JP4247349B2 - コンタクトレンズの閉鎖型成形装置、該装置に用いる金型ブロック、及び該金型を用いたコンタクトレンズの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンタクトレンズの成形装置およびそれを用いた成形方法に関する。さらに詳しくは、二種以上の異なる素材を用いて、複合レンズ、多焦点または二焦点レンズなどの、コンタクトレンズを成形する際に使用する樹脂型を金型ブロック内で成形し、コンタクトレンズ重合用モノマーの充填、成形用樹脂型の嵌合まで 金型から成形樹脂型をはずすことなく行うことを特徴とするコンタクトレンズの成形装置およびそれを用いた成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンタクトレンズには、従来から、メチルメタクリレート、シリコン含有メタクリレート等を主成分とする硬質系材料と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等を主成分とする軟質系材料が用いられてきた。硬質系材料からなるハードコンタクトレンズは、光学的特性、視力矯正能及び角膜乱視矯正能、酸素透過性等良好である反面、眼に装用した場合には異物感が強く、初めてコンタクトレンズを装用する患者にとっては耐え難い場合もある。一方前記の軟質系材料からなるソフトレンズは、異物感が少なく、装用感が優れている反面、光学的特性が良好でなく、充分満足する矯正視力が得られない問題を内在しているのである。
【0003】
そこでこのような問題を解決するために、光学的特性や視力矯正能などが良好であるハードレンズの特性を備えつつ、同時に装用感に優れるソフトレンズの利点をも享受しうるコンタクトレンズとして、レンズの所定の部位を組成的に変化せしめて、中央部が硬く、周囲が柔らかくなるようにしたコンタクトレンズが検討されている。
【0004】
このようなコンタクトレンズの製造法としては、従来よりいくつかの提案が為されており例えば、特公昭55−29402号公報には、透明有機材料からなる柱状硬質透明体の周囲で、水によって軟化、膨潤する架橋軟質透明ポリマーを与えるように、多官能性モノマーを含むモノマー混合物を塊状重合させる方法が、特公昭57−6562号公報には、水によって軟化する透明材料からなり、直径:3〜7mmの空洞を持った柱状または板状材料の空洞の内部で、水によって軟化しない透明ポリマーを与えるモノマーを単独で又は他のモノマーや添加剤と共に重合させる方法が提案されている。これらの方法はいずれも棒状、板状の重合体から切削によってレンズ形状に加工する方法であるため、必要以上の材料と加工工程の複雑さとによって、その製造コストは高価なものであった。
【0005】
ところで、近年においては使い捨てのコンタクトレンズが登場し、特別な手入れが必要ない、汚れたら捨てて常に新しいレンズを装用出来るという目に対する安全性、誤って破損しても価格が安いので安心して取り扱えるなど、装用者にとっていくつかのメリットを有することで急速に普及してきている。こうしたコンタクトレンズを大量にしかも安価に製造するには、コンタクトレンズの前面側と後面側を形成する一対の共働する型により形成された空間内に重合性モノマー組成物を充填しての注型成形が採用される。この成形法は従来の切削加工法に比較して必要なモノマー量の削減や製造工程の簡略化により市場が必要とする大量のコンタクトレンズ供給を可能にしてきた。
【0006】
このような成形方法に関してはいくつか提案されており、公開特許平9−19972号公報、公開特許平9−323366号公報には重合可能なモノマー混合物を充填し組み立てるための装置に関する開示がされており、コンタクトレンズ成形用のモールドを搬送しつつモノマーを充填しモールドの対を結合させている。また、公開特許平10−156887号公報、公開特許平10−180830号公報にはモールドの均一な成形方法についての記載がなされている。
【0007】
このような製造面でいくつかの工夫がなされることでレンズの原価を下げることが出来るようになり、実際に安価な使い捨てレンズとして市場に流れているが、前記製造方法はいずれもコンタクトレンズ成形用の樹脂型となる前面側レンズ型と後面側レンズ型を成形した後、該レンズ型を金型キャビティから取り出してコンタクトレンズ重合用モノマーを充填した後に 各対となる型を嵌合して、重合工程、レンズ型を開いて水和処理、レンズ検査工程に移るというものであった。しかし、このようにレンズ型を嵌合させる際には時として前面側レンズ型と後面側レンズ型が、偏心あるいは芯ずれを起こして得られるコンタクトレンズの寸法 特に中心厚み等に悪影響を及ぼし、規格内に収まらずに製品不良のもとになり、良品率の低下を招くという問題があった。またレンズ型の成型後、金型から取り出してコンタクトレンズ用重合モノマーの充填工程に移るまでの型の移動中に、レンズ型樹脂表面への酸素の吸収や埃などの付着による、重合不良や得られるレンズ内への混入異物の発生といった問題も生じやすくなる。
【0008】
さらに、現在の使い捨てのコンタクトレンズはソフトコンタクトレンズに限られるため、光学的特性が良好でなく、充分満足する矯正視力が得られないという問題については依然解決されていないのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来技術に鑑みてなされたものであり、コンタクトレンズの成形装置およびそれを用いた成形方法にして、二種以上の異なる素材を用いて、複合レンズ、多焦点または二焦点レンズなどの、コンタクトレンズを成形する際に使用する樹脂型を精度良く嵌合するための方法および装置を提供することであり、レンズのサイズなどを高精度に製造し、樹脂型に影響される重合不良や埃などの付着を防止する方法と装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係わるコンタクトレンズの成形装置は、下記の構成を特徴とする。すなわち、第1の性質を有する素材から成る第1部分と第2の性質を有する素材から成る第2部分を持つコンタクトレンズを、レンズの前面側を形成する樹脂型(a)と、レンズの後面側を形成する樹脂型(b)、および前記樹脂型の一方に組み合わせることによりコンタクトレンズの形状を形成する空間内に凸部を形成しその他の部分は組み合わせる前記樹脂型に対応する前面側もしくは後面側を形成する樹脂型(c)により成形する前記コンタクトレンズの成形装置であって、
(1)可動盤側型板と固定盤側型板からなる金型ブロックを有し、前記各樹脂型を金型ブロック内で成形して、前面側を形成する樹脂型を固定盤側型板に残し、後面側を形成する樹脂型を可動盤側型板にそれぞれ残した状態で金型を開き、固定盤側型板に前記(c)の樹脂型が残る場合(cが前面側の時)はその樹脂型に、(c)が可動盤側型板に残す場合(cが後面側の時)は樹脂型(a)に、第1の性質を有する素材となるモノマー注入する工程、
(2)可動盤側型板を回転ないし位置をずらすことによって樹脂型(c)と対応する面を有する樹脂型(a)または(b)に芯あわせし、金型を閉じて両樹脂型を組み合わせた空間内で第1の性質を有するモノマーを重合する工程
(3)再び金型を開くことにより、重合体は樹脂型(c)の凸部による空間を有した状態で、樹脂型(a)または(b)に固定されて残留する工程
(4)、固定盤側型板に残留する樹脂型(a)に第2の性質を有する素材となるモノマーを注入し、再び可動盤側型板を回転ないし位置をずらすことによって固定盤側型板に残留する樹脂型に対応する他方の樹脂型を芯合わせし、金型を閉じて樹脂型(a)、(b)を嵌合するように金型を閉じる工程
(5)金型ブロック内で、あるいは(a)、(b)を嵌合したまま金型ブロックより取り出してモノマーを完全に重合させることを特徴とする、コンタクトレンズの閉鎖型成形装置であって、射出成形によりコンタクトレンズ用樹脂型を成形する際に、樹脂型(a)、(b)、(c)を金型ブロック内で射出成形し、各樹脂型が固定されたまま前記工程に従って嵌合するように金型を閉じるよう構成される。各樹脂型は同一の金型ブロック内で成型しても良く、別々の金型ブロックで成型して可動盤側型板の移動によって一つのレンズ成形型に嵌合してもよい。
【0011】
上記構成を特徴とする本発明によれば、(1)の段階で金型ブロック内に形成される金型キャビティに樹脂が充填されてコンタクトレンズの前面側樹脂型(a)、後面側樹脂型(b)、凸部を有する樹脂型(c)が成形される。一般に、これら樹脂型は、成形後に金型キャビティから突き出しピンなどにより離型させられ、搬送パレットなどにより次の工程に移動されるが、本発明では、樹脂型を金型に固定した状態のまま次の工程に移る。樹脂の充填後、金型を開く際には、固定盤側型板の金型キャビティには前面側樹脂型(a)が、可動盤側型板の金型キャビティには後面側樹脂型(b)が固定されており、凸部を有する樹脂型(c)が前面側を形成する樹脂型の場合は固定盤側型板に、後面側を形成する樹脂型の場合は可動盤側型板に固定されている。
【0012】
さらにこの(1)の段階で固定盤側型板の金型キャビティに固定された樹脂型(a)または(c)に第1の性質を有する素材を形成するコンタクトレンズ重合用モノマーまたはモノマー混合物を所定量注入する。前記樹脂型は固定されているために、モノマーの注入位置が確実に定まるので、注入時のモノマー液の漏れ等の心配がなく また成型からモノマーが注入されるまでの時間間隔が短いので樹脂型表面に吸収される酸素(後で重合反応の妨げになる)が少ない上に、移動途中での埃等の付着を有効に防止してレンズ素材内への異物混入といった問題を解決することが出来るのである。
【0013】
(2)の工程では固定盤側型板に固定された樹脂型に対応する対の樹脂型を固定した可動盤側型板が、回転もしくは移動するなどして対応する樹脂型が組み合わされるように金型を閉じる。対応する樹脂型の組み合わせとしては、(a)と(c)または(c)と(b)の組み合わせのみである。この工程で凸部を有する樹脂型(c)により第1のモノマーを排除し、レンズの所定の位置に空洞部を形成させることにより、後工程で第2の性質を有する素材を形成するモノマーの部位を確保する。この場合においても、樹脂型はいずれも、金型に固定されているために正確な位置決めが可能で、偏心あるいは芯ずれを起こす様な問題を解決することが出来るのである。
【0014】
(3)の工程では再び金型を開くのであるが、この際に(2)の工程で重合した第1の性質を有する素材は樹脂型(a)または樹脂型(b)に付着して、凸部を有する樹脂型(c)には付着していないことが重要である。これによって、第2の性質を有するモノマー素材の部位が、樹脂型(c)の凸部により形成された空間として重合体に存在することとなる。なお、この場合の金型が開いたときには樹脂型(c)についてはその役目を終えているので、突きだしピンなどにより型板から取り除いても良い。
【0015】
(4)は前記重合体の空間に第2の性質を有する素材となるモノマーを充当する工程である。可動盤側型板を回転ないし位置をずらすことによって固定盤側型板に固定されたレンズの前面側樹脂型(a)に対応する後面側樹脂型(b)を芯合わせし、金型を閉じて樹脂型(a)、(b)を嵌合するように金型を閉じる。(2)の工程同様、樹脂型が固定されているために、モノマーの注入位置が確実に定まるので、注入時のモノマー液の漏れ等の心配がなく正確な位置決めが可能で、偏心あるいは芯ずれを起こす様な問題を解決することが出来る。第1の素材からなる重合体が、樹脂型(a)に存在するときは樹脂型(c)により形成された空間に第2の性質を有する素材となるモノマーを注入すればよいし、樹脂型(b)に存在するときは樹脂型(a)に注入されたモノマーが、嵌合時に前記重合体の空間に充填される。
【0016】
(5)の工程では樹脂型(a)、(b)を嵌合したまま金型ブロック内で、あるいは金型ブロックより取り出してモノマーを完全に重合させる。この時、第2の性質を有するモノマーが、第1の素材に対して浸透性を持っている方が両方の素材の一体的な接着のために好ましい。また、モノマーの注入、樹脂型(a)、(b)の嵌合まで終了しているためこの時点で金型から樹脂型を取り出して、別の重合処理工程に移して金型ブロックを次の樹脂の充填サイクルに使用することも可能である。
【0017】
【実施例】
本発明は、コンタクトレンズの成形に際して、レンズの前面側型と後面側型から構成される空間にレンズ重合用のモノマーを注入したのち重合する方法であって、コンタクトレンズの両面を型内で成形する方法だけでなく、コンタクトレンズブランクとして成形し、片側の面のみ或いは両面を機械加工する方法に対しても好適に適用される。また、第1の性質と第2の性質につては、室温で柔軟性を示すものと室温で硬質な組み合わせ、含水して柔軟になるものと含水せず硬質な組み合わせ、屈折率の高いものと低い物、など各種の組み合わせが可能である。以下図面を参照しながら本発明について 第1の性質が室温で軟質であり、第2の性質が室温で硬質である複合コンタクトレンズであって、前面側(フロントカーブ側)樹脂型(a)と、凸部を有する樹脂型(c)を固定盤側型板に固定し、後面側(ベースカーブ側)樹脂型(b)を可動盤側型板に固定させて成形する場合を例に具体的に説明する。
【0018】
最終的なコンタクトレンズは、図1に示す前面側型(a)と後面側型(b)を嵌合することによって形成されるのであるが、中間工程で凸部1を有する樹脂型(c)と後面側型(b)を組み合わせて、第1の性質を有する周辺部及びレンズの中心部に空間を形成させておき、その空間に第2の性質を有するモノマーを形成して樹脂型(a)と(b)を嵌合させ重合することで得られる。これらの型片の材質は、樹脂の価格、成形容易性、使用する重合用モノマーとの親和性、紫外光透過性などを基準に選択される。樹脂の価格は当然得られる製品の価格に影響するので出来るだけ低価格の樹脂を選択するのが好ましく、成形容易性については金型から正確に表面を転写しなければコンタクトレンズの光学特性、視力矯正力が低下するので成形し易い樹脂材料を選択する。使用する重合用モノマーとの親和性については、重合後にコンタクトレンズを取り出す時の離型性が良くなければ破損や亀裂が生じて製品が得られず、紫外光透過性はモノマーの重合に際して光重合法で行う場合に重要な選択基準となる。前記各条件等を考慮して例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、プロピレンコポリマー、ポリスチレン、ナイロン等から適宜選択される。
【0019】
図1に示すように、コンタクトレンズの前面側型(a)における中央部の湾曲した凹面3は本実施例においては、種々の矯正力(レンズパワー)のレンズに対応するようなフロントカーブを形成できる曲率を有する面に設定してある。一方、後面側型(b)の中央部の凸面2はベースカーブ面を形成できる曲率を有する面に設定してあり、モノマーの重合によって形成されるコンタクトレンズの表面が十分に滑らかなものになっている。樹脂型(c)の中心部には径3〜7mmの円柱状の凸部1が形成されておりその高さは後面型(b)と組み合わせたときに高くても型(b)の凸面と接触する高さ以下である。また樹脂型(a)と樹脂型(b)とを嵌合させて周囲に環状にベベル部やエッジ部を形成する区画4を具備する。いずれの型も、重合工程で、加熱重合を採用する場合や光重合を採用する場合に、熱を伝達させあるいは光を効率よく透過させるために十分に薄く、突きだしピンに耐えるような十分な剛性をもつ構造にする。
【0020】
前記各レンズ型は、固定盤側型板と可動盤側型板よりなる金型ブロック内に形成される金型キャビティに 前記条件から選択された樹脂を射出成形機を通して充填することにより成形される。図2は、前記各樹脂型を一つの金型ブロック内で充填する例をしめしたもので、金型ブロックを開いたときに固定盤側型板5にはモノマーを注入する側のレンズ前面側型(a)および凸部を有する樹脂型(c)が、可動盤側型板6にはレンズ後面側型(b)が固定されている様に型開きする。これまでの一般の成型機は、突き上げピンなどによって金型から成形品を離型させるが、本発明においては、各レンズ型を固定したままコンタクトレンズの重合用モノマーを注入する。図3には固定盤側型板5に樹脂型(c)が、可動盤側型板6に樹脂型(b)が固定されて金型ブロックを開いたところを示している。
【0021】
図4には樹脂型(c)に第1の性質を示すモノマー7を注入する段階を示している。モノマー7は型(c)にポンプなどによって送り込まれるのであるが、事前に重合反応の妨げとなる酸素ガスのガス抜きをしてもよい。このガス抜きにより重合不良や、型(c)とモノマー7との界面にガスがトラップされたり、レンズ中に気泡が発生するなどの問題を解決する事が出来る。
【0022】
固定盤側型板5に固定された型(c)に、第1の性質を有する重合用モノマー7を注入することは、金型から分離された型にモノマーを注入するよりも機械的に容易である。レンズの様に小さな物品を形成するのであるからその型も当然小さな径となり、本発明のようにその位置が正確に定まった状態では、モノマー液が他所へ漏れないように注入可能である。また、加熱溶融された樹脂はその内部に存在するガスが溶融過程で除去され成形後は樹脂の表面が酸素を吸収し易く、この酸素は後に注入されるモノマーの重合に対して悪影響を与えるので、出来る限り早くモノマーの重合に供する方が望ましく、本発明ではその点においても有利な構成となっている。しかも、成形品の表面は埃などの付着物がつきやすいが、金型ブロックからはずして移動させる工程がないので そのような影響も受けないのである。
【0023】
モノマーの注入工程が終わったら、型(c)に型(b)を組み合わせる工程に入る。型(b)はこのとき可動盤側型板に存在するので、型(c)の位置するところに可動盤側型板を回転またはずらして、両方の型を偏心や芯ずれの無いように重ねることになる。図5はこの工程を示したもので、この工程においても両方の型が金型に固定されているので正確な位置を出しやすく、従って機械的に精度良く組み合わせることができるのである。この工程は、空気泡が両型片の間に閉じこめられないよう真空下で行っても良い。両型片は互いに合わさった状態で、金型を閉じることによって締め付けられる。
【0024】
両型片の組み立て締め付け工程の後は、金型ブロック内で加熱して重合硬化させる。樹脂は加熱により膨張変形し易いため金型から分離された状態で高温に加熱することは困難であるが、本発明によればレンズ型は金型のキャビティ内に収容された状態で重合のための加熱をすることができ、この重合工程で、加熱による方法を選択した場合であっても、前記した型の変形を抑えて極めて高い精度を保持することが可能である。
【0025】
このときの重合度は形を保つことができる程度の重合体であれば良く従って重合を完結させる必要はない。再び金型を開く時第1の性質を示す重合体が可動盤側型板側の型(b)に付着している様な樹脂材料を選ぶことが重要である。また、型(c)の役割はこの時点で終了しているので固定盤側型板から除去しておくことが望ましい。
【0026】
次に、第1の性質を示す重合体8の中心部に形成された空間内に第2の性質を示す素材を形成するために、固定盤側型板5に固定された外面側型(a)に、図6に示すように、第2の性質を示す素材を構成するモノマー9を注入する。このモノマーは先に重合した第1の性質を示す重合体に対して浸透性があることが望ましく、前記したように第1の重合体の重合度が低く、重合が完結していない方が第2のモノマーと結合して一体的なコンタクトレンズを形成するためには好ましい。また、注入量は重合体8の中心部の空間に入る程度の少量で良い。
【0027】
図7に示すように、第2の性質を示す素材を形成するモノマー9の注入が終了した後、可動盤側型板6に固定されている型(b)を、固定盤側型板5の型(a)に芯あわせして嵌合する。
【0028】
重合工程は前記したように熱重合または紫外光照射による光重合のみでなく例えば金型ブロック内にあるときは加熱により予備的な重合を進行させ金型ブロックから取り出した後、紫外光に十分な時間さらすことで重合を完結させる方法や、重合の進行に伴って生じる重合収縮を解消するために金型ブロックを閉じる際の型締め力を徐々に上げていき重合を完結させる方法など種々の方法を採用できる。
【0029】
図8、図9にこれまでの流れ図を樹脂型と重合体のみを対称にまとめて示した。重合工程が完了したら、両型片は型外し工程で、コンタクトレンズを両方の型から互いに分離させる。型(a)、(b)は嵌合したときレンズのフロントカーブ、ベースカーブ光学領域及びベベルやエッジが形成される形状になっている。本実施例では、重合完了時にコンタクトレンズの全部の面を型内で形成する例で示しているが、重合後にレンズの片側の面が成形される場合には片方の型片を外したのち機械加工の工程を経て最終的なコンタクトレンズにするための更なる処理(例えばレンズの洗浄、水和、検査、包装および殺菌)を行う。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係わるコンタクトレンズの閉鎖型成形装置によれば、コンタクトレンズの製造に使用するためのモールドを精度良く嵌合するための方法および装置を提供することができ、レンズのサイズなどを高精度に製造し、樹脂型に影響される重合不良や埃などの付着を防止する方法と装置を提供する提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例によるコンタクトレンズ用樹脂型を示す図である。
【図2】図2は各樹脂型を一つの金型ブロック内で充填する例を示す図である。
【図3】図3は本発明の同実施例による金型ブロックを開いたところを示す図である。
【図4】図4は本発明の同実施例による第1の性質を示す素材を構成するモノマーを注入する工程を示す図である。
【図5】図5は本発明の同実施例による型(c)に型(b)を組み合わせる工程を示す図である。
【図6】図6は本発明の同実施例による第2の性質を示す素材を構成するモノマーを注入する工程を示す図である。
【図7】図7は本発明の同実施例による型(a)に型(b)を組み合わせる工程を示す図である。
【図8】図8は本発明の同実施例による第1の性質を示す素材を構成するモノマーを注入後、型(c)を脱型するまでの流れ図である。
【図9】図9は本発明の同実施例による第2の性質を示す素材を構成するモノマーを注入後、型(a)を脱型するまでの流れ図である。
【符号の説明】
1 型(c)の凸部
2 コンタクトレンズの内面を形成する面
3 コンタクトレンズの外面を形成する面
4 ベベル部およびエッジ部を形成する区画
5 固定盤側型板
6 可動盤側型板
7 第1の性質を示す素材を構成するモノマー
8 第1の性質を示す素材
9 第2の性質を示す素材を構成するモノマー
Claims (2)
- 第1の性質を有する素材から成る第1部分と第2の性質を有する素材から成る第2部分を持つコンタクトレンズを、レンズの前面側を形成する樹脂型(a)と、レンズの後面側を形成する樹脂型(b)、および前記樹脂型の一方に組み合わせることによりコンタクトレンズの形状を形成する空間内に凸部を形成しその他の部分は組み合わせる前記樹脂型に対応する前面側もしくは後面側を形成する樹脂型(c)により成形する前記コンタクトレンズの成形装置であって、(1)可動盤側型板と固定盤側型板からなる金型ブロックを有し、前記各樹脂型を金型ブロック内で成形して、前面側を形成する樹脂型を固定盤側型板に残し、後面側を形成する樹脂型を可動盤側型板にそれぞれ固定した状態で金型を開き、固定盤側型板に前記(c)の樹脂型が固定される場合(cが前面側の時)は樹脂型(c)に、(c)が可動盤側型板に固定される場合(cが後面側の時)は樹脂型(a)に、第1の性質を有する素材となるモノマー注入する工程、(2)可動盤側型板を回転ないし位置をずらすことによって樹脂型(c)と対応する面を有する樹脂型(a)または(b)に芯あわせし、金型を閉じて両樹脂型を組み合わせた空間内で第1の性質を有するモノマーを重合する工程(3)再び金型を開くことにより、重合体は樹脂型(c)の凸部による空間を有した状態で、樹脂型(a)または(b)に固定されて残留する工程(4)、固定盤側型板に残留する樹脂型(a)に第2の性質を有する素材となるモノマーを注入し、再び可動盤側型板を回転ないし位置をずらすことによって固定盤側型板に残留する樹脂型に対応する他方の樹脂型を芯合わせし、金型を閉じて樹脂型(a)、(b)を嵌合するように金型を閉じる工程(5)金型ブロック内で、あるいは(a)、(b)を嵌合したまま金型ブロックより取り出してモノマーを完全に重合させることを特徴とする、コンタクトレンズの閉鎖型成形装置。
- 請求項1記載の製造装置により第1の性質を有する素材から成る第1部分と第2の性質を有する素材から成る第2部分を持つ複合コンタクトレンズを製造する方法。
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