JP2000181104A - 感光層用塗液、電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置および電子写真装置用プロセスカ―トリッジ - Google Patents

感光層用塗液、電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置および電子写真装置用プロセスカ―トリッジ

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JP2000181104A
JP2000181104A JP11031512A JP3151299A JP2000181104A JP 2000181104 A JP2000181104 A JP 2000181104A JP 11031512 A JP11031512 A JP 11031512A JP 3151299 A JP3151299 A JP 3151299A JP 2000181104 A JP2000181104 A JP 2000181104A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感層を失うことなく繰り返し使用によって
も帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定な電子
写真感光体を長期間安定して作製できる分散液、及び、
前記特性を維持した電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 導電性支持体上に設けられる感光層の良
質の塗工液の作製法であり、有機顔料、結着樹脂及び溶
媒を主成分とし、これらの分散を良好に行うために、1
つの循環系内に分散チャンバー部を配し、分散チャンバ
ー部を通過した液と未通過の液とは分離しておき、少な
くとも一回分液チャンバー部を通過した液について連続
循環分散を行うことによって得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感光層用塗液、それ
を用いた電子写真感光体、ならびにその電子写真感光体
を用いた電子写真方法及び電子写真装置および電子写真
装置用プロセスカートリッジに関し、詳しくは、繰り返
し使用によっても感光体の帯電電位と残留電位の安定性
に優れた電子写真感光体、ならびにそれを用いた電子写
真方法、電子写真装置および電子写真装置用プロセスカ
ートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電子写真感光体、特に有機光導電
体を使用する電子写真有機感光体は、それまでのセレン
膜を真空蒸着法により作製した無機感光体に比べ、コス
トが低い、毒性がほとんどない、成膜が容易性であるな
どの多くのメリットがあり、現在の電子写真感光体の主
流となりつつある。
【0003】有機感光体は、導電性支持体上に電荷発生
物質、電荷輸送物質および結着樹脂などを含む感光層用
塗液を浸漬塗工などで成膜するいわゆる単層感光体や、
導電性支持体上に電荷発生物質を含む塗液を用いて電荷
発生層を形成後、電荷輸送物質を含む塗液を用いて電荷
輸送層を形成する積層感光体がある。積層感光体には、
画質向上や耐久性の向上などの目的で下引き層や、保護
層などが塗工される場合もある。
【0004】しかし、このような単層型電子写真感光体
にしろ、積層型電子写真感光体にしろ静電的な繰り返し
特性に問題がないとはいえず、特に繰り返し使用するに
従って電子写真特性の劣化、特に帯電電位が低下した
り、帯電から現像までの時間に表面電位が低下する、い
わゆる暗減衰の増加するという問題があった。
【0005】ところで、感光層を形成するための光導電
性物質である有機顔料は、比較的以前から塗料用のフィ
ラーとして用いられてきた。特に、その色彩の豊かさは
無機顔料には無い利点である。また、近年では有機顔料
の応用例として、有機光電変換デバイス用材料として脚
光を浴びるようになってから、様々な材料が生み出され
ている。
【0006】このような有機顔料を含む膜が成膜される
に当たっては、大面積化が容易な湿式成膜法がその大半
を占めている。湿式成膜法により成膜される塗膜の良否
は、顔料を含む分散液の良否にほとんど左右されると言
っても過言ではない。分散液の良否とは、顔料の分散性
が一つの決め手となる。従って、良好な分散液とは顔料
がビヒクル中に充分に分散され、その分散状態が長期に
わたり継続されるものである。
【0007】このような分散液を作製するために、ここ
までには様々な分散機・分散システムが提案され、分散
効率を上げる方法が考案されてきた。分散液中の顔料の
粒子サイズを小さくするためには、一般論として分散メ
ディアのサイズの小さいものを用いるが、顔料が分散さ
れにくいものであると分散力が不足する。これを改良す
るためにはメディアサイズを大きくするか、分散されや
すい顔料を用いる以外にない。前者では最終到達する粒
子サイズに限界があるため、後者の方法を開発すること
が効率的である。しかしながら、分散に関して顔料側か
らのアプローチはほとんど見あたらない。
【0008】一方、電子写真方式を用いた情報処理シス
テム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデジ
タル信号に変換して光によって情報記録を行う光ブリン
ターは、そのプリント品質、信頼性において向上が著し
い。このデジタル記録技術はプリンターのみならず通常
の複写機にも応用され、所謂デジタル複写機が開発され
ている。また、従来からあるアナログ複写にこのデジタ
ル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処理機
能が付加されるため今後その需要性が益々高まっていく
と予想される。
【0009】光プリンターの光源としては現在のところ
小型で安価で信頼性の高い半導体レーザー(LD)や発
光ダイオード(LED)が多く使われている。現在よく
使われているLEDの発光波長は660nmであり、L
Dの発光波長域は近赤外光領域にある。このため可視光
領域から近赤外光領域に高い感度を有する電子写真感光
体の開発が望まれている。
【0010】電子写真感光体の感光波長域は感光体に使
用される電荷発生物質の感光波長域によってほぼ決まっ
てしまう。そのため従来から各種アゾ顔料、多環キノン
系顔料、三方晶形セレン、各種フタロシアニン顔料等多
くの電荷発生物質が開発されている。それらの内、チタ
ニルフタロシアニン(TiOPcと略記される)は60
0〜800nmの長波長光に対して高感度を示すため、
光源がLEDやLDである電子写真プリンターやデジタ
ル複写機用の感光体用材料として極めて重要かつ有用で
ある。
【0011】また、カールソンプロセスおよび類似プロ
セスにおいてくり返し使用される電子写真感光体の条件
としては、感度、受容電位、電位保持性、電位安定性、
残留電位、分光特性に代表される静電特性が優れている
ことが要求される。とりわけ、高感度感光体について
は、くり返し使用による帯電性の低下と残留電位の上昇
が、感光体の寿命特性を支配することが多くの感光体で
経験的に知られており、チタニルフタロシアニンもこの
例外ではない。従って、チタニルフタロシアニンを用い
た感光体の繰り返し使用による安定性は未だ十分とはい
えず、その技術の完成が熱望されていた。また、これら
特徴を持った感光体を長期的に安定に作製可能な分散液
の製造も要望されていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高感
度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下
と残留電位の上昇を生じない安定な電子写真感光体を提
供することにある。本発明の別の目的は、前記特性を維
持したまま、耐摩耗性を向上した電子写真感光体を提供
することにある。本発明の別の目的は、高感度を失うこ
となく繰り返し使用によっても帯電性の低下と残留電位
の上昇を生じない安定な電子写真方法を提供することに
ある。本発明の更に別の目的は、高感度を失うことなく
繰り返し使用によっても帯電性の低下と残留電位の上昇
を生じない安定な電子写真装置および電子写真装置用プ
ロセスカートリッジを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は電子写真感光
体について次のように考察した。すなわち、前述のよう
に、有機顔料は電子写真感光体の光キャリア発生材料と
して重要な役割を担っている。有機顔料は電子写真感光
体中においては、一般に微粒子の形で存在している。こ
れは、電子写真プロセスにおける画像書込み光を一定の
割合で均一に吸収するためである。このため、粒子が大
きすぎたり、粒度分布がまばらであったりすると、得ら
れる電子写真感光体は有機顔料を含む感光層(電荷発生
層)がきれいな塗膜にならないばかりか、電子写真プロ
セスにおいて異常画像が発生したりもする。上記の点か
ら言えば、電荷発生物質としての有機顔料は感光層(電
荷発生層)を形成するための分散液中では粒度分布の幅
が狭く、粒子サイズが出来る限り小さい方が好ましい。
すなわち、分散安定性の高い分散液の作製が、電子写真
感光体の成否を握っていると言っても過言ではない。
【0014】有機顔料を含有する電子写真感光体は、一
般的に湿式法により形成される。特に大量生産に向いた
浸漬塗工方法がドラム状感光体の製造方法の大半をしめ
る。浸漬塗工方法は、装置・方式が簡便であるため、マ
スプロダクト方式の製造には最も向いているが、少量の
本数を塗工する場合でも、必要最低量の塗工液が必要と
なる。この最低必要量が、他の塗工方式、例えば、スプ
レー法、ノズルコートなど塗りきりの方式に比べると極
めて多量である。
【0015】有機顔料の分散方法は種々提案されている
が、多量の分散液を作製する場合にはいくつかの制限が
生じる。すなわち、ボールミル・振動ミルなどにおいて
は、ポットの容量が作製可能量を決めてしまう。このよ
うな観点から、一バッチで多量の分散液作製可能な分散
システムとして、循環系の中に分散能を有する部位即ち
分散チャンバー部(分散室)を有する分散システムが提
案されている。
【0016】このようなシステムは一般に、大容量のス
トックタンクに対し、分散室の容量が小さく設計されて
いる。これは、システムをコンパクトにまとめる・省エ
ネ・分散室内に使用する分散メディアを少なくする等の
目的によるものである。分散方式の流れとしては、スト
ックタンクから分散室に送られ、分散室で分散された液
が再びストックタンクに戻って来たときに、分散された
液が分散前の液に完全に混ざる方式であるが、ストック
タンクの容量に対し分散室の容量が余りにも小さい場
合、ストックタンク内の液はほとんどが分散されていな
い液(1度も分散室を通っていない液)となってしま
う。このため、分散するために非常に時間がかかってし
まい、効率的でなくなる。更に、1部の液は何度も分散
室を通ることになるため、過分散になったり、場合によ
っては結晶型を変えてしまうことすらある。このように
して作製した分散液を用いて感光体を作製した場合、粒
度分布の不均一性による塗膜の不均一性、あるいは結晶
型の変化・変質による静電特性の変化(所望の静電特性
が得られない)などの不具合点を生じることがある。
【0017】本発明者は、上述のように循環分散システ
ムそのものの考え方は非常に好ましいものであるが、分
散室を1度通過した液が多量の未分散の液に混ざって埋
もれてしまうことが致命的な欠点であることを見いだし
た。この点を改良するために、すべての分散すべき液が
分散室を通過した後に循環分散を行うことにより、分散
効率が飛躍的に向上し、結晶型の安定した、均一な粒度
分布を持った分散液を作製できることを見いだした。そ
してこの分散液を用いることにより、成膜性が良好で、
かつ静電特性が安定している電子写真感光体が形成され
る。また本発明者は、上記技術を用いて作製した分散液
を用いた感光体は、電子写真プロセス中で用いると、従
来問題であった繰り返し使用における帯電性の低下・光
感度の低下(残留電位の上昇)を起こすことなく、安定
した表面電位を与えるものであることが分かった。これ
により、地肌汚れあるいは画像濃度低下といった異常画
像の発生が抑えられることが判明し、本発明を完成する
に至った。
【0018】本発明によれば、第一に、一つの循環系の
中に設けられた分散チャンバー部(分散室)を通過し
た、有機顔料、結着樹脂および溶剤を主成分とする分散
液と、その分散液と同一成分であって該分散チャンバー
部通過前の分散液とを分離しておき、すべての分散液が
該分散チャンバー部を少なくとも一回通過した後に、連
続循環分散して調製されることを特徴とする感光層用塗
液が提供される。
【0019】第二に、有機顔料がフタロシアニン系顔料
であることを特徴とする上記第一の感光層用塗液が提供
される。
【0020】第三に、フタロシアニン系顔料がチタニル
フタロシアニンであることを特徴とする上記第二の感光
層用塗液が提供される。
【0021】第四に、有機顔料が少なくともCuKaの
特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θ
の最大回折ピークが27.2°±0.2°にあるチタニ
ルフタロシアニンであることを特徴とする上記第一〜三
のいずれかに記載の感光層用塗液が提供される。
【0022】第五に、導電性支持体上に上記第一〜四の
いずれかに記載の感光層用塗液を塗工して形成された感
光層を有することを特徴とする電子写真感光体が提供さ
れる。
【0023】第六に、感光層が電荷発生層と電荷輸送層
との積層構成からなることを特徴とする上記第5記載の
電子写真感光体が提供される。
【0024】第七に、電荷輸送層に少なくともトリアリ
ールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボ
ネートを含有することを特徴とする上記第6記載の電子
写真感光体が提供される。
【0025】第八に、電子写真感光体に少なくとも帯
電、画像露光、現像、転写、クリーニング、除電を繰り
返し行う電子写真方法において、該電子写真感光体が導
電性支持体上に上記第一〜四のいずれかに記載の感光層
用塗液を塗工して形成された感光層を有するものである
ことを特徴とする電子写真方法が提供される。
【0026】第九に、少なくとも帯電手段、画像露光手
段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段
及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であっ
て、該電子写真感光体が導電性支持体上に上記第一〜四
のいずれかに記載の感光層用塗液を塗工して形成された
感光層を有するものであることを特徴とする電子写真装
置が提供される。
【0027】第十に、少なくとも電子写真感光体を具備
してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであっ
て、該電子写真感光体が導電性支持体上に上記第一〜四
のいずれかに記載の感光層用塗液を塗工して形成された
感光層を有するものであることを特徴とする電子写真装
置用プロセスカートリッジが提供される。
【0028】
【発明の実態の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で作製される電子写真感光体に用いられる有機顔
料は、公知の有機顔料のいずれもが適用されるが、例え
ば、フタロシアニン系顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔
料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔
料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、ス
クエアリック酸系染料、ナフタロシアニン系顔料、アズ
レニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。
【0029】数多くの結晶型を有するフタロシアニン系
顔料は非常に有効であり、中でもチタニルフタロシアニ
ンは結晶型により特性が大きく変化するが顔料である。
とりわけCuKαの特性X線(波長1.514Å)に対
するブラッグ角2θの最大回折ピークが27.2°±
0.2°にあるチタニルフタロシアニンは、極めて高い
光キャリア発生能を有するが、結晶型が不安定であり他
の結晶型へと容易に変換してしまうものである。しかし
ながら、本発明においては安定に結晶型を維持したま
ま、分散液を作製することが出来、顔料本来の光キャリ
ア発生能を維持したままの電子写真感光体が得られる。
【0030】図1は、本発明の電子写真感光体の感光層
を形成するための塗工液を作製するのに好適な装置の一
例を示した図である。図1において、51は分散室(分
散チャンバー部)で内部にモーター52によって高速回
転するローターと分散を行うビーズが入っている。ビー
ズとしては直径0.3mmから1mm程度のジルコニア
ビーズ、ガラスビーズなどが使用される。53Aおよび
53Bはストックタンクであり、内部に分散する液が貯
えられている。図1の例ではストックタンクは2基であ
るが、3基あるいはそれ以上でもかまわない。、また、
ストックタンク53A,53Bは同一の形状をしている
が、それはかならずしも同一の形状である必要はない。
54Aおよび54Bはストックタンク内の液を攪拌する
攪拌機であり、55はストックタンクの液を分散室に送
るポンプである。また、58は三方弁であり、分散室1
に送る液としてストックタンク3Aの液か或いはストッ
クタンク3Bの液かを切り替えることを可能にする。
【0031】図1ではストックタンクが2基の例を示し
たが、ストックタンクの数が増えた場合は図1の58に
示す弁は三方弁ではなく、四方あるいはそれ以上の切り
替え弁となる。弁59も三方弁であり、分散室から出た
液をストックタンク53Aあるいは53Bのどちらに入
れるかの切り替えを可能にする。弁59も弁58と同様
にストックタンクの数に応じて切り替え数は増し、切り
替えが可能となる。
【0032】このような装置を用いて、はじめに片側の
ストックタンクに分散前の液を入れ、ポンプにより分散
室に送り、分散された液はもう片方のストックタンクの
みに収納する様に弁58,59により調節する。その後
に、片側のタンクには分散液が入らないように弁58,
59の調節し、循環分散を開始する。循環前の分散室通
過を2回以上にする場合には、上記の操作(ストックタ
ンク同士の分散液の片側通行)を2回以上繰り返せばよ
い。この操作が多いほど、粒度分布が均一になるが、分
散に時間と手間がかかるため、材料により操作回数を調
節すればよい。
【0033】図2は、本発明に用いられる電子写真感光
体を表わす断面図であり、導電性支持体31上に、電荷
発生材料と電荷輸送材料を主成分とする単層感光層33
が設けられている。図3および図4は本発明に用いられ
る電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、電
荷発生材料を主成分とする電荷発生層35と、電荷輸送
材料を主成分とする電荷輸送層37とが、積層された構
成をとっている。
【0034】導電性支持体31としては、体積抵抗10
10Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミ
ニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白
金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸
化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状
もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あ
るいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、
ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜き
などの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表
面処理した管などを使用することができる。また、特開
昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッ
ケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持
体31として用いることができる。
【0035】この他、上記支持体上に導電性粉体を適当
な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性
支持体31として用いることができる。この導電性粉体
としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ま
たアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、
銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなど
の金属酸化物粉体などがあげられる。また、同時に用い
られる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリ
ロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、
スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポ
リ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ
酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹
脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロー
ス樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ
−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン
樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フ
ェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性樹脂、熱
硬化性樹脂または光硬化性樹脂があげられる。このよう
な導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な
溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、
メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布する
ことにより設けることができる。
【0036】さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニ
ル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン
などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チュー
ブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電
性支持体31として良好に用いることができる。
【0037】次に感光層について説明する。感光層は単
層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層
35と電荷輸送層37で構成される場合から述べる。
【0038】電荷発生層35は、有機顔料を主成分とす
る層である。これは前述の方法により作製された分散液
を製膜してなる層である。必要に応じて電荷発生層35
に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレ
タン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、
シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、
ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレ
ン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポ
リアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステ
ル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリア
ミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイ
ン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が
あげられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量
部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重
量部が適当である。
【0039】ここで用いられる溶剤としては、例えばイ
ソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シク
ロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチ
ルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキ
サン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられ
る。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコ
ート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、
リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生
層35の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、
好ましくは0.1〜2μmである。
【0040】電荷輸送層37は、電荷輸送物質および結
着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発
生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、
必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加
することもできる。
【0041】電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸
送物質とがある。電荷輸送物質としては、例えばクロル
アニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラ
シアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フル
オレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレ
ノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,
8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ
−4H−インデノ〔1,2-b〕チオフェン−4−オ
ン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5
−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物
質が挙げられる。
【0042】正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニル
カルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−ガルバゾリ
ルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホル
ムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレ
ン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾ
ール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘
導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘
導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、
α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジ
アリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9
−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジ
ビニルベンゼン誘導体、ヒドラジン誘導体、インデン誘
導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチル
ベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げ
られる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上
混合して用いられる。
【0043】結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン
−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共
重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエス
テル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレー
ト、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロー
ス樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ
−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン
樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フ
ェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬
化性樹脂が挙げられる。
【0044】電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部
に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150
重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜1
00μm程度とすることが好ましい。ここで用いられる
溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トル
エン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロ
エタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセ
トンなどが用いられる。
【0045】また、電荷輸送層には電荷輸送物質として
の機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送
物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質か
ら構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものであ
る。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用で
きるが、トリアリールアミン構造を主鎖および/または
側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中で
も、(1)〜(10)式で表される高分子電荷輸送物質
が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示
す。
【0046】
【化1】 式中、R1,R2,R3はそれぞれ独立して置換もしくは
無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子
又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5,R 6は置換
もしくは無置換のアリール基、o,p,qはそれぞれ独
立して0〜4の整数、k,jは組成を表し、0.1≦k
≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜
5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪
族の2価基、または下記一般式で表される2価基を表
す。
【化2】 式中、R101,R102は各々独立して置換もしくは無置換
のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。
l,mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜1
2の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O
−,−S−,−SO−,−SO2−,−CO−,−CO
−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表
す。)または、
【化3】 式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、
103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリ
ール基を表す。ここで、R101とR102,R103とR
104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0047】
【化4】 式中、R7,R8は置換もしくは無置換のアリール基、A
1,Ar2,Ar3は同一又は異なるアリレン基を表
す。X,k,jおよびnは、(1)式の場合と同じであ
る。
【0048】
【化5】 式中、R9,R10は置換もしくは無置換のアリール基、
Ar4,Ar5,Ar6は同一又は異なるアリレン基を表
す。X,k,jおよびnは、(1)式の場合と同じであ
る。
【0049】
【化6】 式中、R11,R12は置換もしくは無置換のアリール基、
Ar7,Ar8,Ar9は同一又は異なるアリレン基、p
は1〜5の整数を表す。X,k,jおよびnは、(1)
式の場合と同じである。
【0050】
【化7】 式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、
Ar10,Ar11,Ar 12は同一又は異なるアリレン基、
1,X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換
もしくは無置換のビニレン基を表す。X,k,jおよび
nは、(1)式の場合と同じである。
【0051】
【化8】 式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換の
アリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は同一又
は異なるアリレン基、Y1,Y2,Y3は単結合、置換も
しくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシ
クロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエ
ーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一
であっても異なっていてもよい。X,k,jおよびn
は、(1)式の場合と同じである。
【0052】
【化9】 式中、R19,R20は水素原子、置換もしくは無置換のア
リール基を表し、R19とR20は環を形成していてもよ
い。Ar17,Ar18,Ar19は同一又は異なるアリレン
基を表す。X,k,jおよびnは、(1)式の場合と同
じである。
【0053】
【化10】 式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、A
20,Ar21,Ar22,Ar23は同一又は異なるアリレ
ン基を表す。X,k,jおよびnは、(1)式の場合と
同じである。
【0054】
【化11】 式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換の
アリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28
は同一又は異なるアリレン基を表す。X,k,jおよび
nは、(1)式の場合と同じである。
【0055】
【化12】 式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、
Ar29,Ar30,Ar 31は同一又は異なるアリレン基を
表す。X,k,jおよびnは、(1)式の場合と同じで
ある。
【0056】本発明において電荷輸送層37中に可塑剤
やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジ
ブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹
脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用で
き、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程
度が適当である、レベリング剤としては、ジメチルシリ
コーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどの
シリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基
を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その
使用量は結着樹脂に対して0〜1重量%が適当である。
【0057】次に感光層が単層構成33の場合について
述べる。単層感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質お
よび結着樹脂を適当な溶剤に上述の方法により分散し、
これを塗布、乾燥することによって形成できる。さら
に、この感光層には上述した電荷輸送材料を添加した機
能分離タイプとしても良く、良好に使用できる。また、
必要により、可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添
加することもできる。
【0058】結着樹脂としては、先に電荷輸送層37で
挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発生層3
5で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろ
ん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用でき
る。結着樹脂100重量部に対する、電荷発生物質の量
は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜
190重量部が好ましくさらに好ましくは50〜150
重量部である。単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂
を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の
溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法
やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成で
きる。単層感光層の膜厚は5〜100μm程度が適当で
ある。
【0059】本発明の電子写真感光体には、導電性支持
体31と感光層との間に下引き層を設けることができ
る。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これら
の樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考える
と、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂である
ことが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニル
アルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の
水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロ
ン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン
樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エ
ポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等
が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電
位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸
化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示で
きる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0060】これらの下引き層は前述の感光層の如く適
当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に
本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタ
ンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用する
こともできる。この他、本発明の下引き層には、A12
3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン
(パリレン)等の有機物やSiO2,SnO2,Ti
2,ITO,CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて
設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のも
のを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μm
が適当である。
【0061】本発明の電子写真感光体には、感光層保護
の目的で、保護層が感光層の上に設けられることもあ
る。保護層に使用される材料としてはABS樹脂、AC
S樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化
ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセ
タール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレ
ート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルス
ルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、
ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリ
プロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、
ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合
体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層にはそ
の他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエ
チレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれら
の樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム等の無
機材料を分散したもの等を添加することができる。保護
層の形成法としては通常の塗布法が採用される、なお保
護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。ま
た、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C,
a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることが
できる。
【0062】本発明においては感光層と保護層との間に
中間層を設けることも可能である。中間層には、一般に
バインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂とし
ては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性
ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビ
ニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法とし
ては、前述のごとく通常の塗布法が採用される。なお、
中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0063】次に図面を用いて本発明の電子写真方法な
らびに電子写真装置を詳しく説明する。
【0064】図5は、本発明の電子写真プロセスおよび
電子写真装置を説明するための概略図であり、下記する
ような変形例も本発明の範疇に属するものである。
【0065】図5において、感光体1は導電性支持体上
に前述の方法により作製された分散液を用いて製膜した
感光層が設けられてなる。感光体1はドラム状の形状を
示しているが、シート状、エンドレスベルト状のもので
あっても良い。帯電チャージャー3、転写前チャージャ
ー7、転写チャージャー10、分離チャージャー11、
クリーニング前チャージャー13には、コロトロン、ス
コロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャー
ジャー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いら
れる。
【0066】転写手段には、一般に上記の帯電器が使用
できるが、図に示されるように転写チャージャーと分離
チャージャーを併用したものが効果的である。
【0067】また、画像露光部5、除電ランプ2等の光
源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンラン
プ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LE
D)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセ
ンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。
そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャ
ープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外
カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フ
ィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルター
を用いることもできる。
【0068】かかる光源等は、図5に示される工程の他
に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング
工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、
感光体に光が照射される。
【0069】さて、現像ユニット6により感光体1上に
現像されたトナーは、転写紙9に転写されるが、全部が
転写されるわけではなく、感光体1上に残存するトナー
も生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ14およ
びブレード15により、感光体より除去される。クリー
ニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることも
あり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファ
ーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
【0070】電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画
像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜
像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微
粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正
(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られ
る。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、
また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0071】図6には、本発明による電子写真プロセス
の別の例を示す。感光体21は前述の方法により作製さ
れた分散液を用いて製膜した感光層を有しており、駆動
ローラ22a,22bにより駆動され、帯電器23によ
る帯電、光源24による画像露光、現像(図示せず)、
帯電器25を用いる転写、光源26によるクリーニング
前露光、ブラシ27によるクリーニング、光源28によ
る除電が繰返し行なわれる。図6においては、感光体2
1(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側
よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
【0072】以上の図示した電子写真プロセスは、本発
明における実施形態を例示するものであって、もちろん
他の実施形態も可能である。例えば、図6において支持
体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感
光層側から行ってもよいし、また、画像露光、除電露光
の照射を支持体側から行ってもよい。
【0073】一方、光照射工程は、画像露光、クリーニ
ング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前
露光、画像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射
工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
【0074】以上に示すような画像形成手段は、複写装
置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれ
ていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装
置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジと
は、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手
段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1
つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状
等は多く挙げられるが、一般的な例として、図7に示す
ものが挙げられる。感光体16は、導電性支持体上に前
述の方法により作製された分散液を用いて製膜した感光
層を有してなるものである。
【0075】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、
本発明はこれら実施例により制約を受けるものではな
い。なお、部はすべて重量部である。
【0076】まず、ブラッグ角2θの最大回折ピークが
27.2°±0.2°にある結晶形(いわゆるY型)の
チタニルフタロシアニン顔料の具体的な合成例を述べ
る。 (顔料製造例)フクロジニトリル525部と1−クロロ
ナフタレン4000部を撹拌混合し、窒素気流下で四塩
化チタン190部を滴下する。滴下終了後、徐々に20
0℃まで昇温し、反応温度を190℃〜210℃の問に
保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、
放冷し130℃になったところで熱時ろ過し、ついで1
−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄し、つ
ぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数
回洗浄した後、乾燥し422部の粗チタニルフタロシア
ニン顔料を得た。得られた熱水洗浄処理した粗チタニル
フタロシアニン顔料のうち60部を96%硫酸1000
部に3〜5℃下で撹拌し、溶解し、ろ過した。得られた
硫酸溶液を氷水35000部中に撹拌しながら滴下し、
析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水
洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料の水ペース
トを得た。この水ぺーストに1,2−ジクロロエタン1
500部を加え、室温下2時間撹拌した後、メタノール
2500部をさらに加え撹拌し、ろ過した。これをメタ
ノール洗浄し、更に乾燥してチタニルフタロシアニン顔
料49部を得た。
【0077】顔料製造例で得られたチタニルフタロシア
ニン顔料についてのX線回折スペクトルを以下に示す条
件で測定した。 X線管球 Cu、 電圧40kV、 電流20mA、 走査速度1°/分、 走査範囲3°〜40° 時定数2秒、
【0078】顔料製造例で得られたチタニルフタロシア
ニン顔料のX線回折スペクトルを図8に示す。得られた
チタニルフタロシアニン顔料はブラッグ角2θの最大ピ
ークが少なくとも27.2°±0.2°にある結晶形を
有していることが分かる。
【0079】(実施例1)顔料製造例で作製した顔料は
大きな塊を含んでいたため、市販のミキサーにより粗粉
砕を行った。この結果、約200μm以下程度の粉体を
得た。この顔料を用い、図1に示すようなビーズミル分
散機を用いて、下記組成の液の分散を行った。循環分散
の前に行う全液の分散室の通過操作(仮分散と呼ぶ)を
1回行ってから、循環分散を行った。 上記顔料 370部 ブチラール樹脂 250部 2−ブタノン 5000部 ブチラール樹脂はあらかじめ別の容器で2一ブタノンに
溶解しておいたものを使用した。仮分散を1回行った
後、循環分散を30分行った。これを分散液1とする。
【0080】(実施例2)実施例1における仮分散を2
回行った以外は、実施例1と全く同様に分散液を作製し
た。これを分散液2とする。
【0081】(比較例1)実施例1における仮分散を行
わなかった以外は、実施例1と全く同様に分散液を作製
した。これを分散液3とする。
【0082】(比較例2)実施例1における仮分散を行
わず、分散時間を180分とした以外は実施例1と全く
同様に分散液を作製した。これを分散液4とする。
【0083】上記のように作製した分散液を以下のよう
に評価した。粒度分布はCAPA700(堀場製作所社
製)にて測定した。また、分散液を乾固し、粉末とした
後、X線回折スペクトルを測定した。結果を表1に示
す。表1より、分散液1〜2は平均粒径も細かく、結晶
型の変化のない分散液であることが分かる。
【0084】
【表1】
【0085】(実施例3〜4および比較例3)電鋳ニッ
ケルベルト上に下記組成の下記組成の下引き層塗工液、
電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗
布・乾燥し、積層感光体を作製した。 〔下引き層塗工液〕 二酸化チタン粉末 15部 ポリビニルブチラール 6部 2−ブタノン 150部 〔電荷発生層塗工液〕実施例3には前記分散液1を用
い、実施例4には前記分散液2を用い、比較例3には前
記分散液3を用いた。 〔電荷輸送層塗工液〕 ポリカーボネート 10部 下記構造式の電荷輸送物質 7部
【化13】 塩化メチレン 80部
【0086】このようにしてなる電子写真感光体を図6
に示す電子写真プロセス(ただし、クリーニング前露光
は無し)に装着し、画像露光光源を780mmの半導体
レーザー(ポリゴンミラーによる画像書き込み)とし
た。連続して10000枚の印刷を行い、その時の画像
評価を行った。結果を表2に示す。
【0087】
【表2】 分散液3を用いた感光体の電荷発生層は、分散液中に粗
大粒子が存在しているため、塗膜欠陥(ポチ、スジな
ど)を生じた。表2より分散液1〜2を用いた感光体
は、繰り返し使用後にも良好な画像を与えていることが
分かる。
【0088】(実施例5〜6および比較例4)アルミニ
ウムシリンダー表面を陽極酸化処理した後封孔処理を行
った。この上に、下記電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗
工液を、順次塗布・乾燥して各々0.2μm厚の電荷発
生層、20μm厚の電荷輸送層を形成し、本発明の電子
写真感光体を作製した。 〔電荷発生層塗工液〕実施例5には前記分散液1を用
い、実施例6には前記分散液2を用い、比較例4には前
記分散液4を用いた。 〔電荷輸送層塗工液〕 下記構造式の電荷輸送物質 8部
【化14】 ポリカーボネート 10部 塩化メチレン 80部
【0089】このようにしてなる電子写真感光体を図7
に示す電子写真用プロセスカートリッジに装着した後、
画像形成装置に搭載した。画像露光光源を780mmの
半導体レーザー(ポリゴンミラーによる画像書き込み)
として、現像直前の感光体の表面電位が測定できるよう
に表面電位計のプローブを挿入した。連続して5000
枚の印刷を行い、その時の画像露光部と画像非露光部の
表面電位を初期と5000枚後に測定した結果を表3に
示す。
【0090】
【表3】 表3より、分散液1〜2を用いた感光体は、繰り返し使
用後にも安定した表面電位を維持していることが分か
る。
【0091】実施例7 実施例1における支持体を電鋳ニッケル・ベルトからア
ルミシリンダーに変えた以外は実施例1と全く同様に感
光体を作製した。
【0092】実施例8 実施例1の電荷輸送層塗工液を以下の組成に変えた以外
は、実施例1と全く同様に感光体を作製した。 〔電荷輸送層塗工液〕 下記構造式の高分子電荷輸送物質 10部
【化15】 塩化メチレン 100部
【0093】実施例9 実施例1の電荷輸送層塗工液を以下の組成に変えた以外
は、実施例1と全く同様に感光体を作製した。 〔電荷輸送層塗工液〕 下記構造式の高分子電荷輸送物質 10部
【化16】 塩化メチレン 100部
【0094】上記の実施例7〜9の各電子写真感光体を
図5に示す電子写真プロセスに装着し(ただし、画像露
光光源を780nmに発光を持つLDとした)、連続し
て一万枚の印刷を行い、その時の画像を初期と一万枚後
に評価した。また、電荷輸送層の膜厚の変化(減少量)
を測定した。結果を表4に示す。
【0095】
【表4】
【0096】
【発明の効果】本発明によれば、分散液作製にあたり非
常に効率的に、かつ結晶型を変えることない分散液の作
製する方法が提供され、これを用いることにより、特定
の結晶型を維持したまま、粒径の細かい分散液が提供さ
れる。この分散液は、電子写真感光体用分散液として非
常に有用であり、特定の感光体特性を与え、かつ塗膜欠
陥の少ない感光体を作製することが可能である。これに
より、特定の特性(高感度・繰り返し使用によっても安
定な表面電位)を維持しつつ、耐摩耗性の高い感光体が
提供される。更に、高感度を失うことなく繰り返し使用
によっても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安
定な電子写真装置および電子写真装置用プロセスカート
リッジが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における感光層を形成するための分散液
を得るのに好適な装置の概略図。
【図2】本発明で用いられる電子写真感光体の模式断面
図。
【図3】本発明で用いられる別の電子写真感光体の模式
断面図。
【図4】本発明で用いられる更に別の電子写真感光体の
模式断面図。
【図5】本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置
を説明するための概略図。
【図6】本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置
を説明するための概略図。
【図7】本発明の代表的な電子写真装置を説明するため
の概略図。
【図8】本発明の合成例により得られるチタニルフタロ
シアン顔料のX線回折スペクトル。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一つの循環系の中に設けられた分散チャ
    ンバー部を通過した、有機顔料、結着樹脂および溶剤を
    主成分とする分散液と、その分散液と同一成分であって
    該分散チャンバー部通過前の分散液とを分離しておき、
    すべての分散液が該分散チャンバー部を少なくとも一回
    通過した後に、連続循環分散して調製されることを特徴
    とする感光層用塗液。
  2. 【請求項2】 有機顔料がフタロシアニン系顔料である
    ことを特徴とする請求項1記載の感光層用塗液。
  3. 【請求項3】 フタロシアニン系顔料がチタニルフタロ
    シアニンであることを特徴とする請求項2記載の感光層
    用塗液。
  4. 【請求項4】 有機顔料が少なくともCuKαの特性X
    線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θの最大
    回折ピークが27.2°±0.2°にあるチタニルフタ
    ロシアニンであることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の感光層用塗液。
  5. 【請求項5】 導電性支持体上に請求項1〜4のいずれ
    かに記載の感光層用塗液を塗工して形成された感光層を
    有することを特徴とする電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 感光層が電荷発生層と電荷輸送層との積
    層構成からなることを特徴とする請求項5記載の電子写
    真感光体。
  7. 【請求項7】 電荷輸送層に少なくともトリアリールア
    ミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネート
    を含有することを特徴とする請求項6記載の電子写真感
    光体。
  8. 【請求項8】 電子写真感光体に少なくとも帯電、画像
    露光、現像、転写、クリーニング、除電を繰り返し行う
    電子写真方法において、該電子写真感光体が導電性支持
    体上に請求項1〜4のいずれかに記載の感光層用塗液を
    塗工して形成された感光層を有するものであることを特
    徴とする電子写真方法。
  9. 【請求項9】 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現
    像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段及び電
    子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該
    電子写真感光体が導電性支持体上に請求項1〜4のいず
    れかに記載の感光層用塗液を塗工して形成された感光層
    を有するものであることを特徴とする電子写真装置。
  10. 【請求項10】 少なくとも電子写真感光体を具備して
    なる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該
    電子写真感光体が導電性支持体上に請求項1〜4のいず
    れかに記載の感光層用塗液を塗工して形成された感光層
    を有するものであることを特徴とする電子写真装置用プ
    ロセスカートリッジ。
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