JPH1167450A - 有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子

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JPH1167450A
JPH1167450A JP9217525A JP21752597A JPH1167450A JP H1167450 A JPH1167450 A JP H1167450A JP 9217525 A JP9217525 A JP 9217525A JP 21752597 A JP21752597 A JP 21752597A JP H1167450 A JPH1167450 A JP H1167450A
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JP
Japan
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group
terylene
transport layer
organic electroluminescent
imide derivative
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JP9217525A
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English (en)
Inventor
Shinichiro Tamura
眞一郎 田村
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発光領域を有する有機積層構造が陽極と陰極
との間に設けられている有機発光素子において、色純度
や輝度、さらには安定性に優れた赤色発光が可能な有機
電界発光素子を提供すること。 【解決手段】 発光領域を有する有機積層構造が陽極4
と陰極1との間に設けられている有機電界発光素子にお
いて、前記発光領域にテリレンイミド誘導体が含まれて
いることを特徴とする有機電界発光素子10。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光領域を有する
有機積層構造が陽極と陰極との間に設けられている有機
電界発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、各種電子機器からの様々な情報を
視覚を通して人間に伝達する電子デバイス、或いは、電
子機器と人間とを結ぶ橋渡し的役割を担うデバイスとし
て、電子ディスプレイデバイス(Electric Display Dev
ice )の開発が盛んに行われている。
【0003】電子ディスプレイデバイスとして、軽量で
高変換効率のフラットパネルディスプレイは、例えば、
コンピュータやテレビジョン等の画面表示用装置として
期待されている。
【0004】現在、ブラウン管(CRT)は、輝度が高
く、色再現性が良いため、ディスプレイとして最も多く
使用されているが、嵩高く、重く、また消費電力が大き
い等の問題点がある。
【0005】また、フラットパネルディスプレイとして
は、アクティブマトリックス駆動の液晶ディスプレイ
(LCD)が商品化されている。しかしながら、視野角
が狭く、また、自発光ではないために周囲が暗い環境下
では、バックライトの消費電力が大きいことや、今後実
用化が期待されている高精細度の高速のビデオ信号に対
して、十分な応答性能を有しない等の問題点がある。さ
らに、大画面サイズのディスプレイを製造するためのコ
ストが高い等の問題点もある。
【0006】これに対する手段としては、発光ダイオー
ドを用いたディスプレイ(LED)の実用性が高いが、
やはり製造コストが高く、また1つの基板上に発光ダイ
オードのマトリックスを製造することが困難である等の
問題があり、ブラウン管に代わる低価格のディスプレイ
としては、実用化までの課題が大きい。
【0007】上述した諸問題を解決する可能性のあるフ
ラットパネルディスプレイの候補として、最近、有機発
光材料を用いた有機電界発光素子(有機EL素子:以
下、同様)が注目されている。すなわち、有機発光材料
を用いることにより、消費電力が小さく、自発光で、応
答速度が高速であり、視野角依存性の無いフラットなデ
ィスプレイの実現が期待されている。
【0008】有機電界発光素子の構成は、光透過性(透
光性)の陽極と金属陰極との間に発光材料を含む有機薄
膜(有機積層構造)を形成したものである。
【0009】C.W.Tang と S.A.Vanslyke 等は、Applied
Physics Letters 第51巻12号 913〜915 ページ(1987
年)に掲載された研究報告において、有機薄膜を正孔
(ホール)輸送性材料からなる薄膜と、電子輸送性材料
からなる薄膜との2層構造を有機薄膜を用い、各々の電
極から有機薄膜中に注入されたホールと電子とが再結合
することによって発光する、いわゆるシングルヘテロ型
の素子構造を開発している。
【0010】ここでは、正孔輸送性材料または電子輸送
性材料のいずれかが発光材料を兼ねており、発光は発光
材料の基底状態と励起状態との間のエネルギーギャップ
に対応した波長帯で起こる。このように、有機薄膜(有
機積層構造)を2層構造とすることにより、大幅な駆動
電圧の低減、発光効率の改善が行われた。
【0011】その後、C.Adachi、S.Tokito、T.Tsutsui
、S.Saito 等による Japanese Journal of Applied Ph
ysics 第27巻 2号 L269 〜L271ページ(1988年)に掲
載された研究報告に記載されているように、正孔輸送材
料、発光材料、電子輸送材料をを各々用いた3層構造、
いわゆるダブルヘテロ構造の有機薄膜を有する素子構造
が開発されている。
【0012】さらに、C.W.Tang、S.A.Vanslyke、C.H.Ch
en等は、Applied Physics Letters第65巻 9号3610〜361
6ページ(1987年)に掲載された研究報告において、電
子輸送材料中に発光材料を含ませた素子構造が開発され
ている。
【0013】これらの研究により、低電圧で、高輝度の
発光の可能性が実証され、近年、研究開発が非常に活発
に行われている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機電
界発光素子の実用化に向けては、解決しなければならな
い多くの課題を抱えている。
【0015】その中でも、色純度が良好で、高輝度かつ
安定性に優れた赤色発光材料の開発が重要な課題になっ
ている。
【0016】これまでに報告のある赤色発光材料として
は、赤色蛍光性の有機色素、ユーロピウム金属錯体等が
ある。
【0017】例えば、蛍光性の有機色素に関して、C.W.
Tang、S.A.Vanslyke、C.H.Chen等は、Applied Physics
Letters 第51巻12号 913〜 915ページ(1987年)に掲載
された研究報告において、4−ジシアノメチレン−2−
メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−
ピラン〔4-dicyanomethylene-2-methyl-6-(p-dimethyla
minostyryl)-4H-pyran〕を電子輸送材料中に含ませて使
用している。
【0018】また、J.Kido、M.Miura 、K.Nagai 等は、
Science 第267 巻1332〜1334ページ(1995年)に掲載さ
れた研究報告において、白色発光有機電界発光素子を構
成するための赤色発光材料としてニールレッド〔Nile R
ed〕を電子輸送材料中に含ませて使用している。
【0019】この他、ペリレン薄膜をダブルヘテロ構造
の有機電界発光素子の赤色発光材料に用いた例が、C.Ad
achi、S.Tokito、T.Tsutsui 、S.Saito 等による Japan
eseJournal of Applied Physics 第27巻 2号 L269 〜L
271ページ(1988年)に報告されている。
【0020】さらに、ペリレン誘導体を発光材料に使用
した研究も報告されている。例えば、M.Hiramoto、T.Im
ahigashi、M.Yokoyama等は、 Applied Physics Letters
第64巻 2号 187〜 189ページに掲載された研究報告にお
いて、金電極の間に、N,N−ジメチル−3,4,9,
10−ペリレンジカルボイミド〔N,N'-dimethyl-3,4,9,
10-perylenedicarboimide 〕薄膜を挟持して用いてい
る。
【0021】また、T.Katsume 、M.Hiramoto、M.Yokoya
ma等による Applied Physics Letters第64巻19号2546〜
2548ページに掲載された研究報告では、ダブルヘテロ構
造の有機電界発光素子の発光層として、N,N’−ビス
(2,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,4,9,
10−ペリレンジカルボイミド〔N,N'-bis(2,5-di-tert
-butylphenyl)-3,4,9,10-perylenedicarboimide 〕薄膜
をホール輸送層と電子輸送層との間に挟持して用いてい
る。
【0022】また、ユーロピウム金属錯体に関しては、
例えば、J.Kido、K.Nagai 、Y.Okamoto 、T.Skotheim等
は、Chemical Letters, 1991年1267〜1270ページに掲載
の研究報告において、トリス(トリフルオロテノイルア
セトナート)ユーロピウム(III) 〔tris(thenoyltriflu
oroacetonato)Eu(III)〕錯体を、ポリ(メチルフェニル
シラン)〔poly(methylphenylsilane)〕中に含ませて赤
色発光を得ている。
【0023】また、J.Kido、H.Hayase、K.Hongawa 、K.
Nagai 、K.Okuyama 等は、 AppliedPhysics Letters第6
5巻17号2124〜2126ページ(1994年)に掲載された研究
報告において、ダブルヘテロ構造の有機電界発光素子の
発光層として、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−
プロパンジノ)−(1,10−フェナントロリン)ユー
ロピウム(III) 〔tris(1,3-diphenyl-1,3-propanedino)
-(1,10-phenanthroline)Eu(III) 〕錯体を、2−(4−
ビフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサゾー
ル〔2-(4-biphenyl)-5-phenyl-1,3,4-oxazole 〕中に含
ませて使用している。
【0024】また、N.Takada、T.Tsutui、S.Saito 等
は、 Japanese Journal of Applied Physics 第33巻 p
art 2 第6B号 L863 〜L866ページ(1993年)において、
トリス(トリフルオロテノイルアセトナート)−(4,
7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)ユーロ
ピウム(III) 〔tris(thenoyltrifluoroacetonato)-(4,7
-diphenyl-1,10-phenanthroline)Eu(III) 〕錯体からな
る薄膜をダブルヘテロ構造の有機電界発光素子の発光層
として使用した微小光共振器の研究が報告されている。
【0025】さらに、T.Sano、M.Fujita、Y.Hamada等
は、 Japanese Journal of Applied Physics 第34巻 p
art 1 第4A号 1883 〜1887ページに掲載の研究報告にお
いて、トリス(トリフルオロテノイルアセトナート)−
(1,10−フェナントロリン)ユーロピウム(III)
〔tris(thenoyltrifluoroacetonato)-(1,10-phenanthro
line)Eu(III)〕錯体を電子輸送層に含ませて赤色発光を
得ている。
【0026】上述したような発光材料を用いることによ
って赤色発光が得られているが、色純度、輝度、安定性
などの問題を抱えており、新しい赤色発光材料の開発が
課題となっている。
【0027】本発明は、上述した従来の実情に鑑みてな
されたものであり、その目的は、発光領域を有する有機
積層構造が陽極と陰極との間に設けられている有機発光
素子において、色純度や輝度、さらには安定性に優れた
赤色発光が可能な有機電界発光素子を提供することにあ
る。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した課
題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、テリレンイミ
ド系化合物、すなわち、テリレンイミド誘導体を発光材
料として用いることによって、色純度や輝度に優れ、か
つ安定性にも優れた赤色発光を有する有機電界発光素子
を提供できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0029】すなわち、本発明は、発光領域を有する有
機積層構造が陽極と陰極との間に設けられている有機電
界発光素子において、前記発光領域にテリレンイミド誘
導体が含まれていることを特徴とする有機電界発光素子
(以下、本発明の有機電界発光素子と称する。)に係る
ものである。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の有機電界発光素子におい
ては、前記テリレンイミド誘導体として、下記一般式
(1)で表される化合物を使用することができる。
【化3】 (但し、前記一般式(1)において、R1 及びR2 は、
互いに異なるか若しくは同一の基であって、水素原子、
炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、及び、
無置換の若しくは置換基を有するフェニル基からなる群
より選ばれた1種の基であり、R3 、R4 、R5 及びR
6 は、全て異なるか若しくは少なくとも2種が同一の基
であって、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、
及び、無置換の若しくは置換基を有するフェニル基又は
フェノキシ基からなる群より選ばれた1種の基であ
る。)
【0031】また、他のテリレンイミド誘導体として、
下記一般式(2)で表される化合物を使用することもで
きる。
【化4】 (但し、前記一般式(2)において、R7 は、水素原
子、炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、及
び、無置換の若しくは置換基を有するフェニル基からな
る群より選ばれた1種の基であり、R8 及びR9 は、互
いに異なるか若しくは同一の基であって、水素原子、炭
素原子数1〜4のアルキル基、及び、無置換の若しくは
置換基を有するフェニル基又はフェノキシ基からなる群
より選ばれた1種の基である。)
【0032】次に、本発明の有機EL素子の構成例を図
1を参照に説明する。
【0033】図1(A)は、シングルヘテロ型構造の有
機電界発光素子の概略断面図であり、図1(B)は、ダ
ブルヘテロ型構造の有機電界発光素子の概略断面図であ
る。さらに、図1(C)は、これらの有機EL素子を用
いた平面ディスプレイの構成例である。
【0034】本発明の有機電界発光素子は、特に、
(1)透光性の基体5上に、透光性の陽極4、ホール輸
送層3、電子輸送層2、陰極1を順次積層してなる有機
EL素子10又は11において、電子輸送層2に前記テ
リレンイミド誘導体を含有させる構造、(2)透光性の
基体5上に、透光性の陽極4、ホール輸送層3、電子輸
送層2、陰極1を順次積層してなる有機EL素子10又
は11において、ホール輸送層3に前記テリレンイミド
誘導体を含有させる構造、(3)透光性の基体5上に、
透光性の陽極4、ホール輸送層3、発光層8、電子輸送
層2、陰極1を順次積層してなる有機EL素子11にお
いて、発光層8に前記テリレンイミド誘導体を含有させ
る構造、のいずれかの構造を取ることが望ましい。
【0035】次に、図1(A)及び(B)に示した有機
EL素子の構成要素を説明する。
【0036】まず、図中、基体5は有機EL素子を形成
するための基体であり、例えば、ガラス、プラスチック
等の光透過性の材料を用いることができる。
【0037】また、陽極(アノード)4は、光透過性の
電極(透明電極)であって、例えば、ITO(Indium t
in Oxide)やSnO2 等を使用することができる。この
透明電極とホール輸送層との間には、電荷物の注入効率
を改善する目的で、有機物若しくは有機金属化合物から
なる薄膜を挟持させても構わない。なお、封止6が金属
等の導電性材料で構成されている場合は、陽極4の側面
に絶縁膜が設けてあってよいが、これは図示省略した。
【0038】また、ホール輸送層3に使用する材料とし
ては、例えば、芳香族アミン類、ピラゾリン類等の公知
の種々の材料を使用できる。このホール輸送層は単層で
あってもよいし、電荷輸送性能を上げるために積層構造
であってもよい。なお、ホール輸送層が積層構造であっ
て、これに前記テリレンイミド誘導体を含有させる場合
には、少なくとも1層のホール輸送層構成層に含ませて
使用できる。
【0039】また、発光層8は、ダブルヘテロ型構造の
有機EL素子に設けられる層であって、シングルヘテロ
型構造の有機EL素子の場合は、ホール輸送層若しくは
電子輸送層が発光層を兼ねている。
【0040】なお、前記テリレンイミド誘導体は単独の
層として形成することもできるが、電子輸送材料中に含
ませて用いることもできる。また、発光層は、単層の他
に、例えば、電子輸送材料からなる薄膜と、発光材料を
電子輸送材料中に含ませた薄膜との積層構造を構成して
もよいし、或いは、電子輸送材料からなる薄膜と、発光
材料のみからなる薄膜との積層構造などを構成すること
もできる。
【0041】電子輸送層2に用いる材料としては、アル
ミニウムや亜鉛等からなる金属錯体化合物、芳香族炭素
化合物、オキサジアゾール系化合物等が使用できる。前
記テリレンイミド誘導体を電子輸送層に含ませる場合
は、この材料中に含ませることもできるし、電子輸送層
を積層構造として単層で含ませることもできる。
【0042】上述したように、本発明に基づくテリレン
イミド誘導体は、ホール輸送層、発光層、若しくは電子
輸送層以外にも、発光効率を改善する目的で、ホールま
たは電子の輸送を制御するための薄膜(例えば、ホール
ブロッキング層やエキシトン生成層など)に含ませるこ
とも可能である。また、有機EL素子を形成する有機積
層構造のうち、2層以上にテリレンイミド誘導体を含有
させることも可能である。
【0043】また、陰極1に用いる材料としては、L
i、Mg、Ca等の活性な金属と、Ag、Al、In等
の金属との合金などを用いることが好ましく、或いはこ
れらの金属を積層した構造であってもよい。なお、陰極
の厚さや材質を適宜選択することによって、用途に合っ
た光透過率を得ることができる光透過型の有機EL素子
を作製することもできる。この場合には、金属陰極上
に、電気的接続を安定に保つための透明電極を形成して
も構わない。
【0044】また、封止6は、保護層として作用するも
のであり、有機EL素子全体を覆う構造とすることで発
光効率等を向上させることができる。なお、有機EL素
子の気密性が保たれるのであれば、アルミニウム、金、
クロム等の金属や合金など、適宜その材料を使用するこ
とができる。
【0045】次に、図1(C)は、本発明の有機EL素
子を用いた平面ディスプレイの構成例であり、図示した
如く、例えばカラーディスプレイの場合は、赤(R)、
緑(G)及び青(B)の3原色を発光可能な電子輸送層
2やホール輸送層3等からなる有機積層構造が、陰極1
と陽極4との間に配されている。陰極1及び陽極4は、
互いに交差するストライプ状に設けることができ、輝度
信号回路12及びシフトレジスタ内蔵の制御回路13に
より選択されて、それぞれに信号電圧が印加され、これ
により、選択された陰極1及び陽極4が交差する位置
(画素)の有機積層構造が発光するように構成される。
【0046】このように、本発明の有機電界発光素子を
用いて平面ディスプレイを構成する場合、その駆動方式
は単純マトリクス方式を用いることができるが、勿論、
アクティブマトリクス方式であってもよい。
【0047】また、上述したように、本発明の有機電界
発光素子においては、前記陽極と前記陰極との間にホー
ル輸送層と電子輸送層とが積層されており、前記電子輸
送層に前記テリレンイミド誘導体が含有されている素子
を構成することができる。
【0048】この場合、前記電子輸送層を構成する電子
輸送材料に対して、前記テリレンイミド誘導体が0.1
〜2.0モル%含有されていることが好ましい。
【0049】赤色発光強度は、電子輸送材料中のテリレ
ンイミド誘導体の濃度に依存することがあり、その濃度
が電子輸送材料に対して0.1〜2.0モル%、さらに
は0.2〜1.0モル%の範囲にあるときに、発光強度
が最大となり得る。
【0050】また、前記電子輸送層が積層構造の電子輸
送層であり、積層構造の構成層に、前記テリレンイミド
誘導体が含有されていることが望ましい。
【0051】このような場合の有機EL素子の構成例を
図4に示す。
【0052】図4に示した有機EL素子は、陽極4と陰
極1との間にホール輸送層3と電子輸送層2とを有する
積層構造16を有するものであるが、さらに電子輸送層
2は層2aと層2bと層2cを有する積層構造を有して
おり、例えば、層2bのみにテリレンイミド誘導体20
を含有させることができる。なお、他の層(例えば層2
aや層2c)にテリレンイミド誘導体を含有させてもよ
く、また、積層構造が3層以上の場合は、そのうちの少
なくとも2層にテリレンイミド誘導体を含有させてもよ
い。
【0053】また、本発明の有機電界発光素子において
は、前記陽極と前記陰極との間にホール輸送層と電子輸
送層とが積層されており、前記ホール輸送層に前記テリ
レンイミド誘導体が含有されている素子を構成すること
ができる。
【0054】この場合、前記ホール輸送層を構成するホ
ール輸送材料に対して、前記テリレンイミド誘導体が
0.1〜2.0モル%含有されていることが望ましい。
上述したと同様の理由で、本発明の有機EL素子の発光
強度を大きくすることができる。なお、上記テリレンイ
ミド誘導体の濃度は、さらに、0.2〜1.0モル%が
望ましい。
【0055】なお、前記ホール輸送層と前記電子輸送層
との間に、ホールブロッキング層が配されていてもよ
い。
【0056】このような構成の有機EL素子の構成例を
図2に示す。
【0057】図2に示した有機EL素子は、陽極4と陰
極1との間に、ホール輸送層3と電子輸送層2とを有す
る積層構造14を有するものであるが、さらに電子輸送
層2とホール輸送層3との間には、例えば、2,9−ジ
メチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロ
リン等からなるホールブロッキング層18を設けてもよ
く、このホールブロッキング層18により、ホール輸送
層3での励起子が効率的に生成され、低電圧駆動時にお
いても安定かつ高輝度の発光を得ることが可能である。
【0058】また、本発明の有機電界発光素子において
は、前記陽極と前記陰極との間にホール輸送層と発光層
と電子輸送層とが積層されており、前記発光層に前記テ
リレンイミド誘導体が含有されている素子を構成するこ
とができる。
【0059】例えば、図5に示す如く、陽極4と陰極1
との間にホール輸送層3と発光層8と電子輸送層2とを
有する積層構造17において、発光層8をテリレンイミ
ド誘導体で形成することができる。なお、上述したよう
に、発光層8はテリレンイミド誘導体のみで構成しても
よいが、他の材料(例えば電子輸送材料)を適宜添加し
ても構わない。
【0060】なお、本発明の有機電界発光素子に基づく
テリレンイミド誘導体は、有機EL素子のいずれの構成
層に含有させることができるが、一般に、前記テリレン
イミド誘導体が含有される層の位置やテリレンイミド誘
導体の種類によって、得られる発光ピーク波長や輝度が
変化することがあり、例えば、テリレンイミド誘導体の
配される位置が陰極側になるほど長波長の発光が得ら
れ、陽極側になるほど短波長の発光が得られる。
【0061】次に、本発明の有機電界発光素子に基づく
テリレンイミド誘導体の製法例を簡単に説明する。
【0062】本発明で用いることができるテリレンイミ
ド誘導体は、例えば、Frank O. Holtrup等が、Chemistr
y a European Journal第3巻 219〜 225ページ(1997
年)に報告している合成方法に準じて得ることができ
る。
【0063】この合成方法の一般的なルートは、次に示
すように、ブロモペリレン(bromoperylene )誘導体を
出発原料として用い、臭素原子を有機スズ基に置換した
後に、パラジウム触媒を用いて対応する臭化物とカップ
リングし、閉環するものである。
【0064】例えば、前記一般式(1)で表される化合
物は、次の合成スキームAに基づいて得ることができ
る。
【化5】 (但し、上記各一般式において、R1 及びR2 は、水素
原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、
又は、無置換の若しくは置換基を有するフェニル基を表
し、R3 、R4 、R5 及びR6 は、水素原子、炭素原子
数1〜4のアルキル基、又は、無置換の若しくは置換基
を有するフェニル基又はフェノキシ基を表す。)
【0065】即ち、まず、反応工程(A−1)に示すよ
うに、一般式(a)で表される化合物の臭素原子を有機
スズ基(例えばSnBu3 基:但し、Buはブチル基を
示す。)に置換して一般式(b)で表される化合物を得
た後、反応工程(A−2)のように、例えばパラジウム
触媒の存在下で、この化合物と一般式(c)で表される
化合物とをカップリングさせて一般式(d)で表される
化合物を得て、さらに、反応工程(A−3)のように、
一般式(d)で表される化合物を閉環して、一般式
(1)で表される化合物を得ることができる。
【0066】また、前記一般式(2)で表される化合物
は、次の合成スキームBに基づいて得ることができる。
【化6】 (但し、上記各一般式において、R7 は、水素原子、炭
素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、又は、無
置換の若しくは置換基を有するフェニル基を表し、R8
及びR9 は、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル
基、又は、無置換の若しくは置換基を有するフェニル基
又はフェノキシ基を表す。)
【0067】即ち、合成スキームAに記載した方法と同
様にして、まず、反応工程(B−1)に示すように、一
般式(e)で表される化合物の臭素原子を有機スズ基に
置換して一般式(f)で表される化合物を得た後、反応
工程(B−2)のように、例えばパラジウム触媒の存在
下で、この化合物と一般式(g)で表される化合物とを
カップリングさせて一般式(h)で表される化合物を得
て、さらに、反応工程(B−3)のように、一般式
(h)で表される化合物を閉環して、一般式(2)で表
される化合物を得ることができる。
【0068】次に、具体的な例として、いくつかのテリ
レンイミド誘導体の合成方法を述べる。他の誘導体も、
この方法に準じて得ることができる。
【0069】(I)N,N’−ビス(2,6−ジイソプ
ロピルフェニル)−1,6−ジ(4−tert−ブチルフェ
ノキシ)テリレン−3,4,11,12−テトラカルボ
キシジイミド〔N,N'-bis(2,6-diisopropylphenyl)-1,6-
di(4-tert-butylphenoxy)terryren-3,4,11,12-tetracar
boxdiimide:以下、化合物1と称することがある。〕の
合成。
【0070】例えば、化合物1は下記の反応スキーム
(I)に従って合成される。
【化7】
【化8】
【0071】上記反応スキーム(I)において、まず、
反応工程(1)に示すように、N−(2,6−ジイソプ
ロピルフェニル)−1,6−ジ(4−tert−ブチルフェ
ノキシ)−9−ブロモペリレン−3,4−ジカルボキシ
イミド〔N-(2,6-diisopropylphenyl)-1,6-di(4-tert-bu
tylphenoxy)-9-bromoperylene-3,4-dicrboxyimide :構
造式(a)〕と、ヘキサブチルジチン〔hexabutylditi
n〕と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジ
ウム(0) 〔tetrakis(triphenylphosphine)palladium
(0)〕とを、例えばトルエン等の溶媒中で還流する。
【0072】さらに、前記溶媒を除去した後、残留物
を、例えばカラムクロマトグラフィで精製して、構造式
(a)で表される化合物の臭素原子が置換されたN−
(2,6−ジイソプロピルフェニル)−ジ(4−tert−
ブチルフェノキシ)−9−(トリブチルチン)ペリレン
−3,4−ジカルボキシイミド〔N-(2,6-diisopropylph
enyl)-1,6-di(4-tert-butylphenoxy)-9-(tributyltin)p
erylene-3,4-dicrboxyimide :構造式(b)〕を得るこ
とができる。
【0073】次いで、反応工程(2)に示すように、例
えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウ
ム(0) の存在下で、前記化合物〔構造式(b)〕と、N
−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4−ブロモナ
フタレン−1,8−ジカルボキシイミド〔N-(2,6-diiso
propylphenyl)-4-bromonaphthalene-1,8-dicrboxyimid
e:構造式(c)〕とをカップリングさせて、N−
(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,6−ジ(4
−tert−ブチルフェノキシ)テリレン−3,4,11,
12−テトラカルボキシジイミド〔N-(2,6-diisopropyl
phenyl)-1,6-di(4-tert-butylphenoxy)terryren-3,4,1
1,12-tetracarboxdiimide:構造式(d)〕を得ること
ができる。
【0074】次いで、反応工程(3)に示すように、例
えば水酸化カリウムを用いて、前記化合物(構造式
(d))の閉環を行い、本発明の有機EL素子に使用で
きるテリレンイミド誘導体として、構造式(1)で表さ
れる化合物1を得ることができる。
【0075】(II)N−(2,6−ジイソプロピルフェ
ニル)−11−(CO),12−ベンゾイルテリレン−
3,4−ジカルボキシジイミド〔N-(2,6-diisopropylph
enyl)-11-(CO),12-benzoylterrylene-3,4-dicarboxdiim
ide :以下、化合物2と称することがある。〕の合成
【0076】化合物2は、下記の反応スキーム(II)に
従って合成できる。
【化9】
【0077】前記反応スキーム(II)において、まず、
反応工程(4)に示すように、N−(2,6−ジイソプ
ロピルフェニル)−9−ブロモペリレン−3,4−ジカ
ルボキシジイミド〔N-(2,6-diisopropylphenyl)-9-brom
operylene-3,4-dicarboxdiimide :構造式(e)〕と、
例えばヘキサブチルチジン(hexabutylditin)と、テト
ラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) と
を、例えばトルエン等の溶媒中で還流する。
【0078】次いで、前記溶媒を除去した後、例えばカ
ラムクロマトグラフィで精製して、N−(2,6−ジイ
ソプロピルフェニル)−9−(トリブチルチン)ペリレ
ン−3,4−ジカルボキシジイミド〔N-(2,6-diisoprop
ylphenyl)-9-(tributyltin)perylene-3,4-dicarboxdiim
ide :構造式(f)〕を得ることができる。
【0079】次いで、反応工程(5)に示すように、前
記化合物〔構造式(f)〕と、3−ブロモベンゾアント
ロン〔3-bromobenzanthrone :構造式(g)〕とをカッ
プリングさせて、N−(2,6−ジイソプロピルフェニ
ル)−9−(3−ベンゾアントロン)ペリレン−3,4
−ジカルボキシジイミド〔N-(2,6-diisopropylphenyl)-
9-(3-benzanthrone)perylene-3,4-dicarboxdiimide:構
造式(h)〕を得ることができる。
【0080】次いで、反応工程(6)に示すように、構
造式(h)で表される化合物を、例えば水酸化カリウム
を用いて閉環することにより、本発明の有機EL素子に
使用できるテリレンイミド誘導体として、構造式(2)
で表される化合物2を得ることができる。
【0081】(III )N−(2,6−ジイソプロピルフ
ェニル)−N’−オクチルテリレン−3,4,11,1
2−テトラカルボキシジイミド(N-(2,6-diisopropylph
enyl)-N'-octylterrylene-3,4,11,12-tetracarboxdiimi
de:以下、化合物3と称することがある。)の合成
【0082】この化合物3は、上述した合成スキームに
よっても得ることができるが、Frank O. Holtrup等が C
hemistry a European Journal 第3巻219 〜225 ページ
(1997年)で報告している別の方法〔反応スキーム(II
I )〕でも合成することができる。
【化10】
【0083】まず、反応工程(7)に示すように、4−
ブロモアセナフテンキノン〔4-brmoacenaphthenequinon
e :構造式(i)〕と、例えばエチレングリコールとp
−トルエンスルホン酸とを加え、得られた物質の洗浄
後、溶液をトリイソプロピルボレートと反応させて、構
造式(j)で表されるケタールのホウ素酸を得る。
【0084】次いで、反応工程(8)に示すように、こ
のケタールのホウ素酸〔構造式(j)〕と、N−(2,
6−ジイソプロピルフェニル)−9−ブロモペリレン−
3,4−ジカルボキシイミド〔N-(2,6-diisopropylphen
yl)-9-brmoperylene-3,4-dicarboximide:構造式
(k)〕とを、例えばテトラキス(トリフェニルホスフ
ィン)パラジウム(0) の存在下でカップリングさせ、構
造式(l)で表されるカップリングしたケタールを得る
ことができる。
【0085】次いで、反応工程(9)に示すように、こ
のケタール〔構造式(l)〕を例えば1−プロパノール
と水と硫酸とを混合した溶液中で還流して水和させ、得
られた溶液を精製して、N−(2,6−ジイソプロピル
フェニル)−9−(4−アセナフテンキノリル)ペリレ
ン−3,4−ジカルボキシイミド〔N-(2,6-diisopropyl
phenyl)-9-(4-acenaphthenquinonyl)-3,4-dicarboximid
e :構造式(m)〕を得ることができる。
【0086】次いで、反応工程(10)に示すように、
前記化合物〔構造式(m)〕とn−オクチルアミン〔n-
octhlamine〕とを反応させて、N−(2,6−ジイソプ
ロピルフェニル)−9−(4−N−オクチル−ナフタレ
ン−1,8−ジカルボキシイミド)ペリレン−3,4−
ジカルボキシイミド〔N-(2,6-diisopropylphenyl)-9-(4
-N-octyl-naphthalene-1,8-dicarboximide)perylene-3,
4-dicarboximide :構造式(n)〕を得る。
【0087】次いで、反応工程(11)に示すように、
前記化合物〔構造式(n)〕を、例えば水酸化カリウム
を用いて閉環することによって、構造式(3)で表され
る化合物3を得ることができる。
【0088】以上のようにして化合物1、2及び3を製
造することができ、後述の化合物4及び5も、同様にし
て製造することができる。化合物4は前記合成スキーム
A、化合物5は前記合成スキームBに準じて合成でき
る。
【0089】化合物1、2、3、4及び5の構造式を次
に示す。
【化11】
【化12】
【0090】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例について説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0091】本実施例では、前記構造式(1)で表され
るN,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)
−1,6−ジ(4−tert−ブチルフェノキシ)テリレン
−3,4,11,12−テトラカルボキシジイミド〔N,
N'-bis(2,6-diisopropylphenyl)-1,6-di(4-tert-butylp
henoxy)terryren-3,4,11,12-tetracarboxdiimide:化合
物1〕と、前記構造式(2)で表されるN−(2,6−
ジイソプロピルフェニル)−11−(CO),12−ベ
ンゾイルテリレン−3,4−ジカルボキシジイミド〔N-
(2,6-diisopropylphenyl)-11-(CO),12-benzoylterrylen
e-3,4-dicarboxdiimide :化合物2〕と、前記構造式
(3)で表されるN−(2,6−ジイソプロピルフェニ
ル)−N’−オクチルテリレン−3,4,11,12−
テトラカルボキシジイミド〔N-(2,6-diisopropylpheny
l)-N'-octylterrylene-3,4,11,12-tetracarboxdiimid
e:化合物3〕と、前記構造式(4)で表されるN,
N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)テリレ
ン−3,4,11,12−テトラカルボキシジイミド
〔N,N'-bis(2,6-diisopropylphenyl)-terryren-3,4,11,
12-tetracarboxdiimide :化合物4〕と、前記構造式
(5)で表されるN−(2,6−ジイソプロピルフェニ
ル)−11−(CO),12−ベンゾイル−1,6−ジ
(4−tert−ブチルフェノキシ)テリレン−3,4−ジ
カルボキシジイミド〔N-(2,6-diisopropylphenyl)-11-
(CO),12-benzoyl-1,6-di(4-tert-butylphenoxy)terryle
ne-3,4-dicarboxdiimide :化合物5〕とを用いて、各
種有機EL素子(セル)を作製し、その発光特性を評価
した。なお、これらのテリレンイミド誘導体は、上述し
た反応スキーム(I)、(II)、(III )に準じて合成
した。
【0092】<テリレンイミド誘導体の作製>化合物1の合成 5gのN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,
6−ジ(4−tert−ブチルフェノキシ)−9−ブロモペ
リレン−3,4−ジカルボキシイミド〔N-(2,6-diisopr
opylphenyl)-1,6-di(4-tert-butylphenoxy)-9-bromoper
ylene-3,4-dicrboxyimide :構造式(a)〕と、6.8
gのヘキサブチルジチン(hexabutylditin)と、0.1
gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(0) 〔tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0)〕と
を300mLのトルエン中で3日間還流した。
【0093】次いで、溶媒を除去した後、残留物を展開
液に、塩化メチレンを用いてシリカゲル上のカラムクロ
マトグラフィで精製し、5.1gの赤色の化合物〔N−
(2,6−ジイソプロピルフェニル)−ジ(4−tert−
ブチルフェノキシ)−9−(トリブチルチン)ペリレン
−3,4−ジカルボキシイミド(N-(2,6-diisopropylph
enyl)-1,6-di(4-tert-butylphenoxy)-9-(tributyltin)p
erylene-3,4-dicrboxyimide ):構造式(b)〕を得
た。融点は 263℃で文献値と一致した。
【0094】次いで、1.4gの前記化合物〔構造式
(b)〕と、0.86gのN−(2,6−ジイソプロピ
ルフェニル)−4−ブロモナフタレン−1,8−ジカル
ボキシイミド〔N-(2,6-diisopropylphenyl)-4-bromonap
hthalene-1,8-dicrboxyimide:構造式(c)〕と、30
mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウ
ム(0) (tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0))
とを150mLのトルエン中で4日間還流した。
【0095】次いで、溶媒を除去した後、残留物をシリ
カゲル上のカラムクロマトグラフィで精製し、1.0g
の赤色の固体を得た。この固体の分解温度は151〜1
52℃であり、文献と一致したことから、N−(2,6
−ジイソプロピルフェニル)−1,6−ジ(4−tert−
ブチルフェノキシ)テリレン−3,4,11,12−テ
トラカルボキシジイミド〔N-(2,6-diisopropylphenyl)-
1,6-di(4-tert-butylphenoxy)terryren-3,4,11,12-tetr
acarboxdiimide:構造式(d)〕であることを確認し
た。
【0096】次いで、500mgの前記化合物〔構造式
(d)〕と30gの水酸化カリウムとを、60mLのエ
タノール中、70℃で20分間加熱した。得られた深青
色の溶解物を400mLの2M塩酸に注いだ。
【0097】次いで、沈殿を濾過し、水で2回洗浄した
後、沸騰エタノールで2回抽出して、目的の化合物1
〔構造式(1)〕を380mg得た。
【0098】この物質の融点は360℃以上であり、ク
ロロホルム中の吸収スペクトルの吸収極大は波長664
nmと波長615nmとにあり、文献と一致し、最終目
的物の化合物であることを確認した。また、蛍光スペク
トルの極大は波長707nmにあった。
【0099】化合物2の合成 13.5gのN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)
−9−ブロモペリレン−3,4−ジカルボキシジイミド
〔N-(2,6-diisopropylphenyl)-9-bromoperylene-3,4-di
carboxdiimide :構造式(e)〕と、26.3gのヘキ
サブチルチジン(hexabutylditin)と、0.1gのテト
ラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (te
trakis(triphenylphosphine)palladium(0))とを、70
0mLのトルエン中で3日間還流した。
【0100】次いで、溶媒を除去した後、展開液として
塩化メチレンを用いてシリカゲル上のカラムクロマトグ
ラフィで精製して、15gの赤色生成物を得た。この生
成物の融点が158℃であり、文献と一致することか
ら、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−9−
(トリブチルチン)ペリレン−3,4−ジカルボキシジ
イミド〔N-(2,6-diisopropylphenyl)-9-(tributyltin)p
erylene-3,4-dicarboxdiimide :構造式(f)〕と同定
した。
【0101】次いで、1.25gの前記化合物〔構造式
(f)〕と、0.5gの3−ブロモベンゾアントロン
〔4-bromobenzanthrone :構造式(g)〕と、56mg
のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(0) 〔tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0)〕と
を、100mLのジメチルホルムアミド中で100℃で
2日間加熱した。この間、1日後に56mgのテトラキ
ス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (tetrak
is(triphenylphosphine)palladium(0))を追加した。
【0102】次いで、溶媒を除去した後、残留物を塩化
メチレンの中に入れて、2Mの塩酸で洗浄した。次い
で、塩化メチレンを展開液として用い、シリカゲル上の
カラムクロマトグラフィで精製して、0.8gの橙色の
物質を得た。この物質の融点は255℃であり、クロロ
ホルム中の吸収スペクトルの吸収極大波長(517nm
及び491nm)が文献と一致することから、N−
(2,6−ジイソプロピルフェニル)−9−(3−ベン
ゾアントロン)ペリレン−3,4−ジカルボキシジイミ
ド〔N-(2,6-diisopropylphenyl)-9-(3-benzanthrone)pe
rylene-3,4-dicarboxdiimide:構造式(h)〕であるこ
とを確認した。
【0103】次いで、430mgの構造式(h)で表さ
れる化合物と、7.5mgの水酸化カリウムとを15m
Lのエタノール中で70℃で15分間加熱した。得られ
た深青色の溶解物を水の中に注ぎ、2Mの塩酸を用いて
酸性にした後、塩化メチレンで抽出した。
【0104】次いで、シリカゲル上のカラムクロマトグ
ラフィで、まず、塩化メチレンで未反応物を洗い流した
後に、テトラヒドロフランを展開液として精製し、30
0mgの生成物が得られた。この生成物の融点は360
℃以上であり、クロロホルム中の吸収スペクトルは波長
684nmと波長626nmとに吸収極大があったこと
から、最終目的物質である化合物2〔構造式(2)〕で
あることを確認した。また、蛍光極大波長は701nm
であった。
【0105】化合物3の合成 15gの4−ブロモアセナフテンキノン〔4-brmoacenap
hthenequinone :構造式(i)〕と、30gのエチレン
グリコールと、200mgのp−トルエンスルホン酸と
を、700mLのm−キシレン中で4日間還流した。こ
こで生成する水をモレキュラーシーブ(ポア径0.4n
m)を用い除去した。なお、12時間毎に20gのエチ
レングリコールと、200mgのp−トルエンスルホン
酸とを加えた。
【0106】次いで、得られた物質の冷却後、溶液を1
Mの炭酸水素ナトリウム溶液で3回洗浄した。その後、
溶媒を蒸発させ、残留物を800mLの石油エーテルか
ら再結晶して、構造式(j)で表される白色のケタール
(16.4g)を得た。
【0107】次いで、80mLのテトラヒドロフランに
3gのケタールを溶解した溶液に−78℃でブチルリチ
ウムの1.6Mヘキサン溶液を6.5mL加えた。2時
間攪拌したのち、−78℃で、溶液をトリイソプロピル
ボレート8.1gを200mLのテトラヒドロフランに
溶解した溶液に移した。3時間、−78℃下に置いた
後、室温まで温めて反応を継続した。
【0108】次いで、溶媒を除去した後、残留物を塩化
メチレンに溶解し、水で洗浄した。溶媒を再び除去した
後、残留物をトルエンから再結晶し、1.6gのホウ素
酸を得た。このホウ素酸と、1gのN−(2,6−ジイ
ソプロピルフェニル)−9−ブロモペリレン−3,4−
ジカルボキシイミド〔N-(2,6-diisopropylphenyl)-9-br
moperylene-3,4-dicarboximide:構造式(k)〕と、5
5mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジ
ウム(0) 〔tetrakis(triphenylphosphine)palladium
(0)〕を、70mLのトルエンと2Nの炭酸カリウム水
溶液20mLとの混合物中で15時間還流した。
【0109】次いで、有機層を分離してトルエンを除去
し、残留物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、展
開液:塩化メチレン)で精製して、構造式(l)で表さ
れるカップルングしたケタール960mgを得た。
【0110】次いで、このケタール〔構造式(l)〕1
gを1−プロパノール500mLと、水20mLと、硫
酸20mLとを混合した溶液中で3日間還流して水和さ
せ、得られた溶液を5gの炭酸水素ナトリウムを含む2
Lの水に注ぎ、沈殿を濾過した後、展開液として塩化メ
チレンを用いてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィ
で精製して、830mgのN−(2,6−ジイソプロピ
ルフェニル)−9−(4−アセナフテンキノリル)ペリ
レン−3,4−ジカルボキシイミド〔N-(2,6-diisoprop
ylphenyl)-9-(4-acenaphthenquinonyl)-3,4-dicarboxim
ide :構造式(m)〕を得た。分解温度は220℃であ
り、文献値と一致した。
【0111】次いで、600mgの化合物〔構造式
(m)〕と、5gの水酸化カリウムとを、300mLの
1−プロパノールに溶解した後、空気の存在下、60℃
で2時間加熱した。
【0112】次いで、反応後の溶液を1N塩酸2Lに注
いだ。この溶液から沈殿物を濾過した後、600mgの
反応生成物を得た。この反応生成物500mLと、1g
のn−オクチルアミン〔n-octhlamine〕とを300mL
のイソプロパノール中で8時間還流した。
【0113】反応後、溶液を1Lの1M塩酸に注いだ。
この溶液から沈殿物を濾過した後、エタノールから再結
晶して、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−9
−(4−N−オクチル−ナフタレン−1,8−ジカルボ
キシイミド)ペリレン−3,4−ジカルボキシイミド
〔N-(2,6-diisopropylphenyl)-9-(4-N-octyl-naphthale
ne-1,8-dicarboximide)perylene-3,4-dicarboximide :
構造式(n)〕を得た。分解点は293℃であり、文献
値と一致した。
【0114】次いで、460gの化合物〔構造式
(n)〕と、30gの水酸化カリウムとを、60mLの
エタノール中で70℃、20分間加熱した。得られた深
青色の溶解物を400mLの2M塩酸に注ぎ、沈殿を濾
過した後、2回水洗し、さらに不純物を取り除くため沸
騰エタノールで2回抽出して、370mgの目的物であ
る化合物3を得た。収率は80%であった。また、融点
は360℃以上であり、吸収スペクトルの極大吸収波長
は650nm、598nm、553nmにあり、文献値
と一致することから、目的の化合物であることを確認し
た。
【0115】以上のような合成法にて化合物1、2及び
3を合成し、また、前記化合物4及び5も同様にして合
成した。
【0116】実施例1 本実施例では、テリレンイミド誘導体として上述した化
合物1、2、3、4及び5を用いて、図2に示した積層
構造14を有する有機EL素子を作製した。
【0117】<有機ELセルの作製>真空蒸着装置中に
ITO膜が設けられたガラス基板を、蒸着源の上方25
cmの位置に取り付け、膜形成部分に対応する開口部を
設けた蒸着マスクを前記ガラス基板と蒸着源との間に設
け、圧力10-6Torr未満の真空下で、抵抗加熱法に
より有機電界発光素子(有機EL素子)を作製した。前
記素子の発光面積は2.0mm×2.0mmである。
【0118】ITO基板4上に、ホール輸送材料とし
て、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチ
ルフェニル)1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミ
ン(N,N'-diphenyl-N,N'-bis(3-methylphenyl)1,1'-bip
henyl-4,4'-diamine:以下、TPDと称する。)と、上
記各テリレンイミド誘導体20とを別々の蒸発ボートか
ら蒸発させ、基板4上にホール輸送層3として、テリレ
ンイミド誘導体20とホール輸送材料とからなる混合膜
を形成した。なお、ホール輸送材料に対するテリレンイ
ミド誘導体の濃度は0.5モル%とした。
【0119】また、ここでは、2個の水晶振動式膜厚計
を用いて、それぞれの蒸発速度を監視しながら、膜中に
含まれるテリレンイミド誘導体の組成を制御した。全体
の蒸発速度は0.2〜0.4nm/sの間に制御した。
また、ホール輸送層3の膜厚は50nmとした。
【0120】次いで、ホール輸送層3での発光を効率良
く行わせるために、ホールブロッキング層18として、
2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フ
ェナントロリン(2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phe
nanthroline )をホール輸送層3上に15nmの厚さに
蒸着した。
【0121】次いで、この上に、電子輸送層2を50n
mの厚さに形成した。電子輸送材料としては、トリス−
(8−オキシキノリン)アルミニウム(tris-(8-hydrox
yquinoline)aluminum :以下、Alq3 と称する。)を
用い、この膜の形成は、水晶振動式膜厚計を用いて蒸発
速度を0.2〜0.4nm/sの間に制御しながら行っ
た。
【0122】また、陰極1に用いる金属としてアルミニ
ウムを使用し、抵抗加熱法により200nmの厚さに蒸
着した。
【0123】<発光特性の評価>窒素雰囲気下で、上述
したように作製したEL素子の発光特性を評価した。
【0124】赤色発光が得られ、大塚電子製のフォトダ
イオードアレイを検出器とした分光器を用いて分光測定
をを行った結果、テリレンイミド誘導体として、化合物
1を用いた場合、波長675nmに、化合物2では波長
705nmに、化合物3では波長710nmに、化合物
4では波長670nmに、化合物5では波長740nm
に発光極大(発光ピーク)が観測された。
【0125】なお、テリレンイミド誘導体として化合物
1を用いた場合の発光スペクトルを図6に示す。また、
テリレンイミド誘導体として化合物2を用いた場合の発
光スペクトルを図7に示す。すなわち、図6及び図7に
示したスペクトルから、赤色発光波長内に発光強度の大
きなピークが現れており、本実施例の赤色発光は色純度
に優れた発光であることが分かる。
【0126】それぞれの化合物の発光は蛍光スペクトル
と特徴が一致しており、テリレンイミド誘導体によるも
のであることが確認できた。電圧を順次加えて、輝度計
を検出器として輝度を測定した。印加電圧の上昇ととも
に、流れる電流値、輝度が増加し、印加電圧15Vのと
きの輝度は、化合物1を使用した場合、220cd/m
2 、化合物2では260cd/m2 、化合物3では18
0cd/m2 、化合物4では240cd/m2 、化合物
5では210cd/m2 であった。
【0127】なお、一般的に、緑色発光の輝度は500
cd/m2 、青色発光の輝度は100cd/m2 、赤色
発光の輝度は200cd/m2 前後又はそれ以上である
ことが望ましい。本実施例の赤色発光の輝度は実用的に
全く問題のない輝度である。また、発光は安定であっ
て、観測時間中に輝度が著しく減衰することはなかっ
た。
【0128】実施例2 本実施例では、テリレンイミド誘導体として上述した化
合物1、2、3、4及び5を用いて、図3に示した積層
構造15を有する有機EL素子を作製した。
【0129】<有機ELセルの作製>実施例1と同様に
して、真空蒸着装置中にITO膜が設けられたガラス基
板を、蒸着源の上方25cmの位置に取り付け、膜形成
部分に対応する開口部を設けた蒸着マスクを前記ガラス
基板と蒸着源との間に設け、圧力10-6Torr未満の
真空下で、抵抗加熱法により有機電界発光素子(有機E
L素子)を作製した。前記素子の発光面積は2.0mm
×2.0mmである。
【0130】ITO基板4上に、ホール輸送材料として
TPDを蒸発ボートから蒸発させて、前記基板上にホー
ル輸送層3を形成した。蒸発速度は0.2〜0.4nm
/sの間に制御した。なお、ホール輸送層の膜厚は50
nmとした。
【0131】次いで、この上に、電子輸送材料として、
1,3−ビス(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4
−オキサジアゾリル)フェニレン(以下、OXD−7と
称する)を使用し、OXD−7と上記各テリレンイミド
誘導体20とを別々の蒸着ボートから蒸発させて電子輸
送層2を形成した。この膜の形成は、2個の水晶振動式
膜厚計を用いてそれぞれの蒸発速度を個別に制御した。
全体の蒸発速度は、ホール輸送層形成時と同じく0.2
〜0.4nm/sの間に制御し、全厚を50nmに形成
した。なお、このときのOXD−7に対するテリレンイ
ミド誘導体の濃度は0.5モル%とした。
【0132】また、陰極1に用いる金属としてアルミニ
ウムを使用し、抵抗加熱法により200nmの厚さに蒸
着した。
【0133】<発光特性の評価>実施例1と同様に、窒
素雰囲気下でEL素子の発光特性を評価した。
【0134】赤色発光が得られ、大塚電子製のフォトダ
イオードアレイを検出器とした分光器を用いて分光測定
をを行った結果、実施例1と同様の発光極大(発光ピー
ク)を有するスペクトルが得られ、この発光が各テリレ
ンイミド誘導体によるものであることが確認できた。
【0135】なお、赤色の発光強度は、OXD−7中の
テリレンイミド誘導体の濃度に依存しており、OXD−
7中のテリレンイミド誘導体の濃度が、0.1〜2.0
モル%、さらには0.2〜1.0モル%の範囲にあると
き最大となった。
【0136】また、印加電圧の上昇とともに、流れる電
流値、輝度が増加し、印加電圧11Vのときの輝度は、
化合物1を使用した場合、230cd/m2 、化合物2
では240cd/m2 、化合物3では180cd/
2 、化合物4では220cd/m2 、化合物5では1
90cd/m2 であった。また、発光は安定であって、
観測時間中に輝度が著しく減衰することはなかった。
【0137】実施例3 本実施例では、テリレンイミド誘導体として上述した化
合物1、2、3、4及び5を用いて、図4に示した積層
構造16を有する有機EL素子を作製した。
【0138】<有機ELセルの作製>実施例1と同様に
して、真空蒸着装置中にITO膜が設けられたガラス基
板を、蒸着源の上方25cmの位置に取り付け、膜形成
部分に対応する開口部を設けた蒸着マスクを前記ガラス
基板と蒸着源との間に設け、圧力10-6Torr未満の
真空下で、抵抗加熱法により有機電界発光素子(有機E
L素子)を作製した。前記素子の発光面積は2.0mm
×2.0mmである。
【0139】ITO基板4上に、ホール輸送材料として
TPDを蒸発ボートから蒸発させて、前記基板4上にホ
ール輸送層3を形成した。蒸発速度は0.2〜0.4n
m/sの間に制御した。なお、ホール輸送層3の膜厚は
50nmとした。
【0140】次いで、この上に、電子輸送材料として、
1,4−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル
(1,4-bis(2,2-diphenylvinyl)biphenyl:以下、化合物
Aと称する)を使用し、この化合物Aと上記各テリレン
イミド誘導体とを別々の蒸着ボートから蒸発させて電子
輸送層2を形成した。この膜の形成は、2個の水晶振動
式膜厚計を用いてそれぞれの蒸発速度を個別に制御し
た。
【0141】但し、ここでは、電子輸送層2としては、
始めに化合物Aを10nm厚に真空蒸着した層2aを形
成した後、化合物Aと上記各テリレンイミド誘導体を5
〜40nm、さらに望ましくは10〜30nmの膜厚に
なるように共蒸着した層2bを設けた。さらにこの上
に、電子輸送層2の全厚が50nmとなるように化合物
Aのみの層2cを蒸着した。蒸発速度は、ホール輸送層
形成時と同じく0.2〜0.4nm/sの間に制御し
た。なお、前記層2bにおいて、化合物Aに対するテリ
レンイミド誘導体の濃度を0.5モル%とした。
【0142】また、陰極1に用いる金属としてアルミニ
ウムを使用し、抵抗加熱法により200nmの厚さに蒸
着した。
【0143】<発光特性の評価>実施例1と同様に、窒
素雰囲気下でEL素子の発光特性を評価した。
【0144】電圧を順次加えて、輝度計を検出器として
輝度を測定した。赤色の発光強度は化合物A〔1,4−
ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル〕中のテ
リレンイミド誘導体の濃度に依存しており、実施例2と
同様に、化合物A中の各テリレンイミド誘導体の濃度
が、0.1〜2.0モル%、さらには0.2〜1.0モ
ル%の範囲にあるとき最大となった。
【0145】また、印加電圧の上昇とともに、流れる電
流値、輝度が増加し、印加電圧12Vのときの輝度は、
化合物1を使用した場合、260cd/m2 、化合物2
では270cd/m2 、化合物3では200cd/
2 、化合物4では250cd/m2 、化合物5では2
10cd/m2 であった。また、発光は安定であって、
観測時間中に輝度が著しく減衰することはなかった。
【0146】実施例4 本実施例では、テリレンイミド誘導体として上述した化
合物1、2、3、4及び5を用いて、図5に示した積層
構造17を有する有機EL素子を作製した。
【0147】<有機ELセルの作製>実施例1と同様に
して、真空蒸着装置中にITO膜が設けられたガラス基
板を、蒸着源の上方25cmの位置に取り付け、膜形成
部分に対応する開口部を設けた蒸着マスクを前記ガラス
基板と蒸着源との間に設け、圧力10-6Torr未満の
真空下で、抵抗加熱法により有機電界発光素子(有機E
L素子)を作製した。前記素子の発光面積は2.0mm
×2.0mmである。
【0148】ITO基板4上に、ホール輸送材料として
TPDを蒸発ボートから蒸発させて、前記基板4上にホ
ール輸送層3を形成した。なお、ホール輸送層3の膜厚
は50nmとした。
【0149】次いで、この上に、発光層8として10n
mの膜厚に各テリレンイミド誘導体を形成した。
【0150】さらに、電子輸送材料としてAlq3 を使
用し、50nmの膜厚となるようにAlq3 からなる電
子輸送層2を蒸着により形成した。
【0151】これらの膜の形成時の蒸発速度は水晶振動
式膜厚計により、0.2〜0.4nm/sの間に制御し
た。
【0152】また、陰極1に用いる金属としてアルミニ
ウムを使用し、抵抗加熱法により200nmの厚さに蒸
着した。
【0153】<発光特性の評価>実施例1と同様に、窒
素雰囲気下でEL素子の発光特性を評価した。
【0154】電圧を順次加えて、輝度計を検出器として
輝度を測定した。分光測定の結果、実施例1と同様に波
長670nm付近に発光極大のあるスペクトルが得ら
れ、発光が各テリレンイミド誘導体によるものであるこ
とが確認された。
【0155】また、印加電圧の上昇とともに、流れる電
流値、輝度が増加し、印加電圧13Vのときの輝度は、
化合物1を使用した場合、180cd/m2 、化合物2
では130cd/m2 、化合物3では190cd/
2 、化合物4では140cd/m2 、化合物5では1
60cd/m2 であった。また、発光は安定であって、
観測時間中に輝度が著しく減衰することはなかった。
【0156】
【発明の作用効果】本発明の有機電界発光素子によれ
ば、発光領域を有する有機積層構造が陽極と陰極との間
に設けられている有機電界発光素子において、前記発光
領域にテリレンイミド誘導体が含まれているので、色純
度や輝度に優れ、かつ安定性にも優れた赤色発光を有す
る有機電界発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機電界発光素子として使用可能なシ
ングルヘテロ型の有機電界発光素子の要部概略断面図
(A)、同、ダブルヘテロ型の有機電界発光素子の要部
概略断面図(B)、同、有機電界発光素子を用いたフル
カラーの平面ディスプレイの構成図(C)である。
【図2】本実施例に基づく有機電界発光素子の構成を示
す模式的な断面図である。
【図3】同、有機電界発光素子の他の構成を示す模式的
な断面図である。
【図4】同、有機電界発光素子の他の構成を示す模式的
な断面図である。
【図5】同、有機電界発光素子の他の構成を示す模式的
な断面図である。
【図6】実施例1において化合物1を使用した際に得ら
れた発光スペクトルを示すスペクトル図である。
【図7】実施例1において化合物2を使用した際に得ら
れた発光スペクトルを示すスペクトル図である。
【符号の説明】
1…陰極、2、2a、2b、2c…電子輸送層、3…ホ
ール輸送層、4…陽極、5…基体、6…封止、7…電
源、8…発光層、10…シングルヘテロ型有機電界発光
素子、11…ダブルヘテロ型有機電界発光素子、12…
輝度信号回路、13…制御回路、14、15、16、1
7…積層構造、18…ホールブロッキング層、20…テ
リレンイミド誘導体

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発光領域を有する有機積層構造が陽極と
    陰極との間に設けられている有機電界発光素子におい
    て、前記発光領域にテリレンイミド誘導体が含まれてい
    ることを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 【請求項2】 前記テリレンイミド誘導体が下記一般式
    (1)で表される化合物である、請求項1に記載した有
    機電界発光素子。 【化1】 (但し、前記一般式(1)において、R1 及びR2 は、
    互いに異なるか若しくは同一の基であって、水素原子、
    炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、及び、
    無置換の若しくは置換基を有するフェニル基からなる群
    より選ばれた1種の基であり、R3 、R4 、R5 及びR
    6 は、全て異なるか若しくは少なくとも2種が同一の基
    であって、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、
    及び、無置換の若しくは置換基を有するフェニル基又は
    フェノキシ基からなる群より選ばれた1種の基であ
    る。)
  3. 【請求項3】 前記テリレンイミド誘導体が下記一般式
    (2)で表される化合物である、請求項1に記載した有
    機電界発光素子。 【化2】 (但し、前記一般式(2)において、R7 は、水素原
    子、炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、及
    び、無置換の若しくは置換基を有するフェニル基からな
    る群より選ばれた1種の基であり、R8 及びR9 は、互
    いに異なるか若しくは同一の基であって、水素原子、炭
    素原子数1〜4のアルキル基、及び、無置換の若しくは
    置換基を有するフェニル基又はフェノキシ基からなる群
    より選ばれた1種の基である。)
  4. 【請求項4】 前記陽極と前記陰極との間にホール輸送
    層と電子輸送層とが積層されており、前記電子輸送層に
    前記テリレンイミド誘導体が含有されている、請求項1
    に記載した有機電界発光素子。
  5. 【請求項5】 前記電子輸送層を構成する電子輸送材料
    に対して、前記テリレンイミド誘導体が0.1〜2.0
    モル%含有されている、請求項4に記載した有機電界発
    光素子。
  6. 【請求項6】 前記電子輸送層が積層構造の電子輸送層
    であり、積層構造の構成層に、前記テリレンイミド誘導
    体が含有されている、請求項4に記載した有機電界発光
    素子。
  7. 【請求項7】 前記陽極と前記陰極との間にホール輸送
    層と電子輸送層とが積層されており、前記ホール輸送層
    に前記テリレンイミド誘導体が含有されている、請求項
    1に記載した有機電界発光素子。
  8. 【請求項8】 前記ホール輸送層を構成するホール輸送
    材料に対して、前記テリレンイミド誘導体が0.1〜
    2.0モル%含有されている、請求項7に記載した有機
    電界発光素子。
  9. 【請求項9】 前記ホール輸送層と前記電子輸送層との
    間に、ホールブロッキング層が配されている、請求項7
    に記載した有機電界発光素子。
  10. 【請求項10】 前記陽極と前記陰極との間にホール輸
    送層と発光層と電子輸送層とが積層されており、前記発
    光層に前記テリレンイミド誘導体が含有されている、請
    求項1に記載した有機電界発光素子。
  11. 【請求項11】 前記テリレンイミド誘導体に基づく発
    光が赤色発光である、請求項1に記載した有機電界発光
    素子。
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