JP2000178228A - カリックスアレーン類の精製方法 - Google Patents

カリックスアレーン類の精製方法

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JP2000178228A
JP2000178228A JP36022398A JP36022398A JP2000178228A JP 2000178228 A JP2000178228 A JP 2000178228A JP 36022398 A JP36022398 A JP 36022398A JP 36022398 A JP36022398 A JP 36022398A JP 2000178228 A JP2000178228 A JP 2000178228A
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arene
acetone
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methylhexaacetoxycalix
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JP36022398A
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Hiromasa Yamamoto
博将 山本
Masumi Nagashima
眞澄 長島
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 パラ位にメチル基を有しかつフェノール性水
酸基をアセチル基で修飾した各種p−メチルカリックス
アレーン誘導体の混合物から、p−メチルヘキサアセト
キシカリックス[6]アレーン(A)、又はp−メチル
ヘプタアセトキシカリックス[7]アレーン(B)を高
純度かつ高収率で得る方法。 【解決手段】 (A)及び(B)を含む混合物を一旦ア
セトンに溶解させて(A)を主成分とする固体相を析出
させ取り出し、該固体相から酢酸エチル等の溶解性パラ
メーターが18〜20(MPa1/2)の有機溶媒を用い
て(A)を選択的に抽出し、抽出液から有機溶媒を除去
して高純度の(A)を得る。また、前記固体相を取り除
いた後のアセトン溶液からアセトンを除去して得た混合
物をジエチルエーテル等の溶解性パラメーターが14〜
16(MPa1/2)の有機溶媒に溶解させた後、純度の
高い(B)からなる固体相を析出させ、回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カリックスアレー
ン類の精製方法に関する。さらに詳しくはパラ位にメチ
ル基を有しかつフェノール性水酸基をアセチル基で修飾
したp−メチルカリックスアレーン誘導体の精製方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】フェノールとホルマリンとの縮合反応に
より得られる環状のフェノール樹脂であるカリックスア
レーンは、1)官能基の導入や触媒反応に利用できるフ
ェノール性水酸基を有する、2)芳香族置換反応を利用
した修飾が容易なベンゼン環を有する、3)融点が高く
熱的安定性、また化学的安定性に優れる、4)一連の環
サイズ、即ち環を構成する芳香環の数の異なる化合物が
存在する、など機能化に適した数多くの特徴を有する。
【0003】そして、カリックスアレーン類は、これら
優れた特徴から例えば触媒、金属捕捉剤、イオンセンサ
ー、酸化防止剤、分離膜材料、相間移動触媒、人工酵
素、レジスト材料その他用途への応用が検討されてい
る。
【0004】カリックスアレーンの一般的な合成法とし
ては大きく分けて多段階合成法と直接合成法の二つが知
られており、その概要は、「カリックスアレーン(Ca
lixarenes)」(C. D.グッチェ編、Ro
yal Society ofChemistry、19
89年)、「カリックスアレーン(Calixaren
es)」(J. ヴィショーンら編、Kluwer Ac
ademic Publishiers、1991年)
等の成本、およびV.ベーマーの総説(Angew.
Chem. Int. Ed. Engl. 34巻、p7
13、1995年)などに記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
文献に記載されているカリックスアレーンの合成方法に
おいては、単一の環サイズの化合物を高選択的に得るこ
とは一般に難しく、特定のカリックスアレーンを得るた
めには、他のカリックスアレーンとの混合物である反応
生成物から精製を行い単離する必要がある。
【0006】ところが一般にカリックスアレーンは、フ
ェノール性水酸基を有しかつ環状構造を有するため溶媒
に対する溶解性が低く、特にパラ位にメチル基を有する
p−メチルカリックスアレーン類はその環サイズの大き
さによらず多くの溶媒に対する溶解度が特に低いため、
溶解度の差を利用した分離法を採用するのが困難であ
る。例えば晶析により精製を行った場合には、溶解度が
低いのに加えて、わずかな溶解性の差を利用しなければ
ならないため、分別晶析、あるいは複数回にわたる晶析
が必要となり、目的物の回収率が低くなってしまう。
【0007】また、p−メチルカリックスアレーンを修
飾した誘導体についても、他の環サイズのカリックスア
レーン誘導体を含む混合物の中から特定の成分を簡便に
高純度かつ高回収率で単離する方法は、これまで知られ
ていない。
【0008】例えば、p−メチルカリックスアレーン誘
導体の一つであるp−メチルヘキサアセトキシカリック
ス[6]アレーン(正式名称;5,11,17,23,29,35−ヘキ
サメチル−37,38,39,40,41,42-ヘキサアセトキシカリッ
クス[6]アレーン)は、イオンビームや電子線等によ
り0.1μmという超高解像度のパターンを形成し得る
レジスト材料としての用途が知られている有用な化合物
であるが(特開平4−128253号公報)、該化合物
を公知の合成方法(特開平4−128253号公報、及
びMicroelectronic Engineering、35巻、p117、
1997年)により高純度のものを得ようとする場合に
は、反応生成物である“p−メチルヘキサアセトキシカ
リックス[6]アレーンの他にp−メチルヘプタアセト
キシカリックス[7]アレーン等の環サイズの異なるカ
リックスアレーンやポリマーを含む混合物”(以下、単
に生成混合物ともいう。)から精製、単離する必要があ
る。
【0009】この時の精製方法に関して、上記文献(Mi
croelectronic Engineering、35巻、p117、19
97年)には生成混合物をアセトンに一旦溶解させた
後、放置すると、p−メチルヘキサアセトキシカリック
ス[6]アレーンを主成分とする固体相が析出してくる
ことが記載されている。しかしながら、該固体相中に含
まれるp−メチルヘキサアセトキシカリックス[6]ア
レーンの割合は、60重量%程度であり、不純物として
環サイズの異なるカリックスアレーンやポリマーなどが
多く含まれている。そして、さらに高純度のものを得よ
うとする場合には、一般にはカラムクロマトグラフィー
等の工業的観点からすると煩雑な操作を伴う精製を行う
必要がある。
【0010】また、前記生成混合物中に存在するp−メ
チルヘプタアセトキシカリックス[7]アレーンは、一
般に合成が難しいとされている奇数員環のカリックスア
レーン化合物であり、その構造の類似性からレジスト材
料としての機能性等に興味が持たれている化合物である
が、該化合物の精製についても簡便な方法はこれまで知
られていない。
【0011】このように、p−メチルヘキサアセトキシ
カリックス[6]アレーンとp−メチルヘプタアセトキ
シカリックス[7]アレーンとを少なくとも含む生成混
合物から、p−メチルヘキサアセトキシカリックス
[6]アレーン或いはp−メチルヘプタアセトキシカリ
ックス[7]アレーンを効率よく単離するための精製方
法はこれまで知られておらず、この様な精製方法の開発
が望まれている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく鋭意検討を行った結果、1)生成混合物を一旦
アセトンに溶解させてp−メチルヘキサアセトキシカリ
ックス[6]アレーンを主成分とする固体相を析出させ
取り出した後に、該固体相をある特定の有機溶媒で抽出
洗浄するとp−メチルヘキサアセトキシカリックス
[6]アレーンが選択的に該固体相から抽出されるとい
う新たな知見、及び2)前記固体相を取り除いた後の液相
を乾燥して得た混合物をある特定の有機溶媒に溶解させ
て放置すると純度の高いp−メチルヘプタアセトキシカ
リックス[7]アレーンからなる固体相が析出してくる
という新たな知見を得て本発明を完成するに至った。
【0013】即ち、本発明は、少なくともp−メチルヘ
キサアセトキシカリックス[6]アレーン、及びp−メ
チルヘプタアセトキシカリックス[7]アレーンを含む
混合物をアセトンに溶解した後、p−メチルヘキサアセ
トキシカリックス[6]アレーンを主成分とする固体相
を析出させ、次いで析出した該固体相と溶液相とを分離
する工程、及び前記工程で分離された固体相から溶解性
パラメーターが18〜20(MPa1/2)である溶媒を
用いて該溶媒に可溶な目的物を抽出・分離し、次いで分
離された抽出溶液から前記溶媒を除去して目的物を回収
する工程からなることを特徴とするp−メチルヘキサア
セトキシカリックス[6]アレーンの精製方法である。
【0014】なお、該精製方法で精製されたp−メチル
ヘキサアセトキシカリックス[6]アレーンをアセトン
に溶解した後、p−メチルヘキサアセトキシカリックス
[6]アレーンを主成分とする固体相を析出させ、次い
で析出した該固体相を目的物としてアセトン溶液から分
離・回収した場合には、更に高純度のp−メチルヘキサ
アセトキシカリックス[6]アレーンが得られる。
【0015】また、他の本発明は、少なくともp−メチ
ルヘキサアセトキシカリックス[6]アレーン、及びp
−メチルヘプタアセトキシカリックス[7]アレーンを
含む混合物をアセトンに溶解した後、p−メチルヘキサ
アセトキシカリックス[6]アレーンを主成分とする固
体相を析出させ、次いで析出した該固体相と溶液相とを
分離する工程、及び前記工程で分離された溶液相からア
セトンを除去し、その残渣を溶解性パラメーターが14
〜16(MPa1/2)である溶媒に溶解させた後、得ら
れた溶液からp−メチルヘプタアセトキシカリックス
[7]アレーンを主成分とする固体相を析出させ、該固
体相を目的物として溶液から分離・回収する工程からな
ることを特徴とするp−メチルヘプタアセトキシカリッ
クス[7]アレーンの精製方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において精製の対象物は、
少なくともp−メチルヘキサアセトキシカリックス
[6]アレーン、及びp−メチルヘプタアセトキシカリ
ックス[7]アレーンを含む混合物(以下、被精製物と
もいう。)である。
【0017】該被精製物は、p−メチルヘキサアセトキ
シカリックス[6]アレーン、及びp−メチルヘプタア
セトキシカリックス[7]アレーンを含むものであれば
特に限定されず、これらカリックスアレーン以外にp−
メチルオクタアセトキシカリックス[8]アレーン等の
環サイズの異なる複数のp−メチルカリックス[n]ア
レーン(括弧内のnは環を形成する芳香環の数を示
す。)のアセチル誘導体(以下、各々MCnAcとも略
す、ここでnは環を形成する芳香環の数を示す。)、お
よびMCnAcの構成単位が直鎖状に連なった高分子量
成分等を含んでいてもよい。なお、以下、上記高分子量
成分について、ポリスチレン換算分子量が1万未満の成
分をオリゴマー、1万以上の成分をポリマーと称する。
【0018】被精製物中の目的物であるp−メチルヘキ
サアセトキシカリックス[6]アレーン(即ち、MC6
Ac)、あるいはp−メチルヘプタアセトキシカリック
ス[7]アレーン(即ち、MC7Ac)の含有量に特に
制限はないが、回収効率を考慮すると目的物の含有量は
30重量%以上であることが好ましい。
【0019】被精製物としては、例えば、前段階の反応
として、クレゾールとホルムアルデヒドとを塩基性触媒
の存在下に反応させた後に、触媒及び溶媒を除去して各
種p−メチルカリックス[n]アレーン(n=6〜8の
整数)及び高分子量成分の混合物を得、後段階の反応と
して該混合物をそのまま原料として使用してアセチル化
反応を行って得られる粗生成物が好適に使用できる。
【0020】上記粗生成物(生成混合物)中には、一般
にMC6Ac、MC7Ac、MC8Ac及び高分子量成
分などが含まれており、各成分の含有量はアセチル化反
応前のクレゾールとホルムアルデヒドとの反応条件、特
に反応時の温度条件によってある程度変えることができ
る。
【0021】例えば、MC6Acの含有量が30重量%
以上の粗生成物を得るためには上記前段階の反応を、例
えばクレゾール1モル、ホルマリン2.2モル、水酸化
ナトリウム0.5モルをキシレン1リットル中、室温か
ら15分間で145℃まで昇温し、水を留去しながら3
時間加熱還流を行うという条件下で行えば良く、また、
MC7Acの含有量が30重量%以上の粗生成物を得る
ためには上記前段階の反応を例えばクレゾール1モル、
ホルマリン2.2モル、水酸化カリウム0.5モルをキ
シレン1リットル中、室温から2時間かけて145℃ま
で昇温し、水を留去しながら3時間加熱還流を行うとい
う条件下で行えば良い。
【0022】なお、前記後段階の反応であるアセチル化
反応は、酸又は塩基触媒の存在下、前段階反応で得られ
た前記混合物を、無水酢酸又はアセチルクロリド等のア
セチル化剤を用いて、トルエンあるいはピリジン等の溶
媒中で反応させることにより行うことができる。例えば
大過剰のピリジン存在下、無水酢酸及び前段階反応で得
られた前記混合物を室温にて撹拌することにより、アセ
チル化反応を行うことができる。反応終了後、反応混合
物を例えば1N塩酸中にあけ、必要に応じて溶媒を留去
することにより、触媒及び反応溶媒を除去して被精製物
を得ることができる。
【0023】本発明においては、まず被精製物をアセト
ンに溶解させる。このとき被生成物は通常アセトンに室
温で被生成物をそのまま混合することにより溶解する
が、一部が室温で溶解しない場合にはアセトンを沸点以
下に加温しながら溶解させてもよい。なお迅速に溶解を
行うために、溶解の際には撹拌を行うのが好適である。
【0024】このとき、アセトンの使用量は被精製物が
全てアセトン中に溶解する量であれば特に制限はない
が、被精製物1重量部に対してアセトンを3〜30重量
部使用するのが好適である。アセトンの使用量が少なす
ぎると被精製物が固体として残存する場合があり、逆に
多すぎると、MC6Acを主成分とする固体相の析出量
が減少する場合がある。
【0025】被精製物がアセトンに溶解した後、放置あ
るいは撹拌を続けると数分後にMC6Acを主成分とす
る固体相が析出し始める。通常、室温で放置した場合、
3時間程度で上記析出は終了する。
【0026】一旦溶解したMC6Acが特に冷却等の操
作を行わなくても析出する理由は定かでないが、一度溶
解した化合物が溶媒分子と包接体を形成することにより
該化合物の立体配座構造が変化し溶媒に対する溶解性が
低下することにより析出するものと推定される。
【0027】本発明では、上記のようにして析出した固
体相と溶液相とを分離する。固体相と溶液相との分離方
法は特に限定されず、濾過、遠心分離等、公知の方法が
採用できる。
【0028】上記分離操作で分離された固体相(以下、
固体相Aともいう。)は、MC6Acを主成分とするも
のではあるが、MC7Acを僅かに含有し、被精製物が
前記生成混合物である場合には、さらにMC8Ac、お
よびポリマーが含まれている。
【0029】また、上記分離操作で分離された溶液相
(以下、溶液相Aという)中にはMC7Acの他、微量
のMC6Ac等他のカリックスアレーン化合物とオリゴ
マーが含まれている。
【0030】MC6Acの精製を行う場合には、固体相
Aを用い、MC7Acの精製を行う場合には、溶液相A
を用いる。
【0031】以下、先ずMC6Acの精製方法について
説明する。
【0032】前記分離工程で分離されたMC6Acを主
成分とする固体相Aは、次の精製工程である抽出工程に
移される。該抽出工程では、溶解性パラメーターが18
〜20(MPa1/2)である溶媒(以下、抽出溶媒とい
う)、特に好ましくは溶解性パラメーターが18〜20
(MPa1/2)でありかつ中程度の水素結合性を示す有
機溶媒を用いて、固体相A中からMC6Acを選択的に
抽出する。
【0033】このとき使用される抽出溶媒は、溶解性パ
ラメーター(溶解度パラメーターともいう。通常、δで
表す。)が18〜20(MPa1/2)である溶媒であれ
ば特に限定されない。ここで、溶解性パラメーターとは
液体のモル蒸発エネルギーをモル体積で割った値(凝集
エネルギー密度)の平方根であり、液体どうしの溶解性
を大まかに見積もるための指標である。またこの指標は
一般的に液体と樹脂との相溶性の指標としても用いられ
ている。また、溶媒の水素結合性とはHansenとB
eerbowerによって提案された、エンタルピーに
基づいて求められる値であり、弱い水素結合性、中程度
の水素結合性および強い水素結合性の3種類に分類され
る。一般的な溶媒についての溶解性パラメーターおよび
溶媒の水素結合性に関しては、ポリマーハンドブック第
3版(J.ブランドラップら編、JOHN WILEY & SONS
刊、1989年、VII章)等に記載されている。
【0034】本発明で好適に使用できる前記抽出溶媒を
具体的に例示すれば、ジメチルエーテル(δ=18.0
MPa1/2、、以下同じ)、テトラヒドロフラン(18.
6)等のエーテル類、ジエチルケトン(18.0)、メ
チルシクロヘキサノン(19.0)、メチルエチルケト
ン(19.0)等のケトン類、酢酸メチル(19.
6)、酢酸エチル(18.6)、メチルプロピオネート
(18.2)、ジヘキシルフタレート(18.2)、ジ
ブチルフタレート(19.0)等のエステル類、クロロ
トルエン(18.0)、トリクロロエチレン(18.
8)、臭化エタン(19.6)、テトラクロロエタン
(19.8)、塩化メチレン(19.8)等のハロゲン
化炭化水素類、オクチレングリコール(19.2)、エ
チルヘキサノール(19.4)、等のアルコール類、エ
チルベンゼン(18.0)等の芳香族炭化水素類、等が
挙げられる。
【0035】これら抽出溶媒の中でも、精製物の純度が
高くなると言う理由から、溶解性パラメーターが18〜
20(MPa1/2)でありかつ中程度の水素結合性を示
す有機溶媒を用いるのが特に好適である。以下に特に好
適な溶媒を具体的に例示すれば、ジメチルエーテル(δ
=18.0MPa1/2、、以下同じ)、テトラヒドロフラ
ン(18.6)等のエーテル類、ジエチルケトン(1
8.0)、メチルシクロヘキサノン(19.0)、メチ
ルエチルケトン(19.0)等のケトン類、酢酸メチル
(19.6)、酢酸エチル(18.6)、メチルプロピ
オネート(18.2)、ジヘキシルフタレート(18.
2)、ジブチルフタレート(19.0)等のエステル
類、臭化エタン(19.6)、テトラクロロエタン(1
9.8)等のハロゲン化炭化水素類、等が挙げられる。
これらの中でも、MC6Acが特に選択的に抽出される
という理由から、酢酸エチルを使用するのが最も好まし
い。
【0036】固体相Aから前記抽出溶媒を用いてMC6
Acを抽出する方法は特に限定されず、前記分離工程で
分離した固体相Aを、必要に応じて乾燥してから、抽出
溶媒と混合撹拌することにより好適に行うことができ
る。この時、抽出効率を高めるために固体相Aは抽出溶
媒と混合する前に粉砕しておくのが好ましい。
【0037】上記抽出操作に於いて、抽出溶媒の使用量
は固体相Aが抽出溶媒中に均一に分散する量であれば特
に制限はないが、通常固体相A1重量部に対して抽出溶
媒を5重量部以上使用するのが好適である。抽出溶媒の
使用量が少ないとMC6Acの回収率が低下する場合が
ある。また、抽出時間も特に限定されないが、通常30
分〜3時間程度、固体相Aと抽出溶媒とを撹拌混合すれ
ば充分な抽出が行われる。抽出温度は室温あるいは加温
下のいずれでも良く、用いる抽出溶媒の種類に応じて適
宜決定すれば良い。
【0038】該抽出操作により固体相A中のMC6Ac
は、抽出溶媒により抽出され溶解するが、不純物である
他の成分は抽出されず固体のまま残る。抽出操作後は、
濾過等により溶液から残った固体成分を取り除き、固体
成分除去後の溶液から蒸発乾固等、汎用の濃縮方法を用
いて抽出溶媒を除去することにより精製されたMC6A
c(以下、精製品Aともいう。)が得られる。この時、
得られる精製品AのMC6Acの純度は、通常80重量
%以上である。精製品A中の更に詳細なMC6Ac純度
は被生成物中のMC6Ac濃度によるため一概に規定で
きないが、例えばMC6Ac濃度が40重量%程度の被
精製物を用いた場合には、純度80〜95重量%のMC
6Acが得られる。
【0039】80重量%という純度は、MC6Acを通
常の機能材料として用いるのには十分な純度ではある
が、更に高純度を必要とする際には、次のような操作を
することにより精製品Aをさらに精製することができ
る。
【0040】即ち、精製品Aを再びアセトンに溶解した
後、MC6Ac主成分とする固体相を析出させ、次いで
析出した該固体相を目的物としてアセトン溶液から分離
・回収することにより、MC6Acの純度を更に高くす
ることができる。なお、この時の操作は、被精製物から
固体相Aを得るのと同様にして行うことができる。この
様な操作を行うことにより純度90重量%以上のMC6
Acを単離することができる。
【0041】次にMC7Acの精製方法について説明す
る。
【0042】MC7Acの精製は、被精製物をアセトン
で処理した際に得られた前記溶液相Aからアセトンを除
去し、その残渣を溶解性パラメーターが14〜16(M
Pa1/2)である溶媒、好ましくは溶解性パラメーター
が14〜16(MPa1/2)でありかつ中程度の水素結
合性を示す溶媒に溶解させた後、得られた溶液からMC
7Acを主成分とする固体相を析出させ、該固体相を目
的物として溶液から分離・回収することにより行うこと
ができる。
【0043】上記MC7Acの精製方法において、溶液
相Aからのアセトンの除去は、蒸発乾固等、汎用の濃縮
方法を用いて行うことができる。溶液相Aからアセトン
が除去された残渣には主成分であるMC7Acの他、微
量のMC6Ac等の他のカリックスアレーン化合物およ
びオリゴマーが一般に含まれている。
【0044】上記残渣は、次いで、必要により乾燥を行
った後、溶解性パラメーターが14〜16(MP
1/2)である溶媒(以下、晶出溶媒ともいう)、特に
好ましくは溶解性パラメーターが14〜16(MPa
1/2)でありかつ中程度の水素結合性を示す溶媒に一旦
溶解される。
【0045】この時好適に使用できる晶出溶媒を具体的
に例示すれば、ジエチルエーテル(δ=15.1MPa
1/2、以下同じ)、ジイソプロピルエーテル(14.
1)、アミルエーテル(14.9)、エチルイソプロピ
ルエーテル(15.3)等のエーテル類、ジイソブチル
ケトン(16.0)、メチルノニルケトン(16.0)
等のケトン類、酢酸アミル(16.0)、エチルカプリ
レート(14.9)、ジイソデシルフタレート(14.
7)等のエステル類、ニトロオクタン(14.3)等の
ニトロ化合物類、トリクロロフルオロメタン(15.
6)等のハロゲン化炭化水素類、ヘキサン(14.
9)、ヘプタン(15.1)、メチルシクロヘキサン
(16.0)等の炭化水素類、等が挙げられる。
【0046】これら晶出溶媒の中でも、純度が高くなる
と言う理由から、溶解性パラメーターが14〜16(M
Pa1/2)でありかつ中程度の水素結合性を示す溶媒を
用いるのが特に好適である。これに該当する晶出溶媒を
具体的に例示すれば、ジエチルエーテル(δ=15.1
MPa1/2、以下同じ)、ジイソプロピルエーテル(1
4.1)、アミルエーテル(14.9)、エチルイソプ
ロピルエーテル(15.3)等のエーテル類、ジイソブ
チルケトン(16.0)、メチルノニルケトン(16.
0)等のケトン類、酢酸アミル(16.0)、エチルカ
プリレート(14.9)、ジイソデシルフタレート(1
4.7)等のエステル類、等が挙げられる。
【0047】さらに、MC7Acが特に選択的に抽出さ
れるという理由から、ジエチルエーテルを使用するのが
最も好ましい。
【0048】上記残渣を晶出溶媒に溶解する方法は特に
限定されず、上記残渣を晶出溶媒と混合撹拌することに
より好適に行うことができる。この時、晶出溶媒の使用
量は残渣が晶出溶媒に溶解するのに充分な量であれば特
に制限はないが、通常、上記残渣1重量部に対して晶出
溶媒を3〜30重量部となる量使用するのが好適であ
る。
【0049】また、溶解時の晶出溶媒の温度は特に限定
されないが、溶解速度を早めるため10℃〜溶媒の沸点
以下の温度が好適である。なお迅速に溶解を行うため
に、溶解の際には撹拌を行うのが好適である。
【0050】上記溶解操作後、溶液を放置または撹拌を
続けると、数分後にMC7Acを主成分とする固体相が
析出してくる。固体相が析出してくる理由は定かではな
いが、恐らくアセトンに被生成物を溶解させたときにM
C6Acが析出するのと同じ様なことが起こっているも
のと思われる。晶出時の晶出溶媒の温度は特に限定され
ないが、析出速度を早めるために0〜35℃程度の温度
が好適である。析出速度を早めるためには撹拌を続ける
ことが好ましい。
【0051】上記のようにして析出した固体相は、通常
の濾別操作等により溶液相と分離・回収される。回収さ
れた上記固体相は必要に応じてさらに乾燥される。この
ようして得られた固体相は主としてMC7Acからな
り、その純度は通常90%以上である。
【0052】このようにして得られたMC7Acは、機
能材料として用いるのに十分な純度ではあるが、更に高
純度を必要とする際には、上記晶出溶媒を用いた精製操
作を繰り返せばよい。
【0053】
【実施例】以下に本発明をさらに具体的に説明するため
に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例に限定され
るものではない。
【0054】なお、目的物の回収率は、最終的に回収さ
れた精製MC6Ac(またはMC7Ac)の総モル数
を、被精製物であるアセチル化処理後の生成混合物中の
MC6Ac(またはMC7Ac)の総モル数で除し、%
表示したものである。
【0055】製造例1 メカニカルスターラー、ディーンスターク水分留去器を
取り付けた1Lの三ツ口フラスコにp−クレゾール19
g、パラホルムアルデヒド9g、10N水酸化カリウム
水溶液0.4mlおよびキシレンを150ml添加し
た。この反応液を4時間加熱還流した。固形分をろ別し
た後固形物をアセトン、エタノール、続いてエタノール
と水の混合溶液で洗浄し、真空乾燥を行い粗生成物9.
7gを得た。
【0056】得られた粗生成物5gに無水酢酸5.5
g、ピリジン50mlを加え室温で4時間撹拌した。反
応混合物を希塩酸中にあけ、得られた固形物をろ別、洗
浄した後、乾燥し、被精製物となる生成混合物6.2g
を得た。
【0057】高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
およびゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)を用いて分析したところ、上記生成混合物にはMC
6Acが39%、MC7Acが12%、MC8Acが1
7%、ポリマー成分が26%、その他成分が6%、いず
れも重量比で含まれていることが判った。
【0058】実施例1 被精製物として製造例1で得られた生成混合物5gをア
セトン50mlに加え室温で撹拌し、該生成混合物を溶
解させた。2時間後、析出してきた固体相を分離し真空
乾燥を行い4.1gの固体を回収した。回収された固体
を分析したところ、MC6Acが42重量%、MC7A
cが重量2%、MC8Acが21重量%、鎖状成分が3
0重量%、その他成分が5重量%であった。
【0059】次いで、得られた固体に酢酸エチル(δ=
18.6MPa1/2)200mlを加えて室温で3時間
撹拌を行った。その後、濾過を行い、濾液から酢酸エチ
ルを留去し乾燥して1.6gの固体を回収した。該固体
を分析したところMC6Acが85重量%含まれてい
た。計算により回収率は64%であることが判った。
【0060】さらに該固体1.5gにアセトン15ml
を加え室温で撹拌し、該固体を溶解させた。2時間経過
後、析出してきた固体相を分離し真空乾燥を行い1.3
gの固体を回収した。回収された固体を分析したところ
MC6Acが98重量%含まれていることが判った。
【0061】製造例2 メカニカルスターラー、ディーンスターク水分留去器を
取り付けた1Lの三ツ口フラスコにp−クレゾール50
g、パラホルムアルデヒド30.6g、45mlの水に
水酸化ナトリウム8.3gを溶解した溶液およびトルエ
ンを500ml添加した。窒素下、三ツ口フラスコを油
浴にて5時間加熱還流を行った。固形分をろ別した後固
形物をイオン交換水、続いてエタノールで洗浄し、真空
乾燥を行い粗生成物を37g得た。
【0062】得られた粗生成物10gに無水酢酸11.
0g、ピリジン100mlを加え室温で12時間撹拌し
た。反応混合物を希塩酸中にあけ、得られた固形物をろ
別、洗浄し、さらに中性にてクロロホルム抽出を行い、
被精製物となる生成混合物12.2gを得た。
【0063】上記生成混合物をHPLCおよびGPCを
用いて分析したところ、その組成はMC6Ac21重量
%、MC7Ac38重量%、MC8Ac18重量%、高
分子成分17重量%、その他成分6重量%であった。
【0064】実施例2 被精製物として製造例2で得られた生成混合物10gを
アセトン10mlに加え室温で撹拌し、該生成混合物を
溶解させた。2時間後に溶液相を析出してきた固体相と
分離し、分離液について真空乾燥を行い4.7gの残渣
を回収した。得られた残渣にジエチルエーテル(δ=1
5.1MPa1/2)50mlを添加し室温で3時間撹拌
を行った。その後、溶解せずに残った固体相を濾別し、
濾液からジエチルエーテルを留去し、乾燥して3.2g
の固体を回収した。該固体を分析したところMC7Ac
が92重量%含まれていることが判った。計算により回
収率は71%であることが判った。
【0065】比較例1 製造例1で得られた複数のカリックスアレーンを含む粗
生成物をアセチル化せずにそのまま用いて、クロロホル
ム、メタノールを用いて分別晶析を行った。得られた分
留分をおのおのアセチル化した後、HPLC及びGPC
で分析し、MC6Acが80重量%以上得られた分留試
料をまとめたところ、MC6Acの純度は84%、回収
率は13%であった。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、レジスト材料やその他
機能性材料として有用な化合物であるMC6AcやMC
7Acを高純度で得ることができる。しかも、本発明の
精製方法はその操作も簡便であり、合成反応により得ら
れた生成物をそのまま使用することができる。即ち、本
発明は、高純度なMC6AcやMC7Acを高い回収率
で工業的に製造することが可能な優れた精製方法である
といえる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともp−メチルヘキサアセトキシ
    カリックス[6]アレーン、及びp−メチルヘプタアセ
    トキシカリックス[7]アレーンを含む混合物をアセト
    ンに溶解した後、p−メチルヘキサアセトキシカリック
    ス[6]アレーンを主成分とする固体相を析出させ、次
    いで析出した該固体相と溶液相とを分離する工程、及び
    前記工程で分離された固体相から溶解性パラメーターが
    18〜20(MPa1/2)である溶媒を用いて該溶媒に
    可溶な目的物を抽出・分離し、次いで分離された抽出溶
    液から前記溶媒を除去して目的物を回収する工程からな
    ることを特徴とするp−メチルヘキサアセトキシカリッ
    クス[6]アレーンの精製方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の精製方法で精製されたp
    −メチルヘキサアセトキシカリックス[6]アレーンを
    アセトンに溶解した後、p−メチルヘキサアセトキシカ
    リックス[6]アレーンを主成分とする固体相を析出さ
    せ、次いで析出した該固体相を目的物としてアセトン溶
    液から分離・回収することを特徴とするp−メチルヘキ
    サアセトキシカリックス[6]アレーンの精製方法。
  3. 【請求項3】 少なくともp−メチルヘキサアセトキシ
    カリックス[6]アレーン、及びp−メチルヘプタアセ
    トキシカリックス[7]アレーンを含む混合物をアセト
    ンに溶解した後、p−メチルヘキサアセトキシカリック
    ス[6]アレーンを主成分とする固体相を析出させ、次
    いで析出した該固体相と溶液相とを分離する工程、及び
    前記工程で分離された溶液相からアセトンを除去し、そ
    の残渣を溶解性パラメーターが14〜16(MP
    1/2)である溶媒に溶解させた後、得られた溶液から
    p−メチルヘプタアセトキシカリックス[7]アレーン
    を主成分とする固体相を析出させ、該固体相を目的物と
    して溶液から分離・回収する工程からなることを特徴と
    するp−メチルヘプタアセトキシカリックス[7]アレ
    ーンの精製方法。
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