JP2000177158A - サーマルヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

サーマルヘッドおよびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便に製造することのできる高信頼性・高品
位性のサーマルヘッドおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】 支持基体と、支持基体上に形成された発
熱抵抗体と、発熱抵抗体に接続された電極層と、発熱抵
抗体の発熱部分を少なくとも被覆する保護層と、保護層
上に形成された少なくとも2層の帯電防止層とを具備す
るサーマルヘッドおよびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はサーマルヘッドおよ
びその製造方法に係わり、特に、複数の帯電防止層を備
えたサーマルヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】サーマルヘッドは、低騒音、低メンテナ
ンスコストおよび低ランニングコスト等の利点があるこ
とから、ファクシミリ、ビデオプリンタあるいは製版機
等の各種OA機器の記録用デバイスとして重要な位置を
占めている。
【0003】サーマルヘッドは基板上に配置された発熱
抵抗体を発熱させることにより、感熱紙や製版フィルム
印画紙などの記録媒体に記録を行うものである。近年は
特にビデオプリンター用途において大いに注目されてい
る。
【0004】ビデオプリンター用途のサーマルヘッドは
従来のサーマルヘッドと同様に、アルミナ等セラミック
基板上に、任意で保温層としてグレーズ層を形成し、さ
らに発熱抵抗体層、アルミニウム等の電極となる導電層
をスパッタ法等の薄膜形成法によって積層形成した後、
フォトエングレービングプロセスにより複数の一対とな
る発熱抵抗体と個別電極を一線上に形成し、更に発熱抵
抗体層および電極の必要部位のみに保護膜をスパッタ法
等の薄膜形成法で形成することにより製造されている。
【0005】特にビデオプリンター用途において特殊フ
ィルムを記録媒体とする場合には、保護層形成後、帯電
防止を目的とする帯電防止層を設けている。これは特殊
フィルムの摺接により絶縁性を有する保護膜上で静電気
の帯電を防止するためであり、この層を被覆しないと、
保護膜の静電破壊に至ることもある。
【0006】しかしながら帯電防止層を形成する際、保
護層にピンホール等の膜欠陥がある場合、帯電防止層
(膜)が保護膜欠陥を介して、電極、抵抗体と接触し、
電気的短絡を起こしてしまう危険がある。
【0007】そのため、現在は保護膜側でピンホールの
少ない材料の選択やピンホールとなる膜中異物を除去
し、その後保護層を形成する複数回の成膜といった対策
を施した後、帯電防止層を形成している。
【0008】このような従来のサーマルヘッドについて
図4を参照して具体的に説明する。
【0009】支持基体1上にグレーズ層2そして発熱抵
抗体層3が形成されている。発熱抵抗体層3はTaSi
OやNbSiO等で形成され、アレイ状に配列された多
数の抵抗体を構成している。また、発熱抵抗体層3上に
は電極層4が形成されている。電極層4は共通電極や個
別電極を構成し、印画する際に、発熱抵抗体層23で構
成された多数の抵抗体の中から所定の抵抗体を選択し、
選択された抵抗体に電流を供給し発熱させる構成になっ
ている。なお、電極から電流が供給されると、抵抗体は
電極層4で挟まれた領域が発熱部分3aとなって発熱す
る。2層に形成した保護層5、5’は、SiONなどの
電気絶縁性材料で形成され、発熱抵抗体層3の少なくと
も発熱部分3aを被覆している。
【0010】図4のサーマルヘッドの作動時には、ポリ
エチレンテレフタレートにインクが塗布されたインクシ
ート9および受像紙10がプラテンローラ11に巻き付
けられ、サーマルヘッドを構成する発熱抵抗体層3の発
熱部3aに押し付けられた形で矢印X方向に回転する。
このとき、発熱部3aの熱によって受像紙10上に印画
される。
【0011】インクシート9や保護層5、5’はいずれ
も電気絶縁性の材料で構成されており、両者は互いに接
触して擦れ合う。このため、接触部分に静電気が発生す
る。発生した静電気は保護層5、5’を帯電させ、電極
層4や発熱抵抗体層3に異符号の電荷を誘起したり、保
護層5、5’内部に高電界を発生する。このとき、保護
層5、5’内部の電界が高くなると、保護層の絶縁耐圧
を超えることがあり、保護層5、5’に絶縁破壊が起こ
る。この結果、保護層が機能を消失し、サーマルヘッド
の破壊につながる。
【0012】保護層に、SiONを用いると、図5に示
すようにショート等の欠陥が多く、製造歩留まりが悪
い。またSiONに代えてSiO2 を用いると製品寿命
が短くなる。さらに、図4に示したような2層構造の保
護層をSiONで形成すると、図6に示すように、貫通
する欠陥は少なくなるが工程が増えてしまうという問題
があった。また、保護層の上に形成される帯電防止層は
通常TaSiOからなるがこれはSiONと密着性に劣
るため帯電防止層が印画する紙との摺接により剥がれ落
ちてしまう可能性がある。
【0013】上記の通り、現在、ピンホール対策として
保護膜材料を変更、積層工程を2回に分け、貫通穴除去
等を行ってはいるものの異物低減についてはスパッタ方
式に限界があり、また、積層工程とすることで工数増、
タクトタイムの延長、装置の占有面積の増加といった問
題があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題を解
決すべくなされたものであり、簡便に製造することので
きる高信頼性・高品位性のサーマルヘッドおよびその製
造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明のサーマルヘッド
は、支持基体と、支持基体上に形成された発熱抵抗体
と、発熱抵抗体に接続された電極層と、発熱抵抗体の発
熱部分を少なくとも被覆する保護層と、保護層上に形成
された少なくとも2層の帯電防止層とを具備することを
特徴としている。少なくとも2層の帯電防止層は3Aか
ら7A属から選択された金属元素と珪素と酸素からなる
層である。金属元素はTaあるいはNbであるのが好ま
しい。また、少なくとも2層の帯電防止層は、保護層に
接触するように形成された絶縁性帯電防止層と最上層に
形成された導電性帯電防止層とを具備している。この絶
縁性帯電防止層の表面抵抗値は1×104 Ω以上であ
り、導電性帯電防止層の表面抵抗値は1×104 Ω未満
である。また、絶縁性帯電防止層の厚さは0.2μm以
上であり、導電性帯電防止層の厚さは0.3μmから
2.0μmである。
【0016】すなわち、本発明に係るサーマルヘッド
は、基板の一主面上に配置された発熱抵抗体と、発熱抵
抗体に電流を供給すべき個別電極および共通電極に配置
された電極と、少なくとも抵抗体露出部を被覆するよう
に保護被覆層と、その上に形成された帯電防止を目的と
する複数の層とを具備し、その帯電防止層はサーマルヘ
ッド最表層に1×104 Ω未満の導電性層を形成するこ
とで、フィルム等の摺接による帯電を抑制し、保護膜接
触層として1×104 Ω以上の絶縁性層を有するよう形
成したことで導電性層と電極との短絡を防ぐことを特徴
としている。
【0017】本発明によれば、帯電防止を目的とする層
の保護膜接触に絶縁性を保持する層を設けることでピン
ホール、膜欠陥等の保護膜貫通穴を介しての電極、抵抗
体と帯電防止層との電気的短絡を抑制することが可能と
なる。
【0018】保護膜が貫通し、絶縁性帯電防止層と発熱
抵抗体との接触を想定した場合、絶縁性帯電防止層の表
面抵抗値を発熱抵抗体と同レベルの103 Ω台とすると
発熱抵抗体との絶縁性を確保することが出来なくなるた
め、絶縁性帯電防止層の抵抗値は発熱抵抗体の抵抗値の
10倍以上として、絶縁性を確保する必要がある。従っ
て絶縁性帯電防止層の抵抗値としては1×104 Ω以上
でなければならず、好ましくは1×105 Ω以上、より
好ましくは1×106 Ω以上である。
【0019】また、サーマルヘッド最表層となる導電性
帯電防止層を1×104 Ω未満の抵抗値で形成すること
でフィルム摺接により発生する保護膜静電破壊を抑える
ことが可能となる。この場合、当然のことながら表面抵
抗値が高くなると、絶縁性が強まり、フィルム摺接によ
る静電気が帯電される傾向となる。最表層である導電性
帯電防止層が1×104 Ω以上の抵抗値となると、静電
破壊の発生を防ぐことが不可能となる。従って、最表層
の導電性帯電防止層の表面抵抗値は1×104Ω未満、
好ましくは1×103 Ω未満である。
【0020】特に、最上層の導電性帯電防止層を3A〜
7A属の金属元素と珪素と酸素からなる材料で形成する
ことで、必要十分の導電性が得られ、その膜厚を0.3
〜2.0μmとすることで十分な耐摩耗性を得ることが
可能であり、かつ、金属元素を一般的なTaやNbから
なる代表的なサーメットとすることで発熱抵抗体の成膜
工程との共用化も図ることができる。尚、導電性帯電防
止層の厚さは、好ましくは0.3〜1.0μm、より好
ましくは0.5〜1.0μmとする。
【0021】また、絶縁性帯電防止層を0.2μm以上
の厚さとすることで十分な耐摩耗性を得ることができ
る。絶縁性帯電防止層の厚さは、好ましくは0.2〜
1.0μm、より好ましくは0.5〜1.0μmとす
る。
【0022】通常、サーマルヘッドの個別抵抗値は、8
×102 〜5×103 Ω程度に設定されている。こうし
たサーマルヘッドに帯電防止層を形成する際、帯電防止
層の抵抗値がその個別抵抗値と同程度の値であると、保
護膜の欠陥を介して電極部/抵抗体と接触したときに、
発熱させるべき抵抗体の電力が供給されず、帯電防止層
に電気的短絡が生じるという問題に対処すべく本発明は
なされている。
【0023】従って、本発明のサーマルヘッドにおいて
は、発熱抵抗体の抵抗値に対し、供給すべき電力が短絡
しない表面抵抗値をもつ帯電防止層を絶縁性と定義す
る。また、導電性の帯電防止層とは個別抵抗値と同程度
もしくはそれ以下の表面抵抗値を有するものと定義す
る。
【0024】本発明のサーマルヘッドに用いる支持基体
としては、通常、アルミナセラミックス等の基板が使用
されるが、特に限定されるものではない。
【0025】また、支持基体上に形成される発熱抵抗体
としては、ニッケル、クロム、タンタル等の安定性の高
い金属材料の窒化物や、Ta−SiΟ2 、Νb−SiO
2 、Ti−SiO2 等の各種サーメット材料を適宜用い
ることができる。
【0026】さらに、発熱抵抗体に接続される電極とし
ては、一般的に用いられているAl、Al−Si、Al
−Si−Cu等が用いられるが、特に限定はされない。
【0027】また、アルミナ基体と発熱抵抗体層との間
に、表面円滑性と蓄熱性の向上を主目的とするグレーズ
ガラス層を設けた場合には、グレーズガラス層として、
例えば、二酸化珪素あるいは二酸化珪素にカルシウム、
バリウム、アルミニウム、ストロンチウム等が混合した
ものが使用されるが、特に限定されるものではない。た
だし、サーマルプリントヘッドの抵抗値の上昇を防止す
ることから、グレーズガラス層のガラス転移点は、67
0℃以上であることが望ましい。また、グレーズガラス
層の膜厚は、通常、30〜70μm程度に形成される。
【0028】さらに、発熱抵抗体の少なくとも発熱部分
を被覆するように形成される保護層は通常、Si−O−
N系の保護層であり、通常の構成成分である窒化珪素お
よび二酸化珪素からなる粉体の焼結体をターゲットとし
たスパッタ法によって形成される。
【0029】本発明のサーマルヘッドの製造方法は、基
板の一主面上に発熱抵抗体を形成する工程と、発熱抵抗
体上に電極層を形成する工程と、発熱抵抗体の発熱部分
を少なくとも被覆するように保護層を形成する工程と、
保護層上に酸素供給量を変更することにより少なくとも
2層の帯電防止層を形成する工程とを具備することを特
徴としている。この少なくとも2層の帯電防止層は、保
護層に接触するように形成された絶縁性帯電防止層と最
上層に形成された導電性帯電防止層とを具備している。
【0030】本発明のサーマルヘッドの製造方法によれ
ば、成膜時の反応ガス切り替えで帯電防止層の積層構成
を形成するため、従来のピンホール対策およびピンホー
ルを介しての帯電防止層との短絡を防ぐため実施してい
た保護膜の積層形成、保護膜の異物除去法等の工程が不
要となる。よって、工程、タクトタイムを大幅に低減す
ることが可能となる。
【0031】また、帯電防止層を成型する際に、その成
膜工程で酸素の導入量を規定することで容易に絶縁性お
よび/または導電性の複数の層が形成可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】[実施例1]図1を参照して本発
明の実施形態を説明する。
【0033】アルミナ基板1上の所定部位に保温層とし
てグレーズ層2を形成したグレーズアルミナ基板を支持
基体とし、発熱抵抗体層3としてTa−SiO膜、電極
層4としてAlを順次、スパッタ法等の薄膜形成方法に
て形成した。
【0034】さらにその基板にフォトエングレービング
プロセスを行って一対の抵抗体と電極が同一パターンで
複数並ぶよう形成した。
【0035】その後、少なくとも発熱抵抗体露出部を保
護被覆するようにSiONからなる保護層5をSi3
4 とSiO2 を混合した焼結体を着膜源とし形成し
た。この時、保護膜5はスパッタ法を用いて単層で5μ
mの厚さに形成した。
【0036】単層で膜を形成する場合、膜に取り込まれ
る膜中異物やそれを原因としたピンホール、段差被覆性
の欠如による膜欠陥が発生しやすくなり、今回の基板に
おいても両者が確認された。
【0037】その後、保護層5上に、絶縁性帯電防止層
6および導電性帯電防止層7を形成した。これら帯電防
止層の材料としては発熱抵抗体3と同一の着膜源である
Ta−SiOを用いた。
【0038】徳田製作所CF−16PSを用いて、保護
膜5と接触する下層の絶縁性帯電防止層6については成
膜雰囲気を不活性ガスArを250sccm、反応ガスとし
て酸素を20sccm導入し、0.3μmの厚さに形成し
た。その後、上層の帯電防止層7としてArのみの雰囲
気で0.2μmとなるよう連続して成膜形成しサーマル
ヘッド表面に当たるよう調整した。
【0039】この時の下層の帯電防止層6を表面抵抗測
定器により単層測定したところ、2×104 Ωと十分な
絶縁性を示した。
【0040】また、本来の帯電防止を目的としたサーマ
ルヘッド最表層となる上層の導電性帯電防止層7をメガ
オーム計で測定したところ、5×103 〜1×104 Ω
と十分な導電性を示した。
【0041】このようにして作製されたサーマルヘッド
においては下層の絶縁性帯電防止層6を設けることで、
電気的短絡が発生することなく、サーマルヘッド最表層
に導電性帯電防止層7を形成することが可能となり、保
護膜静電破壊も発生しない。また、成膜時の反応ガスの
切り替えにより、絶縁性と導電性の帯電防止層を容易に
形成することが可能となった。
【0042】こうすることで、従来ピンホール対策とし
て実施していた異物除去工程や、保護膜工程の2分化
(積層)、異物レス保護膜材料の検討が不要となり、工
数やタクトタイムの大幅な低減可能、材料費の削減が可
能となった。
【0043】また、帯電防止層の着膜源としてNb−S
iOを用いた場合も同様の効果を得ることができた。
【0044】[実施例2]次に、図2を参照して本発明
の変形実施形態を説明する。
【0045】アルミナ基板1上の所定部位に保温層とし
てグレーズ層2を形成したグレーズアルミナ基板を支持
基体とし、発熱抵抗体層3としてTa−SiO膜、電極
層4としてAlを順次、スパッタ法等の薄膜形成方法に
て形成した。
【0046】さらにその基板にフォトエングレービング
プロセスを行って一対の抵抗体と電極が同一パターンで
複数並ぶよう形成した。
【0047】その後、少なくとも抵抗体露出部を保護被
覆するようSiONからなる保護層5をSi3 −N4
SiO2 を混合した焼結体を着膜源として形成した。
【0048】この時、保護膜5はスパッタ法を用いて保
護層として、十分硬度を確保できるよう単層で3μmの
厚さに形成した。
【0049】その後、保護層5上に、絶縁性帯電防止層
6、帯電防止中間層8、導電性帯電防止層7を反応ガス
流量を変化させながら形成した。このように保護膜5と
接触する層を絶縁性とし、最上層を導電性としさえすれ
ば、その間に一層以上、好ましくは2〜3層形成されて
いてもよい。
【0050】帯電防止層の形成には発熱抵抗体3と同一
の着膜源であるTa−SiOを用いた。
【0051】ここで図3に示すように、反応性ガス流量
と膜特性(表面抵抗値)の関係を確認した。
【0052】本変形実施形態で使用した装置(徳田製C
FS16PC)においては反応ガスであるO2 を10sc
cm以上導入することで表面抵抗値1×104 Ω以上を示
した。ただし、これは装置に、所望の表面抵抗値が得ら
れるような量の反応ガスが導入されるよう調整すること
が必要である。
【0053】保護膜5と接触する下層の絶縁性帯電防止
層6については成膜雰囲気を不活性ガスArを250sc
cm、反応ガスとして酸素を20sccm導入し、0.2μm
の厚さに形成した。その後、順次反応ガス導入量を抑え
て、傾斜を持たせる形で層を積層し、最終的にサーマル
ヘッド最表層はArのみの雰囲気で0.2μmとなるよ
う連続して成膜形成した。
【0054】こうして作製したサーマルヘッドにおいて
先の実施形態と同様の効果を確認することができた。
【0055】本発明の実施例1および2において作製し
たサーマルヘッドおよび従来のサーマルヘッド(図4)
を解像度が150dpiの昇華型熱転写方式のビデオプ
リンターに組み込み、実機試験を行ったところ、従来の
サーマルヘッドでは50枚で静電破壊が起きたが、本発
明のサーマルヘッドでは実用的な寿命とされる5000
枚を超えても何等問題が生じなかった。
【0056】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
帯電防止層を反応ガスの切り替えによって所望の絶縁層
もしくは導電層の形成を容易に行うことができるため、
帯電防止層を形成する際、ピンホール等膜欠陥を介して
の電極と帯電防止層との接触による電気的短絡を防ぐた
め必須であった保護膜の2層化、異物除去工程、ターゲ
ットから飛散する微少異物の対策が不要となり、歩留ま
りよく、寿命の長いサーマルヘッドを得られるようにな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るサーマルヘッドの拡
大断面図。
【図2】本発明の変形実施形態に係るサーマルヘッドの
拡大断面図。
【図3】本発明のサーマルヘッドの製造における酸素導
入量と生成される保護膜の表面抵抗値の関係を示すグラ
フ。
【図4】従来のサーマルヘッドの拡大断面図。
【図5】従来のサーマルヘッドの拡大断面図。
【図6】従来のサーマルヘッドの拡大断面図。
【符号の説明】
1…アルミナ基板 2…グレーズ層 3…発熱抵抗体層 4…電極層 5、5’…保護層 6…絶縁性帯電防止層 7…導電性帯電防止層 8…帯電防止中間層 9…インクシート 10…受像紙 11…プラテンローラ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持基体と、前記支持基体上に形成され
    た発熱抵抗体と、前記発熱抵抗体に接続された電極層
    と、前記発熱抵抗体の発熱部分を少なくとも被覆する保
    護層と、前記保護層上に形成された少なくとも2層の帯
    電防止層とを具備することを特徴とするサーマルヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】 前記少なくとも2層の帯電防止層は3A
    から7A属から選択された金属元素と珪素と酸素からな
    る層であることを特徴とする請求項1記載のサーマルヘ
    ッド。
  3. 【請求項3】 前記金属元素はTaあるいはNbである
    ことを特徴とする請求項2記載のサーマルヘッド。
  4. 【請求項4】 前記少なくとも2層の帯電防止層は、前
    記保護層に接触するように形成された絶縁性帯電防止層
    と最上層に形成された導電性帯電防止層とを具備するこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のサ
    ーマルヘッド。
  5. 【請求項5】 前記絶縁性帯電防止層の表面抵抗値は1
    ×104 Ω以上であり、前記導電性帯電防止層の表面抵
    抗値は1×104 Ω未満であることを特徴とする請求項
    4記載のサーマルヘッド。
  6. 【請求項6】 前記絶縁性帯電防止層の厚さは0.2μ
    m以上であり、前記導電性帯電防止層の厚さは0.3μ
    mから2.0μmであることを特徴とする請求項4また
    は5記載のサーマルヘッド。
  7. 【請求項7】 基板の一主面上に発熱抵抗体を形成する
    工程と、前記発熱抵抗体上に電極層を形成する工程と、
    前記発熱抵抗体の発熱部分を少なくとも被覆するように
    保護層を形成する工程と、前記保護層上に酸素供給量を
    変更することにより少なくとも2層の帯電防止層を形成
    する工程とを具備することを特徴とするサーマルヘッド
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記少なくとも2層の帯電防止層は、前
    記保護層に接触するように形成された絶縁性帯電防止層
    と最上層に形成された導電性帯電防止層とを具備するこ
    とを特徴とする請求項7記載のサーマルヘッドの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記絶縁性帯電防止層の表面抵抗値は1
    ×104 Ω以上であり、前記導電性帯電防止層の表面抵
    抗値は1×104 Ω未満であることを特徴とする請求項
    8記載のサーマルヘッドの製造方法。
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