JP2000191372A - 医療材料用ジルコニア焼結体及びその製造方法 - Google Patents

医療材料用ジルコニア焼結体及びその製造方法

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JP2000191372A
JP2000191372A JP10371545A JP37154598A JP2000191372A JP 2000191372 A JP2000191372 A JP 2000191372A JP 10371545 A JP10371545 A JP 10371545A JP 37154598 A JP37154598 A JP 37154598A JP 2000191372 A JP2000191372 A JP 2000191372A
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Noritaka Yoshida
則隆 吉田
Atsushi Sugimoto
淳 杉本
Masaaki Hattori
昌晃 服部
Masahiko Okuyama
雅彦 奥山
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体内において優れた安定性を有し、強度が
大きく、高圧蒸気滅菌処理により変色しない医療材料用
ジルコニア焼結体及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 Y23により安定化された正方晶系ジル
コニアを主成分とする医療材料用ジルコニア焼結体であ
り、SiO2とTiO2とを含有する。Y23は3.6〜
8.8重量部であり、SiO2とTiO2とは、それぞれ
0.05〜0.5重量部である。主成分である正方晶系
ジルコニアは95重量部以上、特に97重量部以上、更
には99重量部以上である。この焼結体は、更に0.1
〜0.9重量部のAl23を含有することが好ましい。
また、平均粒径がそれぞれ0.8μm以下、特に0.2
〜0.5μmであるシリカ粉末及びチタニア粉末とを混
合した後、成形し、焼成して、上記の焼結体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療材料用ジルコ
ニア焼結体及びその製造方法に関する。この焼結体の主
成分である安定化ジルコニアの主結晶相は、生体内にお
いて長期に渡って正方晶系に保たれ、優れた安定性を有
する。そのため、この焼結体は、特に、生体内等におい
て、機械的強度の低下が小さく、関節等の摺動部に用い
た場合の表面の粗化も抑えられる。また、放射線等のエ
ネルギー線の照射による滅菌処理によっても変色し難
い。本発明の医療材料用ジルコニア焼結体は、人工骨、
人工歯根、人工関節等の他、種々の医療材料として利用
することができる。
【0002】
【従来の技術】従来より、医療材料用セラミックスの1
種として、Y23により安定化されたジルコニア焼結体
が知られている。この焼結体は、強度が大きく、靭性が
高く、且つ生体親和性に優れ、これまでも医療材料とし
て多くの用途への適用が検討されている。しかし、生体
内或いは同様な環境下では、主結晶相が正方晶から単斜
晶へと相転移し、機械的強度が低下したり、関節等の摺
動部に用いた場合に、その表面が粗くなる等の問題があ
る。また、このような相転移にともなう機械的強度の低
下を抑えるため、CeO2によって安定化する方法も知
られているが、このCeO2によって安定化されたジル
コニア焼結体は、初期の機械的強度がやや低いという問
題がある。
【0003】更に、以下の特許公報にはY23によって
安定化されたジルコニア焼結体の特性を向上させる各種
の方法が開示されている。 0.3〜5.0重量%のSiO2を含有させ、強度を大
きくする(特開昭61−72681号公報)。 SiO2の含有量を0.05重量%未満とすることに
より、熱安定性及び耐食性の低下を防止する(特開平2
−157157号公報)。
【0004】SiO2の含有量を0.2重量%未満と
することにより、温水による腐食を防止する(特開平8
−337473号公報)。 TiO2を1〜11重量%含有させ、強度を大きくす
る(特開昭61−122161号公報)。 TiO2、SiO2及びAl23を含有させ、強度、靭
性等を向上させる(特開昭60−27649号公報)。
【0005】しかし、上記〜の特許公報には、生体
内或いは同様な環境において長期に渡って使用した場合
に、主結晶相である正方晶から単斜晶へと相転移するこ
とにより、強度が低下したり、関節等の摺動部に用いた
場合に、表面が粗くなるといった問題については何ら言
及されていない。また、医療材料の用途では滅菌の必要
があるが、放射線等のエネルギー線の照射により滅菌し
た場合に、白色から紫色へと著しく変色することについ
てもまったく記載はない。更に、の特開昭60−27
649号公報においても、強度、靭性、耐摩耗性等の向
上が目的とされ、その用途は構造部材等であり、生体内
における安定性等については何ら触れられていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題を
解決するものであり、生体内等において長期に渡って主
結晶相を正方晶系に保つことができる安定化ジルコニア
を主成分とし、生体内における機械的強度の低下が小さ
く、関節等の摺動部に用いた場合に、表面がそれほど粗
くなることがなく、且つエネルギー線の照射による滅菌
処理によっても変色し難い医療材料用ジルコニア焼結体
を提供することを目的とする。また、このような医療材
料用ジルコニア焼結体を安定して得ることができる製造
方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1発明の医療材料用ジ
ルコニア焼結体は、Y2O3により安定化された正方晶
系ジルコニアを主成分とする医療材料用ジルコニア焼結
体において、該医療材料用ジルコニア焼結体を100重
量部とした場合に、SiO2及びTiO2を、それぞれ
0.05〜0.5重量部含有することを特徴とする。
尚、本発明におけるZrO2、Y23、SiO2、TiO
2及びAl23等の含有量は、いずれもZr、Y、S
i、Ti及びAl等の元素を酸化物に換算して表したも
のである。
【0008】上記「Y23により安定化された正方晶系
ジルコニア」(以下、「安定化ジルコニア」という。)
は、ジルコニア結晶におけるZrサイトの一部にYが固
溶することにより安定化されている。この安定化ジルコ
ニアは、正方晶を主結晶相とする正方晶系ジルコニアで
あって、機械的強度が大きく、靭性が高い。また、この
安定化ジルコニアには、正方晶の他に単斜晶及び立方晶
等が含まれている。この正方晶系とは、正方晶、単斜晶
及び立方晶からなる全体のうちの60%以上、特に70
%以上、更には80%以上が正方晶により構成されてい
ることを意味する。尚、ジルコニアには、通常、不可分
な元素であるHfが含まれているが、本発明におけるジ
ルコニアは、このHfを含めた意味で使用するものとす
る。
【0009】上記「医療材料用ジルコニア焼結体」(以
下、単に「焼結体」ということもある。)は、安定化ジ
ルコニアを主成分とし、これにSiO2及びTiO2が含
有されている。この「主成分」とは、焼結体を100重
量部とした場合に、ZrO2、HfO2及びY23の合計
含有量が95重量部以上、特に97重量部以上、更には
第2発明のように「99重量部以上」であることを意味
する。これらの合計含有量が95重量部未満である場合
は、十分な強度等、及び生体親和性を有する焼結体とす
ることができないため好ましくない。
【0010】ジルコニアの安定化剤である上記「Y
23」の含有量は、3.6〜8.8重量部(以下、単に
「部」という。)、特に3.7〜8.2部、更には3.
8〜7.7部であることが好ましい。このY23の含有
量が3.6部未満であると、十分に安定化されたジルコ
ニアとすることができず、ジルコニア結晶が正方晶から
単斜晶へ相転移し易くなる。一方、8.8部を超えて含
有する場合は、立方晶が混在し易くなり、初期の機械的
強度の低下を招く。
【0011】焼結体に含有される上記「SiO2」の含
有量は、0.05〜0.5部、特に0.05〜0.4
部、更には0.1〜0.3部であることが好ましい。こ
のSiO2の含有量が0.05部未満であると、正方晶
から単斜晶への相転移が十分に抑えられない。一方、
0.5部を超えて含有する場合も、この相転移を生じ易
くなり、機械的強度が低下し、関節等の摺動部に用いた
場合の表面の荒れ等の問題を生ずる傾向にある。
【0012】また、SiO2とともに焼結体に含有され
る上記「TiO2」の含有量は、0.05〜0.5部、
特に0.05〜0.4部、更には0.1〜0.3部であ
ることが好ましい。このTiO2の含有量が0.05部
未満であると、相転移が十分に抑えられず、且つ、放射
線等のエネルギー線の照射による滅菌処理によってより
変色し易くなる。一方、0.5部を超えて含有する場合
は、SiO2の場合と同様に、相転移を生じ易くなり、
機械的強度が低下し、関節等の摺動部に用いた場合に表
面が荒れる傾向にある。
【0013】これらSiO2とTiO2とを同時に含有さ
せることにより、生体内におけるジルコニア結晶の相転
移がより効果的に抑制され、機械的強度の低下が抑えら
れるとともに、滅菌処理による変色も十分に防止され
る。これらの相転移の抑制及び変色防止の効果は、いず
れか一方のみを含有させただけでは十分に得ることはで
きず、特に、変色の防止にはTiO2が必須である。ま
た、SiO2及びTiO2の含有量がそれぞれ第1発明の
範囲内にあり、且つそれらの合計量が0.1〜0.8
部、特に0.1〜0.7部、更には0.2〜0.6部で
ある場合は、相転移はより十分に抑えられ、変色もより
確実に防止される。
【0014】更に、第1発明の医療用ジルコニア焼結体
は、第3発明のように「0.1〜0.9重量部」の「A
23」を含有することが好ましい。このAl23の含
有量は0.1〜0.7部、特に0.1〜0.5部、更に
は0.1〜0.3部であることが好ましい。Al2
3は、焼結体の原料粉末を調製する際にアルミナ粉末或
いはアルミニウム化合物のゾルとして配合することによ
り含有させることができ、このアルミナ粉末等の配合に
よって焼成温度を低下させることができる。それによっ
て結晶の粒成長が抑制され、平均結晶粒径をより小さく
することができる。この「平均結晶粒径」は、第4発明
のように「0.5μm以下」であることが好ましく、特
に0.45μm以下、更には0.4μm以下であること
がより好ましい。平均結晶粒径がこの範囲であれば、焼
結体の相転移が特に効果的に抑制される。また、相移転
した場合であっても、体積変化による歪みの周縁への影
響が小さく抑えられ、クラック等の発生が抑制される。
【0015】焼結体の表面粗さは、表面粗さ測定器を用
いて測定することができる。研磨表面の表面粗さ(R
a)は0.002〜0.009μm、特に0.003〜
0.005μm、更には0.003〜0.004μmで
あることが好ましい。また、この表面粗さを有する焼結
体を、例えば、温度140℃、圧力3.6気圧、相対湿
度100%の雰囲気に30時間晒した後の表面粗さ(R
a)は0.008〜0.030μm、特に0.009〜
0.015μm、更には0.009〜0.010μmで
あることが好ましい。尚、この高温、高圧、多湿の雰囲
気に晒した後の表面粗さが上記の範囲にある焼結体は、
関節等の摺動部に用いた場合に表面の粗れ等の問題を生
ずることがない。
【0016】また、この焼結体を構成するジルコニア結
晶の正方晶の割合は、特に99%以上、更には実質的に
100%とすることができるが、上記と同様の高圧、高
温、多湿の雰囲気に30時間晒した後の正方晶の割合は
65〜90%、特に70〜87%に保持される。更に、
この焼結体を後述する組成を有する擬似体液に37℃で
40000時間浸漬した後であっても、正方晶の割合は
65〜93%、特に70〜90%に保持される。
【0017】第5発明の医療用ジルコニア焼結体の製造
方法は、平均粒径が0.2〜0.8μmであり、イット
リア含有ジルコニア粉末と、平均粒径がそれぞれ0.8
μm以下であるシリカ粉末及びチタニア粉末とを混合し
た後、成形し、焼成して、第1乃至4発明のうちのいず
れかに記載の医療材料用ジルコニア焼結体を得ることを
特徴とする。
【0018】上記「イットリア含有ジルコニア粉末」に
は不可分の成分であるHfの酸化物からなる成分が含ま
れている。また、イットリア含有ジルコニア粉末の平均
粒径は「0.2〜0.8μm」であり、0.25〜0.
7μmであることが好ましい。このイットリア含有ジル
コニア粉末の平均粒径が0.2μm未満であると、スプ
レー造粒及びプレス成形等、通常の粉末の成形方法によ
って緻密な成形体を得ることが容易ではない。一方、平
均粒径が0.8μmを超える場合は、1550℃以上の
高温で焼成する必要があり、結晶の粒成長が十分に抑え
られず、機械的強度が低下する。また、表面荒れの問題
もある。
【0019】イットリア含有ジルコニア粉末としては、
共沈法により調製されるものが好ましい。この共沈法に
より調製される粉末では、イットリア成分がジルコニア
粉末に均一に分散されており、優れた特性を有する焼結
体を得ることができる。このイットリア含有ジルコニア
粉末は、例えば、純水にZr及びYそれぞれの硝酸塩を
溶解させて得られる水溶液に、アンモニアによりpHを
調整したアルカリ性水溶液を滴下し、両元素を含む沈殿
を生成させ、この沈殿を乾燥させた後、大気中で仮焼
し、湿式粉砕等して、所定の平均粒径とすることにより
調製することができる。
【0020】上記「シリカ粉末」及び上記「チタニア粉
末」の平均粒径は、それぞれ「0.8μm以下」であ
り、0.1〜0.8μm、特に0.2〜0.5μmであ
ることが好ましい。このシリカ粉末及びチタニア粉末の
平均粒径が0.8μmを超える場合は、結晶の相転移が
十分に抑えられなくなり、機械的強度の低下及び表面荒
れ等の問題が生ずる他、焼結体の緻密度が僅かながら低
下する。尚、これら粉末の平均粒径が0.1μm未満で
あると、凝集し易く、このような微細な粉末をジルコニ
ア粉末と均質に混合することが困難となる。
【0021】また、第6発明のように、これらシリカ粉
末及びチタニア粉末の平均粒径は、イットリア含有ジル
コニア粉末の平均粒径よりも小さいことが特に好まし
い。それによって焼結体の密度がやや高くなり、機械的
強度もより向上する。尚、シリカ粉末を構成するSiO
2の結晶形態(アモルファス状、石英等)、及びチタニ
ア粉末を構成するTiO2の結晶形態(ルチル型、鋭錐
石等)は特に限定されず、いずれも使用することができ
る。
【0022】尚、このイットリア含有ジルコニア粉末に
対するシリカ粉末とチタニア粉末の量比は、得られる焼
結体におけるY23、ZrO2、SiO2及びTiO2
含有量が、それぞれ第1発明又は第2発明の範囲内にお
いて所定の割合となるように、それぞれ適量を配合する
ことができる。
【0023】
【作用】本発明においては、所定量のSiO2及びTi
2を含有させることによって、緻密な焼結体とするこ
とができ、密度が高く、機械的強度の大きい焼結体を得
ることができる。このSiO2及びTiO2は焼結体にお
いて主に結晶粒界にガラス相として存在しており、それ
によってクラックが発生した場合に、その成長が抑えら
れ、また、ジルコニア結晶が、特に、生体内の体液によ
る腐食から保護され、更には、ジルコニア結晶の相転移
が大きく抑制されているものと考えられる。それによっ
て生体内においても、長期に渡って機械的強度が低下す
ることなく、表面が粗くなることもなく、安定して存在
することができるものと思われる。
【0024】また、所定量のAl23を含有させること
により、焼成温度を低下させることができ、更に、Si
2及びTiO2に、このAl23を併用することによ
り、極めて大きな相転移抑制の効果を得ることができ
る。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を更に
詳しく説明する。 実験例1〜16 (1)医療材料用ジルコニア焼結体の製造 イットリア粉末を含み、表1に示す平均粒径を有する共
沈法により得られたジルコニア粉末と、表1に示す平均
粒径を有するシリカ粉末及びチタニア粉末を、それぞれ
表1の配合割合となるように、ポットミルによって湿式
混合した。この混合物に粘結剤及び可塑剤を添加し、ス
プレードライヤーにより造粒して原料粉末を得た。
【0026】この原料を800kg/cm2の圧力で金
型プレスした後、1500kg/cm2の圧力でCIP
(冷間静水圧プレス)を施して角柱状の成形体を得た。
これらの成形体を1400〜1600℃の温度で、大気
雰囲気において焼成し、得られた焼結体を研磨すること
により1次研磨された試料片を得た。更に、この試料片
を平均粒径6μmのダイヤモンドパウダーを用いて鏡面
研磨し、2次研磨された試料片を得た。
【0027】
【表1】 この表1における*は第5発明の範囲外であることを表
す。
【0028】(2)医療材料用ジルコニア焼結体の性能
評価 見かけ比重及び曲げ強度の測定 以下に示す方法により、(1)において得られた1次研
磨された試料片の見かけ比重及び3点曲げ強度を測定し
た。 見かけ比重;アルキメデス法 3点曲げ強度;JIS R 1601に準ずる。 結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】加熱、加圧等による表面粗さの変化及び
相転移の評価 (1)において得られた2次研磨された試料片を、温度
140℃、圧力3.6気圧、相対湿度100%の雰囲気
のオートクレーブ内に30時間静置し、この処理の前後
の表面荒さ(Ra)を表面粗さ測定器(小坂研究所製、
形式「サーフコーダSE−30H」)によって測定し
た。また、X線回折により処理前の試料片の結晶相を測
定したところ、正方晶のみであることが確認されたた
め、下記の式(1)に基づいて処理後の試料片における
単斜晶への相転移の割合(以下、単に「単斜晶率」とい
う。)を算出した。結果を表2に併記する。
【0031】
【数1】
【0032】擬似体液への浸漬による相転移の評価 (1)において得られた2次研磨された試料片を、表3
に示す組成の擬似体液に、1000時間毎に擬似体液を
新しいものに交換しながら、40000時間浸漬した。
その後、この試料片のX線回折を行い、上記の式(1)
に基づいて単斜晶率を算出した。結果を表2に併記す
る。
【0033】
【表3】
【0034】γ線の照射による変色の評価 (1)において得られた2次研磨された試料片に、25
kGyの線量のγ線を照射し、これによる試料片の変色
の有無及びその色を目視により観察した。結果を表2に
併記する。
【0035】表2の結果によれば、原料粉末の平均粒径
が大きい実験例3〜5では、焼結体の見かけ比重が小さ
くなっており、特に、ジルコニア粉末の粒径が大きく影
響している。また、曲げ強度も同様に原料粉末の平均粒
径が大きくなると低下していることが分かる。更に、原
料粉末の平均粒径が大きすぎると、高温、高圧等の雰囲
気に晒す前の表面粗さが0.006〜0.008μmと
比較的大きく、この雰囲気に晒した後は0.020μm
以上と表面粗さが更に大きくなっている。このように原
料粉末の平均粒径は焼結体の特性に大きく影響している
ことが分かる。また、焼結体の組成が第1発明の範囲を
外れるような配合割合である実験例11〜16の場合
に、焼結体強度が1240MPa以下と低くなり、更に
実験例11〜15では、高温、高圧等の雰囲気に晒した
後の表面粗さも、特に大きくなることから、これらの焼
結体は、実用上、好ましくない。
【0036】また、単斜晶率は、原料粉末が、焼結体の
組成が第1発明の範囲内となるような配合割合であり、
且つそれらの粉末の平均粒径が第5発明の範囲内である
実験例1、2及び6〜10の場合に、16〜22モル%
と低いことが分かる。特に、適量のAl23を併用した
実験例7、8では、単斜晶率はより低くなっている。一
方、原料粉末の平均粒径が大きい実験例3〜5では、単
斜晶率がやや大きくなっており、原料粉末が、焼結体の
組成が第1発明の範囲外となるような配合割合である実
験例11〜16では、その単斜晶率が非常に大きくなっ
ていることが分かる。尚、γ線を照射した滅菌処理によ
る変色については、TiO2以外はそれほど大きな影響
は及ぼさず、TiO2が過少である実験例13のみが、
濃紫色へと大きく変色している。
【0037】
【発明の効果】第1発明によれば、生体内等においても
長期に渡って相転移が抑制され、安定に存在することが
できる安定化ジルコニアを主成分とし、生体内等におい
て使用した場合であっても、機械的強度が低下せず、関
節等の摺動部に用いた場合の表面の粗化、及び放射線等
のエネルギー線の照射による滅菌処理による変色が抑え
られる医療材料用ジルコニア焼結体を得ることができ
る。また、第5発明によれば、原料粉末の平均粒径を特
定することにより、第1発明の優れた特性を有する医療
材料用ジルコニア焼結体を容易に製造することができ
る。
フロントページの続き (72)発明者 服部 昌晃 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 奥山 雅彦 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 Fターム(参考) 4C081 AB03 AB05 CF121 CF141 CF22 EA04 4G031 AA07 AA08 AA10 AA11 AA12 AA29 AA30 BA18 BA28 CA01 CA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Y23により安定化された正方晶系ジル
    コニアを主成分とする医療材料用ジルコニア焼結体にお
    いて、該医療材料用ジルコニア焼結体を100重量部と
    した場合に、SiO2及びTiO2を、それぞれ0.05
    〜0.5重量部含有することを特徴とする医療材料用ジ
    ルコニア焼結体。
  2. 【請求項2】 ZrO2、HfO2、及びY23の合計含
    有量が99重量部以上である請求項1記載の医療材料用
    ジルコニア焼結体。
  3. 【請求項3】 0.1〜0.9重量部のAl23を含有
    する請求項1又は2記載の医療材料用ジルコニア焼結
    体。
  4. 【請求項4】 平均結晶粒径が0.5μm以下である請
    求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の医療材料用
    ジルコニア焼結体。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のうちのいずれか1項に
    記載の医療材料用ジルコニア焼結体の製造方法であっ
    て、平均粒径が0.2〜0.8μmであるイットリア含
    有ジルコニア粉末と、平均粒径がそれぞれ0.8μm以
    下であるシリカ粉末及びチタニア粉末とを混合した後、
    成形し、焼成することを特徴とする医療材料用ジルコニ
    ア焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記シリカ粉末及び上記チタニア粉末の
    各々の平均粒径が、上記イットリア含有ジルコニア粉末
    の平均粒径より小さい請求項5記載の医療材料用ジルコ
    ニア焼結体の製造方法。
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Cited By (13)

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