縮固化
と同時に回転刃によって粉砕処理する方法、によって得
られた粒状物を高炉羽口から吹き込んだところ、粒状物
の強度が小さいために、レースウエイ内に滞留する時間
が極めて短く、燃焼効率が悪かった。これに対して、こ
の発明の合成樹脂材を含む表面が溶融固化した粒状物
は、強度が高いので、レースウエイ内に長時間滞留し、
熱効率が良かった。
【0045】次に、リングダイ式造粒機によって、製造
したこの発明の粒状物と、この発明の範囲外の粒状物を
比較した。即ち、表1に示すように、融点が50〜30
0℃の範囲内にある成分A(梱包用ポリエチレンフィル
ム破砕屑)、および、その他の非溶融成分B(ダンボー
ル屑)の混合割合を、0/100、3/97、8
/92、10/90、15/85、50/50、
95/5、100/0と変化させて配合して原料を
調製した。
【0046】次いで、このように調製された原料を使用
して、すりつぶし、および、圧縮押し出し工程を含むリ
ングダイ式造粒機によって成型粒(粒状物)を製造し
た。そのときの成型温度は100℃であった。製造され
た成型粒の粒強度(の粒強度を100としたときの強
度を示した)、嵩密度(T/m3)を調査し、その結果
を表1に合わせて示した。成型粒(粒状物)の粒径は、
6mm、長さは10mmであった。更に、溶融固化した
表面部材の厚さは、それぞれ、:0mm、:0.1
mm、:0.5mm、:1.0mm、:1.5m
m、:2.0mm、:2.3mm、:3.0mm
であった。
【0047】このように製造した成型粒を、気送供給設
備を経て、操業中の高炉羽口から吹き込んで設備内の詰
まり等のトラブルの発生状況を調べた。 (a)即ち、貯留サイロに装入された上述した成型粒を
サイロから定量的に切出し、これを気送供給設備まで移
送し、気送供給設備から下記条件で高炉羽口部に成型粒
を気送し、炉内に吹き込んだ。 気送ガス:空気 気送ガス吹込み量:1200Nm3/hr 成型粒の吹込み量:62.5kg/min 固気比:2.4kg/kg
【0048】(b)このときの高炉操業条件は次の通り
であった。 出銑量:9000t/日 送風量:7260Nm3/hr 酸素富化率:4% 送風温度:1200℃ コークス比:447kg/t.pig 微粉炭吹込み量:100kg/t.pig 成型粒の吹込み量:10kg/t.pig 上述した成型粒の炉内吹込みを2日間実施した。
【0049】その結果、融点が50〜300℃の範囲内
にある成分A(梱包用ポリエチレンフィルム破砕屑)を
含まないの成型粒を使用したときは、嵩密度は0.7
9と高いものの、粒強度が25と低く、1時間の間に1
回以上詰まりが生じた。融点が50〜300℃の範囲内
にある成分A(梱包用ポリエチレンフィルム破砕屑)を
3%含有するの成型粒を使用したときにおいても、粒
強度は35と低く、6時間の間に1回以上の詰まりが生
じた。更に、融点が50〜300℃の範囲内にある成分
A(梱包用ポリエチレンフィルム破砕屑)を8%含有す
るの成型粒を使用したときにおいても、粒強度は60
と低く、12時間の間に1回以上の詰まりが生じた。上
述した〜の成型粒においては、溶融固化した表面部
材の厚さが1mm未満であった。
【0050】これに対して、融点が50〜300℃の範
囲内にある成分A(梱包用ポリエチレンフィルム破砕
屑)を、本発明の範囲の下限値である10%含有する
を使用したときには、粒強度が75と比較的強くなり、
詰まりは12時間の間に1回以下と低くなった。融点が
50〜300℃の範囲内にある成分A(梱包用ポリエチ
レンフィルム破砕屑)を15%含有するを使用したと
きには、粒強度が80と強くなり、詰まりは1日の間に
1回以下と低くなった。融点が50〜300℃の範囲内
にある成分A(梱包用ポリエチレンフィルム破砕屑)を
50%含有するを使用したときには、粒強度は90と
強くなり、詰まりは2日間の間に1回以下と極めて少な
かった。また、高炉の操業自体にも全く支障は生じなか
った。融点が50〜300℃の範囲内にある成分A(梱
包用ポリエチレンフィルム破砕屑)を95%含有する
を使用したときには、粒強度は98と更に強くなり、詰
まりは2日間の間に1回以下と極めて少なかった。ま
た、高炉の操業自体にも全く支障は生じなかった。更
に、融点が50〜300℃の範囲内にある成分A(梱包
用ポリエチレンフィルム破砕屑)を100%含有する
を使用したときには、粒強度は100であり、詰まりは
2日間の間に1回以下と極めて少なかった。なお、嵩密
度は、0.30、0.33の場合においても、融点に関
する条件をみたす限り、詰まりを生じる回数は極めて少
なかった。
【0051】上述したところから明らかなように、詰ま
りの生じる頻度は、融点が50〜300℃の範囲内にあ
る成分Aの含有量によって大きく影響を受ける。
【0052】
【発明の効果】上述したように、この発明の合成樹脂材
を含む表面が溶融固化した粒状物、その製造方法および
粒状物の炉への吹き込み方法によると、プラスチック等
の合成樹脂類をその形態に拘わりなく高炉等の吹込み燃
料として供給することができ、このため廃棄物たる合成
樹脂類の大量処理と有効利用をはかることができる。ま
た、高炉等の燃料コストを大幅に低減させることができ
る。更に、高炉吹込み時に、タンク、配管で詰まる原因
となるフラフ状異物を発生させないので、炉に供給され
る合成樹脂類の流動性や搬送性および燃焼性を効果的に
高めることができ、高炉等において炉の操業に支障を来
すこと無く合成樹脂材を燃料として炉内に適切に供給す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法の概要を示す図である。
【図2】図2は、本発明の粒状物の拡大図である。
【図3】図3は、原料混合比別の吹込みトラブル、成型
粒の性状を示す表1である。
【符号の説明】
1.ダンボール 2.フィルム状プラスチック 3.ダンボール屑 4.フィルム状プラスチック片 5.リングダイ式造粒機 6.粒状物 7.ロール 8.円筒形のダイリング 9.成型粒の溶融固化した表面 10.圧縮成型された中心部材 11.溶融固化した表面部材の厚さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若松 信一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 寺田 周雄 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 根本 謙一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 丹下 邦彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂材を含む表面が溶融固化した粒
    状物。
  2. 【請求項2】 合成樹脂材を含む表面が溶融固化した、
    炉吹込み用粒状物。
  3. 【請求項3】 前記合成樹脂材は、50〜300℃の範
    囲内の融点を有する成分を10%以上含有していること
    を特徴とする、請求項1または2に記載の粒状物。
  4. 【請求項4】 前記合成樹脂材は、紙含有フィルム状プ
    ラスチックを含有することを特徴とする、請求項1から
    3の何れか1つに記載の粒状物。
  5. 【請求項5】 前記粒状物は、圧密され嵩密度が高い中
    心部材と前記中心部材を覆う溶融固化している表面部材
    とからなることを特徴とする、請求項1から4の何れか
    1つに記載の粒状物。
  6. 【請求項6】 前記粒状物の粒径が40mm以下である
    ことを特徴とする、請求項1から5のうちの何れか1項
    に記載の粒状物。
  7. 【請求項7】 前記粒状物が圧縮成型によって製造され
    ることを特徴とする、請求項1から6の何れか1つに記
    載の粒状物。
  8. 【請求項8】 前記圧縮成型がリングダイ式造粒機によ
    って行われることを特徴とする、請求項7に記載の粒状
    物。
  9. 【請求項9】 合成樹脂材を含む表面が溶融固化した粒
    状物を気送して、炉に吹き込む、粒状物の炉への吹込み
    方法。
  10. 【請求項10】 前記合成樹脂材は、50〜300℃の
    範囲内の融点を有する成分を10%以上含有しているこ
    とを特徴とする、請求項9に記載の粒状物の炉への吹込
    み方法。
  11. 【請求項11】 前記合成樹脂材は、紙含有フィルム状
    プラスチックを含有することを特徴とする、請求項9ま
    たは10に記載の粒状物の炉への吹込み方法。
  12. 【請求項12】 前記炉が高炉であることを特徴とす
    る、請求項9から11の何れか1つに記載の粒状物の炉
    への吹込み方法。
  13. 【請求項13】 50〜300℃の範囲内の融点を有す
    るプラスチック等の合成樹脂材が10%以上含有される
    ように、原料を調製し、このように調製された原料を、
    すりつぶし、および、圧縮押し出し工程を含むリングダ
    イ式造粒機によって、合成樹脂材を含む表面が溶融固化
    した粒状物を製造することを特徴とする、粒状物の製造
    方法。
  14. 【請求項14】 前記合成樹脂材は、紙含有フィルム状
    プラスチックを含有することを特徴とする、請求項13
    に記載の粒状物の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記粒状物は、圧密され嵩密度が高い
    中心部材と前記中心部材を覆う溶融固化している表面部
    材とからなることを特徴とする、請求項13または14
    に記載の粒状物の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記粒状物の粒径が40mm以下であ
    ることを特徴とする、請求項13から15のうちの何れ
    か1つに記載の粒状物の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記リングダイ式造粒機は、円周上に
    多数の穴があいた円筒形のダイリングと、そして、円筒
    形のダイリングとの間の摩擦で回転する複数のロールか
    らなっており、前記粒状物は、前記原料を円筒形のダイ
    リングと複数のロールとの間ですりつぶされ、円筒形の
    ダイリングの穴から連続的に圧縮押し出され、所定の長
    さで切断されて製造されることを特徴とする、請求項1
    3に記載の粒状物の製造方法。
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