JPH09310188A - Cu含有ステンレス鋼又はその加工品の抗菌性改善方法 - Google Patents

Cu含有ステンレス鋼又はその加工品の抗菌性改善方法

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JPH09310188A
JPH09310188A JP15013596A JP15013596A JPH09310188A JP H09310188 A JPH09310188 A JP H09310188A JP 15013596 A JP15013596 A JP 15013596A JP 15013596 A JP15013596 A JP 15013596A JP H09310188 A JPH09310188 A JP H09310188A
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stainless steel
antibacterial
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JP15013596A
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Morihiro Hasegawa
守弘 長谷川
Katsuhisa Miyakusu
克久 宮楠
Mitsuaki Nishikawa
光昭 西川
Naoto Okubo
直人 大久保
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工や研磨によって表面変質層が形成したス
テンレス鋼又はその加工品の抗菌性を改善する。 【構成】 0.3重量%以上のCuを含むステンレス鋼
をpH4以上の溶液に浸漬し、変質した表層部を除去
し、Cuリッチの表層部を露出させる。使用するpH4
以上の溶液には、ハロゲンイオン,硫化物イオン等を添
加することができる。Cu含有ステンレス鋼は、pH4
以上の溶液中で電解処理してもよい。この処理によっ
て、ステンレス鋼の表面に、Cu濃度が0.10原子%
以上の表層部が形成される。 【効果】 表面変質層が除去され、長期間にわたって優
れた抗菌作用を呈するCu濃度0.10原子%以上の表
層部が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種衛生用機器,医療
機器,食品関連機器・機材等として使用されるCu含有
ステンレス鋼の抗菌性を改善する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種衛生用機器,医療機器,食品関連機
器・機材等には、耐食性に優れたステンレス鋼が汎用さ
れている。しかし、雑菌の繁殖による汚染,悪臭等が人
体,動物,製品等に及ぼす悪影響を懸念する傾向が強く
なってきている。また、ヌメリは、清潔感が要求される
機器に対する印象を悪化させる原因ともなる。このよう
なことから、清潔さが要求される厨房用器具,医療機
関,多数の人が集まる建造物等では、雑菌に対して抵抗
力のある材料が強く望まれている。この種の要求に応え
るため、抗菌剤を配合した樹脂をステンレス鋼の表面に
塗布・積層する方法,マトリックス中に抗菌剤成分を含
むめっきを施す方法等が特開平5−228202号公
報,特開平6−10191号公報等で紹介されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】抗菌剤を配合した樹脂
をステンレス鋼の表面に塗布・積層すると、ステンレス
鋼特有の金属光沢が失われ、商品価値が低下する。しか
も、抗菌性皮膜は、加工時や使用中に割れ,欠損,摩耗
等の損傷を受け、湿潤雰囲気に曝されると抗菌性成分が
溶出し、外観を低下させるばかりでなく、本来の抗菌作
用が損なわれる。また、抗菌剤が枯渇したとき、残った
皮膜が却って雑菌の栄養分となり、繁殖を促進させる原
因にもなる。抗菌剤成分を混入した複合めっきを施した
ものでは、めっき層の密着性が十分でなく、加工性を低
下させる欠点がある。また、皮膜の溶解,摩耗,欠損等
に起因して外観が低下すると共に、抗菌作用が低下する
場合がある。しかも、何れの方法でも抗菌剤を使用して
いることから、溶出した抗菌剤が人体や環境に悪影響を
及ぼす虞れがある。そこで、抗菌剤成分を被覆する方法
に替え、ステンレス鋼自体に抗菌性を付与することが望
まれる。
【0004】本発明者等は、このような要求特性を満足
するステンレス鋼を調査・研究した結果、ステンレス鋼
にCuを含有させることにより、長期にわたって優れた
抗菌性が維持されるステンレス鋼が得られることを解明
し、特願平7−21291号,特願平7−21292号
等として出願した。Cu含有ステンレス鋼は、Cuリッ
チの表層部を形成し、この表層部から溶出するCuイオ
ンによって抗菌性を発現している。しかし、ステンレス
鋼を製品に加工する工程では、各種研磨や機械加工を施
す場合が多く、研磨,機械加工等の条件によっては表層
部が変質し、本来の優れた抗菌性が発現されない場合が
ある。本発明は、このような問題を解消すべく案出され
たものであり、研磨や機械加工によって変質したステン
レス鋼の表層部を除去してCu濃度が高い表層部を露出
させることにより、ステンレス鋼特有の美麗な外観や加
工性等の諸特性を損なうことなく、比較的安価な製造コ
ストでCu含有ステンレス鋼又はその加工品の抗菌性を
改善することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のCu含有ステン
レス鋼又はその加工品の抗菌性改善方法は、その目的を
達成するため、0.3重量%以上のCuを含むステンレ
ス鋼をpH4以上の溶液に浸漬し、変質した表層部を除
去し、Cuリッチの表層部を露出させることを特徴とす
る。使用するpH4以上の溶液には、ハロゲンイオン,
硫化物イオン等を添加できる。Cu含有ステンレス鋼
は、pH4以上の溶液中で電解処理してもよい。この処
理によって、ステンレス鋼の表面に、Cu濃度が0.1
0原子%以上の表層部が形成される。
【0006】
【作用】ステンレス鋼の素材表面にCu濃度が高い表層
部が形成されるとき、優れた抗菌性が発現される。その
ために素材鋼中に0.3重量%以上のCuを含ませる必
要があることは、前掲の特願平7−21291号,特願
平7−21292号等で明らかにした通りである。ステ
ンレス鋼にCuを含ませると、ステンレス鋼表面にある
不動態皮膜でCuが濃化し、或いはCu系酸化物が生成
する。濃化したCuやCu系酸化物は、細菌が繁殖し易
いような湿潤環境下ではステンレス鋼表面に付着してい
る僅かな水分によって極く微量のCuイオンとしてイオ
ン化する。イオン化したCuは、細胞の呼吸,代謝酵素
と効率よく強く反応し、細胞や代謝酵素を不活性化させ
る。その結果、細菌や雑菌が死滅する。このような抗菌
効果は、鋼中のCu含有量が0.3重量%以上になる
と、表面に濃化するCu濃度が急激に高くなることから
顕著になる。
【0007】しかし、ステンレス鋼を製品等に加工する
工程では、機械研磨,電解研磨等の研磨加工がステンレ
ス鋼に施されることがある。Cuリッチの表層部は、こ
れら研磨加工によって変質し、製品段階で十分な抗菌性
を示さないことがある。抗菌性は、曲げ加工や絞り加工
でも加工条件によっては消失する場合もある。本発明者
等は、このように抗菌性が消失したステンレス鋼を更に
調査・研究したところ、0.3重量%以上のCuを含む
ステンレス鋼又はその加工品をpH4以上の溶液に浸漬
することにより抗菌性が回復することを見い出した。抗
菌性は、ハロゲンイオン,硫化物イオン等を添加したp
H4以上の溶液の使用や、pH4以上の溶液中での電解
処理によって、回復の度合いが一層顕著になる。なかで
も、表層部のCu濃度を0.10原子%以上に調整した
ものでは、優れた抗菌性が発現される。
【0008】本発明が対象とするステンレス鋼は、0.
3重量%以上のCuを含有している。Cuは、優れた抗
菌性を付与する上で不可欠な合金元素である。Cu含有
量が0.3重量%に満たないと、pH4以上の溶液を使
用した浸漬処理によっても不動態皮膜中にCuが十分濃
化せず、優れた抗菌性が得られない。この点、有効な抗
菌性を得るためには、0.3重量%以上のCu含有量が
必要である。しかし、過剰にCuを含有させても、抗菌
性を改善する効果が飽和し、却って熱間加工性,靭性等
の材料特性が劣化する。そのため、本発明が対象とする
ステンレス鋼のCu含有量は、好ましくは0.3〜5.
0重量%,更に好ましくは0.3〜4.0重量%の範囲
に調整される。
【0009】研磨,加工等によって表面のCu濃度が低
下した場合、特願平7−62103号で紹介したよう
に、ステンレス鋼をpH4未満の酸性溶液に浸漬すると
ステンレス鋼材の不動態皮膜が全体的に破壊され、下地
鋼の極表層が溶出する。この状態で比較的多量のCuを
含む不動態皮膜が形成され、表層部のCu濃度が高くな
る。他方、pH4以上の溶液に浸漬すると、pH4未満
の酸性溶液への浸漬と異なり、ステンレス鋼材の不動態
皮膜が多数の箇所で局部的に破壊され、下地鋼の極表層
が溶出する。この状態で比較的多量のCuを含む不動態
皮膜が形成され、表層部のCu濃度が高くなる。また、
pH4以上の溶液にハロゲン又は硫化物イオンを含有さ
せると、ステンレス鋼材の不動態皮膜が局部的に破壊さ
れる頻度が高くなり、表層部のCu濃度上昇が促進され
る。更に、電解処理を施すと、反応速度が高くなり、比
較的多量のCuを含む不動態皮膜が一層形成され易くな
る。
【0010】pH4以上の溶液中への浸漬時間は、工業
的に安定操業する上で10秒以上が望ましく、経済的に
は5時間以内であることが好ましい。また、溶液の温度
は、作業性を考慮すると常温以上で80℃以下が好まし
い。このようなpH4以上の溶液に、Cu濃度0.10
原子%以上の表層部が形成される条件下でステンレス鋼
を浸漬する。表層部のCu濃度が0.10原子%以上,
好ましくは0.20原子%以上になるとき、優れた抗菌
性が得られる。その結果、通常の環境下でも12時間程
度の時間経過で十分な抗菌性をもつステンレス鋼材又は
製品が得られる。以上のように、ステンレス鋼製品を生
産・加工する際、或いは製品使用中の状況に応じて、濃
度,浸漬時間,温度が適正に調整されたpH4以上の溶
液にステンレス鋼を浸漬することにより、Cu濃度が
0.10原子%以上に高められた表層部が形成される。
そのため、抗菌性が消失した材料であっても、ステンレ
ス鋼本来の外観を損なうことなく、比較的簡便に且つ安
価に抗菌性を改善することができる。
【0011】
【実施例】表1に示す成分・組成をもつ各種ステンレス
鋼を高周波真空溶解炉で12kg溶製した。表1におけ
るAグループの鋼は本発明で対象とするステンレス鋼で
あり、A1〜A3がオーステナイト系,A4,A5がフ
ェライト系,A6,A7がマルテンサイト系ステンレス
鋼である。Bグループは比較鋼を示し、B1,B2がオ
ーステナイト系,B3,B4がフェライト系,B5,B
6がマルテンサイト系ステンレス鋼である。
【0012】
【0013】実施例1:オーステナイト系ステンレス鋼
A1〜A3,B1,B2の鋼塊を熱間圧延により板厚
3.8mmの熱延板とし、1150℃×均熱1分の熱延
板焼鈍を施した後、冷間圧延により板厚1mmの冷延板
を製造した。次いで、1050℃×均熱1分で仕上げ焼
鈍した。得られた各試料の表面を#400のエメリー紙
で約20μm研磨する湿式研磨を施し、供試材とした。
フェライト系ステンレス鋼A4,A5,B3,B4の鋼
塊を熱間圧延により板厚3.6mmの熱延板とした後、
A4,B3についてはバッチ焼鈍による860℃×均熱
6時間の熱延板焼鈍を施し、A5,B4については10
00℃×均熱1分の連続焼鈍を施した。各焼鈍板を冷間
圧延し、板厚1mmの冷延板を製造した。仕上げ焼鈍
は、A4,B3については870℃×均熱1分,A5,
B4については1000℃×均熱1分で行った。次い
で、各試料の表面を#400のエメリー紙で約20μm
研磨する湿式研磨を施し、供試材とした。マルテンサイ
ト系ステンレス鋼A6,A7,B5,B6の鋼塊を熱間
圧延により板厚3.6mmの熱延板とした後、バッチ焼
鈍による800℃×均熱6時間の熱延板焼鈍を施し、冷
間圧延により板厚1mmの冷延板を製造した。仕上げ焼
鈍は、780℃×均熱1分で行った。次いで、各試料の
表面を#400のエメリー紙で約20μm研磨する湿式
研磨を施し、供試材とした。
【0014】浸漬処理による抗菌性改善効果を調査する
ため、研磨されたままの各ステンレス鋼の表面Cu濃度
を測定すると共に、抗菌性試験を実施した。表面Cu濃
度は、X線電子分光分析装置を使用し、脱脂後の試料表
面にMgkαX線を照射し、各ピークの積分強度から相
対感度指数を用いて算出した。抗菌性試験には、Sta
phylococus aureus(黄色ブドウ球
菌)及びPseudomonas aeruginos
a(緑膿菌)をそれぞれ普通ブイヨン培地で35℃,1
6〜24時間振盪培養し、培養液を用意した。培養液を
滅菌リン酸緩衝液で20,000倍に希釈し、菌液を調
製した。各ステンレス鋼の研磨材及び処理溶液浸漬材の
表面に菌液1mlを滴下し、25℃で24時間保存し
た。保存後、試験片をSCDLP培地(日本製薬株式会
社製)9mlで洗い流し、得られた液について標準寒天
培地を用いた混釈平板培養法(35℃,2日間培養)で
生菌数をカウントした。また、試験に異常がないことを
確認するため、対照として滅菌したシャーレに菌液を直
接滴下し、同様に生菌数をカウントした。対照の生菌数
に大きな増減がないとき、試験結果が信頼性の高いもの
として評価される。
【0015】この試験方法によるとき、試験開始前の生
菌数より24時間後の生菌数が減少しているほど、抗菌
性に優れた材料であるといえる。抗菌性の指標として
は、次式で算出される減菌率が95%以上のものを抗菌
性ありとして評価した。なお、試験開始時の生菌数は、
黄色ブドウ球菌では5.0×105 ,緑膿菌では4.8
×105 であった。 減菌率(%)={(試験開始時の生菌数)×(1−対照
の変化率/10)−(24時間後の生菌数)}/{(試
験開始時の生菌数)×(1−対照の変化率/10)}×
100 対照の変化率(%)={(試験開始時の生菌数)−(2
4時間後の生菌数)}/(試験開始時の生菌数)×10
0 なお、対照の変化率が0未満の場合には、0として算出
した。表2の調査結果から明らかなように、研磨まま材
では、Aグループ及びBグループのステンレス鋼何れに
おいてもCu含有量に拘らず、減菌率が95%未満にな
っており、抗菌性をもつ材料とはいえない。
【0016】
【0017】そこで、研磨された各ステンレス鋼を、p
H3〜12,温度80℃の溶液に10〜180分浸漬処
理した。浸漬処理後の各ステンレス鋼について、同様に
表面Cu濃度及び抗菌性を調査した。調査結果を、表3
に示す。表3にみられるように、素材のCu含有量が
0.3重量%未満の比較鋼B1〜B6では、浸漬処理後
も表面Cu濃度が0.10原子%未満であり、黄色ブド
ウ球菌及び緑膿菌を使用した抗菌性試験でも減菌率が低
く、抗菌性を有しているとはいえない。他方、素材のC
u含有量が0.3重量%以上であるA1〜A7は、研磨
材では表2にみられるように表面Cu濃度が低く抗菌性
を呈さないが、浸漬処理によって表面Cu濃度が0.1
0原子%以上と高くなり、抗菌性も改善されている。表
2及び表3から、素材のCu含有量が0.3重量%以上
であれば、pH4以上の溶液にステンレス鋼を浸漬する
ことにより、抗菌性が改善されることが判る。
【0018】
【0019】実施例2:表1に示した各ステンレス鋼の
研磨材を、代表的なハロゲンイオンであるCl- イオン
と硫化物イオンの1種又は2種を含み、pH3〜12,
温度80℃に調整した溶液に1〜60分浸漬した。浸漬
後の表面Cu濃度及び抗菌性試験結果を表4に示す。表
2及び表4の対比から明らかなように、素材のCu含有
量が0.3重量%未満の比較鋼B1〜B6では、浸漬処
理後も表面Cu濃度が0.10原子%未満であり、黄色
ブドウ球菌及び緑膿菌を使用した抗菌性試験でも減菌率
が低く、抗菌性を有しているとはいえない。他方、素材
のCu含有量が0.3重量%以上であるA1〜A7は、
研磨材では表2にみられるように表面Cu濃度が低く抗
菌性を呈さないが、浸漬処理によって表面Cu濃度が
0.10原子%以上と高くなり、抗菌性も改善されてい
る。また、表3と比較すると、pH4以上の溶液に添加
したハロゲンイオン又は硫化物イオンは、表面層のCu
濃化及び抗菌性の向上に促進作用を呈していることが判
る。
【0020】
【0021】実施例3:表1に示した各ステンレス鋼の
研磨材を、pH3〜12,温度80℃に調整した溶液に
浸漬し、5〜20Aの電解電流で1〜60分電解処理し
た。電解処理後の表面Cu濃度及び抗菌性試験結果を表
5に示す。表2及び表5の対比から明らかなように、素
材のCu含有量が0.3重量%未満の比較鋼B1〜B6
では、電解処理後も表面Cu濃度が0.10原子%未満
であり、黄色ブドウ球菌及び緑膿菌を使用した抗菌性試
験でも減菌率が低く、抗菌性を有しているとはいえな
い。他方、素材のCu含有量が0.3重量%以上である
A1〜A7は、研磨材では表2にみられるように表面C
u濃度が低く抗菌性を呈さないが、電解処理によって表
面Cu濃度が0.10原子%以上と高くなり、抗菌性も
改善されている。また、表3と比較すると、電解処理に
より表面層のCu濃化及び抗菌性改善が促進されている
ことが判る。
【0022】
【0023】実施例4:表1に示した各ステンレス鋼の
研磨材を、ハロゲンイオン又は硫化物イオンを含む溶液
中で電解処理した。溶液はpH3〜12,温度80℃に
調整し、電解処理には5〜20Aの電解電流,電解時間
1〜60分の条件を採用した。電解処理後の表面Cu濃
度及び抗菌性試験結果を表6に示す。表2及び表6の対
比から明らかなように、素材のCu含有量が0.3重量
%未満の比較鋼B1〜B6では、電解処理後も表面Cu
濃度が0.10原子%未満であり、黄色ブドウ球菌及び
緑膿菌を使用した抗菌性試験でも減菌率が低く、抗菌性
を有しているとはいえない。他方、素材のCu含有量が
0.3重量%以上であるA1〜A7は、研磨材では表2
にみられるように表面Cu濃度が低く抗菌性を呈さない
が、電解処理によって表面Cu濃度が0.10原子%以
上と高くなり、抗菌性も改善されている。また、表3と
比較すると、ハロゲンイオン又は硫化物イオンの添加及
び電解処理の相乗作用により表面層のCu濃化及び抗菌
性改善が促進されていることが判る。
【0024】
【0025】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、pH4以上の溶液を使用した浸漬処理,ハロゲンイ
オン又は硫化物イオンを添加したpH4以上の溶液を使
用した浸漬処理,pH4以上の溶液を使用した電解処
理,ハロゲンイオン又は硫化物イオンを添加したpH4
以上の溶液を使用した電解処理により、加工,研磨等に
よって変質した表面層を除去し、抗菌性に有効なCu濃
度0.1原子%以上の表層部を露出させ、抗菌性を改善
している。このようにして処理されたステンレス鋼は、
長期にわたり優れた抗菌性を示す人体及び環境に安全な
材料として刃物,洋食器,医療用機械器具,サニタリー
用器具,各種食品の製造工程・運搬器具,浴槽,洗濯
槽,ドアノブ,パイプ等の広範な分野で使用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大久保 直人 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.3重量%以上のCuを含むステンレ
    ス鋼又はその加工品をpH4以上の溶液に浸漬し、変質
    した表層部を除去し、Cuリッチの表層部を露出させる
    Cu含有ステンレス鋼又はその加工品の抗菌性改善方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のpH4以上の溶液とし
    て、ハロゲンイオン及び硫化物イオンの1種又は2種以
    上を含む溶液を使用するCu含有ステンレス鋼又はその
    加工品の抗菌性改善方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のpH4以上の溶液
    に浸漬したステンレス鋼を電解処理するCu含有ステン
    レス鋼又はその加工品の抗菌性改善方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の処理でC
    u濃度が0.10原子%以上の表層部を形成するCu含
    有ステンレス鋼又はその加工品の抗菌性改善方法。
JP15013596A 1996-05-21 1996-05-21 Cu含有ステンレス鋼又はその加工品の抗菌性改善方法 Withdrawn JPH09310188A (ja)

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