JP2000192267A - 重防食被覆鋼矢板 - Google Patents

重防食被覆鋼矢板

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JP2000192267A
JP2000192267A JP10364831A JP36483198A JP2000192267A JP 2000192267 A JP2000192267 A JP 2000192267A JP 10364831 A JP10364831 A JP 10364831A JP 36483198 A JP36483198 A JP 36483198A JP 2000192267 A JP2000192267 A JP 2000192267A
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polyethylene
anticorrosion
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Shiro Miyata
志郎 宮田
Shigeru Nakagawa
茂 中川
Mitsugi Fusamae
貢 房前
Yoshiro Saito
義郎 斉藤
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JFE Engineering Corp
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼矢板表面にポリエチレンシートを貼付
してなる重防食被覆鋼矢板に関し、被覆層の海水中での
長期密着性、特に被覆端部からの劣化防止性能に著しく
優れた重防食被覆鋼矢板を提供する。 【解決手段】 上記課題は、下地処理を施した鋼矢板の
面に変性ポリエチレン層を介して防食ポリエチレンシー
ト層が被覆されている重防食被覆鋼矢板において、前記
下地処理がブラスト処理とクロメート処理を含み、該ク
ロメート処理層のクロメート付着量が100〜1000
mg/m2であり、かつ前記防食ポリエチレンシート層
の端部周辺を2層以上の有機樹脂系塗布層で被覆したこ
とを特徴とする重防食被覆鋼矢板によって解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエチレンシー
トの貼着により鋼矢板表面に重防食被覆を形成した重防
食被覆鋼矢板に関するものであり、更に詳しくは、シー
トと鋼材との間の長期密着性に優れる重防食被覆鋼矢板
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】海洋、港湾、河川等の岸壁を形成する鋼
矢板は、激しい腐食環境に晒されるため、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂よりなるシ
ートを接着層を介して鋼矢板表面に貼着することにより
防食被覆を行った、いわゆる重防食被覆鋼矢板が使用さ
れることが多くなってきた。
【0003】この重防食被覆鋼矢板は、特開昭59−2
24717号公報あるいは特開昭60−8058号公報
等に開示されているように、素地調整した鋼矢板に、化
成処理層、プライマー層等からなる下地処理層を形成
し、その後変性ポリエチレン等の接着剤層を介して、防
食ポリエチレン層を形成したもので、製法としては、シ
ート状に成形された防食ポリエチレン層を、予熱した鋼
矢板に対し貼付して製造するという方法が知られてい
る。予め粉体塗装等の方法による変性ポリエチレン層を
形成した後に防食ポリエチレンシートを貼着する場合、
及び変性ポリエチレン層と防食ポリエチレン層が一体と
なったシートを被覆する場合が知られている。また防食
ポリエチレン層としては一般に架橋ポリエチレンが用い
られる(特開昭59−224717号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、シート貼付
により製造したポリエチレン被覆鋼矢板は、打設後海洋
環境に長期間晒された場合、特に海中部において、シー
トと鋼材の間の密着力が低下することがあり、最悪の場
合は被覆の浮きやめくれ等が発生するという可能性があ
る。
【0005】近年は港湾施設等の設計耐用年数も長期化
し、その間の維持管理費用を低減させることが望まれて
いる現状を考慮すると、重防食被覆鋼矢板の被覆の長期
密着性を一層向上させることは、極めて大きな経済効果
を生みだす、非常に意義のある課題となってくる。
【0006】重防食被覆鋼矢板の海水中における密着力
低下の原因は、長期間海水にさらされるため、被覆の防
食ポリエチレン層を透過してくる水分や酸素による接着
層や下地処理層の劣化を来たし、被覆層と鋼材との密着
力が低下すると言うことがまず考えられる。更に、曲面
部分がある鋼矢板の片面にシートを貼付するという特性
上、シートの端部からの環境物質の侵入等による接着層
や下地処理層の劣化等を招きやすいということも上げら
れる。また、重防食被覆と電気防食を併用する場合に
は、鋼材表面のカソード反応により発生する高濃度のア
ルカリにより被覆が剥離する陰極剥離現象も端部から起
こりやすくなる。
【0007】シートの端部からの接着層や下地処理層の
劣化に関しては、端部からの水分浸透等による劣化を防
ぐため、例えば特開昭61−5920号公報、特開昭6
1−49030号公報では、変性ポリエチレン層を粉体
塗装で行い、変性ポリエチレン層により端部シールを行
う技術が開示されている。しかるに、この様な方法であ
っても、端部からの劣化、特に電気防食併用時の端部か
らの劣化を防止する効果は必ずしも十分ではない。これ
らの端部シール部分の防食性能が不十分で、端部シール
部からの腐食反応による剥離の発生を防止できないこと
が原因であると考えられる。
【0008】また、下地処理層のクロメート層やプライ
マー層の成分や処理方法を検討することで、例えば電気
防食併用時の陰極剥離速度を低減するための技術は非常
に数多く開示されているが、これら技術も剥離速度低減
効果はあるものの長期間の間には剥離が進行することは
避けられず、本質的な解決とはなっていない。
【0009】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、鋼矢板表面にポリエチレンシート
を貼付してなる重防食被覆鋼矢板に関し、被覆層の海水
中での長期密着性、特に被覆端部からの劣化防止性能に
著しく優れた重防食被覆鋼矢板を提供することを目的と
するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の端部
からの劣化原因を取り除き、ポリエチレンシートの海水
中での長期密着性に優れた重防食被覆鋼矢板の開発のた
め、鋭意検討を行った。その結果、ポリエチレンシート
の少なくとも周辺領域において、特定の下地処理及び特
定の構成の防食被覆を行うことで、海洋環境での端部か
ら被覆の劣化に対し極めて優れた耐性を示し、海水中で
の長期密着性に著しく優れる重防食被覆鋼矢板が得られ
ることを見出し、遂に本発明を完成させるに至った。
【0011】即ち本発明は、下地処理を施した鋼矢板の
面に変性ポリエチレン層を介して防食ポリエチレンシー
ト層が被覆されている重防食被覆鋼矢板において、前記
下地処理がブラスト処理とクロメート処理を含み、該ク
ロメート処理層のクロメート付着量が100〜1000
mg/m2であり、 かつ前記防食ポリエチレンシート層
の端部周辺を2層以上の有機樹脂系塗布層で被覆したこ
とを特徴とする重防食被覆鋼矢板に関するものである。
【0012】本発明者らは、ポリエチレンシートの周辺
領域において、ブラスト処理の後、クロム付着量100
〜1000mg/m2のクロメート処理層を介して、 少
なくとも2層以上の有機樹脂系塗装が行われることによ
り、ポリエチレンシートそのものの端部からの劣化開始
が著しく遅延されることを見出した。
【0013】即ち、ポリエチレンシートを貼付すること
により被覆を行った重防食被覆鋼矢板は、シート端部に
おいて鋼材が露出しているため、露出した鋼材部分にお
ける腐食反応等の酸化還元反応の影響を受け、ポリエチ
レンシートの端部からの剥離が生じることがある。特に
電気防食と併用された場合、露出した鋼材において酸素
や水素イオンの還元反応によりアルカリや水素ガスが発
生しやすく、これらの影響によりシートの端部からの剥
離が促進されることもある。
【0014】本発明者らは、この様なシート端部付近に
おける鋼材上の酸化還元反応が、シート端部からの剥離
の原因の一つであることに着目し、この酸化還元反応が
起こる領域を出来るだけシート端部から遠ざけ、シート
への影響を最小限とし、かつこの効果が出来るだけ長期
に渡って保持されるような、シート周辺部分の表面処理
がなされた重防食被覆鋼矢板を探索した。その結果、ポ
リエチレンシートの周辺領域において、ブラスト処理の
後、クロム付着量100〜1000mg/m2のクロメ
ート処理層を介して、少なくとも2層以上の有機樹脂系
塗装がなされたシート端部防食層を有する重防食被覆鋼
矢板が、上述した様な効果を長期に渡って保持し、被覆
の端部からの剥離発生までの時間を著しく遅延すること
を見出した。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。本発明の重防食被覆鋼矢板は図1に示すよ
うに、鋼矢板1、下地処理層2、変性ポリエチレン層
3、防食ポリエチレンシート層4、1層目有機樹脂系塗
布層5、2層目有機樹脂系塗布層(3層目、4層目、そ
れ以降も含む)6、端部シール層7より構成される。
【0016】本発明に用いる鋼矢板とは、港湾、河川、
埋め立て地等の護岸等に用いられるもので、JIS A
5528に規定されるU型、Z型、I型、およびこれら
に準じる形状のものを用いることが出来る。その寸法に
ついては特に制約はない。本発明において、重防食被覆
は防食を施す必要のある部分に対して行われる。例えば
港湾の護岸用として用いられる場合には、主として海に
面する側に被覆が施されることが多いが、重防食被覆を
鋼矢板の両面に施しうることは言うまでもない。また電
気防食と併用し、重防食被覆は海上大気部からL.W.
L.−1m程度の限定された領域に施されることも普通
に行われる。
【0017】本発明の鋼矢板は、必要によりあらかじめ
脱脂、酸洗等を行った後、ショットブラスト処理、グリ
ットブラスト処理、サンドブラスト処理等のブラスト処
理で素地調整を施すことにより、鋼材表面の油分、スケ
ール等を除去しておくことが必要である。素地調整のレ
ベルは、例えばスウェーデン規格(SIS)でいえばS
a2 1/2程度以上とすることが好ましい。 この素地
調整が不十分であると、重防食被覆の長期防食性が著し
く損なわれる。更に、公知のクロメート処理等の化成処
理を施すことが長期密着性、防食性の観点から好まし
い。
【0018】更に、ブラスト処理がなされた領域に、ク
ロム付着量100〜1000mg/m2、好ましくは1
50〜500mg/m2程度のクロメート処理を行う。
クロメート処理は、6価クロムと3価クロムが適度な比
率で混合されてなるクロム酸系処理液を鋼材表面に塗布
後、乾燥することにより行われる。クロメート処理液
は、クロム酸濃度2〜90重量%程度、好ましくは8〜
20重量%程度、6価クロム/全クロムイオン比が0.
1〜0.9程度、好ましくは0.3〜0.7程度、pH
は5以下、好ましくは1〜3程度である。このクロメー
ト処理液には必要により他の成分を含有させることが出
来る。他の成分の例としてはリン酸、SiO2などで、リ
ン酸は0.1〜70重量%、好ましくは5〜20重量%
程度、SiO2は0.1〜70重量%程度、好ましくは
5〜20重量%程度である。クロメート液の温度は0〜
40℃、通常10〜30℃程度でよい。必要に応じてク
ロメート処理液を1〜99重量%、好ましくは3〜20
重量%程度の濃度となるように水で希釈したものを鋼材
表面に塗布することも可能である。また、塗布後の乾燥
温度は40〜200℃、好ましくは70〜160℃であ
る。
【0019】また、本発明の鋼矢板にはプライマー層を
設けることができる。このプライマー層は、エポキシ樹
脂系あるいはウレタン樹脂系の有機樹脂系プライマーで
あって、素地調整および化成処理を施した鋼矢板表面と
変性ポリエチレン層との密着性に優れたものが用いられ
る。プライマー層は、エアスプレー、エアレススプレ
ー、刷毛塗り等の公知の塗装方法で形成され、必要に応
じて塗装後加熱して完全な硬化被膜とすることも行われ
る。プライマー層の膜厚は10〜200μm、特に20
〜100μmが好ましい。10μmより薄いと、ポリエ
チレンシートの鋼材との密着力が小さくなるため、ポリ
エチレンシートが剥離するなどの問題があり、また20
0μmを越える膜厚であると、プライマー層自体の残留
応力が大きくなり、シートの長期密着性に悪影響を及ぼ
す。
【0020】また、本発明の重防食被覆鋼矢板におい
て、変性ポリエチレン層は、ポリエチレン樹脂を、マレ
イン酸、アクリル酸、メタアクリル酸等の不飽和カルボ
ン酸またはその無水物のグラフト反応で変性したもの
で、ポリエチレン単体に比較して、他の物質との接着性
が著しく改善された樹脂層のことを指す。変性ポリエチ
レンはグラフトする官能基の種類や量により様々な熱的
性質のものが知られているが、本発明で用いられる変性
ポリオレフィンのビカット軟化点は、50℃以上90℃
以下であることが好ましい。50℃以下の軟化点である
と、重防食鋼矢板の気中部において、日照等による温度
上昇によりシートの密着性低下を来すので好ましくな
く、また90℃以上であるとシートの残留応力が著しく
大きくなり、被覆の長期密着性が劣り、また鋼矢板の必
要加熱温度を高くすることによるエネルギーコスト増大
を来すため好ましくない。より好ましいビカット軟化点
は55〜70℃である。変性ポリエチレンのその他の物
性では、メルトインデックスが0.2〜10g/10分
程度、好ましくは0.5〜5g/10分程度、融点60
〜100℃程度、好ましくは60〜80℃程度のものが
適当である。この変性ポリエチレン層は防食ポリエチレ
ン層の接着層として機能するものであり、層厚さは0.
1〜1.5mm程度、好ましくは0.2〜1mm程度が
適当である。
【0021】また、本発明の重防食被覆鋼矢板におい
て、防食ポリエチレン層は、密度が0.940g/cm3
以上のいわゆる高密度ポリエチレンを用いることが好ま
しい。耐環境応力亀裂性や耐衝撃性、靱性を向上する目
的でプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1等のポリオ
レフィン系成分を共重合成分とした共重合体としても良
い。変性ポリエチレン層との好ましい軟化点差は10〜
70℃程度である。防食ポリエチレン層には耐候性等の
長期特性を改善するため、カーボンブラックや着色顔
料、酸化防止剤等の各種添加物を加えることが好まし
い。防食ポリエチレン層の厚さは1〜6mm程度、特に
1〜4mm程度の範囲であることが、長期密着性、長期
防食性、被覆層の機械的強度の保持の観点から好まし
い。ちなみに重防食鋼矢板の防食ポリエチレンの規格は
2.0mm以上と定められており、一般的には防食ポリ
エチレン層の厚さは2.0mm以上であることが多い。
【0022】また、ポリエチレンには電子線架橋、シラ
ン架橋、化学架橋等いくつかの架橋方法が知られてお
り、重防食鋼矢板にもこれら架橋ポリエチレンが用いら
れることがあるが、本発明においては、これら架橋ポリ
エチレンは使用せず、非架橋のポリエチレンを使用する
のがよい。これは、冷却後の応力緩和効果を阻害しない
ためであり、また高密度ポリエチレンを使用するので十
分な機械的強度を有することから、架橋構造を取る必要
がない。
【0023】本発明の重防食被覆鋼矢板は、前記ブラス
ト処理とクロメート処理が行われ、さらに防食ポリエチ
レンシート層の端部周辺を2層以上の有機樹脂系塗布層
で被覆したことを特徴とするものである。
【0024】有機樹脂系塗布層を形成する有機樹脂系塗
料は、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエス
テル樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ウレタン樹脂、
アクリル樹脂、ビニル系樹脂等から選択される樹脂系塗
料であり、好ましくはエポキシ樹脂系塗料である。エポ
キシ樹脂系塗料としては、例えばエポキシ/フェノール
樹脂塗料、エポキシ/アミン樹脂塗料、エポキシ/アル
キド/メラニン樹脂塗料、エポキシアルキド樹脂塗料、
エポキシエステル樹脂塗料、アミン硬化エポキシ樹脂塗
料、タールエポキシ樹脂塗料、エポキシイソシアネート
塗料等が挙げられる。
【0025】防食ポリエチレンシート層の下地処理とし
て、プライマー層を設ける場合、本発明の2層以上の有
機樹脂系塗布層の最下層の樹脂を下地処理のプライマー
層で用いた樹脂と同じ種類のものとすることが好まし
い。例えば、下地処理にエポキシ系樹脂を用いた場合に
は最下層にもエポキシ系樹脂を、ウレタン系樹脂を用い
た場合には最下層にもウレタン系樹脂を用いることが好
ましい。
【0026】塗布層の層数は2層以上であり、通常2〜
4層程度、特に2〜3層程度でよい。層厚は最下層が2
0〜100μm程度、好ましくは30〜60μm程度、
最上層が20〜500μm程度、好ましくは30〜30
0μm程度、全層厚では40〜600μm程度、好まし
くは60〜400μm程度が適当である。
【0027】2層以上の有機樹脂系塗布層を設ける範囲
は、防食ポリエチレンシート端部から外側へ2〜50c
m程度である。特にポリエチレンシートの長手方向と平
行の端部は外側へ2〜10cm程度、長手方向と直角の
端部は外側へ10〜50cm程度が好ましい。尚、防食
ポリエチレンシート端部の内側に設ける必要は無いが、
処理作業上端部より内側に有機樹脂系塗布層がはみ出し
ても特に問題はない。
【0028】この2層以上の有機樹脂系塗布層が防食ポ
リエチレンシートに接する端部は、更に弾性型シーリン
グ材でシールしておくことが好ましい。弾性型シーリン
グ材としては、シリコーン系、ポリサルファイド系、ポ
リウレタン系、水性アクリル系、ブチル系、スチレン−
ブタジエン共重合体ゴム系等であり、好ましくはポリウ
レタン系、より好ましくは湿気硬化型のウレタン樹脂系
シーリング材が好ましい。シーリング材は2層以上の有
機樹脂系塗布層の上に、図2に示すように形成されるの
が好ましい。
【0029】2層以上の有機樹脂系塗布層の設け方は、
基本的には防食ポリエチレンシート層形成後が好ましい
が、下地処理であるプライマー層と2層以上の有機樹脂
系塗布層の最下層が同一の場合は、予めプライマー層形
成時に有機樹脂系塗布層形成領域にもプライマー層を形
成し、防食ポリエチレン層形成後に最下層を除く2層以
上の有機樹脂系塗布層を形成することもできる。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。U型鋼矢
板(有効幅500mm、高さ225mm、厚さ24.3
mm、長さ6m)の凹面の表面をSIS Sa2 1/2
となるまでサンドブラスト処理し、使用時に海に接する
側の表面にクロメート処理剤を塗布、焼き付けし、 全
クロム付着量が500mg/m2のクロメート被膜を形
成した。非塗装部分を養生した上で、表面にエポキシ系
プライマーを膜厚40μmとなるようスプレー塗装し、
加熱して硬化させた。
【0031】その後、鋼矢板を加熱炉で140℃に加熱
し、高温状態の鋼矢板に厚さ0.5mmの変性ポリエチ
レン層と厚さ2.0mmの防食ポリエチレン層を一体化
して成形したシートを載せ、加圧して融着させた。変性
ポリエチレンは無水マレイン酸変性ポリエチレンであ
る。用いた防食ポリエチレンの密度は0.945g/c
3、MIは0.25g/10min、ビカット軟化点は
118℃、および変性ポリエチレンのビカット軟化点は
64℃のものを用いた。シート貼付後鋼材側から水を散
布し、室温まで冷却させた。
【0032】その後、防食ポリエチレン層の周辺部に表
1に示す種類の有機樹脂系塗布層を2層以上形成した。
前記塗布層の形成領域も表1に示す。更に、前記塗布層
が硬化後、防食ポリエチレン層の端部を湿気硬化型ウレ
タンシーリング材でシールした。
【0033】尚、表1において、2層以上の有機樹脂系
塗布層の最下層が防食層のプライマー層と同一の場合に
は、最下層のみプライマー層塗布時と同じタイミングで
塗装した。
【0034】この鋼矢板に対し、下記の評価を行った。 (1) 温塩水浸漬試験 得られた鋼矢板を適当なサイズに切断し、切断面を厳重
にシールした上で、50℃,3%の塩水に2000時間
浸漬し、浸漬後の有機樹脂系塗布層を形成した部分にお
ける被覆端部からの剥離の進展距離を測定した。 (2) 塩水噴霧試験 得られた鋼矢板を適当なサイズに切断し、切断面を厳重
にシールした上で、JIS K 5400に定められた塩
水噴霧試験を2000時間実施し、試験後の有機樹脂系
塗布層を形成した部分における端部からの錆の進行状況
を調査した。 (3) 電気防食試験 得られた鋼矢板を適当なサイズに切断し、切断面を厳重
にシールした上で、50℃,3%の塩水に浸漬し、外部
電源により鋼材電位を−1.0V(vs SCE)とした。
その状態で2000時間保持し、浸漬後の有機樹脂系塗
布層を形成した部分における被覆端部からの剥離の進展
距離を測定した。評価の結果を表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】以上のように、本発明の重防食被覆鋼矢板
はいずれの評価法においても端部からの劣化速度が著し
く小さくなることが分かる。
【0038】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の方法により
製造した重防食被覆鋼矢板は被覆の端部からの剥離が極
めて起こりにくい。そのため重防食被覆鋼矢板の被覆の
剥離に伴う補修費用等の損失を防ぐことが出来、著しい
経済的効果が見られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の重防食被覆鋼矢板の断面図である。
【符号の説明】
1 鋼矢板 2 下地処理層(クロメート層およびプライマー層) 3 変性ポリエチレン層 4 防食ポリエチレン層 5 1層目有機樹脂系塗布層 6 2層目有機樹脂系塗布層(3層目、4層目、それ以
降も含む) 7 端部シール層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 房前 貢 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 斉藤 義郎 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 2D049 EA03 FB03 FE02 4K026 AA02 BA06 BB06 CA13 CA22 CA26 CA27 DA02 DA11 EB08 4K044 AA02 AB10 BA15 BA21 BB04 BC05 CA16 CA53 4K062 AA10 EA11 EA14 EA20 FA01 FA12 GA03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下地処理を施した鋼矢板の面に変性ポリ
    エチレン層を介して防食ポリエチレンシート層が被覆さ
    れている重防食被覆鋼矢板において、前記下地処理がブ
    ラスト処理とクロメート処理を含み、該クロメート処理
    層のクロメート付着量が100〜1000mg/m2
    あり、 かつ前記防食ポリエチレンシート層の端部周辺
    を2層以上の有機樹脂系塗布層で被覆したことを特徴と
    する重防食被覆鋼矢板
  2. 【請求項2】 2層以上の有機樹脂系塗布層がそれぞれ
    異なる種類のエポキシ樹脂系塗料の塗布によって形成さ
    れたものである請求項1記載の重防食被覆鋼矢板
  3. 【請求項3】 下地処理が樹脂の塗布を含んでおり、2
    層以上の有機樹脂系塗布層の最下層の樹脂が該下地処理
    の樹脂と同じである請求項1または2記載の重防食被覆
    鋼矢板
  4. 【請求項4】 2層以上の有機樹脂系塗布層の防食ポリ
    エチレンシートに接する端部が硬化性樹脂組成物でシー
    ルされている請求項1、2または3記載の重防食被覆鋼
    矢板
JP10364831A 1998-12-22 1998-12-22 重防食被覆鋼矢板 Pending JP2000192267A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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