JP2000174483A - 電子機器筐体及び不要輻射波低減方法 - Google Patents

電子機器筐体及び不要輻射波低減方法

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JP2000174483A
JP2000174483A JP10345715A JP34571598A JP2000174483A JP 2000174483 A JP2000174483 A JP 2000174483A JP 10345715 A JP10345715 A JP 10345715A JP 34571598 A JP34571598 A JP 34571598A JP 2000174483 A JP2000174483 A JP 2000174483A
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housing
sheet
electronic device
soft magnetic
electromagnetic wave
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JP10345715A
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English (en)
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Hideki Komori
秀樹 古森
Kazunori Kanda
和典 神田
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子機器筐体に開口が存在していても、低周
波から高周波までの電磁波の漏洩を確実に防止し、しか
も、電子機器の小型化及び軽薄化にも対応することがで
きる電子機器筐体及び不要輻射波低減方法を提供する。 【解決手段】 絶縁層にアモルファス軟磁性繊維を積層
してなるシートを、筐体の表面、筐体の内部、及び、筐
体から接続されるケーブル類の表面からなる群より選択
される少なくとも一部に設けてなる電子機器筐体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不要輻射波を低減
した電子機器筐体及び不要輻射波低減方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器の筐体は、一般に、軽量性及び
成形性に優れた合成樹脂、アルミニウム等の金属板又は
その複合材で構成されている。電子機器の内部回路や電
気部品には、雑音、画像の歪み等の電波障害の原因とな
る不所望電磁波を発生するものがある。特に、通信機
器、情報機器等の集積回路を搭載した電子機器等は、高
周波信号を扱うものが多く、電波障害の原因となる高周
波の漏洩が発生する可能性が高いので、これらの電子機
器を使用する機会の多い日本、アメリカ、欧州等では、
高周波の電磁波の漏洩についての規制が強化されてきて
いる。
【0003】電子機器筐体を合成樹脂で構成する場合、
合成樹脂は電磁波を良好に透過させる性質があるので、
電磁波の漏洩を防止するために、合成樹脂に電磁波を遮
蔽する性質のある金属粉等を含有させてなる電磁波遮蔽
性樹脂を使用する工夫がなされている。しかし、材料コ
ストが高くつくとともに、合成樹脂が有している成形性
等の性能が低下する。
【0004】そこで、通常の電磁波透過性合成樹脂より
なる筐体の内面に、電磁波を反射させる性質を有する金
属メッキ又は導電性塗料からなる導電性層を成形してお
くことが提案されている。また、電子機器筐体をアルミ
ニウム等の金属薄板等により成形した場合には、必ずし
も電磁波を反射させる導電性層を設ける必要はないもの
の、電磁波発生源で発生した電磁波が外部に漏れないよ
うに種々の方策が採られている。
【0005】図3は、従来提案の電磁波遮蔽構造を備え
た電子機器筐体の概略構成を示している。合成樹脂製筐
体10の内部には、導電性層20が形成されており、電
磁波発生源12で発生した電磁波は、導電性層20の内
面で反射し、筐体10を透過して外部に漏れないように
してある。電子機器筐体には、通常、通気口、内部点検
口、信号ケーブル口等の開口部14が存在している。合
成樹脂製筐体及び金属製筐体において、電磁波を反射さ
せる導電性層20が形成されている箇所では電磁波の漏
洩は生じず、電磁波は反射を繰り返す。この電磁波は、
電子機器の内部で発生する可能性が高く、電波障害の影
響が大きい0.3〜3GHz程度の周波数領域の電磁波
である。この電磁波エネルギーの大部分は、筐体に存在
するわずかな開口や隙間からも容易に透過して外部に出
てしまう。
【0006】そのうえ、合成樹脂製筐体及び金属製筐体
の内面に導電性層を形成しておくと、電磁波が導電性層
で反射を繰り返して筐体の内面全体を移動し、最終的に
は開口部から集中的に漏洩することになる。また、導電
性層が、あたかも半波長アンテナのように作用して、筐
体内部の局部発振器からの電磁波を2次放射することに
もつながる。従って、導電性層の形成はそれほど有効な
電磁波遮蔽手段とはならず、その改善が要望されてい
る。
【0007】そこで、導電性層の代わりに、磁気的損失
を呈する磁性体粉末を含んだ膜を筐体の内面に形成する
ことが提案されている。しかしながら、このような膜を
筐体の内面全体に形成させると、不要輻射波強度が増す
場合があった。
【0008】特開平6−97691号公報には、少なく
とも一面を導電性にした板状体により筐体及び基板を構
成するとともに、板状体の導電性面に磁気的損失を呈す
るフェライト粉末を含んだ薄膜を被着することにより電
磁波の不所望漏洩を防止した電磁波遮蔽構造体が開示さ
れている。しかしながら、溶剤を含む塗料を塗布して薄
膜を形成しているので、薄膜が不要な箇所には予めマス
キングを施す必要があった。また、電子回路を組み込ん
だ基板を収めて筐体を組み上げた場合、3次元的な形状
となるので、溶剤を含む塗料では充分に被着できないう
え、膜厚のコントロールが難しく、効果を再現性よく得
ることができない問題があった。また、塗料の被着場所
の特定が必ずしも充分に行われないために、被着処理を
した後でも、不所望電磁波の漏洩が見られる場合があっ
た。
【0009】EP−A−0398672号公報では、3
75μm〜37.5mmの厚さを有する不要輻射波を抑
制する磁性シートが開示されている。しかし、これらの
シートを筐体内部表面に設置する場合、シートの厚みが
375μm〜37.5mmであるため、適用する電子機
器の小型化、軽薄化により省スペース化が進むとともに
装着が難しくなってきている。
【0010】上述のほかに、ノイズフィルターやフェラ
イトビーズを電子回路自体に組み込む方法、導電性シー
ルドに磁性材料を加えて隙間からの漏洩を防止する方法
等が採られているが、電子機器筐体の組み立てを著しく
難しくしたり、その効果の再現性が不充分であったり、
筐体の軽薄短小化に充分に対応できない等の問題点があ
った。また、このようなシートを設置する場合には、0
T等の折り曲げを行っても割れないシートであることが
必要とされる。
【0011】本発明者らは、バインダー樹脂及び磁気的
損失項を有する磁性体粉末からなる磁性体含有樹脂組成
物からなるシートを、筐体の開口部に接する部分又はそ
の近傍に設けることにより、不要輻射波を低減する方法
を提案した。この技術では、筐体の内部の一部分にシー
トを貼りつけるだけで、高周波の不要輻射波の漏洩を効
果的に防止することができる。しかしながら、低周波の
不要輻射波の漏洩は充分に防止できない場合があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、電子機器筐体に開口が存在していても、低周波から
高周波までの電磁波の漏洩を確実に防止し、しかも、電
子機器の小型化及び軽薄化にも対応することができる電
子機器筐体及び不要輻射波低減方法を提供することを目
的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、絶縁層にアモ
ルファス軟磁性繊維を積層してなるシートを、筐体の表
面、筐体の内部、及び、筐体から接続されるケーブル類
の表面からなる群より選択される少なくとも一部に設け
てなる電子機器筐体である。また、本発明は、上記電子
機器筐体を使用して、電子機器筐体の開口部から発生す
る電磁波の不所望漏洩を防止する不要輻射波低減方法で
ある。以下に本発明を詳述する。
【0014】本発明の電子機器筐体は、絶縁層にアモル
ファス軟磁性繊維を積層してなるシートを、筐体の表
面、筐体の内部、及び、筐体から接続されるケーブル類
の表面のうち少なくとも一部に設けてなる。本明細書
中、「電子機器筐体」とは、集積回路等を内蔵する筐体
そのもののみではなく、上記筐体に内蔵される集積回
路、回路基板等から接続されて筐体外部の装置に接続す
るためのケーブル類等のように、筐体に直接接続される
付属品をも意味する。
【0015】本発明で使用されるシートは、絶縁層にア
モルファス軟磁性繊維を積層してなる。上記絶縁層とし
ては特に限定されず、例えば、絶縁フィルム、粘着材等
を挙げることができる。上記絶縁フィルムの材質として
は特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチ
レン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルアルコー
ル、ポリブタジエン、ポリブテン、シリコーン樹脂;可
塑化ポリ塩化ビニル、ポリウレタン系可塑化ポリ塩化ビ
ニル、可塑化(酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体)等の
塩化ビニル系樹脂;ポリエステル、アクリル等をベース
ポリマーとするもの等を挙げることができる。
【0016】上記粘着材としては特に限定されず、粘着
層のみであってもよく、支持体の両面に粘着層を有する
ものであってもよい。上記粘着層としては特に限定され
ず、例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック
共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブテン、ポ
リイソプレン、ブチルゴム、天然ゴム等のゴム系粘着
剤;(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プ
ロピル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のア
クリル系粘着剤;ワックス系粘着剤、シリコーン系粘着
剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤等を挙げるこ
とができる。上記支持体としては特に限定されず、例え
ば、上述した絶縁フィルムの材質として例示したもの等
を挙げることができる。
【0017】上記粘着材を用いる場合、上記粘着材の片
面の粘着層は、剥離紙により保護されていることが好ま
しい。片面が剥離紙により保護された粘着材を用いるこ
とによって、シート製造時には剥離紙により一方の粘着
面を保護することができる。また、得られるシートを電
子機器筐体や回路基板等に設置する際には、接着剤等を
用いることなく、粘着層から剥離紙を剥がすだけでシー
トを接着することが可能である。
【0018】上記絶縁層としては、アモルファス軟磁性
繊維の積層を容易に行うことができるので、少なくとも
片面が接着性を有するものであることが好ましい。
【0019】上記アモルファス軟磁性繊維は、アモルフ
ァス状の合金を繊維状にしたものであり、従来使用され
ている磁性材料と比較して、優れた軟磁気特性を有する
ものである。上記アモルファス軟磁性繊維は、従来のワ
イヤー素材になかった高い強度、耐食性、加工特性等の
性能をも有しており、さまざまな用途での使用が期待さ
れている磁性材料の一つである。
【0020】上記アモルファス軟磁性繊維としては特に
限定されず、例えば、コバルト、鉄、シリコン及びボロ
ンを基本組成とするもの、鉄、シリコン及びボロンを基
本組成とするもの等を挙げることができる。上記アモル
ファス軟磁性繊維は、上記基本組成に、必要に応じて、
他の元素が添加されていてもよい。なかでも、高い透磁
率を有しており、極細線において透磁率の周波数特性が
優れているので、コバルト、鉄、シリコン及びボロンを
基本組成とするものが好ましい。
【0021】上記アモルファス軟磁性繊維は、例えば、
鉄、シリコン、ボロン、及び、必要に応じて、コバルト
等のその他の金属を溶融して溶融合金とし、該溶融合金
を回転ドラム中の冷却層に噴出させて超急冷固化させる
こと等により得ることができる。上記アモルファス軟磁
性繊維としては、市販されているものもあり、例えば、
センシィ(ユニチカ社製)、ボルファ(ユニチカ社製)
等を挙げることができる。
【0022】上記アモルファス軟磁性繊維は、線径が、
1〜200μmであることが好ましい。1μm未満であ
ると、取り扱いが困難となり、200μmを超えると、
シート化した際の加工性が低下するので好ましくない。
【0023】上記絶縁層にアモルファス軟磁性繊維を積
層してシート化する方法としては特に限定されず、例え
ば、片面接着性の絶縁層の粘着面に、アモルファス軟磁
性繊維を配置する方法等を挙げることができる。上記ア
モルファス軟磁性繊維の配置の様式としては特に限定さ
れず、平行配置、クロス状配置等を挙げることができ
る。上記アモルファス軟磁性繊維からなる層の厚みを均
一にするためは、アモルファス軟磁性繊維を平行に並べ
て配置することが好ましい。
【0024】上記絶縁層として接着性を有するものを使
用した場合には、上記絶縁層の粘着面のアモルファス軟
磁性繊維が接していない部分を保護するために、上記ア
モルファス軟磁性繊維からなる層の上に、更に剥離紙を
設けることが好ましい。また、上記剥離紙の代わりに、
粘着材を設けてもよい。
【0025】上記アモルファス軟磁性繊維を含有してな
るシートは、はさみ等により容易に切断することができ
るので、シートを製造する際に、予め設置箇所に適した
形状に加工する必要がなく、使用時に任意の形状、大き
さに切断して使用することができる。
【0026】上記シートは、厚みが0.01〜5mmで
あることが好ましい。0.01mm未満であると、不要
電磁波の漏洩を充分に防止することができず、5mmを
超えると、不要電磁波漏洩に対する効果には問題はない
が、その厚さによりシートを設置する機器や設置場所の
制限が増えて、使用範囲が限定され、筐体形状に合わせ
た設置が難しくなり、また、シート製造時の均一性が損
なわれたりするので、好ましくない。より好ましくは、
0.05〜1mmである。
【0027】上記シートは、柔軟性に優れているので、
設置箇所が平面であっても、曲面であっても設置するこ
とができる。また、ケーブルやコード等のように設置面
が非常に小さい場合には、巻き付けることも可能であ
る。
【0028】本発明においては、上記絶縁層に上記アモ
ルファス軟磁性繊維を積層してなるシートを、筐体の少
なくとも一部に設けてなる。上記筐体は、通常、合成樹
脂、木質材料、無機質材料等の電磁波透過性材料により
形成され、その内部表面には、導電性層を備えているこ
とが好ましい。上記合成樹脂としては、通常使用されて
いる成形用樹脂を用いることができる。
【0029】上記筐体の内部表面に形成させる導電性層
としては、従来提案の電磁波遮蔽構造体においても使用
されていた通常の電磁波反射材料が用いられ、筐体の内
部表面に対する導電性層形成の手法も、通常の手法を採
用することができる。例えば、銅、アルミニウム等の導
電性金属を用いて筐体の内部表面にメッキを施し、これ
らの金属を蒸着等の手法により薄膜に成形し、金属箔に
して貼りつける方法、塗料に金属粉を混合して得られる
各種の導電性塗料を塗布する方法、導電性樹脂からなる
フィルムを接着剤や粘着剤を用いて貼りつける方法等を
挙げることができる。上記導電性層の厚さは、筐体内で
発生する電磁波の種類や量、電磁波吸収層との組み合わ
せによっても異なるが、通常、40〜60μmが好まし
い。上記筐体の形状や構造は、電子機器の全体構造に適
合した任意の形状、構造を採用することができる。ま
た、電子機器の機能上、通常、筐体の少なくとも一部に
スリットや孔、切り欠き等の開口が存在している。
【0030】上記筐体の開口とは、電子機器が動作のた
めに必要な信号、電流、電力及び他の光学的、物理的エ
ネルギーを入出力するために設けられているものであ
り、カソード線、液晶、LED等による画像情報を表示
する表示装置;操作用表示装置;リモコン用の受信部装
置;信号、電力、光量、電波等の入出力のための末端、
ターミナル装置;バッテリー電源装置;スピーカー装
置;携帯電話等の送音口、出音口;CD、CD−RO
M、フロッピー、カセットテープ、ディスク、ミニディ
スク等のドライブのように筐体内部に接してなる装置;
筐体内部の冷却を目的として設置してなる開口部;筐体
の合わせ目、継ぎ目等の筐体の成形に起因した部分等の
筐体内と筐体外に開連した部分である。
【0031】上記シートの設置箇所としては、特に限定
されるものではなく、筐体の表面、筐体の内部、及び、
筐体から接続されるケーブル類の表面からなる群より選
択される少なくとも一部であればよい。具体的には、例
えば、筐体の内部表面、筐体の外部表面、筐体の開口部
に接する部分又はその近傍、筐体に配設された回路基板
の間、筐体に搭載される集積回路の上面、筐体から接続
されるケーブル類の表面等を挙げることができる。上記
シートは、上述した設置箇所のうち一カ所に設置しても
よく、複数箇所に設置してもよい。電磁波が漏洩する箇
所は、筐体の形状や大きさその他の要因によって異なる
ので、各筐体ごとに電磁波が漏洩している部位に対応し
て、上記シートを必要な箇所に設置することが好まし
い。なお、上記シートを筐体の内部表面全体に設置する
と、設置しない場合よりも不要輻射波強度が増す場合が
あるので、特定の箇所に設置するのがよい。
【0032】上記シートの設置箇所の選択方法として
は、例えば、以下の方法を挙げることができる。まず、
筐体に任意の測定の基準点を設け、その基準点から順次
測定場所を変更して、電磁波が漏洩している箇所を確認
する。電磁波の測定は、ループアンテナやノイズスキャ
ナ等を用いて行う。電磁波の漏洩箇所が特定されると、
その箇所に応じて上記シートを設置する。例えば、電磁
波の不所望漏洩の原因が筐体自体にある場合、開口部や
隙間からの漏洩、筐体の大きさによる共振現象が考えら
れるが、前者の場合には、開口部周辺に、また、後者の
場合には、筐体の内部表面の一部に上記シートを設置す
ることによって、磁気損失のほか、漏洩や共振現象に対
する効果を得ることができる。
【0033】また、電磁波の不所望漏洩の原因が回路基
板にある場合、部品からの漏洩、基板のプリント配線か
らの漏洩、配線からの漏洩等が考えられるが、それぞれ
部品、回路基板、配線に上記シートを設置することによ
って、磁気損失、遮蔽効果を得ることができる。電磁波
の不所望漏洩の原因が筐体外部のケーブル類にある場合
には、ケーブルや電源コードに上記シートを巻き付けた
り、貼りつけたりすることによって、磁気損失の効果を
得ることができる。
【0034】本発明において、上記シートの設置箇所と
しては、電磁波の不所望漏洩を効率よく防止するため
に、筐体の開口部に接する部分又はその近傍に設置する
ことが好ましい。一般に、不要輻射波は、筐体の開口部
からの漏洩が大きいため、上記シートを筐体の開口部に
接する部分又はその近傍に設置することによって開口部
周辺のシートがアンテナとなり、発生する電波の空間放
射パターンを変えることができると考えられる。上記シ
ートを筐体の開口部に接する部分又はその近傍に設置す
る場合には、不要輻射波が発生する筐体の内部表面の導
電性層の上に設置されることが好ましい。
【0035】また、上記シートを筐体の内部やケーブル
類の特定の箇所に設置すると、シートの設置面積が非常
に小さい場合であっても、低周波領域において、不要電
磁波漏洩の防止効果が劇的に現れることがある。従っ
て、その箇所を見いだすことによって、上記シートの使
用量を減らすことができ、電子機器の小型化、軽薄化、
省スペース化に対応することができる。
【0036】上記シートの設置方法としては特に限定さ
れず、例えば、シートを筐体外部表面や、導電性処理を
施してなる筐体内部表面に対して、その上に両面テー
プ、接着剤等によって貼りつける方法;高周波ミシン、
熱プレス等によって、シートを筐体と一体化させる方
法;シートを筐体に合わせて、その上からテープ、その
他のフィルム、パネル、治具等によって固定する方法等
を挙げることができる。上記シートが粘着層を備えたも
のである場合には、粘着面を筐体に貼りつけることによ
っても、設置することができる。また、設置個所がケー
ブル類である場合や筐体内部であっても直接回路基板か
ら繋がれているコード類である場合には、上記シートを
巻き付けてもよい。
【0037】本発明の電子機器筐体は、自動車電話機、
携帯電話機、PHS電話機、無線LAN用端末、アダプ
タ、POS端末等の通信機器;パーソナルコンピュー
タ、ワードプロセッサ、DVD等のプレーヤー;ゲーム
機、小型ラジオ、テレビ等の家電機器;DCC;カセッ
トレコーダー;その他クロック周波数を発生させて用い
る機器等に使用することができる。
【0038】本発明の電子機器筐体は、不要な電磁波の
漏洩を防止するために、筐体の表面や筐体の内部、ケー
ブル類等に設置するシートとして、優れた軟磁性特性を
示すアモルファス軟磁性繊維を含有してなるシートを使
用しているので、不要輻射波を効果的に低減することが
できる。このように、上記アモルファス軟磁性繊維層及
び絶縁層からなるシートを、電子機器筐体の少なくとも
一部に設けてなる電子機器筐体を使用して、電子機器筐
体の不要輻射波を低減する方法もまた、本発明の一つで
ある。
【0039】上記アモルファス軟磁性繊維層を含有して
なるシートを使用することにより電磁波の不所望漏洩が
抑制される要因としては、上記シートによる遮蔽効果;
上記シートがアンテナとなって、筐体内やケーブル類か
ら発生する電波の空間放射パターンを変えることによ
り、開口部からの漏れを防止する効果;磁気的損失効果
等が考えられる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照しながら、本発
明の電子機器筐体を詳細に説明するが、本発明はこれら
に限定されるものではない。
【0041】本発明の電子機器筐体の実施形態を図1に
示す。(a)は、アモルファス軟磁性繊維層及び絶縁層
からなるシート30が、筐体10内部の開口部14に接
する部分に設けられている。このとき、シート30は、
回路基板11から発生する電磁波や、筐体10内で共振
により発生する電磁波のアンテナとなり、電磁波の空間
放射パターンを変えることによって、電磁波の不所望漏
洩を防止する。
【0042】(b)は、シート30が、筐体10の内部
表面に設けられている。(c)は、シート30が、回路
基板11の間に平行して設けられている。シート30と
回路基板11との間隔は、0.2mm以上である。
(d)は、シート30が、筐体10内部に搭載される集
積回路13の上面に設けられている。(b)〜(d)の
場合においては、シート30により電磁波が遮蔽され、
電磁波の不所望漏洩が防止される。
【0043】シート30は、(a)〜(d)のように一
部のみに設置されてもよく、(a)〜(d)を組み合わ
せて複数箇所設置されてもよい。その他、筐体10から
電磁波が漏洩する場所に応じて、適宜設置されてもよ
い。
【0044】シート30を筐体10から接続されるケー
ブル類に設置した実施形態を図2に示す。(e)は、丸
ケーブルの場合の設置方法であり、ケーブル41にシー
ト30を巻き付けたものである。(f)は、平ケーブル
の場合の設置方法であり、ケーブル42の平面にシート
30を設置したものである。
【0045】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0046】実施例1 Co、Fe、Si及びBからなる溶融合金を回転ドラム
中の冷却層に噴出させ、超急冷固化させることにより得
られるアモルファス軟磁性繊維(1)(線径φ120μ
m)を得た。得られたアモルファス軟磁性繊維(1)
を、片面接着性のポリエステルフィルム(厚さ50μ
m)の粘着面上に1mm当たり3本の間隔で平行に配置
し、更にアモルファス軟磁性繊維(1)を覆うように両
面接着材(基材無し、厚さ50μm)を貼りつけた。こ
のようにして得られたシートのインピーダンス〔Z=R
+Xj、Rは、レジスタンス(実数部)であり、Xは、
リアクタンス(虚数部)である。jは、虚数単位であ
る。〕を下記に従って測定し、電磁波漏洩抑制能力の指
針であるインピーダンスのtanδ値(tanδ=R/
X)を得た。結果を表1に示した。
【0047】インピーダンスの測定 ヒューレットパッカード社製RFインピーダンス/マテ
リアルアナライザ(HP4291A)及びテストフィク
スチャー(HP16192A)を用いて測定した。銅板
(厚さ0.3mm、大きさ5mm×18mm)を基準チ
ップとして、両短辺(5mm)をテストフィクスチャー
で挟み込み、測定系のキャリブレーションを行った。そ
の後、測定サンプル(大きさ6mm×16mm)を基準
チップの両面に貼りつけ、インピーダンス(Z=R+X
j)の測定を行った。
【0048】比較例1 Co−Fe−Si−B系アモルファス合金偏平粒子(平
均厚さ5μm、偏平粒子径平均50μm)を塩素化ポリ
エチレン中に60重量%を占める配合となるように、ロ
ーラーミキサーにて混練し、厚さ250μmのシート状
に押し出し成型した。このシートの片面に両面接着材
(基材無し、厚さ50μm)を貼りつけ、実施例1と同
様にしてインピーダンスを測定し、インピーダンスのt
anδ値を得た。結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】実施例2(シートを筐体に設置した実施
例) 実施例1で得られたシートを1cm×15cmの大きさ
に切断し、電子機器筐体の開口部近傍に貼りつけた。簡
易電波暗室にて3m法に準拠した方法により、不要輻射
波強度を測定したところ、288MHzで28dBμV
/mであった。また、865MHzで26dBμV/m
であった。
【0051】比較例2 比較例1で得られたシートを用いたこと以外は、実施例
3と同様にして、電子機器筐体の開口部近傍に貼りつけ
た。実施例3と同様にして簡易電波暗室にて3m法に準
拠した方法により、不要輻射波強度を測定したところ、
288MHzで34dBμV/mであった。また、86
5MHzで33dBμV/mであった。
【0052】以上のことから、アモルファス軟磁性繊維
を用いて成形したシートは、アモルファス合金の粒子を
用いて成型したシートと比較して、100MHzから8
00MHzの電磁波に対して吸収体としての性能が高
く、アモルファス軟磁性繊維を用いて成形したシートを
筐体に設置した場合には、電磁波の不所望漏洩を効果的
に防止することができることが判った。
【0053】
【発明の効果】本発明の電子機器筐体は、少なくとも一
部に絶縁層にアモルファス軟磁性繊維を積層してなるシ
ートを設置しているので、筐体内部で発生する電磁波の
不所望漏洩を効果的に防止することができる。また、本
発明においては、上記シートを必要な箇所に必要量のみ
設置することにより不要輻射波を防止することができる
ので、電子機器の小型化、軽薄化、省スペース化に充分
に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子機器筐体の筐体部の概略構成を示
す断面図である。
【図2】本発明の電子機器筐体のケーブル部を示す概略
図である。
【図3】従来の電子機器筐体の例を模式的に示す断面図
である。
【符号の説明】
10 筐体 11 回路基板 12 電磁波発生源 13 集積回路 14 開口部 20 導電性層 30 シート 41 丸ケーブル 42 平ケーブル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E040 AA11 AA19 AC01 AC05 BD03 CA13 5E041 AA02 AA19 AC01 AC05 BD03 CA06 5E321 AA01 BB21 BB41 BB44 BB53 BB55 CC16 GG05 GG07 GG09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁層にアモルファス軟磁性繊維を積層
    してなるシートを、筐体の表面、筐体の内部、及び、筐
    体から接続されるケーブル類の表面からなる群より選択
    される少なくとも一部に設けてなることを特徴とする電
    子機器筐体。
  2. 【請求項2】 絶縁層にアモルファス軟磁性繊維を積層
    してなるシートを設ける箇所が、筐体の開口部に接する
    部分又はその近傍である請求項1記載の電子機器筐体。
  3. 【請求項3】 アモルファス軟磁性繊維は、少なくとも
    鉄、シリコン及びボロンからなるものである請求項1又
    は2記載の電子機器筐体。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の電子機器筐体
    を使用して、電子機器筐体の開口部から発生する電磁波
    の不所望漏洩を防止することを特徴とする不要輻射波低
    減方法。
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