JP3152631B2 - 抗菌ステンレス鋼およびその製造方法 - Google Patents

抗菌ステンレス鋼およびその製造方法

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  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性を有するス
テンレス鋼およびその製造方法に関するものであり、と
くに、トイレ, 浴槽, 流し台, 食器, ビア樽, 医療器
具, 電気器具あるいはサニタリー用品等に用いて好適な
抗菌性材料の開発に関連する技術である。
【0002】
【従来の技術】抗菌ステンレス鋼としては、Cuを含有す
ると共に、その鋼の表面を熱処理あるいは酸溶液による
抗菌処理を施すことにより表層部にCuを濃化させたもの
が一般的である (特開平8−60302 号公報、特開平5−
53738 号公報、特開平8−104953号公報、特開平8−22
9107号公報参照) 。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】家電機器や流し台, 医
療機器, サニタリー用品, ビア樽等に用いられるステン
レス鋼は、建築用内装材に比べると、雑菌の栄養源とな
る汚れの付着量が多く、雑菌の死滅が少ないことから、
より高い抗菌性が要求されている。一般に、ステンレス
鋼の抗菌性を上げるためには、Cuの含有量を増加するこ
とが有効である。しかし、Cuの必要以上の増加は熱間加
工性を悪くする他、プレス成形性を阻害する。従って、
抗菌性とプレス成形性の両方の当社製品に優れるステン
レス鋼を得るには、Cuの増加という成分組成の工夫だけ
では限界があった。つまり、合金成分の制御だけで上記
両特性を同時に向上させることには困難があった。ま
た、上記の各従来技術は、ステンレス鋼の表面に抗菌性
を付与するのに、通常のステンレス鋼製造工程の外で、
特別のCu濃化処理を行うのが普通であり、製造コストが
高くなるという問題があった。
【0004】本発明の目的は、抗菌性に優れるステンレ
ス鋼を提供することにある。本発明の他の目的は、ステ
ンレス鋼に簡単な処理で抗菌性を付与する方法を提案す
ることにある。また、本発明のさらに他の目的は、トイ
レ, 浴槽, 流し台、食器, ビア樽, 医療器具、サニタリ
ー用品などに用いる抗菌性の材料を安価に提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上掲の目的
を実現すべく、ステンレス鋼について、従来のような特
別の抗菌処理工程を採用するまでもなく、通常の製造ラ
インの中での処理によって抗菌性を簡単に付与する方法
について研究し、下記の要旨構成にかかる抗菌ステンレ
ス鋼とその製造方法の開発に成功した。
【0006】そこでまず、本発明にかかるステンレス鋼
を開発するに当たって検討した内容について、以下に説
明する。まず、発明者らは、ステンレス鋼の抗菌性につ
いては、Cuが有効であるとの認識の下に、このことを前
提にして合金設計を行った。ただし、単にCuを添加した
だけでは、抗菌性の向上が予期したものにならないこと
もわかった。すなわち、冷間圧延後に焼鈍を施した鋼板
について、酸洗工程を経たステンレス鋼の表面には、焼
鈍雰囲気にもよるが、表面に向かうSiのドライビングフ
ォースによってSiO2の濃化した層が出現し、これが、抗
菌性に作用すると考えられるCuの析出、濃化を阻害する
結果、抗菌性の付与が減殺されるという現象があること
を突き止めた。その対策について鋭意研究する中で、発
明者らは、焼鈍後に脱SiO2処理を施すことにより、SiO2
に代えてCuの析出、濃化の方を助勢することが有効であ
ることを確かめるに至った。その方法としては、ソルト
バス処理、なかでもCu添加ソルトバス中を通板する方法
が最も効果的であることがわかった。
【0007】このような知見の下に開発した本発明の要
旨構成を以下に列挙する。Cuを0.1 〜10wt%含有するス
テンレス鋼であって、その表面が焼鈍後の脱SiO2処理に
よるCu濃化状態にあることを特徴とする抗菌ステンレス
鋼。
【0008】本発明は、上記ステンレス鋼を次のような
方法によって製造する。 (1) 0.1 〜10wt%のCuを含有するステンレス鋼を、焼鈍
後に、表面に生成したSiO2の除去とCu濃化を図る脱SiO2
処理を行うことを特徴とする抗菌ステンレス鋼の製造方
法。 (2) 本発明においては、脱SiO2処理を、ソルトバスに通
板することにより行うことが好ましい。 (3) 本発明においては、ソルトバスへの通板に際し、酸
洗工程の前処理として行うソルトバスを利用することが
好ましい。 (4) 本発明においては、上記脱SiO2処理は、0.001 〜10
g/lのCuを含有するソルトバスに通板することが好ま
しい。 (5) 本発明においては、上記脱SiO2処理は、ソルトバス
に通板後、0.01〜10g/lのCuを含有する硝酸電解槽を
通板することにより行うことが好ましい。 (6) 本発明においては、上記脱SiO2処理は、ソルトバス
に通板後、0.01〜10g/lのCuを含有する硫酸電解槽を
通板することにより行うことが好ましい。 (7) 本発明においては、上記脱SiO2処理は、ソルトバス
に通板後、0.01〜10g/lのCuを含有する硝弗酸槽を通
板することにより行うことが好ましい。 (8) 本発明においては、上記脱SiO2処理は、0.001 〜10
g/lのCuを含有するソルトバスを通板後、それぞれ0.
01〜10g/lのCuを含有する硝酸電解槽、硫酸電解槽お
よび硝弗酸槽の何れか少なくとも1槽に通板することに
より行うことが好ましい。
【0009】本発明が適用されるステンレス鋼として
は、オーステナイト系、フェライト系、2相系、マルテ
ンサイト系等の各種のCuを含有するステンレス鋼が対象
となる。例えば、SUS304J1、304J2 、316J1 、316J1L、
317J5L、630 、430J1L等が該当する。特に、次のような
成分組成を有するステンレス鋼を用いることが好まし
い。
【0010】本発明にかかるステンレス鋼として好まし
い化学成分は、次のものである。 (a) C:0.20wt%以下、Si:2.0 wt%以下、Mn:10wt%
以下、Ni:4.0 〜28.0wt%、Cr:12〜25wt%、Cu:0.1
〜10wt%、Al:5.0 wt%以下、N:1.0 wt%以下を含
み、かつ下記Ni当量が20以上に調整され、 Ni当量 (wt%) = 12.6(C+N)+0.35Si+1.05Mn+Ni+0.65
Cr+0.6 Cu−0.4 Al 残部鉄および不可避的不純物よりなる、抗菌性とプレス
成形性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼。 (b) C:0.20wt%以下、Si:2.0 wt%以下、Mn:10wt%
以下、Ni:4.0 〜28.0wt%、Cr:15〜24wt%、Cu:0.1
〜10wt%、Al:5.0 wt%以下、Mo:8.0 wt%以下、N:
1.0 wt%以下を含み、かつ下記Ni当量が20以上に調整さ
れ、 Ni当量 (wt%) = 12.6(C+N)+0.35Si+1.05Mn+Ni+0.65
Cr+0.98Mo+0.6 Cu−0.4 Al 残部鉄および不可避的不純物よりなる、抗菌性とプレス
成形性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼。 (c) C:0.01〜0.10wt%、Si:2.0 wt%以下、Mn:3.0
wt%以下、Ni:6.0 〜12.0wt%、Cr:15.0〜19.0wt%、
Cu:1.0 〜4.0 wt%、Al:0.2 〜2.5 wt%およびN:0.
08wt%以下を含み、かつ下記Ni当量が21.0〜22.5の範囲
内に収まるように調整され、 Ni当量 (wt%) = 12.6(C+N)+0.35Si+1.05Mn+Ni+0.65
Cr+0.6 Cu−0.4Al 残部鉄および不可避的不純物よりなる成分組成を有する
ことを特徴とする抗菌性とプレス成形性に優れるオース
テナイト系ステンレス鋼。 (d) C:0.01〜0.10wt%、Si:2.0 wt%以下、Mn:3.0
wt%以下、Ni:6.0 〜12.0wt%、Cr:15.0〜19.0wt%、
Mo:8.0 wt%以下、Cu:1.0 〜4.0 wt%、Al:0.2 〜2.
5 wt%およびN:0.08wt%以下を含み、かつ下記Ni当量
が21.0〜22.5の範囲内に収まるように調整され、 Ni当量 (wt%) = 12.6(C+N)+0.35Si+1.05Mn+Ni+0.65
Cr+0.98Mo+0.6 Cu−0.4Al 残部鉄および不可避的不純物よりなる成分組成を有する
ことを特徴とする抗菌性とプレス成形性に優れるオース
テナイト系ステンレス鋼。 (e) 上記(a) 〜(d) のいずれかに記載された成分組成の
鋼にさらに、B:0.020wt%以下を含有せしめた抗菌性
とプレス成形性に優れるオーステナイト系ステンレス
鋼。 (f) 上記(a) 〜(e) のいずれかに記載された成分組成の
鋼にさらに、Nb, Ti, Zr, VおよびTaのなかから選ばれ
るいずれか1種または2種以上の溶接性改善元素を1.0
wt%以下含有せしめた抗菌性とプレス成形性に優れるオ
ーステナイト系ステンレス鋼。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の特徴は、焼鈍後のステン
レス鋼について、酸洗工程の前もしくは酸洗工程中にお
いて、あるいは酸洗工程の後に、上記成分組成にかかる
ステンレス鋼の表面を脱SiO2処理すべくソルトバス中に
通板することにある。例えば、ソルトバスの前後に、中
性電解、硝酸電解、硫酸電解、硝酸処理、硝弗酸処理あ
るいはショットブラストなどのような機械処理またはそ
れらの組合せにかかる処理を適用する方法である。
【0012】この脱SiO2処理のための上記ソルトバス通
板の温度は、好ましい下限としては300 ℃、より好まし
くは400 ℃とする。一方、このソルトバス処理温度の好
ましい上限は600 ℃、より好ましくは500 ℃とする。
【0013】本発明では、以上のソルトバスによる脱Si
O2処理においても十分な抗菌性を発揮するステンレス鋼
を製造することができるが、次の処理を行うことにより
さらに抗菌性を向上させることができる。即ち、ソルト
バス中にも微量のCuを添加する。その添加量は、ソルト
に対する割合で 0.001〜10g/lの範囲内とする。な
お、Cuの抗菌性を強力に発揮させるための好ましいCu添
加量の下限は、0.02g/l、より好ましくは 0.1g/
l、さらに好ましくは 0.2g/lである。一方、Cuの過
剰添加は脱SiO2が不均一となりやすく、Cu添加量には上
限が存在する。好ましいCu添加量の上限は7g/l、よ
り好ましくは5g/l、さらに好ましくは4g/lであ
る。
【0014】また、本発明における焼鈍後の好ましい後
処理工程としては、Cu入りのステンレス鋼を、ソルトバ
スに通板した後、酸に対する割合で0.01〜10g/lに当
たる量のCuを含有する硝酸または硫酸電解槽を通板する
方法である。つまり、酸洗槽中にもCuを添加することが
有効である。このように、Cuによる抗菌性を強力に発揮
させるための酸洗槽中に添加するCuの好ましい下限は、
0.01g/l、より好ましくは0.1 g/l、さらに好まし
くは1g/lである。一方、この添加量の好ましい上限
は7g/l、より好ましくは5g/l、さらに好ましく
は5g/lである。
【0015】また、本発明は、焼鈍後の酸洗工程におい
て、ステンレス鋼をCu添加または無添加のソルトバス通
板後に、酸に対して0.01〜10g/lに当たる量のCuを含
有した硝弗酸槽に通板することも有効である。即ち、Cu
による抗菌性をより強力に発揮させるためには、硝弗酸
槽へのCuの添加の好ましい下限は、ステンレス鋼に対す
る割合で0.01g/l、より好ましくは 0.1g/l、さら
に好ましくは1g/lである。一方、このCu添加量の好
ましい上限は、7g/l、より好ましくは5g/l、さ
らに好ましくは3g/lである。
【0016】次に、本発明において用いるステンレス鋼
について、化学成分を限定する理由について簡単に説明
する。 C:0.20wt%以下 Cは、耐食性を劣化させる成分であるから、基本的には
0.20wt%以下に限定する。ただし、所定の深絞り性を確
保するために、Cは、0.01〜0.10wt%の含有量が必要で
ある。ただし、深絞り性を必要としない用途では、この
CはC≦0.01wt%でもよい。
【0017】Si: 2.0wt%以下 Siは、有効な脱酸剤で製鋼工程には不可欠な成分である
が、 2.0wt%をこえると、時期割れが発生し易くなるた
め、 2.0wt%以下とする。好ましくは 1.0wt%以下であ
る。なお、下限は、製鋼作業時の脱酸を保障するため
に、0.05wt%以上とすることが好ましい。
【0018】Mn:10wt%以下 Mnは、精錬時に脱酸並びに脱硫剤として用いられる成分
である。しかし、10wt%以上になると、脱酸効果が落ち
るので10wt%を上限とする。好ましくは、 8.0wt%以
下、より好ましくは、 6.0wt%以下とする。また、Mn
は、3.0 wt%をこえると、オーステナイト相が安定にな
りすぎて深絞り性が劣化するため、深絞りを考慮する場
合は、 3.0wt%以下、好ましくは 1.0wt%超〜3.0 wt%
とする。
【0019】Ni: 4.0〜28.0wt% Niは、オーステナイト相の安定化のための成分であり、
4.0wt%程度は必要である。しかし、28.0wt%以上で
は、高温強度が高くなり、熱間加工性が劣化する。好ま
しくは、 4.0〜16.0wt%である。但し、深絞り性を考慮
する場合は、 6.0〜12.0wt%に限定する。
【0020】Cr:12.0〜25.0wt% Crは、12.0wt%より少ないと耐食性が不十分となり、一
方25.0wt%をこえると熱間加工性が低下するため、12.0
〜25.0wt%の範囲に限定する。好ましくは13.0〜20.0wt
%、より好ましくは15.0〜19.0wt%である。
【0021】Cu:0.1 〜10.0wt% Cuは、ステンレス鋼の抗菌性を付与するためと深絞り性
を改善するために有効な成分である。即ち、その量が0.
1 wt%未満では、これらの効果を得ることが難しく、一
方10.0wt%をこえると、熱間加工性を阻害するため、0.
1 〜10.0wt%の範囲に限定する。好ましい下限は0.2 wt
%、より好ましくは 0.3wt%である。また、好ましい上
限は7wt%、より好ましくは5wt%、さらに好ましくは
3wt%である。
【0022】Al≦ 5.0wt% Alは、熱間加工性の改善に対しても有効に作用する。と
くに、熱間加工性を考慮した場合、 5.0wt%以下とする
必要があり、好ましくは 4.0wt%以下、より好ましくは
3.0wt%以下とする。
【0023】Mo: 8.0wt%以下 Moは、一般に、ステンレス鋼の耐食性を向上させる成分
として良く知られている。従って、本発明においては、
適正なMoを使うことによって耐食性の向上を図ることと
した。この耐食性の向上のためには、少なくとも0.03wt
%以上を添加することが有効である。しかし、 8.0wt%
をこえると熱間加工性および深絞り性が劣化するように
なる。
【0024】B: 0.020wt%以下 Bは、CuおよびAlを含有する鋼において、その熱間加工
性を向上するのに極めて有効な成分であり、0.0010wt%
未満では、その効果に乏しく、一方 0.020wt%をこえる
と、耐食性が劣化するため、 0.020以下、好ましくは0.
0010〜 0.020wt%の範囲に限定する。
【0025】N:1.0 wt%以下, 0.08wt%以下 Nは、一般には1.0 wt%以下含有させるが、特に深絞り
性が要求される場合には0.08wt%以上にすると熱間加工
性を阻害するので、0.08wt%以下とする。なお、好まし
くは0.07wt%以下、より好ましくは0.05wt%以下であ
り、さらに0.03wt%以下、0.02wt%以下、0.01wt%以下
と順次低下することにより、熱間加工性は次第に改善さ
れる。
【0026】Nb, Ti, Zr, V, Ta: 1.0wt%以下 これらの元素は、溶接性を改善するために有効な元素で
あり、その改善のために 1.0wt%以下添加する。より好
ましくは 0.2〜 1.0wt%の範囲が有効である。
【0027】次に、本発明においては、オーステナイト
組織にすると同時に深絞り性と張り出し性などのプレス
成形性を改善する手段として、下記式で示されるNi当量
を制御する。このNi当量が21.0wt%未満では、固溶化熱
処理の状態で既にマルテンサイト相が生成するようにな
り、深絞り性、張り出し性がともに劣化する。一方、こ
のNi当量が22.5wt%を超えると加工誘起マルテンサイト
の生成量が少なくなる。
【0028】
【実施例】 実験素材 この実施例は、鋼種としてCuを含有するSUS304, SUS430
(化学成分を表1に示す) を用い、そのステンレス鋼冷
間圧延板をブタン燃焼雰囲気下 (酸素濃度:5%) で焼
鈍 (最終板温度は、SUS304:1100℃、SUS430:850 ℃)
して冷却 (SUS304: 水冷、SUS430: 空冷) 後、1mmt×
50w×200 Lの試料を作成した。その後、この試料を用
い、表2〜4に示す種々の条件で脱SiO2 (ソルトバス処
理) および酸洗を行った。 ソルトバス処理 NaOH:80%、 NaNO3:10% (残部は水分などの不純物)
のアルカリ溶融塩 450℃中10秒浸漬 酸洗条件 表中の酸洗条件は次の通りとした。 a.中性塩電解 Na2SO4:180 g/L 水溶液中80℃、電流密度:60 A/cm2
電解時間:+10s −10s +10s b.中性塩電解 2N HNO3 水溶液中60℃、電流密度:50 A/cm2、電解時
間:−10s +10s c.硫酸電解 H2SO4 0.7 M/L 、温度25℃、電流密度:50mA/cm2 、電
解時間:−15s +15s d.硝弗酸浸漬 0.8N HNO3 0.4N HF 30 g/L Fe水溶液中60℃で浸漬し
た。
【0029】 抗菌試験 抗菌試験は、大腸菌(Escherichia Coli :IF03301)と黄
色ブドウ球菌(Staphylococcusaureus : IFO 12732)を試
験菌とした。この試験菌は、Trypticase Soy Agar (BB
L) の寒天平板培地で35℃、18〜24時間培養し、発育集
落を1/500 濃度の普通ブイヨン培地に懸濁して約106 CF
U/mlになるように調整したものである。これを試験板5
×5cmに試験菌懸濁液 0.5mlを均一に接触させ、その上
に試験板と同じ大きさのポリエチレンフィルムを載せ、
湿度95%、温度35℃で24時間作用させ、そして、所定時
間経過後、試験板上の菌液を拭き取りSCDLP ブイヨン培
地10mlを加えて付着菌を振り出した。また、振り出し液
を原液として希釈列を作成して、寒天培地との混釈平板
とし、培養後の発生集落数を測定した。 (初期値大腸菌
2.1×106 , 黄色ブドウ球菌 2.6×106 ) なお、この試験条件は、銀等無機抗菌剤研究会による規
格基準および評価方法(1995年度版) に基本的に準拠し
ているものである。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】表2, 表3, 表4に示す結果から明らかな
ように、本発明例については、大腸菌、黄色ブドウ球菌
に対して極めて良好な抗菌性を示している。一方、比較
例については、大腸菌、黄色ブドウ球菌は減少せず、場
合により増菌することもあり、抗菌性を示していないと
いう結果が出た。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、焼
鈍後処理, 即ち、脱SiO2処理を工夫することにより、ス
テンレス鋼の抗菌性を向上させることができる。また、
本発明によれば、ステンレス鋼を通常の製造工程の中で
抗菌性が付与できるため、安価に抗菌性を有するステン
レス鋼を供給することができる。
フロントページの続き (72)発明者 高井 貴裕 神奈川県川崎市川崎区小島町4番2号 日本冶金工業株式会社 研究開発本部 技術研究所内 (56)参考文献 特開 平8−229107(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23G 1/08 A01N 59/20 C22C 38/00 C25F 1/06

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cuを0.1 〜10wt%含有するステンレス鋼
    であって、その表面が焼鈍後の脱SiO2処理によるCu濃化
    状態にあることを特徴とする抗菌ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】 0.1 〜10wt%のCuを含有するステンレス
    鋼を、焼鈍後に、表面に生成したSiO2の除去を図る脱Si
    O2処理を行うことを特徴とする抗菌ステンレス鋼の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 脱SiO2処理を、ソルトバスに通板するこ
    とにより行うことを特徴とする請求項2に記載の抗菌ス
    テンレス鋼の製造方法。
  4. 【請求項4】 ソルトバスへの通板に際し、酸洗工程の
    前処理として行うソルトバスを利用することを特徴とす
    る請求項2に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 脱SiO2処理は、0.001 〜10g/lのCuを
    含有するソルトバスに通板することを特徴とする請求項
    2,3または4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 脱SiO2処理は、ソルトバスに通板後、0.
    01〜10g/lのCuを含有する硝酸電解槽に通板すること
    を特徴とする請求項2, 3または4に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 脱SiO2処理は、ソルトバスに通板後、0.
    01〜10g/lのCuを含有する硫酸電解槽に通板すること
    を特徴とする請求項2, 3または4に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 脱SiO2処理は、ソルトバスに通板後、0.
    01〜10g/lのCuを含有する硝弗酸槽に通板することを
    特徴とする請求項2, 3または4に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 脱SiO2処理は、0.001 〜10g/lのCuを
    含有するソルトバスに通板後、それぞれ0.01〜10g/l
    のCuを含有する硝酸電解槽、硫酸電解槽および硝弗酸槽
    の何れか少なくとも1槽に通板することを特徴とする請
    求項2, 3または4に記載の製造方法。
JP14926597A 1996-09-27 1997-06-06 抗菌ステンレス鋼およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3152631B2 (ja)

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