JP2000178845A - 被覆弾性糸およびその製造方法 - Google Patents

被覆弾性糸およびその製造方法

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JP2000178845A
JP2000178845A JP10375162A JP37516298A JP2000178845A JP 2000178845 A JP2000178845 A JP 2000178845A JP 10375162 A JP10375162 A JP 10375162A JP 37516298 A JP37516298 A JP 37516298A JP 2000178845 A JP2000178845 A JP 2000178845A
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copolymer
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polyurethane
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JP10375162A
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Hironori Uranaka
宏典 浦中
Kenro Kamiya
建郎 神谷
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Du Pont Toray Co Ltd
Original Assignee
Du Pont Toray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】外観品位、フィット性、着用性、着用感、伸び
などに優れた製品を得ること。 【解決手段】ポリビニルピロリドンおよび/またはその
共重合体を含有し、該ポリビニルピロリドンおよび/ま
たはその共重合体のK値が20以上70以下であって、
主構成成分がポリウレタンウレアからなるスパンデック
ス糸からなる芯部と、該芯部の周りを被覆する非弾性糸
からなる鞘部で構成されることを特徴とする被覆弾性
糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被覆弾性糸および
その製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明の被覆
弾性糸を用い、高次加工して衣服などに使用することに
より、外観品位、フィット性、着用性、着用感、伸びな
どに優れたものを得ることができるという被覆弾性糸お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からストッキングにはポリウレタン
系弾性糸などの弾性糸が使用されてきた。かかる弾性糸
は、非弾性糸によって被覆された加工糸として使用され
てきた。
【0003】近年、特に、ストッキングの外観品位、フ
ィット性、着用性、着用感などを、従来の交編品より、
良好なものとする観点から、弾性糸の混率を多くするゾ
ッキが提案されてきた。
【0004】しかし、従来の技術で、未だ完全には解決
されないこととして、着圧とサイズの問題があった。つ
まり、ポリウレタン糸などの弾性糸の混率が多くなる
と、着圧がやや高くなりやすく、またサイズが小さくな
りやすいのである。
【0005】かかる問題点の解決法としては、原糸から
高次加工まで幾つかの手段が採られていた。その代表的
な手段は、原糸の観点からは、例えば、セット性および
熱セット性を高くする方法などがとられていた。また、
高次加工の観点からは、例えば、加工工程のドラフトを
下げる方法などがとられていた。
【0006】しかし、前者のみではこうした目的に対し
ては、その効果は低いのが現状であった。また、後者の
場合、コストアップしたり、熱セット性を上げ、サイズ
を大きく仕上げると、伸びが失われるなどの問題点があ
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明によれば、従来
の技術では得られなかった、外観品位、フィット性、着
用性、着用感、伸びなどに優れた製品を得ることができ
る。
【0008】また、本発明の被覆弾性糸はストッキン
グ、ソックス、丸編、横編み等、種々の用途に展開する
ことができる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の被覆弾性糸は、
前記の課題を解決するため、以下の発明特定事項を有す
る。
【0010】すなわち、ポリビニルピロリドンおよび/
またはその共重合体を含有し、該ポリビニルピロリドン
および/またはその共重合体のK値が20以上70以下
であって、主構成成分がポリウレタンウレアからなるス
パンデックス糸からなる芯部と、該芯部の周りを被覆す
る非弾性糸からなる鞘部で構成されることを特徴とする
被覆弾性糸である。
【0011】また、本発明の被覆弾性糸の製造方法は、
前記の課題を解決するため、以下の発明特定事項を有す
る。
【0012】すなわち、ポリビニルピロリドンおよび/
またはその共重合体を含有し、該ポリビニルピロリドン
および/またはその共重合体のK値が20以上70以下
であるスパンデックス糸の周りに、非弾性糸を被覆する
ことを特徴とする被覆弾性糸の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、さらに詳
細に述べる。
【0014】まず本発明に使用するポリウレタンについ
て述べる。
【0015】本発明に使用するポリウレタンはジアミン
伸長からなるものである。その合成法は特に限定される
ものではない。すなわち、ポリオール、ジイソシアネー
トおよびジアミンから主として合成されるポリウレタン
ウレアである。なお、鎖伸長剤にエタノールアミンを使
用したポリウレタンであってもよい。なお、本発明の効
果を妨げない範囲で3官能性以上の多官能性のグライコ
ールやイソシアネート等が適用されても何ら構わない。
【0016】ここで、本発明で使用するスパンデックス
糸を構成する代表的な構造単位について述べる。
【0017】本発明に用いるポリオールとしては、ポリ
エーテル系グリコール、ポリエステル系グリコール、ポ
リカーボネートジオール等がその代表的なものである。
【0018】そして、特に糸にした際の柔軟性、伸度が
要求される場合は、ポリエーテル系グリコールを用いる
ことが好ましい。ポリエーテル系グリコールとしては、
例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、
PTMGと略する)、THFおよび3−MeTHFの共
重合体である変性PTMG(以下、3M−PTMGと略
する)、THFおよび2,3−ジメチルTHFの共重合
体である変性PTMG、特許第2615131号などに
開示される側鎖を両側に有するポリオール等はその代表
的なものとして用いることができる。これらポリエーテ
ル系グリコールを1種または2種以上混合もしくは共重
合して用いてもよい。
【0019】また、スパンデックス糸として耐摩耗性や
耐光性が特に要求される際には、ブチレンアジペート、
ポリカプロラクトンジオール、特開昭61−26612
号公報などに開示されている側鎖を有するポリエステル
ポリオールなどをはじめとするポリエステル系グリコー
ルや特公平2−289516号公報などに開示されてい
るポリカーボネートジオールを用いてもよい。
【0020】また、こうしたポリオールは単独で使用し
てもよいし、2種以上混合もしくは共重合して用いるこ
ともできる。
【0021】本発明に用いるポリオールの分子量は糸に
した際の伸度、強度、耐熱性などから数平均分子量が1
000以上8000以下であることが好ましい。さらに
好ましくは2500以上6000以下である。この範囲
の分子量のポリオールを用いることにより、伸度、強
度、弾性回復力、耐熱性に優れた弾性糸を得ることがで
きる。
【0022】次に本発明に用いるジイソシアネートはジ
フェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す
る)、トリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシア
ネートベンゼン、キシリレンジイソシアネート、2,6
−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシア
ネートは、特に耐熱性や強度の高いポリウレタンを合成
するのに好適である。
【0023】さらに脂環族ジイソシアネートとして、例
えばメチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)
(以下、H12MDIと略する)、イソホロンジイソシア
ネート、メチルシクロヘキサン2,4−ジイソシアネー
ト、メチルシクロヘキサン2,6−ジイソシアネート、
ト、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、ヘキサ
ヒドロキシリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリ
レンジイソシアネート、オクタヒドロ1,5−ナフタレ
ンジイソシアネートなどを使用することができる。
【0024】脂肪族ジイソシアネートは特にスパンデッ
クス糸の黄変を抑制する際に有効に使用できる。そし
て、これらのジイソシアネートは単独で使用してもよい
し、2種以上を併用してもよい。
【0025】次に本発明に用いる鎖伸長剤として、低分
子量ジアミンおよびエタノールアミンのような水酸基と
アミノ基を分子中に有するもののうち少なくともいずれ
か1種を用いるものである。
【0026】好ましい低分子量ジアミンとしては、例え
ば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、
1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、
1,4−シクロヘキシルジアミン、1,3−シクロヘキ
シルジアミン、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン、
2−メチルペンタメチレンジアミン、ビス(4−アミノ
フェニル)フォスフィンオキサイドなどを使用すること
ができる。これらの中から1種または2種以上を選んで
用いることができる。特に好ましくはエチレンジアミン
である。エチレンジアミンを用いることにより伸度およ
び弾性回復性、さらに耐熱性に優れた糸を作ることがで
きる。
【0027】これらの鎖伸長剤に架橋構造を形成するこ
とのできるトリアミン化合物、例えばジエチレントリア
ミン等を効果を失わない程度に加えてもよい。
【0028】また、本発明で使用するスパンデックス糸
の分子量は、数平均分子量として4万以上15万以下で
あることが好ましい。この範囲であると、特に耐久性や
強度の高い繊維となる。
【0029】なお、本発明における分子量はGPCで測
定しており、ポリスチレンにより換算している。本発明
で使用するスパンデックス糸はかかる構成から好ましく
なるものである。
【0030】そして、本発明で使用するスパンデックス
糸として、特に好ましいのは、かかるものの中で、ジオ
ールとジイソシアネートからなり、かつ、高温側の融点
が250℃以上300℃以下であるものである。本発明
における高温側の融点とは、DSCで糸を測定した際の
セカンドランの値であり、ポリウレタンのいわゆるハー
ドセグメントの融点が該当する。高温側の融点が250
℃以上300℃以下であると、本発明の糸は工程通過性
も含め、実用上の問題がなく、かつ、熱セット性にも優
れるのである。
【0031】分子量が1500以上6000以下のポリ
オールを使用し、MDIとから主に合成され、かつ、高
温側の融点が250℃以上300℃以下であるスパンデ
ックス糸は、特に伸度が高くなり、さらに上記のよう
に、工程通過性も含め、実用上の問題がなく、かつ、熱
セット性に優れるので好ましい。
【0032】なお、スパンデックス糸の高温側の融点が
250℃以上300℃以下とするには、事前にテストを
し、ジイソシアネートとポリオール、ジアミンの比率を
選択するのが好ましい。
【0033】次に本発明にはポリビニルピロリドン(以
下、PVPと略する)およびその共重合体のうちの少な
くともいずれか1種を含むものである。
【0034】本発明で使用するPVPおよびその共重合
体のK値は、20以上70以下とするものである。
【0035】本発明において、K値とはフィケンシャー
の粘度式より算出されるものをいう。K値が、20以上
70以下であると、スパンデックス糸の製造が特に容易
になる。また、製造されるスパンデックス糸の特性を目
標の特性とせしめるのにも容易である。さらに、実用に
おいてPVPの脱落などを実質的に防止することができ
るのである。
【0036】なお、スパンデックス糸へのPVPおよび
その共重合体の必要含有量はスパンデックス糸の目標特
性と、特にK値により変わるものである。
【0037】従って、K値とPVPの含有量は、糸の目
標特性に応じて適宜、選択することが好ましい。
【0038】PVPおよびその共重合体の好ましい含有
量は、0.1重量%以上15重量%以下である。スパン
デックス糸にPVPおよびその共重合体のうちの少なく
とも1種が含まれると、原因は不明ではあるが、熱セッ
ト性が向上したり、機械的なセット性が向上するが、伸
度や応力緩和などの特性には悪影響を与えず、また、P
VPおよびその共重合体のうちの少なくとも1種が糸中
に存在しても、糸がフィブリル化することもなく、使用
に当たっては従来のスパンデックス糸と何ら変わりがな
いという予想外の驚くべき現象が発現する。
【0039】0.1重量%に満たないと効果が得られな
い傾向にあり、15重量%を越えると伸度が低下する傾
向がある。
【0040】そして、PVPおよびその共重合体のうち
の少なくとも1種の含有量として特に好ましいのは0.
5重量%以上15重量%以下である。
【0041】PVPおよびその共重合体のうちの少なく
とも1種の含有量が0.5重量%以上15重量%以下の
範囲であるとセット性、応力緩和、強度、伸度、熱セッ
ト性が特に良好になる。
【0042】そして、特に好ましいのは1重量%以上1
2重量%以下である。
【0043】なお、これらの特性値は、スパンデックス
糸の用途により変える必要があるので、用途により事前
にテストし、PVPおよびその共重合体の含有比率を適
宜決めるのが好ましい。
【0044】本発明において、PVPの共重合体を合成
する際に用いる共重合化合物は特に限定されるものでは
ないが、例えば、N−イソプロペニル2−ピロリドン、
N−ビニル4−メチル2−ピロリドン、N−ビニルピペ
リドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルエナン
トラクタム、N−ビニルバレロラクタム、N−ブテニル
−2,4−ジ(1−ブテニル)−2−ピロリドンビニル
アセテート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ス
チレン、アクリル酸等を使用することができる。これら
の共重合体はブロック共重合体であってもランダム共重
合体であっても何ら構わない。
【0045】本発明で使用されるスパンデックス糸の繊
度、断面形状などは特に限定されるものではないが、通
常、スパンデックス糸の繊度は10〜50デニールの範
囲が好ましく、より好ましくは10〜25デニールの範
囲であり、糸の断面は円形であっても扁平であっても何
らかまわない。
【0046】また、破断伸度は300%以上であること
が好ましい。
【0047】さらに、本発明で使用するスパンデックス
糸は各種安定剤や顔料などを含有していても何ら問題は
ない。例えば、耐光、耐酸化防止剤などとしていわゆる
BHTや住友化学製の“スミライザー”GA−80など
をはじめとするヒンダードフェノール系薬剤、各種の
“チヌビン”をはじめとするベンゾトリアゾール系薬
剤、住友化学製の“スミライザー”P−16をはじめと
するリン系薬剤、各種の”チヌビン”をはじめとするヒ
ンダードアミン系薬剤、さらに酸化チタン、酸化亜鉛、
カーボンブラックをはじめとする無機顔料、ステアリン
酸マグネシウムをはじめとする金属石鹸、また、銀や亜
鉛やこれらの化合物などを含む殺菌剤、消臭剤、またシ
リコーン、鉱物油などの滑剤、硫酸バリウム、酸化セリ
ウム、ベタインやリン酸系などをはじめとする各種の帯
電防止剤などが含まれたり、またポリマと反応していて
も何らかまわない。
【0048】そして、特に光や各種の酸化窒素などへの
耐久性をさらに高めるには、酸化窒素補足剤、例えば、
日本ヒドラジン製のHN−150、熱酸化安定剤、例え
ば、住友化学製の“スミライザー”GA−80、光安定
剤、例えば、住友化学製の“スミソーブ”300#62
2などを使用することは有効である。
【0049】次に本発明で使用するスパンデックス糸の
製法について詳細に説明する。
【0050】本発明においては、最初にポリウレタン溶
液を調製する。
【0051】本発明においては、溶質であるポリウレタ
ンの製法やポリウレタン溶液の製法はいずれの方法であ
ってもよい。すなわち、溶融重合法でも溶液重合法のい
ずれでもよい。しかし、より好ましいのは溶液重合法で
ある。溶液重合法の場合には、ポリウレタンにゲルなど
の異物の発生が少なく、紡糸しやすく、低繊度のポリウ
レタン糸を得やすい。また、当然のことであるが、溶液
重合の場合、溶液にする労が省け、生産効率の観点から
も好ましい。
【0052】そして本発明に特に好適なポリウレタンと
しては、前記のものを使用することができる。
【0053】こうした中でも特に好適なポリウレタンと
は、ポリオールの分子量が2500以上6000以下の
範囲にあり、鎖伸長剤であるジアミンは、エチレンジア
ミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−シクロヘキ
シルジアミン、1,3−シクロヘキシルジアミンおよび
2−メチルペンタメチレンジアミンからなる群から選ば
れる少なくとも一種であり、ジイソシアネートはMDI
を主原料として溶液中で合成され、かつ、そのポリウレ
タンの高温側の融点が250℃以上300℃以下である
ポリウレタン溶液である。
【0054】かかるポリウレタンは、例えば、DMA
C,DMF,DMSO,NMPなどやこれらを主成分と
する溶剤の中で、上記の原料を用い合成することにより
得ることができる。
【0055】例えば、ポリオールとMDIをまず溶融反
応せしめ、しかる後に、該反応物を溶剤に溶解し、上記
のジアミンと反応せしめ、ポリウレタンとする方法など
が、特に好適な方法として採用され得る。
【0056】ポリウレタンの高温側の融点を250℃以
上300℃以下に調節する代表的な方法として、ポリオ
ール、MDI、ジアミンの種類と比率をコントロールす
る方法などが好ましく採用される。ポリオールの分子量
が高い場合には、MDIの割合を相対的に多くすること
が好ましい。
【0057】ポリオールの分子量が1500以上の場
合、高温側の融点を250℃以上にするには、(MDI
のモル数)/(ポリオールのモル数)=1.3以上の割
合で、重合を進めることが好ましい。
【0058】以下、(MDIのモル数)/(ポリオール
のモル数)をCR値と称する。
【0059】なお、かかるポリウレタンの合成に際し、
アミン系触媒や有機金属触媒を1種または2種以上混合
して用いても何ら構わない。これらの代表的なものとし
ては、アミン系触媒としては、例えば、N,N−ジメチ
ルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルア
ミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−
エチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチル
エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル
−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テ
トラメチルヘキサンジアミン、ビス−2−ジメチルアミ
ノエチルエーテル、N,N,N’,N’,N’−ペンタ
メチルジエチレントリアミン、テトラメチルグアニジ
ン、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラ
ジン、N−メチル−N’−ジメチルアミノエチル−ピペ
ラジン、N−(2−ジメチルアミノエチル)モルホリ
ン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダ
ゾール、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N,
N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−
メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、
2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノー
ル、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、トリエタノ
ールアミン等を使用することができる。また、有機金属
触媒としてはオクタン酸スズ、二ラウリン酸ジブチルス
ズ、オクタン酸鉛ジブチル等を用いることができる。
【0060】こうして得られるポリウレタン溶液の濃度
は特に限定されるものではないが、通常、30重量%以
上80重量%以下の範囲が好ましい。
【0061】本発明においては、かかるポリウレタン溶
液にPVPおよびその共重合体のうちの少なくとも1種
を添加するものである。PVPおよびその共重合体のう
ちの少なくとも1種のポリウレタン溶液への添加方法と
しては、任意の方法を採用することができる。
【0062】その代表的な方法としては、スタティック
ミキサーによる方法、攪拌による方式などをとることが
できる。
【0063】ここで、添加されるPVPおよびその共重
合体のうちの少なくとも1種は溶液にして添加すること
が好ましい。溶液であるとポリウレタン溶液への均一な
添加が可能となる。
【0064】なお、PVPおよびその共重合体うちの少
なくとも1種の添加により、溶液粘度が高くなることが
あるので、添加にあたっては注意することが好ましい。
【0065】ポリウレタン溶液への添加は、前記した、
例えば、耐光防止剤、耐酸化防止剤などをはじめとする
薬剤や顔料などと同時に添加してもよい。
【0066】次に、添加するPVPおよびその共重合体
のうちの少なくとも1種はK値が20以上70以下とす
るものである。かかる範囲から外れると、紡糸が不安定
となり、かつ目標の特性のスパンデックス糸を得ること
ができなくなる問題がある。本発明における、乾式紡糸
方式は特に限定されるものではなく、任意の方法を採用
できる。
【0067】次に、本発明で使用するスパンデックス糸
のセット性と応力緩和は、特にゴデーローラーと巻取機
の速度比の影響を受けやすいので、糸の使用目的に応じ
て決めるのが好ましい。
【0068】すなわち、ゴデーローラーと巻取機の速度
比を1.15以上1.65以下として巻き取ることが好
ましい。そして、特に高いセット性と、低い応力緩和の
糸が要求される場合には、該比を1.15以上1.40
以下とするのがより好ましく、1.15以上1.35以
下として巻き取ることがさらに好ましい。
【0069】一方、低いセット性と、高い応力緩和の糸
が要求される際には、該比を1.25以上1.65以下
とするのが好ましく、1.35以上1.65以下として
巻き取ることがより好ましい。
【0070】また、紡糸速度としては、450m/分以
上であることが、強度を高くする面から好ましい。
【0071】次に、本発明で使用する非弾性糸について
説明する。
【0072】本発明で使用する非弾性糸は、フィラメン
ト糸または紡績糸のいずれであってもよい。
【0073】具体的には、フィラメント糸として、レー
ヨン、アセテート、ポリアミド、ポリエステル、アクリ
ル、ポリプロピレン、塩化ビニル等の化合繊または絹
(生糸)であって、態様が原糸、仮ヨリ加工糸、もしく
は先染糸等のいずれであってもよく、また、これらの複
合糸であってもよい。これらは、いずれも撚糸加工のし
易い、安定した糸条であることが好ましい。
【0074】また、紡績糸は、木綿、羊毛、麻、絹等の
天然繊維、レーヨン、ポリアミド、ポリエステル、アク
リロニトリル、ポリプロピレン、塩化ビニール系等の化
合繊からなるステープルであって、これらが単独もしく
は混紡された紡績糸であればよい。
【0075】フイラメント糸である場合、5〜30dの
範囲が好ましく、7〜12dの範囲がより好ましい。
【0076】次に、本発明の被覆弾性糸を製造する方法
を詳細に説明する。
【0077】本発明においては、非弾性糸としてフィラ
メント糸を用いる場合、市販の撚糸機を用い、芯成分と
なるスパンデックス糸にドラフトをかけ、該スパンデッ
クス糸の周りを非弾性糸で巻回させて被覆して得るもの
である。
【0078】本発明において、撚数は相手素材のデニー
ル、フィラメント数に応じて、適宜選択し得るが、10
00〜3000t/mの範囲が好ましい。
【0079】本発明において、伸長によって芯糸が応力
緩和し、伸縮性が潜在化することにより、高次加工工程
で、スチームや沸水等のエネルギーを受けた際に伸縮性
が顕在化することにより、サイズが大きく、優れた伸び
特性を有する製品を得る観点から、ドラフトは、2.0
以上4.0以下が好ましく、2.4以上3.2以下がよ
り好ましい。
【0080】
【実施例】本発明を実施例によって更に詳しく説明す
る。ただし、本発明がこれら実施例によって限定される
ものではない。
【0081】本発明におけるセット性、応力緩和、強
度、伸度、熱セット性、ポリビニルピロリドンの定量法
について説明する。 [セツト性、応力緩和、強度、伸度]セット性、応力緩
和、強度、伸度は、スパンデックス糸をインストロン4
502型引張試験機を用い、引張テストすることにより
得られた。これらは下記により定義される。
【0082】5cm(L1)の試料を50cm/分の引
張速度で300%伸長を5回繰返した。このときの応力
を(G1)とした。次に該長さを30秒間保持した。3
0秒間保持後の応力を(G2)とした。次に該伸長を回
復せしめ応力が0になった時の試料の長さを(L2)と
した。さらに6回目に弾性糸が切断するまで伸長した。
この破断時の応力を(G3)、破断時の試料長さを(L
3)とした。以下、前記特性は下記式により得られた。
【0083】強度=(G3) 応力緩和=100×((G1)−(G2))/(G1) セット性=100×((L2)−(L1))/(L1) 伸度=100×((L3)−(L1))/(L1) [熱セツト性]糸をフリーで100℃のスチームで10
分処理し、次にフリーで100℃の沸騰水で2時間処理
し、一日室温で乾燥した。つぎに該糸(長さ=(L
5))を100%伸長した(長さ=2×(L5))。該
長さのまま115℃のスチームで、1分間処理した。さ
らに同長さで、130℃の乾熱処理、さらに同長さで、
1日室温で放置した。次に、糸の伸長状態をはずし、そ
の長さ(L6)を測定した。 熱セット性=100×((L6)−(L5))/(L
5) [ポリビニルピロリドンの定量法]糸試料100mgに
ジメチルアセトアミド5mlを加え、糸を溶解した。得
られた溶液にエタノール20mlをゆっくりと加えポリ
ウレタン成分を再沈させた。溶液成分を高速液体クロマ
トグラフィーにより分析を行った。ポリビニルピロリド
ンの定量には濃度の決定しているポリビニルピロリドン
溶液により検量線を予め作成し、用いた。下記式により
ポリビニルピロリドン含有率を求めた。
【0084】ポリビニルピロリドン含有率(重量%)=
(試料ピーク面積/検量線ピーク面積)×検量線試料量
/糸試料重量 [実施例1]分子量1600のPTMGとMDIをCR
値が1.6になるように容器に仕込み、80℃で4時間
反応せしめ、次に該反応物をジメチルアセトアミドに溶
解し、次にエチレンジアミンとジエチルアミンを該溶液
に添加し、ポリウレタン溶液を得た。溶液濃度は約35
重量%であった。本溶液2000kgに関東化学製PV
P(K=30)のジメチルアセトアミド溶液(35重量
%)を140g加え、2時間攪拌することにより試料溶
液とした。得られた溶液をゴデーローラーと巻取機の速
度比を1.20として540m/分のスピードで乾式紡
糸することにより、40デニールのスパンデックス糸を
得た。この糸の伸度、強度、セット性、応力緩和、熱セ
ット性、PVP含有率および融点を表1に示す。
【0085】得られた糸は高い熱セット性を有するもの
であった。
【0086】かかるスパンデックス糸の周りを、市販の
仮より加工機を用い、非弾性糸として、ナイロン6(7
d−5f)を使用して、巻回させて被覆加工糸を得た。
【0087】得られた被覆加工糸を用いゾッキパンスト
を編んだところ、置寸は従来のゾッキパンストよりも大
きく、着圧は従来品よりも高くない着用性および着用感
に優れたゾッキパンストを得ることができた。
【0088】
【表1】 ★ [実施例2]実施例1と同一のポリウレタン溶液200
0kgに、実施例1のPVPを180g加え、2時間攪
拌することにより試料溶液とした。得られた溶液をゴデ
ーローラーと巻取機の速度比を1.2として540m/
分のスピードで乾式紡糸することにより、40デニール
の糸を得た。この糸の伸度、強度、セット性、応力緩
和、熱セット性、PVP含有率および融点を表1に示
す。
【0089】かかるスパンデックス糸の周りを、市販の
仮より加工機を用い、非弾性糸として、ナイロン6(7
d−5f)を使用して、巻回させて被覆加工糸を得た。
【0090】得られた被覆加工糸を用いゾッキパンスト
を編んだところ、置寸は従来のゾッキパンストよりも大
きく、着圧は従来品よりも高くない着用性および着用感
に優れたゾッキパンストを得ることができた。 [実施例3]実施例1と同一のポリウレタン溶液200
0gにISP製のN−ブテニル−2,4−ジ(1−ブテ
ニル)−2−ピロリドンを10%共重合したPVP(G
ANEX P−904)のジメチルアセトアミド溶液
(35重量%)を140g加え、2時間攪拌することに
より試料溶液とした。得られた溶液をゴデーローラーと
巻取機の速度比を1.20として540m/分のスピー
ドで乾式紡糸することにより、40デニールの糸を得
た。この糸の伸度、強度、セット性、応力緩和、熱セッ
ト性、PVP含有率および融点を表1に示す。
【0091】かかるスパンデックス糸の周りを、市販の
仮より加工機を用い、非弾性糸として、ナイロン6(7
d−5f)を使用して、巻回させて被覆加工糸を得た。
【0092】得られた被覆加工糸を用いゾッキパンスト
を編んだところ、置寸は従来のゾッキパンストよりも大
きく、着圧は従来品よりも高くない着用性および着用感
に優れたゾッキパンストを得ることができた。 [比較例1]PVPを含有しない以外は実施例1と同一
のポリウレタン溶液を実施例1と同様の条件で紡糸した
糸との特性を表に示す。熱セット性が低い糸であった。
【0093】かかるスパンデックス糸の周りを、市販の
仮より加工機を用い、非弾性糸として、ナイロン6(7
d−5f)を使用して、巻回させて被覆加工糸を得た。
【0094】得られた被覆加工糸を用いゾッキパンスト
を編んだところ、置寸は従来のゾッキパンストよりも大
きく、着圧は従来品よりも高くない着用性および着用感
に優れたゾッキパンストを得ることができた。
【0095】
【発明の効果】本発明により得られる被覆弾性糸は、特
に衣服など使用した際、フィット性、外観品位、着用
性、着用感、伸びなどに優れたものを得ることができ
る。これらの優れた特性を有することから、単独での使
用はもとより、各種繊維との組み合わせにより、例えば
ソックス、ストッキング、丸編、トリコット、水着、ス
キーズボン、作業服、煙火服、洋服、ゴルフズボン、ウ
エットスーツ、ブラジャー、ガードル、手袋や靴下をは
じめとする各種繊維製品の締め付け材料、紙おしめなど
サニタニー品の漏れ防止用締め付け材料、防水資材の締
め付け材料、似せ餌、造花、電気絶縁材、ワイピングク
ロス、コピークリーナー、ガスケットなど、種々の用途
に展開可能である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 BB02 BB06 BB21 FF08 MH01 MH13 4L036 MA04 MA06 MA33 MA39 PA05 PA46 RA24 UA01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリビニルピロリドンおよび/またはその
    共重合体を含有し、該ポリビニルピロリドンおよび/ま
    たはその共重合体のK値が20以上70以下であって、
    主構成成分がポリウレタンウレアからなるスパンデック
    ス糸からなる芯部と、該芯部の周りを被覆する非弾性糸
    からなる鞘部で構成されることを特徴とする被覆弾性
    糸。
  2. 【請求項2】スパンデックス糸中にポリビニルピロリド
    ンおよび/またはその共重合体が0.5重量%以上15
    重量%以下の範囲で含有されていることを特徴とする請
    求項1に記載の被覆弾性糸。
  3. 【請求項3】ポリビニルピロリドンおよび/またはその
    共重合体を含有し、該ポリビニルピロリドンおよび/ま
    たはその共重合体のK値が20以上70以下であるスパ
    ンデックス糸の周りに、非弾性糸を被覆することを特徴
    とする被覆弾性糸の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015532366A (ja) * 2012-10-09 2015-11-09 東レ株式会社 吸湿性ポリエステル繊維及びその製造方法

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