JP2000197950A - ステンレス鋼のためのモ―ルドフラックスおよび連続鋳造方法、ならびにステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

ステンレス鋼のためのモ―ルドフラックスおよび連続鋳造方法、ならびにステンレス鋼の製造方法

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JP2000197950A
JP2000197950A JP10372908A JP37290898A JP2000197950A JP 2000197950 A JP2000197950 A JP 2000197950A JP 10372908 A JP10372908 A JP 10372908A JP 37290898 A JP37290898 A JP 37290898A JP 2000197950 A JP2000197950 A JP 2000197950A
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Hiromitsu Shibata
浩充 柴田
Akira Yamauchi
章 山内
Seiji Itoyama
誓司 糸山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳片表層に存在する欠陥の除去のみならず、
熱間圧延時に発生する、圧延ロールと被圧延材の間の焼
き付きに起因する鋼板表面の粗度の悪化と部分的な異常
酸化に起因するスケールの噛み込み欠陥の発生を防止し
て表面性状の良好なステンレス鋼を有利に製造する。 【解決手段】 Cr≧17mass%のステンレス鋼鋳片を、Ca
Oおよび/またはBaO:25〜60wt%、SiO2:10〜25wt
%、Na2O: 5〜20wt%含有し、かつ (CaO +BaO )/SiO
2≧2.5 のフラックスを用いて連続鋳造し、次いで、表
面研削を全く行わずそのまま加熱炉に装入し、鋳片を11
00℃以上にまで加熱してから熱間圧延する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステンレス鋼の連
続鋳造用モールドフラックス、ステンレス鋼の連続鋳造
方法、およびステンレス鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼板は、その表面が美しいこ
とから外装板として利用されることが多く、そのため他
の鋼板に比較して表面品質に対する要求が厳しいのが特
徴である。このような要求に対し、従来、鋳片あるいは
熱間圧延材表面の欠陥、たとえば偏析、介在物、噛み込
みスケールなどをグラインダー等を用いて研削し、除去
することにより、その表面品質を向上させるという方法
で対処してきた。しかしながら、こうした対処法の採用
にもかかわらず、Crを17wt%以上含有するような耐酸化
性の良好なステンレス鋼については、熱間圧延工程で生
成する酸化スケールが少ないため、被圧延材とロールと
の間で焼き付きを起こして鋼板表面の粗度を悪化させた
り、局所的に異常酸化を起こした部分が被圧延材に噛み
込まれ、スケール噛み込み欠陥を発生するという問題が
あった。
【0003】このような問題に対しては、 熱間圧延用潤滑剤の使用などにより、メタル−メタ
ル間 (すなわち、ロールと被圧延材間) の接触、焼き付
きを防止する方法が最も一般的である。 また、特開平8−49018 号公報に開示のように、連
続鋳造時のオシレーションマークや鋳造時の表面傷であ
る鋳片表面欠陥を、アルカリ金属等の酸化物を塗布する
ことにより酸化スケールの成長を促進し、もつてグライ
ンダー手入れ等を施すことなく、表面品質の良好な鋼板
を得る方法がある。 その他の方法としては、特公昭63−56019 号公報に
開示のように、Al含有量の高い溶鋼に対し、SiO2含有量
の低いモールドパウダー:即ち、CaO :4.0 wt%〜60wt
%、Al2O3 :20〜40wt%、MgO :0.5 〜5.0 wt%、C:
0.5 〜2.0 wt%、Na2O:0.1 〜5.0 wt%、CaF2:1〜10
wt%を含有し、かつSiO2を7wt%以下に規制した湯面被
覆用パウダーを使用することにより、そのパウダー中に
含まれる還元されやすい酸化物による溶鋼汚染を防止す
る方法がある。
【0004】しかしながら、上記各従来技術はなお、次
のような問題点を残していた。 熱間圧延用潤滑剤を使用する方法;この方法におい
て、熱間圧延時に潤滑作用の大きな潤滑剤を用いると、
被圧延材と圧延ロール間の摩擦抵抗までもが極端に低下
するため、特に粗ミルや仕上げミル前段のように圧延ロ
ールに対して被圧延材の噛み込み角度が大きい圧延のと
きに、たびたび噛み込み不良が生じるという問題があっ
た。もし、このようなトラブルが発生すると、その復旧
には多大な時間を必要とし、生産性が低下するため、実
操業ではこのような潤滑剤は実質的に使用できなかっ
た。そのため、実操業では、潤滑剤の潤滑能力を制限せ
ざるを得ず、そのために十分な効果が得られないという
問題があった。また、圧延潤滑剤は、スケール上の異常
酸化部に発生する噛み込み状欠陥の抑制には不向きであ
ることから、結局、熱間圧延後の製品表面の研削を省略
できるまでには至っていないのが実情である。
【0005】 アルカリ金属等の酸化物を塗布する方
法;この方法において、鋳片に酸化物を塗布して加熱炉
に装入しても、搬送ロールや加熱炉内の鋳片搬送装置と
の接触時に酸化物が剥離するし、また、鋳片の温度低下
時にもスラブと酸化物との熱収縮差に起因して部分的に
剥離する。このため、酸化物塗布の効果が鋳片表面の全
面に及ぼすことができず、部分的に従来と同様の欠陥が
発生する。さらには、ロールとの焼き付きが顕著な鋼種
では、ロールが荒れた状態になり、結局、熱間圧延後の
製品表面に対する手入れを省略できないという問題があ
った。また、後述するように、鋳片にはモールドフラッ
クスが付着するが、この付着量が多い場合には、上記酸
化物の塗布効果が失われてしまうという問題もあった。
【0006】 SiO2含有量の低いモールドパウダーを
使用する方法;特公昭63−56019 号公報に開示されてい
るモールドパウダーは、たとえばCrを17wt%以上含有す
るようなステンレス鋼の連続鋳造に用いた場合、鋳造後
の鋳片表面におけるモールドフラックスの付着量が極め
て低下するため、十分な効果が得られないという問題が
あった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の第1
の目的は、鋳片表面への付着残留特性に優れたステンレ
ス鋼連続鋳造用モールドフラックスの好適な成分組成を
提案することにある。本発明の第2の目的は、ステンレ
ス鋼の連続鋳造に当たって、鋳片の円滑な引き抜きと表
面欠陥の少ない鋳片を連続鋳造するための方法を提案す
ることにある。本発明の第3の目的は、鋳片表層に存在
する欠陥の除去のみならず、熱間圧延時に発生する、圧
延ロールと被圧延材の間の焼き付きに起因する鋼板表面
の粗度の悪化と部分的な異常酸化に起因するスケールの
噛み込み欠陥の発生を防止して表面性状の良好なステン
レス鋼を有利に製造する方法を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、従来技術が
抱えている上述した問題点を解決するための方策につい
て鋭意検討した。その結果、下記のような知見を得て本
発明を開発するに至った。 (1) モールドフラックス組成および温度と鋳片の酸化挙
動 まず、発明者らは、CaO および/またはBaO 、Al2O3
SiO2、Na2Oを含有する種々の混合物 (パウダー) をステ
ンレス鋼板の表面に塗布し、熱間圧延前の加熱と同じ条
件の酸化実験を行った。その結果、以下のような知見を
得た。それは、CaO および/またはBaO を合計で60wt%
以下、好ましくは25〜60wt%、SiO2を25wt%以下、Na2O
を20wt%以下、必要に応じ、Al2O3 を10〜30wt%含有
し、かつ (CaO +BaO ) /SiO2≧2.5 を満足する成分組
成の混合物については、ステンレス鋼板の全表面の酸化
が促進され均一に異常酸化されることを見出した。この
ような酸化現象は、上記組成の混合物の場合、ステンレ
ス鋼の保護皮膜であるCrおよびFeの酸化物と反応し、液
相化することにより、その保護作用が著しく低下するこ
とにより生ずるものである。そして、このような反応が
起こるための条件は、混合物の組成により異なるもの
の、1100℃以上の温度であれば、上記のすべての組成範
囲内で必要な作用効果が得られることがわかった。
【0009】(2) モールドパウダーの組成と鋳片表面残
留量 次に、発明者らは、上記(1) のフラックスを、ステンレ
ス鋼連続鋳造用モールドフラックスとして使用するに適
した融点、粘性となるように成分調整し、実際のステン
レス鋼の連続鋳造に供した。このときに得られた連鋳鋳
片を加熱炉で加熱し、鋳片表面の酸化挙動を調査した。
その結果、SiO2を10wt%以上でかつNa2Oを5wt%以上含
有していないと、鋳片へのフラックスの付着残存が不十
分となり、鋳片の全表面が均一に酸化促進されないこと
を見いだした。すなわち、モールドフラックスの組成
は、SiO2:10wt%以上、Na2O:5wt%以上のときに、加
熱炉内で酸化を促進するに十分な付着量 (10g/m2
上) が得られることがわかった。
【0010】本発明は、こうした知見に基づき開発した
ステンレス鋼の連続鋳造用モールドフラックスであり、
溶融後の組成が、CaOおよび/またはBaO:25〜60wt
%、SiO2:10〜25wt%、Na2O: 5〜20wt%含有し、かつ
(CaO +BaO ) /SiO2≧2.5 であることを特徴とする。
特に、CaO:60wt%以下、BaO :60wt%以下、Al2O3
10〜30wt%、SiO2:10〜25wt%、Na2O: 5〜20wt%、
F:15wt%以下、Li2O:5wt%以下、TiO2:8 wt%以
下、C:0.5 〜5.0 wt%、その他、不可避的不純物から
構成され、かつ (CaO +BaO ) /SiO2≧2.5 の条件を満
足するモールドフラックスの組成にすることが好まし
い。
【0011】また、本発明は、Cr≧17mass%のステンレ
ス鋼鋳片の連続鋳造において、モールド内には上記成分
組成のフラックスを用いて連続鋳造することを特徴とす
るステンレス鋼の連続鋳造法を提案する。
【0012】さらにまた、本発明は、上記のようにして
得られた連続鋳造鋳片を、グラインダー等による表面研
削を全く行わずそのまま加熱炉に装入し、鋳片を1100℃
以上にまで加熱してから熱間圧延することにより、圧延
ロールと被圧延材の間の焼き付きに起因する鋼板表面の
粗度の悪化を防止するとともに、部分的な異常酸化に起
因するスケールの噛み込み欠陥の発生等を防止するステ
ンレス鋼の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、上述したように、ステ
ンレス鋼鋳片表層に存在する欠陥の除去のみならず、熱
間圧延時に発生する、圧延ロールと被圧延材の間の焼き
付きに起因する鋼板表面の粗度の悪化と部分的な異常酸
化に起因するスケールの噛み込み欠陥の発生を防止する
ステンレス鋼連続鋳造用のモールドフラックスおよびそ
のフラックスを用いた連続鋳造法と、ステンレス鋼の製
造方法である。
【0014】本発明において処理対象とする鋳片は、連
続鋳造法により鋳造された、特に、Cr≧17mass%のステ
ンレス鋼が対象となる。このような成分系のステンレス
鋼の場合、熱間圧延前に鋳片を加熱炉にて加熱しても、
耐酸化性に優れたCr2O3 層が生成するため、熱間圧延工
程で生成する酸化スケールが極めて少なく、被圧延材と
ロールとの間で焼き付きを起こして鋼板表面の粗度を悪
化させたり、局所的に異常酸化を起こした部分が圧延時
に被圧延材に噛み込まれ、スケールの噛み込み欠陥が発
生したりして問題となる鋼種である。
【0015】一般に、鋼の連続鋳造時にモールド内溶鋼
表面に添加されるモールドパウダーは、やがてその溶鋼
表面で溶融してモールドフラックスとなった後、鋳型と
鋳片との間に潤滑剤として流入する。そして、最終的に
は鋳片表面に付着した形でモールド (鋳型) 外に抽出さ
れる。このとき、鋳片表面には当初、300 〜500 g/m2
モールドフラックスが付着しているが、その後の2次冷
却帯にてほとんどのフラックスは剥離してしまう。発明
者らの調査によれば、加熱炉装入時の最終的な付着量
は、モールドフラックスの組成によっても異なるが、お
おむね 5〜50g/m2程度に減少することがわかった。
【0016】このような条件下で使用される本発明にか
かるモールドフラックスは、塩基性成分としてCaO およ
び/またはBaO を含有する。これらの成分は、加熱炉で
鋳片を加熱したときに、ステンレス鋼中に含まれるCrが
酸化されることにより生成するCr酸化物を、フラックス
層中に吸収する作用がある。本発明の考え方の基本は、
このようなCr酸化物吸収能を積極的に利用して、鋳片表
面の酸化を促進させることにある。なお、CaO および/
またはBaO の含有量は、25〜60wt%とする。この理由
は、これらの含有量が25wt%未満ではCr酸化物吸収能が
不十分になり、一方、60wt%超ではフラックスの融点が
著しく高くなり、連続鋳造の際に鋳片と鋳型の隙間に溶
融, 流入して潤滑を確保するというモールドフラックス
としての基本的な性能に欠けることになるためである。
【0017】また、本発明のモールドフラックスは、Si
O2とNa2Oを含有する。そのSiO2は、連続鋳造のモールド
フラックスとして必須のガラス状溶融物を形成するため
に必要である。上述したように、モールドフラックスと
いうのは、鋳片が加熱炉に装入されるまでその表面に止
まり残存していることが必要である。そこで、このよう
なモールドフラックスの残存を可能ならしめるためにSi
O2の含有量は少なくとも10wt%は必要である。一方、こ
のSiO2含有量が25wt%を超えると、フラックスのCr吸収
能をむしろ低下させるので、上限は25wt%と定めた。
【0018】次に、Na2Oは、フラックスの融点を低下さ
せる作用があるほか、鋳片表面の酸化を促進する働きが
あり、かつSiO2と同じように鋳片表面へのフラックスの
残存を促進する作用がある。このNa2O含有量が5wt%未
満では、鋳片表面の酸化促進効果はあるものの、鋳片表
面への付着能が不十分となるので、下限は5wt%とし
た。一方、このNa2O含有量が20wt%を超えると、フラッ
クスの反応性が著しく高くなり、加熱炉内で鋳片を保持
するスキッドをも酸化損耗させるおそれがあることか
ら、その上限は20wt%とした。
【0019】また、本発明にかかるモールドフラックス
は、 (CaO +BaO ) /SiO2の比率を2.5 以上に調整す
る。この理由は、フラックスのCr酸化物吸収能は、単に
塩基性成分であるCaO および/またはBaO の合計含有量
が多いだけでは不十分で、酸性成分であるSiO2との比が
2.5 以上を示すことが必要だからである。
【0020】なお、本発明のモールドフラックスは、上
記の成分組成の採用を基本とするが、その他にステンレ
ス鋼の連続鋳造用モールドフラックスとしての一般的な
性能を維持するために、従来から普通に含まれる成分を
添加することはなんら差し支えない。そのような成分と
しては、Al2O3 、F、LiO2、TiO2、Cなどを挙げること
ができる。 上記Al2O3 は、モールドフラックスの基材として、
CaO , SiO2とならんで最も一般的に含有する成分であ
り、フラックスの融点を低下させる働きがある。好まし
い含有量は10〜30wt%である。このように限定した理由
は、10wt%未満では融点の低下の効果が不十分となり、
30wt%を超えるとフラックスの粘性を高めて鋳片と鋳型
間へのモールドフラックスの流入を妨げることが多いか
らである。 上記Fは、通常、CaF2などの形態で添加されるもの
であり、フラックスの融点を低下させる働きがあるが、
多すぎるとフラックスの溶融が速くなりすぎてフラック
スの消費量が過大となるので、15wt%以下の範囲で使用
することが好ましい。 上記LiO2は、フラックスの融点および粘性を低下さ
せる働きがあり、基本的成分であるCaO 、BaO 、SiO2
Al2O3 の範囲を大きく変えずに融点、粘性を調整する作
用があるので、5wt%以下の使用にとどめるのが好まし
い。 上記TiO2は、少量でフラックスに粘性を増大させる
働きがあり、基本的成分であるCaO 、BaO 、SiO2、Al2O
3 の範囲を大きく変えずに粘性を調整できる作用がある
ので、8wt%以下の使用にとどめるのが好ましい。 上記Cは、モールドフラックスの伝熱を向上させる
働きがあり、通常 0.5〜5wt%の範囲で使用される。5
wt%を超えるとモールドフラックスの伝熱効果が乏し
く、0.5 wt%未満ではモールドフラックスの粘性を高め
るので、上記範囲で使用するのが好ましい。
【0021】本発明の上記成分組成にかかるモールドフ
ラックスの場合は、鋳片表面へのフラックスの付着量が
10 g/m2以上となる。一方、上記の条件を満足しない成
分組成のフラックスの場合に、鋳片表面へのモールドフ
ラックスの付着量は10 g/m2未満となる。ところで、鋳
片表面にこの付着残存したモールドフラックスは、熱間
圧延前の加熱過程で再溶融するが、上述したように、本
発明にかかるモールドフラックスは塩基度 ( (CaO +Ba
O ) /SiO2) が2.5 以上と、従来の一般的なものと比較
して著しく高いため、Cr酸化物を多く含有する保護皮膜
を溶解しその耐酸化性を著しく低下させる。特に、その
付着量が10 g/m2以上でかつ加熱温度が1100℃以上にな
る場合には、加熱後の鋳片表面が均一に異常酸化するた
め、鋳片表層に介在する欠陥が加熱炉出側でのデスケー
リング装置によりスケールとして除去されるのみなら
ず、局所的にスケールが深く食い込んでいるような箇所
も存在しなくなるので、圧延時のスケール噛み込み欠陥
も発生しなくなる。一方、異常酸化したその下地のメタ
ル部では、異常酸化に伴いCr濃度が著しく低下するた
め、圧延中にも被圧延材の表面に多量にスケールが生成
することになり、結果としてロールとの焼き付きを防止
して鋼板の粗度の悪化をまねくことなく、良好な表面性
状のステンレス鋼板を得ることができる。
【0022】
【実施例】表1に示すような成分組成のステンレス鋼を
それぞれ、表2に示す成分組成を有するモールドフラッ
クスを用い、連続鋳造設備 (機長25.6m)を用いて、鋳
造速度 0.7〜1.3 m/min のもとで鋳造し、このようにし
て得られた幅 900〜1560mm、厚さ 200mm、長さ 7mの鋳
片を、グラインダー等による研削を行わず、そのまま加
熱炉へ装入 (装入時鋳片表面温度:600 〜900 ℃、抽出
時鋳片表面温度:試料No.1, 2 は1220〜1250℃、試料N
o.3〜5 は1130〜1160℃、在炉時間70〜100 分) し、こ
れを熱間圧延 (粗圧延;7パス、仕上げ圧延;7スタン
ド、仕上げ入側の板厚28mm、仕上げ出側の板厚3.0mm)し
て得られた鋼板について焼鈍, 酸洗し、その表面欠陥の
発生状況を調査した。
【0023】その結果を、フラックス付着量とともに表
3に示す。ここで、欠陥発生指数は、その後の工程で表
面欠陥を除去するためコイルグラインダーを実施した割
合である。その欠陥は、主に介在物、偏析、スケール噛
み込みに起因する筋状の欠陥と、ロール焼き付きによる
表面粗度の悪化による欠陥に大別されるため、それぞれ
の発生率で示した。表3に示すように、モールドフラッ
クスの塩基度が2.5 以上、SiO2が10wt%以上、かつNa2O
が5wt%以上を含有するものに限り、筋状の欠陥および
粗度の悪化による欠陥の両方の欠陥発生指数が大幅に低
下していることがわかる。一方、フラックスの上記塩基
度が2.5 以上であっても、SiO2が10wt%未満あるいはNa
2Oが5wt%未満である場合には、フラックス付着量が10
g/m2未満に低下するため、欠陥発生指数も従来のモー
ルドフラックスを使用していた場合とほとんど変わって
いないことがわかった。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
鋳片表面への付着残量の多いモールドフラックスを得る
ことができると共に、そのことのためにステンレス鋼の
連続鋳造を表面欠陥や鋳造トラブルを招くことなく円滑
に行うことができる。さらには、本発明製造方法の採用
によると、ステンレス鋼鋳片表面に存在する欠陥の除去
のみならず、熱間圧延ロールと被圧延材の間の焼き付き
に起因する鋼板表面の粗度の悪化、および部分的な異常
酸化に起因するスケールの噛み込み欠陥の発生を防止す
ることができるため、鋼板表面の欠陥部を除去するため
に実施するコイルグラインダーの負荷を大幅に低減する
ことが可能となり、製品歩留りも向上する。しかも、本
発明方法の採用によれば、圧延ロール面の荒れ防止によ
る交換回数減少による熱延装置の稼動率向上が期待で
き、従来法と比較して格段の効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 糸山 誓司 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融後の組成が、CaOおよび/またはBa
    O:25〜60wt%、SiO2:10〜25wt%、Na2O: 5〜20wt%
    含有し、かつ (CaO+BaO) /SiO2が2.5 以上であるこ
    とを特徴とするステンレス鋼のためのモールドフラック
    ス。
  2. 【請求項2】 Cr≧17mass%のステンレス鋼鋳片の連続
    鋳造において、請求項1に記載のモールドフラックスを
    用いて鋳造を行うことを特徴とするステンレス鋼の連続
    鋳造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2の連続鋳造方法によって得られ
    た連続鋳造鋳片を無手入れのまま1100℃以上に加熱して
    熱間圧延することを特徴とするステンレス鋼の製造方
    法。
JP10372908A 1998-12-28 1998-12-28 ステンレス鋼のためのモ―ルドフラックスおよび連続鋳造方法、ならびにステンレス鋼の製造方法 Pending JP2000197950A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003094150A (ja) * 2001-09-19 2003-04-02 Nippon Yakin Kogyo Co Ltd TiおよびAl含有鋼用連続鋳造パウダーおよび連続鋳造方法
JP2008254002A (ja) * 2007-03-31 2008-10-23 Nippon Steel & Sumikin Metal Products Co Ltd Ti含有ステンレス鋼の連続鋳造用フラックスおよびそれを使用した連続鋳造方法
JP2012125826A (ja) * 2010-12-17 2012-07-05 Jfe Steel Corp 連続鋳造用モールドパウダー及び連続鋳造方法

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