JPH10269532A - スピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド - Google Patents

スピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド

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JPH10269532A
JPH10269532A JP9071720A JP7172097A JPH10269532A JP H10269532 A JPH10269532 A JP H10269532A JP 9071720 A JP9071720 A JP 9071720A JP 7172097 A JP7172097 A JP 7172097A JP H10269532 A JPH10269532 A JP H10269532A
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JP
Japan
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film
ferromagnetic film
ferromagnetic
spin
magnetoresistive head
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JP9071720A
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English (en)
Inventor
Eizo Fukami
栄三 深見
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NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造時の種々の熱処理,情報検出電流による
発熱,或いは様々な磁界等による第2の強磁性膜の磁化
の不安定性を低減し、ノイズの発生を防ぎ、バルクハウ
ゼン・ジャンプ・ノイズなどの雑音を防止を図ったスピ
ンバルブ型磁気抵抗効果ヘッドを提供すること。 【解決手段】 非磁性導電体膜12によって分離された
第1の強磁性膜11と第2の強磁性膜13と、この第2
の強磁性膜13に接して積層された反強磁性膜14とか
らなり、第1の強磁性膜11の磁化方向と第2の強磁性
膜13の磁化方向が外部磁界がゼロである場合に直交し
ているスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッドであって、第
2の強磁性膜13が正の磁歪定数を有すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スピンバルブ型磁
気抵抗効果ヘッドに係り、特に、スピンバルブ型磁気抵
抗効果によって所定の記録媒体から情報を読み取るよう
にしたスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】磁気抵抗効果素子を利用して磁気的に記
録された情報を検出する方法はよく知られており、磁気
抵抗効果ヘッドとして高密度対応磁気ディスク記憶装置
などに用いられつつある。
【0003】従来の磁気抵抗効果素子は、電気抵抗が磁
気抵抗効果膜の磁化方向と情報検出電流の方向との角度
に対する余弦の2乗で変化する異方性磁気抵抗効果に基
づいて作動し、磁気抵抗効果膜であるNiFe合金(パ
ーマロイ)膜やNiFeCo合金膜などが一般に用いら
れている。
【0004】近年、非磁性導電体膜に挟まれた強磁性二
層間の電気抵抗が、強磁性二層の磁化方向の角度に対す
る余弦で変化する現象が見いだされ、さらに、このとき
の電気抵抗の変化が異方性磁気抵抗効果より大きいこと
も確認されている。そして、かかる現象を利用したもの
が、スピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッドとして特公平8
−21166号公報に開示されている。
【0005】この特公平8−21166号公報に開示さ
れたスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッドは、図7に示す
ように、非磁性金属膜702によって分離された第1の
強磁性膜701と第2の強磁性膜703とを有し、外部
磁界がゼロである場合に、前述した第1の強磁性膜70
1の磁化方向M1が第2の強磁性膜703の磁化方向M
2に対して直交する方向に向いている。又、この第2の
強磁性膜703の磁化方向M2を固定する手段を備え、
磁気記録媒体の記録された磁化から発生される磁界を第
1の強磁性膜701の磁化回転による電気抵抗変化量を
検知し得るようになっている。
【0006】そして、この場合、当該第2の強磁性膜7
03の磁化M2を固定する手段として、この第2の強磁
性膜703の前述した非磁性金属膜702側の面とは反
対側の面に隣接して反強磁性膜704を積層し、前述し
た第2の強磁性膜703と反強磁性膜704とを交換結
合させる方法が行われている。ここで、反強磁性膜70
4の材料としては、鉄・マンガン合金や酸化ニッケル等
が用いられている。
【0007】また、前述した図7に示す第1の強磁性膜
701を単一の磁区状態に保持するために、図8に示す
従来例では、第1の強磁性膜801の端部領域だけに硬
質強磁性膜805a,805bを配設するという手法を
採用している。これも従来より一般的に用いられてい
る。そして、この場合、その硬質強磁性膜805a,8
05bの材料として、コバルト・白金合金やコバルト・
クロム・白金合金などが用いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述した第
2の強磁性膜703と反強磁性膜704との交換結合力
は熱的に不安定であり、製造時の種々の熱処理,情報検
出電流による発熱あるいは様々な磁界などによって、第
2の強磁性膜703の磁化方向が変化し、ヘッド素子と
して線形動作をしなくなったりする場合がある。これは
ノイズの発生原因になる。
【0009】又、時には、交換結合力が働かなくなって
前述した第2の強磁性膜703の磁化が磁界によって自
由に回転するようになり、これがため、時にはヘッド素
子として動作しない場合も生じる。
【0010】更に、第1の強磁性膜701,801を単
一の磁区構造に保つための拘束力が小さいと、バルクハ
ウゼン・ジャンプ・ノイズなどの雑音を発生する。そし
て、第1の強磁性膜701,801を単一磁区構造に保
つための拘束力を強くするためには、硬質強磁性膜80
5a,805bの膜厚を厚くする必要がある。
【0011】
【発明の目的】本発明は、上記従来の有する不都合を改
善するためのものであって、製造時の種々の熱処理,情
報検出電流による発熱,或いは様々な磁界などによる第
2の強磁性膜の磁化の不安定性を低減し、ヘッド素子と
しての線形動作の信頼性を向上し、ノイズの発生を防
ぎ、更に第1の強磁性膜の単一磁区構造をより安定化さ
せることによって、バルクハウゼン・ジャンプ・ノイズ
などの雑音を防止を図ったスピンバルブ型磁気抵抗効果
ヘッドを提供することを、その目的とする。
【0012】また、第1の強磁性膜の単一磁区構造をよ
り安定化させることによって、硬質強磁性膜の膜厚を適
度に薄くし、これによって製造コストの低減を可能とし
たスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッドを提供すること
を、その目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では、非磁性導電体膜によって分離された第
1の強磁性膜と第2の強磁性膜と、第2の強磁性膜に接
して積層された反強磁性膜とからなり、且つ前述した第
1の強磁性膜の磁化方向と第2の強磁性膜の磁化方向が
外部磁界がゼロである場合に直交しているスピンバルブ
型磁気抵抗効果ヘッドにおいて、前述した第2の強磁性
膜が、正の磁歪定数を有すること、という構成を採って
いる。
【0014】このようなスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘ
ッド素子に対して、情報検出電流を流すための電極およ
び適当な絶縁保護膜を形成した後、周知の技術を用いて
スライダ加工を施すとともに、加圧バネ,支持アーム等
の取り付けおよび電極配線等を行ってスピンバルブ型磁
気抵抗効果ヘッドを作製した。
【0015】上記のようにして作製されたスピンバルブ
型磁気抵抗効果ヘッドについて再生特性を調べたとこ
ろ、適切な情報検出電流において線形動作し、バルクハ
ウゼン・ジャンプ・ノイズなどの雑音のない良好な再生
波形が得られた。
【0016】更に、第2の強磁性膜の固定された磁化の
熱的安定性を確認するために、通常の情報検出電流より
5〜6倍程度の大きな電流を流しても、そのときの発熱
による温度上昇によって再生波形の乱れはなく良好な再
生特性が得られ、第2の強磁性膜の固定された磁化の十
分な熱的安定性も確認された。
【0017】ここで、第2の強磁性膜については、5x
10-6以上の磁歪定数を有するものを使用してもよい。
また、第1の強磁性膜は、1x10-6以下の磁歪定数を
有するものを使用してもよい。
【0018】また、第1の強磁性膜については、−5x
10-6以上−1x10-6以下の磁歪定数を有するものを
使用してもよい。更に、第2の強磁性膜については、ニ
ッケル・鉄合金,コバルト・鉄合金,又はニッケル・コ
バルト・鉄合金からなるものを使用してもよい。また、
この第1の強磁性膜については、16重量百分率以上で
かつ18重量百分率以下の鉄を含有するニッケル・鉄合
金としてもよい。第2の強磁性膜については、22重量
百分率以上の鉄を含有するニッケル・鉄合金としてもよ
い。
【0019】また、本発明については、非磁性導電体膜
によって分離された第1の強磁性膜と第2の強磁性膜
と、前記第2の強磁性膜に接して積層された反強磁性膜
とからなり、前記第1の強磁性膜の磁化方向と前記第2
の強磁性膜の磁化方向が外部磁界がゼロである場合に直
交しているスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッドにおい
て、前述した第2の強磁性膜が2層以上の積層膜からな
り、その内の少なくとも1層が正の磁歪定数を有するこ
と、という構成のものとしてもよい。
【0020】この場合、前述した二層以上の積層膜から
なる第2の強磁性膜の少なくとも1層が、5x10-6
上の磁歪定数を有するようにしてもよい。
【0021】第1の強磁性膜については、1x10-6
下の磁歪定数を有するものを使用してもよい。更に、こ
の第1の強磁性膜については、−5x10-6以上−1x
10-6以下の磁歪定数を有するものを使用してもよい。
又、前述した第2の強磁性膜の非磁性導電体膜に隣接す
る少なくとも1層を、ニッケル・鉄合金,コバルト・鉄
合金又はニッケル・コバルト・鉄合金からなるものとし
てもよい。
【0022】前述した第1の強磁性膜については、16
重量百分率以上でかつ18重量百分率以下の鉄を含有す
るニッケル・鉄合金を使用してもよい。又、第2の強磁
性膜の非磁性導電体膜に隣接する少なくとも1層を、2
2重量百分率以上の鉄を含有するニッケル・鉄合金とし
てもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施の形態〕まず初めに、本実施形態における
スピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッドの素子部の基本構造
について、図1を用いて説明する。
【0024】この図1に示す基本構造は、適切な基板上
に、第1の強磁性膜11,非磁性導電体膜12,第2の
強磁性膜13および反強磁性膜14を順次積層して形成
させたものである。
【0025】外部磁界が印加されていない場合、第1の
強磁性膜11と第2の強磁性膜13との各々の磁化方向
はほぼ直交している。第2の強磁性膜13の磁化はそれ
に隣接した反強磁性膜14と交換結合することによって
固定され、磁気記録媒体の記録された磁化から発生され
る磁界によって、第1の強磁性膜11の磁化が回転し、
そのときに生じる電気抵抗に所定の変化量を生じ、これ
を検知する。
【0026】このとき、外部磁界が印加されていない場
合、第1の強磁性膜11の磁化は、磁気記録媒体に対向
した空気ベアリング面に対して平行な方向を向いてお
り、第2の強磁性膜13の磁化は垂直方向を向いてい
る。
【0027】ここで、基板,絶縁層および磁気シールド
層などを具備した多層構造のスピンバルブ型磁気抵抗効
果ヘッドは、通常、空気ベアリング面が形成される結
果、大きな引っ張り応力が発生する。即ち、図1に示す
ヘッド素子を構成する各々の膜は、空気ベアリング面に
対して垂直方向に大きな引っ張り応力を受ける。
【0028】この図1におけるスピンバルブ型磁気抵抗
効果ヘッドは、反強磁性膜14によって磁化方向が固定
されている第2の強磁性膜13に正に大きな磁歪定数を
有する材料を用い、この第2の強磁性膜13が受ける引
っ張り応力により、その磁化方向を空気ベアリング面に
対して垂直な方向に大きな応力誘導磁気異方性を発生さ
せ、第2の強磁性膜13自体の磁気異方性を安定化させ
る。
【0029】また、第1の強磁性膜11についても、正
で小さいか或いは負で適度な大きさの磁歪定数を有する
材料を選定することによって、第1の強磁性膜11が受
ける引っ張り応力により、その磁化方向を空気ベアリン
グ面に対して平行な方向に応力誘導磁気異方性を発生さ
せ、外部磁界が印加されていない場合にその磁化を安定
化させる。
【0030】ただし、この場合、負に大きな磁歪定数を
有する材料を用いると、空気ベアリング面に対して平行
な方向に磁化が安定化され過ぎて外部磁界に対する感度
が低下することになる。
【0031】次に、この図1に示す基本構造の素子を利
用した磁気抵抗効果ヘッドの具体的な例を図2に示す。
この図2に示す磁気抵抗効果ヘッドは、絶縁膜が形成さ
れた基板(図2では省略)上に、第1の強磁性膜21,
非磁性導電体膜22,第2の強磁性膜23および反強磁
性膜24が順次積層成膜され、かつ、前述した非磁性導
電体膜22,第2の強磁性膜23および反強磁性膜24
の中央部を残して切除され、その切除された領域に硬質
強磁性膜25a,25bが配設されている。
【0032】即ち、形状的には、第1の強磁性膜21の
端部領域上だけに、硬質強磁性膜25a,25bが積層
された構造となっている。
【0033】基板としてはAl2 3 −TiC系のセラ
ミックが使用され、絶縁膜には膜厚100ナノメータ
(nm)のAl2 3 が用いられている。
【0034】第1の強磁性膜21は厚さが8〔nm〕の
ニッケル・鉄合金からなり、非磁性導電体膜22は厚さ
が2.5〔nm〕の銅からなり、第2の強磁性膜23は
厚さが3〔nm〕のニッケル・鉄合金からなり、反強磁
性膜24は膜厚が20〔nm〕の鉄・マンガン合金から
なり、硬質強磁性膜25a,25bは厚さが20〔n
m〕のコバルト・クロム・プラチナ合金からなり、これ
らが、スパッタ法により積層成膜されている。
【0035】ここで、特に第1の強磁性膜21としては
その磁歪定数が「−1x10-6」となるように鉄を18
重量百分率含んだニッケル・鉄合金を用い、第2の強磁
性膜23としてはその磁歪定数が「+1x10-5」とな
るように鉄を25重量百分率含んだニッケル・鉄合金を
用いた。
【0036】更に、第1の強磁性膜21は、磁気記録媒
体に対向した空気ベアリング面に対して平行な方向(即
ち、トラック幅方向)に、100エルステッド程度の磁
場を印加しながら成膜することによって、トラック幅方
向に磁気異方性を誘起し、第2の強磁性膜23および反
強磁性膜24は、空気ベアリング面に対して垂直な方向
(即ち、素子高さ方向)に100エルステッド程度の磁
場を印加しながら成膜することによって、素子高さ方向
に磁気異方性を誘起し同時に第2の強磁性膜23と反強
磁性膜24との交換結合によって第2の強磁性膜23の
磁化をその方向に固定している。
【0037】また、第1の強磁性膜21の両端部に積層
されている硬質強磁性膜25a,25bは、第1の強磁
性膜21と交換結合しており、それによって第1の強磁
性膜21が単一磁区状態を保持している。
【0038】ここで、上述した各々の機能膜の材料にお
いては、一例にすぎず、各々の機能膜として適切な材料
を用いればよく、厚さについても機能を損なわない範囲
内で設定すればよい。
【0039】更に、図2には示されていないが、磁気記
録媒体に記録され、再生したい特定の信号磁界以外の余
分な磁界を遮蔽することを目的とした機能膜として、図
2のスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド素子の上下に素
子を挟むようにして強磁性材料からなるシールド膜を積
層形成してもよい。ただし、このときスピンバルブ型磁
気抵抗効果ヘッド素子とシールド膜とは電気的に絶縁が
保たれている必要がある。
【0040】このようなスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘ
ッド素子に対して、情報検出電流を流すための電極およ
び適当な絶縁保護膜を形成した後、周知の技術を用いて
スライダ加工を施すとともに、加圧バネ,支持アーム等
の取り付けおよび電極配線等を行ってスピンバルブ型磁
気抵抗効果ヘッドを作製した。
【0041】上記のようにして作製されたスピンバルブ
型磁気抵抗効果ヘッドについて再生特性を調べたとこ
ろ、適切な情報検出電流において線形動作し、バルクハ
ウゼン・ジャンプ・ノイズなどの雑音のない良好な再生
波形が得られた。
【0042】更に、第2の強磁性膜の固定された磁化の
熱的安定性を確認するために、通常の情報検出電流より
5〜6倍程度の大きな電流を流しても、そのときの発熱
による温度上昇によって再生波形の乱れはなく良好な再
生特性が得られ、第2の強磁性膜の固定された磁化の十
分な熱的安定性も確認された。
【0043】〔第2の実施の形態〕次に、第2の実施の
形態として、構造は図2と同じにして、第2の強磁性膜
23にその磁歪定数が「+1x10-5」となるように鉄
を20原子百分率含んだコバルト・鉄合金を用い、他の
構成は第1の実施形態の場合と同一の材料を用いてスピ
ンバルブ型磁気抵抗効果ヘッドを作製し、再生特性を調
べたところ、適切な情報検出電流において線形動作し、
バルクハウゼン・ジャンプ・ノイズなどの雑音のない良
好な再生波形が得られた。
【0044】更に、第2の強磁性膜23の固定された磁
化の熱的安定性を確認するために、通常の情報検出電流
より5〜6倍程度の大きな電流を流しても、そのときの
発熱による温度上昇による再生波形の乱れはなく良好な
再生特性が得られ、第2の強磁性膜23の固定された磁
化の十分な熱的安定性も確認された。
【0045】又、第1の実施例と比較してみると、1.
3〜1.5倍程度大きな再生出力が得られることを実験
的に確認することができた。
【0046】〔第3の実施の形態〕次に、第3の実施形
態を図3に基づいて説明する。
【0047】この図3に示す第3の実施形態にあって、
スピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド素子は、絶縁膜が形
成された基板(図3では省略)上に、第1の強磁性膜3
1,非磁性導電体膜32,第2の強磁性膜33および反
強磁性膜34が、順次積層成膜され、第1の強磁性膜3
1,非磁性導電体膜32および第2の強磁性膜33の両
端部に、これらを同時に挟み込むようにして硬質強磁性
膜35a,35bが配設されている。
【0048】基板としてはAl2 3 −TiC系のセラ
ミックが使用され、絶縁膜には膜厚100〔nm〕のA
2 3 が用いられている。
【0049】第1の強磁性膜31は厚さが7〔nm〕の
ニッケル・鉄合金からなり、非磁性導電体膜32は厚さ
が2.5〔nm〕の銅からなり、第2の強磁性膜33は
厚さが2〔nm〕のニッケル・鉄合金からなり、反強磁
性膜34は膜厚が22〔nm〕の鉄・マンガン合金から
なり、硬質強磁性膜35a,35bは厚さが12〔n
m〕のコバルト・プラチナ合金からなり、これらがスパ
ッタ法により積層成膜されている。
【0050】このとき、硬質強磁性膜35a,35bで
あるコバルト・プラチナ合金の下地膜として、クロムや
鉄・クロム合金等を形成しておくことによって、コバル
ト・プラチナ合金を強い面内磁化膜にしておくことが望
ましい。
【0051】ここで、特に第1の強磁性膜31について
は、その磁歪定数が−5x10-6となるように鉄として
16重量百分率含んだニッケル・鉄合金を用い、第2の
強磁性膜33については、その磁歪定数が「+5x10
-6」となるように前述した鉄として22重量百分率含ん
だニッケル・鉄合金を用いた。
【0052】更に、第1の強磁性膜31は、磁気記録媒
体に対向した空気ベアリング面に対して平行な方向(即
ち、トラック幅方向)に、100エルステッド程度の磁
場を印加しながら成膜することによって、トラック幅方
向に磁気異方性を誘起し、第2の強磁性膜33および反
強磁性膜34は、空気ベアリング面に対して垂直な方向
(すなわち、素子高さ方向)に100エルステッド程度
の磁場を印加しながら成膜することによって、素子高さ
方向に磁気異方性を誘起し同時に第2の強磁性膜33と
反強磁性膜34との交換結合によって第2の強磁性膜3
3の磁化をその方向に固定している。
【0053】また、第1の強磁性膜31,非磁性導電体
膜32および第2の強磁性膜33の両端部に配設された
硬質強磁性膜35a,35bによって第1の強磁性膜3
1が単一磁区状態を保持している。
【0054】なお、上述した各々の機能膜の材料におい
ては、一実施例にすぎず、各々の機能膜として適切な材
料を用いればよく、厚さについても機能を損なわない範
囲内で設定すればよい。
【0055】更に、図3には示されていないが、磁気記
録媒体に記録され、再生したい特定の信号磁界以外の余
分な磁界を遮蔽することを目的とした機能膜として、図
3のスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド素子の上下に素
子を挟むようにして強磁性材料からなるシールド膜を積
層形成してもよい。ただし、このときスピンバルブ型磁
気抵抗効果ヘッド素子とシールド膜とは電気的に絶縁が
保たれている必要がある。
【0056】このようなスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘ
ッド素子に対して、情報検出電流を流すための電極およ
び適当な絶縁保護膜を形成した後、周知の技術を用いて
スライダ加工を施すとともに、加圧バネ,支持アーム等
の取り付けおよび電極配線等を行ってスピンバルブ型磁
気抵抗効果ヘッドを作製した。
【0057】上記のようにして作製されたスピンバルブ
型磁気抵抗効果ヘッドについて再生特性を調べたとこ
ろ、適切な情報検出電流において線形動作し、バルクハ
ウゼン・ジャンプ・ノイズなどの雑音のない良好な再生
波形が得られた。
【0058】更に、第2の強磁性膜の固定された磁化の
熱的安定性を確認するために、通常の情報検出電流より
5〜6倍程度の大きな電流を流しても、そのときの発熱
による温度上昇による再生波形の乱れはなく良好な再生
特性が得られ、第2の強磁性膜の固定された磁化の十分
な熱的安定性も確認された。
【0059】〔第4の実施の形態〕次に、第4の実施の
形態を図4に基づいて説明する。
【0060】この第4の実施例において、スピンバルブ
型磁気抵抗効果ヘッド素子は、絶縁膜が形成された基板
(図4では省略)上に、第1の強磁性膜41,非磁性導
電体膜42,第2の強磁性膜43および反強磁性膜44
が順次積層成膜され、第1の強磁性膜41および非磁性
導電体膜42の両端部に硬質強磁性膜45a,45bが
挟み込むようにして配設されている。
【0061】基板としてはAl2 3 −TiC系のセラ
ミックが使用され、絶縁膜には膜厚100〔nm〕のA
2 3 が用いられている。
【0062】第1の強磁性膜41は厚さが8.5〔n
m〕のコバルト・鉄合金からなり、非磁性導電体膜42
は厚さが2.5〔nm〕の銅からなり、第2の強磁性膜
43は厚さが2〔nm〕のコバルト・ニッケル・鉄合金
からなり、反強磁性膜44は膜厚が25〔nm〕のニッ
ケル・マンガン合金からなり、硬質強磁性膜45a,4
5bは厚さが10〔nm〕のコバルト・クロム・プラチ
ナ合金からなり、これらがスパッタ法により積層成膜さ
れている。
【0063】このとき、硬質強磁性膜35a,35bで
あるコバルト・クロム・プラチナ合金の下地膜として、
クロムや鉄・クロム合金等を形成しておくことによっ
て、コバルト・クロム・プラチナ合金を強い面内磁化膜
にしておくことが望ましい。
【0064】ここで、特に第1の強磁性膜41について
はその磁歪定数が「−2x10-7」となるように鉄とし
て10原子百分率含んだコバルト・鉄合金を用い、第2
の強磁性膜403についてはその磁歪定数が「+8x1
-6」となるように、ニッケルとして10原子百分率を
含み鉄を20原子百分率含んだコバルト・ニッケル・鉄
合金を用いた。
【0065】更に、第1の強磁性膜41は、磁気記録媒
体に対向した空気ベアリング面に対して平行な方向(即
ち、トラック幅方向)に、80エルステッド程度の磁場
を印加しながら成膜することによって、トラック幅方向
に磁気異方性を誘起させている。
【0066】また、第2の強磁性膜43および反強磁性
膜44は、空気ベアリング面に対して垂直な方向(即
ち、素子高さ方向)に80エルステッド程度の磁場を印
加しながら成膜し、更にスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘ
ッドを製造する過程において一定の磁界を印加しながら
熱処理を施すことによって、素子高さ方向に磁気異方性
を誘起し同時に第2の強磁性膜43と反強磁性膜44と
の交換結合によって第2の強磁性膜43の磁化をその方
向に固定している。
【0067】そして、この第1の強磁性膜41および非
磁性導電体膜42の両端部に配設された硬質強磁性膜4
5a,45bによって、第1の強磁性膜41が単一磁区
状態を保持している。更に、この硬質強磁性膜45a,
45bは、第2の強磁性膜43に隣接しておらず、これ
によって硬質強磁性膜45a,45bから第2の強磁性
膜43への磁束の流入を防ぎ、第2の強磁性膜43の素
子高さ方向に向いている磁化への影響を防いでいる。
【0068】又、第2の強磁性膜43への余分な磁束の
流出を防ぐことによって、硬質強磁性膜45a,45b
の膜厚を薄くできる。ここでは、硬質強磁性膜45a,
45bが非磁性導電体膜42の両端部をちょうど覆う高
さまで積層されているが、上記に説明したように第2の
強磁性膜43に隣接してなければ同様の効果が得られる
ことはいうまでもない。
【0069】なお、上述した各々の機能膜の材料におい
ては、一例にすぎず、各々の機能膜として適切な材料を
用いればよく、厚さについても機能を損なわない範囲内
で設定すればよい。
【0070】また、図4には示されていないが、磁気記
録媒体に記録され、再生したい特定の信号磁界以外の余
分な磁界を遮蔽することを目的とした機能膜として、図
4のスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド素子の上下に素
子を挟むようにして強磁性材料からなるシールド膜を積
層形成してもよい。ただし、このときスピンバルブ型磁
気抵抗効果ヘッド素子とシールド膜とは電気的に絶縁が
保たれている必要がある。
【0071】このようなスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘ
ッド素子に対して、情報検出電流を流すための電極およ
び適当な絶縁保護膜を形成した後、周知の技術を用いて
スライダ加工を施すとともに、加圧バネ,支持アーム等
の取り付けおよび電極配線等を行ってスピンバルブ型磁
気抵抗効果ヘッドを作製した。
【0072】上記のようにして作製されたスピンバルブ
型磁気抵抗効果ヘッドについて再生特性を調べたとこ
ろ、適切な情報検出電流において線形動作し、バルクハ
ウゼン・ジャンプ・ノイズなどの雑音のない良好な再生
波形が得られた。
【0073】更に、第2の強磁性膜の固定された磁化の
熱的安定性を確認するために、通常の情報検出電流より
5〜6倍程度の大きな電流を流しても、そのときの発熱
による温度上昇による再生波形の乱れはなく良好な再生
特性が得られ、第2の強磁性膜の固定された磁化の十分
な熱的安定性も確認された。
【0074】〔第5の実施の形態〕次に、本発明の第5
の実施の形態を図5に基づいて説明する。
【0075】この第5の実施例は、図5に示すように、
第1の強磁性膜51,非磁性導電体膜52,第2の強磁
性膜53および反強磁性膜54の両端部が滑らかに傾斜
して形成されている点に構造上の特徴を備えており、こ
の点が前述の第4の実施例と異なっている。
【0076】即ち、絶縁膜が形成された基板(図5にお
いては省略されている)上に、第1の強磁性膜51,非
磁性導電体膜52,第2の強磁性膜53および反強磁性
膜54が順次積層成膜され、周知のフォトリソ技術等を
用いて第1の強磁性膜51,非磁性導電体膜52,第2
の強磁性膜53および反強磁性膜54の両端部に滑らか
な傾斜を設け、その後、第1の強磁性膜51および非磁
性導電体膜52の両端部に硬質強磁性膜55a,55b
が挟み込むようにして配設されている。
【0077】基板としてはAl2 3 −TiC系のセラ
ミックが使用され、絶縁膜には膜厚100〔nm〕のA
2 3 が用いられている。
【0078】第1の強磁性膜51は厚さが7.5〔n
m〕のニッケル・鉄合金からなり、非磁性導電体膜52
は厚さが2.5〔nm〕の銅からなり、第2の強磁性膜
53は厚さが3〔nm〕のニッケル・鉄合金からなり、
反強磁性膜54は膜厚が25〔nm〕の鉄・マンガン合
金からなり、硬質強磁性膜55a,55bは厚さが10
〔nm〕のコバルト・クロム・タンタル合金からなり、
これらがスパッタ法により積層成膜されている。
【0079】このとき、硬質強磁性膜55a,55bで
あるコバルト・クロム・タンタル合金の下地膜として、
クロムや鉄・クロム合金等を形成しておくことによっ
て、コバルト・クロム・タンタル合金を強い面内磁化膜
にしておくことが望ましい。
【0080】ここで、特に第1の強磁性膜51について
はその磁歪定数が「−2x10-6」となるように鉄とし
て17.5重量百分率含んだニッケル・鉄合金を用い、
第2の強磁性膜53についてはその磁歪定数が「+8x
10-6」となるように、鉄として23重量百分率含んだ
ニッケル・鉄合金を用いた。
【0081】更に、第1の強磁性膜51は、磁気記録媒
体に対向した空気ベアリング面に対して平行な方向(即
ち、トラック幅方向)に100エルステッド程度の磁場
を印加しながら成膜することによって、トラック幅方向
に磁気異方性を誘起させている。
【0082】また、第2の強磁性膜53および反強磁性
膜54は、空気ベアリング面に対して垂直な方向(即
ち、素子高さ方向)に100エルステッド程度の磁場を
印加しながら成膜することによって、素子高さ方向に磁
気異方性を誘起し同時に第2の強磁性膜53と反強磁性
膜54との交換結合によって第2の強磁性膜53の磁化
をその方向に固定している。
【0083】また、第1の強磁性膜51および非磁性導
電体膜52の両端部に配設された硬質強磁性膜55a,
55bによって第1の強磁性膜51が単一磁区状態を保
持している。
【0084】更に、硬質強磁性膜55a,55bは、第
2の強磁性膜53に隣接しておらず、これによって当該
硬質強磁性膜55a,55bから第2の強磁性膜53へ
の磁束の流入を防ぎ、第2の強磁性膜53の素子高さ方
向に向いている磁化への影響を防いでいる。
【0085】さらに、第2の強磁性膜53への余分な磁
束の流出を防ぐことによって、硬質強磁性膜55a,5
5bの膜厚を薄くできる。
【0086】ここでは、硬質強磁性膜55a,55bが
非磁性導電体膜52の両端部をちょうど覆う高さまで積
層されているが、上記に説明したように第2の強磁性膜
53に隣接してなければ同様の効果が得られることはい
うまでもない。
【0087】なお、上述した各々の機能膜の材料におい
ては、一例にすぎず、各々の機能膜として適切な材料を
用いればよく、厚さについても機能を損なわない範囲内
で設定すればよい。
【0088】また、図5には示されていないが、磁気記
録媒体に記録され、再生したい特定の信号磁界以外の余
分な磁界を遮蔽することを目的とした機能膜として、図
5のスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド素子の上下に素
子を挟むようにして強磁性材料からなるシールド膜を積
層形成してもよい。
【0089】ただし、このときスピンバルブ型磁気抵抗
効果ヘッド素子とシールド膜とは電気的に絶縁が保たれ
ている必要がある。
【0090】このようなスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘ
ッド素子に対して、情報検出電流を流すための電極およ
び適当な絶縁保護膜を形成した後、周知の技術を用いて
スライダ加工を施すとともに、加圧バネ,支持アーム等
の取り付けおよび電極配線等を行ってスピンバルブ型磁
気抵抗効果ヘッドを作製した。
【0091】上記のようにして作製されたスピンバルブ
型磁気抵抗効果ヘッドについて再生特性を調べたとこ
ろ、適切な情報検出電流において線形動作し、バルクハ
ウゼン・ジャンプ・ノイズなどの雑音のない良好な再生
波形が得られた。
【0092】更に、第2の強磁性膜の固定された磁化の
熱的安定性を確認するために、通常の情報検出電流より
5〜6倍程度の大きな電流を流しても、そのときの発熱
による温度上昇による再生波形の乱れはなく良好な再生
特性が得られ、第2の強磁性膜の固定された磁化の十分
な熱的安定性も確認された。
【0093】次に、本発明の第6の実施形態を図6に示
す。
【0094】この図6に示す第6の実施形態において
は、スピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド素子は、絶縁膜
が形成された基板(図6においては省略されている)上
に、第1の強磁性膜61,非磁性導電体膜62,第2の
強磁性膜63および反強磁性膜64が順次積層成膜さ
れ、第1の強磁性膜61および非磁性導電体膜62の両
端部に硬質強磁性膜65a,65bが挟み込むようにし
て配設されている。
【0095】さらに、第2の強磁性膜63は、二層63
a,63bからなっている。
【0096】基板としてはAl2 3 −TiC系のセラ
ミックを使用し、絶縁膜には膜厚100〔nm〕のAl
2 3 を用いた。
【0097】第1の強磁性膜61は厚さが8〔nm〕の
ニッケル・鉄合金からなり、非磁性導電体膜62は厚さ
が2.5〔nm〕の銅からなり、第2の強磁性膜63の
第1層目は厚さが10〔nm〕のコバルト・鉄合金から
なり、第2層目は厚さが15〔nm〕のニッケル・鉄合
金からなり、反強磁性膜64は膜厚が20〔nm〕の鉄
・マンガン合金からなり、硬質強磁性膜65a,65b
は厚さが11〔nm〕のコバルト・クロム・プラチナ合
金からなり、これらがスパッタ法により積層成膜されて
いる。
【0098】このとき、硬質強磁性膜65a,65bで
あるコバルト・クロム・プラチナ合金の下地膜として、
クロムや鉄・クロム合金等を形成しておくことによっ
て、コバルト・クロム・プラチナ合金を強い面内磁化膜
にしておくことが望ましい。
【0099】ここで、特に第1の強磁性膜61としては
その磁歪定数が「−1x10-6」となるように鉄を18
重量百分率含んだニッケル・鉄合金を用い、第2の強磁
性膜63の第1層目についてはその磁歪定数が−2x1
-7となるように、鉄として10原子百分率含んだコバ
ルト・鉄合金を用い、第2層目には+1x10-5となる
ように、鉄を25重量百分率含んだニッケル・鉄合金を
用いた。
【0100】更に、第1の強磁性膜61は、トラック幅
方向に、100エルステッド程度の磁場を印加しながら
成膜することによって、トラック幅方向に磁気異方性を
誘起させている。
【0101】また、第2の強磁性膜63および反強磁性
膜64は、素子高さ方向に100エルステッド程度の磁
場を印加しながら成膜し、さらに、スピンバルブ型磁気
抵抗効果ヘッドを製造する過程において一定の磁界を印
加しながら熱処理を施すことによって、素子高さ方向に
磁気異方性を誘起し同時に第2の強磁性膜63と反強磁
性膜64との交換結合によって第2の強磁性膜63の磁
化をその方向に固定している。
【0102】また、第1の強磁性膜61および非磁性導
電体膜62の両端部に配設された硬質強磁性膜65a,
65bによって第1の強磁性膜61が単一磁区状態を保
持している。
【0103】更に、硬質強磁性膜65a,65bは、第
2の強磁性膜63に隣接しておらず、硬質強磁性膜65
a,65bから第2の強磁性膜63への磁束の流入を防
ぎ、第2の強磁性膜63の素子高さ方向に向いている磁
化への影響を防いでいる。
【0104】又、第2の強磁性膜63への余分な磁束の
流出を防ぐことによって、硬質強磁性膜65a,65b
の膜厚を薄くできる。
【0105】ここでは、硬質強磁性膜65a,65bが
非磁性導電体膜62の両端部をちょうど覆う高さまで積
層されているが、上記に説明したように第2の強磁性膜
63に隣接してなければ同様の効果が得られることはい
うまでもない。
【0106】なお、上述した各々の機能膜の材料におい
ては、一実施例にすぎず、各々の機能膜として適切な材
料を用いればよく、厚さについても機能を損なわない範
囲内で設定すればよい。
【0107】また、図6には示されていないが、磁気記
録媒体に記録され、再生したい特定の信号磁界以外の余
分な磁界を遮蔽することを目的とした機能膜として、図
6のスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド素子の上下に素
子を挟むようにして強磁性材料からなるシールド膜を積
層形成してもよい。ただし、このときスピンバルブ型磁
気抵抗効果ヘッド素子とシールド膜とは電気的に絶縁が
保たれている必要がある。
【0108】このようなスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘ
ッド素子に対して、情報検出電流を流すための電極およ
び適当な絶縁保護膜を形成した後、周知の技術を用いて
スライダ加工を施すとともに、加圧バネ,支持アーム等
の取り付けおよび電極配線等を行ってスピンバルブ型磁
気抵抗効果ヘッドを作製した。
【0109】上記のようにして作製されたスピンバルブ
型磁気抵抗効果ヘッドについて再生特性を調べたとこ
ろ、適切な情報検出電流において線形動作し、バルクハ
ウゼン・ジャンプ・ノイズなどの雑音のない良好な再生
波形が得られた。
【0110】更に、第2の強磁性膜の固定された磁化の
熱的安定性を確認するために、通常の情報検出電流より
5〜6倍程度の大きな電流を流しても、そのときの発熱
による温度上昇による再生波形の乱れはなく良好な再生
特性が得られ、第2の強磁性膜の固定された磁化の十分
な熱的安定性も確認された。
【0111】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、製造時の
種々の熱処理,情報検出電流による発熱あるいは様々な
磁界などによる第2の強磁性膜の磁化の不安定性を低減
し、ヘッド素子としての線形動作の信頼性を向上でき、
ノイズの発生を防ぐことができ、更に、第1の強磁性膜
の単一磁区構造をより安定化させることによって、バル
クハウゼン・ジャンプ・ノイズなどの雑音を防止したス
ピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッドを提供できる。
【0112】また、第1の強磁性膜の単一磁区構造を独
自に安定化させることによって、硬質強磁性膜の膜厚を
適度に薄くすることによって、製造コストを低減したス
ピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるスピンバルブ
型磁気抵抗効果ヘッドの素子部分の基本構造(積層部
分)を示す説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるスピンバルブ
型磁気抵抗効果ヘッドの素子部分の例を示す説明図であ
る。
【図3】本発明の第2の実施形態におけるスピンバルブ
型磁気抵抗効果ヘッドの素子部分の例を示す説明図であ
る。
【図4】本発明の第3の実施形態におけるスピンバルブ
型磁気抵抗効果ヘッドの素子部分の例を示す説明図であ
る。
【図5】本発明の第4の実施形態におけるスピンバルブ
型磁気抵抗効果ヘッドの素子部分の例を示す説明図であ
る。
【図6】本発明の第5の実施形態におけるスピンバルブ
型磁気抵抗効果ヘッドの素子部分の例を示す説明図であ
る。
【図7】従来例におけるスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘ
ッド素子の構成要素の展開例を示す説明図である。
【図8】他の従来例におけるスピンバルブ型磁気抵抗効
果ヘッド素子の構成要素の例を示す説明図である。
【符号の説明】
11,21,31,41,51,61 第1の強磁性膜 12,22,32,42,52,62 非磁性導電体膜 13,23,33,43,53,63,63a,63b
第2の強磁性膜 14,24,34,44,54,64 反強磁性膜 25a,25b,35a,35b,45a,45b,5
5a,55b,65a,65b 硬質強磁性膜 h 磁気記録媒体からの磁界 M1,M2 磁化方向

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性導電体膜によって分離された第1
    の強磁性膜と第2の強磁性膜と、この第2の強磁性膜に
    接して積層された反強磁性膜とからなり、前記第1の強
    磁性膜の磁化方向と前記第2の強磁性膜の磁化方向が外
    部磁界がゼロである場合に直交しているスピンバルブ型
    磁気抵抗効果ヘッドにおいて、 前記第2の強磁性膜が正の磁歪定数を有することを特徴
    としたスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記第2の強磁性膜が、5x10-6以上
    の磁歪定数を有することを特徴とする請求項1記載のス
    ピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記第1の強磁性膜が、1x10-6以下
    の磁歪定数を有することを特徴とする請求項1または2
    記載のスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記第1の強磁性膜が、−5x10-6
    上−1x10-6以下の磁歪定数を有することを特徴とす
    る請求項1又は2記載のスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘ
    ッド。
  5. 【請求項5】 前記第2の強磁性膜が、ニッケル・鉄合
    金,コバルト・鉄合金又はニッケル・コバルト・鉄合金
    からなることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載
    のスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記第1の強磁性膜が、16重量百分率
    以上でかつ18重量百分率以下の鉄を含有するニッケル
    ・鉄合金であることを特徴とする請求項1,2,3,4
    又は5記載のスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記第2の強磁性膜が、22重量百分率
    以上の鉄を含有するニッケル・鉄合金であることを特徴
    とする請求項1,2,3,4又は6記載のスピンバルブ
    型磁気抵抗効果ヘッド。
  8. 【請求項8】 非磁性導電体膜によって分離された第1
    の強磁性膜と第2の強磁性膜と、前記第2の強磁性膜に
    接して積層された反強磁性膜とからなり、前記第1の強
    磁性膜の磁化方向と前記第2の強磁性膜の磁化方向が外
    部磁界がゼロである場合に直交しているスピンバルブ型
    磁気抵抗効果ヘッドにおいて、 前記第2の強磁性膜が二層以上の積層膜からなり、その
    内少なくとも1層が正の磁歪定数を有することを特徴と
    するスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記二層以上の積層膜からなる第2の強
    磁性膜の少なくとも1層が、5x10-6以上の磁歪定数
    を有することを特徴とする請求項8記載のスピンバルブ
    型磁気抵抗効果ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記第1の強磁性膜が、1x10-6
    下の磁歪定数を有することを特徴とする請求項8又は9
    記載のスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド。
  11. 【請求項11】 前記第1の強磁性膜が、−5x10-6
    以上−1x10-6以下の磁歪定数を有することを特徴と
    する請求項8,9又は10記載のスピンバルブ型磁気抵
    抗効果ヘッド。
  12. 【請求項12】 前記第2の強磁性膜の非磁性導電体膜
    に隣接する少なくとも1層が、ニッケル・鉄合金,コバ
    ルト・鉄合金またはニッケル・コバルト・鉄合金からな
    ることを特徴とする請求項8,9,10又は11記載の
    スピンバルブ型磁気抵抗効果ヘッド。
  13. 【請求項13】 前記第1の強磁性膜が、16重量百分
    率以上でかつ18重量百分率以下の鉄を含有するニッケ
    ル・鉄合金であることを特徴とする請求項8,9,1
    0,11又は12記載のスピンバルブ型磁気抵抗効果ヘ
    ッド。
  14. 【請求項14】 前記第2の強磁性膜の非磁性導電体膜
    に隣接する少なくとも1層が、22重量百分率以上の鉄
    を含有するニッケル・鉄合金であることを特徴とする請
    求項8,9,10,11又は13記載のスピンバルブ型
    磁気抵抗効果ヘッド。
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