JP2000183383A - 堆積膜の形成方法及び形成装置 - Google Patents

堆積膜の形成方法及び形成装置

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JP2000183383A
JP2000183383A JP10361620A JP36162098A JP2000183383A JP 2000183383 A JP2000183383 A JP 2000183383A JP 10361620 A JP10361620 A JP 10361620A JP 36162098 A JP36162098 A JP 36162098A JP 2000183383 A JP2000183383 A JP 2000183383A
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electrode
cathode electrode
forming
thin film
semiconductor thin
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JP10361620A
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English (en)
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Hitomi Sano
ひとみ 佐野
Yasushi Fujioka
靖 藤岡
Akira Sakai
明 酒井
Yuzo Koda
勇蔵 幸田
Takahiro Yajima
孝博 矢島
Masahiro Kanai
正博 金井
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Canon Inc
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、基板上に、薄膜が大きな堆積速度
で形成でき、得られた膜は高い光電変換効率を有し、均
一性に優れ、欠陥が少なく、光劣化しにくいという特徴
を兼ね備えた、堆積膜の形成方法及び形成装置を提供す
る。 【解決手段】 本発明に係る第1の堆積膜の形成方法
は、反応容器の放電空間内へ材料ガスを導入し、高周波
電力を印加して該材料ガスをプラズマ放電によって分解
し、基板上に非単結晶半導体薄膜を形成する堆積膜の形
成方法において、前記基板の上に前記非単結晶半導体薄
膜を所定の膜厚堆積させた後、該非単結晶半導体薄膜の
表面に対して、前記放電空間内で、正電位のカソード電
極による水素プラズマ処理を、次いで負電位のカソード
電極による水素プラズマ処理を順に行い、その後、前記
水素プラズマ処理が施された該非単結晶半導体薄膜の表
面上に、さらに非単結晶半導体薄膜を堆積させることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、堆積膜の形成方法
及び形成装置に係る。より詳細には、基板上に、非単結
晶半導体薄膜が大きな堆積速度で形成でき、得られた膜
は高い光電変換効率を有し、均一性に優れ、欠陥が少な
く、光劣化しにくいという特徴を兼ね備えた、堆積膜の
形成方法及び形成装置に関する。
【0002】特に、本発明は、アモルファスシリコン、
微結晶シリコン、アモルファスシリコンゲルマニウム合
金、多結晶シリコン等の非単結晶半導体を使用した太陽
電池等の光起電力素子を大量に生産する際に好適に用い
られる。
【0003】
【従来の技術】従来、基板上に光起電力素子等に用いる
非単結晶半導体からなる堆積膜を連続的に形成する方法
としては、各種半導体層を形成するための独立した成膜
室を設け、これらの各成膜室はゲートバルブを介したロ
ードロック方式にて連結され、基板を各成膜室へ順次移
動して各種半導体層を順に積層形成する方法が知られて
いる。また、量産性を著しく向上させる方法としては、
米国特許第4,400,409号明細書に開示された、
ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式を採用した
連続プラズマCVD法が挙げられる。これらの方法によ
れば、長尺の帯状部材を基板として、複数のグロー放電
領域において必要とされる導電型の半導体層を堆積形成
しつつ、基板をその長手方向に連続的に搬送することに
よって、半導体接合を有する素子を連続形成することが
できる。
【0004】しかしながら、基板として数百メートルに
およぶ帯状部材を用い、その上に半導体層を形成するに
は数時間におよぶ成膜時間を要するため、均一で再現性
が良い放電状態を長時間にわたって維持制御し半導体層
を形成する必要がある。従って、長尺の帯状部材の始端
から終端までの全体にわたって、さらに高品位で均一な
半導体堆積膜を連続的にかつ効率よく形成する手法が望
まれている。
【0005】また、非単結晶半導体の一つである水素化
アモルファスシリコン膜の形成方法として最も普及して
いるものは、プラズマCVD法である。この方法は、多
くの場合、SiH4またはSi26を成膜ガスとして用
い、必要に応じて水素ガスで希釈を行い、高周波等でプ
ラズマを発生させ、プラズマにより成膜ガスを分解して
反応性のある活性種を生成し、所定の基板上に水素化ア
モルファスシリコン膜を堆積させる方法である。その
際、成膜ガスに所定のドーピングガスを混ぜることによ
り、n型やn+型、あるいはp型やp+型のアモルファス
シリコン膜を形成することができるので、これらを利用
して各種アモルファスシリコン電子デバイスが作られて
いる。
【0006】しかしながら、上述した非単結晶シリコン
膜をイメージセンサや太陽電池等の光電変換デバイスに
使用した場合、これらのデバイスの特性低下に大きく影
響する光劣化(いわゆるStabler-Wronski効果)現象が
あることが知られている。その原因として、非単結晶シ
リコン膜中に存在するダングリングボンドやSi同士の
弱い結合が光照射によって切れることにより、光電変換
効率が低下することが考えられている。光劣化の程度
は、非単結晶シリコン膜の生成条件(基板温度、成膜圧
力、原料ガス濃度、高周波あるいはマイクロ波電力)の
違いによってさまざまであるが、緻密度が悪い膜ほど光
劣化が大きくなるという傾向が知られており、また、膜
中の過剰な水素が光劣化の原因となるともいわれてい
る。
【0007】そこで、最近、この光劣化を防ぐ方法とし
て、成膜と表面の水素プラズマ処理を繰り返しながら非
単結晶シリコン膜を形成する方法が提案されている。こ
の水素プラズマ処理をすることにより、原子状水素が堆
積膜中の過剰な水素を引き抜き、これと同時に膜の構造
緩和が行なわれ、その結果、緻密な膜構造となって、過
剰な水素に起因する光劣化が抑止されると言われてい
る。
【0008】原子状水素がどのように、堆積膜中の過剰
な水素を引き抜き、堆積膜の構造緩和を行うかについ
て、現在、2通りのモデルが考えられている。一つは、
堆積膜の表面及び膜中に原子状水素が拡散しSi−H結
合から水素を引き抜き、そこで発生したダングリングボ
ンド同士が再結合する。もう一つは、原子状水素は膜の
中には入らず、表面上のSi−H結合から水素を引き抜
き、表面に生じたダングリングボンドが表面から膜の中
へ拡散していく。この拡散は、膜中の水素原子のサイト
間移動にともなって進行するので、膜中の水素は表面に
向かって移動していることになり、常に膜中の水素が表
面に拡散し供給されることになる。この拡散してきた水
素が次々と表面反応で引き抜かれていく。このようにど
ちらのモデルも、膜全体としては、過剰にある水素が引
き抜かれつつ構造緩和も起こることになる。
【0009】特開平5−166733号公報には、マイ
クロ波プラズマ発生手段で生成された原子状水素が、効
果的に過剰水素を引き抜き、特性の安定した非単結晶シ
リコン膜を形成できることが開示されている。同公報に
は、イオンが膜にダメージを与えるので、プラズマより
同時に生成されるイオンをプラズマ発生手段とは別に設
けた導電性の網により遮断することで回避する技術が記
載されている。
【0010】また、特開平6−120152号公報に
は、プラズマスパッタと水素アニールを同時にまたは順
番に行うことで、堆積膜中の過剰な水素の低減を行い光
劣化を抑制することができることが開示されている。し
かしながら、同公報には、プラズマスパッタ及び水素ア
ニール時におけるカソード電極の電位に関しては記載が
ない。
【0011】さらに、従来技術における典型的な放電容
器内構造では、基板を含む接地されたアノード電極全体
の面積は、カソード電極の面積に比べて非常に大きくな
っている場合が多く、そのようなカソード電極では、投
入される高周波電力のほとんどはカソード電極近傍で消
費されてしまう結果、カソード電極近傍というある限ら
れた部分のみにおいて材料ガスの励起、分解反応が活発
となり、良質な非単結晶半導体薄膜を得ることは誠に困
難であった。
【0012】さらには、従来技術における典型的な放電
容器内構造、すなわち、基板も含む接地されたアノード
電極全体の表面積がカソード電極の表面積に比べて非常
に大きな構造の放電容器において、直流(DC)電源な
どを用いてカソード電極への正の電位(バイアス)を印
加する手法も行われているが、このような系では直流電
流という2次的な手段を用いている結果、プラズマ放電
に直流電流が流れてしまう系となっていた。そのため、
直流バイアスを大きくしていくとスパーク等の異常放電
が起こってしまい、これを抑制し安定な放電を維持する
ことが非常に困難であった。従って、プラズマ放電に直
流電圧を印加することの効果が有効かどうか不鮮明であ
った。この現象は、直流電圧と直流電流とを分離できて
いない系であることに起因する。すなわち、プラズマ放
電に対して効果的に直流電圧だけを印可する手段が望ま
れていた。
【0013】上述した問題を解決する方法として、特開
平9−232621号公報には、高周波電力を供給する
カソード電極の表面積を、アノード電極である設置電極
全体の放電空間における表面積よりも大きい表面積で構
成することにより、良好な自己バイアス電位を生起さ
せ、半導体膜の形成に利用し良好な非単結晶薄膜が得ら
れることが開示されている。
【0014】しかしながら、空間的にも時間的にも均一
でかつ再現性よく非単結晶シリコン薄膜を得るために
は、長時間にわたるなお一層の放電安定性と再現性を備
え、より均一性の高い堆積膜の形成方法及び形成装置の
開発が期待されている。また、装置のスループットを向
上させ、コストダウンを図ろうとする場合、半導体薄膜
の品質を維持したまま、堆積速度を大きくすることが可
能な形成方法及び形成装置が求められている。さらに、
半導体層及びその界面の改善を図ることにより、電気
的、光学的に光起電力素子の特性を大きく向上させ、よ
り高品位な非単結晶半導体薄膜を作製できる形成方法及
び形成装置が要求されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、基板
上に、非単結晶半導体薄膜が大きな堆積速度で形成で
き、得られた膜は高い光電変換効率を有し、均一性に優
れ、欠陥が少なく、光劣化しにくいという特徴を兼ね備
えた、堆積膜の形成方法及び形成装置を提供することで
ある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1の堆積
膜の形成方法は、反応容器の放電空間内へ材料ガスを導
入し、高周波電力を印加して該材料ガスをプラズマ放電
によって分解し、基板上に非単結晶半導体薄膜を形成す
る堆積膜の形成方法において、前記基板の上に前記非単
結晶半導体薄膜を所定の膜厚堆積させた後、該非単結晶
半導体薄膜の表面に対して、前記放電空間内で、正電位
のカソード電極による水素プラズマ処理を、次いで負電
位のカソード電極による水素プラズマ処理を順に行い、
その後、前記水素プラズマ処理が施された該非単結晶半
導体薄膜の表面上に、さらに非単結晶半導体薄膜を堆積
させることを特徴とする。
【0017】本発明に係る第2の堆積膜の形成方法は、
反応容器の放電空間内へ材料ガスを導入し、高周波電力
を印加して該材料ガスをプラズマ放電によって分解し、
基板上に非単結晶半導体薄膜を形成する堆積膜の形成方
法において、前記基板の上に前記非単結晶半導体薄膜を
所定の膜厚堆積させた後、該非単結晶半導体薄膜の表面
に対して、前記放電空間内で、負電位のカソード電極に
よる水素プラズマ処理を、次いで正電位のカソード電極
による水素プラズマ処理を順に行い、その後、前記水素
プラズマ処理が施された該非単結晶半導体薄膜の表面上
に、さらに非単結晶半導体薄膜を堆積させることを特徴
とする。
【0018】本発明に係る堆積膜の形成装置は、放電空
間を有する反応容器を備え、該反応容器内の放電空間へ
材料ガスを導入するとともに、高周波電力を印加して該
材料ガスを分解し、基板上に非単結晶半導体薄膜を形成
する堆積膜の形成装置において、前記基板の上に前記非
単結晶半導体薄膜を所定の膜厚堆積させた後、該非単結
晶半導体薄膜の表面に対して、前記放電空間内で、正電
位のカソード電極による水素プラズマ処理と、負電位の
カソード電極による水素プラズマ処理とを施す手段を備
えたことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】上述した本発明に係る2つの方法
は、非単結晶半導体膜を所定の膜厚堆積した表面に対し
て、放電空間内で、正電位のカソード電極による水素プ
ラズマ処理と、負電位のカソード電極による水素プラズ
マ処理とを、順番にあるいは逆の順番で行い、その後、
2つの水素プラズマ処理が施された該非単結晶半導体薄
膜の表面上に、さらに非単結晶半導体薄膜を堆積させる
方法である。
【0020】上記2つの方法は、後述するように非単結
晶半導体薄膜における膜質改善の仕方が異なるが、いず
れの方法によっても、正電位のカソード電極による水素
プラズマ処理と負電位のカソード電極による水素プラズ
マ処理を組み合わせることにより、従来の水素プラズマ
処理に比べてさらに効果的に作用させることができるこ
とを見出したものである。
【0021】以下では、上記2つの方法を構成する2種
類の水素プラズマ処理工程、すなわち、工程(a):カ
ソード電極が正電位の水素プラズマ処理と、工程
(b):カソード電極が負電位の水素プラズマ処理とに
分けて、それぞれの作用・効果について述べる。但し、
その作用・効果を一層高めるためには、工程(a)のカ
ソード電極としては、カソード電極の放電空間における
表面積を基板の表面積を含むアノード電極である接地電
極全体の放電空間における表面積よりも大きい表面積に
構成し、グロー放電生起時における前記カソード電極の
自己バイアスとしての電位を前記アノード電極に対して
+5V以上の正電位として生起維持し得る構造が好まし
い。これに対して、工程(b)のカソード電極として
は、通常の平行平板型の構造が用いられる。
【0022】工程(a)[カソード電極が正電位の水素
プラズマ処理]では、被処理体である帯状部材は正電位
のカソード電極に対し、負電位となっており、プラズマ
により生成された原子状水素、イオンのうち、原子状水
素も作用するが、正に帯電した水素イオンは基板に電荷
的に引きつけられ、積極的に膜表面や膜内部へも浸透
し、堆積膜中の不安定な水素原子の引き抜きを行い、か
つ膜の構造緩和により、緻密な膜構造を促進する。その
際、カソード電極をしきり状電極にすることにより、し
きり状電極の先端部が帯状部材に対し、比較的近接する
ので、プラズマがより基板側へ局在することになり、水
素プラズマ処理効率をさらに向上させることができる。
【0023】一方、工程(b)[カソード電極が負電位
の水素プラズマ処理]では、平行平板型のカソード電極
で、カソード−アノード間距離が比較的離れていて、カ
ソード電極で生成した原子状水素、イオンはある距離を
介して、基板に作用する。帯状部材に達した原子状水
素、イオンは膜表面や膜内部の不安定な過剰水素を引き
抜き、構造緩和を行う。そのため、工程(a)に比較し
て少ない量の原子状水素、イオンが作用するものと考え
られる。
【0024】現状では必ずしも明らかではないが、本発
明に係る水素プラズマ処理では、以下のような現象が起
こっているのではないかと考えられる。
【0025】本発明に係る第1の方法、すなわち工程
(a)の後に工程(b)行う方法について述べる。ま
ず、工程(a)では、水素プラズマ処理に有効な原子状
水素及び正に荷電した水素イオンの生成すると共に、こ
れらを堆積した非単結晶半導体薄膜に対して供給する。
これにより、膜表面および膜内部に対して、十分に構造
緩和及び水素引き抜きを行う。その際、より多くの過剰
水素を膜表面近傍に移動させる。次いで工程(b)を行
うことにより、工程(a)で膜表面近傍に移動させた過
剰水素を容易に引き抜く。この第1の方法を光起電力素
子に活用した場合、堆積した非単結晶半導体薄膜の膜質
が改善され、また膜中過剰水素が低減し、主に開放電圧
(Voc)が向上する効果が得られる。
【0026】本発明に係る第2の方法、すなわち工程
(b)の後に工程(a)行う方法について述べる。ま
ず、堆積した非単結晶半導体薄膜に対して工程(b)を
行うことにより、主として構造緩和と膜表面及び表面近
傍の過剰な水素を引き抜く。次いで、この構造緩和した
状態の薄膜に工程(a)を行うことで、膜中から容易に
過剰水素を引き抜くことができ、さらに水素プラズマ処
理の前に堆積した非単結晶半導体薄膜の膜質改善が進
み、条件によってはマイクロクリスタル化を促し、界面
の構造的ギャップを少なくする効果もあるものと考え
る。この第2の方法を光起電力素子に活用した場合、界
面の改善により主に曲線因子(FF)が向上する効果が
得られる。
【0027】ところで、例えば光起電力素子の場合、非
単結晶半導体薄膜はn型層、i型層、p型層とあり、こ
れらの成膜のどの段階で上述した本発明に係る方法(2
種類の水素プラズマ処理から構成される第一あるいは第
二の方法)を行うのがデバイス全体として効果的なのか
と考えた場合、比較的膜厚の厚いi型層がまず挙げられ
る。しかしながら、i型層だけではなくi型層に隣接す
る層に水素プラズマ処理を行うことで隣接層から、光電
変換に有効なi型層内への水素のオートドープを抑止し
て、i型層内のSi−H2結合量の増大を抑止すること
も有効と考えられる。そのため、本発明に係る水素プラ
ズマ処理はその組み合わせ方で、どの層を成膜した後で
も有効である。
【0028】本発明に係る方法において、水素プラズマ
処理前に堆積する非単結晶半導体薄膜の膜厚は、20n
m以上100nm以下であることが望ましい。何故なら
ば、20nm以下の極薄膜の場合は、層自体が必ずしも
均一でないことから、後工程の水素プラズマ処理によっ
て、エッチング除去されやすい。一方、100nm以上
の膜厚になると、その厚さゆえに後工程であるところの
水素プラズマ処理効果が十分発揮されないからである。
【0029】上述した本発明に係る方法を実現するため
には、次に示す構成の装置が好適である。
【0030】すなわち、本発明に係る堆積膜の形成装置
は、放電空間を有する反応容器を備え、該反応容器内の
放電空間へ材料ガスを導入するとともに、高周波電力を
印加して該材料ガスを分解し、基板上に非単結晶半導体
薄膜を形成する堆積膜の形成装置において、前記基板の
上に前記非単結晶半導体薄膜を所定の膜厚堆積させた
後、該非単結晶半導体薄膜の表面に対して、前記放電空
間内で、正電位のカソード電極による水素プラズマ処理
と、負電位のカソード電極による水素プラズマ処理とを
施す手段を備えたことを特徴とする。
【0031】上記構成からなる装置では、カソード電極
近傍というある限られた部分のみにおいて材料ガスの励
起、分解反応が促進されることなく、放電空間全体、ど
ちらかといえば帯状部材を含むアノード電極側において
材料ガスの励起、分解反応が促進される。その結果、比
較的高い処理速度で、帯状部材上へ効率よく水素プラズ
マを拡散させ、非単結晶半導体薄膜の水素プラズマ処理
を行うことができる。すなわち、カソードへ投入される
高周波電力量を適宜調整し、投入される高周波電力をよ
り有効に利用して、放電空間内に導入される材料ガスを
効率的に励起、活性化または分解し、しかも高品位な非
単結晶半導体薄膜を帯状部材上へ均一で再現性よく比較
的速い速度でもって処理することが可能になる。
【0032】本発明に係る装置を構成するカソード電極
の材料としては、例えばステンレス及びその合金、アル
ミニウム及びその合金等が好適に用いられるが、導電性
の材質であれば、特にこれらに限定されない。また、ア
ノード電極の材料としては、カソード電極と同様のもの
が用いられる。
【0033】前記正電位のカソード電極としては、該カ
ソード電極の放電空間における表面積が、前記プラズマ
放電の空間における前記基板及びアノード電極の表面積
の和よりも大きく、グロー放電生起時における前記カソ
ード電極の電位(以下、自己バイアスと呼ぶ)が、前記
帯状部材及びアノード電極に対して+5V以上の正電位
を生起維持し得る構造を有するものが好ましい。
【0034】また、前記正電位のカソード電極である高
周波電力印加電極には、しきり状電極を設ける構成が望
ましく、該しきり状電極としては、その形状がフィン
状、またはブロック状であり、前記基板の搬送方向に対
し平行もしく垂直に複数設置され、前記しきり状電極各
々の間隔は、隣り合う前記しきり状電極の間における放
電が生起維持するに十分な間隔を有する構成が好適であ
る。その際、前記しきり状電極の相隣り合う間隔は、2
cm以上10cm以下が望ましい。
【0035】上記構造により、カソード電極には比較的
大きな正電位の自己バイアスを生起維持することが可能
となる。この作用は、別途設けた直流(DC)電源等を
用いたバイアス印加方法等とは異なり、スパーク等によ
る異常放電の発生を抑制することができる。その結果、
放電を安定して生起維持することが可能となる。
【0036】また、本発明に係る装置において、非単結
晶半導体薄膜を水素プラズマ処理する際のアノード電極
に対するカソード電極の自己バイアスは、+5V以上が
好適である。
【0037】前記しきり状電極は、その先端部が基板と
の間で水素ガスの通る隙間を隔て、該帯状部材に近接配
置されていることを特徴とする。その際、前記しきり状
電極と前記帯状部材との間の距離は、5cm以下で、し
かも互いに物理的に接触することがない距離であること
望ましい。
【0038】本発明に係る装置では、正の自己バイアス
が生起されたカソード電極の一部、すなわちしきり状電
極の先端部が、前記基板に対して比較的近接しているこ
とから、生起された比較的大きな正電位を前記基板の堆
積膜に対して、放電空間を介して効率良く安定してバイ
アス印加することが可能となる。このバイアス印加の方
法は、従来の典型的な装置、すなわちカソード電極面積
がアノード(接地)電極面積に対して小さな平行平板型
のカソード電極構造を有する装置において、例えば単に
カソード/基板間距離を短くする方法や直流電源を併用
して直流電圧をカソードへ印加する方法とは明らかに異
なる系の直流バイアス印加手段である。
【0039】本発明では、基板として帯状部材を用いる
ことが好ましい。該帯状部材は、その長手方向に搬送す
ることが好ましい。
【0040】以下では、本発明に係る堆積膜の形成装置
の一例として、光起電力素子を連続的に製造する装置例
を説明するが、本発明はこの装置例により何ら限定され
るものではない。
【0041】図1は、本発明に係る堆積膜の形成装置を
構成するカソード電極を備えた放電容器の一例を示す模
式的な断面図である。図2は、図1の放電容器内に設け
る各種構成のカソード電極を示す模式的な斜視図であ
る。
【0042】図1のカソード電極1002としては、図
2(a)〜(f)に示すようなカソード電極が好適に用
いられるが、図1のカソード電極1002は図2(a)
を適用した場合である。カソード電極1002は、接地
(アノード)電極1004上に絶縁ガイシ1009によ
って電気的に絶縁されて設置される。カソード電極10
02上を導電性帯状部材(基板)1000が不図示の複
数のマグネットローラで支えられ、下に位置するカソー
ド電極1002および上に位置するランプヒーター10
05に物理的に接することなく矢印で示される方向ヘ移
動するような構造である。材料ガスはガス導入管100
7から導入され、帯状部材1000とカソード電極10
02との間を通り排気口1006から不図示の真空ポン
プによって排気される。カソード電極1002及びアノ
ード電極1004の材料としては、例えばSUS316
が用いられる。カソード電極1002に不図示の高周波
電源から高周波を印加し、生起されるグロー放電の放電
領域は、カソード電極1002の一部であるところの複
数接地されたしきり状電極1003同士の隙間及び帯状
部材1000とカソード電極1002との間の空間であ
り、上部に位置する導電性帯状部材1000で閉じ込め
られた領域となる。
【0043】このような構造の放電容器を用いた場合、
カソード電極面積の帯状部材を含む接地されたアノード
電極面積に対する比率は、明らかに1よりも大きなもの
となる。さらに、帯状部材1000とカソード電極10
02の一部であるフィン状もしくはブロック状形状をし
たしきり状電極1003との最近接距離(図中Ll)が
5cm以下の範囲内とするのが効果的である。さらに、
複数設置されたしきり状電極1003同士の間隔は放電
が生起維持するに十分な間隔を有し、その適度な間隔
(図中L2)が、2cm以上10cm以下の範囲内とす
るのが効果的である。
【0044】これに対して、図3は、従来型カソード電
極を備えた放電容器の一例を示す模式的な断面図であ
る。この図から明らかなように、従来の装置では、放電
空間に接するカソード電極2002の表面積は、同じく
放電空間に接する導電性部材2000を含む接地された
アノード電極2004全体の表面積に比べて小さい構造
となる。すなわち、カソード電極の面積の帯状部材を含
む接地されたアノード電極の面積に対する比率は、明ら
かに1よりも小さなものとなる。
【0045】本発明に係るカソード電極の形状として
は、図2(a)〜(f)に示すような各種構成が適用で
きる。いずれの場合においても、カソード電極材料とし
ては、SUS316が好適である。
【0046】図2(b)は、帯状部材の搬送方向に対し
て直角方向にしきり状電極を複数設けた構造の一例であ
る。しきり状電極上には材料ガスが通過できるような複
数の通気孔1010を設けた構造である。この通気孔
は、材料ガスが通過できる大きさを有し、かつカソード
電極としての機能を損なわない構造であればよく、例え
ば、図2(c)に示すような構造例であってもよい。図
2(d)は、帯状部材の搬送方向に対して平行方向にし
きり状電極を複数設けた構造の一例である。
【0047】図2(e)は、帯状部材の搬送方向に対し
て直角方向に複数設けたしきり状電極の断面形状を非矩
形型にした例である。しきり状電極の断面は矩形に限ら
れたものである必要はなく、しかもこの例では直線的な
辺で構成された非矩形型を示した例であるが、不図示で
はあるが曲線的な辺で構成された形状であっても構わな
い。要はカソード電極の表面積がアノード電極の表面積
よりも大きくなるような形状であれば良い。図2(f)
は、図2(d)におけるしきり状電極を非矩形型にした
例である。図2(e)の例と同様に、しきり状電極の断
面は曲線的な辺で構成された非矩形型形状であっても構
わない。
【0048】図4は、本発明に係る堆積膜の形成装置の
一例を示す模式的な断面図であり、非単結晶半導体薄膜
を形成し、シングルセル型の光起電力素子を製造する装
置の場合を示す。図4の装置では、i型半導体薄膜作製
用の3つの真空容器100a、100b、100cのう
ち、一つの真空容器100bには本発明に係るフィン付
きのカソード電極103bを設け、他の二つの100
a、100cには従来型のカソード電極103a、10
3cを設置した。真空容器100aでは、i型半導体薄
膜の形成を行い、真空容器100b、100cにおいて
2プラズマ処理を行う構成とした。
【0049】
【実施例】以下では、本発明に係る堆積膜の形成方法及
び形成装置を用い、光起電力素子を作製し、得られた光
起電力素子の諸特性を評価した実施例について具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定
されるものではない。
【0050】(実施例1)本例では、図4に示すような
ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式を採用した
連続プラズマCVD装置を用い、図6に示したシングル
セル型の光起電力素子を作製した。
【0051】また、i型半導体層を形成する真空容器の
うち、100bには、図2(a)に示した形状のカソー
ド電極構造を有する形成容器を用いた。その際、帯状部
材とカソード電極の一部であるしきり状電極との最近接
距離(図中L1)は2cm、複数設置されたしきり状電
極どうしの間隔(図中L2)は6cmとし、導電性帯状
部材及びアノード電極の表面積の和に対するカソード電
極の表面積の比率を2.9倍とした。
【0052】なお、他のi型半導体層の形成容器100
a、H2プラズマ処理容器100c、n型層形成容器1
00nおよびp型層形成容器100pのカソード電極に
は、図3に示した従来型のカソード電極を用いた。
【0053】本例で用いた装置は、図4と同様に、帯状
部材101の送り出し及び巻き取り用の真空容器151
及び152を有し、この2つの真空容器の間に、第1の
導電型層作製用真空容器100n、i型層作製用真空容
器100a、100b、100c、第2の導電型層作製
用真空容器100pをガスゲートを介して接続した構成
からなる。
【0054】このような製造装置を用い、表1に示す作
製条件で、下部電極上に、第1の導電型層、i型層およ
び第2の導電型層を、以下に示すような作製手順により
連続的に形成し、シングルセル型の光起電力素子(素子
−実1と呼ぶ)を作製した。
【0055】(1)まず、基板送り出し機構を有する真
空容器151に、帯状部材101が巻きつけられたボビ
ン153をセットした。帯状部材101としては、十分
に脱脂、洗浄を行い、下部電極として、スパッタリング
法により、銀薄膜を100nm、ZnO薄膜を1μm蒸
着してあるSUS430BA製の帯状部材(幅120m
m×長さ200m×厚さ0.13mm)を用いた。
【0056】(2)帯状部材101をガスゲート、各非
単結晶層作製用真空容器を介して、帯状部材巻き取り機
構を有する真空容器152まで通し、たるみのない程度
に張力調整を行った。
【0057】(3)各真空容器151、100n、10
0a、100b、100c、100p、152を不図示
の真空ポンプで1×10-4Torr以下まで真空引きし
た。
【0058】(4)各ガスゲートに、各ゲートガス導入
管から、ゲートガスとしてH2を各々700sccm流
し、ランプヒータ124n、124a、124b、12
4c、124pにより、帯状部材101を、各々350
℃、300℃、300℃、300℃、300℃、250
℃に加熱した。
【0059】(5)各ガス導入管から、表1に示した条
件で所定のガスを導入した。
【0060】(6)各真空容器内の圧力は、表1に示し
た圧力値となるように、各コンダクタンスバルブで調整
した。
【0061】(7)工程(6)に示した圧力調整の後、
各カソード電極には表1に示した各RF電力を、それぞ
れ導入した。
【0062】(8)帯状部材101を図中の矢印の方向
に搬送させ、帯状部材上に、第1の導電型層、i型層お
よび第2の導電型層を、順次作製した。
【0063】(9)工程(8)で作製した第2の導電型
層の上に、透明電極として、ITO(In23+SnO
2)を真空蒸着にて70nm蒸着した後、さらに集電電
極として、Alを真空蒸着にて2μm蒸着し、光起電力
素子(素子−実1と呼ぶ)の作製を終えた。
【0064】表1には、本例に係る光起電力素子の作製
条件を示した。
【0065】
【表1】
【0066】(比較例1)本例では、i型層の形成後に
2プラズマ処理を行わなかった点が実施例1と異な
る。
【0067】光起電力素子の作製装置としては、図5に
示すようなロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式
を採用した連続プラズマCVD装置を用いた。図5の装
置は、帯状部材201の送り出し及び巻き取り用の真空
容器251及び252を有し、この2つの真空容器の間
に、第1の導電型層作製用真空容器200n、i型層作
製用真空容器200a、第2の導電型層作製用真空容器
200pをガスゲートを介して接続した構成からなる。
【0068】n型層形成容器200n、i型層形成容器
200a、p型層形成容器200p内のそれぞれのカソ
ード電極203n、203a、203pには、図3に示
した従来型のカソード電極を用いた。その際、導電性帯
状部材及びアノード電極の表面積の和に対するカソード
電極の表面積の比率を0.6倍とした。但し、光起電力
素子の作製条件は表2に示す作製条件とした。
【0069】他の点は実施例1と同様として、シングル
セル型の光起電力素子(素子−比1と呼ぶ)を作製し
た。
【0070】
【表2】
【0071】上述した実施例1および比較例1で作製し
た光起電力素子(素子−実1)及び(素子−比1)に対
して、変換効率、特性均一性および歩留の評価を行なっ
た。
【0072】電流電圧特性は、10mおきに5cm角の
面積で切出し、AM−1.5(100mw/cm2)光
照射下に設置し、光電変換効率を測定し、評価した。こ
の測定結果を、表3に示した。表中に示した各値は、
(素子−比1)の各特性を1.00として、(素子−実
1)の値を示した。
【0073】
【表3】
【0074】表3より、(素子−実1)は、(素子−比
1)に比べて全体的に各特性が向上し、特に開放電圧が
向上することが分かった。その結果、変換効率は1.0
5倍に向上した。
【0075】表3に示すように、比較例1の光起電力素
子(素子−比1)に対して、実施例1の光起電力素子
(素子−実1)は、変換効率において優れている。した
がって、本発明の形成方法により作製した光起電力素子
が、優れた特性を有することが明らかとなった。
【0076】特性均一性は、実施例1および比較例1で
作製した帯状部材上の光起電力素子(素子−実1)およ
び(素子−比1)を、10mおきに5cm角の面積で切
出し、AM−1.5(100mw/cm2)光照射下に
設置し、光電変換効率を測定して、その光電変換効率の
経時変化を評価した。比較例1の光起電力素子(素子−
比1)を基準にして、経時変化の大きさの逆数を求め
た。その結果を。表4に示した。
【0077】歩留は、実施例1および比較例1で作製し
た帯状部材上の光起電力素子(素子−実1)および(素
子−比1)を、10mおきに5cm角の面積で切出し、
その暗状態でのシャント抵抗を測定し、抵抗値が1×1
3Ω・cm2以上のものを良品としてカウントし、全数
中の比率を百分率で表し、評価した。このようにして求
めた実施例1(素子−実1)および比較例1(素子−比
1)の光起電力素子の歩留を求めた結果を、表4に示し
た。
【0078】
【表4】
【0079】表4に示すように、比較例1の光起電力素
子(素子−比1)に対して、実施例1の光起電力素子
(素子−実1)は、特性均一性及び歩留のいずれにおい
ても優れており、本発明の作製方法により作製したシン
グルセル型の光起電力素子が、優れた特性を有すること
が判明した。
【0080】(実施例2)本例では、図4と図5に示す
ようなロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式を採
用した連続プラズマCVD装置を連結して用い、図7に
示したトリプルセル型の光起電力素子を作製した。
【0081】まず、第1のセル層の形成容器としては、
図5の装置、すなわち第1の導電型層作製用真空容器2
00n、i型層作製用真空容器200a、第2の導電型
層作製用真空容器200pをガスゲートを介して接続し
た装置を1セット用いた。
【0082】次に、第1のセル層の形成容器に、これと
同様のものをさらに1セット増設し直列に連結して、第
2のセル層の形成容器とした。
【0083】さらに、第3のセル層の形成容器に図4で
示すような装置を直列に連結して、第3のセル層の形成
容器とした。ここで用いた図4に示すような装置とは、
第3の導電型層作成用真空容器100n、第3のi型層
作成用真空容器100a、100b、100c、第3の
導電型層作成用真空容器100pをガスゲートを介して
接続した装置であり、これを1セット用いた。そして、
これら3セットを直列に連結した後、最両端部に送り出
し容器151および巻き取り容器152を配した構造の
装置を用いて、図7のトリプルセル型の光起電力素子を
製作した。
【0084】また、i型層を作製する真空容器のうち、
100bには、図2(a)に示した形状のカソード電極
構造を有する形状容器を用いた。その際、帯状部材とカ
ソード電極の一部であるしきり状電極との最近接距離
(図中L1)は2cm、複数配置されたしきり状電極ど
うしの間隔(図中L2)は6cmとし、導電性帯状部材
及びアノード電極の表面積の和に対するカソード電極の
表面積比率を2.9倍とした。
【0085】なお、他のi型層形成容器、n型層形成容
器およびp型層形成容器のカソード電極には、図3に示
した従来型のカソード電極を用いた。
【0086】このような製造方法を用い、表5に示す作
製条件下で、下部電極上に、第1のセル(第1の導電型
層、第1のi型層及び第2の導電型層)、第2のセル
(第1の導電型層、第2のi型層及び第2の導電型
層)、第3のセル(第1の導電型層、第3のi型層及び
第2の導電型層)を順次積み重ねて堆積し、実施例1と
同様の作製手順により連続形成し、トリプルセル型の光
起電力素子(素子−実2と呼ぶ)を作製した。
【0087】表5には、本例に係る光起電力素子の作製
条件を示した。
【0088】
【表5】
【0089】(比較例2)本例では、第3のセル形成に
おいて、i型層の形成後にH2プラズマ処理を行わなか
った点が実施例2と異なる。すなわち、第3のセル形成
用の作製装置としては、図4に示した製造装置のうち、
100n、100a、100pの部分を用いた。
【0090】このような製造装置を用い、表6に示す作
製条件で、トリプルセル型の光起電力素子(素子−比2
と呼ぶ)を作製した。他の点は、実施例2と同様とし
た。
【0091】表6には、本例に係る光起電力素子の作製
条件を示した。
【0092】
【表6】
【0093】上述した実施例2で作製した光起電力素子
(素子−実2)と比較例2で作製した光起電力素子(素
子−比2)に対して、実施例1及び比較例1と同様に変
換効率、特性均一性および歩留の評価を行なった。
【0094】電流電圧特性は、10mおきに5cm角の
面積で切出し、AM−1.5(100mw/cm2)光
照射下に設置し、光電変換効率を測定し、評価した。こ
の測定結果を表7に示した。表中に示した各値は、(素
子−比2)の各特性を1.00として、(素子−実2)
の値を示した。
【0095】
【表7】
【0096】表7より、(素子−実2)は、(素子−比
2)に比べて全体的に各特性が向上し、特に開放電圧が
向上することが分かった。その結果、変換効率は1.0
4倍に向上した。
【0097】表7に示すように、比較例2の光起電力素
子(素子−比2)に対して、実施例2の光起電力素子
(素子−実2)は、変換効率において優れている。した
がって、本発明の形成方法により作製した光起電力素子
が、優れた特性を有することが分かった。
【0098】特性均一性は、実施例2および比較例2で
作製した帯状部材上の光起電力素子(素子−実2)およ
び(素子−比2)を、10mおきに5cm角の面積で切
出し、AM−1.5(100mw/cm2)光照射下に
設置し、光電変換効率を測定して、その光電変換効率の
経時変化を評価した。比較例2の光起電力素子(素子−
比2)を基準にして、経時変化の大きさの逆数を求め
た。その結果を表8に示した。
【0099】歩留は、実施例2および比較例2で作製し
た帯状部材上の光起電力素子(素子−実2)および(素
子−比2)を、10mおきに5cm角の面積で切出し、
その暗状態でのシャント抵抗を測定し、抵抗値が1×1
3Ω・cm2以上のものを良品としてカウントし、全数
中の比率を百分率で表し、評価した。このようにして求
めた実施例2(素子−実2)および比較例2(素子−比
2)の光起電力素子の歩留を求めた結果を表8に示し
た。
【0100】
【表8】
【0101】表8に示すように、比較例2の光起電力素
子(素子−比2)に対して、実施例2の光起電力素子
(素子−実2)は、特性均一性及び歩留のいずれにおい
ても優れており、本発明の作製方法により作製したトリ
プルセル型の光起電力素子が、優れた特性を有すること
が判明した。
【0102】(実施例3)本例では、図4に示すような
ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式を採用した
連続プラズマCVD装置のうち、i型層を作製する真空
容器のうちH2プラズマ処理を行う真空容器の一つ10
0cに、実施例1と同様の図2(a)に示した形状のカ
ソード電極構造を有する形成容器を用い、図6に示した
シングルセル型の光起電力素子を作製した点が実施例1
と異なる。
【0103】このような製造装置を用い、表9に示す作
製条件で、シングルセル型の光起電力素子(素子−実3
と呼ぶ)を作製した。他の点は、実施例1と同様とし
た。
【0104】表9には、本例に係る光起電力の作製条件
を示した。
【0105】
【表9】
【0106】上述した実施例3で作製した光起電力素子
(素子−実3)に対して、実施例1及び比較例1と同様
に変換効率、均一特性および歩留の評価を行った。表1
0には、(素子−実3)の結果と、比較例1で作製した
(素子−比1)の結果を纏めて示した。
【0107】電流電圧特性は、10mおきに5cm角の
面積で切出し、AM−1.5(100mW/cm2)光
照射下の設置し、光変換効率を測定し、評価した。この
測定結果を表10に示した。表中に示した各値は、(素
子−比1)の各特性を1.00として(素子−実3)の
値を示した。
【0108】
【表10】
【0109】表10より、(素子−実3)は、(素子−
比1)に比べて全体的に各特性が向上し、特にフィルフ
ァクターが向上することが分かった。その結果、変換効
率は1.06倍に向上した。
【0110】表10に示すように、比較例1の光起電力
素子(素子−比1)に対して、実施例3の光起電力素子
(素子−実3)は、変換効率において優れている。した
がって、本発明の形成方法により作製した光起電力素子
が、優れた特性を有することが明らかとなった。
【0111】特性均一性は、実施例3および比較例1で
作製した帯状部材上の光起電力素子(素子−実3)およ
び(素子−比1)を、10mおきに5cm角の面積で切
出し、AM−1.5(10cmw/cm2)光照射下に
設置し、光電変換効率を測定して、その光電変換効率の
経時変化を評価した。比較例1の光起電力素子(素子−
比1)を基準にして、経時変化の大きさの逆数を求め
た。その結果を表11に示した。
【0112】歩留は、実施例3および比較例1で作製し
た帯状部材上の光起電力素子(素子−実3)および(素
子−比1)を、10mおきに5cm角の面積で切出し、
その暗状態でのシャント抵抗を測定し、抵抗値が1×1
3Ω・cm2以上のものを良品としてカウントし、全数
中の比率を百分率で表し、評価した。このようにして求
めた実施例3(素子−実3)および比較例1(素子−比
1)の光起電力素子の歩留を求めた結果を表11に示し
た。
【0113】
【表11】
【0114】表11に示すように、比較例1の光起電力
素子(素子−比1)に対して、実施例3の光起電力素子
(素子−実3)は、特性均一性及び歩留のいずれにおい
ても優れており、本発明の作製方法により作製したシン
グルセル型の光起電力素子が、優れた特性を有すること
が判明した。
【0115】(実施例4)本例では、図4に示すような
ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式を採用した
連続プラズマCVD装置のうち、n型層を作製する真空
容器100nのあとに真空容器100a、100bにて
水素プラズマ処理をする。真空容器100bに、実施例
1と同様の図2(a)に示した形状のカソード電極構造
を有する真空容器を用い、図6に示したシングルセル型
の光起電力素子を作成した点が実施例1と異なる。
【0116】このような製造装置を用い、表12に示す
作成条件でシングルセル型光起電力素子(素子−実4と
呼ぶ)を作成した。他の点は、実施例1と同様とした。
【0117】表12には、本例に係る光起電力素子の作
成条件を示した。
【0118】
【表12】
【0119】上述した実施例4で作製した光起電力素子
(素子−実4)に対して、実施例1及び比較例1と同様
に変換効率、均一特性および歩留の評価を行った。表1
3には、(素子−実4)の結果と、比較例1で作製した
(素子−比1)の結果を纏めて示した。
【0120】電流電圧特性は、10mおきに5cm角の
面積で切出し、AM−1.5(100mW/cm2)光
照射下の設置し、光変換効率を測定し、評価した。この
測定結果を表13に示した。表中に示した各値は、(素
子−比1)の各特性を1.00として(素子−実4)の
値を示した。
【0121】
【表13】
【0122】表13より、(素子−実4)は、(素子−
比1)に比べて全体的に各特性が向上し、特にフィルフ
ァクターが向上することが分かった。その結果、変換効
率は1.06倍に向上した。
【0123】表13に示すように、比較例1の光起電力
素子(素子−比1)に対して、実施例4の光起電力素子
(素子−実4)は、変換効率において優れている。した
がって、本発明の形成方法により作製した光起電力素子
が、優れた特性を有することが分かった。
【0124】特性均一性は、実施例4および比較例1で
作製した帯状部材上の光起電力素子(素子−実4)およ
び(素子−比1)を、10mおきに5cm角の面積で切
出し、AM−1.5(100mW/cm2)光照射下に
設置し、光電変換効率を測定して、その光電変換効率の
経時変化を評価した。比較例1の光起電力素子(素子−
比1)を基準にして、経時変化の大きさの逆数を求め
た。その結果を表11に示した。
【0125】歩留は実施例4および比較例1で作製した
帯状部材上の光起電力素子(素子−実4)および(素子
−比1)を、10mおきに5cm角の面積で切出し、そ
の暗状態でのシャント抵抗を測定し、抵抗値が1×10
3Ω・cm2以上のものを良品としてカウントし、全数中
の比率を百分率で表し、評価した。このようにして求め
た実施例4(素子−実4)および比較例1(素子−比
1)の光起電力素子の歩留を求めた結果を表14に示し
た。
【0126】
【表14】
【0127】表14に示すように、比較例1の光起電力
素子(素子−比1)に対して、実施例4の光起電力素子
(素子−実4)は、特性均一性及び歩留のいずれにおい
ても優れており、本発明の作製方法によりn型層成膜後
に負電位、正電位のH2プラズマ処理を行って作製した
シングルセル型の光起電力素子が、優れた特性を有する
ことが判明した。
【0128】(実施例5)本例では、実施例1のH2
ラズマ処理をする形成容器において、帯状部材とカソー
ド電極の一部であるしきり状電極との最近接距離(図1
中のL1)を変えた5種類の装置[L1(cm)=0.
2、1、3、5、6]を作製し、図6に示したシングル
セル型の光起電力素子を各々作製した点が実施例1と異
なる。
【0129】すなわち、実施例1のH2プラズマ処理を
する形成容器とは、i型層を作製する真空容器のうち、
100bと100dに用いた、図2(a)に示した形状
のカソード電極構造を有する形成容器を意味する。
【0130】その際、複数設置されたしきり状電極どう
しの間隔(図1中のL1)は5cmに固定した。また、
導電性帯状部材及びアノード電極の表面積の和に対する
カソード電極の表面積の比率を概ね2.9倍とした。
【0131】このような製造装置を用い、表1に示す作
製条件で、シングルセル型の光起電力素子(素子−実5
1〜55と呼ぶ)を作製した。他の点は、実施例1と同
様とした。
【0132】本例で作製した光起電力素子(素子−実5
1〜55)に対して、実施例1と同様に変換効率、特性
均一性および歩留の評価を行なった。比較例としては、
従来法で作製した比較例1の光起電力素子(素子−比
1)の結果を用いた。
【0133】電流電圧特性は、10mおきに5cm角の
面積で切出し、AM−1.5(100mW/cm2)光
照射下に設置し、光電変換効率を測定し、評価した。こ
の測定結果を表15に示した。表中に示した各値は、
(素子−比1)の各特性を1.00として(素子−実5
1〜55)の値を示した。
【0134】
【表15】
【0135】表15に示すように、比較例1(素子−比
1)の光起電力素子に対して、本例に係る光起電力素子
のうち(素子−実51〜54)すなわちL1が5.0c
m以下の場合、(素子−比1)に比べて全体的に各特性
が向上している。特に(素子−実51、52)すなわち
L1が1.0cm以下の場合には、変換効率が1.03
〜1.04倍することが分かった。
【0136】したがって、しきり状電極と帯状部材との
最近接距離(L1)を5cm以下、望ましくは1cm以
下とした装置を用いることで、優れた特性を有する光起
電力素子が得られることが判明した。
【0137】(実施例6)本例では、実施例1のH2
ラズマ処理をする形成容器において、複数設置されたし
きり状電極同士の間隔(図1中のL2)を変えた6種類
の装置[L2(cm)=1、2、4、7、10、12]
を作製し、図6に示したシングルセル型の光起電力素子
を各々作製した点が実施例1と異なる。
【0138】すなわち、実施例1のH2プラズマ処理を
する形成容器とは、i型層を作製する真空容器のうち、
100bに用いた、図2(a)に示した形状のカソード
電極構造を有する形成容器を意味する。
【0139】その際、帯状部材とカソード電極の一部で
あるしきり状電極との最近接距離(図1中のL1)は1
cmに固定した。また、導電性帯状部材及びアノード電
極の表面積の和に対するカソード電極の表面積の比率を
概ね2.9倍とした。
【0140】このような製造装置を用い、表1に示す作
製条件で、シングルセル型の光起電力素子(素子−実6
1〜66と呼ぶ)を作製した。他の点は、実施例1と同
様とした。
【0141】本例で作製した光起電力索子(素子−実6
1〜66)に対して、変換効率、特性均一性および歩留
の評価を行なった。比較例としては、従来法で作製した
比較例1の光起電力素子(素子−比1)の結果を用い
た。
【0142】電流電圧特性は、10mおきに5cm角の
面積で切出し、AM−1.5(100mW/cm2)光
照射下に設置し、光電変換効率を測定し、評価した。こ
の測定結果を、表16に示した。表中に示した各値は、
(素子−比1)の各特性を1.00として、(素子−実
61〜66)の値を示した。
【0143】
【表16】
【0144】表16に示すように、比較例1(素子−比
1)の光起電力素子に対して、本例の光起電力素子のう
ち(素子−実62〜65)すなわちL2が2cm以上1
0cm以下の場合、(素子−比1)に比べて、変換効率
が特に向上することが分かった。
【0145】したがって、複数設置されたしきり状電極
どうしの間隔(図1中のL2)を2cm以上10cm以
下とした装置を用いることで、優れた特性を有する光起
電力素子が得られることが判明した。
【0146】(実施例7)本例では、図4に示すような
ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式を採用した
連続プラズマCVD装置のうち、i型層の形成容器にお
いて、導入するSiH4ガスの流量および印加するRF
電力を変えることにより、i型層の堆積速度を変化させ
て、図6に示したシングルセル型の光起電力素子を作製
した。
【0147】図4の装置のうち、i型層を作製する全て
の真空容器、すなわち100a、100b、および10
0cに、実施例1と同様の図2(a)に示した形状のカ
ソード電極構造を有する形成容器を用いた。その際、帯
状部材とカソード電極の一部であるしきり状電極との最
近接距離(図中L1)は2cm、複数設置されたしきり
状電極どうしの間隔(図中L2)は6cmとし、導電性
帯状部材及びアノード電極の表面積の和に対するカソー
ド電極の表面積の比率を2.9倍とした。
【0148】なお、n型層形成容器100nおよびp型
層形成容器100pのカソード電極には、図3に示した
従来型のカソード電極を用いた。
【0149】このような製造装置を用い、表17に示す
作製条件で、シングルセル型の光起電力素子(素子−実
71〜74と呼ぶ)を作製した。他の点は、実施例1と
同様とした。
【0150】
【表17】
【0151】(比較例7)本例では、i型層の形成後に
2プラズマ処理を行わなかった点が実施例6と異な
る。すなわち、図5に示したようなロール・ツー・ロー
ル(Roll toRoll)方式を採用した連続ブラ
ズマCVD法において、i型層形成容器100a、n型
層形成容器100nおよびp型層形成容器100pのカ
ソード電極には、図3に示した従来型のカソード電極
(この場合、導電性帯状部材及びアノード電極の表面積
の和に対するカソード電極の表面積の比率は0.6倍と
した)を用いた。なお、i型層の膜厚は、放電空間の開
口長を調整することによって、実施例7および比較例7
のいずれの条件下においてても140nm一定とした。
【0152】このような製造装置を用い、表15に示す
作製条件で、シングルセル型の光起電力素子(素子−比
71〜74と呼ぶ)を作製した。他の点は、実施例1と
同様とした。
【0153】表18には、本例に係る光起電力素子の作
製条件を示した。
【0154】
【表18】
【0155】上述した実施例7と比較例7で作製した光
起電力素子(素子−実71〜74)および(素子−比7
1〜74)に対して、実施例1と同様に変換効率の評価
を行なった。
【0156】電流電圧特性は、10m置きに5cm角の
面積で切出し、AM−1.5(100mW/cm2)光
照射下に設置し、光電変換効率を測定し、評価した。こ
の測定結果を表19に示した。表中に示した各値は、
(素子−比71)の各特性を1.00として(素子−実
71〜74)および(素子−比72〜74)の値を示し
た。
【0157】
【表19】
【0158】表19から、本発明に係るカソード構造を
用いた場合、放電時におけるカソード電極の自己バイア
スは正電位となり、光起電力素子の特性(素子−実71
〜74)は、(素子−比71)に比べ全体的に変換効率
が向上することが分かった。特に、堆積速度を毎秒0.
1nm以上に大きくした場合(素子−実72〜74)に
おいても、特性の落ち込みを抑えることができた。一
方、従来型のカソード電極構造を用いた場合(素子−比
71〜74)は、堆積速度を大きくしていくと変換効率
が落ち込むことが分かった。
【0159】すなわち、比較例7(素子−比71〜7
4)の光起電力素子に対して、実施例7の光起電力素子
(素子−実71〜74)は、変換効率において優れてい
ることが明らかとなった。
【0160】したがって、本発明のカソード電極構造を
有する装置を用い、H2プラズマ処理を行えば、堆積速
度を大きくしていった場合においても、光起電力素子は
優れた特性を有することが判明した。
【0161】(実施例8)本例では、i型層形成容器1
00a、100c内の放電空間における帯状部材側への
開口長を変えることにより、H2プラズマ処理前に堆積
するi型半導体膜の膜厚(すなわち、i型層のトータル
膜厚)を変化させて、図6に示したシングルセル型の光
起電力素子を作製した点が実施例7と異なる。
【0162】但し、実施例7で変化させた因子(i型層
の形成容器において、導入するSiH4ガスの流量およ
び印加するRF電力)は一定の値に固定した。すなわ
ち、i型層の堆積速度は固定した。
【0163】なお、n型層形成容器100nおよびp型
層形成容器100pのカソード電極には、図3に示した
従来型のカソード電極を用いた。
【0164】このような製造装置を用い、表20に示す
作製条件で、シングルセル型の光起電力素子(素子−実
81〜86と呼ぶ)を作製した。他の点は、実施例1と
同様とした。
【0165】
【表20】
【0166】本例で作製した光起電力素子(素子−実8
1〜86)に対して、実施例1と同様に変換効率の評価
を行なった。
【0167】電流電圧特性は、10mおきに5cm角の
面積で切出し、AM−1.5(100mW/cm2)光
照射下に設置し、光電変換効率を測定し、評価した。こ
の測定結果を、表21に示した。表中に示した各値は、
(素子−実81)の各特性を1.00として、(素子−
実82〜86)の値を示した。
【0168】
【表21】
【0169】表21から、本発明のカソード構造および
2プラズマ処理を行う場合、H2プラズマ処理前に堆積
する、半導体膜の膜厚(本例においてはi型層のトータ
ル膜厚)が、20nm以上100nm以下の範囲(素子
−実82〜85)において、変換効率が向上しているこ
とが分かった。
【0170】したがって、H2プラズマ処理前に堆積す
るi型半導体膜の膜厚(すなわち、i型層のトータル膜
厚)を、20nm以上100nm以下の範囲に限定する
ことで、優れた特性を有する光起電力素子が得られるこ
とが判明した。
【0171】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
基板上に、非単結晶半導体薄膜が大きな堆積速度で形成
でき、得られた膜は高い光電変換効率を有し、均一性に
優れ、欠陥が少なく、光劣化しにくいという特徴を兼ね
備えた、堆積膜の形成方法及び形成装置が得られる。特
に、本発明に係る堆積膜の形成方法及び形成装置は、大
面積にわたって、高品質で優れた均一性を有し、欠陥の
少ない光起電力素子を、高いスループットで大量に再現
良く生産する際に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る堆積膜の形成装置を構成するカソ
ード電極を備えた放電容器の一例を示す模式的な断面図
である。
【図2】図1の放電容器内に設ける各種構成のカソード
電極を示す模式的な斜視図である。
【図3】従来型カソード電極を備えた放電容器の一例を
示す模式的な断面図である。
【図4】本発明に係る堆積膜の形成装置の一例を示す模
式的な断面図である。
【図5】従来例に係る堆積膜の形成装置の一例を示す模
式的な断面図である。
【図6】本発明に係るシングルセル型の光起電力素子の
一例を示す模式的な断面図である。
【図7】本発明に係るトリプルセル型の光起電力素子の
一例を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
100n、100a、100b、100c、100p
真空容器、 101 導電性帯状部材、 103n、103a、103c、103pカソード電
極、 103b しきり状電極付きカソード電極 104n、104a、104b、104c、104p
ガス導入管、 107n、107a、107b、107c、107p
排気管、 124n、124a、124b、124c、124p
ランプヒーター、 131n、131、132、133、134、131p
ガスゲート導入管、 141n、141、142、143、144、141p
ガスゲート、 151、152 真空容器、 153、154 ボビン、 155、156 圧力計、 157、158 排気管、 159、160 コンダクタンスバルブ、 161、162 ステアリングローラ、 200n、200a、200p 真空容器、 201 導電性帯状部材、 203n、203a、203p カソード電極、 204n、204a、204p ガス導入管、 207n、207a、207p 排気管、 224n、224a、224p ランプヒーター、 231n、231、232、231p ガスゲート導入
管、 241n、241、242、241p ガスゲート、 251、252 真空容器、 253、254 ボビン、 255、256 圧力計、 257、258 排気管、 259、260 コンダクタンスバルブ、 261、262 ステアリングローラ、 1000 導電性帯状部材、 1001 真空容器、 1002 カソード電極、 1003 しきり状電極、 1004 接地(アノード)電極、 1005 ランプヒーター、 1006 排気口、 1007 ガス導入管、 1008 ガスゲート、 2000 導電性帯状部材、 2001 真空容器、 2002 カソード電極、 2004 接地(アノード)電極、 2005 ランプヒーター、 2006 排気口、 2007 ガス導入管、 2008 ガスゲート、 4001 SUS基板、 4002 Ag薄膜、 4003 ZnO薄膜、 4004 第1の導電型層、 4005 i型層、 4006 第2の導電型層、 4007 ITO、 4008 集電電極、 5001 SUS基板、 5002 Ag薄膜、 5003 ZnO薄膜、 5004 第1の導電型層、 5005 第1のi型層、 5006 第2の導電型層、 5007 第1の導電型層、 5008 第2のi型層、 5009 第2の導電型層、 5010 第1の導電型層、 5011 第3のi型層、 5012 第2の導電型層、 5013 ITO、 5014 集電電極。
フロントページの続き (72)発明者 酒井 明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 幸田 勇蔵 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 矢島 孝博 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 金井 正博 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 Fターム(参考) 4G075 AA24 AA30 BA05 CA15 CA47 CA51 EC21 FB02 FB04 FC11 5F051 AA03 AA04 AA05 BA14 CA16 CA22 CA23 CA24 CA32 DA18 GA02 HA20 5F052 KA05

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応容器の放電空間内へ材料ガスを導入
    し、高周波電力を印加して該材料ガスをプラズマ放電に
    よって分解し、基板上に非単結晶半導体薄膜を形成する
    堆積膜の形成方法において、 前記基板の上に前記非単結晶半導体薄膜を所定の膜厚堆
    積させた後、該非単結晶半導体薄膜の表面に対して、前
    記放電空間内で、正電位のカソード電極による水素プラ
    ズマ処理を、次いで負電位のカソード電極による水素プ
    ラズマ処理を順に行い、その後、前記水素プラズマ処理
    が施された該非単結晶半導体薄膜の表面上に、さらに非
    単結晶半導体薄膜を堆積させることを特徴とする堆積膜
    の形成方法。
  2. 【請求項2】 反応容器の放電空間内へ材料ガスを導入
    し、高周波電力を印加して該材料ガスをプラズマ放電に
    よって分解し、基板上に非単結晶半導体薄膜を形成する
    堆積膜の形成方法において、 前記基板の上に前記非単結晶半導体薄膜を所定の膜厚堆
    積させた後、該非単結晶半導体薄膜の表面に対して、前
    記放電空間内で、負電位のカソード電極による水素プラ
    ズマ処理を、次いで正電位のカソード電極による水素プ
    ラズマ処理を順に行い、その後、前記水素プラズマ処理
    が施された該非単結晶半導体薄膜の表面上に、さらに非
    単結晶半導体薄膜を堆積させることを特徴とする堆積膜
    の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記基板が帯状基板であり、前記水素プ
    ラズマ処理は、該帯状部材をその長手方向に連続的に移
    動させながら行われることを特徴とする請求項1又は2
    に記載の堆積膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 前記正電位のカソード電極による水素プ
    ラズマ処理は、カソード電極の放電空間における表面積
    を、前記放電空間における前記基板及びアソード電極の
    表面積の和よりも大きくし、グロー放電成起時における
    前記カソード電極の電位すなわち自己バイアスが、前記
    基板及び前記アノード電極に対して+5V以上の正電位
    が生起する状態で行われることを特徴とする請求項1乃
    至3のいずれか1項に記載の堆積膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 前記正電位のカソード電極として、しき
    り状電極を備えた高周波電力印加電極を用いること特徴
    とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の堆積膜の
    形成方法。
  6. 【請求項6】 前記水素プラズマ処理は、20nm以上
    100nm以下の厚さからなる非単結晶半導体薄膜に対
    して行われることを特徴とする請求項1又は請求項2に
    記載の堆積膜形成方法。
  7. 【請求項7】 前記水素プラズマ処理が施される非単結
    晶半導体薄膜は、1オングストローム毎秒以上の堆積速
    度で形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の堆積膜の形成方法。
  8. 【請求項8】 放電空間を有する反応容器を備え、該反
    応容器内の放電空間へ材料ガスを導入するとともに、高
    周波電力を印加して該材料ガスを分解し、基板上に非単
    結晶半導体薄膜を形成する堆積膜の形成装置において、 前記基板の上に前記非単結晶半導体薄膜を所定の膜厚堆
    積させた後、該非単結晶半導体薄膜の表面に対して、前
    記放電空間内で、正電位のカソード電極による水素プラ
    ズマ処理と、負電位のカソード電極による水素プラズマ
    処理とを施す手段を備えたことを特徴とする堆積膜の形
    成装置。
  9. 【請求項9】 前記基板が帯状部材であり、前記反応容
    器内において、該帯状部材をその長手方向に連続的に移
    動させる手段を備えたことを特徴とする請求項8に記載
    の堆積膜の形成装置。
  10. 【請求項10】 前記正電位のカソード電極は、該カソ
    ード電極の放電空間における表面積が、前記放電空間に
    おける前記基板及びアノード電極の表面積の和よりも大
    きく、グロー放電成起時における前記カソード電極の電
    位すなわち自己バイアスが、前記帯状部材及び前記アノ
    ード電極の対して+5V以上の正電位を生起維持し得る
    構造であることを特徴する請求項9又は10に記載の堆
    積膜の形成装置。
  11. 【請求項11】 前記正電位のカソード電極は、しきり
    状電極を備えた高周波電力印加電極であること特徴とす
    る請求項8乃至10のいずれか1項に記載の堆積膜の形
    成方法。
  12. 【請求項12】 前記正電位のカソード電極はしきり状
    電極を備え、該しきり状電極は、前記帯状部材の移動方
    向に対して、平行または垂直に所定の間隔で複数配置さ
    れていることを特徴とする請求項9に記載の堆積膜の形
    成装置。
  13. 【請求項13】 前記しきり状電極の形状は、フィン状
    またはブロック状であることを特徴とする請求項11又
    は12に記載の堆積膜の形成装置。
  14. 【請求項14】 前記しきり状電極は、隣り合う位置に
    あるしきり状電極との間隔が、放電を生起維持するに十
    分な距離であることを特徴とする請求項11又は12に
    記載の堆積膜の形成装置。
  15. 【請求項15】 前記距離は、2cm以上10cm以下
    であることを特徴とする請求項14に記載の堆積膜の形
    成装置。
  16. 【請求項16】 前記しきり状電極の先端部と前記基板
    との間には水素ガスの通る隙間が設けられ、かつ、該し
    きり状電極の先端部は該帯状部材に近接配置されている
    ことを特徴とする請求項11又は12に記載の堆積膜の
    形成装置。
  17. 【請求項17】 前記隙間は、5cm以下で、しかも前
    記しきり状電極の先端部と前記基板が互いに物理的に接
    触することのない距離であることを特徴とする請求項1
    0に記載の堆積膜の形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010147412A (ja) * 2008-12-22 2010-07-01 Fuji Electric Holdings Co Ltd 薄膜太陽電池の製造方法及び薄膜太陽電池

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