JP2000193636A - 空燃比センサの異常検出装置 - Google Patents

空燃比センサの異常検出装置

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JP2000193636A
JP2000193636A JP10369730A JP36973098A JP2000193636A JP 2000193636 A JP2000193636 A JP 2000193636A JP 10369730 A JP10369730 A JP 10369730A JP 36973098 A JP36973098 A JP 36973098A JP 2000193636 A JP2000193636 A JP 2000193636A
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fuel ratio
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sensor
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Shinsuke Inagaki
真介 稲垣
Naohide Izumitani
尚秀 泉谷
Keiichiro Aoki
圭一郎 青木
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空燃比センサにおいて十分な素子活性状態を
維持することができないような素子温度となる可能性が
ある運転状態にあっても、センサの異常検出を行うこと
ができるようにする。 【解決手段】 例えば、燃料カット状態、すなわち空燃
比が18よりも大きくなっているはずの状態にあるとき
に、空燃比センサの素子インピーダンスZを検出する。
次いで、Zに対応する素子温度Tを求める。次いで、素
子温度がTで空燃比が18のときに空燃比センサが出力
すべき電流値を判定基準値IR として算出する。次い
で、空燃比センサの現在の実際の出力電流値Iを求め
る。そして、I<IR のとき、すなわち空燃比センサが
18より小さな空燃比を示しているとき、センサ異常と
判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、限界電流式空燃比
センサにおいて酸素イオン導電素子の劣化等の異常を検
出する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車載用内燃機関において燃料消費率の低
減と有害ガス排出量の低減とを両立させるためには、機
関が燃焼させる混合気の空燃比(A/F)を広範囲に制
御する必要がある。このような空燃比制御を可能とする
ために、ジルコニア固体電解質等の酸素イオン導電素子
に大気側電極、排気側電極及び排気側拡散抵抗体を設け
てセンサ本体とし、そのセンサ本体への電圧印加に伴い
排気中の酸素濃度又は未燃ガス濃度に応じた限界電流が
生ずるのを利用した空燃比センサ(全域空燃比センサ、
リニア空燃比センサ等と呼ばれる)が実用化され、かか
る空燃比センサの出力に基づくフィードバック制御が行
われている。
【0003】全域空燃比センサの出力に基づく空燃比フ
ィードバック制御を行う上で、酸素イオン導電素子を活
性状態に維持することが不可欠である。そのためにヒー
タを用いて素子を加熱し素子温度を一定の値に保つ制御
が行われている。その際、素子温度を検出する必要があ
るが、素子抵抗が素子温度と相関関係を有することか
ら、素子抵抗を検出して素子温度を推定することによ
り、温度センサの必要性を排除することも提案されてい
る。
【0004】その一方、空燃比センサの異常検出を行
い、異常がある場合に迅速に措置することが、かかる空
燃比センサを使用する上で必須の条件となる。そこで、
例えば、特開平8−271475号公報は、酸素イオン
導電素子の素子抵抗を検出し、素子抵抗が所定範囲内に
ないときに酸素イオン導電素子に異常があると判定する
技術を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
8−271475号公報に開示される技術では、センサ
が当然に活性状態にあるような運転状態においてのみ異
常検出が可能であり、排気温度が低下してセンサが十分
に活性化していない可能性がある燃料カット中等の運転
状態においては、異常検出を実行することができない。
【0006】本発明は、上述の問題点に鑑みなされたも
ので、その目的は、空燃比センサにおいて、十分な素子
活性状態を維持することができない素子温度となるよう
な運転状態にあっても、異常検出を行うことができる異
常検出装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、電圧の印加に伴い排気中の酸素濃
度又は未燃ガス濃度に応じた限界電流を発生させる空燃
比センサの異常を検出する装置であって、排気の状態が
ある特定の空燃比よりリーン側又はリッチ側の雰囲気と
なるべき所定の運転状態にあることを検出する運転状態
検出手段と、該空燃比センサ内の酸素イオン導電素子の
素子インピーダンスを検出する素子インピーダンス検出
手段と、前記素子インピーダンス検出手段によって検出
される素子インピーダンスと前記特定の空燃比とに応じ
て該空燃比センサが出力すべき電流値を判定基準値とし
て算出する判定基準値算出手段と、前記運転状態検出手
段によって前記所定の運転状態にあることが検出されて
いるときに、該空燃比センサの実際の出力電流値と前記
判定基準値算出手段によって算出される判定基準値とを
比較し、該実際の出力電流値が前記リーン側又はリッチ
側の雰囲気と反対側の雰囲気に属する空燃比を指示する
場合に該空燃比センサに異常があると判定する異常判定
手段と、を具備する、空燃比センサの異常検出装置が提
供される。
【0008】また、本発明によれば、前記運転状態検出
手段によって検出される所定の運転状態は、排気が酸素
過剰状態となる運転状態である。
【0009】さらに、本発明によれば、前記排気が酸素
過剰状態となる運転状態は、燃料カット状態にあり且つ
該燃料カット状態に移行してから一定時間以上が経過し
ている状態である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施形態について説明する。
【0011】まず、空燃比センサの原理について説明す
る。図1は、空燃比と排気中の酸素(O2 )濃度との関
係及び空燃比と排気中の一酸化炭素(CO)濃度との関
係を示す特性図である。この図に示されるように、リー
ン空燃比領域にあってはO2濃度が空燃比に対してほぼ
リニアに変化する一方、リッチ空燃比領域にあっては未
燃ガスであるCO濃度が空燃比に対してほぼリニアに変
化する。空燃比センサは、後述するように、この関係を
利用するものである。
【0012】図2は、空燃比センサの一構成例を示す断
面図である。空燃比センサ10は、内燃機関の排気管9
0の内部に向けて突設された状態で使用される。空燃比
センサ10は、大別して、カバー11、センサ本体13
及びヒータ18から構成される。カバー11は断面カッ
プ状の形状を有し、その周壁にはカバー内外を連通する
多数の小孔12が形成されている。
【0013】センサ本体13において、試験管状に形成
された酸素イオン導電性固体電解質層14の外表面には
排気側電極層16が固着される一方、その内表面には大
気側電極層17が固着されている。また、排気側電極層
16の外側には、プラズマ溶射法等により拡散抵抗層1
5が形成されている。固体電解質層14は、例えば、本
実施形態においては、ZrO2 (ジルコニア素子)にC
aO等を安定剤として固溶させた酸素イオン伝導性酸化
物焼結体からなる(以下、固体電解質層14をセンサ素
子とも称する)。拡散抵抗層15は、アルミナ等の耐熱
性無機物質からなる。排気側電極層16及び大気側電極
層17は、共に、白金等の触媒活性の高い貴金属からな
り、その表面には多孔質の化学メッキ等が施されてい
る。
【0014】ヒータ18は、大気側電極層17内に収容
されており、その発熱エネルギによってセンサ本体13
を加熱し、ジルコニア素子14を活性化せしめる。ヒー
タ18は、ジルコニア素子14を活性化するのに十分な
発熱容量を有している。
【0015】ジルコニア素子14は、高温活性状態で素
子両端に酸素濃度差が生じると、濃度の高い側から低い
側へと酸素イオン(O2-)を通す特性(酸素電池特性)
を有する。また、ジルコニア素子14は、その両端に電
位差が与えられると、陰極から陽極に向けて、電位差に
応じた酸素イオン(O2-)の移動を引き起こそうとする
特性(酸素ポンプ特性)を有する。
【0016】図2に示されるように、センサ本体13に
は、大気側電極層17を正極性、排気側電極層16を負
極性とする一定のバイアス電圧が印加されている。排気
空燃比がリーンのときには、酸素ポンプ特性により、排
気側電極層16から大気側電極層17へと酸素イオン
(O2-)の移動が起こる。その結果、バイアス電圧源の
正極から、大気側電極層17、固体電解質層14及び排
気側電極層16を介して、バイアス電圧源の負極へと電
流が流れる。このとき流れる電流の大きさは、バイアス
電圧を一定値以上にすれば、排気中から拡散抵抗層15
を通って排気側電極層16へと拡散によって流入する酸
素量に対応する。従って、この限界電流の大きさを検出
すれば、酸素濃度を知ることができ、ひいては図1にて
説明したようにリーン領域における空燃比を知ることが
できる。
【0017】一方、排気空燃比がリッチのときには酸素
電池特性が働き、この酸素電池特性は大気側電極層17
から排気側電極層16へと酸素イオン(O2-)の移動を
引き起こそうとする。すなわち、酸素電池特性はバイア
ス電圧と逆向きに作用する。空燃比センサでは、酸素電
池特性による起電力がバイアス電圧に打ち勝つように構
成されているため、大気側電極層17から、バイアス電
圧源を通って、排気側電極層16へと電流が流れる。こ
のとき流れる電流の大きさは、固体電解質層14中を大
気側電極層17から排気側電極層16へと移送される酸
素イオン(O2-)の量によって決まる。その酸素イオン
は、排気中から拡散抵抗層15を通って排気側電極層1
6へと拡散によって流入する一酸化炭素などの未燃ガス
と排気側電極層16において反応(燃焼)するものであ
るため、酸素イオン移動量は未燃ガスの濃度に対応す
る。従って、この限界電流の大きさを検出すれば、未燃
ガス濃度を知ることができ、ひいては図1にて説明した
ようにリッチ領域における空燃比を知ることができる。
【0018】また、排気空燃比が理論空燃比のときに
は、排気側電極層16へ流入する酸素及び未燃ガスの量
が化学当量比となっているため、排気側電極層16の触
媒作用によって両者は完全に燃焼する。したがって、排
気側電極層16では酸素がなくなるため、酸素電池特性
及び酸素ポンプ特性により移送されるべき酸素イオンが
生じない。その結果、排気空燃比が理論空燃比のときに
は、回路を流れる電流は生じない。
【0019】かくして、空燃比センサの電圧−電流(V
−I)特性は、図3に示されるように、センサが晒され
る排気の空燃比(A/F)に応じた限界電流を示す。図
3においては、V軸に平行な直線部分が限界電流を表し
ている。そして、リーン領域とリッチ領域とでは限界電
流の流れる向きが逆になっており、リーン領域にあって
は空燃比が大きくなるほど、リッチ領域にあっては空燃
比が小さくなるほど、限界電流の絶対値が大きくなる。
そして、図3の特性図によれば、印加電圧を0.3V程
度に設定すると、広範囲にわたる空燃比を検出すること
ができる。なお、V軸に平行な直線部分の電圧より小さ
い電圧となる領域は、抵抗支配域となっている。
【0020】次いで、図4を用いて、本発明に係る空燃
比センサ異常検出装置の一実施形態を備えた空燃比検出
装置のハードウェア構成の一例について説明する。この
空燃比検出装置は、大別して、空燃比センサ10、セン
サ本体駆動回路20、ヒータ駆動回路30及び中央処理
装置(CPU)40から構成される。空燃比センサ10
は、図2で説明したように、センサ本体13及びヒータ
18を備えるものである。また、ヒータ駆動回路30
は、デューティ比信号を受けて、そのデューティ比に応
じてバッテリ32の電圧をヒータ18へオン/オフ的に
印加する回路である。また、CPU40は、内燃機関の
電子制御装置(ECU)の中枢として燃料噴射制御、点
火時期制御等を行うものであり、A/D変換器(AD
C)、D/A変換器(DAC)及びメモリを内蔵してい
る。
【0021】センサ本体駆動回路20は、大別して、ロ
ウパスフィルタ(LPF)21、第1の電圧フォロワ(v
oltage follower)22、基準電圧発生回路25及び第2
の電圧フォロワ26から構成される。LPF21は、C
PU40から出力されるアナログ信号電圧の高周波成分
を除去するものである。第1の電圧フォロワ22は、演
算増幅器、コンプリメンタリプッシュプル(complementa
ry push-pull) 増幅器等を備え、センサ本体13の大気
側電極層17の電位を、LPF21の出力の電位と同一
の電位に維持する。なお、その電位は、空燃比検出時に
おいては3.3Vである。
【0022】また、基準電圧発生回路25は、一定電圧
CCを分圧して基準電圧3.0Vを発生させる。第2の
電圧フォロワ26は、第1の電圧フォロワ22と同様の
回路構成を有し、センサ本体13の排気側電極層16の
電位を基準電圧3.0Vに維持する。従って、空燃比検
出時には、センサ本体13の両電極層間に0.3Vの電
圧が印加されることとなり、図3の特性図にて説明した
ように、限界電流を測定して広範囲にわたる空燃比を検
出することができる。第1の電圧フォロワ22内の抵抗
器が電流検出回路23として機能し、その両端の電位が
CPU40に供給されるようになっている。CPU40
は、抵抗器23の両端のアナログ電位をA/D変換し、
両端の電位差を算出し、その電位差と抵抗器23の抵抗
値とから電流を算出する。
【0023】図3に関する説明から理解されるように、
算出される電流値と排気空燃比とは図5に示される如き
関係を有している。そこで、CPU40は、検出された
電流値に基づいて排気の空燃比を検出することができ、
ひいては空燃比フィードバック制御を実現することがで
きる。
【0024】さて、空燃比を検出するためには、センサ
素子(ジルコニア素子)14を活性状態に維持する必要
がある。その活性状態は、素子温度を一定値、例えば7
00°Cに保つことによって維持される。ところで、素
子温度と素子抵抗とは、図6に示されるような一定の相
関関係を有しているため、素子温度を700°Cに保つ
ためには、素子抵抗が30Ωを示すようにすればよい。
そのため、素子抵抗を検出し、その検出される抵抗値に
基づき、ヒータ駆動回路30をフィードバック制御する
ことにより、素子活性状態を維持する制御が行われる。
【0025】図7はセンサ本体13の構造を示す図であ
り、(A)は断面図、(B)は固体電解質14の部分拡
大図である。また、図8は、センサ本体13の等価回路
を示す図である。図8において、R1は、ジルコニアか
らなる固体電解質のバルク抵抗であり、図7のグレイン
(grain) 部に対応する。R2は、固体電解質の粒界抵抗
であり、図7のグレイン境界(grain boundary)部に対応
する。R3は、白金からなる電極の界面抵抗である。C
2は、固体電解質の粒界の容量成分である。C3は、電
極界面の容量成分である。Z(W)は、交流による分極
が起こるときに周期的に界面濃度が変化するために生じ
るインピーダンス分(ワールブルインピーダンス)であ
る。
【0026】図8からわかるように、センサ本体13
に、抵抗支配域(図3参照)にある電圧を印加して出力
電流を測定した場合、“R1+R2+R3”が検出可能
となる。しかし、R3は電極の劣化等により大きく変化
するため、素子抵抗“R1+R2”のみを抽出すること
はできない。しかも、図3に示されるように、抵抗支配
域は空燃比に応じて変化するため、センサ本体の直流特
性により素子抵抗を検出することは極めて困難である。
そこで、交流特性を利用した素子抵抗検出法が提案され
ている。
【0027】図9は、空燃比検出用の直流電圧(0.3
V)に交流電圧を重畳した場合に、その入力交流電圧の
周波数fの変化に応じてセンサ本体のインピーダンスZ
が描く軌跡を示す図であり、横軸はインピーダンスZの
実部R、縦軸は虚部Xを示す。この軌跡は、空燃比に依
存しない。センサ本体のインピーダンスZは、Z=R+
jXで表される。図9に示されるように、インピーダン
スZは、周波数fが1kHz付近に近づくにつれて素子
抵抗“R1+R2”に収束する。
【0028】図10は、入力交流電圧の周波数fとイン
ピーダンスZの絶対値|Z|との関係を示す図である。
図10から、周波数1kHz〜10MHzでは|Z|が
ほぼ“R1+R2”であり、10MHzより高周波側で
は|Z|は減少していき、R1に収束することが判る。
このことから、素子抵抗“R1+R2”を検出するため
には、1kHz〜10MHz付近の交流電圧を印加し
て、出力交流電流を測定し、インピーダンスを求めるこ
とが望ましい。
【0029】図11(A)、(B)及び(C)は、LP
F21への入力電圧、LPF21からの出力電圧すなわ
ち空燃比センサ10の大気側電極層17への印加電圧、
及び空燃比センサ10の出力電流、の各波形を示す図で
ある。横軸は時間を示し、縦軸は電圧又は電流を表す。
前述のように、排気側電極層16は基準電圧3.0Vに
維持され、大気側電極層17は通常図11(B)に示さ
れるように3.3Vに維持されているため、空燃比セン
サ本体の両電極間には通常直流電圧0.3Vが印加され
ていることとなる。この入力直流電圧に対する出力直流
電流が空燃比を表している。
【0030】そして、CPU40は、素子インピーダン
スを測定するため、図11(A)に示されるように、L
PF21への入力電圧をΔVだけ変化させる。LPF2
1からの出力電圧すなわち空燃比センサ10の大気側電
極層17への印加電圧は、図11(B)に示されるよう
に、主として特定の周波数成分(例えば5kHz)から
なる、なまされた波形の交流電圧パルスが直流電圧3.
3Vに重畳したものとなる。この交流電圧パルスに対応
して、出力電流は、図11(C)に示されるようにΔI
だけ変化する。そして、ΔV/ΔIが素子インピーダン
ス(絶対値)Zを与える。そのZに基づいて図6の特性
曲線を参照することにより、素子温度が検出される。な
お、印加電圧を正負両側に変化させるのは、容量成分に
蓄積される電荷の放電を迅速化させるためである。
【0031】さて、内燃機関においては、燃料消費率の
向上等を目的として、減速時等に機関へ燃料を供給する
のを一時的に停止する燃料カット(fuel cut)が行われ
る。かかる燃料カット状態に移行してから一定時間経過
した時点においては、空燃比センサを取り巻く雰囲気は
十分にリーンな状態になっており、空燃比(A/F)は
20〜25になっているはずである。もしもその時点に
おいて空燃比センサの出力が特定の空燃比、例えば18
より小さな値を指示していれば、センサ素子の劣化等の
何らかの異常が空燃比センサにあることは明らかであ
る。
【0032】そこで、本発明では、上述のように、排気
の状態がある特定の空燃比よりリーン側又はリッチ側の
雰囲気となるべき所定の運転状態にあることを検出し、
その運転状態において空燃比センサの出力がそのリーン
側又はリッチ側の雰囲気と反対側の雰囲気に属する空燃
比を指示する場合に空燃比センサに異常があると判定す
る。
【0033】ところで、燃料カット状態においては、排
気の温度が低下する。センサ素子は、ヒータからの熱と
排気の熱とによって加熱されるものであるため、排気温
度が低下した場合には、素子温度も低下する。その結
果、酸素イオン導電性が低下するため、空燃比センサの
特性は、その出力電流の絶対値が小さくなる方向に変化
する。
【0034】すなわち、素子温度Tをパラメータとして
空燃比(A/F)と空燃比センサ出力電流Iとの関係を
示すと、図12に示される如きものとなる。同図におい
ては、素子温度TがT1 、T2 及びT3 であるときの3
本の特性曲線が示されており、T1 、T2 及びT3 の間
には、T1 <T2 <T3 の関係がある。なお、図6に示
されるように、素子温度Tと素子インピーダンスZとの
間には一定の相関関係があり、素子温度TがT1 、T2
及びT3 であるときの素子インピーダンスをそれぞれZ
1 、Z2 及びZ3 とすれば、Z1 >Z2 >Z3 の関係が
ある。
【0035】そして、図12に示されるように、空燃比
が18の場合のセンサ出力電流Iは、T=T1 (Z=Z
1 )のときI=I1 、T=T2 (Z=Z2 )のときI=
2、T=T3 (Z=Z3 )のときI=I3 となる。そ
こで、本発明では、素子インピーダンスZすなわち素子
温度Tを考慮してセンサ異常判定を行う。すなわち、空
燃比が18よりも大きくなっているはずの燃料カット状
態において、T=T1(Z=Z1 )のときにI<I1
あれば、センサ異常と判定する。同様に、燃料カット状
態において、T=T2 (Z=Z2 )のときにI<I2
あれば、センサ異常と判定する。また、燃料カット状態
において、T=T3 (Z=Z3 )のときにI<I3 であ
れば、センサ異常と判定する。
【0036】具体的には、A/F=18に対応するセン
サ出力電流値を判定基準値IR とおき、素子温度Tと判
定基準値IR との関係を図13のようにマップ化して記
憶しておく。そして、図14に示される異常検出ルーチ
ンを所定時間周期で実行する。まず、ステップ102で
は、現在、燃料カット状態にあり且つその燃料カット状
態に移行してから一定時間が経過しているか否か、すな
わち空燃比が18よりも大きくなっているはずの状態に
あるか否かを判定する。かかる条件が満足されればステ
ップ104に進む一方、満足されなければ本ルーチンを
終了する。
【0037】ステップ104では、図11を用いて説明
したように、交流電圧パルスを入力直流電圧に重畳せし
め、出力交流電流パルスを測定することにより、素子イ
ンピーダンスZを検出する。次いで、ステップ106で
は、図6に示される関係を記憶したマップを参照するこ
とにより、素子インピーダンス検出値Zに対応する素子
温度Tを求める。次いで、ステップ108では、図13
のマップを参照することにより、素子温度Tに対応する
判定基準値IR を決定する。
【0038】次いで、ステップ110では、空燃比セン
サ10の現在の実際の出力電流値Iを求める。そして、
ステップ112では、実電流値Iと基準値IR とを比較
し、I<IR のときにはステップ114に進む一方、I
≧IR のときにはステップ116に進む。ステップ11
4では、空燃比センサが18より小さい空燃比を示して
いるため、センサ異常と判定する。一方、ステップ11
6では、正常と判定する。ステップ114又は116の
実行後、本ルーチンを終了する。
【0039】なお、上述の実施形態においては、素子イ
ンピーダンスZを検出し、その素子インピーダンスZか
ら素子温度Tを求め、その素子温度Tから判定基準値I
R を決定しているが、図15に示されるように、素子イ
ンピーダンスZから直接に判定基準値IR を求めるマッ
プを準備しておいてももちろんよい。
【0040】また、上述の実施形態は、排気の状態が特
定の空燃比としての18よりリーン側の雰囲気となるべ
き燃料カット状態に対して、本発明を適用するものであ
ったが、一般に、排気の状態がある特定の空燃比よりリ
ーン側又はリッチ側の雰囲気となるべき運転状態に対し
て、上述の異常判定論理を適用することができる。例え
ば、排気系に二次空気を導入する場合においても、燃料
カットと同様の酸素過剰状態となるため、本発明を適用
することができる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
素子インピーダンスすなわち素子温度を考慮した空燃比
センサ出力特性に基づいて判定基準値を設定しているた
め、空燃比センサにおいて十分な素子活性状態を維持す
ることができないような運転状態にあっても、空燃比セ
ンサの異常検出を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空燃比と排気成分濃度との関係を示す特性図で
ある。
【図2】空燃比センサの一構成例を示す断面図である。
【図3】空燃比センサの電圧−電流特性の一例を示す特
性図である。
【図4】本発明に係る空燃比センサ異常検出装置の一実
施形態を備えた空燃比検出装置のハードウェア構成を示
す電気回路図である。
【図5】空燃比と空燃比センサ出力電流との関係を示す
特性図である。
【図6】素子温度と素子抵抗との関係を示す特性図であ
る。
【図7】センサ本体の構造を示す図であって、(A)は
断面図、(B)は固体電解質の部分拡大図である。
【図8】センサ本体の等価回路を示す図である。
【図9】空燃比検出用の直流電圧に重畳する入力交流電
圧の周波数を変化させたときにセンサ本体のインピーダ
ンスが描く軌跡を示す図である。
【図10】入力交流電圧の周波数と素子インピーダンス
との関係を示す図である。
【図11】LPFへの入力電圧、空燃比センサ大気側電
極への入力電圧、及び空燃比センサからの出力電流の各
波形を示す図である。
【図12】素子温度(すなわち素子インピーダンス)を
パラメータとして空燃比と空燃比センサ出力電流との関
係を示す特性図である。
【図13】素子温度から判定基準値を求めるためのマッ
プを示す図である。
【図14】CPUによって実行される異常検出ルーチン
の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】素子インピーダンスから判定基準値を求める
ためのマップを示す図である。
【符号の説明】
10…空燃比センサ(A/Fセンサ) 11…カバー 12…小孔 13…センサ本体 14…酸素イオン導電性固体電解質層(センサ素子) 15…拡散抵抗層 16…排気側電極層 17…大気側電極層 18…ヒータ 20…センサ本体駆動回路 21…ローパスフィルタ(LPF) 22…第1の電圧フォロワ回路 23…電流検出回路 25…基準電圧発生回路 26…第2の電圧フォロワ回路 30…ヒータ駆動回路 32…バッテリ 40…CPU 90…内燃機関の排気管

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電圧の印加に伴い排気中の酸素濃度又は
    未燃ガス濃度に応じた限界電流を発生させる空燃比セン
    サの異常を検出する装置であって、 排気の状態がある特定の空燃比よりリーン側又はリッチ
    側の雰囲気となるべき所定の運転状態にあることを検出
    する運転状態検出手段と、 該空燃比センサ内の酸素イオン導電素子の素子インピー
    ダンスを検出する素子インピーダンス検出手段と、 前記素子インピーダンス検出手段によって検出される素
    子インピーダンスと前記特定の空燃比とに応じて該空燃
    比センサが出力すべき電流値を判定基準値として算出す
    る判定基準値算出手段と、 前記運転状態検出手段によって前記所定の運転状態にあ
    ることが検出されているときに、該空燃比センサの実際
    の出力電流値と前記判定基準値算出手段によって算出さ
    れる判定基準値とを比較し、該実際の出力電流値が前記
    リーン側又はリッチ側の雰囲気と反対側の雰囲気に属す
    る空燃比を指示する場合に該空燃比センサに異常がある
    と判定する異常判定手段と、 を具備する、空燃比センサの異常検出装置。
  2. 【請求項2】 前記運転状態検出手段によって検出され
    る所定の運転状態は、排気が酸素過剰状態となる運転状
    態である、請求項1に記載の空燃比センサの異常検出装
    置。
  3. 【請求項3】 前記排気が酸素過剰状態となる運転状態
    は、燃料カット状態にあり且つ該燃料カット状態に移行
    してから一定時間以上が経過している状態である、請求
    項2に記載の空燃比センサの異常検出装置。
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