JP2000182221A - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents

磁気抵抗効果素子

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JP2000182221A
JP2000182221A JP35878298A JP35878298A JP2000182221A JP 2000182221 A JP2000182221 A JP 2000182221A JP 35878298 A JP35878298 A JP 35878298A JP 35878298 A JP35878298 A JP 35878298A JP 2000182221 A JP2000182221 A JP 2000182221A
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layer
magnetoresistive
magnetostriction
magnetoresistive layer
magnetization
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JP35878298A
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Yoshiaki Shimizu
善明 清水
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Alps Alpine Co Ltd
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Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気抵抗効果層の両側に形成されているハー
ドバイアス層からのバイアス磁界は比較的強いために、
軟磁性層の膜厚を厚くして前記軟磁性層から発生する静
磁結合磁界を強くしなければ、前記磁気抵抗効果層の磁
化を、所定の方向に揃えることができない。この場合、
前記軟磁性層の膜厚を厚くすることで、磁気抵抗効果層
へのセンス電流の分流比が小さくなり、再生出力が低下
する。 【解決手段】 磁気抵抗効果層24の磁歪を0.5×1
-6以上4.7×10-6以下の範囲内に設定すること
で、逆磁歪効果により、軟磁性層22の膜厚t2を薄く
しても、前記磁気抵抗効果層24の磁化を所定方向に設
定できる。前記軟磁性層22の膜厚t2を薄くできるこ
とで、前記磁気抵抗効果層24へのセンス電流の分流比
を大きくでき、よって再生出力を大きくすることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟磁性層/非磁性
層/磁気抵抗効果層の3層を有する磁気抵抗効果素子
(AMR素子)に係り、特に磁気抵抗効果層へのセンス
電流の分流比を大きくして再生出力を向上させることが
可能な磁気抵抗効果素子に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は、従来における磁気抵抗効果素子
11を用いたMRヘッドの構造を記録媒体との対向面か
ら見た部分断面図である。図3に示すMRヘッドは、異
方性磁気抵抗効果を利用したAMR素子を有し、このM
Rヘッドによって、ハードディスクなどの記録媒体から
の記録磁界が検出される。
【0003】図3に示す最も下側に形成されている層
は、例えばNi−Fe合金などの磁性材料で形成された
下部シールド層1であり、この下部シールド層1の上
に、Al 23やSiO2などの非磁性材料で形成された
下部ギャップ層2が形成されている。そしてこの下部ギ
ャップ層2の上に、積層体6とその両側に形成されたハ
ードバイアス層7及び電極層8とで構成された磁気抵抗
効果素子(AMR素子)11が形成されている。
【0004】図3に示すように、下部ギャップ層2の上
には、軟磁性層(SAL層)3、非磁性層(SHUNT
層)4、及び磁気抵抗効果層(MR層)5が積層されて
構成された積層体6が形成されている。一般的に、軟磁
性層3は、Ni−Fe−Nb(ニッケル−鉄−ニオブ)
合金、非磁性層4はTa(タンタル)などの非磁性材
料、また磁気抵抗効果層5は、Ni−Fe(ニッケル−
鉄)合金で形成される。なお前記積層体6上面の幅寸法
にてトラック幅Twが決定される。
【0005】図3に示すように、前記積層体6の両側に
は、Co−Pt(コバルト−白金)合金やCo−Cr−
Pt(コバルト−クロム−白金)合金などで形成された
一対のハードバイアス層7,7が形成されている。前記
ハードバイアス層7,7は、図示X方向(トラック幅方
向)に磁化されており、前記ハードバイアス層7から磁
気抵抗効果層5にX方向のバイアス磁界が与えられる。
さらに前記ハードバイアス層7,7の上にはAuあるい
はTaなどの非磁性導電材料で形成された電極層8,8
が形成されている。
【0006】前述のように、磁気抵抗効果層5には、ハ
ードバイアス層7からの縦バイアス磁界が与えられてお
り、これにより、前記磁気抵抗効果層5の磁化は図示X
方向に揃えられる。前記電極層8からのセンス電流は、
主に磁気抵抗効果層5に図示X方向で流れる。
【0007】前記センス電流が磁気抵抗効果層5に流れ
ることにより、前記磁気抵抗効果層5からX軸回りの自
発磁化が発生し、この自発磁化の影響を受けて軟磁性層
3は図示Y方向(ハイト方向)に磁化される。
【0008】そして、ハードバイアス層7,7からの縦
バイアス磁界によって図示X方向に揃えられた磁気抵抗
効果層5の磁化は、図示Y方向に磁化された軟磁性層3
からの静磁結合エネルギーによる横バイアス磁界によっ
て図示X方向から図示Y方向へ45度の角度で傾けられ
ることが好ましい。
【0009】記録媒体からの洩れ磁界が図示Y方向に侵
入してくると、前記磁気抵抗効果層5の磁化は変動し、
この磁化の変動による電気抵抗の変化により記録媒体か
らの漏れ磁界が検出される。なお磁気抵抗効果層5の磁
化を図示X方向から図示Y方向へ45度に傾けると、記
録媒体からの洩れ磁界に対する電気抵抗の変化量は最も
大きくなり、再生感度を良好にすることができる。
【0010】図3に示すように、前記積層体6及び電極
層8の上には、Al23やSiO2などの非磁性材料で
形成された上部ギャップ層9が形成され、さらに前記上
部ギャップ層9の上には、Ni−Fe合金などの磁性材
料で形成された上部シールド層10が形成される。なお
図3に示すように、下部ギャップ層2から上部ギャップ
層9までの総合膜膜厚で、磁気ギャップ長Gl1が決定
される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで従来において
は、積層体6を構成する磁気抵抗効果層5の磁歪λsは
0に近い数値に設定されることが好ましいと考えられて
おり、具体的には前記磁気抵抗効果層5の磁歪λsを±
0.3×10-6の範囲内で設定していた。これは、磁気
抵抗効果素子11の記録媒体との対向面を加工した際な
どに、前記磁気抵抗効果層5に応力が発生するため、前
記磁気抵抗効果層5が上記磁歪λsの範囲外に設定され
ると、前記磁気抵抗効果層5の磁化が逆磁歪効果の影響
を受けやすくなるからである。
【0012】従って前記磁気抵抗効果層5の磁歪λsを
0に近い値に設定すれば、逆磁歪効果の影響をほとんど
考慮する必要がなく、従来では、ハードバイアス層7か
らのバイアス磁界によって図示X方向に揃えられた磁気
抵抗効果層5の磁化を、軟磁性層3からの静磁結合磁界
の強さのみを調整することによって、図示X方向からY
方向へ傾けていた。
【0013】しかしながら、磁気抵抗効果層5の両側に
形成されているハードバイアス層7,7から発生する縦
バイアス磁界は非常に強いために、軟磁性層3から発生
する静磁結合エネルギーによる横バイアス磁界を強くし
なければ、前記磁気抵抗効果層5の磁化を図示X方向か
ら図示Y方向へ45度に適正に傾けることはできない。
【0014】この場合、静磁結合エネルギーによる横バ
イアス磁界の強さは、軟磁性層3を形成する材質そのも
のが有する飽和磁束密度Msと、前記軟磁性層3の膜厚
h1との乗数で求めることができ、前記膜厚h1を厚く
することによって、静磁結合による横バイアス磁界を強
くすることができる。よって前記軟磁性層3の膜厚h1
を厚くして横バイアス磁界を強くすることで、磁気抵抗
効果層5の磁化を図示X方向から図示Y方向へ45度に
適正に傾けることが可能であると考えられる。
【0015】しかしながら、前記軟磁性層3の膜厚h1
を厚くすると、電極層8から磁気抵抗効果層5に流れる
べきセンス電流が、軟磁性層3にも分流しやすくなり、
再生出力が低下するといった問題があった。
【0016】本発明は、上記従来の課題を解決するため
のものであり、特に磁気抵抗効果層の磁化を適正な方向
に揃えることができるとともに、磁気抵抗効果層へのセ
ンス電流の分流比を大きくし、再生出力を上げることが
可能な磁気抵抗効果素子を提供することを目的としてい
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、非磁性層を介
して重ねられた磁気抵抗効果層と軟磁性層とを有する積
層体の両側に、一対のバイアス層及び電極層が形成され
て成る磁気抵抗効果素子において、前記磁気抵抗効果層
の磁歪λsは、0.5×10-6以上4.×10 -6以下で
あることを特徴とするものである。
【0018】上記した磁歪λsを得るには、前記磁気抵
抗効果層を形成する磁性材料の組成にFeが含有されて
いる場合、Feの組成比は、20.1at%以上21.
2at%以下であることが好ましい。
【0019】また本発明では、前記磁気抵抗効果層の磁
歪λsは、1.6×10-6以上3.6×10-6以下であ
ることがより好ましい。この磁歪λsを得るには、前記
磁気抵抗効果層を形成する磁性材料の組成にFeが含有
されている場合、Feの組成比は、20.4at%以上
20.9at%以下であることが好ましい。
【0020】AMR素子は、その上下、及び記録媒体と
の対向面(ABS面)の逆側(以下、ハイト側と称す)
の側面が絶縁膜により覆われて、前記ABS面のみが外
部に露出しているが、前記AMR素子の熱膨張係数は、
絶縁膜の熱膨張係数に比べて大きいために、前記AMR
素子には、ハイト方向(記録媒体との対向面から離れる
方向)に引張り応力が働いている。また前記AMR素子
はそのハイト方向への長さを調整するために、前記AB
S面が加工されるが、この加工によっても前記AMR素
子には、ハイト方向へ引張り応力が働く。
【0021】本発明では、AMR素子のうち積層体を構
成する磁気抵抗効果層の磁歪を、0.5×10-6以上
4.7×10-6以下の範囲内に設定することで、逆磁歪
効果により前記磁気抵抗効果層の磁化をハイト方向に誘
起させている。
【0022】従って、前記磁気抵抗効果層に非磁性層を
介して対向する軟磁性層の膜厚を薄くし、この軟磁性層
から発生するハイト方向への静磁結合エネルギーによる
横バイアス磁界が弱くても、ハードバイアス層からトラ
ック幅方向に縦バイアス磁界の影響を受ける磁気抵抗効
果層の磁化を、前記トラック幅方向からハイト方向へ4
5度に傾けることが可能である。
【0023】このように本発明によれば、逆磁歪効果を
利用することで、軟磁性層の膜厚を薄くすることができ
るので、電極層からセンス電流を流した際における前記
軟磁性層への分流を極力抑制し、磁気抵抗効果層へのセ
ンス電流の分流比を大きくできるので、再生出力を向上
させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、本発明における磁気抵抗
効果素子を用いたMRヘッドの構造を記録媒体との対向
面から見た部分断面図である。図1に示すMRヘッド
は、異方性磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果素子
(AMR素子)30を有している。前記MRヘッドは、
ハードディスク装置に設けられた浮上式スライダのトレ
ーリング側端部などに設けられて、ハードディスクなど
の記録磁界を検出するものである。
【0025】図1に示すように、Ni−Fe合金などの
磁性材料で形成された下部シールド層20の上には、S
iO2やAl23などで形成された下部ギャップ層21
が形成され、さらに前記下部ギャップ層21の上に、積
層体27と前記積層体27の両側に形成されたハードバ
イアス層25及び電極層26とで構成される磁気抵抗効
果素子(AMR素子)30が形成されている。
【0026】図1に示すように、前記下部ギャップ層2
1の上には、例えばNi−Fe−Nb合金で形成された
軟磁性層(SAL層)22、Taなどの非磁性材料で形
成された非磁性層23(SHUNT層)、及び例えばN
i−Fe合金で形成された磁気抵抗効果層(MR層)2
4が積層されている。これら軟磁性層22、非磁性層2
3及び磁気抵抗効果層24によって積層体27が構成さ
れている。そして前記積層体27の上面の幅寸法にてト
ラック幅Twが設定される。
【0027】図1に示すように前記積層体27の両側に
は、例えばCo−Pt合金やCo−Cr−Pt合金など
で形成されたハードバイアス層25,25が形成されて
いる。前記ハードバイアス層25,25は、図示X方向
(トラック幅方向)に磁化されており、前記ハードバイ
アス層25から磁気抵抗効果層24にX方向のバイアス
磁界が与えられる。さらに前記ハードバイアス層25,
25の上にはAuなどで形成された電極層26,26が
形成されている。
【0028】なお図1に示す磁気抵抗効果素子30のよ
うに、積層体27の両側にハードバイアス層25,25
が形成されている構造では、このハードバイアス層25
からの縦バイアス磁界によって、前記積層体27を構成
する磁気抵抗効果層24の磁化全体を所定方向に揃えや
すくできるので、再生出力からノイズの発生を極力抑制
でき、よって再生特性を向上させることが可能である。
【0029】図1に示すように積層体27及び電極層2
6の上には、SiO2やAl23などの非磁性材料で形
成された上部ギャップ層28が形成されている。そして
前記上部ギャップ層28の上には、例えばNi−Fe合
金などの磁性材料で形成された上部コア層29が形成さ
れている。
【0030】ところで、積層体27を構成する磁気抵抗
効果層24には、図示Y方向に引っ張り応力が働いてい
る。これは、図1に示す磁気抵抗効果素子30(AMR
素子)は、その上下、及びY方向側の面、すなわちハイ
ト側の側面が、非磁性材料で形成された下部ギャップ層
21あるいは上部ギャップ層28によって覆われ、記録
媒体との対向面側(正面側)が、外部に露出した状態と
なっていること、及び前記磁気抵抗効果素子30の記録
媒体との対向面は製造工程時に加工が施されることなど
が原因である。
【0031】そこで本発明では、前記磁気抵抗効果層2
4の磁歪λsを正の値、具体的には、0.5×10-6
上4.7×10-6以下に設定し、逆磁歪効果により前記
磁気抵抗効果層24の磁化を図示Y方向に誘起させてい
る。
【0032】前述したように、積層体27の両側に形成
されているハードバイアス層25,25は図示X方向に
磁化されており、前記磁気抵抗効果層24の磁化は、前
記ハードバイアス層25からの図示X方向のバイアス磁
界の影響を受けるが、この際、前述した逆磁歪効果によ
って、前記磁気抵抗効果層24の磁化は図示X方向から
図示Y方向に傾きやすくなっている。
【0033】そして前記積層体27の両側に形成されて
いる電極層26から前記磁気抵抗効果層24にセンス電
流が流れると、X軸回りの磁界が発生し、軟磁性層22
は図示Y方向に磁化される。前記軟磁性層22が図示Y
方向に磁化されることで、前記軟磁性層22から非磁性
層23を介して対向する磁気抵抗効果層24に図示Y方
向の静磁結合磁界が与えられる。逆磁歪効果によって図
示X方向から図示Y方向に傾きやすくなっている磁気抵
抗効果層24の磁化は、図示Y方向の静磁結合磁界の影
響を受けて、図示X方向から図示Y方向へ45度の傾き
に揃えられる。
【0034】このように本発明では、磁気抵抗効果層2
4の磁歪λsを0.5×10-6以上4.7×10-6以下
に設定することにより、逆磁歪効果によって、前記磁気
抵抗効果層24の磁化を図示Y方向に誘起させているの
で、軟磁性層22の膜厚t2を薄くして、前記軟磁性層
22から発生する図示Y方向の静磁結合磁界の強さを弱
くしても、前記磁気抵抗効果層24の磁化を、適正にし
かも容易に図示X方向から図示Y方向へ45度の傾きで
揃えることが可能である。
【0035】従って本発明では、軟磁性層22の膜厚t
2を薄く形成できるので、電極層26から軟磁性層22
へのセンス電流の分流を極力抑制でき、磁気抵抗効果層
24へのセンス電流の分流比を大きくできるため、再生
出力を大きくでき、再生特性の向上を図ることが可能で
ある。
【0036】さらに図1に示すように、下部ギャップ層
21から上部ギャップ層28までの総合膜厚が磁気ギャ
ップ長Gl2として設定されるが、本発明では、軟磁性
層22の膜厚t2を薄くできるので、前記磁気ギャップ
長Gl2を小さくでき、今後の狭ギャップ化に対応可能
なMRヘッドを製造することが可能である。
【0037】なお本発明では、磁気抵抗効果層24の磁
歪λsを0.5×10-6以上4.7×10-6以下に設定
したが、磁気抵抗効果層24の磁歪λsが0.5×10
-6よりも小さいと、逆磁歪効果の影響が弱くなりすぎる
ので、軟磁性層22の膜厚t2を厚くして磁気抵抗効果
層24に与えるべき静磁結合磁界を強くしなければなら
ない。よって、磁気抵抗効果層24へのセンス電流の分
流比は小さくなり、再生出力の低下に繋がる。また、磁
気抵抗効果層24の磁歪λsが4.7×10-6よりも大
きいと、逆磁歪効果の影響が強くなりすぎるので、磁気
抵抗効果層24の磁化が図示Y方向に向きやすくなり、
前記磁化を図示X方向から図示Y方向へ45度の傾きで
揃えにくくなる。このため、再生感度が落ちて、再生出
力の低下に繋がる。なお磁気抵抗効果層24の磁歪λs
を0.5×10-6以上4.7×10-6以下に設定する
と、後述する実験で、700(μV/μm)以上の再生
出力が得られることが確認されている。
【0038】また、磁気抵抗効果層24の磁歪λsを上
記数値の範囲内で設定するには、前記磁気抵抗効果層2
4が例えばNi−Fe合金など、材質にFeが含まれて
いる場合、前記Feの組成比を、20.1at%以上2
1.2at%以下にすればよい。
【0039】また本発明では、前記磁気抵抗効果層24
の磁歪λsを、1.6以上3.6以下に設定することが
より好ましい。この範囲内であれば後述する実験結果に
より、再生出力を800(μV/μm)以上にできるこ
とが確認されている。なお磁気抵抗効果層24の磁歪λ
sを1.6×10-6以上3.6×10-6以下に設定する
には、前記磁気抵抗効果層24が、例えばNi−Fe合
金など、材質にFeが含まれている場合、Feの組成比
を、20.4at%以上20.9at%以下とすればよ
い。
【0040】
【実施例】本発明では、磁気抵抗効果層24をNi−F
e合金で形成した図1に示すMRヘッドを形成し、前記
Ni−Fe合金のうちFeの組成比と磁歪λs及び再生
出力(μV/μm)との関係について測定した。その実
験結果を図2に示す。
【0041】図2に示すように、Feの組成比が大きく
なれば、磁歪λsは直線的に大きくなっていることがわ
かる。そして再生出力は、Feの組成比が約20.65
at%までは大きくなっているが、それ以上になると前
記再生出力は低下していることがわかる。
【0042】図2に示すように、磁気抵抗効果層24の
磁歪λsを正の値にすれば、再生出力を大きくすること
が可能である。これは前記磁気抵抗効果層24には、ハ
イト方向(Y方向)に応力が働いており、前記磁気抵抗
効果層24の磁歪λsを正の値にすれば、逆磁歪効果に
よって、前記磁気抵抗効果層24の磁化をハイト方向に
誘起させることができ、図1に示す軟磁性層22の膜厚
を薄くすることが可能となるからである。すなわち前記
軟磁性層22の膜厚を薄くして静磁結合磁界を弱くして
も、逆磁歪効果によりハイト方向に誘起させられた前記
磁気抵抗効果層24の磁化をトラック幅方向(X方向)
から、ハイト方向(Y方向)へ45度の傾きで揃えるこ
とが可能である。そして軟磁性層22の膜厚t2を薄く
できることで、磁気抵抗効果層24へのセンス電流の分
流比を大きくでき、再生出力を大きくすることが可能と
なる。
【0043】一方、磁気抵抗効果層24の磁歪λsを負
の値にした場合、逆磁歪効果によって、前記磁気抵抗効
果層24の磁化はトラック幅方向に誘起させられるの
で、軟磁性層22の膜厚を厚くして、静磁結合磁界を強
くしなければならず、従って磁気抵抗効果層24へのセ
ンス電流の分流比は小さくなり、再生出力は低下してし
まう。また、磁気抵抗効果層24の磁歪λsを正の値と
しても、磁歪λsがあまりにも大きい場合は、逆磁歪効
果が強くなりすぎ、磁気抵抗効果層24の磁化はハイト
方向に向きやすく、前記磁気抵抗効果層24の磁化をト
ラック幅方向からハイト方向へ45度の傾きで揃えるこ
とが困難となる。従って記録媒体からの洩れ磁界に対す
る再生感度が鈍り、再生出力の低下に繋がる。
【0044】ここでFeの組成比及び磁歪λsの好まし
い範囲について図2を基にして調べる。本発明では、再
生出力が700(μV/μm)以上になるときのFeの
組成比及び磁歪λsを好ましい範囲と設定する。図2に
示すように、Feの組成比を20.1at%以上、すな
わち磁歪λsを0.5以上にすれば、再生出力を700
(μV/μm)以上にできることがわかる。
【0045】また再生出力はFeの組成比を20.65
at%とした場合に、ピーク値となり、再生出力グラフ
の曲線は、Feの組成比に対し、Feの組成比20.6
5at%を中心として線対称に変化するものと考えられ
るから、図2に示すように、Feの組成比を21.2a
t%以下にすれば、再生出力を約700(μV/μm)
以上にできるものと考えられ、このときの磁歪λsは、
4.7×10-6である。
【0046】よって本発明では、好ましい磁歪λsの範
囲を0.5×10-6以上4.7×10-6以下とし、磁気
抵抗効果層24を形成する磁性材料の組成にFeが含ま
れている場合、Feの好ましい組成範囲を20.1at
%以上21.2at%以下とすれば、0.5×10-6
上4.7×10-6以下の磁歪λsを得ることができる。
【0047】また本発明では、より好ましい磁歪λsの
範囲を1.6×10-6以上3.6×10-6以下とし、磁
気抵抗効果層24を形成する磁性材料の組成にFeが含
まれている場合、Feの組成範囲を20.4at%以上
20.9at%以下とすれば1.6×10-6以上3.6
×10-6以下の磁歪λsを得ることが可能である。磁気
抵抗効果層24の磁歪λsを1.6×10-6以上3.6
×10-6以下とすれば、再生出力を約800(μV/μ
m)以上にできることが図2よりわかる。
【0048】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、磁気抵抗
効果層の磁歪λsを0.5×10-6以上4.7×10-6
以下の範囲内に設定することで、逆磁歪効果により、前
記磁気抵抗効果層の磁化をハイト方向へ誘起させること
ができ、よって、軟磁性層の膜厚を薄くして、前記軟磁
性層から発生する静磁結合磁界を弱くしても、容易に前
記磁気抵抗効果層の磁化をトラック幅方向からハイト方
向へ45度に傾けることができる。
【0049】このように本発明では、逆磁歪効果を利用
することで、軟磁性層の膜厚を薄くできるため、磁気抵
抗効果層へのセンス電流の分流比を大きくでき、再生出
力を大きくすることが可能である。
【0050】なお、磁気抵抗効果層を形成する磁性材料
の組成にFeを含む場合、Feの組成比を、20.1a
t%以上21.2at%以下にすれば、磁気抵抗効果層
の磁歪λsを0.5×10-6以上4.7×10-6以下の
範囲内に設定できる。
【0051】またより好ましくは、磁気抵抗効果層の磁
歪λsを、1.6以上3.6以下の範囲内で設定するこ
とであり、磁気抵抗効果層を形成する磁性材料の組成に
Feを含む場合、Feの組成比を、20.4at%以上
20.9at%以下にすることで、磁気抵抗効果層の磁
歪λsを1.6×10-6以上3.6×10-6以下以下の
範囲内に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気抵抗効果素子(AMR素子)を用
いたMRヘッドの構造を記録媒体との対向面から見た断
面図、
【図2】磁気抵抗効果層をNiFe合金で形成した場合
の、Feの組成比と磁気抵抗効果層の磁歪λs及び再生
出力との関係を示すグラフ、
【図3】従来の磁気抵抗効果素子(AMR素子)を用い
たMRヘッドの構造を記録媒体との対向面から見た断面
図、
【符号の説明】
20 下部シールド層 21 下部ギャップ層 22 軟磁性層 23 非磁性層 24 磁気抵抗効果層 25 ハードバイアス層 26 電極層 27 積層体 28 上部ギャップ層 29 上部コア層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性層を介して重ねられた磁気抵抗効
    果層と軟磁性層とを有する積層体の両側に、一対のバイ
    アス層及び電極層が形成されて成る磁気抵抗効果素子に
    おいて、前記磁気抵抗効果層の磁歪λsは、0.5×1
    -6以上4.7×10-6以下であることを特徴とする磁
    気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】 前記磁気抵抗効果層を形成する磁性材料
    の組成にFeが含有されている場合、Feの組成比は、
    20.1at%以上21.2at%以下である請求項1
    記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】 前記磁気抵抗効果層の磁歪λsは、1.
    6×10-6以上3.6×10-6以下である請求項1記載
    の磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】 前記磁気抵抗効果層を形成する磁性材料
    の組成にFeが含有されている場合、Feの組成比は、
    20.4at%以上20.9at%以下である請求項3
    記載の磁気抵抗効果素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7961438B2 (en) 2008-05-28 2011-06-14 Tdk Corporation Magnetoresistive device of the CPP type, and magnetic disk system

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