JPH11172459A - 抗菌性ステンレス鋼またはチタン材の製造方法 - Google Patents
抗菌性ステンレス鋼またはチタン材の製造方法Info
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- JPH11172459A JPH11172459A JP33916697A JP33916697A JPH11172459A JP H11172459 A JPH11172459 A JP H11172459A JP 33916697 A JP33916697 A JP 33916697A JP 33916697 A JP33916697 A JP 33916697A JP H11172459 A JPH11172459 A JP H11172459A
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- Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 Cuを添加してない通常のステンレス鋼およ
びチタン材を対象として、Cu含有表面層を形成し、十
分な抗菌性を安定して発揮させる。 【解決手段】 100〜5000ppm のCuイオンを含
む非酸化性または還元性の酸液に、ステンレス鋼または
チタン材を浸漬するか、あるいは前記酸液をステンレス
鋼またはチタン材にスプレーすることで、Cu含有表面
層を形成する。前記酸液が10〜200g/l のHNO3
と5〜100g/l のHFを含む硝弗酸液であることが好
ましい。 【効果】 特別な処理工程を付加することなく、通常の
ステンレス鋼やチタン材の製造プロセスにおいて実施す
ることができる。
びチタン材を対象として、Cu含有表面層を形成し、十
分な抗菌性を安定して発揮させる。 【解決手段】 100〜5000ppm のCuイオンを含
む非酸化性または還元性の酸液に、ステンレス鋼または
チタン材を浸漬するか、あるいは前記酸液をステンレス
鋼またはチタン材にスプレーすることで、Cu含有表面
層を形成する。前記酸液が10〜200g/l のHNO3
と5〜100g/l のHFを含む硝弗酸液であることが好
ましい。 【効果】 特別な処理工程を付加することなく、通常の
ステンレス鋼やチタン材の製造プロセスにおいて実施す
ることができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は雑菌の繁殖を抑制で
き、また減菌作用をも有する抗菌性ステンレス鋼または
チタン材の製造方法に関するものである。
き、また減菌作用をも有する抗菌性ステンレス鋼または
チタン材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼は表面が美麗で耐錆性に優
れていることから、家庭用および業務用の各種設備や器
具等に広く採用されている。ところで、食品関連、医療
関連等の設備や器具等においては、雑菌に対する対策か
ら、素材のステンレス鋼に抗菌性を付与したものが求め
られている。そして、このような抗菌性ステンレス鋼は
食品や医療関連以外でも、雑菌が繁殖しやすい、あるい
は雑菌の繁殖が好ましくない各種の設備や器具等への適
用が期待されている。
れていることから、家庭用および業務用の各種設備や器
具等に広く採用されている。ところで、食品関連、医療
関連等の設備や器具等においては、雑菌に対する対策か
ら、素材のステンレス鋼に抗菌性を付与したものが求め
られている。そして、このような抗菌性ステンレス鋼は
食品や医療関連以外でも、雑菌が繁殖しやすい、あるい
は雑菌の繁殖が好ましくない各種の設備や器具等への適
用が期待されている。
【0003】またチタン材は、ステンレス鋼よりも耐食
性に優れ、軽量かつ高強度、さらに高級感のある金属光
沢を呈することから、身につける装飾品などに使用され
ているほか、上記ステンレス鋼と同様の分野にも採用さ
れ、同様に抗菌性を付与したものが求められている。
性に優れ、軽量かつ高強度、さらに高級感のある金属光
沢を呈することから、身につける装飾品などに使用され
ているほか、上記ステンレス鋼と同様の分野にも採用さ
れ、同様に抗菌性を付与したものが求められている。
【0004】従来の抗菌性ステンレス鋼として、Cuの
抗菌作用を利用したものが知られている。それはステン
レス鋼の表面にCu濃化層を形成したものであり、その
形成手段としては、Cu含有ステンレス鋼を硫酸等の液
中で交番電解処理することにより、鋼中からのCuイオ
ン溶出と鋼表面へのCu析出を繰り返すことが、特開平
8−60303号公報等に、提案されている。
抗菌作用を利用したものが知られている。それはステン
レス鋼の表面にCu濃化層を形成したものであり、その
形成手段としては、Cu含有ステンレス鋼を硫酸等の液
中で交番電解処理することにより、鋼中からのCuイオ
ン溶出と鋼表面へのCu析出を繰り返すことが、特開平
8−60303号公報等に、提案されている。
【0005】また特開平8−229107号公報には、
Cu含有ステンレス鋼を硫酸、硝弗酸等の非酸化性また
は還元性の酸性溶液に浸漬し、表面変質層を除去してC
uリッチの表面を露出させることが提案されている。さ
らに特公平3−66394号公報には、Cu含有ステン
レス鋼を硫酸、塩酸等の酸液中に浸漬し、活性溶解によ
り原子状あるいはイオン状態のCuを鋼から遊離させて
析出させることが開示されている。
Cu含有ステンレス鋼を硫酸、硝弗酸等の非酸化性また
は還元性の酸性溶液に浸漬し、表面変質層を除去してC
uリッチの表面を露出させることが提案されている。さ
らに特公平3−66394号公報には、Cu含有ステン
レス鋼を硫酸、塩酸等の酸液中に浸漬し、活性溶解によ
り原子状あるいはイオン状態のCuを鋼から遊離させて
析出させることが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記各公報に記載され
ている方法は、いずれも鋼中にCuを含有させたステン
レス鋼を酸液で処理することにより、表面にCuの濃化
層を形成するものである。したがってこれらの方法で
は、特殊な用途向けに製造されていたものを対象とする
か、あるいは新たに成分設計したものを対象に処理を行
って、抗菌性ステンレス鋼を製造せざるをえない。
ている方法は、いずれも鋼中にCuを含有させたステン
レス鋼を酸液で処理することにより、表面にCuの濃化
層を形成するものである。したがってこれらの方法で
は、特殊な用途向けに製造されていたものを対象とする
か、あるいは新たに成分設計したものを対象に処理を行
って、抗菌性ステンレス鋼を製造せざるをえない。
【0007】そこで本発明は、Cu含有量が不可避的不
純物の範囲内にある通常のステンレス鋼およびチタン材
を対象として、表面にCu含有表面層を形成し、十分な
抗菌性を安定して発揮することのできる抗菌性金属材料
を製造するための方法を提供することを目的とする。
純物の範囲内にある通常のステンレス鋼およびチタン材
を対象として、表面にCu含有表面層を形成し、十分な
抗菌性を安定して発揮することのできる抗菌性金属材料
を製造するための方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明法は、100〜5000ppm のCuイオンを含
む非酸化性または還元性の酸液に、ステンレス鋼または
チタン材を浸漬するか、あるいは前記酸液をステンレス
鋼またはチタン材にスプレーすることで、Cu含有表面
層を形成することを特徴とする抗菌性ステンレス鋼また
はチタン材の製造方法である。
の本発明法は、100〜5000ppm のCuイオンを含
む非酸化性または還元性の酸液に、ステンレス鋼または
チタン材を浸漬するか、あるいは前記酸液をステンレス
鋼またはチタン材にスプレーすることで、Cu含有表面
層を形成することを特徴とする抗菌性ステンレス鋼また
はチタン材の製造方法である。
【0009】そして、前記酸液が10〜200g/l のH
NO3 と5〜100g/l のHFを含む硝弗酸液であるこ
とが好ましい。
NO3 と5〜100g/l のHFを含む硝弗酸液であるこ
とが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明法において対象とするステ
ンレス鋼は、フェライト系、オーステナイト系およびマ
ルテンサイ系などのいずれでもよい。鋼中にはCuは添
加されておらず、含まれていても不可避的不純物の範囲
内の含有量である。また対象とするチタン材は、商用の
純チタンおよび各種チタン合金のいずれでもよく、同様
にCu含有量は不可避的不純物の範囲内である。
ンレス鋼は、フェライト系、オーステナイト系およびマ
ルテンサイ系などのいずれでもよい。鋼中にはCuは添
加されておらず、含まれていても不可避的不純物の範囲
内の含有量である。また対象とするチタン材は、商用の
純チタンおよび各種チタン合金のいずれでもよく、同様
にCu含有量は不可避的不純物の範囲内である。
【0011】これらステンレス鋼またはチタン材の形態
としては、切り板、ストリップコイル、棒材、線材、ワ
イヤ、管材などのいずれでもよい。また抗菌性とは、大
腸菌、黄色ブドウ球菌などの雑菌の繁殖を抑制でき、ま
た減菌作用を有するものである。
としては、切り板、ストリップコイル、棒材、線材、ワ
イヤ、管材などのいずれでもよい。また抗菌性とは、大
腸菌、黄色ブドウ球菌などの雑菌の繁殖を抑制でき、ま
た減菌作用を有するものである。
【0012】本発明法は、上記ステンレス鋼またはチタ
ン材にCu含有表面層を形成することにより、上記のよ
うな抗菌性を付与するものである。その形成手段として
は、100〜5000ppm のCuイオンを含む非酸化性
または還元性の酸液に、ステンレス鋼またはチタン材を
浸漬するか、あるいは前記酸液をステンレス鋼またはチ
タン材にスプレーする。
ン材にCu含有表面層を形成することにより、上記のよ
うな抗菌性を付与するものである。その形成手段として
は、100〜5000ppm のCuイオンを含む非酸化性
または還元性の酸液に、ステンレス鋼またはチタン材を
浸漬するか、あるいは前記酸液をステンレス鋼またはチ
タン材にスプレーする。
【0013】Cuを含有しないステンレス鋼やチタン材
にCu含有表面層を形成するためには、外部からCuを
供給する必要がある。そしてステンレス鋼やチタン材の
表面には、通常、不動態皮膜が形成されているので、こ
の皮膜を除去しないとCuを供給してもCu含有表面層
は形成されない。
にCu含有表面層を形成するためには、外部からCuを
供給する必要がある。そしてステンレス鋼やチタン材の
表面には、通常、不動態皮膜が形成されているので、こ
の皮膜を除去しないとCuを供給してもCu含有表面層
は形成されない。
【0014】本発明法によれば、非酸化性または還元性
の酸液により不動態皮膜が破壊されるとともに、該酸液
中のCuイオンがステンレス鋼やチタン材の表面に析出
してCu含有表面層が形成される。このとき、ステンレ
ス鋼の場合もチタン材の場合も、酸液中のCuイオンが
100ppm 未満だと、工業的な処理時間内で形成される
Cu含有表面層のCu濃度が低く、十分な抗菌性が得ら
れ難い。またCuイオンが5000ppm を超えると、前
記処理時間内で形成されるCu含有表面層のCu濃度は
飽和する。
の酸液により不動態皮膜が破壊されるとともに、該酸液
中のCuイオンがステンレス鋼やチタン材の表面に析出
してCu含有表面層が形成される。このとき、ステンレ
ス鋼の場合もチタン材の場合も、酸液中のCuイオンが
100ppm 未満だと、工業的な処理時間内で形成される
Cu含有表面層のCu濃度が低く、十分な抗菌性が得ら
れ難い。またCuイオンが5000ppm を超えると、前
記処理時間内で形成されるCu含有表面層のCu濃度は
飽和する。
【0015】このような酸液をステンレス鋼やチタン材
に接触させる手段としては、これら材料がストリップコ
イルやワイヤコイルの場合には、コイルを巻き戻しつつ
酸液中に連続的に浸漬させ通過させ、あるいは走行中の
材料に酸液をスプレーすることができる。線材コイルの
場合は、コイル状態で硝弗酸液中に浸漬させ、棒材や管
材の場合も同様に浸漬させ、あるいは棒材や管材を搬送
しつつスプレーすることもできる。
に接触させる手段としては、これら材料がストリップコ
イルやワイヤコイルの場合には、コイルを巻き戻しつつ
酸液中に連続的に浸漬させ通過させ、あるいは走行中の
材料に酸液をスプレーすることができる。線材コイルの
場合は、コイル状態で硝弗酸液中に浸漬させ、棒材や管
材の場合も同様に浸漬させ、あるいは棒材や管材を搬送
しつつスプレーすることもできる。
【0016】酸液としては、ステンレス鋼やチタン材の
不動態皮膜に対し破壊作用を有する非酸化性または還元
性の酸液であればよく、酸洗用に使用される硝弗酸(硝
酸と弗酸の混酸)を使用すれば、酸洗と同時にCu含有
表面層を形成することができるので好ましい。硝弗酸の
濃度は、通常の酸洗で採用されている範囲でよく、ステ
ンレス鋼の場合もチタン材の場合も、HNO3 として1
0〜200g/l 、HFとして5〜100g/l の範囲とす
るのが好ましい。
不動態皮膜に対し破壊作用を有する非酸化性または還元
性の酸液であればよく、酸洗用に使用される硝弗酸(硝
酸と弗酸の混酸)を使用すれば、酸洗と同時にCu含有
表面層を形成することができるので好ましい。硝弗酸の
濃度は、通常の酸洗で採用されている範囲でよく、ステ
ンレス鋼の場合もチタン材の場合も、HNO3 として1
0〜200g/l 、HFとして5〜100g/l の範囲とす
るのが好ましい。
【0017】硝弗酸液中にCuイオンを含有させる手段
としては、使用している硝弗酸液に金属Cuを溶解させ
た硝酸を混合すること、金属Cuを溶解させた硝酸と弗
酸を混合して硝弗酸の新液を作ること、あるいは硝弗酸
液にCu含有鋼材を浸漬すること、などを採用すること
ができる。
としては、使用している硝弗酸液に金属Cuを溶解させ
た硝酸を混合すること、金属Cuを溶解させた硝酸と弗
酸を混合して硝弗酸の新液を作ること、あるいは硝弗酸
液にCu含有鋼材を浸漬すること、などを採用すること
ができる。
【0018】このほか、硫酸、塩酸等を使用することも
でき、これら酸液にCuイオンを含有させる手段も、上
記硝弗酸の場合と同様、金属Cuを溶解させたり、Cu
含有鋼材を浸漬したりする方法を採用することができ
る。
でき、これら酸液にCuイオンを含有させる手段も、上
記硝弗酸の場合と同様、金属Cuを溶解させたり、Cu
含有鋼材を浸漬したりする方法を採用することができ
る。
【0019】Cu含有表面層は、ステンレス鋼やチタン
材の表面に形成されるCuを含む層である。その一例を
図1に示す。この例は、通常のオーステナイト系ステン
レス鋼SUS304の薄板製品において、最終焼鈍後の
酸洗時、予めCuイオンを約200ppm 含有させた硝弗
酸液に浸漬処理して製造した製品について、グロー放電
発光分光分析(glow discharge spectroscopy 以下GD
Sという)により、主要元素の深さ方向濃度分布を測定
したものである。
材の表面に形成されるCuを含む層である。その一例を
図1に示す。この例は、通常のオーステナイト系ステン
レス鋼SUS304の薄板製品において、最終焼鈍後の
酸洗時、予めCuイオンを約200ppm 含有させた硝弗
酸液に浸漬処理して製造した製品について、グロー放電
発光分光分析(glow discharge spectroscopy 以下GD
Sという)により、主要元素の深さ方向濃度分布を測定
したものである。
【0020】図1から、Cu最大濃度が約16重量%の
Cu含有表面層が形成されていることがわかる。また酸
素濃度のピークがほぼ表面に位置しており、硝弗酸処理
により酸化皮膜が形成されたことが示されている。Cu
濃度のピークは、酸素濃度やSi濃度のピークより内面
側に位置し、Cu含有表面層はこの酸化皮膜を含んで形
成されている。この現象から、硝弗酸液中にイオンとな
って溶解しているCuがステンレス鋼の表面に析出する
ことで、Cu含有表面層が形成されたものと考えられ
る。そして、この層のCuにより抗菌性がもたらされる
と考えられる。
Cu含有表面層が形成されていることがわかる。また酸
素濃度のピークがほぼ表面に位置しており、硝弗酸処理
により酸化皮膜が形成されたことが示されている。Cu
濃度のピークは、酸素濃度やSi濃度のピークより内面
側に位置し、Cu含有表面層はこの酸化皮膜を含んで形
成されている。この現象から、硝弗酸液中にイオンとな
って溶解しているCuがステンレス鋼の表面に析出する
ことで、Cu含有表面層が形成されたものと考えられ
る。そして、この層のCuにより抗菌性がもたらされる
と考えられる。
【0021】本発明者らは各種ステンレス鋼を試作し、
Cu含有表面層のCu最大濃度をGDSにより測定する
とともに、抗菌性の評価を行った。抗菌性は大腸菌と黄
色ブドウ球菌について、ステンレス鋼試験片上で24時
間経過後の減菌率を測定した結果に基づいて評価した。
減菌率は、試験開始時の生存菌数N0 と24時間経過後
の生存菌数Nをカウントして、(N0 −N)/N0 ×1
00により求めた。
Cu含有表面層のCu最大濃度をGDSにより測定する
とともに、抗菌性の評価を行った。抗菌性は大腸菌と黄
色ブドウ球菌について、ステンレス鋼試験片上で24時
間経過後の減菌率を測定した結果に基づいて評価した。
減菌率は、試験開始時の生存菌数N0 と24時間経過後
の生存菌数Nをカウントして、(N0 −N)/N0 ×1
00により求めた。
【0022】得られた抗菌性の評価結果とCu最大濃度
との関係を図2および図3に示す。図2は大腸菌、図3
は黄色ブドウ球菌についての結果である。抗菌性の評価
は減菌ランクで示し、ランクAは減菌率99%超、ラン
クBは減菌率95%以上〜99%以下、ランクCは減菌
率60%以上〜95%未満、ランクDは減菌率0%以上
〜60%未満、ランクEは減菌率がマイナスすなわち増
菌したものである。
との関係を図2および図3に示す。図2は大腸菌、図3
は黄色ブドウ球菌についての結果である。抗菌性の評価
は減菌ランクで示し、ランクAは減菌率99%超、ラン
クBは減菌率95%以上〜99%以下、ランクCは減菌
率60%以上〜95%未満、ランクDは減菌率0%以上
〜60%未満、ランクEは減菌率がマイナスすなわち増
菌したものである。
【0023】図2および図3の結果から、Cu濃化層中
のCu最大濃度が3重量%以上であれば、減菌ランクC
以上すなわち減菌率が60%以上となり、雑菌繁殖の抑
制作用が安定して得られることがわかる。またCu最大
濃度が4重量%以上であれば、減菌ランクAすなわち減
菌率が99%超となり、減菌作用が安定して得られるこ
とがわかる。
のCu最大濃度が3重量%以上であれば、減菌ランクC
以上すなわち減菌率が60%以上となり、雑菌繁殖の抑
制作用が安定して得られることがわかる。またCu最大
濃度が4重量%以上であれば、減菌ランクAすなわち減
菌率が99%超となり、減菌作用が安定して得られるこ
とがわかる。
【0024】このようなCu含有表面層の状態や、Cu
最大濃度と抗菌性との関係は、ステンレス鋼の他鋼種や
チタン材の場合も、また板以外の形態の場合も、上記S
US304薄板の場合と同様である。したがって本発明
法において、Cu含有表面層のCu最大濃度を3重量%
以上とするのが好ましく、4重量%以上とするのがより
好ましい。
最大濃度と抗菌性との関係は、ステンレス鋼の他鋼種や
チタン材の場合も、また板以外の形態の場合も、上記S
US304薄板の場合と同様である。したがって本発明
法において、Cu含有表面層のCu最大濃度を3重量%
以上とするのが好ましく、4重量%以上とするのがより
好ましい。
【0025】
【実施例】表1に示す成分のフェライト系、オーステナ
イト系およびマルテンサイト系の各ステンレス鋼板、お
よび純チタン板について、通常の工程により冷間圧延し
た後、連続焼鈍酸洗ラインにて焼鈍と酸洗を行い製品板
とした。表1において、ステンレス鋼のCu量は不純物
として含まれるものであり、チタン材ではCuは分析限
界以下であった。
イト系およびマルテンサイト系の各ステンレス鋼板、お
よび純チタン板について、通常の工程により冷間圧延し
た後、連続焼鈍酸洗ラインにて焼鈍と酸洗を行い製品板
とした。表1において、ステンレス鋼のCu量は不純物
として含まれるものであり、チタン材ではCuは分析限
界以下であった。
【0026】酸洗工程では、硝弗酸液中のCuイオン濃
度を変化させ、表2に示す条件で浸漬処理を行った。な
お、フェライト系およびマルテンサイト系のステンレス
鋼板の場合は、通常の酸洗工程では硝弗酸液に浸漬しな
いが、本実施例ではオーステナイト系やチタン材よりも
HNO3 濃度およびHF濃度を低めた条件で浸漬処理を
行った。
度を変化させ、表2に示す条件で浸漬処理を行った。な
お、フェライト系およびマルテンサイト系のステンレス
鋼板の場合は、通常の酸洗工程では硝弗酸液に浸漬しな
いが、本実施例ではオーステナイト系やチタン材よりも
HNO3 濃度およびHF濃度を低めた条件で浸漬処理を
行った。
【0027】上記製品板から採取した試験片について、
大腸菌および黄色ブドウ球菌を対象にフィルム密着法に
より抗菌性の評価を行った。フィルム密着法は、菌液を
含む寒天培地を試験片上に一定量滴下し、ポリエチレン
製フィルムを被せて24時間経過前後の生存菌数を測定
する方法である。測定結果から減菌率を求め、減菌ラン
クにより抗菌性を評価した。
大腸菌および黄色ブドウ球菌を対象にフィルム密着法に
より抗菌性の評価を行った。フィルム密着法は、菌液を
含む寒天培地を試験片上に一定量滴下し、ポリエチレン
製フィルムを被せて24時間経過前後の生存菌数を測定
する方法である。測定結果から減菌率を求め、減菌ラン
クにより抗菌性を評価した。
【0028】また、前述のGDS分析により試験片表面
層のCu最大濃度を測定した。このCu最大濃度と抗菌
性評価結果を表2に示す。減菌ランクは前述のように減
菌率に基づき、減菌率は、試験開始時の生存菌数N0 と
24時間経過後の生存菌数Nをカウントして、(N0 −
N)/N0 ×100により求めたものである。ランクA
は減菌率99%超、ランクBは減菌率95%以上〜99
%以下、ランクCは減菌率60%以上〜95%未満、ラ
ンクDは減菌率0%以上〜60%未満、ランクEは減菌
率がマイナスすなわち増菌したものである。
層のCu最大濃度を測定した。このCu最大濃度と抗菌
性評価結果を表2に示す。減菌ランクは前述のように減
菌率に基づき、減菌率は、試験開始時の生存菌数N0 と
24時間経過後の生存菌数Nをカウントして、(N0 −
N)/N0 ×100により求めたものである。ランクA
は減菌率99%超、ランクBは減菌率95%以上〜99
%以下、ランクCは減菌率60%以上〜95%未満、ラ
ンクDは減菌率0%以上〜60%未満、ランクEは減菌
率がマイナスすなわち増菌したものである。
【0029】以上の結果、硝弗酸液にあらかじめ100
ppm 以上のCuイオンを溶解させておいた本発明例は、
いずれも減菌ランクAすなわち減菌率99%超の減菌作
用があり、抗菌性として優れたものであった。これに対
してCuイオン濃度が100ppm 未満の比較例では、硝
弗酸処理によってCu含有表面層が形成されても、Cu
最大濃度が低く、効果的な抗菌性は得られなかった。
ppm 以上のCuイオンを溶解させておいた本発明例は、
いずれも減菌ランクAすなわち減菌率99%超の減菌作
用があり、抗菌性として優れたものであった。これに対
してCuイオン濃度が100ppm 未満の比較例では、硝
弗酸処理によってCu含有表面層が形成されても、Cu
最大濃度が低く、効果的な抗菌性は得られなかった。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】本発明法によれば、Cuを添加していな
い通常の汎用ステンレス鋼およびチタン材にCu含有表
面層を形成し、十分な抗菌性を安定して発揮させること
ができる。その処理には特別な処理工程を付加すること
なく、通常のステンレス鋼やチタン材の製造プロセスに
おいて実施することができる。
い通常の汎用ステンレス鋼およびチタン材にCu含有表
面層を形成し、十分な抗菌性を安定して発揮させること
ができる。その処理には特別な処理工程を付加すること
なく、通常のステンレス鋼やチタン材の製造プロセスに
おいて実施することができる。
【図1】本発明法により得られたステンレス鋼における
表面近傍の主要元素濃度分布の例を示すグラフである。
表面近傍の主要元素濃度分布の例を示すグラフである。
【図2】本発明の対象とする菌に対する抗菌性の評価を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図3】本発明の対象とする別の菌に対する抗菌性の評
価を示すグラフである。
価を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 光範 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 100〜5000ppm のCuイオンを含
む非酸化性または還元性の酸液に、ステンレス鋼または
チタン材を浸漬するか、あるいは前記酸液をステンレス
鋼またはチタン材にスプレーすることで、Cu含有表面
層を形成することを特徴とする抗菌性ステンレス鋼また
はチタン材の製造方法。 - 【請求項2】 前記酸液が10〜200g/l のHNO3
と5〜100g/l のHFを含む硝弗酸液であることを特
徴とする請求項1記載の抗菌性ステンレス鋼またはチタ
ン材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33916697A JPH11172459A (ja) | 1997-12-09 | 1997-12-09 | 抗菌性ステンレス鋼またはチタン材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33916697A JPH11172459A (ja) | 1997-12-09 | 1997-12-09 | 抗菌性ステンレス鋼またはチタン材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11172459A true JPH11172459A (ja) | 1999-06-29 |
Family
ID=18324873
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33916697A Withdrawn JPH11172459A (ja) | 1997-12-09 | 1997-12-09 | 抗菌性ステンレス鋼またはチタン材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11172459A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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1997
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