JP2000195673A - 有機エレクトロルミネッセント素子及び発光素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセント素子及び発光素子

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JP2000195673A
JP2000195673A JP10370801A JP37080198A JP2000195673A JP 2000195673 A JP2000195673 A JP 2000195673A JP 10370801 A JP10370801 A JP 10370801A JP 37080198 A JP37080198 A JP 37080198A JP 2000195673 A JP2000195673 A JP 2000195673A
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Sukeyuki Fujii
祐行 藤井
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Sanyo Electric Co Ltd
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    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
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    • HELECTRICITY
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発光層などにおいて分子の凝集などの物理的
変化が起こり難く、保存耐久性や連続発光時の素子の寿
命が向上すると共に、偏光成分からなる発光を得ること
ができる有機エレクトロルミネッセント素子などの発光
素子を得る。 【解決手段】 キラル化合物の発光作用及び/または電
子励起過程による光波長変換作用を利用し、キラル化合
物の鏡像異性体のうち、一方の鏡像異性体を他方の鏡像
異性体よりも過剰に含有させるか、あるいは等量含有し
たラセミ混合物として含有させることを特徴としてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機物質の蛍光な
どの光物性を利用した発光素子に関し、特に有機化合物
からなる積層構造薄膜に電界を印加して光を放出する電
界発光(エレクトロ・ルミネッセンス:EL)素子に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】有機エレクトロルミネッセント素子(有
機EL素子)は、蛍光性有機化合物を含む薄膜を、陽極
と陰極とで挟んだ構成を有し、薄膜に電子及び正孔を注
入して再結合させることにより励起子(エキシトン)等
の電子励起状態を生成させ、この電子励起状態が失活す
る際の光の放出(蛍光、燐光、遅延蛍光、エネルギー移
動に伴う発光現象等)を利用して発光する素子である。
【0003】有機EL素子の特徴は、10V程度の低電
圧で、100〜10000cd/m 2 程度の高輝度の面
発光が可能であり、また蛍光性有機化合物の種類を選択
することにより青色から赤色までの任意の色彩で発光が
可能なことである。
【0004】一方、有機EL素子の問題点としては、
(1)連続発光時の素子の寿命が短く、保存耐久性、信
頼性が低いこと、(2)外部から照射された光が、陰極
(または陽極)で反射され易く、ディスプレイとして明
るい場所で用いる場合にコントラストが低下する場合が
あること、(3)液晶ディスプレイや、立体画像表示デ
ィスプレイの光源として用いる場合に有用な偏光成分か
らなる発光を得られ難いこと、などが挙げられる。
【0005】問題点(1)の原因としては、有機化合物
に物理的変化や、光化学的変化または電気化学的変化が
起こることなどが挙げられる。物理的変化の具体例とし
ては、通電による温度上昇や経年変化により結晶ドメイ
ンの成長などが起こり、有機化合物層内で不均一化が生
じ、素子の電荷注入能の劣化、短絡や絶縁破壊の原因と
なることなどがある。特に分子のモル質量270g/m
ol以下の低分子化合物を用いると、分子相互間に作用
する分子間引力が弱くなりすぎ、分子の再配列が起こり
易くなる結果、結晶粒の出現や成長が起こり易い傾向が
強く、有機EL素子の性能が著しく低下することがあ
る。また、インディウム−錫酸化物等からなる電極の界
面が荒れていて平坦でないと、顕著な結晶粒の出現や成
長が起こり易く、発光効率の低下や、電流のリークを起
こし、発光しない部分を生じる原因になり易い。
【0006】特に、前記の問題点(1)を解決するた
め、低分子のアモルファス性化合物や、高分子化合物が
検討されている。しかし、低分子化合物は蒸着できるが
耐熱性があまり良くない。また、高分子化合物は比較的
耐熱性が高いが、蒸着できないので積層構造が採り難
く、スピンコート法などで成膜するために残留溶媒や不
純物が混入し易く、電極や有機物の劣化が著しいなどの
プロセス上に大きな問題がある。従って、これらの問題
を改善することが可能な有機化合物の適用が望まれてい
る。
【0007】一方、最近、素子性能の向上を目的とし
て、機能の異なる化合物を2種以上混合した混合層を設
けたEL素子が種々提案されている。例えば、特開平2
−250292号公報には、輝度、及び耐久性の向上を
目的として、正孔輸送能、及び発光機能を有する有機化
合物と電子輸送能を有する有機化合物との積層構造の薄
膜、あるいは混合体薄膜を発光層に用いる旨が、また特
開平2−291696号公報には、正孔輸送機能を有す
る有機化合物と電子輸送能を有する蛍光有機化合物との
混合体薄膜を発光層に用いる旨が提案されている。
【0008】さらに、特開平4−178487号公報、
及び特開平5−78655号公報には、有機発光体薄膜
層の成分が有機電荷輸送材料と有機発光材料の混合物か
らなる薄膜層を設け、濃度消光を防止して発光材料の選
択幅を広げ、高輝度なフルカラー素子とする旨が提案さ
れている。
【0009】また、有機化合物層に混合されるドーパン
トとして、ルブレン(すなわち 5,6,11,12-Tetrapheny
lnaphthacene)を用いたものが提案されている。ルブレ
ン分子の構造は、特開平8−231951号公報の化5
などに示されている。
【0010】ルブレンをドープ(添加)したものとして
は、トリフェニルジアミン誘導体(TPD)からなる正
孔輸送層にルブレンをドープした黄色に発光する素子が
提案されており、輝度半減期が大きく向上することが報
告されている〔藤井、佐野、藤田、浜田、柴田、第59
回応用物理学学術講演会講演予稿集、29p−ZC−7
(1993)及びIEICE Trans. Electron., Vol.E81-C
(7), pp.1034-1040(1998)を参照されたい〕。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の有機EL素子は、連続発光時の素子の寿命や耐熱性
などの点で十分に満足できるものではなかった。
【0012】また、上記従来の有機EL素子などの発光
素子においては、発光素子の内部で放出された光が外部
に取り出されるまでに、電荷輸送材料や発光材料によっ
て吸収されるが、従来はこのような電荷輸送材料や発光
材料による発光の吸収は無視されており、このような光
吸収による損失を低減するための提案は成されていな
い。
【0013】また、液晶ディスプレイや、立体画像表示
システムなどにおいては、光の偏光成分が用いられる
が、このような偏光成分は一般に偏光板等を用いること
により取り出されており、光源自体が特定の偏光成分を
発光するような光源についての検討は成されていない。
【0014】本発明の第1の目的は、特に物理的変化や
光化学的変化などの少ない光電子機能を有する有機化合
物を電荷輸送材料、発光材料、及び波長変換材料として
用い、保存耐久性、信頼性及び発光効率が高く、かつ種
々の発光色を発光することが可能な発光素子を提供する
ことにある。特に、素子駆動時の電圧上昇や電流のリー
ク、部分的な非発光部の出現や成長を抑えることができ
る信頼性の高い発光素子を提供することにある。
【0015】本発明の第2の目的は、発光素子の内部で
放出された光が外部に取り出されるまでに、電荷輸送材
料や発光材料によって吸収され難い、新たな発光素子の
構造を提供することにある。また、発光素子の外部から
入射した光が、陰極(または陽極)で反射されても、発
光素子の外部に出射され難い構造とすることにより、デ
ィスプレイとして明るい場所で用いる場合においてもコ
ントラストが低下し難い発光素子において、発光素子内
部での光の利用効率を高めることができる新たな発光素
子の構造を提供することにある。
【0016】本発明の第3の目的は、液晶ディスプレイ
や立体画像表示システムなどの光源として有用な、特定
の偏光成分を優先的に発光することができる発光素子を
提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明の
有機EL素子は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電
子輸送層、電子注入層、及びこれらの層の2つ以上を複
合化した複合化層のうちの少なくとも1つの層中にキラ
ル化合物を含有させたことを特徴としている。
【0018】キラル化合物とは、分子内対称性を持たな
い不斉分子化合物であり、一対の鏡像異性体が存在する
化合物である。一対の鏡像異性体とは、右旋光性の鏡像
異性体と左旋光性の鏡像異性体であり、これらが等量含
まれているものを一般にラセミ混合物と称している。キ
ラル化合物には、不斉炭素を有している化合物と、分子
不斉を有している化合物が一般に知られているが、本発
明におけるキラル化合物は、これらの双方を含むもので
ある。
【0019】電荷輸送材料、発光材料及び波長変換材料
等として好適なキラル化合物としては、ヘリセン誘導体
を挙げることができる。ヘリセン誘導体は、少なくとも
5個の芳香族環が縮合して、らせん状の立体構造を有す
る化合物またはその誘導体である。本発明における好ま
しいヘリセン誘導体としては、6〜13個の芳香族環が
縮合して、らせん状の立体構造を有するヘリセン誘導体
を挙げることができる。具体的には、6個の芳香族環が
縮合して、らせん状の立体構造を有するヘキサヘリセン
またはその誘導体、9個の芳香族環が縮合して、らせん
状の立体構造を有するノナヘリセンまたはその誘導体、
13個の芳香族環が縮合して、らせん状の立体構造を有
するトリデカヘリセンまたはその誘導体を挙げることが
できる。ヘリセン誘導体としては、ベンゼンとフラン、
ピリジン、ピロール等のヘテロ環との共縮合環からなる
化合物であるヘテロヘリセン類を用いることもできる。
本発明において用いるヘリセン誘導体は、その芳香族環
に種々の置換基が付いたものであってもよい。また、本
発明において用いるキラル化合物は、ヘリセン誘導体を
構造の一部に有する化合物であってもよい。代表的なヘ
リセン誘導体の骨格を化1に示す。
【0020】
【化1】
【0021】ヘリセン誘導体については、例えば、Rich
ard Henri Martin(Universite Librede Bruxells, Belg
ium)による Angew. Chem. Internat. Edit., 13(10),
pp.649-660(1974)や、J. Brunvoll(University of Tron
dheim, Norway)らによる Top. Curr. Chem. ,Vol.125(S
tereochemistry), pp.63-130(1984)や、Kenneth K. Laa
li(Kent State University, USA)らによる J. Chem. So
c., Perkin Trans. 2,pp.1303-1308(1984)や、Structur
al Chemistry, Vol.7(2), pp.119-130(1996)や、後述す
る公開特許公報などに記載されている。本発明のヘリセ
ン誘導体の合成方法としては、特に制限はないが、例え
ば、Wittig反応やSiegrist反応により合成した 1,2-dia
rylethylenes、bis(arylvinyl)arenes等を光環化するこ
となどにより得ることができる。
【0022】ヘリセン誘導体に関しては、光を短波長に
変換する非線形光学材料としてヘリセン誘導体を用いる
ことが従来より提案されている(例えば、特開平5−1
00265号公報、特開平5−27281号公報、特開
平5−27282号公報、特開平5−273613号公
報、特開平5−273614号公報など)。しかしなが
ら、ヘリセン誘導体を電荷輸送材料及び発光材料や、電
子励起過程により一次光のピークよりも長波長側にピー
クを有する二次光に変換する波長変換材料に使用する例
は従来より知られていない。
【0023】本発明に用いることのできるキラル化合物
の例は、例えばRyoji Nayori(Nagoya University, Japa
n)らによる Bull. Chem. Soc. Jpn., Vol.68(1), pp.36
-55(1995) などに例示されている。
【0024】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の有機EL素子の発光層中にキラル化合物が含有されて
おり、キラル化合物の鏡像異性体のうち、一方の鏡像異
性体を他方の鏡像異性体よりも過剰に含有することによ
り、該一方の鏡像異性体に対応した円偏光成分を相対的
に多く含む光を出射することを特徴としている。請求項
2に記載の発明においては、キラル化合物の鏡像異性体
のうち、一方の鏡像異性体を他方の鏡像異性体よりも過
剰に含有することにより、キラル化合物の光学活性を利
用している。
【0025】一方の鏡像異性体を他方の鏡像異性体より
も過剰に含有するキラル化合物の合成方法は、一対の鏡
像異性体を等量含有するキラル化合物のラセミ混合物で
ある、キラル化合物の(±)−体から、HPLC法など
により光学分割する方法の他、円偏光の照射による光化
学反応で光学活性を発現させる絶対不斉合成(Absolute
Asymmetric Synthesis)法などを用いることもできる。
絶対不斉合成については、例えば、H. Kagan(Faculte d
es Sciences, Orsay, France) らによる J. Am. Chem.
Soc., Vol. 93(9),pp.2353-2354(1971)や、Melvin Cal
vin(Universityof California, USA)らによる J. Am. C
hem. Soc., Vol.94(2), pp.494-498(1972) や、Ryoji N
ayori(Nagoya University, Japan)らによる Bull. Che
m. Soc.Jpn., Vol.68(1), pp.36-55(1995) などに例示
されている。
【0026】請求項3に記載の発明では、請求項1に記
載の有機EL素子の発光層中にキラル化合物がラセミ混
合物として含有されていることを特徴としている。請求
項4に記載の発明の発光素子は、発光部と、該発光部か
らの出射光の波長を変換する光波長変換部とを備えてお
り、光波長変換部にキラル化合物が含有されており、キ
ラル化合物の電子励起過程により発光部からの出射光の
波長を変換して出射することを特徴としている。
【0027】このような発光部と光波長変換部とを備え
る発光素子としては、例えば、特願平8−340979
号に開示された波長変換型発光装置や、特開平8−63
119号公報に開示された波長変換型発光装置などを挙
げることができる。発光部は、特に限定されるものでは
なく、例えば、窒化ガリウムや炭化ケイ素などの無機化
合物半導体を用いた発光ダイオードなどを発光体として
用いることができる。
【0028】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の発明において、キラル化合物の鏡像異性体のうち、一
方の鏡像異性体を過剰に含有することにより、該一方の
鏡像異性体に対応した円偏光成分を相対的に多く含む光
に変換することを特徴としている。
【0029】請求項6に記載の発明は、請求項4に記載
の発明において、キラル化合物がラセミ混合物として光
波長変換部に含有されていることを特徴としている。請
求項7に記載の発明の発光素子は、キラル化合物の発光
作用及び/または電子励起過程による光波長変換作用を
利用し、かつキラル化合物の鏡像異性体のうち、一方の
鏡像異性体を他方の鏡像異性体よりも過剰に含有するこ
とにより、該一方の鏡像異性体に対応した円偏光成分を
相対的に多く含む光を出射することを特徴としている。
【0030】請求項8に記載の発明の発光素子は、第1
のキラル化合物の発光作用及び/または電子励起過程に
よる光波長変換作用を利用し、かつ第1のキラル化合物
の鏡像異性体のうち、一方の鏡像異性体を他方の鏡像異
性体よりも過剰に含有することにより、該一方の鏡像異
性体に対応した円偏光成分を相対的に多く含む光を出射
する光源部と、該光源部からの出射光が素子外部に取り
出されるまでの経路の途中に設けられ、かつ光源部から
出射される円偏光成分を選択的に透過し、逆方向の円偏
光成分を選択的に吸収するように、第2のキラル化合物
の鏡像異性体のうち、一方の鏡像異性体を他方の鏡像異
性体よりも過剰に含有する光学フィルター部とを備える
ことを特徴としている。
【0031】請求項8に記載の発明において、光源部に
含有される第1のキラル化合物と、光学フィルター部に
含有される第2のキラル化合物は、同一のキラル化合物
であってもよいし、異なる種類のキラル化合物であって
もよい。
【0032】請求項9に記載の発明は、請求項8に記載
の発明の発光素子において、光学フィルター部が、光源
部から出射される円偏光成分を選択的に透過し、逆方向
の円偏光成分を選択的に吸収するための具体的な条件を
示しており、請求項9に記載の発明においては、光学フ
ィルター部において相対的に多く含有される第2のキラ
ル化合物の鏡像異性体が、目的波長に対する光旋回性に
おいて、光源部に相対的に多く含有される第1のキラル
化合物の鏡像異性体と逆方向になるように選定されてい
る。
【0033】請求項10に記載の発明の発光素子は、キ
ラル化合物の発光作用及び/または電子励起過程による
光波長変換作用を利用し、かつキラル化合物の鏡像異性
体のうち、一方の鏡像異性体を他方の鏡像異性体よりも
過剰に含有することにより、該一方の鏡像異性体に対応
した円偏光成分を相対的に多く含む光を出射する光源部
と、該光源部の光出射側に設けられ、光源部から出射さ
れる円偏光成分を選択的に透過する円偏光手段とを備え
ることを特徴としている。
【0034】請求項11に記載の発明では、請求項10
に記載の発明において、円偏光手段により、外部光は光
源部に入射するが、光源部からの反射光は外部に出射し
ないように遮蔽されていることを特徴としている。
【0035】請求項12に記載の発明では、請求項10
に記載の発明の発光素子の円偏光手段が、直線偏光板と
1/4波長板で構成されていることを特徴としている。
1/4波長板は、例えば、複数の複屈折板によって構成
することができる。より具体的には、複屈折特性の異な
る複数の複屈折板により構成することができる。また、
1/4波長板は、直線偏光板の偏光軸に対して45度も
しくはそれと同等の傾斜の偏光軸を有するものを用いる
ことができる。
【0036】請求項13に記載の発明の発光素子は、キ
ラル化合物の発光作用及び/または電子励起過程による
光波長変換作用を利用し、かつキラル化合物の鏡像異性
体のうち、一方の鏡像異性体を他方の鏡像異性体よりも
過剰に含有することにより、該一方の鏡像異性体に対応
した円偏光成分を相対的に多く含む光を出射する光源部
と、該光源部から出射される出射光の特定の波長成分を
選択的に透過する波長選択手段とを備えることを特徴と
している。
【0037】請求項14に記載の発明では、キラル化合
物が、らせん状の立体構造を有するヘリセン誘導体、ま
たはヘリセン誘導体を構造の一部に有する化合物である
ことを特徴としている。
【0038】請求項15に記載の光学フィルターは、キ
ラル化合物の光学活性を利用した光学フィルターであ
り、キラル化合物の鏡像異性体のうち、一方の鏡像異性
体を他方の鏡像異性体よりも過剰に含有することによ
り、該一方の鏡像異性体に対応した円偏光成分を相対的
に多く吸収することを特徴としている。
【0039】
【作用】本発明の有機EL素子、発光素子、及び光学フ
ィルターにおいては、キラル化合物を電荷輸送材料、発
光材料、波長変換材料、または(円偏光)吸収材料とし
て用いている。キラル化合物は、分子表面の形状が複雑
であり、分子表面間の相互作用が弱めれているので、分
子相互間に作用する分子間引力が強くなりすぎることが
なく、分子の凝集などの物理的変化が起こり難い。従っ
て、アモルファス状態のものが結晶化するなどの物理的
変化も起こり難い。このため、本発明によれば、保存耐
久性や連続発光時の素子の寿命を向上させることができ
る。
【0040】請求項1に記載の発明においては、正孔注
入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、
及びこれらの層を複合化した複合化層のうちの少なくと
も1つの層中にキラル化合物を含有させている。キラル
化合物は、上述のように分子の凝集などの物理的変化が
起こり難いので、有機EL素子の保存耐久性や連続発光
時の素子の寿命を向上させることができる。
【0041】キラル化合物は、有機EL素子において、
電荷輸送材料や発光材料などとして用いることができ
る。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電
子注入層、あるいはこれらの複合化層中に含有させ、電
荷輸送材料として用いることができる。また、発光層中
に含有させ、発光体やドーパントとして用いることがで
きる。
【0042】請求項2に記載の発明では、キラル化合物
を発光層中に含有させ、キラル化合物の鏡像異性体のう
ち、一方の鏡像異性体を他方の鏡像異性体よりも過剰に
なるよう含有させている。このように、一方の鏡像異性
体を過剰に含有させた状態で、キラル化合物を発光体や
発光性のドーパントとして用いると、発光される光に
は、右回り円偏光、または左回り円偏光が過剰に含まれ
るようになる。右回り円偏光であるか左回り円偏光であ
るかは、過剰に含有させる鏡像異性体の光旋回性(旋光
性)に依存している。従って、このような発光層から出
射された光は、右回り円偏光及び左回り円偏光のうちの
一方の円偏光成分が優勢となっている。従って、立体画
像表示ディスプレイなどの光源として用いる場合に、有
用な偏光成分からなる発光を得られ易い発光素子を実現
することができる。このような立体画像表示ディスプレ
イの例としては、特開平9−96780号公報や、特開
平8−194190号公報などに開示された立体画像表
示システムが挙げられる。また、液晶ディスプレイも偏
光を利用しているので、このような液晶ディスプレイの
光源としても利用することが可能である。
【0043】特に、キラル化合物の鏡像異性体のうち一
方の鏡像異性体を他方の鏡像異性体よりも過剰に含有さ
せると、鏡像異性体のそれぞれが有する誘起効果のベク
トルは、打ち消し合う確率が非常に小さくなり、誘起効
果は鏡像異性体に隣接する分子だけでなく、分子の集合
を単位として合成された誘起効果のベクトルが、その周
囲全体の分子に発現するようになる。このようなキラル
な誘起効果は、ドメインの成長を抑制するように作用す
るので、さらに分子の凝集などの物理的変化が起こり難
くなり、保存耐久性や連続発光時の素子の寿命を向上さ
せることができる。
【0044】また、発光層から出射した光は、陰極(ま
たは陽極)などの反射層に反射された後、再び発光層に
入射する。従来は、このような反射光が発光層に入射す
る際、発光層中の発光材料により再吸収され、このため
光損失が生じ、光の利用効率の低下の原因となってい
る。請求項2に記載の発明では、一方の鏡像異性体に対
応した円偏光成分を相対的に多く含む光が発生する。該
円偏光成分は、反射層によって反射するが、反射の際、
円偏光の方向が逆方向になる。この逆方向の円偏光成分
は該一方の鏡像異性体に吸収され難いため、反射光の発
光層における再吸収を低減させることができる。従っ
て、発光素子内部での光の利用効率を向上させることが
できる。
【0045】請求項3に記載の発明では、有機EL素子
の発光層中にキラル化合物がラセミ混合物として含有さ
れている。発光素子の内部で放出された光は、外部に取
り出されるまでの間に、発光素子の発光材料になって再
び吸収され、この吸収により光の利用効率が低減する。
ラセミ混合物は、一方の鏡像異性体と他方の鏡像異性体
を等量含有する混合物である。一方の鏡像異性体から放
出された光は該一方の鏡像異性体により吸収されるが、
他方の鏡像異性体には吸収され難い。このときの吸光度
は、含有濃度に比例する。一対の鏡像異性体を等量含有
するラセミ混合物においては、吸収の損失量を決定する
各鏡像異性体の含有濃度がそれぞれ1/2となるので、
発光材料による吸収の損失を少なくすることができる。
【0046】請求項4に記載の発明では、発光部と光波
長変換部とを備える発光素子において、光波長変換部に
キラル化合物が含有されており、キラル化合物の電子励
起過程により発光部からの出射光の波長が変換して出射
される。キラル化合物は、上述のように分子の凝集など
の物理的変化が生じ難いので、請求項4に記載の発明に
よれば、光波長変換部の保存耐久性やその寿命を向上さ
せることができる。この光波長変換部においては、キラ
ル化合物の電子励起過程による光波長変換作用を利用し
ている。従って、発光部で発光した一次光を、一次光の
ピークよりも長波長側にピークを有する二次光に変換す
ることができる。この点において、キラル化合物を非線
形光学材料として利用している従来技術と区別すること
ができる。
【0047】請求項5に記載の発明では、このような光
波長変換部に含有させるキラル化合物として、一方の鏡
像異性体を過剰に含有したキラル化合物を用いている。
一方の鏡像異性体を過剰に含有したキラル化合物を発光
材料に用いた場合と同様に、光波長変換部で変換された
二次光には、右回り円偏光または左回り円偏光が過剰に
含まれるようになり、円偏光の一方の成分が優勢にな
る。従って、請求項2に記載の発明と同様に、立体画像
表示ディスプレイや液晶表示ディスプレイなどにおいて
有用なものとすることができる。
【0048】請求項6に記載の発明では、発光素子の光
波長変換部にキラル化合物がラセミ混合物として含有さ
れている。従って、請求項3に記載の発明と同様に、分
子の凝集などの物理的変化が生じ難く、保存耐久性や素
子寿命を向上させることができると共に、光波長変換部
における光の吸収を低減することができ、光の利用効率
を高めることができる。
【0049】請求項7に記載の発明では、一方の鏡像異
性体を過剰に含有させることにより、キラル化合物の発
光作用及び/または光波長変換作用を用いて、一方の円
偏光成分を相対的に多く含む光を出射する発光素子とし
ている。従って、請求項2に記載の発明及び請求項5に
記載の発明と同様に、偏光成分を利用する立体画像表示
ディスプレイなどにおいて有効に用いることができる。
【0050】請求項8に記載の発明では、光源部から出
射される円偏光成分を選択的に透過し、逆方向の円偏光
成分を選択的に吸収する光学フィルター部が設けられて
いる。従って、光源部から出射された光は光学フィルタ
ー部を透過し外部に取り出される。また、光源部が有機
EL素子などのように背面に陰極(または陽極)などの
反射層を有する場合には、光源部から出射された光はこ
の反射層で反射され、その円偏光成分の向きが逆方向と
なる。この逆方向となった円偏光成分は光学フィルター
部で吸収される。従って、所定の円偏光成分を高い光学
純度で取り出すことができる。
【0051】請求項9に記載の発明では、光学フィルタ
ー部の第2のキラル化合物の鏡像異性体として、光源部
の第1のキラル化合物の鏡像異性体と目的波長に対する
光旋回性が逆方向である鏡像異性体を用いている。この
ように光源部と光学フィルター部において光旋回性が互
いに逆方向である鏡像異性体を用いることにより、光源
部からの円偏光成分を選択的に透過し、逆方向の円偏光
成分を選択的に吸収するように設定することができる。
【0052】請求項10に記載の発明の発光素子は、キ
ラル化合物の一方の鏡像異性体を過剰に含有することに
より、一方の鏡像異性体に対応した円偏光成分を相対的
に多く含む光を出射する光源と、該光源から出射される
円偏光成分を選択的に透過する円偏光手段が設けられて
いる。従って、請求項8に記載の発明と同様に、光源部
の反射層によって反射された逆方向の円偏光成分は円偏
光手段によって遮断されるので、所定の偏光成分のみを
取り出すことができる。
【0053】また、外部光は円偏光手段を通り入射する
が、円偏光手段を通過することにより特定の円偏光成分
を有するようになる。この円偏光成分は、光源部の反射
層で反射されると逆方向の円偏光成分となるため、円偏
光手段を通過することができず、遮蔽される。
【0054】従って、請求項11に記載のように、外部
光は光源部に入射するが、光源部からの反射光は外部に
出射しないよう遮蔽することができる。従って、明るい
場所で使用してもコントラストの低下しない発光素子と
することができる。特開平8−321381号公報及び
特開平9−127885号公報には、同様の円偏光手段
を設け、外部光は光源部に入射するが、反射光は外部に
出射しないよう遮蔽された有機EL素子が開示されてい
るが、これらにおいては本発明のようなキラル化合物が
用いられていない。従って、光源部で発生した光は円偏
光手段によって一部吸収されてしまい、光の利用効率が
低くなるという問題を有している。本発明では、キラル
化合物の一方の鏡像異性体を過剰に含有することによ
り、これに対応した円偏光成分を出射しているので、円
偏光手段における出射光の吸収が小さく、上記公報に開
示された技術に比べ、光利用効率を高めることができ
る。
【0055】請求項12に記載の発明では、請求項10
に記載の発明における円偏光手段を、直線偏光板と1/
4波長板とで構成することにより簡易な構成を実現して
いる。
【0056】請求項13に記載の発明の発光素子は、出
射光の特定の波長成分を選択的に透過する波長選択手段
が設けられているので、外部光のうちの特定波長成分以
外の波長成分が、素子内部に入射するのを妨げることが
できる。従って、外部光による影響の少ないコントラス
トの良好な発光素子とすることができる。
【0057】請求項14に記載の発明では、キラル化合
物として、ヘリセン誘導体またはヘリセン誘導体を構造
の一部に有する化合物を用いているので、電子のエネル
ギー準位を適切な状態となるように設計し易く、発光素
子の電荷輸送層や発光層、波長変換層に用いて、種々の
発光色を有する発光素子を実現することができる。
【0058】請求項15に記載の発明の光学フィルター
は、キラル化合物の光学活性を利用した光学フィルター
であり、一方の鏡像異性体を過剰に含有することによ
り、一方の鏡像異性体に対応した円偏光成分を相対的に
多く吸収し、逆方向の円偏光成分を相対的に多く透過す
る光学フィルターとすることができる。
【0059】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的実施の形態
を示し、本発明をさらに詳細に説明する。 (合成例1)(ヘキサヘリセン(化4)の合成) 2,7−ビス(スチリル)ナフタレンの0.15g/l
のトルエン溶液に、ヨウ素を少量添加し、高圧水銀灯で
2時間光照射した。その後、シリカゲルカラムで分離
し、ベンゼン/エタノールを溶媒として再結晶して、
(±)−ヘキサヘリセンを得た。次いで、HPLC法に
より(±)−ヘキサヘリセンを光学分割した。得られた
(+)−ヘキサヘリセン、(−)−ヘキサヘリセンの光
学純度は99%であった。このヘキサヘリセンの吸収ス
ペクトルを加熱しながら測定したところ、およそ200
℃まで変化は認められず、熱安定性がよいことがわかっ
た。
【0060】 (合成例2)(5−ニトロヘキサヘリセンの合成) 合成例1で得られたヘキサヘリセンの0.12重量%ク
ロロホルム溶液に濃硝酸を加え、24時間還流した。次
いで溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフで分離
し、四塩化炭素で再結晶して、5−ニトロヘキサヘリセ
ンを得た。
【0061】(合成例3)(ノナヘリセンの合成) 文献{Melvin Calvin(University of California, USA)
らによる J. Am. Chem. Soc., Vol. 94(2), pp.494-498
(1972)}の方法を参考にして、1,2−ジアリールエテ
ン誘導体の濃度1mg/mlのトルエン溶液に、波長3
40nm〜400nmの成分を含む近紫外線領域の円偏
光を6時間程度照射して、光化学反応により直接光学活
性なキラル化合物を得る絶対不斉合成法により行った。
1,2−ジアリールエテン誘導体としては、1,2-bis-(2
-benzo[c]phenanthryl)ethyleneを用いた。円偏光は、
波長390nmに対して調節された特性をもつ1/4波
長板と、直線偏光板を組み合わせた円偏光手段に、高圧
水銀ランプの光を照射して発生させた。
【0062】(合成例4)(トリデカヘリセンの合成) α−ブロモ−2−メチルベンゾフェナンスレンのトリフ
ェニルホスホニウム塩10gと、3,6−ジフォルミル
フェナンスレン2gをトルエン/メタノール(1:1)
40mlに分散し、ナトリウム0.5gを無水エタノー
ル80mlに溶解したものを滴下した。次いで、1時間
還流後、徐冷しながら24時間攪拌した。得られた粉末
を濾過し、メタノールで洗浄後、カラム精製して3,6
−二置換フェナンスレンを得た。得られた3,6−二置
換フェナンスレンの0.13g/lのトルエン溶液に、
ヨウ素を少量添加し、高圧水銀灯で2.5時間光照射し
た。次いでカラムクロマトグラフで精製して、トリデカ
ヘリセンを得た。
【0063】(実施例1)本実施例は、請求項8に記載
の発明に対応する実施例である。図1は、本実施例を説
明するための模式図である。10は背面電極などの光反
射面、11は光源部、12は光学フィルター部を示して
いる。光反射面10を有する光源部11として、本実施
例では有機EL素子を用いている。従って、光源部11
はキラル化合物の発光作用を利用する発光素子であり、
キラル化合物の鏡像異性体のうち、一方の鏡像異性体を
他方の鏡像異性体よりも過剰に含有している。
【0064】光学フィルター部12は、キラル化合物の
鏡像異性体のうち、一方の鏡像異性体を他方の鏡像異性
体よりも過剰に含有する光学フィルター部である。光源
部11からは、光学フィルター部12側に向かって一次
放射光13Rが放射される。また、光反射面10側に向
かっては、一次放射光14Rが放射される。一次放射光
13R及び14Rは、共に同じ方向の円偏光成分を相対
的に多く含んでいる。一次放射光14Rは、光反射面1
0で反射されて、円偏光の方向が逆向きに変換され、反
射光16Lとなる。この反射光16Lの円偏光方向は、
光源部11において過剰に含有されている鏡像異性体に
よって吸収され易い円偏光とは逆の円偏光であるので、
光源部11での反射光16Lの再吸収は相対的に少なく
なる。光源部11を透過した反射光16Lは光学フィル
ター部12に入射する。
【0065】光学フィルター部12には、光源部11か
ら直接出射した一次放射光13Rと反射光16Lが入射
する。光学フィルター部12は、光源部11から出射さ
れる円偏光成分を選択的に透過し、逆方向の円偏光成分
を選択的に吸収するように、キラル化合物の一方の鏡像
異性体を過剰に含有している。すなわち、光源部11に
含有される鏡像異性体の旋光性が(−)であれば、光学
フィルター部12に含有される鏡像異性体の旋光性は
(+)となるように設定されている。従って、光学フィ
ルター部12に入射する一次出射光13Rはほとんど吸
収されず、これと逆方向の旋光性を有する反射光16L
は選択的に吸収される。従って、一次放射光13Rは光
学フィルター部12を通過し、出射光15Rとして出射
される。光学フィルター部12に含有するキラル化合物
の鏡像異性体の光学純度を高めておくことにより、さら
に純度の高い旋光性を有する出射光15Rを取り出すこ
とができる。
【0066】なお、図1においては、光源部11と光反
射面10とが離れているように図示しているが、これら
は接触するように設けられていても同様の作用を示す。
光源部11で生じた熱を光反射面10に熱伝導させて光
反射面10から放熱させるためには、光源部11と光反
射面10とが接触していることが好ましい。また、光源
部11と光学フィルター部12も、互いに接触していて
もよいし、離れていてもよい。
【0067】上述のように、本実施例では、光源部11
及び光反射面10は接触しており、有機EL素子として
構成されている。図2は、この有機EL素子を説明する
ための断面図である。なお、本実施例では、有機EL素
子としているが、光源部11はキラル化合物を含有する
発光素子であればよく、その他の発光原理による光源部
であってもよい。
【0068】本実施例の有機EL素子9においては、図
2に示すように、ガラス基板1の上には、透明電極2が
形成されている。発光素子をマトリックス状に配置し表
示ディスプレイとして用いる場合には、ガラス基板1上
に複数の帯状の透明電極2をそれぞれ平行にパターニン
グして形成する。透明電極2の上には、それぞれ有機材
料からなる、ホール(正孔)注入輸送層3、発光層4、
及び電子注入輸送層5が順次積層して形成されている。
有機電界発光層8は、ホール注入輸送層3、発光層4、
及び電子注入輸送層5から構成されている。電子注入輸
送層5の上には背面電極6が形成されている。背面電極
6の上には保護膜7が設けられている。以下、本実施例
の有機EL素子9の製造工程について説明する。
【0069】透明電極の形成 ガラス基板1上に、複数の帯状の透明電極2をそれぞれ
平行にパターニングして形成する。透明電極2の膜厚
は、例えば200nmとなるようにする。しかしなが
ら、80nm〜3μmの範囲で変更可能であり、好まし
くは100nm〜1μmの範囲で変更可能である。
【0070】透明電極2を陽極として用いる場合には、
インジウム錫酸化物(ITO)、酸化錫(SnO2 )、
金(Au)等の仕事関数の大きな導電性材料を用い得
る。また、金を電極材料として用いた場合には、電極は
半透明状態となる。この実施例では、透明電極2は、酸
化インジウム錫(ITO)を用いて形成している。な
お、パターニングの方法は、FeCl3 を含む塩酸水溶
液によるウェットエッチング法による他、公知の方法を
用いることができる。次に、透明電極2の清浄な表面が
現れるまで、酸素を含む雰囲気中で紫外線照射により清
浄化する。
【0071】有機電界発光層の形成 透明電極2を形成したガラス基板1の上に、ホール注入
輸送層3、発光層4、及び電子注入輸送層5をこの順序
で真空蒸着法により形成する。ホール注入輸送層3は、
化2に示す芳香族アミンの誘導体である4,4′,4″
−tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine
(通称MTDATA)から形成した。本実施例におい
て、ホール注入輸送層3の厚みは35nmとなるように
した。ホール注入輸送層3の厚みは、一般には10nm
〜160nmの範囲で変更可能である。MTDATAの
分子のモル質量は789.04g/molである。
【0072】
【化2】
【0073】発光層4は、化3に示す芳香族アミンの誘
導体であるN,N′−Diphenyl−N,N′−(3-methyl
phenyl) −1,1′−biphenyl−4,4′−diamine
(通称TPD)を主成分として、また化4に示すヘキサ
ヘリセンをドーパントとして含有させた混合物から形成
した。ヘキサヘリセンとしては、光学純度が99%の
(−)−ヘキサヘリセンを用い、重量比で6.5%混合
させた。しかしながら、このドーパントの混合量は、例
えば、0.01%〜75%の範囲で変更可能であり、好
ましくは0.65%〜20%の範囲で変更可能であり、
さらに好ましくは2.5%〜10%の範囲で変更可能で
ある。発光層4の厚みは16nmとした。発光層4の厚
みは、一般には5nm〜45nmの範囲で変更可能であ
る。TPDの分子のモル質量は516.685g/mo
lであり、ヘキサヘリセンの分子のモル質量328.4
1g/molである。
【0074】
【化3】
【0075】
【化4】
【0076】電子注入輸送層5は、化5に示すAluminum
tris(quinoline-8-olate)(通称AlqまたはAl
3 )から形成した。電子注入輸送層5の厚みは38n
mである。電子注入輸送層5の厚みは、一般に10nm
〜80nmの範囲で変更可能である。Alq3 の分子の
モル質量は459.44g/molである。
【0077】
【化5】
【0078】背面電極の形成 以上のようにして、ホール注入輸送層3、発光層4、及
び電子注入輸送層5から構成される有機電界発光層8を
ガラス基板1上に形成した後、背面電極6を形成する。
背面電極6は、透明電極2と交差するように、ステンレ
ススチール製のシャドーマスクを用いて、真空蒸着法に
より所定のパターンに形成する。
【0079】背面電極6は、MgとInを重量比で9:
1の比率で共蒸着した合金から形成した。Inの含有量
は重量比で、0.01%〜99%の範囲で変更可能であ
り、好ましくは1%〜75%の範囲で変更可能であり、
さらに好ましくは5%〜25%の範囲で変更可能であ
る。背面電極6の厚みは150nmとしているが、50
nm〜500nmの範囲で変更可能である。背面電極6
の材質は上記のものに限定されず、例えば、Mgなどの
アルカリ土類族元素を含む銀の合金や、Liなどのアル
カリ金属元素を含むアルミニウムなどの合金を用いるこ
とができる。背面電極6としては、光源部11のキラル
化合物から放射される一次放射光14Rに対する光反射
率が高いものが好ましい。
【0080】保護膜の形成 保護膜7は、酸化珪素(SiO)から形成した。保護膜
7の厚みは150nmとした。保護膜7の厚みは、一般
に50nm〜500nmの範囲で変更可能であり、用い
る材質により適宜変更することができる。保護膜7は真
空蒸着法により形成した。
【0081】保護膜7は、水分や酸素等によって、背面
電極6や有機電界発光層8が変質する現象を抑制する目
的で設けられるものである。しかしながら、本発明の有
機EL素子においては、必ずしも設ける必要はない。
【0082】光学フィルター部の形成 ガラス基板1の透明電極2と反対側の面の上に光学フィ
ルター部を形成した。光学フィルター部は、光学純度9
5%の(+)−ノナヘリセンから形成した。従って、発
光素子4中にドーパントとして含有されるキラル化合物
である(−)−ヘキサヘリセンと逆方向の旋光性を有す
るキラル化合物を用いている。光学フィルター部は、真
空蒸着法により、膜厚が30nmとなるように形成し
た。光学フィルター部の膜厚は、一般に10nm〜20
0nmの範囲で変更可能である。
【0083】本実施例では、光学フィルター部をガラス
基板1の透明電極2と反対側の面上に形成しているが、
本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ガラ
ス基板1の上に光学フィルター部を形成した後、この上
に透明電極2を形成し、さらにその上に有機電界発光層
8及び背面電極6を積層してもよい。
【0084】有機EL素子の特性評価 上記有機EL素子においては、帯状の第1電極である複
数の透明電極2と、該透明電極2と交差するように形成
された第2電極である複数の背面電極6の幅をそれぞれ
1mmとしており、従って、1画素あたりの発光部分の
面積は1mm2となっている。このような有機EL素子
について評価を行ったところ、10V以下の印加電圧で
ヘキサヘリセンのエレクトロルミネッセンスに起因する
青色の発光が得られた。光学フィルター部12を通過し
て出射した最終放射光15Rは、右回りの円偏光であ
り、その純度は95%以上であった。
【0085】また、上記の素子に常に一定の電流が流れ
るように直流電圧を制御して印加する、直流定電流密度
連続発光試験を行った。約20℃〜30℃の温度の室内
で電流密度を5mA/cm2 として、連続発光させる
と、24時間後の輝度は、初期輝度の70%以上であ
り、その後の輝度の減少は緩やかであった。
【0086】(比較例1)ヘキサヘリセンの代わりに、
ヘキサヘリセンと近縁の化合物であるがキラル化合物で
はないコロネン(ヘキサベンゾベンゼンとも呼ばれる)
を用い、上記実施例1と同様にして光学フィルター部材
を備えた有機EL素子を製造した。この有機EL素子で
は青緑色の発光が得られた。この発光色は、光の3原色
とは異なる色調であるので、フルカラーディスプレイに
応用する目的には用いることが困難である。また、上記
実施例1と同様にして、約20℃〜30℃の温度の室内
で、電流密度を5mA/cm2 として、連続発光させた
ところ、24時間後の輝度は、初期輝度の約10%まで
急速に減少した。その後の輝度の減少は比較的緩やかで
あったが、実用的な水準の連続発光寿命は到底得られそ
うになかった。
【0087】なお、この比較例1とは構成が異なるが、
同じくコロネンを発光材料として用いた例に、T. Sano
らの文献{Synthetic Metals, Vol. 91,pp.27-30(199
7)}がある。この例においても、コロネンを用いた有機
EL素子の性能は比較的低いとされている。
【0088】(実施例2)本実施例は、請求項1、請求
項2、及び請求項7に対応する実施例である。上記実施
例1において、光学フィルター部12を取り除いた構成
である点を除いて、上記実施例1と同様である。
【0089】本実施例の構成は、特に、純度の高い円偏
光を得る必要がなく、光学活性なキラル化合物を光源に
用いて、再吸収による損失を低減しようとする場合に適
している。すなわち、背面電極で反射した反射光が発光
層中に入射する際に、発光材料であるキラル化合物によ
って再吸収されるときの吸収率を低減することができ
る。このことについて図1を参照して説明すると、光源
部11から光反射面10に向かって出射した一次放射光
14Rは右回りの円偏光であるが、光反射面10で反射
することにより左回りの円偏光の反射光16Lに変換さ
れる。光源部11においては(−)−ヘキサヘリセンが
(+)−ヘキサヘリセンよりも過剰に含まれているが、
この左回りの円偏光である反射光16Lは(+)−ヘキ
サヘリセンによって吸収されるが、(−)−ヘキサヘリ
センによっては吸収され難い。従って、光源部11にお
ける吸収が低減されるため、再吸収による損失を減少す
ることができる。
【0090】本実施例では、実施例1と同様に光学純度
99%の(−)−ヘキサヘリセンを用いており、青色の
発光出力の輝度は、ヘキサヘリセンのラセミ混合物を用
いた場合(実施例3)に比べて、5%以上向上するのが
確認された。また、出射光(図1における一次放射光1
3Rと反射光16Lの合成されたもの)の青色発光出力
は、実施例1と同様に右回りの円偏光が主成分であった
が、その純度は約65%であった。実施例1の95%以
上に比べ低くなっているのは、左回りの円偏光である反
射光16Lが含まれているためである。
【0091】キラル化合物として、(−)−ヘキサヘリ
センに代えて、光学純度99%の(+)−ヘキサヘリセ
ンを用いて、それ以外は上記と同様にして有機EL素子
を作製し、検討したところ、発光出力の主成分が左回り
の円偏光となる点を除いては、全く同様の効果が得られ
た。
【0092】(実施例3)本実施例は、請求項3に記載
の発明に対応する実施例である。キラル化合物として、
(−)−ヘキサヘリセンの代わりに、(−)−ヘキサヘ
リセンと(+)−ヘキサヘリセンとを等量含む、ヘキサ
ヘリセンのラセミ混合物を用いる以外は、上記実施例2
と同様にして有機EL素子を製造した。上記実施例2と
同様に青色の発光が得られたが、偏光性は認められなか
った。
【0093】また、ラセミ混合物として含有されている
ので、上記実施例2のように、反射光の再吸収を低減
し、光損失を減少する効果は得られないが、発光層内の
再吸収はキラル化合物でないものに比べ低減しているも
のと思われる。すなわち、(−)の異性体から発光した
光は(−)の異性体に吸収されるが、(+)の異性体に
は吸収され難い。同様に(+)の異性体から発光した光
は、(+)の異性体には吸収されるが、(−)の異性体
には吸収され難い。吸光度は濃度に比例するので、ラセ
ミ混合物の場合それぞれの濃度は1/2となる。従っ
て、ラセミ混合物でないものに比べ、発光層内での再吸
収を低減することができ、高い発光効率を得ることがで
きる。なお、このような効果は、光学純度が高くなり、
一方の鏡像異性体の含有量が増加するにつれて低減す
る。
【0094】(実施例4)本実施例は、請求項10〜1
2に記載の発明に対応する実施例である。具体的には、
実施例1の光学フィルター部を円偏光手段に置き換えた
構成であり、実施例2に円偏光手段を加えた構成であ
る。本実施例の構成は、特に、コントラストの高い表示
を得ようとする場合に適している。
【0095】図3は、本実施例の円偏光手段を備えた有
機EL素子の構造を示す断面図である。透明基板1の一
方面上には、透明電極2、ホール注入輸送層3、発光層
4、電子注入輸送層5、背面電極6が、上記実施例1と
同様にして形成され、有機EL素子9が構成されてい
る。なお、ここでは保護膜7は形成されていない。透明
基板1の透明電極2と反対側の面上には、複屈折板21
及び22からなる2枚積層広帯域1/4波長板23(日
東電工株式会社製)と直線偏光板24を貼り合わせたも
のが接着されている。接着は、ホットメルト接着剤また
は光硬化型接着剤を用いて、およそ数分間以内に所定の
接着強度が得られる方法を用いることが、位置決め精度
の向上や生産速度の向上の点で好ましい。また、接着剤
による光の吸収や散乱などの損失を避けるため、1/4
波長板23の周辺部のみに接着剤を塗布して基板1と接
着するのが好ましい。
【0096】ここで、第1の複屈折板21と、第2の複
屈折板22とは、互いに板厚が異なっていて、複屈折分
散を異ならせている。そして、位相差が相殺されるよう
に貼り合わせると、2波長で位相差量を任意の値にする
ことが可能であり、ほぼ可視光全域で1/4波長の位相
差を得ることができるようになる。なお、複屈折板21
と複屈折板22との間、及び複屈折板22と直線偏光板
24との間には、空間が存在していてもよい。なお、円
偏光手段20は、必ずしも透明電極2と反対側の基板1
の面上に設ける必要はなく、例えば、基板1と透明電極
2の間に設けてもよい。
【0097】図4は、図3に示す円偏光手段を備える有
機EL素子において、高いコントラストが得られる作用
効果を説明するための模式図である。外部光25は、直
線偏光板24を通り、縦方向直線偏光26に変換され、
さらに1/4波長板23を通過することにより、右回り
の円偏光27に変換される。この右回りの円偏光27
は、有機EL素子9の背面電極6の内面で反射され、逆
方向の円偏光、すなわち左回りの円偏光に変換された反
射光28となる。この反射光28は1/4波長板23を
通過することにより、横方向直線偏光29に変換される
が、この横方向直線偏光29は直線偏光板24を通過で
きないので、直線偏光板24内で吸収されて主に熱エネ
ルギーに変換される。なお直線偏光板24は、本実施例
においては発光素子の最も外側に位置するので、容易に
放熱することができる。
【0098】以上のように、外部光25は発光素子内部
に入射するが、発光素子内部で反射して外部に出射する
ことはない。このため、ディスプレイとして明るい場所
で用いる場合においても、コントラストが低下し難い発
光素子とすることができる。
【0099】図5は、本実施例の発光素子において、光
の利用効率が高くなることを説明するための模式図であ
る。光学活性なキラル化合物を含有した発光層4から出
射した光31は右回りの円偏光を有しており、1/4波
長板23によって縦方向直線偏光32に変換され、この
縦方向直線偏光32は、直線偏光板24を通過し最終出
射光33と出射される。従って、ほとんど損失なく外部
に出射することができる。キラル化合物でない従来の発
光材料を用いた場合には、円偏光手段20によって損失
が発生し、光の利用効率が低減する。これに比べ、本実
施例ではほとんど損失なく光を取り出すことができる。
本実施例では、上述のように、外部光の背面電極での反
射をほぼ完全に抑制することができ、例えば光反射率を
3%以下にまで低減することができる。
【0100】(実施例5)(−)−ヘキサヘリセンの代
わりに、光学純度95%の(−)−ノナヘリセンを用い
た以外は、上記実施例2と同様にして発光素子を作製し
た。得られた発光素子からは、(−)−ノナヘリセンの
エレクトロルミネッセンスに起因する緑色の円偏光性発
光が得られた。
【0101】(実施例6)(−)−ヘキサヘリセンの代
わりに、光学純度95%の(−)−トリデカヘリセンを
用いた以外は、上記実施例2と同様にして発光素子を作
製した。得られた発光素子からは、(−)−トリデカヘ
リセンのエレクトロルミネッセンスに起因する赤色の円
偏光性発光が得られた。
【0102】(実施例7)(−)ヘキサヘリセンの代わ
りに、光学純度95%の(−)−5−ニトロヘキサヘリ
センを用いた以外は、上記実施例2と同様にして発光素
子を作製した。得られた発光素子からは、(−)−5−
ニトロヘキサヘリセンのエレクトロルミネッセンスに起
因する青色の円偏光性発光が得られた。
【0103】(実施例8)本実施例は、請求項13に記
載の発明に対応する実施例である。図6は、本実施例の
発光素子の構造を示しており、実施例1に示す発光素子
の光学フィルター部12の前面に、出射光の特定の波長
成分を選択的に透過する波長選択手段であるカラーフィ
ルター30が設けられている。このカラーフィルター3
0は、出射光である青色光を透過する青色フィルターで
あり、緑色及び赤色に対する光透過率は50%以下であ
る。このような波長選択手段であるカラーフィルター3
0を設けることにより、発光素子内部に入射する外部光
を低減することができると共に、外部光の反射率を低減
することができ、高いコントラストを得ることができ
る。
【0104】(実施例9)本実施例は、請求項4〜7に
記載の発明に対応する実施例である。図7は、本実施例
の波長変換型発光素子を示す概略側面図であり、特開平
10−189242号公報に開示された波長変換型発光
素子とほぼ同様の構造を有するものである。図8は、こ
の波長変換型発光素子の平面図を示している。光透過性
基板40の下方には、発光ダイオード50が設けられて
いる。発光ダイオード50は、バァファ層51、下地層
52、発光層53、クラッド層54、コンタクト層5
5、n型電極56、p型電極57、及び保護膜58から
構成されている。光透過性基板40の上には、発光ダイ
オード50から出射された紫外線を波長変換するための
波長変換部3R、3G、及び3Bが設けられている。こ
れらの波長変換部は、図8に示すようにストライプ状
に、かつ規則的に設けられている。波長変換部3Rは紫
外線を赤色の蛍光Rに変換し、波長変換部3Gは、紫外
線を緑色の蛍光Gに変換し、波長変換部3Bは紫外線を
青色の蛍光Bに変換する。従って、波長変換部3Rに含
有させるキラル化合物としては例えばトリデカヘリセン
が挙げられ、波長変換部3Gに含有させるキラル化合物
としては例えばノナヘリセンが挙げられ、波長変換部3
Bに含有させるキラル化合物としては例えばヘキサヘリ
センが挙げられる。
【0105】これらの波長変換部に含有させるキラル化
合物として、一方の鏡像異性体が過剰に含まれるキラル
化合物を用いることにより、これらの波長変換部から出
射される蛍光に円偏光成分を含ませることができる。従
って、立体画像表示ディスプレイなどの表示ディスプレ
イとしても有用である。
【0106】また、キラル化合物としてラセミ混合物を
用いた場合にも、光の再吸収が少なくなるので、光の変
換効率を高めることができる。また、分子の凝集などの
物理的変化が起こり難いので、保存耐久性や素子の寿命
を向上させることができる。
【0107】上記実施例においては、有機電界発光層と
して、ホール注入輸送層、発光層、及び電子注入輸送層
からなる構造のものを例示したが、本発明はこの積層構
造に限定されるものではなく、その他の積層構造のもの
にも適用され得るものである。また、実施例において使
用した発光材料、ドーピング材料、正孔輸送材料、電子
輸送材料、陽極材料、陰極材料等に限定されるものでは
なく、また製造工程も実施例の製造工程に限定されるも
のではない。
【0108】
【発明の効果】本発明によれば、ヘリセン誘導体などの
キラル化合物を用いているので、分子の凝集などの物理
的変化が起こり難く、保存耐久性や連続発光時の素子の
寿命が向上するなどの効果を奏する。特に、素子の駆動
時の電流リーク、部分的な非発光部の出現や成長を抑え
た高信頼性の発光素子を実現することができる。
【0109】また、電子のエネルギー準位を適切な状態
となるように設計し易いヘリセン誘導体を、発光素子の
電荷輸送層や発光層、波長変換層に用いると、種々の発
光色を有する発光素子を実現することが容易となり、ま
た発光効率を向上させることができる。
【0110】また、キラル化合物を用いると、発光素子
からの発光や波長変換光を一方の電極を透過させて一方
向に取り出し、取り出す方向と反対方向に進行する発光
を他方の電極で反射させて利用する場合に、発光や波長
変換光が、発光体や波長変換体によって再吸収されてし
まうことによる損失を少なくすることができる。また、
この場合、再吸収による光源部の温度上昇も避けれるの
で、発光素子の寿命などの信頼性が向上する。
【0111】さらに、光学活性なキラル化合物を用いる
と、立体画像表示ディスプレイなどの光源として用いる
場合に、有用な偏光成分からなる発光を得られ易いとい
う効果を奏する。
【0112】さらに、光出射面に円偏光手段を設ける
と、素子出射面から入射した外部からの光の素子内部で
の反射を大幅に減少させることができ、表示画像等のコ
ントラストを著しく改善できる効果を奏すると共に、目
的とする放射光の円偏光手段による吸収損失を低減でき
る効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の発光素子を示す模式図。
【図2】図1に示す実施例における有機EL素子の構造
を示す断面図。
【図3】本発明の他の実施例の発光素子を示す断面図。
【図4】本発明の他の実施例の発光素子の作用効果を説
明するための模式図。
【図5】本発明の他の実施例の発光素子の作用効果を説
明するための模式図。
【図6】本発明のさらに他の実施例の発光素子を示す模
式図。
【図7】本発明のさらに他の実施例の波長変換型発光素
子を示す概略側面図。
【図8】本発明のさらに他の実施例の波長変換型発光素
子を示す平面図。
【符号の説明】
1…透明基板 2…透明電極 3…ホール注入輸送層 4…発光層 5…電子注入輸送層 6…背面電極 7…保護膜 8…有機電界発光層 9…有機EL素子 10…光反射面 11…光源部 12…光学フィルター部 20…円偏光手段 23…1/4波長板 24…直線偏光板 30…カラーフィルター 40…光透光性基板 50…発光ダイオード 3R,3G,3B…光波長変換部

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子
    輸送層、電子注入層、及びこれらの層を複合化した複合
    化層のうちの少なくとも1つの層中にキラル化合物を含
    有させたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセン
    ト素子。
  2. 【請求項2】 キラル化合物が発光層中に含有されてお
    り、キラル化合物の鏡像異性体のうち、一方の鏡像異性
    体を他方の鏡像異性体よりも過剰に含有することによ
    り、該一方の鏡像異性体に対応した円偏光成分を相対的
    に多く含む光を出射する請求項1に記載の有機エレクト
    ロルミネッセント素子。
  3. 【請求項3】 キラル化合物が発光層中にラセミ混合物
    として含有されている請求項1に記載の有機エレクトロ
    ルミネッセント素子。
  4. 【請求項4】 発光部と、該発光部からの出射光の波長
    を変換する光波長変換部とを備える発光素子において、 前記光波長変換部にキラル化合物が含有されており、キ
    ラル化合物の電子励起過程により前記発光部からの出射
    光の波長を変換して出射する発光素子。
  5. 【請求項5】 キラル化合物の鏡像異性体のうち、一方
    の鏡像異性体を他方の鏡像異性体よりも過剰に含有する
    ことにより、該一方の鏡像異性体に対応した円偏光成分
    を相対的に多く含む光に変換される請求項4に記載の発
    光素子。
  6. 【請求項6】 キラル化合物がラセミ混合物として含有
    されている請求項4に記載の発光素子。
  7. 【請求項7】 キラル化合物の発光作用及び/または電
    子励起過程による光波長変換作用を利用し、かつキラル
    化合物の鏡像異性体のうち、一方の鏡像異性体を他方の
    鏡像異性体よりも過剰に含有することにより、前記一方
    の鏡像異性体に対応した円偏光成分を相対的に多く含む
    光を出射することを特徴とする発光素子。
  8. 【請求項8】 第1のキラル化合物の発光作用及び/ま
    たは電子励起過程による光波長変換作用を利用し、かつ
    第1のキラル化合物の鏡像異性体のうち、一方の鏡像異
    性体を他方の鏡像異性体よりも過剰に含有することによ
    り、前記一方の鏡像異性体に対応した円偏光成分を相対
    的に多く含む光を出射する光源部と、 前記光源部からの出射光が素子外部に取り出されるまで
    の経路の途中に設けられ、かつ前記光源部から出射され
    る前記円偏光成分を選択的に透過し、逆方向の円偏光成
    分を選択的に吸収するように、第2のキラル化合物の鏡
    像異性体のうち、一方の鏡像異性体を他方の鏡像異性体
    よりも過剰に含有する光学フィルター部とを備える発光
    素子。
  9. 【請求項9】 光源部において相対的に多く含有される
    第1のキラル化合物の鏡像異性体と、光学フィルター部
    において相対的に多く含有される第2のキラル化合物の
    鏡像異性体とが、目的波長に対する光旋回性において逆
    方向となるように選定されている請求項8に記載の発光
    素子。
  10. 【請求項10】 キラル化合物の発光作用及び/または
    電子励起過程による光波長変換作用を利用し、かつキラ
    ル化合物の鏡像異性体のうち、一方の鏡像異性体を他方
    の鏡像異性体よりも過剰に含有することにより、前記一
    方の鏡像異性体に対応した円偏光成分を相対的に多く含
    む光を出射する光源部と、 前記光源部の光出射側に設けられ、前記光源部から出射
    される前記円偏光成分を選択的に透過する円偏光手段と
    を備える発光素子。
  11. 【請求項11】 前記円偏光手段により、外部光は光源
    部に入射するが、光源部からの反射光は外部に出射しな
    いように遮蔽される請求項10に記載の発光素子。
  12. 【請求項12】 前記円偏光手段が、直線偏光板と1/
    4波長板とで構成されている請求項10または11に記
    載の発光素子。
  13. 【請求項13】 キラル化合物の発光作用及び/または
    電子励起過程による光波長変換作用を利用し、かつキラ
    ル化合物の鏡像異性体のうち、一方の鏡像異性体を他方
    の鏡像異性体よりも過剰に含有することにより、前記一
    方の鏡像異性体に対応した円偏光成分を相対的に多く含
    む光を出射する光源部と、 前記光源部から出射される出射光の特定の波長成分を選
    択的に透過する波長選択手段とを備える発光素子。
  14. 【請求項14】 前記キラル化合物が、らせん状の立体
    構造を有するヘリセン誘導体、またはヘリセン誘導体を
    構造の一部に有する化合物である請求項1〜13のいず
    れか1項に記載の発光素子。
  15. 【請求項15】 キラル化合物の鏡像異性体のうち、一
    方の鏡像異性体を他方の鏡像異性体よりも過剰に含有す
    ることにより、該一方の鏡像異性体に対応した円偏光成
    分を相対的に多く吸収することを特徴とする光学フィル
    ター。
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