JP2000176603A - 鋳型およびその製造方法 - Google Patents

鋳型およびその製造方法

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裕 村田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】押し湯キャビティを従来の鋳型よりも比較的大
きく取ることができ、しかも、湯口キャビティおよび押
し湯キャビティを形成するための凹みを、製品キャビテ
ィを画成するための凹みと一緒に造型可能であり、その
上、硬度が全体的に均一である鋳型を提供する。 【解決手段】2個の鋳枠2付き砂型3・3を型合わせし
て製品キャビティ4を画成しかつ型合わせした2個の砂
型3・3を、鋳枠2・2の一側壁が上に来るように立て
た状態で注湯可能にした鋳型1にする。鋳枠2は、一側
壁に切欠き部5を有していて型合わせした時に合わせ位
置に開口部6を画成可能である。砂型3は、鋳枠2に内
蔵され型合わせた時に合わせ位置に一端部が開口部6内
に位置する湯口キャビティ7および押し湯キャビティ8
を有しかつ鋳枠2の一側壁が上に来るように立てたとき
押し湯キャビティ8は製品キャビティ7の上方に位置す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2個の鋳枠付き砂型を
型合わせして製品キャビティを画成しかつ型合わせした
2個の鋳枠付き砂型を、前記鋳枠の一側壁が上に来るよ
うに立てた状態で注湯可能にした鋳型およびこの製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、鋳型は、製品キャビティの他に
湯口キャビティおよび押し湯キャビティを有している。
そして、この鋳型は次のようにして製造される。すなわ
ち、水平状態の模型板上に載置した鋳枠に鋳物砂を充填
し、その鋳物砂をスクイズして固化させて、鋳枠付きの
下鋳型および上鋳型をそれぞれ造型し、その後、これら
上・下鋳型を型合わせして製品キャビティ、湯口キャビ
ティおよび押し湯キャビティを画成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように構
成された従来の鋳型では、湯口キャビティおよび押し湯
キャビティは、回転工具により、前記上鋳型に形成され
るようになっており、このため、生産性が悪い問題があ
った。しかも、鋳枠の空間の広さには限界があるため、
押し湯キャビティを大きく取ることができず、特に下鋳
型において顕著であった。
【0004】また、湯口キャビティの上端部は一般に別
途造型された鋳型により形成されるようになっている。
このため、一側壁が上に来る立てた状態の枠体と、この
枠体に入出可能な一対の模型板とで空間を画成して鋳物
砂を吹込み、鋳物砂を一対の模型板によりスクイズして
固化し、その後固化した鋳物砂を模型板で枠体から押し
出す。この操作を繰り返して多数の直方体状の枠無し鋳
型を横に並べて多数の製品キャビティ・湯口キャビティ
および押し湯キャビティを画成するようにしたものもあ
る。しかし、このような鋳型造型方法では、鋳物砂の吹
込み口から見て模型板の模型部の影になる部分が砂詰ま
りが悪く鋳型硬度が全体的に均一でない問題があった。
【0005】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、その目的は、押し湯キャビティを従来の鋳型より
も比較的大きく取ることができ、しかも、湯口キャビテ
ィおよび押し湯キャビティを形成するための凹みを、製
品キャビティを画成するための凹みと一緒に造型可能で
あり、その上、硬度が全体的に均一である鋳型およびそ
の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに請求項1の鋳型は、2個の鋳枠付き砂型を型合わせ
して製品キャビティを画成しかつ型合わせした2個の鋳
枠付き砂型を、鋳枠の一側壁が上に来るように立てた状
態で注湯可能にした鋳型であって、一側壁に切欠きを有
していて型合わせした時に合わせ位置に開口部を画成可
能な2個の鋳枠と、これら2個の鋳枠のそれぞれに内蔵
され型合わせした時に合わせ位置に一端部が前記開口部
内に位置する湯口キャビティおよび押し湯キャビティを
有しかつ前記鋳枠の一側壁が上に来るように立てたとき
前記押し湯キャビティは前記製品キャビティの上方に位
置する2個の砂型と、を備えたことを特徴とする。
【0007】また、請求項4に記載の鋳型の製造方法
は、2個の鋳枠付き砂型を型合わせして製品キャビティ
を画成しかつ型合わせした2個の鋳枠付き砂型を、鋳枠
の一側壁が上に来るように立てた状態で注湯可能にした
鋳型を製造する方法であって、水平状態の模型板上に、
枠体を成しかつ一側壁に所要大きさの切欠き部を有する
鋳枠を前記切欠き部を下側にして載置する工程と、鋳物
砂を前記鋳枠内に投入後スクイズして固化して、製品キ
ャビティ、湯口キャビティおよび押し湯キャビティを形
成するための凹みを有する砂型を前記各種の凹みの一端
部を前記切欠き部内に位置させて造型する工程と、以上
の工程を繰り返すことにより鋳枠付き砂型をもう1個造
型する工程と、前記2個の鋳枠付き砂型を型合わせして
合わせ位置に前記2個の切欠き部による開口部と、前記
各種の凹みによる製品キャビティ・湯口キャビティおよ
び押し湯キャビティと、をそれぞれ画成する工程と、型
合わせされた2個の鋳枠付き砂型を、前記開口部が上方
に来るようにして90度反転する工程と、を有すること
を特徴する。
【0008】
【発明の実施の形態】なお、前記砂型の造型に用い鋳物
砂は、生砂、自硬性砂等の各種の砂でよい。また、押し
湯キャビティは貫通孔により一部が開口部内に位置する
か、一側部全体が開口部に位置するかのどちらでもよ
い。また、前記砂型は中子を有する場合と有しない場合
とがある。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図1〜図5
に基づき詳細に説明する。本発明の第1実施例である鋳
型1は、図1〜図4に示すように、2個の鋳枠2付き砂
型3・3を型合わせして製品キャビティ4を画成しかつ
これら2個の鋳枠2付き砂型3・3を、前記鋳枠2・2
の一側壁が上に来るように立てた状態で注湯可能にした
構造になっている。そして、前記2個の鋳枠2・2は、
それぞれ枠体を成しかつ上側壁にこの側壁の縁に沿って
延びる細長い形状を成す所要大きさの切欠き部5を有し
ていて型合わせした時に合わせ位置に開口部6を画成可
能になっている。なお、開口部6は、縦断面がV字形を
成しており、U字形断面でもよい。
【0010】また、前記2個の砂型3・3は、前記2個
の鋳枠2・2にそれぞれ内蔵されており、さらに、合わ
せ面に、前記製品キャビティ4、湯口キャビティ7およ
び押し湯キャビティ8をそれぞれ形成するための凹み1
2・13・14を有していて、これら2個の砂型3・3
を型合わせした後前記開口部6が上方に来るようにして
90度反転した時、一端部である上端部が前記開口部6
内に位置する湯口キャビティ7および押し湯キャビティ
8を画成するようになっている。また、前記押し湯キャ
ビティ8は前記製品キャビティ4の上方に位置してお
り、さらに、湯口キャビティ7は押し湯キャビティ8に
連通している。
【0011】また、前記製品キャビティ4には2個の中
子9・9が前記押し湯キャビティ8を貫通して装入して
あり、これら2個の中子9・9は、一端部が前記砂型3
の一側面に達して前記開口部6内に位置する延長端部1
0・10を有している。そして、2個の中子9・9が前
記砂型3の一側面に達することにより、効果的な中子9
のガス抜きおよび砂型3のガス抜きが保証されることに
なる。
【0012】なお、前記鋳枠2・2のそれぞれは、外側
面に移送用耳部11を有している。これらによって鋳枠
2・2は、例えばローラコンベヤ(図示せず)上で水平
に置いて移送可能である。そして、場合に応じて幅狭に
構成されたローラコンベヤ(図示せず)上に立たせて移
送することもできる。また、前記中子9・9の前記砂型
3への装入のためには、各鋳枠2はローラコンベヤ(図
示せず)上で横置きで移送され、しかも、前記砂型3に
おける前記製品キャビティ4、湯口キャビティ7および
押し湯キャビティ8を形成するための凹み12・13・
14は上方を向いている。これにより、中子9・9を簡
単に装入できる。
【0013】その場合には、鋳枠2なし鋳型のときによ
うな特別手段により前記中子9・9を保持する必要はな
い。これらの中子9・9を、下側の砂型3に装入する一
方で、上側の鋳枠2・砂型3を、水平配置された下側の
鋳枠2・砂型3上に載置するだけでよい。型合わせした
2個の鋳枠2付き砂型3・3を、前記開口部6が上に来
るようにして90度反転するだけで方向転換できるの
で、湯口キャビティ7および押し湯キャビティ8は、上
部に配置されることになる。この結果、注湯が実施可能
になる。
【0014】次に、鋳型1の製造方法について説明する
と、図示しない水平状態の模型板上に、鋳枠2を切欠き
部5を下にして載置し、続いて、鋳物砂を鋳枠2内に投
入する。なお、模型板上には切欠き部5を塞ぐ突起が設
けてあって鋳物砂が鋳枠2から流出しないようになって
いる。次いで、鋳枠2内の鋳物砂を慣用手段でスクイズ
して固化し、鋳物砂の固化後離型する。これにより、製
品キャビティ4、湯口キャビティ7および押し湯キャビ
ティ8を画成するための凹み12・13・14を有する
砂型3を、各種の凹み12・13・14の一端部を切欠
き部5内に位置させて造型する。以上の工程を他の鋳枠
2においても行うことにより、鋳枠2に所要の砂型3を
内臓して成る鋳枠2付き砂型3をもう1個造型する。次
いで、2個の鋳枠2付き砂型3を型合わせして鋳枠2・
2の合わせ位置に2個の切欠き部5・5による開口部6
と、各種の凹み12・13・14による製品キャビティ
4・湯口キャビティ7および押し湯キャビティ8をそれ
ぞれ画成し、続いて、型合わせした2個の鋳枠2付き砂
型3・3を、開口部6が上方に来るようにして90度反
転する。この結果、立てた状態で注湯可能な鋳型1を製
造することができる。
【0015】なお、上記の実施例では、押し湯キャビテ
ィ8は、図1に示すように、貫通孔15により一部が開
口部6内に位置するようにしてあるが、図5に示すよう
に、2個の鋳枠2付き砂型3を型合わせしたときに、画
成される押し湯キャビティ28の一側部(上端開口面)
全体が開口部6に位置するようにしてもよい。
【0016】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の
鋳型は、2個の鋳枠付き砂型を型合わせして製品キャビ
ティを画成しかつ型合わせした2個の鋳枠付き砂型を、
鋳枠の一側壁が上に来るように立てた状態で注湯可能に
した鋳型であって、一側壁に切欠きを有していて型合わ
せした時に合わせ位置に開口部を画成可能な2個の鋳枠
と、これら2個の鋳枠のそれぞれに内蔵され型合わせし
た時に合わせ位置に一端部が前記開口部内に位置する湯
口キャビティおよび押し湯キャビティを有しかつ前記鋳
枠の一側壁が上に来るように立てたとき前記押し湯キャ
ビティは前記製品キャビティの上方に位置する2個の砂
型と、を備えたから、押し湯キャビティを従来の鋳型よ
りも比較的大きく取ることができ、しかも、湯口キャビ
ティおよび押し湯キャビティを形成するための凹みを、
製品キャビティを画成するための凹みと一緒に造型する
ことが可能になるなどの優れた効果を奏する。
【0017】また、本発明の鋳型の製造方法は、2個の
鋳枠付き砂型を型合わせして製品キャビティを画成しか
つ型合わせした2個の鋳枠付き砂型を、鋳枠の一側壁が
上に来るように立てた状態で注湯可能にした鋳型を製造
する方法であって、水平状態の模型板上に、枠体を成し
かつ一側壁に所要大きさの切欠き部を有する鋳枠を前記
切欠き部を下側にして載置する工程と、鋳物砂を前記鋳
枠内に投入後スクイズして固化して、製品キャビティ、
湯口キャビティおよび押し湯キャビティを形成するため
の凹みを有する砂型を前記各種の凹みの一端部を前記切
欠き部内に位置させて造型する工程と、以上の工程を繰
り返すことにより鋳枠付き砂型をもう1個造型する工程
と、前記2個の鋳枠付き砂型を型合わせして合わせ位置
に前記2個の切欠き部による開口部と、前記各種の凹み
による製品キャビティ・湯口キャビティおよび押し湯キ
ャビティと、をそれぞれ画成する工程と、型合わせされ
た2個の鋳枠付き砂型を、前記開口部が上方に来るよう
にして90度反転する工程と、を有するから、特に、従
来の枠無し鋳型にように、鋳物砂の吹込み口から見て模
型板の模型部の影になる部分が砂詰まりが悪く鋳型硬度
が全体的に均一でない問題を解消可能であるなどの効果
も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の鋳型に注湯後合わせ面で
分割したときの断面図を示す。
【図2】図1の平面図を示す。
【図3】図1のA−A断面図を示す。
【図4】図1のB−B断面図を示す。
【図5】本発明の第2実施例の鋳型に注湯後合わせ面で
分割した時の断面図を示す。
【符号の説明】
1 鋳型 鋳枠 砂型 5 切欠き部 6 開口部 7 湯口キャビティ 8 押し湯キャビティ 9 中子 11 移送用耳部 12;13;14 凹み

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2個の鋳枠付き砂型を型合わせして製品キ
    ャビティを画成しかつ型合わせした2個の鋳枠付き砂型
    を、鋳枠の一側壁が上に来るように立てた状態で注湯可
    能にした鋳型であって、一側壁に切欠きを有していて型
    合わせした時に合わせ位置に開口部を画成可能な2個の
    鋳枠と、これら2個の鋳枠のそれぞれに内蔵され型合わ
    せした時に合わせ位置に一端部が前記開口部内に位置す
    る湯口キャビティおよび押し湯キャビティを有しかつ前
    記鋳枠の一側壁が上に来るように立てたとき前記押し湯
    キャビティは前記製品キャビティの上方に位置する2個
    の砂型と、を備えたことを特徴とする鋳型。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の鋳型において、前記鋳枠
    は外面にハンドリング用耳部を有することを特徴とする
    鋳型。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の鋳型において、
    前記砂型は一端部が前記鋳枠の開口部に至る中子を有す
    ることを特徴とする鋳型。
  4. 【請求項4】2個の鋳枠付き砂型を型合わせして製品キ
    ャビティを画成しかつ型合わせした2個の鋳枠付き砂型
    を、鋳枠の一側壁が上に来るように立てた状態で注湯可
    能にした鋳型を製造する方法であって、水平状態の模型
    板上に、枠体を成しかつ一側壁に所要大きさの切欠き部
    を有する鋳枠を前記切欠き部を下側にして載置する工程
    と、鋳物砂を前記鋳枠内に投入後スクイズして固化し
    て、製品キャビティ、湯口キャビティおよび押し湯キャ
    ビティを形成するための凹みを有する砂型を前記各種の
    凹みの一端部を前記切欠き部内に位置させて造型する工
    程と、以上の工程を繰り返すことにより鋳枠付き砂型を
    もう1個造型する工程と、前記2個の鋳枠付き砂型を型
    合わせして合わせ位置に前記2個の切欠き部による開口
    部と、前記各種の凹みによる製品キャビティ・湯口キャ
    ビティおよび押し湯キャビティと、をそれぞれ画成する
    工程と、型合わせされた2個の鋳枠付き砂型を、前記開
    口部が上方に来るようにして90度反転する工程と、を
    有することを特徴する鋳型の製造方法。
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