JP2001011659A - 抗菌性に優れた金属製品の製造方法 - Google Patents

抗菌性に優れた金属製品の製造方法

Info

Publication number
JP2001011659A
JP2001011659A JP11186827A JP18682799A JP2001011659A JP 2001011659 A JP2001011659 A JP 2001011659A JP 11186827 A JP11186827 A JP 11186827A JP 18682799 A JP18682799 A JP 18682799A JP 2001011659 A JP2001011659 A JP 2001011659A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
product
antibacterial properties
stainless steel
antibacterial
aqueous solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11186827A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3212973B2 (ja
Inventor
Kunio Fukuda
國夫 福田
Takeshi Yokota
毅 横田
Susumu Sato
佐藤  進
Masaharu Ishikura
正治 石倉
Noriko Makiishi
規子 槇石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP18682799A priority Critical patent/JP3212973B2/ja
Publication of JP2001011659A publication Critical patent/JP2001011659A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3212973B2 publication Critical patent/JP3212973B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌性に優れた金属製品の製造方法を提案す
る。 【解決手段】 金属製品を、銀イオン:0.0001〜1.0mol
/lを含む水溶液に浸漬する。水溶液は、硝酸:1 〜200g
/lを含む硝酸水溶液、あるいはpH8.0 以上のアルカリ水
溶液が好ましい。金属製品としては、最終形状に加工さ
れたステンレス鋼製品、とくに、Ag:0.001 〜0.10wt%
を含み、あるいはさらにV:0.001 〜0.30wt%を含む最
終形状に加工されたステンレス鋼製品が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生活関連用品、医
療機器および建材等に好適な、抗菌性に優れた金属製品
に係り、とくに、最終形状に加工された金属製品に抗菌
性を付与する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】銀(Ag)、銅(Cu)は、大腸菌やサルモ
ネラ菌に代表される病原性細菌の増殖を抑制する作用を
有することが古くから知られている。最近、これらの金
属を利用して細菌増殖抑制効果(以下抗菌性という)を
持たせた材料が開発されている。例えば、特開平8-4908
5 号公報には、マグネットスパッタリングによって、Ag
および/またはCuを含むCr、Ti、Ni、Fe等の金属層また
は合金層をステンレス鋼基材の表面に形成した抗菌性に
優れたステンレス鋼板が開示されている。この鋼板で
は、19〜60重量%のAgを含む合金層または金属層を形成
することが好ましいとされている。
【0003】また、特開平8-156175号公報には、銀を含
んだ顔料を塗布し、細菌の繁殖を抑制できる塗装鋼板が
提案されている。しかしながら、上記した、鋼板表面に
抗菌性金属を含む合金層あるいは金属層を形成する方法
や、抗菌性金属を含む顔料を塗布する方法では、絞り加
工や表面の研磨加工により抗菌性金属を含む層が剥離ま
たは除去されて、その効果が期待できなくなるという問
題があった。また、厨房用品などの用途では、清掃によ
り表面が擦られるため、長期にわたり抗菌性が維持でき
ないという問題もあった。
【0004】特開平8-239726号公報には、重量比で、
鉄:10〜80%、アルミニウム:1〜10%、あるいはさら
にクロム、ニッケル、マンガン、銀のうちいずれか1種
以上を1〜15%含み、残部が銅および不可避的不純物か
らなる抗菌、耐海生生物材料が開示されている。しか
し、この材料は、アルミニウムを1〜10%含有した銅基
合金あるいは鉄基合金で、加工性が低く、例えば、食
器、台所用品、電機部品等の薄板で成形する用途に供す
るには問題を残していた。
【0005】このような問題に対し、特開平8-104953号
公報には、Cuを1.1 〜3.5 重量%含有し抗菌性を高めた
オーステナイト系ステンレス鋼が、また、特開平10-259
457号公報には、Cuを0.5 〜4.0 重量%、Agを0.05〜1.0
重量%含有し抗菌性を高めたオーステナイト系ステン
レス鋼が、また、特開平8-104952号公報には、Cuを0.3
〜5.0 重量%含有し抗菌性を高めたマルテンサイト系ス
テンレス鋼が、また、特開平9-170053号公報には、Cuを
0.4 〜3.0 重量%含有し抗菌性を高めたフェライト系ス
テンレス鋼が、提案されている。
【0006】しかしながら、抗菌性が発現するために
は、鋼板表面からCuがイオンとなって溶け出す必要があ
る。Cuがイオンとなって溶け出すことは、その箇所で不
動態皮膜が破壊されることを意味し、せっかく抗菌性が
向上しても、耐食性が著しく劣化する。従って、Cuを多
量に添加したステンレス鋼では抗菌性と耐食性とを両立
させることが困難であった。
【0007】特開平10−259456号公報には、8 重量%以
上のCr、および0.05〜1.0 重量%のAgを含み、短径が10
μm以下のAg相が面積分率で0.03%以上マトリックス中
に分散している抗菌ステンレス鋼板が提案されている。
しかしながら、特開平10−259456号公報に記載された技
術では、Ag相の短径を10μm以下に制御するのは実際上
難しく、また短径10μm以下のAg相を面積分率で0.03%
以上とするには多量のAg添加を必要とし、結局、加工
性、耐食性の低下、さらに表面性状の低下を招くという
問題があった。
【0008】また、一般に、ステンレス鋼材は、酸洗等
による脱スケール工程を経て最終製品とされる。鋼材表
層に存在するCuやAgといった抗菌性元素は、酸洗後にも
残留する酸化皮膜に鋼材表面が覆われると抗菌性元素が
イオンとなって溶けだすことができず、内層に比べ表層
部の抗菌性が大幅に低下する場合がある。また、焼鈍時
に表層から抗菌性元素(Ag)が消失して、表層に抗菌性
元素濃度が低い領域が形成される場合があり、焼鈍後に
酸洗等により脱スケールを行って、表層を溶かし地金を
露出させても抗菌性元素濃度が回復せず、十分な抗菌性
が得られない場合があるという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】母材が抗菌性を有して
いても、研摩、成形等の加工により最終製品とされる際
に、表層の抗菌性成分が擦られ剥離または除去され最終
製品における抗菌性が消失する場合や、研削剤やその他
表面処理剤に含まれる成分と表層の抗菌性成分とが反応
し、最終製品における抗菌性が消失あるいは低下する場
合などがあり、安定して最終製品の抗菌性が発現しない
という問題があった。
【0010】また、母材に抗菌性を有していない場合で
も、最終製品に抗菌性を付与することが要望される場合
がある。この要望は、ステンレス鋼製品に限らず、抗菌
性が要求される用途に使用される金属製品全般に潜在的
に存在する強い要望である。本発明は、上記した従来技
術の問題を有利に解決し、金属製品、とくに最終加工製
品に抗菌性を付与することが可能な、抗菌性に優れた金
属製品の製造方法を提案することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、金属製
品、とくにステンレス鋼の最終加工製品に抗菌性を簡便
に付与する方法について、鋭意研究した。その結果、金
属製品を銀イオンを含む水溶液中に浸漬することによ
り、金属製品の母材が抗菌性を保持する場合はもちろ
ん、母材が抗菌性を保持しない場合でも、短時間に表面
にAgが付着し、高い抗菌性を有する金属製品となること
を見いだした。
【0012】本発明は、上記した知見に基づいて完成さ
れたものである。すなわち、本発明は、金属製品を、銀
イオン:0.0001〜1.0mol/lを含む水溶液に浸漬すること
を特徴とする抗菌性に優れた金属製品の製造方法であ
り、また、本発明では、前記水溶液を、硝酸:1〜200g
/lを含む硝酸水溶液とするのが好ましく、また、本発明
では、前記水溶液を、pH8.0 以上のアルカリ水溶液とし
てもよい。また、本発明では、前記アルカリ水溶液のpH
調整剤を、水酸化ナトリウムとするのが好ましい。
【0013】また、本発明では、前記金属製品は、最終
形状に加工されたステンレス鋼製品であることが好まし
く、また、本発明では、前記金属製品が、Ag:0.001 〜
0.10wt%を含み、あるいはさらにV:0.001 〜0.30wt%
を含む最終形状に加工されたステンレス鋼製品であるこ
とが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明が対象とするものは、抗菌
性が要求される用途に用いられる金属製品であり、最終
形状に加工された金属製品である。金属としては、アル
ミニウム、チタン、鋼等いずれも好適であり、中でもス
テンレス鋼、とくにAg等を含有するステンレス鋼が好ま
しい。最終形状に加工された金属製品は、表面付近に種
々な付着物が存在し、たとえ母材に抗菌性があっても、
安定して抗菌性を発現できないのが実状である。
【0015】そこで、本発明では、金属製品を、銀イオ
ン:0.0001〜1.0mol/lを含む水溶液に浸漬し、安定して
良好な抗菌性を付与する。本発明における抗菌性の担い
手は、溶液中に含まれる微量の銀イオンである。抗菌性
を安定して発現させるためには、銀イオンが金属製品に
均一、かつ適切な速度で付着するように制御することが
肝要で、このためには、浸漬する水溶液中の銀イオン濃
度、水溶液のpH、銀イオンの存在形態、銀イオンの溶液
中での分布などを調整する必要がある。
【0016】金属製品を銀イオン:0.0001〜1.0mol/lを
含む水溶液中に浸漬すると、 Ag←Ag+ +e - の反応が進行し、非常に短時間に金属製品表面にAgが析
出付着する。これにより、表面の光沢や耐食性を損なう
ことなく、良好な抗菌性が付与できる。水溶液中の銀イ
オン濃度が0.0001mol/l 未満では、浸漬した金属製品の
表面にAgの析出付着が少なく、金属製品の抗菌性が十分
に向上しない。水溶液中の銀イオン濃度が高ければ高い
ほど、金属製品表面へのAgの付着量が多くなり、抗菌性
が向上するが、1.0mol/lを超えて含有しても、それ以上
の抗菌性の向上は得られない。また、過剰な銀イオンの
含有は、金属製品表面に多量のAg、あるいはAg化合物
(Ag2O)を析出付着させ、付着したAgが製品使用時に大
気中のSと反応して製品表面の色調を黒っぽくしたり、
表層の不動態化を妨げたり、表面に析出付着したAg化合
物がやはり表層の不動変態を妨げ、耐食性を劣化させた
りする。このため、本発明では、水溶液中の銀イオン濃
度は0.0001〜1.0mol/lの範囲に限定した。なお、好まし
くは0.001 〜0.10mol/l である。また、本発明で溶液中
に添加するAgイオンは、どのような形態でも問題はな
く、とくに限定する必要はないが、溶液と反応しない、
AgNO3 、Ag2O等が好ましい。
【0017】本発明で使用する水溶液としては、酸性水
溶液、pH8.0 以上のアルカリ水溶液がいずれも好適であ
る。酸性水溶液としては、銀イオン:0.0001〜1.0mol/l
を含み、さらに硝酸:1〜200g/lを含む硝酸水溶液とす
るのが好ましい。金属製品を銀イオン:0.0001〜1.0mol
/lを含む硝酸水溶液中に浸漬すると、 Ag←Ag+ +e - の反応が進行し、非常に短時間に鋼板表面にAgが析出付
着する。これにより、表面の光沢や耐食性を損なうこと
なく、抗菌性を向上させることができる。なお、硝酸水
溶液中の銀イオン濃度は、より好ましくは0.001 〜0.1m
ol/lである。
【0018】また、硝酸水溶液中の硝酸濃度が1g/l 未
満では、水溶液の電導性が悪くなり、Agが短時間に金属
製品表面に析出付着しにくくなる。一方、200g/lを超え
るとNOX の発生が顕著となり、銀イオンの金属製品表面
への析出付着を妨げるようになる。このため、水溶液中
の硝酸濃度は1〜200g/lの範囲に限定するのが好まし
い。なお、処理時間を短くするため反応速度の観点か
ら、より好ましくは30〜150g/lである。
【0019】一方、銀イオンを0.0001mol/l 以上含有す
る、pH8.0 以上のアルカリ水溶液中に、金属製品を浸漬
すると、表面へのAg粒子の析出付着に加えて、Ag2Oが析
出付着し、表層の光沢や耐食性を損なうことなく著しく
抗菌性を向上させることができる。Ag2Oは、水に対する
溶解度が大きく、Ag粒子単体よりも抗菌性向上に対する
効果が大きい。一方、1.0mol/lを超えて銀イオンを含有
すると、それ以上の抗菌性の向上は得られないうえ、金
属製品がステンレス鋼製の場合には、表層の不動態を妨
げ、また必要以上にAg2Oが付着し、耐食性を劣化させ
る。このため、pH8.0 以上のアルカリ水溶液中の銀イオ
ンは0.0001〜1.0mol/lに限定するのが好ましい。より好
ましくは0.001 〜0.10mol/l である。
【0020】また、本発明者らの検討によれば、Ag2Oの
析出付着に好適な溶液のpH範囲が存在する。pHが8.0 未
満では、表面にAg2Oが短時間に析出付着せず、抗菌性付
与のための処理時間が多大となる。このため、アルカリ
水溶液のpHは8.0 以上とするのが好ましい。なお、より
好ましくはpH11.0〜14.0である。pHが14.0を超えると、
Ag2Oの析出付着がほとんど認められなくなる。
【0021】アルカリ水溶液のpH調整剤としては、水酸
化ナトリウム(NaOH)を用いるのが好ましい。水酸化ナ
トリウム(NaOH)は、ステンレス鋼材、とくに、抗菌性
付与のためにAgを含有するステンレス鋼材表面の不動態
化を妨げにくい。アルカリ水溶液中に、水酸化ナトリウ
ムを0.004 〜40g/l の範囲で含有することにより、水溶
液のpHが所定のpH範囲となるとともに、Agの析出付着状
態がもっとも望ましい状態となる。このため、本発明で
は、pH調整剤として、アルカリ水溶液中に含有する水酸
化ナトリウムの濃度は0.004 〜40g/l とするのが好まし
い。なお、より好ましくは0.04〜4.0 g/l である。
【0022】また、本発明では、pH調整剤として、水酸
化ナトリウムに代えて、水酸化カリウム(KOH )、水酸
化カルシウム(Ca(OH)2 )としてもよい。また、これら
の混合でもよい。上記した組成の水溶液を用いて、金属
製品を浸漬するに際し、水溶液の温度、浸漬時間は、要
求される抗菌性の程度、工程の長さ等により適宜調整す
ることができ、本発明ではとくに限定しない。なお、処
理速度の観点からは、液温35〜55℃、浸漬時間10〜120s
ecが望ましいがこれに限定されるものではない。
【0023】また、本発明では、使用する金属製品の、
種類、製造方法、加工方法に限定されることなく、良好
な抗菌性を付与することができる。とくに、抗菌性要求
の高い生活関連製品に適用されることの多い、ステンレ
ス鋼の最終加工製品に適用した場合に、本発明の効果を
有効に発揮できる。さらに、ステンレス鋼最終加工製品
のなかでも、Agを含有し抗菌性を付与されたステンレス
鋼の最終加工製品に適用することにより、加工による表
層の抗菌性劣化を補うことができる。
【0024】本発明で好適に用いられるステンレス鋼最
終加工製品は、フェライト系ステンレス鋼、オーステナ
イト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼の
いずれも好適に使用できる。フェライト系ステンレス鋼
の化学組成は、C:0.0001〜0.1 wt%、Si:1.0 wt%以
下、Mn:2.0 wt%以下、P:0.1 wt%以下、S:0.1 wt
%以下、Cr:8〜50wt%、N:0.1wt %以下を含み、残
部Feおよび不可避的不純物とするのが好ましい。なお、
Al:0.3 wt%以下、Ni:1.0 wt%以下、Mo:5.0 wt%以
下、Ti:1.0wt%以下、Nb:1.0 wt%以下、Zr:1.0 wt
%以下、Cu:1.0 wt%以下、W:0.3wt%以下、Co:0.0
01 〜0.5 wt%、B:0.01wt%以下のうちの1種または
2種以上を含有しても良い。
【0025】オーステナイト系ステンレス鋼の化学組成
は、C:0.001 〜0.1 wt%、Si:2.0 wt%以下、Mn:2.
0 wt%以下、P:0.1 wt%以下、S:0.1 wt%以下、C
r:10〜35wt%、Ni:6〜15wt%、N:0.001 〜0.1 wt
%を含み、残部Feおよび不可避的不純物とするのが好ま
しい。なお、Al:0.3 wt%以下、Mo:3.0 wt%以下、T
i:1.0 wt%以下、Nb:1.0 wt%以下、Zr:1.0 wt%以
下、Cu:1.0 wt%以下、W:0.3 wt%以下、Co:0.001
〜0.5 wt%、B:0.01wt%以下のうちの1種または2種
以上を含有しても良い。
【0026】マルテンサイト系ステンレス鋼の化学組成
は、C:0.001 〜1.0 wt%、Si:1.0 wt%以下、Mn:2.
0 wt%以下、P:0.1 wt%以下、S:0.1 wt%以下、C
r:8〜19wt%、N:0.001 〜0.1 wt%を含み、残部Fe
および不可避的不純物とするのが好ましい。なお、Al:
1.5 wt%以下、Ni:3.0 wt%以下、Mo:3.0 wt%以下、
Ti:1.0 wt%以下、Nb:1.0 wt%以下、Zr:1.0 wt%以
下、Cu:1.0 wt%以下、W:0.3 wt%以下、Co:0.001
〜0.5 wt%、B:0.01wt%以下のうちの1種または2種
以上を含有しても良い。
【0027】本発明に好適に用いられるステンレス鋼最
終加工製品は、好ましくは上記した通常公知の範囲の各
種ステンレス鋼の化学組成を有し、さらに製品母材に抗
菌性を付与するためAg:0.001 〜0.10wt%、あるいはさ
らにV:0.001 〜0.30wt%を含む、好ましくは冷間圧延
−焼鈍を施されたステンレス冷延鋼板を、さらにプレス
成形等の加工を施され最終形状とされた最終加工製品で
ある。
【0028】つぎに、本発明に好適に用いられるステン
レス鋼最終加工製品の組成のうち、Ag、V含有量の好適
範囲について説明する。 Ag:0.001 〜0.10wt% Agは、細菌の増殖を抑制する効果を有し、抗菌性を高め
る元素である。これらの効果は、0.001 wt%以上の添加
で認められるが、0.10wt%を超えて添加すると抗菌性を
高める効果はあるが、耐食性の劣化、熱間圧延時の表面
欠陥が増加するとともに、高価なAgを多量に添加するこ
とになりコスト高となり経済的に不利となる。また、鋼
中のAg量が0.10wt%を超えて多くなると、表層のAg酸化
物量が多くなる。酸化物は耐食性に影響し、表層のAg酸
化物量が多くなると、酸洗により形成された不動態皮膜
が安定に存在しなくなり、耐食性が劣化する。なお、よ
り好ましくは0.01wt%以上0.05wt%以下である。
【0029】V:0.001 〜0.30wt% Vは、上記した範囲のAgに加えて、Vを0.001 〜0.30wt
%含有させるのが好ましい。Vは、Ag粒子、およびAg酸
化物、Ag硫化物等のAg化合物が板厚中心部に偏在する傾
向を顕著に改善し、Ag粒子、Ag化合物を鋼材内に均一に
分散させる効果を有し、鋼材の抗菌性向上に有効な元素
である。Vを0.001 wt%以上含有することにより、均質
な鋼材表面の抗菌性が達成される。一方、0.30wt%を超
えて添加すると、鋼材の加工性が低下する傾向を示す。
より好ましくは0.001 〜0.10wt%であり、さらに好まし
くは、0.010 〜0.025 wt%である。
【0030】
【実施例】(実施例1)表1に示す化学組成を有するス
テンレス冷延鋼板に、還元雰囲気中での光輝焼鈍、ある
いはCガス燃焼雰囲気(酸素3%、二酸化炭素7%、水
蒸気20%、残部窒素)中での焼なまし処理を施し、BA
仕上げ鋼板、あるいは2B仕上げ鋼板とした。これら仕
上げ鋼板を用いて、プレス加工により、所定の形状のス
テンレス鋼加工製品(スプーン、弁当箱、プレート)を
作製した。これら加工製品にさらに、#400 研摩を施
し、金属光沢を付与した最終製品とした。なお、比較と
して、一部の製品は研摩を行わず最終製品とした。これ
ら最終製品を、表2に示す条件の硝酸水溶液中に浸漬し
た。その後、製品を洗浄した。
【0031】また、これら鋼板について、さらに抗菌性
の持続性および耐久性を評価するため、表面を#400 の
研摩紙で20回往復で擦ったのち、さらに抗菌性試験を実
施した。各試験の試験方法の概略をつぎに説明する。 (1)抗菌性試験 抗菌性は、次のように評価した。
【0032】試験体(試験面積2500mm2 )を99.5%エ
タノール含有脱脂綿等で洗浄・脱脂する。 大腸菌を1/500 NB溶液に分散する。(菌の個数は
2.5 ×105 cfu/枚に調整した。1/500 NB溶液とは普
通ブイオン培地(NB)を減菌精整水で500 倍に希釈し
たものである。普通ブイオン培地(NB)とは、肉エキ
ス5.0g、塩化ナトリウム5.0g、ペプトン10.0g 、精製水
1.000ml 、pH:7.0±0.2 のものをいう。) 菌液を0.4 ml/ 25cm2 の割合で試験片(各3個)に接
種する。
【0033】試験体表面にポリエチレン製フィルムを
被せる。 温度35℃±1.0 ℃、RH90%以上の条件で24時間保存
する。(RH:相対温度) 寒天平板法(35±1.0 ℃、48時間)により生菌数を測
定する。抗菌性は、次式で定義される減菌率で評価し
た。
【0034】減菌率(%)=(対照の菌数−試験後の菌
数)/(対照の菌数)×100 対照の菌数とは、抗菌処理を施さないステンレス鋼材の
抗菌試験後の生菌数をいう。試験後の菌数とは、測定し
た生菌数である。 (2)耐食性試験 耐食性は、塩乾湿潤複合サイクル試験により評価した。
【0035】試験片に下記との処理 5.0 %NaCl水溶液(温度:35℃)を0.5 時間噴霧した
のち、湿度:40%以下、温度:60℃の乾燥雰囲気で1.0
時間保持する。 湿度:95%以上、温度:40℃の湿潤雰囲気で1.0 時間
保持する。 を複合して1サイクルとして、鋼種ごとに設定した複数
サイクル(5 〜30サイクル)繰返したのち、試験片表面
の発錆面積率(%)を測定した。
【0036】これらの結果を表2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】本発明例は、いずれも優れた抗菌性を示
し、また耐食性も優れている。母材が抗菌性を示さない
場合でも、本発明の製造方法を適用することにより、最
終製品が抗菌性を示すようになる。さらに、母材にAgを
含有するステンレス鋼を母材とする場合には、抗菌性の
持続性、耐久性が維持されるうえ、最終製品の最表面の
抗菌性を一層安定させることができ、しかも母材より優
れた抗菌性を示すようになる。また、本発明の製造方法
は、ステンレス鋼本来の耐食性を劣化させることはな
い。上記した結果は、ステンレス鋼の種類によらず、確
認できる。
【0043】これに対し、本発明の範囲を外れる比較例
は、抗菌性が劣化しているか、耐食性が劣化している。 (実施例2)表1に示す化学組成を有するステンレス冷
延鋼板に、実施例1と同様の処理を施された、BA仕上
げ鋼板、あるいは2B仕上げ鋼板を用いて、プレス加工
により、所定の形状のステンレス鋼加工製品(スプー
ン、弁当箱、プレート)を作製した。これら加工製品に
さらに、#400 研摩を施し、金属光沢を付与した最終製
品とした。なお、比較として、一部の製品は研摩を行わ
ず最終製品とした。これら最終製品を、表3に示す条件
のアルカリ水溶液中に浸漬した。その後、製品を洗浄し
た。
【0044】また、これら鋼板について、さらに抗菌性
の持続性および耐久性を評価するため、実施例1と同様
に、表面を#400 の研摩紙で20回往復で擦ったのち、さ
らに抗菌性試験を実施した。その結果を、表3に示す。
【0045】
【表6】
【0046】
【表7】
【0047】
【表8】
【0048】本発明範囲の銀イオンを含有するアルカリ
水溶液中に最終製品を浸漬した、本発明例は、いずれも
優れた抗菌性を示している。また、本発明例は発錆面積
率も低く耐食性にも優れている。また、母材が抗菌性を
示さない場合でも、本発明の製造方法を適用することに
より、最終製品が抗菌性を示すようになる。さらに、母
材にAgを含有するステンレス鋼を母材とする場合には、
抗菌性および耐久性が高く、最終製品の最表面の抗菌性
をさらに安定して発現させることができ、しかも母材よ
り優れた抗菌性を示すようになる。また、本発明の製造
方法は、ステンレス鋼本来の耐食性を劣化させることは
ない。上記した結果は、ステンレス鋼の種類によらず、
確認できる。
【0049】これに対し、本発明の範囲を外れる比較例
は、抗菌性が劣化しているか、耐食性が劣化している。
なお、抗菌性については、減菌率99.0%以上を合格とし
た。また、耐食性については減菌率99.0%以上を満足
し、さらに発錆面積率15%以下を合格とした。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、母材の抗菌性の有無に
かかわらず、抗菌性に優れた金属製品を提供でき、産業
上格段の効果を奏する。とくに、フェライト系、オース
テナイト系、マルテンサイト系のいずれの種類、またい
ずれの表面仕上げのステンレス鋼材に対しても、十分な
抗菌性を発現させることができ、さらに成形加工、研磨
加工等が施され、表層の抗菌性が低下しやすい最終加工
製品にも、容易に適用でき抗菌性を向上させることが期
待できる。とくに、衛生面が重視される部材、例えば、
生活用品、あるいは厨房、浴槽等の湿った環境で細菌が
増殖しやすい使途に適用されるステンレス鋼最終加工製
品に、母材の抗菌性の有無にかかわらず、抗菌性を容易
に付与できるという効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 進 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 石倉 正治 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 槇石 規子 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K044 AA03 AB10 BA08 BB01 BC00 CA15 CA53

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製品を、銀イオン:0.0001〜1.0mol
    /lを含む水溶液に浸漬することを特徴とする抗菌性に優
    れた金属製品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記水溶液が、硝酸:1〜200g/lを含む
    硝酸水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の抗
    菌性に優れた金属製品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記水溶液が、pH8.0 以上のアルカリ水
    溶液であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性に
    優れた金属製品の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ水溶液のpH調整剤が、水酸
    化ナトリウムであることを特徴とする請求項3に記載の
    抗菌性に優れた金属製品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記金属製品が、最終形状に加工された
    ステンレス鋼加工製品であることを特徴とする請求項1
    ないし4のいずれかに記載の抗菌性に優れた金属製品の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記金属製品が、Ag:0.001 〜0.10wt%
    を含み、あるいはさらにV:0.001 〜0.30wt%を含む最
    終形状に加工されたステンレス鋼加工製品であることを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の抗菌性
    に優れた金属製品の製造方法。
JP18682799A 1999-06-30 1999-06-30 抗菌性に優れた金属製品の製造方法 Expired - Fee Related JP3212973B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18682799A JP3212973B2 (ja) 1999-06-30 1999-06-30 抗菌性に優れた金属製品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18682799A JP3212973B2 (ja) 1999-06-30 1999-06-30 抗菌性に優れた金属製品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001011659A true JP2001011659A (ja) 2001-01-16
JP3212973B2 JP3212973B2 (ja) 2001-09-25

Family

ID=16195318

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18682799A Expired - Fee Related JP3212973B2 (ja) 1999-06-30 1999-06-30 抗菌性に優れた金属製品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3212973B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005336519A (ja) * 2004-05-25 2005-12-08 Takasago Tekko Kk 抗菌又は抗黴処理金属
KR20190095655A (ko) * 2018-02-07 2019-08-16 손자경 항균력이 우수한 나노 은(銀) 피착방법 및 그 나노 은(銀)이 피착된 사물

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005336519A (ja) * 2004-05-25 2005-12-08 Takasago Tekko Kk 抗菌又は抗黴処理金属
KR20190095655A (ko) * 2018-02-07 2019-08-16 손자경 항균력이 우수한 나노 은(銀) 피착방법 및 그 나노 은(銀)이 피착된 사물
KR102184455B1 (ko) * 2018-02-07 2020-11-30 손자경 항균력이 우수한 나노 은(銀) 피착방법 및 그 나노 은(銀)이 피착된 사물

Also Published As

Publication number Publication date
JP3212973B2 (ja) 2001-09-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW444060B (en) Stainless steel product having excellent antimicrobial activity and method for production thereof
JP3398591B2 (ja) 抗菌性に優れたステンレス鋼材およびその製造方法
JP3212973B2 (ja) 抗菌性に優れた金属製品の製造方法
KR100516260B1 (ko) 항균성이 우수한 스테인레스 강재 및 그의 제조 방법
JP3894678B2 (ja) 抗菌性に優れたステンレス鋼材およびその製造方法
JP3165407B2 (ja) 抗菌性に優れたステンレス鋼材
JP3227405B2 (ja) 抗菌性に優れたフェライト系ステンレス鋼
JP3165422B2 (ja) 抗菌性に優れたステンレス鋼材およびその製造方法
JP3201750B2 (ja) 抗菌性に優れたステンレス鋼材の製造方法
JPH116036A (ja) Cu含有ステンレス鋼板及びその製造方法
JP2001011660A (ja) 抗菌性に優れたステンレス鋼材の製造方法
JP3398620B2 (ja) 抗菌性に優れたステンレス鋼材およびその製造方法
JP3229577B2 (ja) 抗菌性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼
JP3819064B2 (ja) 抗菌性を改善したCu含有ステンレス鋼の製造方法
JPH11256284A (ja) 抗菌性に優れたフェライト系ステンレス鋼
JP3227418B2 (ja) 抗菌性および耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼
JP2954868B2 (ja) Cu含有ステンレス鋼の抗菌性改善方法
JPH11172459A (ja) 抗菌性ステンレス鋼またはチタン材の製造方法
JPH08156175A (ja) 耐久性に優れた抗菌・防カビ性塗装鋼板
JPH11348175A (ja) 抗菌性金属板およびその製造方法
CN116322334A (zh) 具有抗菌活性的合金、合金粉末和合金涂层体
JPH11256239A (ja) 抗菌性に優れたステンレス鋼板及びその製造方法
JP2001121420A (ja) 抗菌性に優れた研磨仕上げステンレス鋼材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees