JP2000192259A - 抗菌性に優れたステンレス鋼材およびその製造方法 - Google Patents

抗菌性に優れたステンレス鋼材およびその製造方法

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JP2000192259A JP10371358A JP37135898A JP2000192259A JP 2000192259 A JP2000192259 A JP 2000192259A JP 10371358 A JP10371358 A JP 10371358A JP 37135898 A JP37135898 A JP 37135898A JP 2000192259 A JP2000192259 A JP 2000192259A
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Susumu Sato
佐藤  進
Keijiro Shigeru
啓二郎 茂
Yoshitomo Inoue
義智 井上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐食性、抗菌性および耐久性を兼備
し、さらに研摩を含む現在汎用されている表面加工を施
してもなお優れた抗菌性を有するステンレス鋼材および
その製造方法を提供する。 【解決手段】 ステンレス鋼に銀および銀化合物をAg換
算で0.001 〜0.30wt%、あるいはさらにV:0.001 〜
1.0wt%を含有させ、かつ鋼材中に銀化合物の1部を銀
酸化物として銀酸化物量で0.0005wt%以上、1.1 ×(wt
%Ag)wt%以下分散させ、さらにステンレス鋼材表層
に、好ましくは銀、あるいは銅抗菌性成分粒子を浸透固
着させる。抗菌性成分を含む液をステンレス鋼材表面に
塗布し、加圧あるいは擦ることにより浸透固着させるの
が好ましい。抗菌性成分としては銀、あるいは銀化合物
が好ましい。なお、ステンレス溶鋼を連続鋳造する際
に、連続鋳造の鋳込速度を0.8 〜1.6m/minとするのが好
ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステンレス鋼材に
係り、とくに抗菌性に優れ、厨房等生活関連用品、医療
機器、電気機器、化学機器および建材等に用いて好適な
ステンレス鋼材およびその製造方法に関する。本発明に
おけるスレンレス鋼材は、ステンレス鋼製の鋼板、鋼
帯、鋼管、鋼線およびその他ステンレス鋼製品を含むも
のとする。
【0002】
【従来の技術】銀、銅は、大腸菌やサルモネラ菌に代表
される病原性細菌の繁殖を抑制し、病原性細菌に起因す
る食中毒を防止する効果があることが従来から知られて
いる。最近、これら金属を利用して細菌繁殖抑制効果
(以下、抗菌性という)を持たせた材料が提案されてい
る。たとえば、特開平8-49085 号公報には、マグネット
スパッタリングによって、Ag及び/またはCuを含むCr、
Ti、Ni、Fe等の金属層または合金層をステンレス鋼基材
の表面に形成した抗菌性に優れたステンレス鋼板が開示
されている。この鋼板では、19〜60重量%のAgを含む金
属層または合金層を形成することが好ましいとされてい
る。
【0003】また、特開平8-156175号公報には、銀を含
んだ顔料を塗布し、細菌の繁殖を抑制できる塗装鋼板が
提案されている。しかしながら、上記した鋼板表面に抗
菌性金属を含む金属層あるいは合金層を形成する方法
や、抗菌性金属を含む顔料を塗布する方法では、絞り加
工や表面の研磨加工により抗菌性金属を含む層が剥離ま
たは除去されて、その効果が期待できなくなるという問
題があり、さらに、洗濯機の内装に用いられる鋼板にお
けるように常に表面が擦られる用途や厨房用品のように
清掃のために常に表面が擦られる用途では、長期にわた
り抗菌性が維持できなくなるという問題もあった。
【0004】また、特開平8-239726号公報には、重量比
で、鉄10〜80%、アルミニウム1〜10%、あるいはさら
にクロム、ニッケル、マンガン、銀のうちいずれか1種
以上を1〜15%を含み、残部が銅および不可避的不純物
からなる抗菌、耐海生生物材料が開示されている。しか
し、この材料は、アルミニウム1〜10%を含有した銅基
合金あるいは鉄基合金で、加工性が低く、とくに、例え
ば、食器、台所用品、バス用品、電機部品等の薄板で成
形する用途に供するには問題を残していた。
【0005】上記した問題を解決するため、特開平8-10
4953号公報には、Cuを1.1 〜3.5 重量%添加し抗菌性を
高めたオーステナイト系ステンレス鋼が、また特開平10
-259457 号公報には、Cu:0.5 〜4.0 重量%、Ag:0.05
〜1.0 重量%を含む抗菌性を有するオーステナイト系ス
テンレス鋼が、また特開平8-104952号公報には、Cuを0.
3 〜5重量%添加し抗菌性を高めたマルテンサイト系ス
テンレス鋼が、また、特開平9-170053号公報には、Cuを
0.4 〜3.0 重量%添加し抗菌性を高めたフェライト系ス
テンレス鋼が、提案されている。
【0006】また、特開平10-259456 号公報には、0.05
〜1.0 重量%のAgを含み、短径が10μm 以下のAg相が0.
03%以上の面積分率でマトリックス中に分散しているAg
含有抗菌ステンレス鋼板が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
8-104953号公報、特開平8-104952号公報、特開平9-1700
53号公報、特開平10-259457 号公報に記載された技術で
は、抗菌性を発現するために鋼板表面からCuがイオンと
して溶けだす必要がある。Cuがイオンとして溶出するこ
とは、その箇所で不動態膜が破壊されることを意味し、
そのため抗菌性は向上するが耐食性が著しく劣化するこ
とになる。したがって,Cu添加ステンレス鋼では、抗菌
性と耐食性とを両立させることが困難であった。また、
特開平10-259456 号公報に記載された技術では、Ag相の
短径を10μm 以下に調整するのは難しく、しかも短径10
μm 以下のAg相を面積分率で0.03%以上とするには多量
のAgの添加を必要とし、加工性、耐食性の低下および表
面性状の悪化を招くという問題があった。
【0008】さらに、ステンレス鋼材は、一般に脱スケ
ール工程を経て最終製品とされるが、この脱スケール工
程では通常酸洗により脱スケール処理が行われる。その
ため、Cu、Agを添加した抗菌性ステンレス鋼材では、内
部にくらべ表層部での抗菌性が低下することが懸念され
る。このような抗菌性の低下を、過剰なCu、Agの添加に
より補うと、加工性、耐食性の低下を招くという問題が
あった。
【0009】本発明は、上記した従来技術の問題点を有
利に解決し、比較的少ない量のAg添加で、優れた耐食性
および抗菌性とを兼備し、しかも最終製品の表層部の抗
菌性を高めた、抗菌性に優れたステンレス鋼材およびそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、優れた抗
菌性と耐食性とを兼ね備えたステンレス鋼材を開発する
ため、とくに、電界放射型オージェ電子分光装置や電子
線マイクロアナライザー等の分析装置を駆使して、ステ
ンレス鋼材表面の化学組成と抗菌性との関連について鋭
意研究を重ねた結果、ステンレス鋼にAgを適正量添加
し、さらにステンレス鋼材中に銀酸化物を適正量均一分
散させることにより抗菌性が高く、しかも耐食性に優れ
たステンレス鋼材となることことを見いだした。さら
に、本発明者らは、鋼材中に銀酸化物を適正量均一分散
させたステンレス鋼材では、成形加工、研摩加工を施さ
れる用途や使用時に表面が擦られあるいは削り取られる
用途においても安定した抗菌性を示すことを見いだし
た。また本発明者らは、これらステンレス鋼材表面に抗
菌性成分粒子を浸透固着させることにより表層部の抗菌
性が補強できることを新規に見いだした。
【0011】本発明は、上記した知見に基づき、さらに
検討を加えて完成されたものである。すなわち、第1の
本発明は、銀および銀化合物をAg換算で0.001 〜0.30wt
%含み、銀化合物の1部を銀酸化物として銀酸化物量で
0.0005wt%以上、1.1 ×(wt%Ag)wt%以下含有するス
テンレス鋼材であって、該ステンレス鋼材の表面層に、
抗菌性成分粒子を浸透固着してなることを特徴とする抗
菌性に優れたステンレス鋼材であり、また、本発明で
は、前記ステンレス鋼材が、銀および銀化合物をAg換算
で0.001 〜0.30wt%、銀化合物の1部を銀酸化物として
酸化物量で0.0005wt%以上、1.1 ×(wt%Ag)wt%以下
含み、さらにV:0.001 〜 1.0wt%を含有するステンレ
ス鋼材としてもよい。また、本発明では、前記抗菌性成
分粒子は、銀イオン、銅イオン、銀、銅、銀−銅合金の
うちの1種または2種以上であることが好ましく、ま
た、本発明では、前記抗菌性成分粒子が、粒径10μm 以
下の粒子とするのが好ましい。また、本発明では、ステ
ンレス鋼材表面層に浸透固着された前記抗菌性成分粒子
の濃度は、重量%で0.001 〜0.3 %とするのが好まし
い。なお、表層の抗菌性成分粒子の濃度は、GDMS法
により測定した値を用いるものとする。また、さらに良
好な抗菌性を得る点から、前記銀酸化物の大きさを、50
0 μm 以下とするのが好ましい。
【0012】第2の本発明は、銀および銀化合物をAg換
算で0.001 〜0.30wt%、銀化合物の1部を銀酸化物とし
て銀酸化物量で0.0005wt%以上、1.1 ×(wt%Ag)wt%
以下含み、あるいはさらにV:0.001 〜 1.0wt%を含有
するステンレス鋼材の表面に、抗菌性成分を含む液を塗
布したのち、該塗布した面を加圧することを特徴とする
抗菌性に優れたステンレス鋼材の製造方法であり、ま
た、本発明では、前記抗菌性成分を含む液を、抗菌性成
分の微粒子を分散させた微粒子分散液または抗菌性成分
が溶けた溶液とするのが好ましい。また、本発明では、
前記微粒子分散液の微粒子の粒径を10μm 以下とするの
が好ましい。また、本発明では、前記抗菌性成分を含む
液の、抗菌性成分の濃度を0.01〜10wt%とするのが好ま
しい。また、本発明では、前記抗菌性成分を、銀イオ
ン、銅イオン、銀、銅、銀−銅合金、銀化合物、銅化合
物のうちから選ばれた1種または2種以上とするのが好
ましく、前記銀化合物は、塩化銀、硫化銀、酸化銀、硫
酸銀、有機酸銀から選ばれた1種または2種以上とする
のが好ましく、また前記銅化合物は、塩化第一銅、塩化
第二銅、硫化第一銅、硫化第二銅、酸化第一銅、酸化第
二銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、りん酸銅、有機りん酸
銅のうちから選ばれた1種または2種以上とするのが好
ましい。
【0013】また、第2の本発明では、前記加圧するに
代えて、擦ることでもよい。加圧する手段としては、ロ
ール加圧、静水圧加圧、プレス加圧が好ましい。また、
擦る手段としては、塗布面同士の擦り合わせ、研摩、磨
きが好ましい。また、第2の本発明では、前記銀および
銀化合物をAg換算で0.001 〜0.30wt%、銀化合物の1部
を銀酸化物として銀酸化物量で0.0005wt%以上、1.1 ×
(wt%Ag)wt%以下含み、あるいはさらにV:0.001 〜
1.0wt%を含有するステンレス鋼材が、Ag:0.001 〜0.
30wt%、あるいはさらにV:0.001 〜 1.0wt%を含有す
るステンレス鋼溶鋼を鋳込速度:0.8 〜1.6m/minで連続
鋳造しして鋼素材とし、該鋼素材を熱間加工、あるいは
さらに冷間加工して製造されたステンレス鋼材とするの
が好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明鋼材の化学組成の限定理由
について、説明する。本発明のステンレス鋼材は、オー
ステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス
鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼がいずれも好適であ
る。オーステナイト系ステンレス鋼の化学組成は、C:
0.001 〜0.1 wt%、Si:2.0 wt%以下、Mn:2.0 wt%以
下、P:0.1wt %以下、S:0.1wt %以下、Cr:10〜35
wt%、Ni:6〜15wt%、N:0.001 〜0.1 wt%を含み、
残部Feおよび不可避的不純物とするのが好ましい。な
お、Mo:3.0 wt%以下、Cu:1.0 wt%以下、W:0.30wt
%以下、Al:0.3 wt%以下、Ti:1.0wt %以下、Nb:1.
0wt %以下、Zr:1.0wt %以下、Co:0.001 〜0.5wt
%、B:0.01wt%以下のうち1種または2種以上を含有
してもよい。
【0015】フェライト系ステンレス鋼の化学組成は、
C:0.0001〜0.1wt %、Si:1.0 wt%以下、Mn:2.0 wt
%以下、P:0.1wt %以下、S:0.1wt %以下、Cr:10
〜50wt%、N:0.10wt%以下を含み、残部Feおよび不可
避的不純物とするのが好ましい。なお、Al:0.3 wt%以
下、Ni:1.0 wt%以下、Mo:3.0 wt%以下、Ti:1.0wt
%以下、Nb:1.0 wt%以下、Zr:1.0wt %以下、Cu:1.
0 wt%以下、W:0.30wt%以下、Co:0.001 〜0.5wt
%、B:0.01wt%以下のうち1種または2種以上を含有
してもよい。
【0016】マルテンサイト系ステンレス鋼の化学組成
は、C:0.001 〜1.0wt %、Si:1.0 wt%以下、Mn:2.
0 wt%以下、P:0.1wt %以下、S:0.1wt %以下、C
r:10〜19wt%、N:0.001 〜0.1wt %を含み、残部Fe
および不可避的不純物とするのが好ましい。なお、Al:
1.5 wt%以下、Ti:1.0 wt%以下、Nb:1.0 wt%以下、
W:0.3wt %以下、Zr:1.0wt %以下、Ni:3.0 wt%以
下、Mo:3.0 wt%以下、Cu:1.0 wt%以下、Co:0.001
〜0.5wt %、B:0.01wt%以下のうち1種または2種以
上を含有してもよい。
【0017】本発明では、ステンレス鋼材に、好ましく
は上記した範囲の化学組成を有するステンレス鋼材に、
さらに銀および銀化合物をAg換算で0.001 〜0.30wt%、
あるいはさらにV:0.001 〜 1.0wt%を含有させ、かつ
銀化合物の1部を銀酸化物として銀酸化物量で0.0005wt
%以上、1.1 ×(wt%Ag)wt%以下含有させる。これに
より、耐食性の低下を伴わず、安定して格段に高い抗菌
性が発現できる。さらに、本発明では、上記した組成を
有するステンレス鋼材の表面層に、抗菌性成分粒子が浸
透固着した表層を形成させる。
【0018】つぎに本発明のステンレス鋼材の抗菌性発
現のための要件について説明する。 銀および銀化合物:0.001 〜0.30wt%(Ag換算) Agは、本発明で最も重要な元素であり、細菌の繁殖を抑
制する効果を有し、抗菌性を高める元素である。これら
の効果は、Ag換算で0.001wt %以上の含有で認められる
が、0.30wt%を超えて含有すると、耐食性が劣化し、熱
間圧延時の表面欠陥が増加するとともに、高価なAgを多
量に添加することとなりコスト的に不利となる。このた
め、AgはAg換算で0.001 〜0.30wt%の範囲に限定した。
【0019】鋼材中に含有されるAgは、Ag(銀)粒子、
銀酸化物および銀硫化物の形態で存在するが、本発明者
らの知見によれば、抗菌作用は、銀酸化物>銀粒子>銀
硫化物の順に優れており、本発明では、格段の抗菌性向
上のために含有するAgの多くを銀酸化物として存在させ
る。抗菌作用が、銀酸化物、銀粒子、銀硫化物の順に優
れる原因の詳細については現在のところ不明であるが、
銀粒子を含む銀化合物のイオン化速度の違いが、抗菌作
用を有するAgイオンの溶出速度の差となり、抗菌作用の
差として現れたものと推察される。
【0020】そこで、本発明では、銀酸化物を、鋼材中
に、0.0005wt%以上、1.1 ×(wt%Ag)wt%以下含有さ
せる。上記した量の銀酸化物が鋼材中に均一分散して存
在すると、製品出荷時の表面のみでなく研摩、切削・研
削加工後の表面、あるいは摩耗等により新しい表面が形
成される使用中の鋼材表面においても、つねに鋼材表面
に銀酸化物が存在することになり、細菌の繁殖が抑制さ
れ、抗菌性を格段に向上させる。なお、銀酸化物として
は、AgO またはAg2Oが例示される。
【0021】抗菌作用の優れる銀酸化物が0.0005wt%以
上含有されれば、良好な抗菌性が得られる。銀酸化物の
含有量が0.0005wt%未満では、細菌の繁殖を抑制する十
分な作用が望めず、0.30wt%を超える多量のAgを添加し
効果を補充する必要が生じ、耐食性が低下する。このよ
うな点から、銀酸化物含有量の下限を0.0005wt%に限定
した。一方、銀酸化物含有量が 1.1×(wt%Ag)wt%を
超えると、銀酸化物が粒界等に集まりやすくなり粗大な
酸化物が形成される傾向を示し、耐食性が劣化する。銀
酸化物の抗菌作用を十分に引き出すために、銀酸化物含
有量の上限を 1.1×(wt%Ag)wt%に限定した。ここで
wt%Agは鋼中の銀および銀化合物量でAg換算した量であ
る。
【0022】また、鋼中に含有される銀酸化物の形状
は、特に限定する必要はないが、銀酸化物の大きさが50
0 μm を超えると、耐食性が低下する原因となることか
ら、500 μm 以下の大きさとするのが好ましい。なお、
本発明における鋼材中の銀酸化物の生成量は、電解抽出
法による介在物分析、あるいは鋼材から採取した試験片
の任意の断面について、電界放射型オージェ電子分光装
置や電子線マイクロアナライザーまたはGDMS法で評
価するものとする。
【0023】本発明では、上記した範囲のAg(銀および
銀化合物)に加えて、さらにV:0.001 〜 1.0wt%を含
有させるのが望ましい。Vは、銀粒子、銀酸化物および
銀硫化物が板厚中心部に偏在する傾向を顕著に改善す
る、いわゆる分散剤としての効果を有している。Vを0.
001wt %以上含有することにより、均質なステンレス鋼
材表面の抗菌性が達成される。一方、0.30wt%を超える
と上記した効果は飽和するうえ、 1.0wt%を超えると加
工性、耐食性が劣化する傾向となる。このため、Vは
0.001〜 1.0wt%の範囲とするのが望ましい。なお、好
ましくは 0.001〜0.30wt%、より好ましくは0.01〜0.25
wt%である。
【0024】本発明のステンレス鋼材は、上記した範囲
の化学組成以外の残部はFeおよび不可避的不純物からな
る。本発明のステンレス鋼材は、通常公知の溶製方法す
べてを適用して溶製できるため、溶製方法はとくに限定
する必要はない。例えば、製鋼法としては、転炉、電気
炉等で溶製し、SS-VOD(Strongly Stirred Vacuum Oxyg
en Decarburization)により2次精錬を行うのが好適で
ある。
【0025】本発明では、Ag:0.001 〜0.30wt%を含
み、あるいはさらにV:0.001 〜 1.0wt%を含有するス
テンレス鋼溶鋼を通常公知の溶製方法で溶製する。溶製
された溶鋼は、通常公知の鋳造方法で鋼素材とすること
ができるが、生産性、品質上から連続鋳造法を適用する
のが好ましい。連続鋳造法においては、鋼中に銀酸化物
を0.0005wt%以上微細に均一に分散させるために、鋳込
速度を0.8 〜1.6 m/min の範囲とするのが好ましい。
【0026】鋳込速度が0.8m/min未満では、銀酸化物が
粗大となり、耐食性が劣化するとともに、安定して抗菌
性を発現させることが難しくなる。一方、鋳込速度が1.
6m/minを超えると、安定した鋳造が困難であり、0.0005
wt%以上の銀酸化物が鋼中に均一に分散しない。このた
め、使用時の鋼材表面に銀酸化物が不均一に分散するた
め、抗菌性が安定的に発現しない。このようなことか
ら、連続鋳造法における鋳込速度は0.8 〜1.6 m/min の
範囲とするのが望ましい。
【0027】銀酸化物量を0.0005wt%以上、1.1 ×(wt
%Ag)wt%以下の所定の範囲とするには、鋳込速度を0.
8 〜1.6 m/min の範囲とするとともに、ステンレス鋼溶
鋼の好ましくはS含有量を 0.015wt%以下、より好まし
くは 0.010wt%以下とするのが望ましい。溶鋼中のS含
有量の調整は、通常公知の製錬方法でよく、とくに限定
されないが、転炉および/またはVOD炉においてフェ
ロシリコンおよびカルシウム化合物を添加し脱硫する方
法が好ましい。
【0028】ステンレス鋼溶鋼のS含有量が 0.015wt%
を超えると、銀と反応して生成する銀硫化物の生成量が
増加し、抗菌作用に優れた銀酸化物の生成量が抑制され
るため、抗菌性が劣化するおそれがある。このようなこ
とから良好な抗菌性を得るために、溶鋼中のS濃度を
0.015wt%以下とするのが好ましく、 0.010wt%以下と
するのがとくに好ましい。
【0029】また、本発明では、上記した化学組成を有
するステンレス鋼溶鋼を、好ましくは上記した条件で連
続鋳造して鋼素材としたのち、必要に応じ該鋼素材を所
定の温度に加熱し、ついで熱間圧延等の熱間加工により
所望の板厚等の大きさ、形状の熱延板等の熱間加工材と
する。これら熱延板等の熱間加工材は、必要に応じ好ま
しくは700 〜1200℃の焼鈍を施したのち、用途に応じ、
熱延板等の熱間加工材のまま、または冷間圧延等の冷間
加工を施され所定の板厚等の大きさ、形状の冷延板等の
冷間加工材とされ、所望の使途に供される。
【0030】なお、例えば、冷延板は、好ましくは700
〜1200℃の焼鈍および酸洗を施して冷延焼鈍板とされる
のが望ましい。本発明では、上記したステンレス鋼材の
表層に、さらに抗菌性成分粒子を浸透固着させる。抗菌
性成分粒子は、抗菌性を有する銀イオン、銅イオン、
銀、銅、銀−銅合金のうちの1種、あるいはそれらの混
合とするのが望ましい。また、抗菌性成分粒子の大きさ
は、粒径10μm 以下とするのが好ましい。粒子の粒径が
10μm を超えると、ステンレス鋼材表面から内部への浸
透が困難となる。なお、粒径は、より好ましくは0.1 μ
m 以下である。
【0031】本発明でいう浸透固着とは、粒子が、結晶
粒界等のステンレス鋼材表面に存在する結晶粒界等の凹
凸欠陥を介し鋼材表面から深さ方向に少なくとも0.1 μ
m まで浸透し鋼材表層に固着された状態となることをい
う。ステンレス鋼材表面の抗菌性を補強するためには、
抗菌性成分粒子を深さ2μm 以上まで浸透させるのが好
ましい。浸透深さが少ないと固着力が弱く、外力等によ
り簡単に抗菌性成分粒子が表層から取り除かれ、抗菌性
発現に寄与しなくなる。
【0032】本発明では、ステンレス鋼材表層に浸透固
着された抗菌性成分粒子の濃度は、重量%で0.001 〜0.
3 %とするのが好ましい。抗菌性成分粒子の濃度が0.00
1 %未満では、表層に存在する抗菌性成分粒子の数が少
なく抗菌性の発現が少ない。また0.3 %を超えると、表
面の色調が劣化する場合がある。このため、抗菌性成分
粒子の濃度は、重量%で0.001 〜0.3 %とするのが好ま
しい。なお、表層の抗菌性成分粒子の濃度は、GDMS
法より測定した値を用いるものとする。
【0033】つぎに、ステンレス鋼材に、抗菌性成分粒
子を浸透固着した表層を形成させる方法について、説明
する。上記した抗菌性元素を含有する組成のステンレス
鋼材の表面を所望の表面状態に仕上げ、該表面に抗菌性
成分を含む液を塗布したのち、該塗布した面を加圧す
る。抗菌性成分を含む液は、抗菌性成分の微粒子を分散
させた微粒子分散液または抗菌性成分が溶けた溶液とす
るのが好ましい。
【0034】本発明で使用する抗菌性成分としては、オ
リゴジナミー効果、さらにはステンレス鋼材内部への浸
透のしやすさ、安全性、および表面性状の観点から銀イ
オン、銅イオン、銀、銅、銀−銅合金、銀化合物、銅化
合物のうちから選ばれた1種または2種以上とするのが
好ましい。銀化合物は、塩化銀、硫化銀、酸化銀、硫酸
銀、有機酸銀から選ばれた1種が有利に適合する。銅化
合物は、塩化第一銅、塩化第二銅、硫化第一銅、硫化第
二銅、酸化第一銅、酸化第二銅、硫酸第一銅、硫酸第二
銅、りん酸銅、有機りん酸銅のうちから選ばれた1種が
有利に適合する。なお、耐食性の観点からは銀、銀化合
物が最も好ましい。
【0035】ステンレス鋼材表面に塗布する抗菌性成分
を含む液は、抗菌性成分の微粒子を水または有機溶媒に
分散させた微粒子分散液か、抗菌性成分を水または有機
溶媒に溶解させた溶液とするのが好ましい。さらに、こ
れら液には、クエン酸ナトリウム等の溶解性有機酸塩、
縮合りん酸ナトリウム、溶解性またはエマルジョンタイ
プの有機系樹脂および界面活性材等を添加し金属表面へ
のぬれ性を向上させるのが好ましい。また、本発明で
は、前記微粒子分散液の微粒子の粒径は10μm 以下とす
るのが好ましい。より好ましくは0.1 μm 以下である。
微粒子の粒径が10μm を超えると、ステンレス鋼材表面
から内部への浸透が困難となる。
【0036】また、本発明では、抗菌性成分を含む液
の、抗菌性成分の濃度は0.01〜10wt%とするのが好まし
い。抗菌性成分の濃度が0.01wt%未満では、抗菌性強化
の効果がなく、一方、10wt%を超えると、ステンレス鋼
材の表面に浸透しきれない抗菌性成分粒子が存在し、鋼
材表面の汚れの原因となる。抗菌性成分を含む液の塗布
方法は、とくに限定しないが、スプレー、浸漬等が好ま
しい。
【0037】抗菌性成分を含む液を塗布したのち、該塗
布した面を加圧するか、または塗布した面を擦る。加圧
または擦ることにより、表面に塗布された抗菌性成分
は、表面から内部に浸透し、固着される。加圧する手段
としては、ロール加圧、静水圧加圧、プレス加圧が好ま
しい。また、擦る手段としては、塗布面を紙、布、金属
等で擦る方法、あるいは塗布面同士の擦り合わせ、ある
いは塗布面を研摩する方法(研摩)、磨く方法(磨き)
が例示される。
【0038】抗菌性成分粒子の浸透深さは、加圧時の圧
力や時間、擦る回数等を変化させることにより調整す
る。浸透深さは、鋼材の酸洗等の仕上工程での表層から
の抗菌性成分の低下を考慮して、少なくとも0.1 μm 以
上を必要とする。なお、浸透深さの上限はとくに制約は
ないが10μm 程度あれば十分である。
【0039】
【実施例】表1に示す化学組成を有するステンレス鋼を
溶製し、鋳込速度を変化した連続鋳造法により200mm 厚
のスラブ(鋼素材)としたのち、該スラブを加熱し熱間
圧延により板厚4mmの熱延板とした。ついで、この熱延
板を700 〜1200℃で焼鈍し、酸洗したのち冷間圧延によ
り板厚0.8mm の冷延板とした。ついで、この冷延板に焼
鈍および必要に応じ酸洗を施し、各種表面仕上げの冷延
焼鈍板とした。冷延板の焼鈍温度は、オーステナイト
(γ)系ステンレス鋼では1000〜1200℃、フェライト
(α)系ステンレス鋼では 800〜1100℃、マルテンサイ
ト(α’)系ステンレス鋼では 750〜1000℃とした。
【0040】ついで、これらの冷延焼鈍板表面に、抗菌
性成分を含む液をスプレーにより5g/m2 塗布した。使用
した抗菌性成分を含む液は、下記組成を有する塗布液
A、Bの2種とした。塗布液Aは、クエン酸銀を硫酸第
1鉄で還元し金属銀微粒子を得て、これを濾過、洗浄し
たのち、平均粒径20nmの金属銀微粒子とし、この金属銀
微粒子を、0.1 重量%のクエン酸ナトリウムと0.3 重量
%のノニオン系界面活性剤を添加した水溶液中に1.0 重
量%分散させ、微粒子分散液とした。
【0041】塗布液Bは、Cu2+濃度が1.0 重量%となる
ように水に硫酸銅を溶解し、さらにそれぞれ0.1 重量
%、0.3 重量%となるようにクエン酸ナトリウムとノニ
オン系界面活性剤を添加し、抗菌性成分が溶解した水溶
液とした。抗菌性成分を含む液を塗布したのち、圧延
ロールにより10MPa の加圧力を加え、または塗布し、乾
燥したのちフェルト布で擦り、抗菌性成分粒子を鋼材
内部に浸透させた。
【0042】このように調整した製品板について、耐食
性試験、および抗菌性試験を実施した。なお、製品板に
さらに研摩を施し、表面から2μm を削除し、耐食性試
験および抗菌性試験を実施した。また、抗菌性の持続性
・耐久性を確認するため、耐食性試験後に再度抗菌性試
験を実施した。
【0043】各試験の試験方法を下記に示す。 (1)抗菌性試験 抗菌性は、抗菌製品技術協議会のフィルム密着法に準拠
して評価した。抗菌製品技術協議会のフィルム密着法の
手順は次のとおりである。 25cm2 の試験体を99.5%エタノール含有脱脂綿等で洗
浄・脱脂する。
【0044】大腸菌を1/500 NB溶液に分散する。
(菌の個数は2.0 ×105 〜1.0 ×106cfu/ml に調整し
た。1/500 NB溶液とは普通ブイオン培地(NB)を減
菌精製水で500 倍に希釈したものである。普通ブイオン
培地(NB)とは、肉エキス5.0g、塩化ナトリウム5.0
g、ペプトン10.0g 、精製水1.000ml、pH:7.0±0.2 のも
のをいう。) 菌液を0.5ml/25cm2 の割合で試験体(各3個)に接種
する。
【0045】試験体表面に被覆フィルム(ポリエチレ
ン製フィルム)を被せる。 試験体を温度35±1.0 ℃、相対湿度(RH)90%以上
の条件下で24hr保存する。 寒天培養法(35±1.0 ℃、40〜48hr)により生菌数を
測定する。抗菌性は、次式で定義される減菌率で評価し
た。
【0046】減菌率(%)=(対照の菌数−試験後の菌
数)/(対照の菌数)×100 対照の菌数とは、Ag無添加のステンレス鋼板を用いて抗
菌性試験を行ったのちの生菌数である。使用したAg無添
加のステンレス鋼板は、フェライト( α) 系ではSUS 43
0 (鋼No.40 )、オーステナイト( γ) 系ではSUS 304
(鋼No.13 )、マルテンサイト( α')系ではSUS 410
(鋼No. 23)である。なお、初期菌数は、3.2 ×105 cf
u/枚である。試験後の菌数とは、測定した生菌数であ
る。
【0047】なお、耐食性試験後の試験体を用いて、同
様な抗菌試験を実施し、抗菌性の持続性を同様に評価し
た。 (2)耐食性試験 耐食性は、塩乾湿潤複合サイクル試験により評価した。
試験片に、下記との処理 5.0 %NaCl水溶液(温度:35℃)を0.5hr 噴霧したの
ち、湿度40%以下、温度60℃の乾燥雰囲気で1.0hr 保持
する。
【0048】湿度95%以上、温度40℃の湿潤雰囲気で
1.0hr 保持する。を複合して1サイクルとし、鋼種ごと
に設定した複数サイクル繰返したのち、試験片表面の発
錆面積率(%)を測定した。繰返サイクル数は、フェラ
イト( α)系ステンレス鋼では10サイクル、オーステナ
イト( γ) 系ステンレス鋼では30サイクル、マルテンサ
イト( α') 系ステンレス鋼では5サイクルとした。
【0049】これらの結果を表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】表2から、Agを含有し、かつ本発明範囲内
の銀酸化物量を含有し、表層に抗菌性成分粒子を有する
ステンレス鋼板(本発明例)は、加工性および耐食性に
優れているうえ、抗菌性試験において大腸菌数を99%以
上減少させ抗菌性に優れており、しかも耐食性試験後の
試験体でも同様に大腸菌を減少させており、抗菌性の持
続性にも優れていることが確認できる。また、鋼板表面
の仕上げ状態によらず抗菌性が持続しており、研摩後も
十分な抗菌性を有していることが確認できる。さらに、
製品板を研摩し、表層から2μm を削除しても優れた抗
菌性を維持していることが確認できる。
【0056】上記した結果は、ステンレス鋼の種類によ
らず、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイ
ト系いずれのステンレス鋼においても確認できる。一
方、本発明の範囲を外れる比較例では、ステンレス鋼の
種類によらず、大腸菌の減少が少なく抗菌性が劣化して
いるか、耐食性試験後の抗菌性が低下し、抗菌性の持続
性が劣化している。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、耐食性を劣化すること
なく、抗菌性に優れ、しかも研摩を含む表面加工を施し
てもなお優れた抗菌性を有するステンレス鋼材を提供す
ることができ、産業上格段の効果を奏する。本発明のス
テンレス鋼材は、成形加工、研摩加工が施され、例え
ば、厨房、浴槽等の湿潤環境で、衛生面が重視される用
途に使用される部材に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高尾 研治 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 栃原 美佐子 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 佐藤 進 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 茂 啓二郎 千葉県船橋市豊富町585 住友大阪セメン ト株式会社新材料事業部内 (72)発明者 井上 義智 千葉県船橋市豊富町585 住友大阪セメン ト株式会社新材料事業部内 Fターム(参考) 4D075 BB56Z CA45 DB04 DC30 DC38 EC02 4F100 AA02B AA17A AA17B AB01A AB01B AB04A AB17B AB24A AB24B AB31B BA02 CA18 DE01B EH462 EJ172 GB07 GB08 GB41 JB02 JC00 JC00B JL00 YY00A YY00B 4K044 AA03 AB02 AB03 AB04 BA06 BA08 CA23 CA29 CA53

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀および銀化合物をAg換算で0.001 〜0.
    30wt%含み、銀化合物の1部を銀酸化物として銀酸化物
    量で0.0005wt%以上、1.1 ×(wt%Ag)wt%以下含有す
    るステンレス鋼材であって、該ステンレス鋼材の表面層
    に、抗菌性成分粒子を浸透固着してなることを特徴とす
    る抗菌性に優れたステンレス鋼材。
  2. 【請求項2】 銀および銀化合物をAg換算で0.001 〜0.
    30wt%、銀化合物の1部を銀酸化物として銀酸化物量で
    0.0005wt%以上、1.1 ×(wt%Ag)wt%以下含み、さら
    にV:0.001 〜 1.0wt%を含有するステンレス鋼材であ
    って、該ステンレス鋼材の表面層に、抗菌性成分粒子を
    浸透固着してなることを特徴とする抗菌性に優れたステ
    ンレス鋼材。
  3. 【請求項3】 前記抗菌性成分粒子が、銀イオン、銅イ
    オン、銀、銅、銀−銅合金のうちの1種または2種以上
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の抗菌
    性に優れたステンレス鋼材。
  4. 【請求項4】 前記抗菌性成分粒子が、粒径10μm 以下
    の粒子であることを特徴とする請求項1ないし3のいず
    れかに記載の抗菌性に優れたステンレス鋼材。
  5. 【請求項5】 銀および銀化合物をAg換算で0.001 〜0.
    30wt%、銀化合物の1部を銀酸化物として銀酸化物量で
    0.0005wt%以上、1.1 ×(wt%Ag)以下含み、あるいは
    さらにV:0.001 〜 1.0wt%を含有するステンレス鋼材
    の表面に、抗菌性成分を含む液を塗布したのち、該塗布
    した面を加圧することを特徴とする抗菌性に優れたステ
    ンレス鋼材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記抗菌性成分を含む液が、抗菌性成分
    の微粒子を分散させた微粒子分散液または抗菌性成分が
    溶けた溶液であることを特徴とする請求項5または6に
    記載の抗菌性に優れたステンレス鋼材の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記抗菌性成分を含む液の、抗菌性成分
    の濃度が0.01〜10wt%であることを特徴とする請求項5
    または6に記載の抗菌性に優れたステンレス鋼材の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 前記抗菌性成分が、銀イオン、銅イオ
    ン、銀、銅、銀−銅合金、銀化合物、銅化合物のうちか
    ら選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする
    請求項5ないし7のいずれかに記載の抗菌性に優れたス
    テンレス鋼材の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記加圧するに代えて、擦ることを特徴
    とする請求項5ないし8のいずれかに記載の抗菌性に優
    れたステンレス鋼材の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記銀および銀化合物をAg換算で0.001
    〜0.30wt%、銀化合物の1部を銀酸化物として銀酸化物
    量で0.0005wt%以上、1.1 ×(wt%Ag)wt%以下含み、
    あるいはさらにV:0.001 〜 1.0wt%を含有するステン
    レス鋼材が、Ag:0.001 〜0.30wt%、あるいはさらに
    V:0.001 〜 1.0wt%を含有するステンレス鋼溶鋼を鋳
    込速度:0.8 〜1.6m/minで連続鋳造して鋼素材とし、該
    鋼素材を熱間加工、あるいはさらに冷間加工して製造さ
    れたステンレス鋼材であることを特徴とする請求項5な
    いし9のいずれかに記載の抗菌性に優れたステンレス鋼
    材の製造方法。
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