JP2000191248A - エレベ―タ制御装置 - Google Patents

エレベ―タ制御装置

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JP2000191248A
JP2000191248A JP10368972A JP36897298A JP2000191248A JP 2000191248 A JP2000191248 A JP 2000191248A JP 10368972 A JP10368972 A JP 10368972A JP 36897298 A JP36897298 A JP 36897298A JP 2000191248 A JP2000191248 A JP 2000191248A
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JP
Japan
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magnetic pole
elevator
pole axis
axis position
permanent magnet
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JP10368972A
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English (en)
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Junji Takeda
順二 竹田
Kazuo Shimane
一夫 嶋根
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Toshiba Corp
Toshiba Elevator and Building Systems Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Elevator Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸直結型の磁極位置センサを装備していなく
ても永久磁石同期電動機の磁極位置を把握でき適切にエ
レベータを運転することのできるエレベータ制御装置を
提供することである。 【解決手段】 エレベータの起動の際に起動開始手段1
1により磁極軸位置推定制御手段10を動作させ、所定
の電気角の直流ステップ電流を永久磁石同期電動機3の
端子に印加し、永久磁石同期電動機3の磁極軸位置を所
定の電気角に移動させる。この状態で、速度制御系6
は、永久磁石同期電動機3の実速度とその速度指令値と
の速度偏差信号に基づいて電流指令値を演算すると共に
実速度に基づいてインバータ7の一次周波数角を演算
し、電流制御系8は、インバータ7の出力電流が速度制
御系6からの一次周波数角の電流指令値になるようにイ
ンバータ7にゲート信号を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、巻上機に連結され
た永久磁石同期電動機をインバータで駆動してエレベー
タを制御するエレベータ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】永久磁石同期電動機PMSM(Permanent Ma
gnet Synchronus Motor)は、誘導電動機に比べ、同じ
出力に対し小型に制作できるので近年エレベータシステ
ムの駆動部に使われつつある。そして、この永久磁石同
期電動機はインバータから供給される可変電圧周波数交
流電源で駆動される。
【0003】永久磁石同期電動機の位置制御あるいは速
度制御には、永久磁石同期電動機の回転数や磁極軸位置
を検出する必要があり、そのために、一般にモータ軸直
結型のパルスジェネレータPGを設けるようにしてい
る。これにより、パルス数を検出して速度を計測すると
共に位置を計測するようにしている。
【0004】一方、近年の機械室レスエレベータの採用
でエレベータシステムに適用されるモータの構造上、モ
ータ軸直結型PGを採用することが難しくなる場合があ
る。その場合には、モータ駆動部にプーリーを介してP
Gを取り付けるようにしている。
【0005】
【課題を解決しようとする課題】ところが、モータ駆動
部にプーリーを介したPGでは、エレベータ走行中に発
生するプーリー部のすべりの影響により、エレベータ制
御装置の内部で演算している一次周波数角度と実際の永
久磁石同期電動機の磁極軸位置(電気角)との間にずれ
が生じる。
【0006】従って、永久磁石同期電動機が静止した状
態では磁極軸位置が全くわからない状況が発生し、この
ずれが生じた状態で永久磁石同期電動機を起動すると、
永久磁石同期電動機が一時的に逆転したり、ガタついた
り、あるいはトルク不足となり脱調してしまう可能性が
ある。
【0007】本発明の目的は、軸直結型の磁極位置セン
サを装備していなくても永久磁石同期電動機の磁極位置
を把握でき適切にエレベータを運転することのできるエ
レベータ制御装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係わる
エレベータ制御装置は、永久磁石同期電動機にインバー
タから可変電圧周波数交流電源を供給し前記永久磁石同
期電動機に連結された巻上機を駆動してエレベータを制
御するエレベータ制御装置において、前記永久磁石同期
電動機の実速度とその速度指令値との速度偏差信号に基
づいて電流指令値を演算すると共に前記実速度に基づい
て前記インバータの一次周波数角を演算する速度制御系
と、前記インバータの出力電流が前記速度制御系からの
一次周波数角の電流指令値になるように前記インバータ
にゲート信号を出力する電流制御系と、前記永久磁石同
期電動機の磁極軸位置が前記インバータの一次周波数角
に一致するように所定の電気角の直流ステップ電流を印
加する始動時磁極軸推定制御を行い推定した磁極軸でエ
レベータの起動を待つ磁極軸位置推定制御手段と、エレ
ベータの起動の際に前記磁極軸位置推定制御手段を動作
させる起動開始手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】請求項1の発明に係わるエレベータ制御装
置では、エレベータの起動の際に起動開始手段により磁
極軸位置推定制御手段を動作させ、所定の電気角の直流
ステップ電流を永久磁石同期電動機の端子に印加し、永
久磁石同期電動機の磁極軸位置を所定の電気角に移動さ
せる。この状態で、速度制御系は、永久磁石同期電動機
の実速度とその速度指令値との速度偏差信号に基づいて
電流指令値を演算すると共に実速度に基づいてインバー
タの一次周波数角を演算し、電流制御系は、インバータ
の出力電流が速度制御系からの一次周波数角の電流指令
値になるようにインバータにゲート信号を出力する。
【0010】請求項2の発明に係わるエレベータ制御装
置は、請求項1の発明において、前記磁極軸位置推定制
御手段は、印加した直流ステップ電流で固定された前記
永久磁石同期電動機の磁極軸位置を、エレベータ起動時
における前記磁極軸位置推定値とすることを特徴とす
る。
【0011】請求項2の発明に係わるエレベータ制御装
置では、請求項1の発明の作用に加え、エレベータ起動
時における磁極軸位置推定値は、磁極軸位置推定制御手
段からの直流ステップ電流で移動し固定されたときの永
久磁石同期電動機の磁極軸位置とする。
【0012】請求項3の発明に係わるエレベータ制御装
置は、請求項2の発明において、前記速度制御系は、前
記インバータの一次周波数角値の初期値として、前記磁
極軸位置推定制御手段で推定された前記磁極軸位置推定
値を用いることを特徴とする。
【0013】請求項3の発明に係わるエレベータ制御装
置では、請求項2の発明の作用に加え、速度制御系は、
磁極軸位置推定制御手段で推定された前記磁極軸位置推
定値を、インバータの一次周波数角値の初期値として用
い制御を行う。
【0014】請求項4の発明に係わるエレベータ制御装
置は、請求項1の発明において、前記磁極軸位置推定制
御手段は、前記直流ステップ電流を印加する一定の電気
角として、前回運転終了時における一次周波数角度値を
用いることを特徴とする。
【0015】請求項4の発明に係わるエレベータ制御装
置では、請求項1の発明の作用に加え、エレベータの起
動の際に、磁極軸位置推定制御手段が印加する直流ステ
ップ電流の一定の電気角は、前回運転終了時における一
次周波数角度値を用いる。
【0016】請求項5の発明に係わるエレベータ制御装
置は、請求項1の発明において、前記磁極軸位置推定制
御手段は、エレベータのかご荷重信号に基づいてかご側
とカウンタウエイト側との不平衡負荷を算出し、その不
平衡負荷分を加味した直流ステップ電流を印加するよう
にしたことを特徴とする。
【0017】請求項5の発明に係わるエレベータ制御装
置では、請求項1の発明の作用に加え、エレベータの起
動の際に、磁極軸位置推定制御手段は、エレベータのか
ご荷重信号に基づいてかご側とカウンタウエイト側との
不平衡負荷を算出し、その不平衡負荷分を加味した直流
ステップ電流を印加し、永久磁石同期電動機の磁極位置
をインバータの一次周波数角に一致させる。
【0018】請求項6の発明に係わるエレベータ制御装
置は、請求項2の発明において、前記磁極軸位置推定制
御手段は、エレベータのかご荷重信号に基づいてかご側
とカウンタウエイト側との不平衡負荷を算出し、その不
平衡負荷分を加味した磁極軸位置推定値を推定すること
を特徴とする。
【0019】請求項6の発明に係わるエレベータ制御装
置では、請求項2の発明の作用に加え、エレベータの起
動の際に、磁極軸位置推定制御手段は、エレベータのか
ご荷重信号に基づいてかご側とカウンタウエイト側との
不平衡負荷を算出し、その不平衡負荷分を加味した磁極
軸位置推定値を推定する。
【0020】請求項7の発明に係わるエレベータ制御装
置は、請求項1の発明において、前記起動開始手段は、
エレベータの運転中にエレベータの異常検出があったと
き、またはエレベータ制御電源の立上げ後の初起動のと
きに、前記磁極軸位置推定制御手段の始動時磁極軸推定
制御機能を起動させることを特徴とする。
【0021】請求項7の発明に係わるエレベータ制御装
置では、請求項1の発明の作用に加え、エレベータの運
転中にエレベータの異常検出があったとき、またはエレ
ベータ制御電源の立上げ後の初起動のときに、磁極軸位
置推定制御手段の始動時磁極軸推定制御機能により永久
磁石同期電動機の磁極軸位置を推定する。
【0022】請求項8の発明に係わるエレベータ制御装
置は、請求項1の発明において、前記起動開始手段は、
前記永久磁石同期電動機の磁極軸位置の変化量が所定値
を超えたときに、前記磁極軸位置推定制御手段の始動時
磁極軸推定制御機能を起動させることを特徴とする。
【0023】請求項8の発明に係わるエレベータ制御装
置では、請求項1の発明の作用に加え、エレベータの運
転中に永久磁石同期電動機の磁極軸位置の変化量が所定
値を超えたときは、磁極軸位置推定制御手段の始動時磁
極軸推定制御機能により永久磁石同期電動機の磁極軸位
置を推定する。
【0024】請求項9の発明に係わるエレベータ制御装
置は、請求項1の発明において、前記磁極軸位置推定制
御手段は、その動作中に前記永久磁石同期電動機の実速
度が所定速度を超えたときは前記直流ステップ電流の印
加を中止し、前記巻上機のブレーキをかけて一旦前記永
久磁石同期電動機を停止させた後に、再度前記直流ステ
ップ電流を印加することを特徴とする。
【0025】請求項9の発明に係わるエレベータ制御装
置では、請求項1の発明において、磁極軸位置推定制御
手段の動作中に、永久磁石同期電動機の実速度が所定速
度を超えたときは、直流ステップ電流の印加を中止し、
巻上機のブレーキをかけて一旦前記永久磁石同期電動機
を停止させた後に、再度直流ステップ電流を印加し、磁
極軸位置推定制御をやり直す。
【0026】請求項10の発明に係わるエレベータ制御
装置は、請求項1の発明において、磁極軸位置推定制御
手段の動作中に、永久磁石同期電動機の実速度が所定速
度を超えたときは、所定の電気角に対して180゜を加
算した電気角の直流ステップ電流を印加する。
【0027】請求項10の発明に係わるエレベータ制御
装置では、請求項1の発明の作用に加え、磁極軸位置推
定制御手段の動作中に永久磁石同期電動機の実速度が所
定速度を超えたときは、所定の電気角に対して180゜
を加算した電気角の直流ステップ電流を印加する。これ
により、電機子巻線に発生している起磁力の極性を反転
させる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。図1は本発明の実施の形態に係わるエレベータ制
御装置の構成図である。
【0029】エレベータのかご1は主ロープでカウンタ
ウエイト2に連結され、プーリーを介して吊されてい
る。プーリーは永久磁石同期電動機3により駆動され、
かご1の昇降が行われる。プーリーにはパルスジェネレ
ータ4(以下PG4という)が取り付けられ、永久磁石
同期電動機3の回転数をパルス信号で検出する。つまり
永久磁石同期電動機3の回転数は、プーリーに設けられ
たPG4を介してパルス信号で検出される。また、かご
1には荷重検出器5が設けられ、かご荷重が検出され
る。
【0030】PG4で検出されたパルス信号および荷重
検出器5で検出されたかご荷重は、エレベータのかご1
の速度を制御する速度制御系6に入力される。速度制御
系6は、永久磁石同期電動機3の実速度とその速度指令
値との速度偏差信号に、かご荷重を加味して、インバー
タ7へゲート信号を出力する電流制御系8への電流指令
値Idc、Iqcを演算する。
【0031】この電流指令値Idc、Iqcは、永久磁
石同期電動機3をベクトル制御する場合の直交回転座標
系におけるd軸電流指令値Idcおよびq軸電流指令値
Iqcである。d軸電流指令値Idcは磁束を発生させ
る磁束電流指令値であり、q軸電流指令値Iqcはトル
クを発生させるトルク電流指令値である。永久磁石同期
電動機3の場合には、永久磁石により磁束は発生してい
るので、通常、d軸電流指令値Idcは零である。ま
た、速度制御系6は、PG4から入力されたパルス信号
により永久磁石同期電動機3の実速度を算出し、その実
速度に基づいてインバータ7の一次周波数角θeを演算
する。
【0032】電流制御系8では、速度制御系6から直交
回転座標系におけるd軸電流指令値Idc、q軸電流指
令値Iqc、および一次周波数角θeを入力し、電流セ
ンサ9を介して入力されるインバータ7の出力電流Iu
f、Iwfが、d軸電流指令値Idc、q軸電流指令値
Iqc、および一次周波数角θeを満たすように、イン
バータ7にゲート信号を出力する。これにより、永久磁
石同期電動機3は速度制御系6からの電流指令値に基づ
き駆動制御される。
【0033】次に、磁極軸位置推定制御手段10は、エ
レベータの起動の際に起動開始手段11からの動作指令
により起動され、エレベータの起動の際に永久磁石同期
電動機3の磁極軸位置がインバータ7の一次周波数角に
一致するように、所定の電気角の直流ステップ電流を印
加し、始動時の磁極軸位置を制御してその制御した位置
を磁極軸位置推定値とするものである。すなわち、磁極
軸位置推定制御手段10は、エレベータの起動の際に、
一次周波数角値θeを一定の電気角θestとし、直交
回転座標系のd軸電流指令値Idcを一定の電流指令値
Idcestとした直流ステップ電流を、永久磁石同期
電動機3の電機子巻線に印加する。
【0034】これにより、永久磁石同期電動機3の電機
子巻線に発生する起磁力と磁極軸との間に発生する引張
力により、永久磁石同期電動機3の回転子磁極軸の位置
θrは一次周波数角θeの方向に拘束し、これを磁極軸
位置推定値とする。従って、回転子磁極軸の位置θrと
一次周波数角θeとは、ほぼ一致することから、エレベ
ータの起動時に永久磁石同期電動機3のガタつきを防止
すると共にトルク不足が解消できる。
【0035】ここで、磁極軸位置推定制御手段10で行
う始動時磁極軸推定制御の原理を説明する。図2は、永
久磁石同期電動機3の磁極軸位置θrと一次周波数角θ
eとの関係の説明図である。図2において、インバータ
出力電圧の一次周波数角(電気角)θeおよび永久磁石
同期電動機3の磁極軸位置θrは、直交静止座標系での
x軸に対しての電気角である。そして、直交回転座標系
のd軸は、一次周波数角(電気角)θeの位置であり、
図示は省略するが、このd軸に直角にq軸が位置するこ
とになる。通常、永久磁石同期電動機3の磁極軸位置θ
rと一次周波数角(電気角)θeとは等しい状態(θr
=θe)で運転される。
【0036】いま、エレベータの停止状態において、一
定の電気角θe(θe=θest)の直流ステップ電流
を印加したとする。これにより永久磁石同期電動機3の
電機子巻線に発生する起磁力は、d軸方向となる。図2
では、永久磁石同期電動機3の磁極軸位置θrと一次周
波数角(電気角)θe(θe=θest)とがずれた状
態を示している。
【0037】ここで、永久磁石同期電動機3の特性、印
加する電流ベクトルの大きさにもよるが、磁極軸位置θ
rと一次周波数角(電気角)θeとの関係が、(−12
0゜<θr−θe<120゜)の範囲内である場合に
は、図2の矢印Aで示すように起磁力と磁極軸との間に
引張力が発生する。この引張力により磁極軸位置θrは
電流ベクトル方向θe(θe=θest)とほぼ一致す
ることとなる。
【0038】このように、エレベータの起動前に、永久
磁石同期電動機3の静止状態(エレベータ停止時)から
一定の電気角θe(θe=θest)の直流ステップ電
流を印加する。これにより、磁極軸位置θrを一定の電
気角θe(θe=θest)に拘束し、その電気角θe
(θe=θest)を磁極軸位置推定値とする。
【0039】図3は、図1に示した電流制御系8のブロ
ック構成図である。インバータ7の出力電流Iuf、I
wfは電流センサ9で検出され、電流制御系8の3相/
2相変換器12に入力される。この3相/2相変換器1
2は電流センサ9からの静止座標系での3相で示される
電流信号Iuf、Iwfを直交静止座標系の2相で示さ
れる電流信号Ix、Iyに変換する。
【0040】3相/2相変換器12で変換された2相の
電流信号Ix、Iyは、dq変換器13に入力され、直
交回転座標系の電流信号Idf、Iqfに変換される。
すなわち、dq変換器13では、速度制御系6から出力
される一次周波数角(電気角)θeに基づき、直交静止
座標系の電流信号Ix、Iyを直交回転座標系の電流信
号Idf、Iqfに変換し、それぞれ減算器14a、1
4bに出力する。
【0041】一方、速度制御系6からの直交回転座標系
での電流指令値Idc、Iqcは、減算器14a、14
bに入力され、減算器14aによりd軸電流信号Idf
とd軸電流指令値Idcとの電流偏差信号が演算され、
同様に、減算器14bによりq軸電流信号Iqfとq軸
電流指令値Iqcとの電流偏差信号が演算される。これ
ら電流偏差信号は、それぞれPIコントローラ15a、
15bに入力され、PI演算(比例積分演算)されて、
直交回転座標系におけるd軸電圧指令値Vdcおよびq
軸電圧指令値Vqcを発生する。
【0042】このPIコントローラ15a、15bから
のd軸電圧指令値Vdcおよびq軸電圧指令値Vqc
は、逆dq変換器16に入力される。逆dq変換器16
では、d軸電圧指令値Vdcおよびq軸電圧指令値Vq
cを、直交静止座標系の電圧指令値Vx、Vyに変換す
る。すなわち、速度制御系6からの一次周波数角(電気
角)θeに基づき、直交回転座標系の電圧指令値Vd
c、Vqcを直交静止座標系の電圧指令値Vx、Vyに
変換し、2相/3相変換器17に出力する。2相/3相
変換器17は、2相で示される直交静止座標系の電圧指
令値Vx、Vyを3相で示される直交静止座標系の電圧
指令値Vu、Vv、Vwに変換する。そして、PWM回
路18では、電圧指令信号Vu、Vv、Vwをパルス幅
変調によりインバータ7へのゲート信号を作成し出力す
る。
【0043】図4は、図1に示した速度制御系6を示す
ブロック構成図である。永久磁石同期電動機3に対して
プーリーを介して回転し永久磁石同期電動機3の回転数
を検出するPG4からのパルス信号は、速度制御系6の
モータ実速度演算器19に入力される。モータ実速度演
算器19では、パルス信号に基づいてモータ実速度Fr
を求める演算を行い、そのモータ実速度Frを減算器1
4cに出力する。
【0044】減算器14cには、速度指令発生器20か
らの速度指令値Frrefも入力されており、この減算器1
4cにおいて速度指令値Frrefとモータ実速度Frとの
速度偏差信号が演算され、PIコントローラ15cでP
I演算されてトルク指令値Tmが求められる。そして、
このトルク指令値Tmは加算器21に入力される。
【0045】一方、かご1に取付けられた荷重検出器5
からのかご荷重は、速度制御系6の信号変換器22でか
ご荷重に対応したアナログ電圧値に変換され、さらにA
/D変換器23にて荷重ディジタル値WtADに変換さ
れる。A/D変換器23で得られた荷重ディジタル値W
tADは荷重制御器24に入力され、荷重ディジタル値
WtADに基づいてかご1とカウンタウエイト2との不
平衡荷重トルクWtTqを演算する。この不平衡荷重ト
ルクWtTqは加算器21に入力され、PIコントロー
ラ15cからのトルク指令値Tmと加算され、q軸電流
指令値Iqcとして電流制御系8に出力される。
【0046】また、d軸電流指令値Idcは、d軸電流
指令発生器25から出力される。通常のエレベータ運転
中はd軸電流指令値Idcは零であるが、エレベータの
起動の際には、磁極軸位置推定制御手段10からの直流
ステップ電流の印加により一定の電流値Idcestが
設定される。
【0047】一次周波数角演算器26は、通常のエレベ
ータ運転中には、モータ実速度演算器19で得られたモ
ータ速度Frに基づき一次周波数角(電気角)θeの演
算を行う。エレベータの起動の際には、磁極軸位置推定
制御手段10からの直流ステップ電流の印加により一定
の電気角θestが設定される。
【0048】すなわち、エレベータの起動の際には、起
動開始手段11により磁極軸位置推定制御手段10が起
動され、エレベータの起動に先立ち、一次周波数角値θ
eを一定の電気角θest、d軸電流指令値Idcを一
定の電流指令値Idcestとする直流ステップ電流
を、永久磁石同期電動機3の電機子巻線に印加する。
【0049】これにより、永久磁石同期電動機3の電機
子巻線に発生する起磁力と磁極軸間に発生する引張力と
により、永久磁石同期電動機3の回転子磁極軸は、一定
の電気角の方向に拘束される。この場合の電気角をエレ
ベータの停止時の磁極軸位置推定値とし、また、エレベ
ータ起動時におけるインバータの一次周波数角値の初期
値とする。
【0050】図5は、本発明の実施の形態における磁極
軸位置推定制御手段10の処理内容を示すフローチャー
トである。まず、起動開始手段11がエレベータ運転シ
ーケンスを起動し、インバータ起動指令が出力されたか
どうか判断する(S1)。インバータ起動開始指令が出
力されているときは、永久磁石同期電動機3に連結され
た巻上機のブレーキコイル間に電圧を印加しブレーキを
開放させる処理を行う(S2)。そして、ブレーキ間電
圧値を検出しブレーキが実際に開放されたか否かを判断
する(S3)。ブレーキが開放されていないときは、ス
テップS2に戻りブレーキが開放されるまで待つ。
【0051】ブレーキが開放されると始動時磁極軸推定
制御を行う(S4)。すなわち、所定の直流ステップ電
流を印加する。これにより、速度制御系6のd軸電流指
令発生器25に対しd軸電流指令値IdcとしてIdc
estを設定し、一次角周波数演算器26に対し一次周
波数角θeとしてθestが設定される。このθest
としては、前回運転終了時の一次周波数角度値θeを用
いる。
【0052】次に、永久磁石同期電動機3の回転子磁極
軸が拘束されたか否かを判定する(S5)。すなわち、
ステップS4の処理にて出力された直流ステップ電流に
て、永久磁石同期電動機3の電機子巻線に発生した起磁
力と磁極軸との間に発生する引張力により、永久磁石同
期電動機3の回転子磁極軸が拘束される時間をカウント
して、回転子磁極軸が拘束されたか否かを判定する。
【0053】拘束されていない場合には、ステップS4
に戻り磁極軸が拘束されるまで待つ。この拘束に要する
拘束時間は永久磁石同期電動機のモータ特性に依存する
ため、経験値によりその都度設定を行う。
【0054】磁極軸が拘束されたときは、磁極軸位置は
印加した直流ステップ電流の一定の電気角θestに拘
束され、磁極軸位置θrはθestとほぼ一致し、エレ
ベータ始動時におけるモータ回転子磁極軸位置が得られ
ている。この状態で、ブレーキを釈放する操作(巻上機
のブレーキコイル間に印加されていた電圧を遮断する操
作)を行い(S6)、ブレーキが釈放されたか否かを判
断する(S7)。すなわち、ブレーキがかけられたか否
かを判定し、ブレーキがかけられていないときはステッ
プS6に戻り、ブレーキがかけられるまで待つ。
【0055】ブレーキがかけられると、速度制御系6の
d軸電流指令値発生器25に出力したd軸電流指令値I
dcestのクリアを行い、エレベータの始動に備える
(S8)。
【0056】なお、ステップS1の判定で、インバータ
起動指令が出力されていないときは、ブレーキを釈放す
る操作を行い(S9)、速度制御系6のd軸電流指令値
発生器25のd軸電流指令値Idcおよびq軸電流指令
値Iqcのクリアを行い、一次角周波数演算器26に対
し一次周波数角θeとしてθestを設定し処理を終了
する(S10)。
【0057】このように、永久磁石同期電動機3を駆動
元とするエレベータシステムにおいて、モータ軸直結型
の磁極軸位置センサを装備していなくても、永久磁石同
期電動機3の磁極軸位置を推定することが可能となり、
エレベータ起動時の永久磁石同期電動機3の逆転やガタ
つきがなく、また、脱調によるトルク不足等のない範囲
で、インバータ起動後もスムーズにかご1を始動するこ
とができる。
【0058】図6は、本発明の実施の形態における速度
制御系6の他の一例を示すブロック構成図である。図4
に示したものに対し、荷重制御器24はA/D変換器2
3からの荷重ディジタル値WtADのオフセットやゲイ
ン調整を行い荷重データWtdataを算出し、荷重制
御器24で算出された荷重データWtdataを磁極軸
位置推定制御手段10に入力するようにしている。そし
て、磁極軸位置推定制御手段10は、エレベータの荷重
データWtdataに基づいてかご1側とカウンタウエ
イト2側との不平衡負荷を算出し、その不平衡負荷分を
加味した直流ステップ電流を印加するようにしている。
【0059】これは、磁極軸を拘束するための直流ステ
ップ電流は一定値であることから、その直流ステップ電
流値は、かご1側とカウンタウエイト2側との不平衡負
荷が大きな場合を想定して定めることになる。そうした
場合には、不平衡負荷分がほとんどない付近では必要以
上の直流ステップ電流を印加することとなり、騒音や機
械振動が発生してしまう。そこで、不平衡負荷分を考慮
し、それに対応したd軸電流指令値Idcestを演算
し磁極軸推定制御時に用いることとする。
【0060】図7は、荷重制御器24がかご1の積載に
応じて出力する荷重データWtdataを示している。
図7中のNLはかご1の積載が0kgのときを示してお
り、FLはかご1の定格積載を示している。そして、B
LはNLとFLとの中間値を示しており、かご1とカウ
ンタウエイト2とがほぼ釣り合い不平衡負荷分がほぼ0
となるかご1の積載を示している。
【0061】また、図8は、磁極軸位置推定制御手段1
0により不平衡負荷に応じてd軸電流指令発生器25に
設定する直流ステップ電流の値Idcestを示してい
る。この直流ステップ電流値Idcestは、下記の
(1)式のにより求められる。
【0062】 Idcest=Idc_Bias+K1×|Wtdata| …(1) ただし、K1はスケールゲインである。
【0063】これにより、磁極軸推定制御時に、かご1
の積載状況を考慮した適切な直流ステップ電流値Idc
estを印加できることになるので、永久磁石同期電動
機3の磁極位置を一次周波数角に一致させる際に、騒音
や機械振動が発生することを防止できる。
【0064】また、かご1側とカウンタウエイト2側と
の不平衡負荷分を、一次周波数角演算器26に設定する
一定の電気角θestに加味するようにしても良い。す
なわち、磁極軸位置推定制御手段10は、エレベータの
かご荷重信号に基づいてかご側とカウンタウエイト側と
の不平衡負荷を算出し、その不平衡負荷分を加味した磁
極軸位置推定値を算出する。
【0065】かご1側とカウンタウエイト2側との不平
衡負荷分を加味せずに求めた磁極軸推定値θestを、
インバータ7の一次周波数角度値の初期値とした場合に
は、永久磁石同期電動機3の回転子に不平衡負荷分がか
かった状態にて磁極軸を拘束することになる。その場合
には、磁極軸位置θrはθestから不平衡負荷トルク
分の内部位相差角θwtを持った状態で拘束されること
となる。
【0066】図9は、このときの不平衡負荷トルクTw
t(縦軸)と内部位相差角θwt(横軸)を示す特性図
である。不平衡負荷がある状態でインバータ7の一次周
波数角の初期値をθestとしてしまうと、内部位相差
角θwtの影響によりスムーズにかご1を始動すること
が困難となる。
【0067】そこで、始動時の磁極軸推定制御の際に
は、下記(2)式に示すように、荷重データWtdat
aに対応する位置補正データθwtcmpを演算し、下
記(3)式に示すように磁極軸位置推定値θestに加
算を行う。
【0068】 θwtcmp=K2×Wtdata …(2) θestcmp=θest+θwtcmp …(3) ただし、K2はスケールゲインである。
【0069】図10は、このときのかご1の積載(縦
軸)と補正後の磁極軸位置θestcmpとの関係を示
している。つまり、補正後の電気角θestcmpは、
かご1の積載が0kg〜定格積載量までの間で変化す
る。
【0070】このように、インバータ7の一次周波数角
度値の初期値は、補正後の電気角θestcmpを用い
るものとする。これにより、スムーズにかご1を始動す
ることが可能となる。
【0071】次に、図11は本発明の実施の形態におけ
る起動開始手段11の演算処理内容の一例を示すフロー
チャートである。すなわち、起動開始手段11はエレベ
ータの起動前だけでなく、エレベータの運転中において
も、エレベータの異常検出があったとき、またはエレベ
ータ制御電源の立上げ後の初起動のときに、磁極軸位置
推定制御手段10の始動時磁極軸推定制御機能を起動さ
せる場合の起動開始手段11の演算処理内容を示すフロ
ーチャートである。
【0072】まず、インバータ起動指令が出力されてい
るかどうか判断する(S1)。インバータ起動指令が出
力されている場合には、エレベータの制御電源確立後の
初起動であるか否かを判定する(S2)。このステップ
S2の処理は、エレベータの制御電源確立時にのみ実行
されるイニシャルルーチンの指標にて判断が行われる。
エレベータの制御電源の初起動であるときは、図5に示
したステップS4の始動時磁極軸推定制御の処理を行う
(S3)。
【0073】一方、ステップS2の判定でエレベータの
制御電源の初起動であると判定されたときは、エレベー
タの保護動作が作動した後の初起動であるか否かが判定
される(S4)。すなわち、エレベータの異常検出があ
り、その異常に対してエレベータ保護動作シーケンスが
応答したときの保護動作モード時に出力される指標が成
立しているか否かを判定する。エレベータの保護動作が
作動した後の初起動であるときは、始動時磁極軸推定制
御の処理を行う(S3)。
【0074】ステップS4でエレベータの制御電源の初
起動でないと判定されたとき、またはステップS3で始
動時磁極軸推定制御の処理が行われたときは、通常の運
転モードでエレベータを運転する(S5)。これによ
り、エレベータの運転状況に応じて推定制御を行うこと
により快適なサービスを乗客に提供できる。
【0075】図12は本発明の実施の形態における起動
開始手段11の演算処理内容の他の一例を示すフローチ
ャートである。これは、エレベータの運転中において、
永久磁石同期電動機3の磁極軸位置の変化量が所定値を
超えたときに、磁極軸位置推定制御手段10の始動時磁
極軸推定制御機能を起動させる場合の起動開始手段11
の演算処理内容を示すフローチャートである。
【0076】図12において、インバータ起動指令が出
力されているかどうか判断する(S1)。インバータ起
動指令が出力されている場合には、モータ実速度演算器
19から出力されるモータ実速度Frに基づいて一次周
波数角演算器26で演算された磁極軸位置θrを最新の
磁極軸位置θr_newとして読み込む(S2)。そし
て、最新の磁極軸位置θr_newと1サンプル前の磁
極軸位置θr_oldとの最新の変化量θchk_ne
wを演算する(S3)。その後に、読み込んだ最新の磁
極軸位置θr_newを1サンプル前の磁極軸位置θr
_oldとする(S4)。
【0077】次に、ステップS3で求めた最新の変化量
θchk_newと1サンプル前の変化量θchk_o
ldとを加算し、磁極軸位置θrの変化量の積算値θc
hkを求める(S5)。その後に、積算した変化量積算
値θchkを1サンプル前の変化量積算値θchk_o
ldとする(S6)。
【0078】そして、ステップS5で求めた変化量積算
値θchkが所定値|θchk_LMT|を超えている
か否かを判定する(S7)。この所定値|θchk_L
MT|は、エレベータ停止時における磁極軸位置θrの
積算変化量の許可限界値を定めた値である。
【0079】ステップS7での判定で、変化量積算値θ
chkが所定値|θchk_LMT|を超えているとき
は、磁極軸位置の推定制御を行うべく、インバータ起動
指令が出力されているかどうか判断し(S8)、インバ
ータ起動指令が出力されている場合には、始動時磁極軸
推定制御を行う(S9)。そして、その後に通常運転に
入る(S10)。
【0080】これにより、通常運転モードにおいて、エ
レベータ停止時にノイズ等の影響でPG4から出力され
るパルス信号が間違っている状況にも対応できる。すな
わち、常時、PG4からのパルスカウント値を監視する
ことにより、エレベータの通常サービス時のかご1が停
止している状態において、パルス信号の変化量の異常
で、始動時磁極軸推定制御に移行できる。
【0081】図13は、磁極軸位置推定制御手段10の
始動時磁極軸推定制御により磁極軸が一次周波数角に固
定できなかった場合の演算処理内容の一例を示すフロー
チャートである。図5に示すステップS5の処理で、所
定の時間が経過しても磁極軸が一次周波数角に固定でき
なかった場合には、永久磁石同期電動機3の回転を阻止
し、再度、始動時磁極軸推定制御をやり直すようにした
ものである。
【0082】すなわち、磁極軸位置推定制御手段10の
始動時磁極軸推定制御中に、磁極軸が一次周波数角に固
定できず、永久磁石同期電動機3の実速度が所定速度を
超えたときは、直流ステップ電流の印加を中止し、巻上
機のブレーキをかけて一旦永久磁石同期電動機3を停止
させた後に、再度直流ステップ電流を印加する。
【0083】図13において、磁極軸位置推定制御手段
10のモードが始動時磁極軸推定制御モードであるか否
かを判定し(S1)、始動時磁極軸推定制御モードであ
る場合には、永久磁石同期電動機3の実速度Frが所定
速度SDRMを超えたか否かを監視する(S2)。
【0084】永久磁石同期電動機3の実速度Frが所定
速度SDRMを超えた場合には、電流制御系8に出力し
ていたd軸電流指令値Idcのデータクリアを行い、永
久磁石同期電動機3の電機子巻線に印加していた電流を
打ち切る(S3)。そして、巻上機のブレーキを釈放し
(S4)、巻上機のブレーキが実際に釈放されたか否か
を判定し(S5)、巻上機のブレーキが実際にかけられ
るまでステップS3、S4の処理を継続する。これによ
り、永久磁石同期電動機3の回転子磁極軸を拘束させ
る。そして、巻上機のブレーキが釈放され永久磁石同期
電動機3の回転子磁極軸が拘束されたことことを確認
後、再度、磁極磁極軸推定制御を行う(S6)。
【0085】これにより、永久磁石同期電動機3の電機
子巻線に発生する起磁力と磁極軸との間に発生する引張
力が電流ベクトル方向と磁極軸方向の関係により弱くな
ってしまうような状況にも対応できる。例えば、永久磁
石同期電動機3の回転子磁極軸にかかるかご1側とカウ
ンタウエイト2側の不平衡負荷の影響で、回転子磁極軸
位置が電流ベクトル方向に拘束することができかったと
きは、永久磁石同期電動機3の実速度Frが所定速度S
DRMより大きくなるので、一旦、始動時磁極推定制御
を中断し、再度、推定制御を行う。
【0086】従って、回転子磁極軸を電流ベクトル方向
へ拘束できなかった場合においても、かご1が発振して
しまうことを防止でき、エレベータ始動時においても不
快な振動を起こさず、快適なサービスを乗客に提供でき
る。
【0087】図14は、磁極軸位置推定制御手段10の
始動時磁極軸推定制御により磁極軸が一次周波数角に固
定できなかった場合の演算処理内容の他の一例を示すフ
ローチャートである。図5に示すステップS5の処理
で、所定の時間が経過しても磁極軸が一次周波数角に固
定できなかった場合には、印加している直流ステップ電
流の方向を反転させ起磁力の極性を反転させるようにし
たものである。
【0088】すなわち、磁極軸位置推定制御手段10の
始動時磁極軸推定制御中に、磁極軸が一次周波数角に固
定できず、永久磁石同期電動機3の実速度が所定速度を
超えたときは、直流ステップ電流の所定の電気角に対し
て180゜を加算した電気角の直流ステップ電流を印加
する。
【0089】図14において、磁極軸位置推定制御手段
10のモードが始動時磁極軸推定制御モードであるか否
かを判定し(S1)、始動時磁極軸推定制御モードであ
る場合には、永久磁石同期電動機3の実速度Frが所定
速度SDRMを超えたか否かを監視する(S2)。永久
磁石同期電動機3の実速度Frが所定速度SDRMを超
えた場合には、電流制御系8に出力していた直流ステッ
プ電流の電流ベクトル方向を反転させる(S3)。つま
り、今まで出力していた一次周波数角θestに180
゜を加算する。
【0090】これにより、永久磁石同期電動機3の電機
子巻線に発生する起磁力と磁極軸との間に発生する力が
想定された引張力ではなく反発力である場合にも対応で
きる。つまり、印加した直流ステップ電流によりかご1
を加速してしまい、所定速度SDRFを超えてしまう状
況が発生した場合であっても、印加する直流ステップ電
流の電流ベクトル方向を逆転させて電機子巻線に発生す
る起磁力の極性を反転させるので、起磁力と磁極軸との
間に発生していた反発力を強力なブレーキ力に変更する
ことができる。従って、かご1の加速を抑制することが
可能となる。
【0091】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明によれば、
エレベータの起動前に、エレベータを駆動する永久磁石
同期電動機の磁極軸位置をインバータの一次周波数角に
一致させるので、脱調やガタつきのないエレベータの始
動が可能となる。また、モータ直結型の位置センサに限
定する必要がなくなるため、巻上磯の設置環境が限定さ
れた場合においても、自由度の高い巻上機を選定するこ
とが可能となる。
【0092】また、エレベータの運転中においても、計
測した磁極軸位置と実際の磁極軸位置とのずれを補正で
きるので、インバータ起動後もスムーズにかごを始動す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係わるエレベー
タ制御装置のブロック構成図である。
【図2】図2は、永久磁石同期電動機の磁極軸位置と一
次周波数角との関係の説明図である。
【図3】図3は、図1に示した電流制御系のブロック構
成図である。
【図4】図4は、図1に示した速度制御系のブロック構
成図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態における磁極軸位
置推定制御手段の処理内容を示すフローチャートであ
る。
【図6】図6は、本発明の実施の形態における速度制御
系の他の一例を示すブロック構成図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態における荷重制御
器がかごの積載に応じて出力する荷重データWtdat
aの説明図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態における磁極軸位
置推定制御手段により不平衡負荷に応じて変化する直流
ステップ電流値Idcestの説明図である。
【図9】図9は、かごとカウンタウエイトとが不平衡で
あるときの不平衡負荷トルクTwtと内部位相差角θw
tとの関係を示す特性図である。
【図10】図10は、かごとカウンタウエイトとが不平
衡であるときのかごの積載と補正後の磁極軸位置θes
tcmpとの関係の説明図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態における起動
開始手段の演算処理内容の一例を示すフローチャートで
ある。
【図12】図12は、本発明の実施の形態における起動
開始手段の演算処理内容の他の一例を示すフローチャー
トである。
【図13】図13は、本発明の実施の形態における磁極
軸位置推定制御手段の始動時磁極軸推定制御により磁極
軸が一次周波数角に固定できなかった場合の磁極軸位置
推定制御手段の演算処理内容の一例を示すフローチャー
トである。
【図14】図14は、本発明の実施の形態における磁極
軸位置推定制御手段の始動時磁極軸推定制御により磁極
軸が一次周波数角に固定できなかった場合の磁極軸位置
推定制御手段の演算処理内容の他の一例を示すフローチ
ャートである。
【符号の説明】
1 かご 2 カウンタウエイト 3 永久磁石同期電動機 4 パルスジェネレータ 5 荷重検出器 6 速度制御系 7 インバータ 8 電流制御系 9 電流センサ 10 磁極軸位置推定制御手段 11 起動開始手段 12 3相/2相変換器 13 dq変換器 14 減算器 15 PIコントローラ 16 逆dq変換器 17 2相/3相変換器 18 PWM回路 19 モータ実速度演算器 20 速度基準発生器 21 加算器 22 信号変換器 23 A/D変換器 24 荷重制御器 25 d軸電流指令値発生器 26 一次周波数角演算器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 嶋根 一夫 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 Fターム(参考) 3F002 CA04 CA06 DA02 DA08 EA05 EA08 5H576 AA07 BB04 BB10 DD02 DD07 EE01 EE11 EE30 FF01 GG02 GG04 HB01 JJ03 JJ04 JJ12 JJ16 JJ24 LL07 LL22 LL41 LL52

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 永久磁石同期電動機にインバータから可
    変電圧周波数交流電源を供給し前記永久磁石同期電動機
    に連結された巻上機を駆動してエレベータを制御するエ
    レベータ制御装置において、前記永久磁石同期電動機の
    実速度とその速度指令値との速度偏差信号に基づいて電
    流指令値を演算すると共に前記実速度に基づいて前記イ
    ンバータの一次周波数角を演算する速度制御系と、前記
    インバータの出力電流が前記速度制御系からの一次周波
    数角の電流指令値になるように前記インバータにゲート
    信号を出力する電流制御系と、前記永久磁石同期電動機
    の磁極軸位置が前記インバータの一次周波数角に一致す
    るように所定の電気角の直流ステップ電流を印加する始
    動時磁極軸推定制御を行い推定した磁極軸でエレベータ
    の起動を待つ磁極軸位置推定制御手段と、エレベータの
    起動の際に前記磁極軸位置推定制御手段を動作させる起
    動開始手段とを備えたことを特徴とするエレベータ制御
    装置。
  2. 【請求項2】 前記磁極軸位置推定制御手段は、印加し
    た直流ステップ電流で固定された前記永久磁石同期電動
    機の磁極軸位置を、エレベータ起動時における前記磁極
    軸位置推定値とすることを特徴とする請求項1に記載の
    エレベータ制御装置。
  3. 【請求項3】 前記速度制御系は、前記インバータの一
    次周波数角値の初期値として、前記磁極軸位置推定制御
    手段で推定された前記磁極軸位置推定値を用いることを
    特徴とする請求項2に記載のエレベータ制御装置。
  4. 【請求項4】 前記磁極軸位置推定制御手段は、前記直
    流ステップ電流を印加する一定の電気角として、前回運
    転終了時における一次周波数角度値を用いることを特徴
    とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
  5. 【請求項5】 前記磁極軸位置推定制御手段は、エレベ
    ータのかご荷重信号に基づいてかご側とカウンタウエイ
    ト側との不平衡負荷を算出し、その不平衡負荷分を加味
    した直流ステップ電流を印加するようにしたことを特徴
    とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
  6. 【請求項6】 前記磁極軸位置推定制御手段は、エレベ
    ータのかご荷重信号に基づいてかご側とカウンタウエイ
    ト側との不平衡負荷を算出し、その不平衡負荷分を加味
    した磁極軸位置推定値を推定することを特徴とする請求
    項2に記載のエレベータ制御装置。
  7. 【請求項7】 前記起動開始手段は、エレベータの運転
    中にエレベータの異常検出があったとき、またはエレベ
    ータ制御電源の立上げ後の初起動のときに、前記磁極軸
    位置推定制御手段の始動時磁極軸推定制御機能を起動さ
    せることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御
    装置。
  8. 【請求項8】 前記起動開始手段は、前記永久磁石同期
    電動機の磁極軸位置の変化量が所定値を超えたときに、
    前記磁極軸位置推定制御手段の始動時磁極軸推定制御機
    能を起動させることを特徴とする請求項1に記載のエレ
    ベータ制御装置。
  9. 【請求項9】 前記磁極軸位置推定制御手段は、その動
    作中に前記永久磁石同期電動機の実速度が所定速度を超
    えたときは前記直流ステップ電流の印加を中止し、前記
    巻上機のブレーキをかけて一旦前記永久磁石同期電動機
    を停止させた後に、再度前記直流ステップ電流を印加す
    ることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装
    置。
  10. 【請求項10】 前記磁極軸位置推定制御手段は、その
    動作中に前記永久磁石同期電動機の実速度が所定速度を
    超えたときは、所定の電気角に対して180゜を加算し
    た電気角の直流ステップ電流を印加することを特徴とす
    る請求項1に記載のエレベータ制御装置。
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