JP2000198126A - コンタクトレンズの成形型及びそれを用いたコンタクトレンズの製造方法 - Google Patents

コンタクトレンズの成形型及びそれを用いたコンタクトレンズの製造方法

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JP2000198126A
JP2000198126A JP269799A JP269799A JP2000198126A JP 2000198126 A JP2000198126 A JP 2000198126A JP 269799 A JP269799 A JP 269799A JP 269799 A JP269799 A JP 269799A JP 2000198126 A JP2000198126 A JP 2000198126A
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mold
contact lens
molding
lens
thermoplastic film
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Hiroyuki Oyama
博幸 大山
Yuji Goto
裕二 後藤
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Menicon Co Ltd
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Menicon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合収縮によるヒケやボイドの発生の問題を
解消して、光学部の形状精度の高いコンタクトレンズを
容易に製造することの出来る成形型の提供。 【解決手段】 前面型2と後面型6のうちの少なくとも
何れか一方を、コンタクトレンズの成形操作に耐え得る
に充分な剛性と強度を有するベース型6aと、該ベース
型の成形キャビティ側の面を覆うように成形されて、該
ベース型に支持せしめられた、コンタクトレンズの一方
の面に対応した成形面を有する熱可塑性フィルム6bと
からなる積層モールド型にて、構成すると共に、該ベー
ス型をコンタクトレンズの光学部対応部位6aiと該光
学部の周りに位置するレンズ周辺部対応部位6aoとに
分離可能な構造で、型合わせ時に、該ベース型のレンズ
周辺部対応部位が前記光学部対応部位から分離、移動せ
しめられて、該光学部対応部位のみにて熱可塑性フィル
ム6bが支持されるように為し、該レンズ周辺部対応部
位によっては、熱可塑性フィルム6bが直接的に支持さ
れ得ないように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、コンタクトレンズの成形型及び
それを用いたコンタクトレンズの製造方法に係り、特
に、コンタクトレンズを成形するための成形型におい
て、安価な設備で、光学部の形状精度の高いコンタクト
レンズを与え得る構造と、そのような成形型を用いて、
目的とする眼用レンズを、安価で、光学部の形状精度良
く製造する方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、雄型と雌型との組合せや上型と
下型との組合せ等のように、第一の型と第二の型とを組
み合わせて型合わせを行ない、それらの型の間に、目的
とするコンタクトレンズ与える形状の所定の成形キャビ
ティが形成されるようにしたコンタクトレンズの成形型
を用い、そのような成形型の成形キャビティ内におい
て、所定の重合性材料を重合せしめてモールド成形を行
なって、目的とするコンタクトレンズを得る技術につい
て、種々なる提案が為されて来ている。
【0003】例えば、特公昭63−36484号公報や
特公平3−1125号公報等においては、雄型と雌型と
を組み合わせて、それらの型の間に形成される成形キャ
ビティ内において重合性材料を重合せしめることによ
り、目的とする形状のコンタクトレンズをモールド成形
する手法が明らかにされているが、そこでは、かかる重
合性材料の充填される成形キャビティが、雄型と雌型に
て完全に密閉される構造が採用され、そして、そのよう
な密閉された成形キャビティ内における重合によって、
重合収縮が惹起されるようになるところから、この重合
収縮によるヒケにて、得られるコンタクトレンズの形
状、特に、その光学部の形状が不正確なものとなり、光
学特性において不良となる問題を内在している他、その
ような重合収縮に基づいてボイドの発生もあり、しかも
ボイド発生箇所を特定することが出来ないために、その
対策を講じることが難しく、不良品の発生、ひいては歩
留りの低下の原因となっている。
【0004】しかも、そこにおいて用いられる雄型や雌
型は、モールド成形されたコンタクトレンズ製品の離型
性やその成形作業性等を考慮して、金属製よりも樹脂製
とされているのであるが、そのような樹脂製の雄型や雌
型は、モールド成形時において成形面の性状が変化し易
く、また製品の離型時において変形を受け易く、そのた
めに、繰り返しの使用が困難なものであったのであり、
またそれら樹脂製の雄型や雌型は、通常の樹脂製品の成
形の場合と同様に、金型を用いて射出成形の如き高圧成
形操作により製造されるものであるために、金型に強度
の高いものを使用しなければならず、加えて、レンズ面
を形成するために、型の表面精度には高いレベルが要求
されるところから、設備費が高価となる問題も内在する
ものであったのである。
【0005】また、米国特許第5524419号明細書
においては、コンタクトレンズをモールド成形するため
の方法及び装置として、所定幅を有する無端の第一及び
第二のウェブ材に対して、それぞれ、真空成形操作を施
し、雄型及び雌型を順次所定間隔を隔てて各々の長手方
向に形成せしめた後、その雌型の凹所内に計測された量
の硬化可能なレンズ材料を供給し、次いで、それら第一
及び第二のウェブ材を重ね合わせて、雌型の上に雄型を
型合わせした後、それら雌型と雄型との間に収容された
レンズ材料を光の照射によって重合せしめることによ
り、目的とするコンタクトレンズをモールド成形し、更
にその後、第一及び第二のウェブ材を分離することによ
り、モールド成形されたコンタクトレンズを取り出すよ
うにした構成が明らかにされているが、真空成形操作に
てウェブ材に雄型や雌型を成形する場合にあっては、成
形されるべきウェブ材の厚さをある程度薄くする必要が
あり、そのため、そのような薄くしたウェブ材に成形さ
れた雄型と雌型にてコンタクトレンズをモールド成形し
た場合において、それら雄型や雌型が容易に変形するも
のであるところから、成形されるレンズ面が変形し易
く、目的とする光学性能を、成形されるコンタクトレン
ズに正確に付与することが困難となる等の問題を有して
いる。
【0006】さらに、特開平8−1673号公報におい
ては、ソフトコンタクトレンズの成形型を成形するため
の方法及び装置が明らかにされているが、そこでは、ソ
フトコンタクトレンズの成形型が強固な構造を有する金
型を用いた射出成形操作にて高圧成形されるものである
ところから、そのような金型に強度の高いものを使用す
る必要があり、また、レンズ面を成形するために、型の
表面精度に高いレベルが要求されるところから、設備費
用が高価となることに加えて、そのような成形によって
得られたコンタクトレンズの成形型(雄型及び雌型)
は、何れも、薄肉構造とされているところから、そのよ
うな成形型を用いたソフトコンタクトレンズのモールド
成形において、成形型自体の変形によって、目的とする
光学性能を出し難いという問題も内在しているのであ
る。
【0007】更にまた、特開平10−109316号公
報には、雄型と雌型とを用い、その雄型の少なくとも成
形面を覆うようにフッ素系樹脂からなる離型層を設ける
一方、そのような雄型と雌型との間に形成される成形キ
ャビティ内において、レンズ原料を重合せしめることに
よって、それら雄型と雌型との間において、目的とする
コンタクトレンズをモールド成形するに際して、かかる
レンズ原料の重合時の体積収縮、換言すれば重合収縮と
同期して、雄型と雌型を相対的に接近するように移動せ
しめて、それらの型の間隔を近接させると共に、当接さ
せて、密閉された成形キャビティと為し、目的とするコ
ンタクトレンズ形状を実現せしめることにより、重合収
縮に基づくところのヒケやボイドの発生を阻止せしめる
ようにした手法が明らかにされているが、そこにおい
て、レンズ原料の重合に伴うところの重合収縮に同期し
て追従するように、雄型と雌型とを相対的に移動せしめ
るには、微妙な操作が要請され、また、そのような移動
操作は、モールド成形作業において面倒且つ複雑である
と共に、レンズ原料の種類やその重合条件等によって
も、移動量乃至は移動速度を変更する必要がある他、成
形キャビティの密閉が充分でない場合には、得られるコ
ンタクトレンズのエッジ部にバリが発生する問題も内在
するものであった。
【0008】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にして為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、重合収縮によるヒケやボイドの発生等の問題を
解消して、光学部の形状精度の高いコンタクトレンズを
容易に製造することの出来る成形型を提供することにあ
り、また、他の課題とするところは、そのような成形型
を用いて、形状精度に優れた光学部を有するコンタクト
レンズを容易に且つ安価に製造する方法を提供すること
にあり、更には、そのような成形型における型構成部品
の繰り返しの使用を可能ならしめることにもある。
【0009】
【解決手段】そして、本発明は、上述の如き成形型に係
る課題を解決するために、第一の型と第二の型とを型合
わせして、それらの型の間に、目的とするコンタクトレ
ンズを与える形状の成形キャビティが形成されるように
構成し、該成形キャビティ内での所定の重合性材料の重
合によって、前記目的とするコンタクトレンズがモール
ド成形されるようにした成形型にして、それら第一及び
第二の型のうちの少なくとも何れか一方を、前記成形キ
ャビティにおけるコンタクトレンズの成形操作に耐え得
るに充分な剛性と強度を有するベース型と、該ベース型
の前記成形キャビティ側の面を覆うように成形されて、
該ベース型に支持せしめられた、前記コンタクトレンズ
の一方の面に対応した成形面を有する熱可塑性フィルム
とからなる積層モールド型により、構成すると共に、該
ベース型を、前記コンタクトレンズの光学部に対応する
部位と該光学部の周りに位置するレンズ周辺部に対応す
る部位とに分離可能な型構造と為し、前記型合わせ時
に、該ベース型のレンズ周辺部対応部位を前記光学部対
応部位から分離するように移動せしめた状態において、
該光学部対応部位のみにて前記熱可塑性フィルムが支持
されるように為し、該レンズ周辺部対応部位によって
は、該熱可塑性フィルムが直接的に支持され得ないよう
に構成したことを特徴とするコンタクトレンズの成形型
を、その要旨とするものである。
【0010】このように、本発明に従うコンタクトレン
ズの成形型にあっては、それを構成する第一及び第二の
型のうちの少なくとも何れか一方が、コンタクトレンズ
の成形面を有する熱可塑性フィルムをベース型上に支持
せしめてなると共に、ベース型が、光学部対応部位とレ
ンズ周辺部対応部位とに分離可能な型構造とされてなる
積層モールド型とされていることにより、かかる熱可塑
性フィルムの成形面のうち、コンタクトレンズの光学部
成形面は、かかるベース型の光学部対応部位にて効果的
にバックアップされることとなり、以てコンタクトレン
ズの成形に際して、そのような熱可塑性フィルムの光学
部成形面部位が変形せしめられることが効果的に阻止さ
れ得るのであり、それ故に、成形して得られるコンタク
トレンズの光学部の形状精度が有利に高められ得るので
ある。
【0011】しかも、そのような第一及び第二の型の型
合わせ状態下において、それらの型の少なくとも何れか
一方を構成する積層モールド型におけるベース型のレン
ズ周辺部対応部位が、光学部対応部位に対して分離、移
動せしめられていることによって、かかるレンズ周辺部
対応部位が、熱可塑性フィルムのレンズ周辺部成形面部
位を直接的に支持しないようにして、それらからの拘束
を解除し、以て当該熱可塑性フィルム部位の変形を許容
することにより、成形キャビティ内に充填された重合性
材料の重合にて、重合収縮が生じた際にも、そのような
重合収縮にて、熱可塑性フィルムを変形させて体積変化
を吸収し、ヒケやボイド等の欠陥の発生が効果的に抑制
乃至は阻止されることとなるのである。
【0012】なお、このように、本発明に従う成形型に
あっては、コンタクトレンズにおけるレンズ周辺部を形
成する成形キャビティ部位において重合収縮が吸収乃至
は緩衝されることとなるのであり、そのために、得られ
るコンタクトレンズの周辺部は、ある程度の変形を受け
ることとなるが、そのようなレンズ周辺部は、光学部と
は異なり、コンタクトレンズの光学性能に殆ど影響をも
たらすものではないところから、そのようなレンズ周辺
部のある程度の変形は、何等問題ではなく、実用上、許
容され得るものである。
【0013】また、本発明にあっては、成形型を構成す
る第一及び第二の型の少なくとも何れか一方を構成する
積層モールド型は、所定のベース型上に熱可塑性フィル
ムを成形することによって、極めて簡単に製造され得る
ものであるところから、そのような積層モールド型の形
成も簡単であり、更に、コンタクトレンズの成形後にお
いては、熱可塑性フィルムを廃棄するだけで、ベース型
は繰り返しの使用が可能となるのである。
【0014】なお、かかる本発明に従うコンタクトレン
ズの成形型の好ましい態様の一つによれば、前記第一及
び第二の型のうちの何れか一方を、前記ベース型が前記
光学部対応部位とレンズ周辺部対応部位とに分離可能な
構造とされた前記積層モールド型にて構成する一方、そ
れら第一及び第二の型のうちの何れか他方を、前記積層
モールド型において、前記ベース型が前記光学部対応部
位とレンズ周辺部対応部位とに分離され得ない一体構造
とされた積層一体モールド型にて構成することが採用さ
れており、これによって、それら二つの型の再使用効率
を高め、以て型費用の更なる低減、ひいてはコンタクト
レンズの成形コストの低減が有利に図られ得ることとな
る。
【0015】また、本発明に従うコンタクトレンズの成
形型の望ましい態様の他の一つによれば、前記第一の型
と前記第二の型の型合わせによって形成される前記成形
キャビティの閉じられた空間の外側周囲に、該成形キャ
ビティに充填される前記重合性材料の余剰の部分を収容
する材料溜め部が設けられてなる構造が、有利に採用さ
れる。このような材料溜め部を設けることによって、重
合収縮に際して、かかる材料溜め部から重合性材料が成
形キャビティ内に導入され得るようにすることが出来、
それによって、そのような重合収縮にて惹起されるヒケ
やボイド等の問題の発生を、より効果的に抑制乃至は阻
止し得るのである。
【0016】さらに、本発明にあっては、熱可塑性フィ
ルムは、真空成形又は圧空成形又は圧縮成形によって、
前記ベース型の成形キャビティ側の面上に成形されて、
コンタクトレンズの一方の面に対応した成形面を構成す
るようにされていることが望ましく、このような成形手
法の採用によって、成形型の製造コストが有利に低減さ
れ得る利点があり、また、そのような熱可塑性フィルム
としては、有利には、0.005〜2mmの厚さのもの
が用いられることとなる。
【0017】そして、本発明にあっては、また、前記し
たコンタクトレンズの製造方法に係る課題を解決するた
めに、前述の如き本発明に従うコンタクトレンズの成形
型を用いて、目的とするコンタクトレンズを製造する方
法として、前記第一の型と前記第二の型とを型合わせし
て、それらの型のうちの少なくとも何れか一方を構成す
る前記積層モールド型によって、該それらの型の間に形
成される成形キャビティの少なくとも一方の側の型面
に、前記成形された熱可塑性フィルムを存在せしめる一
方、該積層モールド型を構成するベース型のレンズ周辺
部対応部位を前記光学部対応部位から分離し、且つ該光
学部対応部位に対して独立して移動せしめて、該レンズ
周辺部対応部位によっては、前記熱可塑性フィルムが直
接的に支持され得ないようにした状態下において、前記
成形キャビティ内に充填された重合性材料を重合せしめ
ることによってモールド成形し、目的とするコンタクト
レンズを形成せしめた後、型開きを行ない、前記第一の
型と第二の型との間より、成形されたコンタクトレンズ
を取り出すことを特徴とするコンタクトレンズの製造方
法をも、その要旨とするものである。
【0018】すなわち、このような本発明に従うコンタ
クトレンズの製造方法によれば、積層モールド型を構成
するベース型のレンズ周辺部対応部位が、光学部対応部
位から分離されて、独立して移動せしめられて、そのよ
うなレンズ周辺部対応部位によっては、熱可塑性フィル
ムが直接的に支持され得ないようにした状態下におい
て、モールド成形(重合)が行なわれることにより、得
られるコンタクトレンズの光学部は、熱可塑性フィルム
の光学部成形面がベース型の光学部対応部位にて確実に
バックアップされることにより、形状精度に優れた光学
面形状をもって、有利に形成される一方、熱可塑性フィ
ルムのレンズ周辺部成形面は、ベース型のレンズ周辺部
対応部位による拘束から開放されることとなるところか
ら、重合収縮が生じても、熱可塑性フィルムのレンズ周
辺部成形面部位の変形作用等によって吸収され、以てヒ
ケやボイド等の欠陥が、成形して得られるコンタクトレ
ンズの光学部に生じることが効果的に阻止され、以て、
正確な光学特性を有するコンタクトレンズを歩留り良く
且つ安価に製造することが可能となったのである。
【0019】なお、かかる本発明に従うコンタクトレン
ズの製造方法の好ましい態様の一つによれば、成形キャ
ビティ内に充填された重合性材料の重合が、加熱による
熱重合方式にて、実施されることとなる。
【0020】また、本発明に従う製造方法にあっては、
前記第一の型及び第二の型のうちの少なくとも何れか一
方の型を、光を透過し得る透明な材料からなる型とし
て、該透明な型を通じて導かれる光によって、成形キャ
ビティ内の重合性材料の重合が行なわれるようにした構
成が、有利に採用されることとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明
の構成について、更に具体的に明らかにすることとす
る。
【0022】先ず、図1には、本発明に従うコンタクト
レンズの成形型の一例において、その第一の型を構成す
る前面型(雌型)2を真空成形手法にて製造する工程の
例が示されている。即ち、目的とする前面型2を得るた
めに、成形キャビティにおけるコンタクトレンズの成形
操作に耐え得るに充分な剛性と強度を有するベース型2
aと、所定の熱可塑性樹脂材料からなる熱可塑性フィル
ム2bとが用いられ、そして、それらを重ね合わせた状
態において、適当な加熱手段4にて、熱可塑性フィルム
2bを加熱、軟化せしめる一方、ベース型2aに設けた
真空吸引孔2cを通じての真空吸引によって、ベース型
2aに密着させて、その円弧状乃至は球面状に凹陥した
凹陥部2dの内面にて成形することにより、目的とする
コンタクトレンズの一方の面(ここでは、フロントカー
ブ)に対応した成形面2eが熱可塑性フィルム2bにて
形成されてなる積層一体モールド型が、前面型2として
形成されるのである。
【0023】一方、かかる図1に示される前面型2に組
み合わされる、第二の型としての後面型(雄型)6は、
本発明に従う積層モールド型構造を有するものであっ
て、図2に例示される如く、成形キャビティにおけるコ
ンタクトレンズの成形操作に耐え得るに充分な剛性と強
度を有する円柱状の光学部対応部位6aiと円環状のレ
ンズ周辺部対応部位6aoとに分離可能な構造とされた
ベース型6aと、所定の熱可塑性樹脂材料からなる熱可
塑性フィルム6bとを用いて形成されることとなる。具
体的には、それらベース型6aと熱可塑性フィルム6b
とを重ね合わせて、適当な加熱手段8にて加熱すること
により、熱可塑性フィルム6bを軟化せしめる一方、ベ
ース型6a(具体的には、レンズ周辺部対応部位6a
o)に設けた真空吸引孔6cを通じての吸引によって、
ベース型6aに密着させて、その湾曲した球状凸面6d
にて成形し、以て、目的とするコンタクトレンズの他方
の面(ベースカーブ)に対応した成形面6eが、熱可塑
性フィルム6bにて形成されてなる、積層モールド型と
しての後面型(雄型)6が形成されるのである。
【0024】ところで、かかる後面型6を構成するベー
ス型6aは、前述せるように、コンタクトレンズの光学
部に対応する部位6ai、換言すればコンタクトレンズ
の他方の面(ベースカーブ)の光学部部位を成形する成
形面6e部分を支持する円柱状の型部分と、コンタクト
レンズの光学部の周りに位置するレンズ周辺部に対応す
る部位6ao、換言すればコンタクトレンズの他方の面
(ベースカーブ)における光学部の周りに位置するレン
ズ周辺部を成形する熱可塑性フィルム6bの成形面6e
部分を支持する円環状の型部分とに、分離可能な構造と
されているが、また、それら光学部対応部位6aiとレ
ンズ周辺部対応部位6aoとは、少なくとも前記熱可塑
性フィルム6bの成形操作までは、よく知られた方式に
おいて、一体的な結合状態にて取り扱われ得る構造とさ
れているのである。なお、この後面型6のベース型6a
における光学部対応部位6aiとレンズ周辺部対応部位
6aoは、目的とするコンタクトレンズの種類や大きさ
に応じてそれぞれ適宜の大きさ乃至は相対的比率におい
て決定されることとなるが、一般に、硬質コンタクトレ
ンズをモールド成形するときには、光学部対応部位6a
iは5〜9mmφの直径となるように設定され、また軟
質コンタクトレンズをモールド成形するときには、5〜
11mmφの直径とされた光学部対応部位6aiが用い
られることとなる。
【0025】そして、後述するように、そのような後面
型6が、前述した前面型2と型合わせされて、それらの
間に、目的とするコンタクトレンズを与える形状の成形
キャビティが形成された状態下においては、かかるベー
ス型6aのレンズ周辺部対応部位6aoを、光学部対応
部位6aiから分離されるように移動せしめて、該光学
部対応部位6aiのみにて熱可塑性フィルム6bが支持
されるように為し、レンズ周辺部対応部位6aoによっ
ては、熱可塑性フィルム6bが直接的に支持され得ない
ようにして、そのようなレンズ周辺部対応部位6aoに
よる拘束から開放せしめられ得るようになっているので
ある。
【0026】なお、上記せる如き、前面型2や後面型6
を構成するベース型2a、6a(6ai+6ao)は、
何れも、前述せるように、成形キャビティにおけるコン
タクトレンズの成形操作に耐え得るに充分な剛性と強度
を有するように、金属、ガラス、セラミック等の適当な
材質から形成される他、適当な樹脂材料からなる型であ
っても、充分な剛性と強度を与え得るものである限りに
おいて、それらベース型として使用することが可能であ
る。
【0027】また、熱可塑性フィルム2b、6bをベー
ス型2a、6a上に真空成形するために設けられる真空
吸引孔2c、6cは、何れも、得られるコンタクトレン
ズの光学部特性に影響を与えないように、一般に、レン
ズ光学部の成形部位よりも外側に位置するように、望ま
しくはレンズ形状の外側で(レンズエッジよりも外側
で)、レンズエッジからの距離が10mm以内の領域に
設けられていることが望ましい。事実、例示の前面型2
においては、コンタクトレンズのフロントカーブに対応
するベース型2aの凹面(2d)よりも外側に位置する
ように、真空吸引孔2cが設けられているのであり、ま
た、後面型6にあっても、コンタクトレンズのベースカ
ーブに対応するベース型6aの凸面(6d)の外側に位
置するように、真空吸引孔6cが設けられているのであ
る。尤も、それら真空吸引孔2c、6cの配設に代え
て、ベース型2a、6a自体を多孔質構造と為し、その
ような多孔質構造を通じての真空吸引によって熱可塑性
フィルム2b、6bが吸着せしめられるようにすること
も可能である。
【0028】さらに、ベース型2a、6aの成形キャビ
ティ側の面を覆うように、熱可塑性フィルム2b、6b
を成形せしめて、かかるベース型2a、6aに一体的に
支持させるには、それら熱可塑性フィルム2b、6b
を、それぞれ、通常の成形手法にて成形することによっ
て、容易に為され得るのであるが、一般に、成形のし易
さ等の点から、上記例示の如き真空成形手法や周知の圧
空成形手法、圧縮成形手法が有利に採用されることとな
る。そして、そのような真空成形手法や圧空成形手法に
て、それぞれのベース型2a、6a上に、熱可塑性フィ
ルム2b、6bを成形して、一体的な前面型2や後面型
6を形成するに際しては、一般に、それら熱可塑性フィ
ルム2b、6bを、それらのガラス転移点より高く、融
点よりは低い温度、好ましくはガラス転移点よりも10
℃以上高い温度で加熱して、軟化せしめた後、成形加工
することが望ましく、また、そのような成形加工に際し
ては、有利には、1kg/cm2 以上の圧力を熱可塑性
フィルム2b、6bに作用せしめて、その成形が実施さ
れることとなるのである。
【0029】加えて、このように、前面型2や後面型6
を形成するのに用いられる熱可塑性フィルム2b、6b
としては、公知の各種の熱可塑性樹脂材料からなるもの
が適宜に選択、使用されることとなるが、一般に、ポリ
プロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニ
ル、ポリアミド、ポリアセタール、フッ素樹脂等の熱可
塑性樹脂材料が好適に用いられ、中でも、ポリプロピレ
ンが、成形性が良好であることと、軟質であるために重
合時のヒケが緩和可能である点において、有利に選択さ
れることとなる。そして、そのような熱可塑性樹脂材料
からなる熱可塑性フィルム2b、6bは、真空成形や圧
空成形、圧縮成形等の成形操作を有利に行なう上におい
て、0.005〜2mmの厚さとされることとなる。こ
の熱可塑性フィルム2b、6bの厚さが厚くなり過ぎる
と、成形加工が困難となり、また薄くなり過ぎると、そ
の成形された形状の保持性等の点において問題を生じる
ようになるからである。
【0030】そして、上述の如き前面型2と後面型6と
からなる成形型を用いて、目的とするコンタクトレンズ
をモールド成形(重合)するに際しては、例えば図3〜
図5に示される如き工程を経由する手法が採用されるこ
ととなる。
【0031】すなわち、図3に示される如く、先ず、前
面型2のコンタクトレンズ成形面2eにて形成される凹
所(成形キャビティ)内に、所定の供給装置10から、
目的とするコンタクトレンズを構成する重合体を与える
重合性材料12の所定量が供給され、そこに収容せしめ
た状態下において、前記した後面型6が、そのような前
面型2に組み合わされ、芯合わせされて、それらの型合
わせが行なわれることにより、それら前面型2と後面型
6との間に形成される成形キャビティ内に、重合性材料
12が充填されるのである。
【0032】次いで、このように、前面型2と後面型6
とが型合わせされて、それら型間に形成される成形キャ
ビティ内に重合性材料12が充填せしめられた後、図4
に示される如く、後面型6を構成するベース型6aの光
学部対応部位6aiが型合わせされて(固定されて)、
前面型2との間において所定の光学部形成間隙(成形キ
ャビティ)が形成された状態下において、そのようなベ
ース型6aのレンズ周辺部対応部位6aoが、かかる光
学部対応部位6aiから分離され、該光学部対応部位6
aiに対して、軸方向上方に移動せしめられて、そのよ
うなレンズ周辺部対応部位6aoによる後面型6を構成
する熱可塑性フィルム6bのバックアップ、換言すれば
拘束を解除せしめて、熱可塑性フィルム6bのレンズ周
辺部成形面部位が、直接的に支持され得ないようにさ
れ、更にそうした状態下において、成形キャビティ内に
充填された重合性材料12の重合操作が、光源若しくは
熱源14からのUV光や熱の助けを借りて遂行され、以
て目的とするコンタクトレンズのモールド成形が行なわ
れるのである。なお、このような前面型2と後面型6と
の型合わせによって、それらの型間に形成される成形キ
ャビティに充填された重合性材料12の余剰のものが、
そのような成形キャビティの閉じられた空間の外側周囲
に溢れ出し、それら前面型2の熱可塑性フィルム2b
と、後面型6の熱可塑性フィルム6bとの間に生じる隙
間において、材料溜め部16(図4参照)を形成してい
る。
【0033】なお、ここで用いられる重合性材料12と
しては、目的とするコンタクトレンズを構成する重合体
を与える、従来から公知の各種の液状のモノマー組成物
を挙げることが出来る。そして、そのようなモノマー組
成物は、一般に、従来から用いられているラジカル重合
可能な化合物の1種若しくは2種以上が配合されてなる
ものであるが、また、マクロマーやプレポリマーから構
成されるものであっても、何等差し支えない。また、そ
のような化合物は、ビニル基、アリル基、アクリル基ま
たはメタクリル基を分子中に1個以上有するものであっ
て、通常、ハードコンタクトレンズやソフトコンタクト
レンズの原料として使用されているモノマーである。具
体的には、アルキル(メタ)アクリレート、シロキサニ
ル(メタ)アクリレート、フルオロアルキル(メタ)ア
クリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、多
価アルコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリ
ル酸エステル類、スチレンの誘導体、N−ビニルラクタ
ム等が挙げられ、また、必要に応じてエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート等の多官能モノマーが、架橋剤と
して配合せしめられ、更に必要な重合開始剤、例えば熱
重合開始剤、光重合開始剤等や増感剤等の添加剤が配合
されて、液状のモノマー組成物とされる。
【0034】また、そのような液状のモノマー組成物か
らなる重合性材料12の重合は、例えば、通常の熱重合
法に従って或いは通常の光重合法等に従って行なわれる
こととなるが、後者の光重合法を採用した場合にあって
は、UV光等の光を重合性材料12に照射せしめる必要
があるところから、前面型2や後面型6のうちの少なく
とも何れか一方は、光を透過し得る材質、特に望ましく
は透明性の高い材質にて形成され、そのような型を通じ
て導かれた光によって、かかる重合性材料12の重合が
行なわれることとなる。
【0035】かくの如く、図4に示される如き状態にお
いて、コンタクトレンズのモールド成形(重合)操作を
実施することにより、コンタクトレンズの光学部は、前
面型2のベース型2aと後面型6のベース型6aの光学
部対応部位6aiにて、それぞれの熱可塑性フィルム2
b、6bが支持されて、それらの間に形成される成形キ
ャビティのコンタクトレンズ光学部形状が正確に保持さ
れることにより、コンタクトレンズにおける光学部の目
的とするレンズ表面形状を正確に成形することが可能と
なることに加えて、コンタクトレンズの周辺部の成形に
おいては、後面型6が光学部対応部位6aiとレンズ周
辺部対応部位6aoとに分離可能な構造とされて、かか
るレンズ周辺部対応部位6aoが、モールド重合時には
取り外されて、熱可塑性フィルム6bのレンズ周辺部成
形面部位が、そのようなレンズ周辺部対応部位6aoに
て、直接的に支持され得ないようになっていることによ
り、重合性材料12の重合に際して、重合収縮が生じて
も、かかる熱可塑性フィルム6bのレンズ周辺部成形面
部位が変形することによって、また成形キャビティの閉
じられた空間を形成する熱可塑性フィルム2b、6bの
当接部位の相互の締付力が低下するようになることによ
って、緩和乃至は吸収され、以てヒケやボイド等の欠陥
の発生が効果的に抑制乃至は阻止され得ることとなるの
である。
【0036】なお、このように、ベース型6aのレンズ
周辺部対応部位6aoを取り外した状態においてモール
ド重合することにより、得られるコンタクトレンズの周
辺部には、重合収縮によって、ある程度の変形が生じる
ようになるが、レンズ周辺部は、コンタクトレンズの光
学部性能には実質的に影響をもたらすものではないとこ
ろから、そのようなレンズ周辺部の形状変化は、それ程
問題となることはないのである。
【0037】また、かかる図4に例示されるように、成
形キャビティの閉じられた空間の外側周囲には、重合性
材料12を収容する材料溜め部16が形成されているこ
とによって、そのような材料溜め部16からの重合性材
料12が成形キャビティ内に効果的に導き入れられ、以
て重合収縮によるヒケやボイド等の発生が、より一層効
果的に抑制乃至は阻止され得ることとなるのである。け
だし、ベース型6aのレンズ周辺部対応部位6aoによ
る熱可塑性フィルム6bの拘束(バックアップ)が為さ
れていないために、成形キャビティを閉じられた空間と
為す前面型2の熱可塑性フィルム2bに対する後面型6
の熱可塑性フィルム6bの当接部位:Aが離れ易く、そ
れ故に、材料溜め部16からの重合性材料12の成形キ
ャビティへの供給が、より一層容易となっているからで
ある。
【0038】そして、図4の如くして、重合性材料12
を重合せしめて、コンタクトレンズ材料のモールド成形
操作を完了した後、図5に示されるように、前面型2と
後面型6(具体的には、光学部対応部位6ai)とが型
開きされ、更にモールド成形によって生じたコンタクト
レンズ20から、熱可塑性フィルム2b及び6bが、そ
れぞれ分離(離型)せしめられることにより、図6に示
される如き、目的とするコンタクトレンズ20が取り出
されるのである。なお、このように、コンタクトレンズ
20から熱可塑性フィルム2b、6bを容易に分離させ
るために、それら熱可塑性フィルムの材質としては、ポ
リプロピレン等の離型性の良好な材質が有利に採用され
る他、溶媒に浸漬したり、熱風を吹き付けたりして、そ
の分離(離型)を行なう方法や、機械的な力を作用せし
めて、熱可塑性フィルム2b、6bを変形させることに
より、離型を行なう手法等が、適宜に採用されることと
なる。
【0039】また、上記の如くして、コンタクトレンズ
20が離型されて取り出された後、熱可塑性フィルム2
b、6bは廃棄される一方、ベース型2a、6a(6a
i+6ao)は、熱可塑性フィルム2b、6bの存在に
よって、損傷や変形、更には重合性材料による汚染等も
受けるものではないところから、そのまま、再度、図1
や図2に示される如くして、前面型2や後面型6の製造
に利用することが可能である。
【0040】なお、本発明に従うコンタクトレンズの成
形型及びそれを用いたコンタクトレンズの製造方法は、
以上に説明した構造や手法のみに限定されるものでは決
してなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当
業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加
え得るものであり、そのような形態の何れもが、本発明
の範疇に属するものであることが、理解されるべきであ
る。
【0041】例えば、例示の構造においては、前面型2
が、積層一体モールド型とされている一方、後面型6
が、本発明に従う積層モールド型構造とされているが、
これとは逆に、前面型2を積層モールド型構造とし、後
面型6を積層一体モールド型構造とすることも可能であ
り、また、前面型2及び後面型6の何れもを、本発明に
従う積層モールド型構造とすることも可能である。更に
は、前面型2と後面型6の何れか一方のみを、本発明に
従う積層モールド型構造と為し、他方を通常の一体の型
構造とすることも可能である。
【0042】また、後面型6を構成するベース型6aの
構造にあっても、例示の具体例では、レンズ周辺部対応
部位6aoがドーナツ形状の一体構造とされ、その内孔
内に光学部対応部位6aiが挿入、配置せしめられるよ
うになっているが、かかるレンズ周辺部対応部位6ao
を二つ以上の部分からなる割型構造において構成するこ
とも可能であり、更に図4に示される例においては、ベ
ース型6aの光学部対応部位6aiを型合わせ位置に固
定しつつ、それからレンズ周辺部対応部位6aoが完全
に分離されて、抜き去られた状態において、モールド重
合(成形)が行なわれているが、そのようなレンズ周辺
部対応部位6aoによる熱可塑性フィルム6bの直接的
な支持が行なわれ得ない限りにおいて、例えば図7に示
される如く、かかるレンズ周辺部対応部位6aoを抜き
去ることなく、単に、分離方向に上方にある程度移動せ
しめるだけでも良く、また、そのようにした構造も、本
発明における分離可能な構造として、採用可能である。
【0043】すなわち、かかる図7に示される例におい
ては、前面型2に段付き部2fが設けられており、この
段付き部2f内に、後面型6が挿入、配置せしめられる
ことによって、それら前面型2と後面型6との型合わせ
が為され得るようになっているのであり、そして、その
ような型合わせが為された後、後面型6を構成するベー
ス型6aの光学部対応部位6aiに対して、レンズ周辺
部対応部位6aoが段付き部2fの高さよりも短い距離
において、分離方向となる軸方向上方に移動せしめられ
て、その固定状態から開放されることによって、熱可塑
性フィルム6bのレンズ周辺部成形面部位の拘束を解消
して、そのバックアップが為され得ないようになってい
る。要するに、ここでは、ベース型6aのレンズ周辺部
対応部位6aoが光学部対応部位6aiに対して所定距
離だけ移動せしめられて、部分的に分離せしめられ、以
て該レンズ周辺部対応部位6aoにては、熱可塑性フィ
ルム6bのレンズ周辺部成形面部位及びそれよりも外側
に位置する部分が支持され得ないようになっているので
ある。なお、この例にあっても、前面型2を構成する熱
可塑性フィルム2bと後面型6を構成する熱可塑性フィ
ルム6bとの接触部の外側には、それら熱可塑性フィル
ム2b、6bとの間に空間が存在せしめられて、材料溜
め部16が形成されるようになっている。
【0044】さらに、本発明にあっては、そのような後
面型6を構成するベース型6aのレンズ周辺部対応部位
6aoを、前面型2との型合わせに先立って、光学部対
応部位6aiから移動、分離せしめることにより、図8
に示される如く取り外し、後面型6を、成形された熱可
塑性フィルム6bとそれを背後から支持するベース型6
aの光学部対応部位6aiのみにて構成し、前面型2に
対して型合わせし、そして、内孔内に光学部対応部位6
aiを挿入せしめた円環状のフランジ部材22を、前面
型2の段付き部2fに嵌入せしめることによって、かか
る光学部対応部位6aiの位置決めを行なった状態下に
おいて、モールド重合(成形)を行なうようにすること
も可能である。勿論、この場合において、かかる位置決
め用のフランジ部材22が、熱可塑性フィルム6bの光
学部成形面よりも外側の部分、即ち、レンズ周辺部成形
面部位及びそれよりも外側に位置する熱可塑性フィルム
6b部分に当接しないようにして、それらの部分が、フ
ランジ部材22にて拘束されないようになっていること
は、言うまでもないところである。
【0045】何れにしても、ベース型6aを構成するレ
ンズ周辺部対応部位6aoと光学部対応部位6aiと
は、分離可能な構造において、熱可塑性フィルム6bの
成形までは一体的な結合状態において取り扱われる一
方、型合わせ時には、それらレンズ周辺部対応部位6a
oと光学部対応部位6aiとの一体的結合状態が解除さ
れて、レンズ周辺部対応部位6aoが光学部対応部位6
aiから部分的に或いは完全に分離されるように移動せ
しめられ、以てかかるレンズ周辺部対応部位6aoによ
る熱可塑性フィルム6b部分の拘束が解消せしめられる
ようにされるのである。
【0046】
【発明の効果】以上の説明から明らかな如く、本発明に
従うコンタクトレンズの成形型にあっては、目的とする
コンタクトレンズの少なくとも一方の面に対応する成形
面が形成された熱可塑性フィルムと、それの光学部成形
面をバックアップする光学部対応部位を有する一方、そ
れのレンズ周辺部成形面はバックアップしないレンズ周
辺部対応部位が分離可能とされたベース型とからなる積
層モールド型が用いられていることにより、得られるコ
ンタクトレンズの光学部の形状精度が著しく高められ得
ることとなった他、成形完了後は、熱可塑性フィルムの
廃棄だけで済むこととなるために、ベース型の繰り返し
の使用が可能となるのであり、また、熱可塑性フィルム
は、そのようなベース型の表面に簡単に成形され得るも
のであるところから、そのような型の製作も極めて安価
なものと為し得ることとなるのである。
【0047】しかも、目的とするコンタクトレンズのモ
ールド成形(重合)に際して、熱可塑性フィルムのレン
ズ周辺部成形面部位がベース型にてバックアップされ
ず、当該部位の変形が容易と為されていることにより、
成形キャビティの重合性材料の重合によって重合収縮が
生じても、そのような熱可塑性フィルム部位の変形によ
って、効果的に吸収乃至は緩和され得ることとなり、以
て、そのような重合収縮に起因するヒケやボイド等の欠
陥の発生が、効果的に抑制乃至は阻止されることとなる
のである。
【0048】また、かかる成形型を用いた本発明に従う
コンタクトレンズの製造方法によれば、成形キャビティ
のコンタクトレンズ光学部形成部位に位置する熱可塑性
フィルムの光学部成形面が、積層モールド型のベース型
(光学部対応部位)にて支持されて、その変形が阻止さ
れているところから、コンタクトレンズの成形面の形状
精度が極めて高く、従って光学特性に優れた高品質のコ
ンタクトレンズを得ることが出来ると共に、その成形コ
ストも効果的に安価と為し得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る成形型を構成する前面型の製造工
程の一例を示す断面説明図である。
【図2】本発明に係る成形型を構成する後面型の製造工
程の一例を示す断面説明図である。
【図3】図1及び図2に示される前面型及び後面型を用
いて、コンタクトレンズを製造する工程の一部を示す断
面説明図である。
【図4】図3の工程に続くモールド成形の工程を示す断
面説明図である。
【図5】図4に示されるモールド成形の工程の後のコン
タクトレンズの離型工程を示す断面説明図である。
【図6】図3〜図5の工程に従って得られたコンタクト
レンズの説明図であって、上部にその断面図、下部にそ
の平面図が示されている。
【図7】本発明に係る成形型の他の例を用いて、コンタ
クトレンズをモールド成形する工程を示す断面説明図で
ある。
【図8】本発明に係る成形型の更に異なる例を用いて、
コンタクトレンズをモールド成形する工程を示す断面説
明図である。
【符号の説明】
2 前面型 2a、6a ベース型 6ai 光学部対応部位 6ao レンズ周辺部対応部位 2b、6b 熱可塑性フィルム 2c、6c 真空吸引孔 2d 凹陥部 2e、6e 成形面 2f 段付き部 4、8 加熱手段 6 後面型 6d 球状凸面 10 供給装置 12 重合性材料 14 光源/熱源 16 材料溜め部 20 コンタクトレンズ 22 フランジ部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H006 BC07 4F202 AA21 AH74 AM32 AM34 CA01 CB01 CK42 CK52 CK85 CM72 CN01 CQ06 4F204 AA21 AH74 AM32 AM34 EA03 EB01 EK06 EK13 EK18 EK23 4F213 AA21 AH74 AM32 AM34 WA02 WA53 WA83 WA86 WB01 WC06

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の型と第二の型とを型合わせして、
    それらの型の間に、目的とするコンタクトレンズを与え
    る形状の成形キャビティが形成されるように構成し、該
    成形キャビティ内での所定の重合性材料の重合によっ
    て、前記目的とするコンタクトレンズがモールド成形さ
    れるようにした成形型にして、 それら第一及び第二の型のうちの少なくとも何れか一方
    を、前記成形キャビティにおけるコンタクトレンズの成
    形操作に耐え得るに充分な剛性と強度を有するベース型
    と、該ベース型の前記成形キャビティ側の面を覆うよう
    に成形されて、該ベース型に支持せしめられた、前記コ
    ンタクトレンズの一方の面に対応した成形面を有する熱
    可塑性フィルムとからなる積層モールド型により、構成
    すると共に、該ベース型を、前記コンタクトレンズの光
    学部に対応する部位と該光学部の周りに位置するレンズ
    周辺部に対応する部位とに分離可能な型構造と為し、前
    記型合わせ時に、該ベース型のレンズ周辺部対応部位を
    前記光学部対応部位から分離するように移動せしめた状
    態において、該光学部対応部位のみにて前記熱可塑性フ
    ィルムが支持されるように為し、該レンズ周辺部対応部
    位によっては、該熱可塑性フィルムが直接的に支持され
    得ないように構成したことを特徴とするコンタクトレン
    ズの成形型。
  2. 【請求項2】 前記第一及び第二の型のうちの何れか一
    方を、前記ベース型が前記光学部対応部位とレンズ周辺
    部対応部位とに分離可能な構造とされた前記積層モール
    ド型にて構成する一方、それら第一及び第二の型のうち
    の何れか他方を、前記積層モールド型において、前記ベ
    ース型が前記光学部対応部位とレンズ周辺部対応部位と
    に分離され得ない一体構造とされた積層一体モールド型
    にて構成したことを特徴とする請求項1記載のコンタク
    トレンズの成形型。
  3. 【請求項3】 前記第一の型と前記第二の型の型合わせ
    によって形成される前記成形キャビティの閉じられた空
    間の外側周囲に、該成形キャビティに充填される前記重
    合性材料の余剰の部分を収容する材料溜め部が設けられ
    てなる請求項1又は請求項2記載のコンタクトレンズの
    成形型。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性フィルムが、真空成形又は
    圧空成形又は圧縮成形によって、前記ベース型の成形キ
    ャビティ側の面上に成形され、前記コンタクトレンズの
    一方の面に対応した成形面を構成している請求項1乃至
    請求項3の何れかに記載のコンタクトレンズの成形型。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性フィルムが、0.005〜
    2mmの厚さを有している請求項4記載のコンタクトレ
    ンズの成形型。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の
    コンタクトレンズの成形型を用いて、目的とするコンタ
    クトレンズを製造する方法にして、 前記第一の型と前記第二の型とを型合わせして、それら
    の型のうちの少なくとも何れか一方を構成する前記積層
    モールド型によって、該それらの型の間に形成される成
    形キャビティの少なくとも一方の側の型面に、前記成形
    された熱可塑性フィルムを存在せしめる一方、該積層モ
    ールド型を構成するベース型のレンズ周辺部対応部位を
    前記光学部対応部位から分離し、且つ該光学部対応部位
    に対して独立して移動せしめて、該レンズ周辺部対応部
    位によっては、前記熱可塑性フィルムが直接的に支持さ
    れ得ないようにした状態下において、前記成形キャビテ
    ィ内に充填された重合性材料を重合せしめることによっ
    てモールド成形し、目的とするコンタクトレンズを形成
    せしめた後、型開きを行ない、前記第一の型と第二の型
    との間より、成形されたコンタクトレンズを取り出すこ
    とを特徴とするコンタクトレンズの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記成形キャビティ内に充填された重合
    性材料の重合が、加熱による熱重合にて実施される請求
    項6記載のコンタクトレンズの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第一の型及び第二の型のうちの少な
    くとも何れか一方の型が、光を透過し得る透明な材料か
    らなる型であり、該透明な型を通じて導かれる光によっ
    て、前記重合性材料の重合が行なわれる請求項6記載の
    コンタクトレンズの製造方法。
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