JP2000179702A - 軸封装置 - Google Patents

軸封装置

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JP2000179702A
JP2000179702A JP10360922A JP36092298A JP2000179702A JP 2000179702 A JP2000179702 A JP 2000179702A JP 10360922 A JP10360922 A JP 10360922A JP 36092298 A JP36092298 A JP 36092298A JP 2000179702 A JP2000179702 A JP 2000179702A
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Japan
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seal
gas
shaft
seal element
metal
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JP10360922A
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English (en)
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Hisaya Yokomachi
尚也 横町
Toshiro Fujii
俊郎 藤井
Takayuki Imai
崇行 今井
Kazuro Murakami
和朗 村上
Hiromi Obata
博美 小畑
Takeshi Baba
健 馬場
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Toyota Industries Corp
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16JPISTONS; CYLINDERS; SEALINGS
    • F16J15/00Sealings
    • F16J15/16Sealings between relatively-moving surfaces
    • F16J15/32Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings
    • F16J15/3204Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings with at least one lip
    • F16J15/3232Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings with at least one lip having two or more lips

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Sealing With Elastic Sealing Lips (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シール部材の材質に対してガス透過性の比較
的高いガスに対しても高いシール性能が得られる軸封装
置を提供する。 【解決手段】 回転軸用シール32はゴム製のシーリエ
レメント42と、樹脂製のシールエレメント43とを備
える。シールエレメント42の内周面には金属薄板50
が摺接部47を除くほぼ全域に密着されている。金属薄
板50は薄肉であるため、シールエレメント42が弾性
変形したときに共に変形して両者の密着状態が維持され
る。そのため、回転軸用シール32の組付後にシールエ
レメント42が回転軸17の周面に圧接された状態にお
いても、金属薄板50がシールエレメント42の表面に
しっかり密着している。ゴムや樹脂に対してガス透過性
の高いガス(二酸化炭素)が、シールエレメント42,
43を透過して洩れる経路が金属薄板50によってほぼ
遮断される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環状のシール部材
を回転軸の周面に接触させてその周面に沿った流体の洩
れを防止する軸封装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば実公平7−20447号公報や特
開平6−129546号公報等に開示されるように、回
転軸の周面にシールエレメントを摺接させてその周面に
沿った流体の洩れを防止する軸封装置(回転軸用シー
ル)が知られている。この種の軸封装置は例えば冷凍回
路を構成する圧縮機の回転軸に適用される。回転軸用シ
ールは、圧縮機内の潤滑油や冷媒ガスの洩れを防止す
る。
【0003】例えば実公平7−20447号公報に開示
された軸封装置では、図12に示すように、リップ型シ
ール81は、ハウジング82と回転軸83との間に組付
けられる。この組付状態では、金属ケース84に支持さ
れた2つのシール部材85,86を回転軸83の周面に
摺接させた状態にある。シール部材86の大気側(同図
では左側)背面はバックアップリング87により支持さ
れている。2つのシール部材85,86の先端部が回転
軸83の周面に圧接されることで、回転軸83の周面に
沿う流体の洩れが防がれる。各シール部材85,86の
材質は、密封空間側(同図では右側)のシール部材85
がゴム製で、大気側のシール部材86が樹脂製であっ
た。
【0004】また、特開平6−129546号公報に開
示された軸封装置(回転用シール)は、ゴム製のシール
エレメントを1つと、樹脂製のシールエレメントを2つ
備えるものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、自動車の空調装
置用の圧縮機では、冷媒としてフロンが使用されるのが
一般的であった。しかし、近年、環境への影響を配慮
し、冷媒としてフロンに替えて二酸化炭素を使用する試
みがなされている。
【0006】しかし、二酸化炭素はフロンと比べ、ゴム
や樹脂に対するガス透過性が高く(例えば数倍〜20倍
程度)、図12に矢印で示すように、冷媒ガス(二酸化
炭素)がシールエレメント85,86を透過して洩れて
しまうという問題があった。冷媒ガスの洩れが多いと早
期に冷媒が不足し、冷媒不足による冷却効率の低下など
の不具合を招くことになる。そのため、二酸化炭素のよ
うな比較的ゴムや樹脂に対してガス透過性が高いガスを
冷媒としても、シールを確実にすることができる回転軸
用シールが要求されていた。
【0007】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであって、その目的は、シール部材の材質に対し
てガス透過性の比較的高いガスに対しても高いシール性
能が得られる軸封装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
請求項1に記載の発明では、環状のシール部材を備え、
該シール部材を回転軸の周面に摺接させて該周面に沿っ
た流体の洩れを防止する軸封装置において、前記シール
部材の少なくとも1つに、該シール部材と密着した状態
を維持して共に弾性変形可能なガス遮蔽部材が、該シー
ル部材の径方向において前記回転軸の近傍部分を除くほ
ぼ全域で少なくとも密着した状態で設けられている。
【0009】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記シール部材を少なくとも2つ備
え、前記ガス遮蔽部材は、2つのシール部材の間に狭持
された状態で配置されている。
【0010】請求項3に記載の発明では、請求項1又は
請求項2に記載の発明において、前記ガス遮蔽部材は金
属板であって、前記シール部材を保持するバックアップ
リングを兼ねている。
【0011】請求項4に記載の発明では、請求項1又は
請求項2に記載の発明において、前記ガス遮蔽部材は、
前記シール部材に被覆された遮蔽膜である。請求項5に
記載の発明では、請求項4に記載の発明において、前記
遮蔽膜は金属膜である。
【0012】請求項6に記載の発明では、請求項1〜請
求項5のいずれか一項に記載の発明において、軸封装置
は、二酸化炭素を密封するためにハウジングと回転軸と
の間に装着されるものである。
【0013】(作用)請求項1に記載の発明によれば、
少なくとも1つのシール部材には、その径方向において
回転軸の近傍部分を除くほぼ全域に少なくともガス遮蔽
部材が密着する。回転軸用シールが回転軸に装着されて
シール部材が回転軸の周面に圧接された際、ガス遮蔽部
材はシール部材と共に弾性変形して密着した状態を維持
する。密封すべき流体がシール部材に対してガス透過性
の比較的高いガスである場合、ガスはガス遮蔽部材によ
ってほぼ遮蔽されるため、ガス洩れが抑制される。
【0014】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明の作用に加え、ガス遮蔽部材が2つのシー
ル部材の間に狭持されることにより、ガス洩れ経路とな
り得る隙間の発生が抑えられるので、ガス洩れ量が低減
する。
【0015】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
又は請求項2に記載の発明の作用に加え、ガス遮蔽部材
が金属板であるため、シール部材に金属の蒸着やメッキ
等を施す必要がない。また、金属板はシール部材を保持
するバックアップリングを兼ねるので、シール部材の形
状保持性が確保される。
【0016】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
又は請求項2に記載の発明の作用に加え、ガス遮蔽部材
はシール部材に被覆された遮蔽膜であるため、その材質
が金属やセラミック等のように硬度の比較的高いもので
あっても、シール部材の弾性が損なわれ難く、回転軸の
周面におけるシール性能が確保される。
【0017】請求項5に記載の発明によれば、請求項4
に記載の発明の作用に加え、遮蔽膜が金属膜であるた
め、蒸着やメッキなど、工業的に比較的手軽に膜形成が
可能である。また、金属であるため、ガス透過抑制効果
が高い。
【0018】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
〜請求項5のいずれか一項に記載の発明の作用に加え、
ハウジングと回転軸との間に装着される軸封装置によっ
て、二酸化炭素が密封される。
【0019】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下、本発明
を圧縮機で使用される回転軸用シールに具体化した第1
の実施形態を、図1〜図4に基づいて説明する。なお、
図1は回転軸用シール32が組付けられた状態、図2は
その組付け前の状態を示す。
【0020】図1,図2に示すように、軸封装置として
の回転軸用シール32は略円筒状の保持金具41を備え
る。保持金具41には、ハウジング12の内部側から順
次、ゴム製のシールエレメント42、樹脂製のシールエ
レメント43、押え金具44が、その内周側でカシメに
より一体的に固定された状態で組付けられている。各部
材42〜44はいずれも円環形状を有する。シールエレ
メント43は、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)等のフッ素系樹脂からなる。なお、シールエレメン
ト42,43によりシール部材が構成される。
【0021】ゴム製のシールエレメント42は、保持金
具41に固着されている。シールエレメント42は保持
金具41の外周面を覆うように延伸し、その外周面には
複数の突条部45が形成されている。回転軸用シール3
2はシールエレメント42の突条部45が形成された外
周面部分が軸孔12aの内周面に密接するようになって
いる。
【0022】シールエレメント42は断面くの字状のシ
ールリップ部46を有する。シールリップ部46は、そ
の先端側ほどハウジング12の内部側へ接近する所定角
度で斜めに延出し、その先端角部によって回転軸17の
周面に対してほぼ線接触状態に接触する摺接部47が形
成される。
【0023】樹脂製のシールエレメント43は断面略L
字型に屈曲し、その先端側部分のシールリップ部48の
内周面には溝49が形成されている。図3に示すよう
に、例えば溝49は、シールエレメント43の軸心を中
心とする螺旋状に形成されている。但し、溝49の形状
は螺旋状に限らず、例えば多数重の同心円状であっても
よい。溝49は、シールリップ部48の厚みのほぼ半分
の深さに至る。
【0024】シールリップ部48が回転軸17に圧接さ
れた状態において、溝49はその断面形状が鋭角三角形
状に拡開する。この状態で回転軸17が高速回転する
と、溝49に浸入した液流体(潤滑油)の粘性による連
れ回り作用によって押し戻し方向の回転流が発生し、い
わゆるスクリューによるポンピング作用が得られる。
【0025】シールエレメント42の外周部がハウジン
グ12(軸孔12a)の内周面に弾性圧接するととも、
シールリップ部46が回転軸17に弾性圧接する。この
ように回転軸用シール32はハウジング12との接合面
においても気密性が高くなっている。このため、オーリ
ング34(つまりシールブロック33)を無くし、回転
軸用シール32のみを装着した構成とすることもでき
る。
【0026】2つのシールエレメント42,43の間に
は、ガス遮蔽部材及び金属板としての円環状の金属薄板
50が介装されている。金属薄板50は、ゴム製のシー
ルエレメント42の内周面に摺接部47のみを除くほぼ
全域で密着している。つまり、金属薄板50は、図2に
示す回転軸用シール32の組付け前における自由状態に
おいて、シールリップ部42の内周面に密接し得る形状
に予め形成され、その先端部分がシールリップ部46を
外周側へやや持ち上げ気味に極く弱い力で付勢してい
る。そのため、回転軸用シール32を組付けた状態にお
いても、金属薄板50がシールリップ部46の内周面に
密接する状態が維持されるようになっている。金属薄板
50は押え金具44によって両シールエレメント42,
43が互いに圧接し合う力によって、両シールエレメン
ト42,43間に狭持されている。また、金属薄板50
はシールエレメント42のバックアップリングを兼ねて
いる。なお、金属薄板50をシールエレメント42に接
着剤により接着させておくこともできる。
【0027】ここで、圧縮機において冷媒として使用さ
れる二酸化炭素が、シールエレメント42,43の材質
であるゴムや樹脂に対し、かなりガス透過性が高い。そ
のため、ゴムや樹脂を透過し易い冷媒ガスの通路(シー
ルエレメント42,43をガス透過する通路を含む)
を、ハウジング12の内部側と大気側との間で遮断する
ように金属薄板50がそのガス通路のほぼ全域を塞いで
いる。つまり、金属薄板50によってハウジング12の
内部の冷媒ガスがほぼ遮蔽され、回転軸用シール32の
ガスシール特性が高められている。金属薄板50は、シ
ールエレメント42の弾性変形し易さを損なわない程度
に柔軟で、シールエレメント42との密着状態を維持し
つつ追従して変形し得る。
【0028】金属薄板50が、押え金具などの従来の金
属製部品(図12で示したバックアップリング87)と
異なる点は、シールエレメント42に対する密着保持性
で、それは厚みの違いに起因する。回転軸用シール32
の組付け状態において、押え金具が相対的に厚肉で剛性
があるためにシールエレメントと密着状態を維持した状
態で共に弾性変形し得ず、シールエレメントから離間す
るのに対し、金属薄板50は薄肉のためシールエレメン
ト42と密着状態を維持した状態で共に弾性変形するこ
とが可能となっている。
【0029】金属薄板50の厚みは例えば0.1〜0.
5mm程度である。このように厚みが薄いため、ゴム製
のシールエレメント42に極く弱い力で付勢して密着で
き、シールエレメント42が回転軸17の周面に当たる
ときの弾性変形に追従するように金属薄板50が一緒に
弾性変形し、両者の密着状態が維持される。なお、金属
薄板50の厚みは、上記の特性(密接保持特性)を得ら
れる範囲であれば、適宜な値に設定することができる。
使用する金属にもよるが、0.6mm未満の厚さであれ
ば一応の効果は期待できる。特に0.4mm未満であれ
ばかなり効果が期待でき、0.2mm未満であれば著し
い効果が期待できる。もちろん、これらの数値に限定さ
れる訳ではない。
【0030】金属薄板50の材質は、本実施形態では例
えば鉄であり、ステンレスやアルミを使用してもよい。
その他の金属として、銅、ニッケル、亜鉛、鉛、錫な
ど、工業的に汎用されている一般金属を広く使用するこ
とができる。
【0031】金属薄板50を備えた実施品の回転軸用シ
ール32と、金属薄板50を備えない比較品の回転軸用
シールとのガス洩れ抑制効果を比較したところ、図4の
グラフに示すような結果を得た。冷媒は二酸化炭素を使
用し、それぞれの圧縮機に対して回転軸17とフロント
ハウジング12との間の箇所からの冷媒ガスの洩れ量を
測定した。図4のグラフに示すように、二酸化炭素のガ
ス洩れ量は、実施品が比較品の約20分の1に低減し
た。
【0032】以上詳述したように第1の実施形態では以
下の効果が得られる。 (1)金属薄板50がガス通路(回転軸用シールの装着
エリア)のほぼ全域を遮断するようにシールエレメント
42の表面に密着しているので、シールエレメント4
2,43の材質であるゴムや樹脂に対してガス透過性の
高い二酸化炭素を冷媒として使用しても、冷媒ガスの洩
れを非常に小さく抑えることができる。その結果、圧縮
機における早期の冷媒不足、およびその冷媒不足による
早期の冷却効率の低下を防止することができる。つま
り、回転軸用シール32は、二酸化炭素を冷媒とする圧
縮機の軸封装置として特に好適である。
【0033】(2)金属薄板50がシールエレメント4
2に対して摺接部47を除くシールリップ部46の先端
部近傍までの広いエリアで密着しているので、ガス通路
をより広く遮断でき、冷媒ガスのシール性能を高めるこ
とができる。また、シールエレメント42の先端部近傍
でも金属薄板50が密着しているので、仮にシールエレ
メント42が金属薄膜50に対してその中間部で浮き上
がっても二酸化炭素の洩れを発生させない。
【0034】(3)金属薄板50を2つのシールエレメ
ント42,43間に狭み込むことにより、金属薄板50
とシールエレメント42との隙間の発生を抑制してガス
洩れ経路を遮断することで、高いガスシール性能を得る
ことができる。
【0035】(4)金属薄板50はバックアップリング
を兼ねるので、シールエレメント42のシール性能を高
めることにも寄与する。 (5)金属薄板50をシールエレメント42の表面に接
着剤で密着状態に固定した場合には、シールエレメント
42と金属薄板50との間に隙間ができる心配がなく、
ガスシール性能を高めることができる。
【0036】(第2の実施形態)この実施形態は、前記
第1の実施形態の変形例である。なお、前記第1の実施
形態と同じ部材については同じ符号を付してその説明を
省略する。
【0037】図5に示すように、金属薄板51は、2つ
のシールエレメント42,43の境界面エリアに介在す
るのみであり、前記第1の実施形態の金属薄板50より
その長さが短くなっている。これは、シールリップ部4
6の弾性が金属薄板51の剛性によって損なわれること
を防ぐためで、シールリップ部46が回転軸17の周面
に当たったときにシールに都合のよい適切な形状に弾性
変形が可能で、摺接部47が回転軸17の周面にしっか
り圧接する。
【0038】よって、この実施形態によれば、以下の効
果が得られる。 (6)前記第1の実施形態に比べ、ガス透過によるガス
洩れ特性がやや劣るものの、シールリップ部46の摺接
部47における密封流体のシール特性を高めることがで
きる。
【0039】(第3の実施形態)この実施形態は、前記
各実施形態とタイプの異なる回転軸用シールの例であ
る。
【0040】図6に示すように、軸封装置としての回転
軸用シール61は、シール部材としてのゴム製のシール
エレメント62を備える。シールエレメント62は、そ
の内部に内蔵された保持金具73により円環状に形状保
持されている。シールエレメント62は内周側へ延出す
るシールリップ部64を有する。シールリップ部64は
その背面(外周面)側に装着されたリングスプリング6
5の付勢力により回転軸17に対して押圧付勢され、そ
の摺接部66が回転軸17の周面に圧接される。
【0041】また、図7は、図6と異なるタイプの軸封
装置としての回転軸用シール71である。回転軸用シー
ル71は、シール部材としてのゴム製のシールエレメン
ト72を備える。シールエレメント72は、その内部に
内蔵された保持金具73により円環状に形状保持されて
いる。シールエレメント72はその内周側へ延出するシ
ールリップ部74を有する。図6のタイプのようにリン
グスプリングは備えておらず、ゴムの弾性力によって摺
接部75が回転軸17に押圧付勢される方式である。
【0042】図6,図7のいずれのタイプでも、シール
リップ部64,74には摺接部66,75を除くその表
面全域に、ガス遮蔽部材及び遮蔽膜としての金属膜6
7,76が形成されている。金属膜67,76は、前記
各実施形態と目的は同じで冷媒ガスの通路(ゴム内部の
透過通路を含む)を遮断するためで、ガス通路のほぼ全
域に亘って施されている。
【0043】本実施形態では、金属膜67,76は金属
蒸着膜である。金属膜67,76は蒸着膜に限定はされ
ず、その他の膜形成方法により形成することもできる。
例えばメッキ(例えば無電解メッキ)としてもよい。ま
た、金属膜67,76の材質は、例えば金で、金蒸着膜
とする。その他に緻密な金属膜を形成可能な金属を採用
でき、例えば鉄、ステンレス、アルミ、ニッケル、錫、
銀や銅を採用することもできる。金属膜67,76の厚
みは例えば10〜100μm程度である。ガス透過を抑
制できる厚みがあれば足りる。
【0044】この実施形態によれば、以下の効果が得ら
れる。 (7)シールエレメント62,72の表面が金属膜6
7,76で被覆された構成であるため、ガス通路を摺接
部66,75の近傍までを含む広い範囲で遮断できる。
また、前記各実施形態の金属薄板に比べてさらに厚みの
薄い金属膜67,76としているため、シールリップ部
64,74の弾性が損なわれ難い。このため、シールリ
ップ部64,74の柔軟性(弾性変形し易さ)が保証さ
れ、摺接部66,75におけるシール特性を高めること
ができる。
【0045】実施形態は、上記に限定されず以下のよう
な態様で実施できる。 ○ 金属薄板50,51を配置する場所は、2つのシー
ルエレメント42,43に挟持される部位に限定されな
い。例えば図8に示すように、ゴム製のシールエレメン
ト42の外周面側に金属薄板52を密着させてもよい。
また、図9に示すように、樹脂製のシールエレメント4
3の内周面に金属薄板53を密着させてもよい。これら
の構成によっても、シールエレメント42,43と共に
弾性変形してその表面に密着する金属薄板52,53に
よって、ハウジング12内の冷媒ガスが遮蔽されるの
で、二酸化炭素などゴムや樹脂に対してガス透過性の高
いガスを冷媒として使用しても、冷媒ガスの洩れを小さ
く抑えることができる。また、図9では金属薄板53が
バックアップリングを兼ねるので、シールエレメント4
3が形状保持される。
【0046】○ 前記第1の実施形態において、金属薄
板50に替えて、図10に示すようにシールエレメント
42の内周面に施された金属膜54としてもよい。この
構成によれば、前記第3の実施形態と同様に、金属膜5
4によってハウジング12内の冷媒ガスである二酸化炭
素をほぼ遮蔽でき、その洩れを確実に小さく抑えられる
うえ、シールリップ部46の弾性(柔軟性)が損なわれ
ないので、その摺接部47におけるシール特性が損なわ
れることがない。また、図8や図9において、金属薄膜
52,53に替え、金属膜とすることもできる。
【0047】○ 金属薄板50〜53や金属膜54など
のガス遮蔽部材が施されるシールエレメントは、前記各
実施形態のように1つに限定されない。例えば2つのシ
ールエレメント42,43の表面にそれぞれガス遮蔽部
材を施す構成とすることもできる。例えば図11に示す
ように、ゴム製のシールエレメント42には、その内周
面に金属薄板50を密着させて金属薄板50がバックア
ップリングを兼ねるようにし、樹脂製のシールエレメン
ト43の内周面に金属膜55を形成する。なお、ガス遮
蔽部材の組合せとしては、共に金属薄板であったり、共
に金属膜であってもよい。また、全てのシールエレメン
トの両面にガス遮蔽部材が存在するようにし、何重にも
ガスを遮蔽するようにしてもよい。
【0048】○ 金属薄板や金属膜はシールエレメント
の表面に密着されることに限定されない。例えば金属薄
板をシールエレメントの内部に埋め込んでもよい。例え
ばアルミ箔などの金属箔(または金属シート)をラミネ
ートしたシールエレメントを採用することができる。こ
の構成によれば、金属箔をシールエレメントの径方向ほ
ぼ全域に延伸させることができ、また、金属膜のように
表面に晒されて摩耗する心配が少ないので、長期間の信
頼性を保証できる。また、金属薄板のようにシールエレ
メントの弾性変形し易さを損なうこともなく、シールエ
レメントの摺接部におけるシール特性を損なう心配もな
い。
【0049】○ ガス遮蔽部材の材質は金属に限定され
ない。ゴムや樹脂などシールエレメントの材質として使
用される材料を透過し易い二酸化炭素やアンモニアなど
圧縮機の冷媒として使用されるガスのうち、ガス透過性
の高いガスの通過を抑制し得る材料であれば何でもよ
い。例えばセラミックでもよい。この場合、セラミック
膜とするのが好ましい。
【0050】○ 回転軸用シールのタイプは前記各実施
形態に限定されない。例えば特開平6−129546号
公報に開示された回転用シールのように、ゴム製のシー
ル部材の他に樹脂製のシールエレメントを2つ備えたタ
イプのものに適用してもよい。この場合、シール部材お
よびシールエレメントの3つのうちどれの面にガス遮蔽
部材(金属薄板または金属膜など)を密着させることも
できる。
【0051】○ 回転軸用シールを、圧縮機以外の装置
に適用してもよい。前記各実施形態及び各別例から把握
される請求項以外の技術的思想を、以下に記載する。
【0052】(1)請求項1〜6のいずれかにおいて、
前記ガス遮蔽部材は、前記シール部材の材質に対してガ
ス透過性の高い気体を遮蔽することが可能な材質からな
る。この場合、引用元の発明と同様の効果が得られる。
【0053】(2)前記(1)において、前記ガス遮蔽
部材は前記シール部材の材質に比べ、二酸化炭素を透過
し難い材質からなる。この場合、二酸化炭素の洩れを小
さく抑えることができる。
【0054】(3)請求項1〜6及び前記(1),
(2)のいずれかにおいて、前記ガス遮蔽部材は、前記
シール部材と前記回転軸との接触部近傍でも密着してい
る。この場合、ガスの遮蔽エリアをより広く確保でき、
ガス洩れを一層抑えることができる。
【0055】(4)請求項1、2、4及び前記(1)〜
(3)のいずれかにおいて、前記ガス遮蔽部材は金属か
らなる。この場合、金属であれば、工業的に薄板加工や
膜形成が手軽である。
【0056】(5)請求項1〜3及び前記(1)〜
(4)のいずれかにおいて、前記ガス遮蔽部材は前記シ
ールエレメントに密着状態に固着されている。この場
合、ガス遮蔽部材とシールエレメントとの間にガス洩れ
経路となり得る隙間ができる心配がない。
【0057】(6)請求項5において、前記金属膜は蒸
着膜である。この場合、蒸着であれば、ゴムや樹脂に膜
形成するのに手軽である。 (7)請求項1及び前記(1)〜(5)のいずれかにお
いて、前記ガス遮蔽部材は金属シートであって、前記シ
ール部材にラミネートされている。この場合、金属シー
トの摩耗の心配がなく、長期に亘って高いシール性能を
保証できる。
【0058】(8)請求項3及び前記(1)〜(5)の
いずれかにおいて、前記金属板の厚みは、0.6mm未
満である。この場合、金属板のシール部材との密着性
と、シール部材の弾性変形し易さを一応確保できる。
【0059】(9)請求項3及び前記(1)〜(5)の
いずれかにおいて、前記金属板の厚みは、0.4mm未
満である。この場合、金属板のシール部材との密着性
と、シール部材の弾性変形し易さを一層高く保証でき
る。
【0060】(10)請求項3及び前記(1)〜(5)
のいずれかにおいて、前記金属板の厚みは、0.2mm
未満である。金属板のシール部材との密着性と、シール
部材の弾性変形し易さを著しく高く保証できる。
【0061】(11)請求項1〜6及び前記(1)〜
(10)のいずれかにおいて、前記軸封装置は圧縮機に
使用されるものである。 (12)前記(11)において、前記冷媒は二酸化炭素
である。この場合、冷媒として二酸化炭素を使用して
も、その洩れを抑制できる。
【0062】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1に記載の発
明によれば、少なくとも1つのシール部材にその径方向
ほぼ全域に亘って密着するガス遮蔽部材によってガスを
ほぼ遮蔽できるので、シール部材の材質に対してガス透
過性の比較的高いガスに対しても高いシール性能が得ら
れる。
【0063】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明の効果に加え、ガス遮蔽部材を2つのシー
ル部材で狭持して隙間の発生を抑え、ガス洩れ経路を遮
断するので、ガス洩れ量を低減できる。
【0064】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
又は請求項2に記載の発明の効果に加え、ガス遮蔽部材
を金属板としたため、シール部材に膜形成処理などの面
倒な処理を施す必要がないうえ、バックアップリングを
兼ねることでシール部材の形状保持性を確保できる。
【0065】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
又は請求項2に記載の発明の効果に加え、ガス遮蔽部材
をシール部材に被覆された遮蔽膜としたため、その材質
として金属やセラミックなどを使用しても、シール部材
の弾性(柔軟性)が損なわれ難く、シール部材の回転軸
の周面に対する摺接部におけるシール性能を確保でき
る。
【0066】請求項5に記載の発明によれば、請求項4
に記載の発明の効果に加え、遮蔽膜を金属膜としたた
め、工業的に比較的手軽に膜形成をすることができ、し
かも高いガス透過抑制性能を得ることができる。
【0067】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
〜請求項5のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、
軸封装置によって、ハウジングと回転軸との間における
二酸化炭素の洩れを小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における回転軸用シールの部分
側断面図。
【図2】装着前の状態を示す回転軸用シールの部分側断
面図。
【図3】樹脂製のシールエレメントの正面図。
【図4】回転軸用シールの効果を示すグラフ。
【図5】第2の実施形態における回転軸用シールの部分
側断面図。
【図6】第3の実施形態における回転軸用シールの一部
破断側面図。
【図7】同じく図6と異なるタイプの回転軸用シールの
一部破断側面図。
【図8】別例の回転軸用シールの部分側断面図。
【図9】図8と異なる別例の回転軸用シールの部分側断
面図。
【図10】図9と異なる別例の回転軸用シールの部分側
断面図。
【図11】図10と異なる別例の回転軸用シールの部分
側断面図。
【図12】従来技術における回転軸用シールの部分側断
面図。
【符号の説明】
12…ハウジング、17…回転軸、32,61,71…
軸封装置としての回転軸用シール、42,43,62,
72…シール部材としてのシールエレメント、50〜5
3…ガス遮蔽部材及び金属板としての金属薄板、54、
67,76…ガス遮蔽部材及び遮蔽膜としての金属膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 俊郎 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 今井 崇行 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 村上 和朗 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 小畑 博美 和歌山県有田市箕島663番地 三菱電線工 業 株式会社箕島製作所内 (72)発明者 馬場 健 和歌山県有田市箕島663番地 三菱電線工 業 株式会社箕島製作所内 Fターム(参考) 3J006 AE16 AE41 CA01 CA03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環状のシール部材を備え、該シール部材
    を回転軸の周面に摺接させて該周面に沿った流体の洩れ
    を防止する軸封装置において、 前記シール部材の少なくとも1つに、該シール部材と密
    着した状態を維持して共に弾性変形可能なガス遮蔽部材
    が、該シール部材の径方向において前記回転軸の近傍部
    分を除くほぼ全域で少なくとも密着した状態で設けられ
    ている軸封装置。
  2. 【請求項2】 前記シール部材を少なくとも2つ備え、
    前記ガス遮蔽部材は、2つのシール部材の間に狭持され
    た状態で配置されている請求項1に記載の軸封装置。
  3. 【請求項3】 前記ガス遮蔽部材は金属板であって、前
    記シール部材を保持するバックアップリングを兼ねてい
    る請求項1又は請求項2に記載の軸封装置。
  4. 【請求項4】 前記ガス遮蔽部材は、前記シール部材に
    被覆された遮蔽膜である請求項1又は請求項2に記載の
    軸封装置。
  5. 【請求項5】 前記遮蔽膜は金属膜である請求項4に記
    載の軸封装置。
  6. 【請求項6】 二酸化炭素を密封するためにハウジング
    と回転軸との間に装着される請求項1〜請求項5のいず
    れか一項に記載の軸封装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002235856A (ja) * 2000-12-07 2002-08-23 Mitsubishi Cable Ind Ltd 密封装置
WO2008004303A1 (fr) * 2006-07-07 2008-01-10 Eagle Industry Co., Ltd. Dispositif de scellement d'un arbre
WO2020230545A1 (ja) * 2019-05-10 2020-11-19 イーグル工業株式会社 シール装置

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