JP2000185575A - 車両用の覚醒度推定装置および覚醒度推定方法 - Google Patents
車両用の覚醒度推定装置および覚醒度推定方法Info
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Abstract
ライバの覚醒の程度を比較的正確に判定すること 【解決手段】車両の幅方向における変位量を連続して検
出し、変位量を周波数変換することにより、各周波数成
分パワーを求める。そして、基準周波数を基準に周波数
領域を低周波領域と高周波領域とに分ける。低周波領域
における周波数成分パワーの第1の積分値A1を求める
と共に、高周波領域における周波数成分パワーの第2の
積分値A2を求める。第1の積分値A1及び第2の積分値
A2を用いて評価値を算出し、算出された評価値に基づ
いて、ドライバの覚醒の程度を判断する。
Description
定装置および覚醒度推定方法に係り、特に車両の幅方向
の変位を用いてドライバの覚醒度を推定する技術に関す
る。
の発生を防止するための技術の開発は、安全性の観点か
ら重要な研究課題の一つである。そのため、最近、覚醒
度の低下を検出するための手法や警報技術に関する研究
が盛んに行われている。ドライバの覚醒度が低下し居眠
り状態になると、特に高速走行時に重大な事故を引き起
しかねない。また、居眠り状態までは至らないぼんやり
した状態であっても、走行状況の急激な変化に素早く反
応できないため、事故を引き起こす可能性がある。
動作量の低周波成分に基づき居眠り運転を検出する技術
が開示されている。すなわち、繰舵角や横変位等の車両
動作量を継続的にモニタリングし、この動作量の周波数
スペクトルにおける低周波成分を抽出する。平常運転時
の動作量の周波数スペクトルにおける低周波数成分をサ
ンプルとして記憶しておき、走行開始から所定時間経過
後の低周波数成分をこのサンプルと比較する。そして、
判定対象とサンプルとの差が所定値以上である場合、居
眠り運転と判定する。
における低周波数成分を予め記憶しておき、これを判断
基準として判定対象である低周波数成分と比較してい
る。しかしながら、判定時の走行環境(天候、路面状
況、時間帯、或いは混雑度等)または車速が、サンプル
を求めた時(平常運転時)の走行環境等と変わってしま
っている場合、判定誤差が大きくなってしまう。すなわ
ち、判定前に求めたサンプルを基準に判定を行う従来の
技術では、走行環境や車速に大きな変化が生じると、正
確な判定ができなくなってしまうといった問題がある。
問題点に鑑み、本発明の目的は、走行環境や車速が変化
した場合であっても、ドライバの覚醒の程度を比較的正
確に判定することである。
めに、本発明の第1の形態は、車両の動作量を連続して
検出する検出手段と、動作量を周波数変換することによ
り、各周波数成分パワーを求めるパワー算出手段と、基
準周波数を基準に周波数領域を低周波領域と高周波領域
とに分けて、低周波領域における周波数成分パワーの第
1の積分値を求め、高周波領域における周波数成分パワ
ーの第2の積分値を求め、かつ、第1の積分値および第
2の積分値を用いて評価値を算出する評価値算出手段
と、算出された評価値に基づいて、ドライバの覚醒度を
判断する判断手段とを有する車両用の覚醒度推定装置を
提供する。
た周波数成分パワーであってもよい。この平準化された
周波数成分パワーは、周波数成分パワーに各周波数のべ
き数nを乗した値を、周波数成分パワーに掛けた値であ
ってもよく、べき数nは、2.0以上で3.0以下の値である
ことが好ましい。
ける基準線の第3の積分値を求め、高周波領域における
基準線の第4の積分値を求め、第1の積分値および第3
の積分値の差と、第2の積分値および第4の積分値との
差から評価値を算出してもよい。この場合、基準線は、
周波数成分パワーの特性に基づく変化を打ち消すように
設定されていることが好ましい。
続して検出する検出手段と、動作量を周波数変換するこ
とにより、各周波数成分パワーを求めるパワー算出手段
と、基準周波数以下の低周波領域において、周波数成分
パワーがしきい値以上になった場合に、ドライバの覚醒
度が低下したと判断する判断手段とを有する車両用の覚
醒度推定装置を提供する。
低周波領域は、基準周波数以下の領域であって、カーブ
走路の走行時に生じる極低周波数を除いた第1の周波数
以上の領域であることが好ましい。
は、基準周波数以下の領域であって、カーブ走路の走行
時に生じる極低周波数を除いた第1の周波数以上の領域
であり、かつ、高周波領域は、基準周波数以上で第2の
周波数以下の領域であり、第2の周波数は、基準周波数
と第1の周波数との差を基準周波数に加えた周波数であ
ってもよい。
ともない大きな値に設定することが好ましい。
第2の積分値との比であることが好ましい。
のしきい値とを比較することによりドライバの覚醒度を
判断してもよい。この評価用のしきい値は、車速に応じ
て異なる値を用いてもよい。また、評価用のしきい値は
初期評価値に応じて設定してもよい。この初期評価値
は、ドライバの覚醒度を判断すべき走行状況になった時
点から一定時間が経過した時点を基準とした所定の期間
内における動作量に基づいて算出される。
作量を連続して検出するステップと、動作量を周波数変
換することにより、各周波数成分パワーを求めるステッ
プと、基準周波数以下の低周波領域における周波数成分
パワーの第1の積分値を求めるステップと、基準周波数
以上の高周波領域における周波数成分パワーの第2の積
分値を求めるステップと、第1の積分値および第2の積
分値を用いて評価値を算出するステップと、算出された
評価値に基づいて、ドライバの覚醒度を判断するステッ
プとを有する覚醒度推定方法を提供する。
推定装置の構成を示したブロック図である。横変位検出
部1は、車両の動作量としての幅方向の変位(横変位)
を検出するためのものであり、例えばCCD(固体撮像
素子)等を用いたステレオカメラや単眼カメラを用いる
ことができる。画像情報処理部2は、横変位検出部1で
得られた画像を処理して車両の変位量を求める。例え
ば、CCDで道路の左側車線を撮像しておき、撮像され
た1フレームデータを画像情報処理部2のメモリに記憶
する。そして、画像認識技術を用いて左側車線を認識す
る。すなわち、左側車線に関するテンプレートを用い
て、1フレームデータから左側車線に相当する領域を特
定する。車線内における車両位置は、横方向における車
両の中心から左側車線までの距離および道路幅から計算
することができる。なお、横変位検出部1は、カメラ等
の自立型検出装置の他にも、道路中に埋設された磁気ネ
イルに基づいた路車間通信、或いはGPSおよびナビゲ
ーションシステムを車速と組み合わせることで横変位を
検出することも可能である(ナビゲーションを用いたふ
らつき警報に関しては特開平9−99756号公報を参
照)。さらに、操舵角により横変位を推定することが可
能なので、横変位検出部1として操舵角センサを用いる
ことも可能である。また、ヨーレートや横Gを検出する
ことにより横変位を推定してもよい。車両の横方向のふ
らつき(変位量)は、例えば、分解能1cm、時間ステッ
プ0.1秒で計測する。変位量に関するデータは、周波数
成分パワーを求めるFFT信号処理部3におけるシフト
レジスタ中に格納される。シフトレジスタには、経時的
に算出された一連の変位量データが所定時間分だけ格納
されている。シフトレジスタ中に格納されたデータは、
新たな変位量データの算出に伴ない順次更新されてい
く。
び判断部5は、一般に、マイクロコンピュータユニット
(マイコン)により実現される。マイコンは、CPU、
RAM、ROM、および入出力回路等で構成されてい
る。以下のフローチャートを実行するアプリケーション
の制御下において、マイコンを構成する各ユニットが相
互に作用することにより符号3から5に示した機能ブロ
ックが実現される。なお、ROM中には、下記に述べる
手順を実行するプログラム、基準周波数fth、評価用し
きい値Hth等が記憶されている。
おける覚醒度の推定手順を示したフローチャートであ
り、このフローチャートは所定の間隔で繰り返し実行さ
れている。また、図3は、第1の実施例のアルゴリズム
を説明するための図である。まず、ステップ101にお
いて、FFT信号処理部3中のシフトレジスタに格納さ
れた過去X秒間の変位量データがY秒(例えば90秒以
下)ごとに読み出される。サンプル時間Xは、覚醒度を
精度よく推定するため、ある程度長い時間(例えば50秒
から80秒程度)を設定しておく。
部3は、この変位量を高速フーリエ変換(FFT)等を
用いて周波数変換して、周波数スペクトルにおける各周
波数成分パワー(振幅)pを計算する。ここで、変位量
と周波数成分パワーとの関係について説明する。図6は
運転開始からの経過時間および横変位量の変化との関係
を示した図である。これらは、比較的空いた自動車専用
道を比較的単調な走行環境で走行した場合の測定結果で
ある。走行約10分後は、本線に合流して交通の流れに乗
って走行するようになった直後の状態であり、変位量も
未だ小さい。約20分が経過すると、走行環境にも慣れリ
ラックスした状態になり、走行開始直後よりも低周波成
分の変化量が増加し、高周波成分が減少している。約50
分を経過すると、運転が退屈であったり少し眠気を感じ
る状態になり,時々大きな変位量が生じる傾向が生じ
る。この場合、20分経過時と比べて、低周波成分の変位
量が増加する傾向がさらに顕著になる。図7は、図6の
各経過時間における変位量を周波数変換して、周波数成
分およびそのパワーの関係を示した図である。同図にお
いて、点線は走行約10分後における周波数成分パワー
p、破線は約20分後のパワーp、実線は約50分経過後の
パワーpをそれぞれ示している。この図から、走行時間
が長くなるほど、低周波領域の周波数成分パワーpが増
加する傾向にあることがわかる。
ーpを下式にしたがって平準化して、補正された周波数
成分パワーp’を求める。
に多く存在する揺らぎの一つであると考えた場合、その
振幅は1/fであり、パワーは1/f2となる。したが
って、数式1におけるべき数nは理論的には2.0でよい
が、実験結果より、n=2.5が最も好ましいことが判明
した。これは、車の諸元や運転に関するドライバの個人
差、或いは走路の影響等によるものと思われる。ただ
し、2.0から3.0の範囲内の任意のべき数を用いてもドラ
イバの覚醒度を判定することが可能である。以下の説明
では、べき数nとして2.5を用いている。図8は、周波
数成分および補正された周波数成分パワーp’の関係を
示した図である。平準化された周波数成分パワーの分布
より、全体的な特性を視覚的に容易に把握することがで
きる。同図から、約50分後に低周波領域におけるパワー
が大きく増加していることがわかる。
1の周波数f1以上で基準周波数fth以下の周波数領域
(以下、低周波領域という)における周波数成分パワー
p’を積分することにより図8で示した面積A1を求め
る。そして、ステップ105において、基準周波数fth
以上で第2の周波数f2以下の周波数領域(以下、高周
波領域という)における周波数成分パワーp’を積分す
ることにより面積A2を求める。この基準周波数fth
は、覚醒度推定のための評価値を算出する基礎となる値
であるから、適切に設定しておくことが重要である。発
明者等の実験によると、実験データの平均値0.15Hzを基
準周波数fthとして用いた場合に好ましい判定結果が得
られることが判明した。
において、第1の周波数f1(例えば0.03Hz)未満の周
波数領域を考慮しない理由は、その領域のパワーはドラ
イバの覚醒の程度とは直接関係がないからである。カー
ブ路走行時には0.03Hz以下の周波数領域におけるパワー
が増大する傾向にある。したがって、これを無視するこ
とでカーブの影響を排除することができるため、覚醒度
を適切に判定できる。また、高周波領域における面積A
2の算出において、第2の周波数f2(例えば0.3Hz)よ
り大きな周波数領域を考慮しない理由は、面積A2に与
える影響の少ない領域のパワーを排することにより演算
量を減らすためである。0.3Hz以上の領域のパワーは小
さいため、それを無視しても面積A2はあまり変わらな
い。具体的には、第2の周波数f2を、[基準周波数ft
h+(基準周波数fth−第1の周波数f1)]より求めて
もよい。このような第1および第2の周波数を設定する
ことにより、演算対象となる周波数領域を適切に設定し
て判定の精度を高めることができる。このようにして求
められた面積A1,A2から、下式にしたがって、評価値
Hを求める。
価値Hをしきい値Hthと比較する。そして、評価値Hが
しきい値Hth以下の場合は、ドライバの覚醒度が低下し
ていると判断し(ステップ108)、しきい値より大き
い場合は、覚醒度が正常であると判断する(ステップ1
09)。面積A1,A2の比である評価値Hは、正常な覚
醒状態では高周波領域の面積A2が大きいため大きな値
を示しているが、低周波領域のパワーp’が増大するに
つれて小さくなる。すなわち、評価値Hは、ドライバの
覚醒度と大きな相関を有している。そこで、しきい値H
thを適切に設定しておけば、評価値Hからドライバの覚
醒度の低下を検出することができる。発明者等の実験に
よると、走行から約10分経過後における評価値Hは1.6
から3.2、約20分後の評価値Hは0.8から1.4、そして約5
0分後の評価値Hは0.5から0.8であった。この実験結果
にしたがって、評価用のしきい値Hthを1.0に設定すれ
ば、50分後における覚醒度の低下を適切に検出すること
ができる。
警報部6は、ドライバに覚醒を促すための警報処理を実
行する。警報処理は、一例として追突警報を鳴らすこと
が挙げられる。この警報は、覚醒度が低下していると判
断された場合、平常時よりも警報車間距離を長め(タイ
ミングは早め)に設定する。また、警報部6は逸脱警報
を鳴らしてもよい。例えば、車線を踏む瞬間に鳴らすよ
うにしたタイミングを覚醒度の低下時に早く設定する。
さらに、居眠り警報を鳴らしてもよい。例えば覚醒度の
低下時に、ふらつき警報音と共に表示画面上に「ふらつ
き注意」と表示する。これらの警報処理は一例であっ
て、警報部6はどのような警報を行ってもよい。
ンプルを予め用意することなく、判定時のデータ(その
直前のデータを含めて)に基づいて、ドライバの覚醒度
を判定している。したがって、走行環境の変化に依存す
ることなく覚醒度を適切に判定することができ、従来技
術のような走行環境の変化に起因した誤判定の問題は存
在しない。さらに、車速の影響をあまり受けることな
く、適切な判定を行うことができるという効果もある。
積A1,A2の比を用いているが、これらの差を用いても
判定を行ってもよい。また、判定マップに基づいて判定
することも可能である。例えば、面積A1,A2をマトリ
ックス状に配置し、その交点に判定結果を記述したマッ
プを予め用意しておく。そして、判定マップを参照し
て、算出された面積A1,A2に対応する判定結果(ドラ
イバの覚醒度が低下しているか否か)を参照する。な
お、判定用のしきい値Hthを用いた判定を行う場合、そ
のしきい値Hthを車速に応じて異なる値としてもよい。
を車速に拘わらず固定値(上記の例では0.15Hz)に設定
している。これに対して、基準周波数fthを車速が増大
するのにともない大きな値に設定してもよい。一般に、
車速が増大するほど、単位時間当たりの横変位量が大き
くなり、限られた車線幅の中での横方向へのふらつき周
期は短くなるため、図8に示した周波数成分パワー特性
が全体的に高周波側にシフトする傾向がある。そこで、
このようなシフト特性を考慮して、基準周波数fthも車
速に応じてシフトさせれば、高速走行時においてもドラ
イバの覚醒度を精度よく判定することができる。なお、
車速に応じて基準周波数fthの値を可変にすることは、
後述する各実施例についても適用することができる。
2の周波数f2についても該当し、これらの周波数f1,
f2を車速の増大にともない大きな値に設定することが
好ましい。一例として、各周波数f1,fth,f2は、下
表に示したように、車速の増大にともない値が非線形的
に大きくなるように設定している。
を周波数変換し、その周波数成分パワーを直接用いてド
ライバの覚醒度を判断している。しかしながら、本発明
は、評価する領域として周波数fを直接用いる場合のみ
ならず、それに補正係数aを乗じることにより得られた
正規化周波数f'を用いてもよい(下式参照)。
的に増加するように設定されており、一例として、80km
/h未満の範囲ではa=33.3、80km/h以上100km/h未満の
範囲ではa=39.8、100km/h以上の範囲ではa=45.8と
している。この場合、上述した第1の周波数f1、基準
周波数fth、第2の周波数f2の初期値をそれぞれ0.0
3,0.15,0.30とすると、各車速域における正規化周波
数f'1,f'th,f'2は、初期値に車速毎の補正係数a
を乗じることで下表のようになる。
を用いて、周波数成分パワーおよび周波数f1,fth,
f2を正規化する。そして、この正規化された周波数に
より算出された周波数成分パワーに基づいて評価値Hを
算出する。これにより、車速変化に拘わらず評価領域
(周波数領域)を一元的に取り扱うことができる。
おける覚醒度の推定手順を示したフローチャートであ
る。本実施例では、第1の実施例のように周波数成分パ
ワーを平準化することなく、周波数成分パワーおよび基
準線で囲まれた領域の面積から評価値を算出している。
まず、ステップ201およびステップ202により、周
波数成分パワーpが算出された後、ステップ203にお
いて、予め設定されている基準線Bが導出される。この
基準線Bは、例えば下式で表現され、図9において一点
鎖線は基準線Bを示している。ここで、べき数nは上述
したような理由により、2.0≦n≦3.0の範囲であればよ
く、本実施例ではn=2.5に設定している。
周波数成分パワーpを積分した積分値から低周波領域に
おける基準線Bを積分した積分値を引くことにより、面
積A1を求める(図9で斜線で示した領域の面積A1)。
また、高周波領域における周波数成分パワーpを積分し
た積分値から高周波領域における基準線Bを積分した積
分値を引くことにより、面積A2を求める(図9で斜線
で示した領域の面積A2)。そして、上述した数式2よ
り評価値Hを求め(ステップ206)、第1の実施例に
おけるステップ107以降と同様の手順で、ドライバの
覚醒度の低下を検出する(ステップ207から208
(または209))。
に関する周波数成分パワーpにのみ依存して変化し、基
準線B(変位量に依存しない)には依存していない。し
たがって、面積A1,A2の比である評価値Hは、高周波
領域のパワーpが大きいほど増加し、低周波領域のパワ
ーpが大きいほど減少する。このような周波数成分パワ
ーpとの相関より、評価値Hからドライバの覚醒度の低
下を検出することができる。
常運転時のサンプルを用意することなく、判定時のデー
タ(その直前のデータも含めて)に基づきドライバの覚
醒度を判定しているため、走行環境の変化に依存するこ
となく覚醒度を適切に判定することができる。
例のように周波数成分パワーpを平準化した上で面積を
算出する方法と本質的には相違しない。本実施例におい
て、周波数成分パワーpおよび基準線B(数式3)の双
方にf2.5を掛けた場合、周波数成分パワーpは第1の
実施例における補正された周波数成分パワーp’に対応
し、基準線Bはf-nが相殺されて横線と平行線になる
(第1の実施例の図8の横軸に対応)。このことからわ
かるように、第1の実施例における平準化は、周波数成
分パワーの本来的な変化を相殺することで横変位量に基
づく周波数成分パワーのピークを顕在化させる処理であ
るということができる。
となく、単純に、低周波領域および高周波領域における
周波数成分パワーpの積分値(面積)を求め、その比を
評価値Hとしてもよい。この場合、周波数の増加に伴な
いパワーpは減少するというパワー特性から車両の横変
位に拘わらず、低周波領域の面積は高周波領域の面積よ
りも必然的に大きくなる。したがって、このような特性
を見越した上で、評価用しきい値Hthを大きく設定して
おけば、ドライバの覚醒度を適切に判定できるであろ
う。重要なことは、第1の実施例のような平準化処理を
施すことや、第2の実施例のように基準線Bを適用する
ことではなく、低周波領域および高周波領域における周
波数成分パワーの積分値に基づいて、覚醒度を判断する
評価値Hを算出することである。平準化処理や基準値を
用いる理由は、パワー特性を取り除いた評価値Hを算出
するために過ぎない点に留意されたい。発明の本質に鑑
みれば、評価値Hの算出においてパワー特性を考慮する
ことおよび評価用のしきい値Hthの設定においてパワー
特性を考慮することの間には本質的な差異はない。
おける覚醒度の推定手順を示したフローチャートであ
る。第1および第2の実施例は、周波数成分パワーpの
積分値に基づいて覚醒度を判定しているのに対して、本
実施例は、周波数成分パワーpのピークに基づいて判定
するものである。まず、ステップ301およびステップ
302により、周波数成分パワーpが算出された後、ス
テップ303において、低周波領域において、しきい値
Pth以上の周波数成分パワーpがあるか否かが判断され
る。図10は、第3の実施例における評価値の算出を説
明するための図である。
するほど、低周波領域における周波数成分パワーが増大
する傾向にある。そこで、図10に示したように、判定
用のパワーしきい値pthを予め設定しておき、低周波領
域においてパワーpのピークがしきい値pthを以上にな
ったならば、覚醒度が低下しているものと判断し、設定
されている警報処理を行う(ステップ304)。一方、
パワーpのピークがしきい値pth未満であれば、覚醒度
が正常であると判断する(ステップ305)。
基づきドライバの覚醒度を判定でき、比較的少ない演算
量で判定を行うことができる。
ない周波数成分パワーpが減少していくという特性よ
り、低周波領域中における低周波数成分のパワーpは、
比較的少ないピーク量でしきい値pthを超えてしまう反
面、高周波数成分のパワーpは、比較的大きなピーク量
でもしきい値pthを超えないという欠点がある。これを
解決するために、本実施例はさらに以下のように変形し
てもよい。
された周波数成分パワーp’を算出する。このパワー
p’はパワー特性が取り除かれているので(図8参
照)、このパワーp’のピークをしきい値p’thと比較
すれば、覚醒度の判定をより正確に行うことが可能とな
る。
しきい値pthを設定しておく。この際、低い周波数を有
する領域のしきい値pth1の方を、高い周波数を有する
領域のしきい値pth2より大きく設定しておく。これに
より、低周波領域の全域に渡って同一しきい値pthを適
用する場合よりも、覚醒度の判定精度を向上させること
ができる。
の各実施例において、ドライバの覚醒度の推定判定(図
2、図4および図5のフローチャートに示した手順)
は、ドライバの覚醒度を判断すべき走行状況時(主とし
て高速道路走行時を想定)のみ行うようにしてもよい。
具体的には、例えば以下の条件の少なくとも一つに合致
した場合、「ドライバの覚醒度を判断すべき走行状況」
にあると判断される。
車速が予め設定された車速(例えば80km/h)以上になっ
た場合、覚醒度判定を実行する。 (2)クルーズコントロールがセットされた場合 クルーズコントロールがセットされた状態ではドライバ
の覚醒度が低下しやすい傾向にあるため、クルーズコン
トロールがセットされた時点以降、覚醒度判定を実行す
る。 (3)エンジン回転数が所定回転数以上に維持されてい
る場合 エンジン回転数センサにより検出されたエンジン回転数
が1000rpm以下になっても、その状態が5秒以上持続し
ない場合に、覚醒度判定を実行する。 (4)走行路が「特定道路]の条件に合致する場合 ここで、「特定道路」とは以下のような道路をいう。 (4-1)一定道路長さ(例えば1km)以上で、かつ道路
幅がほぼ一定であること (4-2)車速が一定速以上で、かつ一定走行時間以上そ
の速度状態が維持された場合 (4-3)ナビゲーションからの情報に基づき所定の条件
を具備した場合
値Hの値やその推移に関して個人差がある点に鑑み、ド
ライバ毎に評価用しきい値Hthを個別に設定することが
好ましい。この評価用のしきい値Hthは、ドライバが覚
醒していると想定される「サンプル期間」内における車
両の動作量に基づいて設定される。「サンプル期間」
は、上述した「ドライバの覚醒度を判断すべき走行状
況」になった時点を基準として5分から10分までの期間
とする。サンプリングの開始時点を5分とした理由は、
それ以前では走行状況(典型的には高速道路走行)にド
ライバが適応していない可能性があるので、それに慣れ
るための期間が必要だからである。また、サンプリング
の終了時点は、必要なサンプル数を確保できるほど長
く、かつ覚醒度の低下が生じにくいほど短い時間として
は、10分程度が妥当であるからである。
間(一例として50秒から80秒程度)の変位量データ毎に
評価値H(サンプル)を算出する。そして、サンプル期
間内において算出された複数の評価値Hの平均値を「初
期評価値Hini」とする。評価用のしきい値Hthは、初
期評価値Hiniの6割(一例)として設定することがで
きる。例えば、サンプル期間当初から車両がふらつき気
味である場合、初期評価値Hiniの値は小さくなる。し
たがって、そのドライバに関する評価用のしきい値Hth
は小さな値に設定されるため、覚醒度の判定基準も一般
的なドライバよりも緩和される。逆に、その期間におけ
る車両のふらつきが一般のドライバよりも小さい場合、
評価用のしきい値Hthは大きな値に設定される。
ドライバ毎に個別に評価用のしきい値Hthを設定すれ
ば、ドライバの覚醒度を一層精度よく推定することが可
能となる。なお、しきい値Hthの算出は、サンプル期間
内における車速が継続して所定速度(例えば80km/h)以
上である場合のみ行うことが好ましい。自車両が先行車
に追いついたケース等では車速が所定速度以下になる場
合があるが、このような走行状況では特徴的なふらつき
が生じなることが考えられる。そこで、この場合は、算
出されたサンプルをキャンセルする。そして、サンプル
の算出を再度最初から行うか、或いは、予め設定された
値を用いるようにする。
関する周波数成分パワーを用い、判定時における高周波
数成分と低周波数成分とを比較することによって覚醒度
を推定している。したがって、走行環境や車速が変わっ
た場合においても比較的正確にドライバの覚醒度を判定
することができる。
たフローチャート
図
たフローチャート
たフローチャート
との関係を示した図
ための図
ための図
るための図
部、3 FFT信号処理部、 4 評価値算出
部、5 判断部、 6 警報部
Claims (14)
- 【請求項1】車両の動作量を連続して検出する検出手段
と、 前記動作量を周波数変換することにより、各周波数成分
パワーを求めるパワー算出手段と、 基準周波数を基準に周波数領域を低周波領域と高周波領
域とに分けて、前記低周波領域における前記周波数成分
パワーの第1の積分値を求め、前記高周波領域における
前記周波数成分パワーの第2の積分値を求め、かつ、前
記第1の積分値および前記第2の積分値を用いて評価値
を算出する評価値算出手段と、 算出された前記評価値に基づいて、ドライバの覚醒度を
判断する判断手段とを有することを特徴とする車両用の
覚醒度推定装置。 - 【請求項2】前記周波数成分パワーは、平準化された周
波数成分パワーであることを特徴とする請求項1に記載
された車両用の覚醒度推定装置。 - 【請求項3】前記平準化された周波数成分パワーは、前
記周波数成分パワーに各周波数のべき数nを乗した値
を、前記周波数成分パワーに掛けた値であることを特徴
とする請求項2に記載された車両用の覚醒度推定装置。 - 【請求項4】前記べき数nは、2.0以上で3.0以下の値で
あることを特徴とする請求項3に記載された車両用の覚
醒度推定装置。 - 【請求項5】前記評価値算出手段は、前記低周波領域に
おける基準線の第3の積分値を求め、前記高周波領域に
おける前記基準線の第4の積分値を求め、 前記第1の積分値および前記第3の積分値の差と、前記
第2の積分値および前記第4の積分値との差から評価値
を算出し、 前記基準線は、周波数成分パワーの特性に基づく変化を
打ち消すように設定されていることを特徴とする請求項
1に記載された車両用の覚醒度推定装置。 - 【請求項6】車両の動作量を連続して検出する検出手段
と、 前記動作量を周波数変換することにより、各周波数成分
パワーを求めるパワー算出手段と、 基準周波数以下の低周波領域において、前記周波数成分
パワーがしきい値以上になった場合に、ドライバの覚醒
度が低下したと判断する判断手段とを有することを特徴
とする車両用の覚醒度推定装置。 - 【請求項7】前記低周波領域は、前記基準周波数以下の
領域であって、カーブ走路の走行時に生じる極低周波数
を除いた第1の周波数以上の領域であることを特徴とす
る請求項1または6に記載された車両用の覚醒度推定装
置。 - 【請求項8】前記低周波領域は、前記基準周波数以下の
領域であって、カーブ走路の走行時に生じる極低周波数
を除いた第1の周波数以上の領域であり、かつ、 前記高周波領域は、前記基準周波数以上で第2の周波数
以下の領域であり、前記第2の周波数は、前記基準周波
数と前記第1の周波数との差を前記基準周波数に加えた
周波数であることを特徴とする請求項1に記載された車
両用の覚醒度推定装置。 - 【請求項9】前記基準周波数は、車速が増加するのにと
もない大きな値に設定されることを特徴とする請求項1
から8のいずれかに記載された車両用の覚醒度推定装
置。 - 【請求項10】前記評価値は、前記第1の積分値と前記
第2の積分値との比であることを特徴とする請求項1に
記載された車両用の覚醒度推定装置。 - 【請求項11】前記判断手段は、前記評価値と評価用の
しきい値とを比較することによりドライバの覚醒度を判
断することを特徴とする請求項1に記載された車両用の
覚醒度推定装置。 - 【請求項12】前記評価用のしきい値は、車速に応じて
異なる値を用いることを特徴とする請求項11に記載さ
れた車両用の覚醒度推定装置。 - 【請求項13】前記評価用のしきい値は、初期評価値に
応じて設定され、 前記初期評価値は、ドライバの覚醒度を判断すべき走行
状況になった時点から一定時間が経過した時点を基準と
した所定のサンプル期間内における前記動作量に基づい
て算出されることを特徴とする請求項12に記載された
車両用の覚醒度推定装置。 - 【請求項14】車両の動作量を連続して検出するステッ
プと、 前記動作量を周波数変換することにより、各周波数成分
パワーを求めるステップと、 基準周波数以下の低周波領域における前記周波数成分パ
ワーの第1の積分値を求めるステップと、 前記基準周波数以上の高周波領域における前記周波数成
分パワーの第2の積分値を求めるステップと、 前記第1の積分値および前記第2の積分値を用いて評価
値を算出するステップと、 算出された前記評価値に基づいて、ドライバの覚醒度を
判断するステップとを有することを特徴とする覚醒度推
定方法。
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