JP2000170251A - 高質ゴムを利用した木造住宅用免震接合金物 - Google Patents

高質ゴムを利用した木造住宅用免震接合金物

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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】互いに接合される二つの被接合物A、Bの
うち、一方の被接合物Aの幅方向に雌ねじ部1aを有す
る鉄鋼部1’と高質ゴム1”で形成される。他方の被接
合物Bの下端から縦方向にこれを貫通し、さらに、前記
被接合物A内を経て前記受具1に達するごとく引張棒2
を嵌入し、この引張棒2の先端に形成されている雄ねじ
部2aを前記受具1の雌ねじ部1aに螺合させる。ま
た、前記引張棒2の他端を前記他方の被接合物Bの下端
に係合させる。 【効果】二つの被接合物A、Bをそれらの中心で締め付
けて固定することができ、両者をきわめて簡単、かつ、
強固に接合・固定することができる。また、木材の乾燥
によって生じるゆるみを受具1を形成する高質ゴム部
1”と引張棒2の片端に取付けられる皿ワッシャの高質
ゴム部5のゴムの性質により埋められるため引張棒2を
締め付ければ締め付けるほど、二つの被接合物A、Bは
一層強固に締め付けられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、建築構造
物において、梁と桁、土台と大引、通し柱と二階梁、土
台と柱、桁と柱等、お互いに接合される二つの被接合物
を接合・固定する方法、及び、この場合に用いる接合固
定具に関し、その性能が免震性能であるとするものであ
る。
【0002】
【従来の技術】例えば、梁と桁、土台と大引、通し柱と
二階梁、土台と柱、桁と柱など、建築構造物において、
お互いに接合される二つの被接合物を接合・固定するに
当っては、種々の接合・固定具が用いられている。土台
A’と柱B’とを接合・固定する場合、あるいは、桁
A’と柱B’とを接合・固定する場合を例に挙げて説明
すると、従来、図12において6で示すようなV型金具
を用いたり、図13において7で示すようなT型金具を
用いたり、図14において8で示すような両引ボルトを
用いたり、あるいは、図15において9で示すような羽
子板ボルトを用いて土台A’と柱B’とを、あるいは、
桁A’と柱B’とを接合・固定していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図12及び図13に示
す従来の接合・固定具は、いずれも被接合物である土台
A’と柱B’、桁A’と柱B’の側面から締めつける様
になるため、結果的に被接合物が接合・固定具をつけて
いる方へ引張られることになり、建築構造物全体にひす
みが生じやすい欠点がある。一方、図15に示す羽子板
ボルト9は直角方向に位置している二本のボルト9’、
9’をてこの様な原理で引張るものであるので、両ボル
ト9’、9’それぞれの引張力以下の固定力しか発揮す
ることが出来ない。また、図15に示す上記の羽子板ボ
ルト9は、引張られるボルトが細ければ細いほどその力
は弱くなるだけでなく、二つの被接合物に生じたひずみ
によりボルト9’が折れてしまい、二つの被接合物を固
定する機能が失われてしまう。また、被接合物A’、
B’を図15の様に羽子板ボルト9、9’を取り付け、
接合・固定していても、木材の大きな特徴である乾燥に
より被接合物A’、B’にすき間が生じ、接合・固定が
ゆるみ、二つの被接合物を固定する機能が失われてしま
う。本発明は、従来の接合・固定具を用いて二つの被接
合物を接合・固定した場合に生じる上記の欠点を解消し
得る接合・固定方法を提供すると共に、上述したような
欠点が生じない接合・固定具を提供する事を目的とした
ものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明における接合・固
定方法にあっては、お互いに接合される二つの被接合物
A、Bのうち、一方の被接合物Aに雌ねじ部1aを有す
る鉄鋼部1’と高質ゴム部1”の合体した受具1を埋設
し、他方の被接合物Bの外方からこれを貫通して前記受
具1に達するごとく引張棒2を嵌入し、この引張棒2の
先端に形成されている雄ねじ部2aを、前記受具1の雌
ねじ部1aに螺合させるとともに、前記引張棒2の他端
を前記他方の被接合物Bの端部(図2、図3において
は、下端、図4〜図11においては、左端に係合させ
る。このような接合・固定方法は、二つの被接合物A、
Bをそれらの中心で締めつけて固定することが出来るか
ら、両者をきわめて簡単、かつ、強固に接合・固定する
ことが出来る。また、被接合部Aに有する雌ねじ部1a
は、鉄鋼部1’と高質ゴム部1”で形成されているため
高質ゴム部1”のゴムの元にもどる性質のため、被接合
部AとBを前記受具により締めつけると、木材の乾燥の
ために被接合部AとBにゆるみが生じても、被接合部A
に有する雌ねじ部1aの高質ゴム部1”の性質により、
被接合部AとBに生じるゆるみが解消され、二つの被接
合物AとBをきわめて簡単、かつ、強固に固定する事が
出来る。また、引張棒2を締め付ければ締め付けるほど
二つの被接合物AとBをお互いに引き付ける事が出来る
ため、二つの被接合物AとBを一層強固に接合・固定す
る事ができる。
【0005】また、本発明における接合・固定具はお互
いに接合される二つの被接合物AとBのうち、一方の被
接合物Aに埋設することが出来るものであって、雌ねじ
部1aを有する鉄鋼部1’と高質ゴム部1”の合体した
受具1と他方の被接合物Bの端部に一端を係合させるこ
とが出来るものであって、該被接合物Bの外方からこれ
を貫通して前記受具1に達してその雌ねじ部1aに螺合
させ得る雄ねじ部2aを有する引張棒2と被接合部Bの
端部に埋め込み、引張棒2とを係合させることが出来る
3、4、5の皿ワッシャー部からなることを特徴とする
ものである。このような接合・固定具は種類の接合・固
定具で種々の接合形態となる二つの被接合物A、Bをき
わめて簡単、かつ強固に接合・固定する事が出来る。
【0006】
【発明の実施の形態】建築構造物において互いに接合さ
れる二つの被接合物としては、例えば、梁と桁、土台と
大引、通し柱と二階梁、土台と柱など二つの被接合物
A、Bはお互いに直角になるよう接合させる必要があ
り、その精度が要求される。この様な場合、本発明にお
ける接合・固定方法を用いると、また、本発明における
接合・固定具を用いると二つの被接合物AとBとをお互
いに直角になるよう接合・固定したり、一方の被接合物
Aを他方の被接合物Bに対し水平に接合・固定し、被接
合部AとBはより強固に接合・固定することが出来る。
【0007】土台と柱、あるいは桁と柱とを接合・固定
する場合に本発明における接合・固定方法を応用した一
例を図2、図3に示す。また、梁と桁とを、土台と大引
とを接合・固定する場合に本発明における接合・固定方
法を応用した一例を図4、図5に示す。以下、本発明に
おける接合・固定方法の実施の形態を各図に基づいて詳
細に説明する。
【0008】図2、図3において、Bは土台もしくは桁
となる被接合物であり、この被接合物Bに柱である被接
合物Aの接合・固定するに当ってはお互いに接合される
二つの被接合物A、Bのうち、一方の被接合物Aに雌ね
じ1aを有する鉄鋼部1’と高質ゴム部1”の合体した
受具1を水平状に埋設し他方の被接合物Bの下端から縦
方向にこれを貫通し、さらに前記被接合物A内を経て、
前記受具1に達するごとく引張棒2を嵌入し、この引張
棒2の先端に形成されている雄ねじ部2aを前記受具1
雌ねじ部1aに螺合させるとともに前記引張棒2の他端
を前記他方の被接合物Bの下端に係合させる。この様に
すると、二つの被接合物A、Bをそれらの中心で締め付
けて固定することが出来るから両者をきわめて簡単、か
つ、強固に接合・固定する事ができる。そして、引張棒
2を締め付ければ締め付けるほどに二つの被接合物A、
Bをお互いに引き付けることが出来るから両者を一層強
固に接合・固定する事ができる。
【0009】図4は土台と大引とを、図8は梁と桁とを
接合・固定する場合に、本発明における接合・固定方法
を応用した一例を示すものである。図4、図8において
Bは土台もしくは梁であり、この被接合物Bに大引、も
しくは桁である被接合物Aを接合・固定するに当っては
お互いに接合される二つの被接合物A、Bのうち、一方
の被接合物Aの幅方向に雌ねじ部1aを有する鉄鋼部
1’と高質ゴム1”の合体した受具1を水平状に埋設
し、他方の被接合物Bの外端から横方向にこれを貫通
し、さらに前記被接合物Aを経て、前記受具1に達する
ごとく引張棒2を嵌入し、この引張棒の先端に形成され
ている雄ねじ部2aを図4に示す場合と同じように前記
受具1の雌ねじ部1aに螺合させるとともに引張棒2の
他端を他方の被接合物Bの下端に係合させる。この様に
すると二つの被接合物A,Bをそれらの中心で締め付け
て固定することが出来るから両者をきわめて簡単、かつ
強固に接合・固定する事が出来る。そして引張棒2を締
め付ければ締め付けるほどに二つの被接合物A、Bをお
互いに引き付ける事が出来るから、両者を一層強固に接
合・固定する事ができる。
【0010】本発明における接合・固定方法は、図2〜
図11に示す場合の他、通し柱と二階梁など図示しない
二つの被接合物を接合・固定する場合にも応用すること
ができる。そして、図2〜図11に示す場合を含めてこ
れらの場合には、二つの被接合物A、Bの切り口がいず
れも直角になっている限り、引張棒2を締め付けるだけ
で二つの被接合物A、Bを完全な直角状態に接合・固定
することができ、建築構造物の精度の面でも何ら問題は
ない。
【0011】次に、二つの被接合物を接合・固定する場
合に用いられる接合・固定具の実施の形態を詳細に説明
する。図1はその分解斜視図である。図に示すように、
二つの被接合物を接合・固定する場合に用いられる接合
・固定具は、互いに接合される二つの被接合物A、Bの
うち、一方の被接合物Aに埋設することができる受具1
と、他方の被接合物Bの端部に一端を係合させることが
できる引張棒2とからなっている。受具1は、鉄鋼部
1’と高質ゴム1”からなり、雌ねじ部が引張棒2には
該雌ねじ部1aに螺合させ得る雄ねじ部2aが形成され
ている。図1に示す受具1は円柱状の物であり、その長
手方向の中央部分に雌ねじ部1aが形成されている。
【0012】なお、被接合物Aの幅方向に受具1を埋設
するに当っては、被接合物Aの幅方向に受具1を差し込
み得る孔を単に形成すればよい。また、被接合物Bの外
端から横方向にこれを貫通し、さらに、前記被接合物A
を経て前記受具1に達するごとく引張棒2を嵌入するに
当っては、被接合物Bの外端から横方向にこれを貫通
し、さらに、前記被接合物A内を経て前記受具1に達す
る孔を単に形成すればよい。このような孔を被接合物A
及びBに単に形成するだけで、受具1を被接合物Aの幅
方向に簡単に埋設することができ、また、被接合物Bの
外端から横方向にこれを貫通し、さらに、前記被接合物
A内を経て前記受具1に達するごとく引張棒2を嵌入し
て受具1に螺合させることができる。そして、被接合物
Aに形成孔に受具1を埋設し、また、被接合物Bの外端
から横方向にこれを貫通し、さらに、前記被接合物A内
を経て前記受具1に達するごとく形成された孔に引張棒
2を嵌入し、その先端部の雄ねじ部2aを前記受具1の
雌ねじ部1aに螺合させると、二つの被接合物A、Bを
それらの中心で締め付けて固定することができ、両者を
きわめて簡単、かつ、強固に接合・固定することができ
る。一方、引張棒2を締め付ければ締め付けるほど二つ
の被接合物A、Bを互いに引き付けることができるか
ら、二つの被接合物A、Bを一層強固に接合・固定する
ことができる。
【0013】引張棒2の一端を他方の被接合物Bの端部
に係合させるための手段として、例えば、図1に示すよ
うに、引張棒2をボルト状のものとし、その頭2bとワ
ッシャ、鉄鋼部3、4と高質ゴム5を利用する。なお、
これらは上述したように引張棒2の一端を被接合物Bの
端部に係合させる手段である。ボルトの頭2bやワッシ
ャ3、4、5が被接合物Bの端部から飛び出ないよう被
接合物Bの端部に凹部5を形成しておきこの凹部5内に
ボルトの頭2bやワッシャ3、4、5を位置させるよう
にするのがよい。
【0014】なお、図4、図5に示すように、また、図
8、図9にも示したように、二つの被接合物A、Bを接
合・固定するに当り、いわゆる蟻溝嵌合方式を併用する
と、二つの被接合物A、Bの接合・固定強度がさらに増
すので、より有利である。
【0015】
【発明の効果】本発明による接合・固定方法により、梁
と桁、土台と大引、通し柱と二階梁、土台と柱、桁と柱
など二つの被接合物A、Bを接合・固定した場合には、
二つの被接合物A、Bをそれらの中心で締め付けて固定
することができるから、両者をきわめて簡単、かつ、強
固に接合・固定することができるという効果がある。ま
た、引張棒2を締め付ければ締め付けるほど二つの被接
合物A、Bを互いに引き付けることができる。又、図1
にある受具1を形成している鉄鋼と高質ゴム、引張棒2
と被接合物Bの端部に係合させる鉄鋼3、鉄鋼4、高質
ゴム5により二つの被接合物A、Bを一層強固に接合・
固定する事ができ、木材の乾燥によって生じる被接合物
A、Bのゆるみを解消出来る効果がある。
【0016】また、本発明による接合・固定具は、一種
類の接合・固定具で、梁と桁、土台と大引、通し柱と二
階梁、土台と柱、桁と柱など種々の接合形態となる二つ
の被接合物A、Bをきわめて簡単、かつ、強固に接合・
固定することができ、被接合物A、Bに生じるゆるみを
解消する効果がある。また、引張棒2を締め付ければ締
め付けるほど二つの被接合物A、Bを互いに引き付ける
ことが出来るから、二つの被接合物A、Bを一層強固に
接合・固定することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による接合・固定具の一例を示す分解斜
視図である。
【図2】図1に示す接合・固定具を使用して、土台もし
くは桁となる被接合物に柱である被接合物を接合・固定
した状態を示す斜視図である。
【図3】図2の部分拡大断面図である。
【図4】図1に示す接合・固定具を使用して土台と土台
とを、土台と大引とを、梁と桁とを、あるいは、T字型
仕口を接合・固定した状態を示す斜視図である。
【図5】図4の部分拡大断面図である。
【図6】図1に示す接合・固定具を使用して、柱と胴差
し材の接合・固定した状態を示す二方向の斜視図であ
る。
【図7】図6の部分拡大縦断面図と、横断面図である。
【図8】図1に示す接合・固定具を使用して、桁と桁と
の接合・固定した状態を示す斜視図である。
【図9】図1に示す接合・固定具を使用して、桁と桁と
を接合・固定した平面図である。
【図10】図1に示す接合・固定具を使用して、桁と火
打との接合固定した状態を示す斜視図である。
【図11】図1に示す接合・固定具を使用して、桁と火
打との接合・固定した状態を示す平面図である。
【図12】従来から、存在するV型金具を使用して、土
台もしくは桁となる被接合物に柱である被接合物を接合
・固定した状態を示す斜視図である。
【図13】従来から存在するT型金具を使用して、土台
もしくは桁となる被接合物に柱である被接合物を接合・
固定した状態を示す斜視図である。
【図14】従来から存在する両引きボルトを使用して、
土台もしくは桁となる被接合物に柱である被接合物を接
合・固定した状態を示す斜視図である。
【図15】従来から存在する羽子板ボルトを使用して、
土台もしくは桁となる被接合物に柱である被接合物を接
合・固定した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 受具部分 1’ 受具鉄鋼 1” 受具高質ゴム 1a ナットのネジ部分 2 引張棒 2a 引張棒ねじの部分 2b 引張棒の頭 3 鉄鋼製皿 4 鉄鋼製皿 5 高質ゴム皿 6 V型金具 7 T型金具 8 両引ボルト 9 羽子板ボルト 9’ ボルト A 被接合物 B 被接合物 A’ 土台 B’ 柱

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被接合部Aに鉄鋼雌ねじ部1aを有する
    鉄鋼部1’と高質ゴム部1”の合体した受具1を埋設
    し、他方の被接合物Bの外方からこれを貫通して前記受
    具1に達するごとく引張棒2を嵌入し、この引張棒2の
    先端形成されている雄ねじ部2aを前記受具1の雌ねじ
    部1aに螺合させるとともに前記引張棒2の他端3、
    4、5を前記被接合物Bの端部に係合させることを特徴
    とする二つの被接合物の接合・固定方法。
  2. 【請求項2】 接合される二つの被接合物A、Bのう
    ち、一方の被接合物Aに埋設することが出来るものであ
    って、雌ねじ部1aを有する鉄鋼部1’と高質ゴム部
    1”の合体した受具1と他方の被接合物Bの端部に一端
    を係合させることが出来るものであって、該被接合物B
    の外方からこれを貫通して前記受具1に達してその雌ね
    じ部1aに螺合させ得る雄ねじ部2aを有し、他端3、
    4、5を有する引張棒2とからなる事を特徴とする二つ
    の被接合物の接合・固定具。
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