JP2000168006A - ポリプロピレン系プロテクトフィルム - Google Patents

ポリプロピレン系プロテクトフィルム

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JP2000168006A JP34438498A JP34438498A JP2000168006A JP 2000168006 A JP2000168006 A JP 2000168006A JP 34438498 A JP34438498 A JP 34438498A JP 34438498 A JP34438498 A JP 34438498A JP 2000168006 A JP2000168006 A JP 2000168006A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低分子量物ブリードが小さく接着力が優れ、更
に引き裂き強度が優れた特性を有し、金属表面の保護に
好適で容易に剥離可能なポリプロピレン系プロテクトフ
ィルムを提供すること。 【解決手段】(B)/(A)/(B)の3層構造の各層
が、プロピレンホモポリマー(PP)およびエチレン−
プロピレンコポリマー(RC)からなる組成物で、
(A)層は結晶性PPと非晶性RCの組成物(a)から
なり、[η]RC=1.7〜2.8dl/g;[η]RC
[η]PP=0.7〜1.2;([η]RC/[η]PP)×
(WPP/WRC)=1.0〜3.0;非晶性RCのエチレン
含有量=25〜55重量%;かつ「WRC−A」=22
〜40重量%の範囲にあり、(B)層は「WRC−B」
が0.5<「WRC−B」/「WRC−A」<1.0を
満足する組成物(b)からなる多層フィルム
([η]RC、WRC:非晶性RCの極限粘度、同重量;
[η]PP、WPP:結晶性PPの極限粘度、同重量;「W
RC−A」、「WRC−B」:組成物(a)、(b)に
対する非晶性RCの重量%)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属表面の保護(プロテ
クト)に適したポリプロピレン系多層フィルムに関し、
詳しくは研磨仕上げした金属表面や塗装した金属表面の
塗装膜の保護(プロテクト)フィルムに適した強固な接
着剤との接着力と強い引き裂き強度を有するポリプロピ
レン系多層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車を国内搬送や海外輸出する場合、
表面の傷つき防止を目的にポリオレフィン系フィルムを
貼り付けて輸送時の傷が金属本体や塗装膜に届く事を防
止する方法が最近多く採用されている。金属表面の保護
に使用されるフィルム(今後、プロテクトフィルムと称
する。)は、金属表面に該フィルムを貼りつける時の適
度の接着性と輸送が終了した後の工程で必要となる金属
表面からの剥離作業の容易性の両面が必要である。
【0003】これら表面保護フィルムとしては、例えば
ポリエチレン60〜95%とポリプロピレン40〜45
%を含む混合物を一層とし、ポリエチレンを他の一層と
する共押出フィルムに粘着剤を塗布したもの(特公昭5
9−27782号公報)、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、エチレン−プロピレン共重合のうち、二種または三
種を混合物の構成成分とし、プロピレン部分を15%以
上かつポリエチレン部分を25%以上含むように混合し
押出成形したフィルムに粘着剤を塗布したもの(特開昭
50−14667号公報)、ポリエチレン樹脂70〜3
0重量部とポリプロピレン樹脂30〜70重量部を含む
混合樹脂を成形したフィルムの片面に接着層をもうけた
もの(特開昭50−52141号公報)、ポリプロピレ
ンを主成分とし、それにポリエチレン及びエチレン−プ
ロピレン共重合体を配合してなる基材フィルムに粘着剤
層を設けたもの(特開平5−106175号公報)、外
層及び内層がポリプロピレン系樹脂からなり、中間層が
直鎖状低密度ポリエチレンからなる多層フィルム(特開
平6−328640号公報)等が提案されている。
【0004】ところが、これらの表面保護フィルムを塗
装完成車の運搬、保管時に石、埃、ガス、薬品等による
損傷、ツヤボケ、変色等の防止用に用いた場合、完成車
への貼り付き、もしくは使用後に剥がす際にフィルムが
縦方向に破れるというトラブルがしばしば発生してお
り、従来の性能に加えて、製膜の関係上、特に縦方向の
引き裂き強度を20N/mm以上の基材フィルムの提供
が要望されていた。
【0005】特に、プロテクトフィルムをポリプロピレ
ン系組成物の多層フィルムに構成し、コア層により機械
特性の改善を図り、スキン層により、接着性の改善を図
ろうと試みるとコア層からスキン層への低分子量物のブ
リードが見られたり、該ブリードを低減しようと試みる
と機械特性が悪化する等、両特性を満足する各層を特定
する条件が見出せないでいた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低分
子量物ブリードが小さく接着力が優れ、更に引き裂き強
度が優れた特性を有し、金属表面の保護に好適で容易に
剥離可能なポリプロピレン系プロテクトフィルムを提供
することにある。本発明者らは前記問題点を解決したフ
ィルムを得るべく鋭意研究を行った。その結果、請求項
1に挙げたフィルムを用いると、得られるフィルムが粘
着剤の塗工性が良好であり、上記従来技術の欠点である
縦方向の引き裂き強度が弱いことが改良されることを見
出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のプロテクト用フ
ィルムは、以下の構成よりなる。 (1)(B)/(A)/(B)の3層構造からなる多層
フィルムの各層が、プロピレンホモポリマー(PPとい
う)およびエチレン−プロピレンコポリマー(RCとい
う)からなるポリプロピレン系組成物であって、(A)
層は、結晶性PPおよび非晶性RCからなるポリプロピ
レン系組成物(a)からなり、該組成物(a)は、 [η]RC=1.7〜2.8dl/g; [η]RC/[η]PP=0.7〜1.2; ([η]RC/[η]PP)×(WPP/WRC)=1.0〜3.
0; 非晶性RCのエチレン含有量=25〜55重量%;かつ
「WRC−A」=22〜40重量%の範囲にあり、
(B)層は、「WRC−B」が以下の相関式(1)を満
足するポリプロピレン系組成物(b)からなることを特
徴とするポリプロピレン系プロテクトフィルム。
【0008】 0.5<「WRC−B」/「WRC−A」<1.0……相関式(1) ([η]RC:非晶性RCの極限粘度、[η]PP:結晶性
PPの極限粘度、WPP:結晶性PPの重量、WRC:非晶性
RCの重量、「WRC−A」:該組成物(a)に対する
非晶性RCの重量%、「WRC−B」:該組成物(b)
に対する非晶性RCの重量%) (2)(B)層を構成する前記組成物(b)が、(A)
層を構成する前記組成物(a)50〜99重量%と結晶
性PPおよび/またはプロピレンとα−オレフィンとの
結晶性コポリマー(c)1〜50重量%を配合したポリ
プロピレン系組成物であることを特徴とする請求項1記
載のポリプロピレン系プロテクトフィルム。
【0009】勿論、(A)層を構成するポリプロピレン
系組成物(a)「以下、単に「組成物(a)」ともい
う)と(B)層を構成するポリプロピレン系組成物
(b)「以下、単に「組成物(b)」ともいう)に使用
するポリプロピレン系組成物(a)は、同一でも異なっ
ていてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】組成物(a)について説明する。
組成物(a)は、(A)層を構成するポリプロピレン系
組成物であり、次式を満足しなければならない。 [η]RC=1.7〜2.8dl/g; [η]RC/[η]PP=0.7〜1.2; ([η]RC/[η]PP)×(WPP/WRC)=1.0〜3.
0; 非晶性RCのエチレン含有量=25〜55重量%;かつ 「WRC−A」=22〜40重量% ここで、[η]RC:非晶性RCの極限粘度、[η]PP
結晶性PPの極限粘度、WPP:結晶性PPの重量、WRC
非晶性RCの重量、「WRC−A」:該組成物(a)に
対する非晶性RCの重量%を示す。
【0011】結晶性PPは、アイソタクチックペンタッ
ド分率が0.95以上、好ましくは0.955以上で、
立体規則性を有する。また、非晶性RCは、エチレン含
有量が25〜55重量%、好ましくは30〜55重量%
のエチレン重合単位を含有する。また、[η]RCは、1
35℃のテトラリン中で測定した値で1.7〜2.8d
l/gにあり、かつ結晶性PPの同一条件で測定した極
限粘度[η]PPとの間の極限粘度比[η]RC/[η]PP
が0.7〜1.2の範囲にあることが必要である。
【0012】結晶性PP及び非晶性RCを連続的に製造
して組成物(a)を得た場合、[η]RCは直接測定でき
ないので、直接測定可能な結晶性PPの[η]PPおよび
組成物(a)全体の極限粘度([η] whole )ならびに
WRCから、下記式により求められる。WRC=組成物
(a)に対する非晶性RCの重量%を示す。 [η]RC={[η] whole −(1−WRC/100)
[η]PP}/(WRC/100)
【0013】連続的に製造するとは、後述する第一段階
で結晶性PPを製造し(第1重合工程)、ついで第二段
階で非晶性RCを連続的に製造する(第2重合工程)こ
とである。
【0014】[η]RCは、特にフィルムの加工特性に影
響し、[η]RC/[η]PPは、非晶性RCの結晶性PP
への分散性に影響する。[η]RCが大きすぎると得られ
るフィルムの製膜性が悪化し、生産性の点で問題とな
る。一方、結晶性PPとの極限粘度比[η]RC/[η]
PPは、小さすぎると低分子量物のブリードが大きく接着
剤との接着力が低下し、また、大きすぎると引き裂き強
度が低下し、目的とする特性を達成できない。
【0015】また、([η]RC/[η]PP)×(WPP/W
RC)は1.0〜3.0の範囲にあることが必要である。
その値が小さくなると低温での低分子量物のブリードが
大きく接着剤との接着力が低下し、また、大きくなると
引き裂き強度が低下し、目的とする特性を達成できな
い。「WRC−A」は(A)層における組成物(a)に
対する非晶性RCの重量%を示す。
【0016】(A)層は、上記範囲を満足する組成物
(a)から構成されるならば、上記組成および/または
物性の範囲で任意に選択される2種以上の組成物から構
成されていてもよい。また、組成物(a)のメルトフロ
ーレート(MFRwhole )(230℃、荷重21.18
N)は、フィルム成形時の成形性及び得られるフィルム
の外観の点から0.1〜50g/10分が好ましく、
0.5〜20g/10分が更に好ましい。このMFR
whole は、結晶性PPのメルトフローレート(MF
PP)及び非晶性RCのメルトフローレート(MF
RC)を適宜選定することにより調整される。
【0017】本発明に用いる組成物(a)及び(A)層
は上記した組成及び諸物性を満足することにより、後述
の組成物(b)ひいては(B)層との親和性に優れ、か
つ縦方向の引き裂き強度に優れたフィルムとして好適に
使用される。組成物(a)は、上記の諸特性を満足すれ
ばいかなる方法で製造してもよく、勿論、別々に製造さ
れた本発明に用いる結晶性PPと非晶性RCを混合装置
を用いて混合して製造してもよく、また、結晶性PPを
製造し、引き続き該結晶性PPの存在下にプロピレンと
エチレンを共重合させて非晶性RCを製造し、組成物
(a)を連続的に製造してもよい。
【0018】次に組成物(b)について説明する。組成
物(b)は、本発明のポリプロピレン系プロテクトフィ
ルムの(B)層を構成するポリプロピレン系組成物であ
り、その組成成分は、特に制限されるべきものではない
が、次式の「WRC−B」が相関式(1)の関係にある
組成物からなることが必要である。「WRC−A」及び
「WRC−B」は、組成物(a)及び組成物(b)の各
々の非晶性RC成分量を適宜選択することにより決定さ
れ、それらの値を適宜選定することにより(A)層及び
(B)層の物性を調整することができる。
【0019】 0.5<「WRC−B」/「WRC−A」<1.0……相関式(1) (「WRC−A」:(A)層における組成物(a)に対
する非晶性RCの重量%、「WRC−B」:(B)層に
おける組成物(b)に対する非晶性RCの重量%) 「WRC−B」/「WRC−A」が1.0以上である
と、プロテクトフィルムの接着力の低下がみられ、0.
5以下であると同フィルムの引き裂き強度の低下が認め
られる。
【0020】組成物(b)に含まれるPPは、結晶性P
Pを主体とすることが好ましい。また、RCは上記相関
式(1)を満足する範囲で結晶性RCも包含し得る。更
に、組成物(b)は、PP成分とRC成分の組成比が異
なる複数の組成物をブレンドした組成物にて構成するこ
ともできる。このような組成物(b)の具体的調製手段
としては、組成物(a)を使用することが簡明な手段で
好ましく、次の例が挙げられる。
【0021】 特定の「WRC−A」(これを「WR
C−A1」とする)を有する組成物(a)と比べ小さい
「WRC−A」(これを「WRC−A2」とする)を有
する組成物(a)を組成物(b)として選択すること。
即ち、「WRC−B」=「WRC−A2」<「WRC−
A1」。例えば、後述の実施例1〜3参照。 組成物(a)に非晶性RC含量の少ないポリプロピ
レン系組成物を配合すること。例えば、後述の実施例7
参照。
【0022】また、本発明は、組成物(a)50〜99
重量%とこの組成物(a)に混合される(c)成分1〜
50重量%からなることが好ましい。(A)層を構成す
る組成物(a)と(B)層を構成する組成物(b)に使
用する組成物(a)とが同一の場合、組成物(b)は組
成物(a)が50重量%を超え99重量%以下と(c)
成分が1重量%以上50重量%未満とからなることによ
って、所望の「WRC−B」を容易に確実に得ることが
でき、ひいては所望の物性の本発明フィルムを容易に得
ることができるという利点がある。
【0023】(c)成分は、結晶性PPおよび/または
プロピレンとα−オレフィンとの結晶性コポリマー(以
下、単に「結晶性コポリマー」ともいう)からなり、結
晶性PP単独または結晶性コポリマー単独またはこれら
両者の併用(以下、「組成物(c)」ともいう)でもよ
く、いずれの場合も上記1〜50重量%使用される。結
晶性コポリマーは、プロピレン含有量が90〜99重量
%のものである。
【0024】組成物(c)は、この結晶性コポリマーと
結晶性PPからなるが、組成物(b)ひいては本発明の
プロテクトフィルムの所望の物性に応じて、所望の配合
比で配合され得る。組成物(b)に使用される結晶性P
Pの極限粘度は、(B)層表面に塗布される接着剤との
接着性、および本発明フィルムの引き裂き強度などの機
械的特性に影響し、極限粘度が1.7より2.8の範疇
にある場合、接着性および引き裂き強度が良好となる。
【0025】結晶性コポリマーの製造に用いられるα−
オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペン
テン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−
ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−
オクタデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペン
テン、3−メチル−1−ペンテン等を挙げることができ
るが、エチレン、1−ブテンが好ましい。
【0026】本発明に使用する組成物(a)は、より好
適には、下記に示す製造方法を例示することができる。
その他、本発明で使用する組成物(b)や成分(c)等
もこれに準じて製造することができる。組成物(a)の
製造工程は、大粒径のチタン含有固体触媒成分と有機ア
ルミニウム化合物および有機ケイ素化合物とからなる立
体規則性触媒の存在下、気相中において第一段階で結晶
性PPを製造し(第1重合工程)、ついで第二段階で非
晶性RCを連続的に製造する(第2重合工程)からな
る。
【0027】該製造方法において、チタン含有固体触媒
成分はマグネシウム化合物、シリカ化合物およびアルミ
ナ等の無機担体やポリスチレン等の有機担体にチタン化
合物を担持したもの、またかかる担持体に必要に応じて
エーテル類、エステル類の電子供与性化合物を反応せし
めたものなら公知のどの様なものでも使用できる。
【0028】たとえば、マグネシウム化合物−アルコー
ル溶液をスプレーし、該固体成分を部分乾燥し、しかる
後該乾燥固体成分をハロゲン化チタンおよび電子供与性
化合物で処理して成るチタン含有固体触媒成分(特開平
3-119003公報)、マグネシウム化合物をテトラヒドロフ
ラン/アルコール/電子供与体に溶解させ、TiCl4単独
または電子供与体の組み合わせで析出させたマグネシウ
ム担体をハロゲン化チタンおよび電子供与性化合物で処
理して成るチタン含有固体触媒成分(特開平4-103604公
報)などが挙げられる。
【0029】チタン含有触媒成分は、通常、平均粒径が
25〜300μm、好ましくは30〜150μmのもの
が用いられる。チタン含有触媒成分の平均粒径が25μ
m以下では組成物(a)の粉体流動性が著しく損なわ
れ、重合器の器壁や攪拌翼等への付着による重合系内の
汚染や重合器から排出された粉体の搬送が困難になる
等、安定運転の大きな妨げとなる。
【0030】また、チタン含有触媒成分は、正規分布に
おける均一度は2.0以下のものが好ましい。均一度が
2.0を越えるとポリプロピレン系組成物のパウダー流
動性が悪化して連続での安定運転が困難となる。
【0031】有機アルミニウム化合物としては、一般式
がR1 mAlX3-m (式中R1 は、炭素数1〜20のアル
キル基、シクロアルキル基、アリール基等の炭化水素基
もしくはアルコキシ基である同種若しくは異種を、Xは
ハロゲン原子を表し、mは3≧m≧1.5の正数であ
る)で表される有機アルミニウム化合物を好適に使用す
ることができる。
【0032】具体的には、トリメチルアルミニウム、ト
リエチルアルミニウム、トリーnープロピルアルミニウ
ム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリーiーブチル
アルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエ
チルアルミニウムクロライド、セスキメチルアルミニウ
ムセスキクロライド、ジ−n−プロピルアルミニウムク
ロライド、セスキエチルアルミニウムセスキクロライ
ド、エチルアルミニウムジクロライド,ジエチルアルミ
ニウムアイオダイド、エトキシジエチルアルミニウム等
を挙げることができ、好ましくはトリエチルアルミニウ
ムを使用する。これら有機アルミニウム化合物は1種単
独もしくは2種以上の混合物として使用することができ
る。
【0033】有機ケイ素化合物としては、一般式R2 X
3 YSi(OR4 z(式中R2 およびR4 は炭化水素
基,R3 は炭化水素基あるいはヘテロ原子を含む炭化水
素基を表し、0≦X≦2、1≦Y≦3、1≦Z≦3かつ
X+Y+Z=4である)で表される有機ケイ素化合物が
使用される。
【0034】具体的にはメチルトリメトキシシラン、エ
チルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシ
ラン、フェニルメチルジメトキシシラン、t−ブチルト
リメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、フ
ェニルトリエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシ
ラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメ
トキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロ
ピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラ
ン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメ
トキシシラン、トリメチルメトキシシラン、シクロヘキ
シルメチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラ
ン等を挙げることができる。
【0035】好ましくは、ジイソブチルジメトキシシラ
ン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ−t−ブチル
ジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシ
ランおよびジフェニルジメトキシシランが使用される。
【0036】これらの有機ケイ素化合物は1種単独もし
くは2種以上の混合物として使用することができる。
【0037】前記チタン含有固体触媒成分、有機アルミ
ニウム化合物および必要に応じて有機ケイ素化合物を組
み合わせた立体規則性触媒を、第1重合工程のプロピレ
ン重合に用いるが、該チタン含有固体触媒は、α−オレ
フィンを予め反応させて予備活性化処理した触媒を用い
ることが好ましい。
【0038】チタン含有固体触媒成分の予備活性化処理
においては、有機アルミニウム化合物の使用量は特に限
定されるものではないが、通常、チタン含有固体触媒成
分中のチタン原子1モルに対して0.1〜40モル、好
ましくは0.3〜20モルの範囲で用い、後述のα−オ
レフィンを通常、10〜80℃で10分〜48時間かけ
てチタン含有固体触媒成分1グラム当たり0.1〜10
0グラム、好ましくは0.5〜50グラムを反応させ
る。
【0039】予備活性化処理においては、予め有機ケイ
素化合物を有機アルミニウム化合物1モルに対して通
常、0.01〜10モル、好ましくは0.05〜5モル
の範囲で用いてもよい。上記の予備活性化処理に用いら
れる有機アルミニウム化合物としては、本重合に用いら
れる前記例示した有機アルミニウム化合物を挙げること
ができる。この有機アルミニウム化合物として、本重合
時に使用される有機アルミニウム化合物と同種のもので
も、または異なる種類のものも使用できるが、好ましく
はトリエチルアルミニウムである。
【0040】また、予備活性化処理に、必要に応じて用
いられる有機ケイ素化合物としては、前記例示した有機
ケイ素化合物と同種のものを挙げることができる。この
有機ケイ素化合物としても、本重合に使用される有機ケ
イ素化合物と同種のものでも、また異なるものを使用で
き、好ましくは、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイ
ソプロピルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキ
シシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシランおよ
びジフェニルジメトキシシランを用いる。
【0041】チタン含有固体触媒成分の予備活性化処理
に用いられるα−オレフィンとしては、エチレン、プロ
ピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1
−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデ
セン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイ
コセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−
ペンテン等を挙げることができる。
【0042】これらのα−オレフィンは、単独のみなら
ず、他のα−オレフィンの2種以上の混合物を用いても
よい。また、その重合に際してポリマーの分子量を調節
するために水素等の分子量調節剤を併用することもでき
る。
【0043】チタン含有固体触媒成分の予備活性化処理
に用いられる不活性溶剤は、ヘキサン、ヘプタン、オク
タン、デカン、ドデカンおよび流動パラフィン等の液状
飽和炭化水素やジメチルポリシロキサンの構造を持った
シリコンオイル等重合反応に著しく影響を及ぼさない不
活性溶剤である。これらの不活性溶剤は1種の単独溶剤
または2種以上の混合溶剤のいずれでもよい。これらの
不活性溶剤の使用に際しては重合に悪影響を及ぼす水
分、イオウ化合物等の不純物は取り除いた後で使用する
ことが好ましい。
【0044】上記予備活性化処理されたチタン含有固体
触媒成分の存在下に、気相中においてプロピレンを重合
する第1重合工程、次いでプロピレンとα−オレフィン
の共重合を行う第2重合工程を連続実施する。第1重合
工程は気相重合法には限定されずスラリー重合法や塊状
重合法を採用してもよいが、それに連続する第2重合工
程が気相重合法であることが好ましいことから、第1重
合工程も気相重合法を採用することが好ましい。第2重
合工程として、スラリー重合法や塊状重合法を採用した
場合、得られる共重合体が溶液中に溶出し,安定運転の
継続が困難となる場合がある。
【0045】第1重合工程の重合条件は重合形式によっ
ても異なるが、気相重合法の場合,一定量のプロピレン
重合体粉体を分散剤として重合器中で混合撹拌しなが
ら、予備活性化処理されたチタン含有固体触媒成分,有
機アルミニウム化合物および有機ケイ素化合物からなる
立体規則性触媒の存在下、重合温度は通常、20〜12
0℃、好ましくは40〜100℃,重合圧力は通常、大
気圧〜9.9MPa、好ましくは0.59〜5.0MP
aの条件下にプロピレンを供給して、結晶性PPを重合
する。
【0046】有機アルミニウム化合物とチタン含有固体
触媒成分の使用比率はAl/Ti=1〜500(モル
比)、好ましくは10〜300である。この場合、チタ
ン含有固体触媒成分のモル数とは実質的にチタン含有固
体触媒成分中のTiグラム原子数をいう。
【0047】有機ケイ素化合物(C)と有機アルミニウ
ム化合物(B)の使用比率はB/C=1〜10(モル
比)、好ましくは1.5〜8である。該B/Cのモル比
が過大な場合、結晶性PPの結晶性が低下し、組成物の
剛性が不十分となる。また、B/Cモル比が過小な場合
には重合活性が著しく低下し、生産性が低下する。
【0048】結晶性PPの分子量の調節には、重合時に
水素のような分子量調節剤の使用が可能であり、[η]
PPが本発明の要件を満たすように実施される。結晶性P
Pを重合後,生成した粉体重合体の一部を抜き出し,極
限粘度、メルトフローレート、触媒単位重量当たりの重
合収量の測定に供することができる。
【0049】第1重合工程のプロピレンの重合に引き続
いて、重合温度は通常、20〜120℃、好ましくは4
0〜100℃、重合圧力は通常、大気圧〜9.9MP
a、好ましくは0.59〜5.0MPaの条件下でプロ
ピレンとエチレンの混合モノマーを共重合して非晶性R
Cを生成させる第2重合工程を実施する。非晶性RC中
のエチレン含有量はコモノマーガス中のエチレンモノマ
ーとプロピレンモノマーのガスモル比を制御して、得ら
れる非晶性RC中のエチレン含有量が25〜55重量%
になるように調節する。
【0050】一方、結晶性PPの重量(WPP)に対する
非晶性RCの重量(WRC)は、重合時間の調節や一酸化
炭素や硫化水素等の触媒の重合活性調節剤を使用して、
該非晶性RCの重量(WRC)が得られる組成物(a)に
対して25〜55重量%になるよう調節する。さらに、
非晶性RCの分子量は[η]RCが組成物(a)の要件を
満たすように水素のような分子量調節剤を共重合時に加
えて調節されることが好ましい。また、水素の供給方法
は、組成物(a)が本発明の要件を満たす様に供給され
る。
【0051】上記重合方式は、回分式、半連続式もしく
は連続式のいずれでも採用できるが、工業的には連続式
が好ましい。
【0052】第2重合工程の終了後に重合系からモノマ
ーを除去して粒状の組成物(a)を得ることができる。
得られた組成物(a)の一部は極限粘度の測定およびエ
チレン含有量の測定ならびに触媒単位重量当たりの重合
収量の測定に供される。
【0053】次に本発明のポリプロピレン系組成物につ
いて述べる。本発明の目的を損なわない範囲で、本発明
に用いるポリプロピレン系組成物に通常、ポリオレフィ
ンに使用する酸化防止剤、中和剤、耐候剤、無機充填
剤、ブロッキング防止剤、滑剤等を配合することができ
る。
【0054】該酸化防止剤としてはフェノール系酸化防
止剤及びリン系酸化防止剤等が例示でき、該中和剤とし
てはステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸塩類が例示
でき、該無機充填剤及びブロッキング防止剤としては炭
酸カルシウム、シリカ、ハイドロタルサイト、ゼオライ
ト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が例示
でき、該滑剤としてはステアリン酸アマイド等の高級脂
肪酸アマイド類が例示できる。
【0055】ポリプロピレン系組成物に上記添加剤等を
配合する方法は、ヘンシェルミキサー(商品名)等の高
速撹拌機付混合機及びリボンブレンダー並びにタンブラ
ーミキサー等の通常の配合装置により配合する方法が例
示でき、更に通常の単軸押出機又は二軸押出機等を用い
てペレット化する方法が例示できる。
【0056】本発明のプロテクトフィルムとはポリプロ
ピレン系組成物を用いた未延伸フィルムである。該フィ
ルムの製造方法としては、通常、ポリオレフィンフィル
ムの製造に用いられるTダイ法及びインフレーション法
が例示できる。
【0057】本発明のプロテクトフィルムとは、該ポリ
プロピレン系組成物を用いたフィルムを最表層の少なく
とも3層に用いた未延伸多層フィルムのことであり、該
多層フイルムの層構成としては、典型的には(B)/
(A)/(B)の3層構造からなる。ここで、(A)は
コア層を(B)はスキン層を構成するものである。本発
明のプロテクトフィルムは、上記3層のみからなる構造
に制限されず、例えば、(B)/(A)/(B)/
(A)/(B)や(B)/(A)/(B)/(A)/
(B)/(A)/(B)等に構成することもできる。
【0058】該多層フィルムの全厚みは特に限定される
ものではないが、フィルムの成形性の点で20〜100
μmが好ましく、更に好ましくは30〜70μmであ
る。また、該多層フィルムの各層の厚みは特に限定され
ないが、引き裂き強度の点で、フィルムの全厚みに対す
る組成物(a)を用いた(A)層の厚みの比率が10〜
90%であることが好ましく、20〜80%が更に好ま
しい。
【0059】該多層フィルムの製造方法としては、多層
押出し成形法等を例示でき、該多層押出し成形法として
は、通常、ポリオレフィンフィルムの製造に用いられる
Tダイ法またはインフレーション法が例示できる。
【0060】上記公知の方法で該多層フィルムを製造す
る場合、各層を構成する、ポリプロピレン系組成物は特
に限定されるものではないが、多層フィルム自体のメル
トフロ−レ−ト:フィルムMFR(at:230℃、荷
重21.18N)が0.5〜10.0g/10minの
範囲にあることが好ましい。
【0061】無論、本発明で得られるプロテクトフィル
ムは、印刷性、ラミネート適性、金属蒸着特性の付与を
促進する目的で、通常、工業的に採用されている方法に
よってコロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理等の表
面処理が可能であることは言うまでもない。
【0062】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を用いて本発明を
具体的に説明するが本発明はこれらになんら限定される
ものではない。なお、実施例、比較例で用いた組成物等
の物性測定法は下記の通りである。 (a)極限粘度(単位;dl/g):溶媒としてテトラリ
ン(テトラクロロナフタレン)を用い135℃の温度条件
下、自動粘度測定装置(AVS2型、三井東圧(株)製)を使用
して測定した。
【0063】(b)チタン含有固体触媒成分の粒度(単
位;μm)および均一度:マスターサイザー(MALVERN 社
製)を用いて測定した粒度分布から算出した平均粒径を
粒度とし、また60%篩下の粒径を10%篩下の粒径で
割った値を均一度とした。
【0064】(c)エチレン含有率(単位;重量%):
赤外線吸収スペクトル法により測定した。 (d)触媒単位重量当りの重合体収量:試料中のMg分
を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP法)
により測定し、得られたMg分から算出した。
【0065】以下に、実施例、比較例で用いるポリプロ
ピレン系組成物の製造方法を示す。製造例1〜9(組成
物BC−1〜9の製造) 1)チタン含有固体触媒成分の調製 a)チタン含有固体触媒成分:窒素置換したSUS製オ
ートクレーブに、無水MgCl2 を95.3g、乾燥Et
OH(エタノール)352mlを入れ、この混合物を攪拌
下に105℃に加熱し溶解させた。1時間攪拌後、この
溶液を105℃に加熱した加圧窒素(1.1MPa)で二
流体スプレーノズルに送入した。窒素ガスの流量は38
l/min.であった。スプレー塔中には冷却用として液体窒
素を導入し、塔内温度を−15℃に保持した。生成物は
塔内底部に導入した冷却ヘキサン中に集められ、256
gを得た。生成物の分析結果から、この担体の組成は出
発溶液と同じMgCl2 ・6EtOHであった。
【0066】担体に用いるため、篩い分けを行い45〜
212μmの粒径で球形な担体205gを得た。得られた
担体を室温で、181時間、3l/min.の流量の窒素を用
いて通気乾燥して組成がMgCl2 ・1.7EtOHの乾
燥担体を得た。
【0067】ガラスフラスコ中において、乾燥担体20
g,四塩化チタン160ml、精製1,2-ジクロルエタン2
40mlを混合し、攪拌下に100℃に加熱した後、ジイ
ソブチルフタレート6.8ml加え、さらに100℃で2
時間加熱した後、デカンテーションにより液相部を除
き、再び四塩化チタン160ml、精製1,2-ジクロルエタ
ン320mlを加えた。100℃で1時間加熱保持した
後、デカンテーションにより液相部を除き、精製ヘキサ
ンで洗浄した後、乾燥してチタン含有固体触媒成分:I
−1を得た。得られたチタン含有固体触媒成分(I)の平
均粒径は115μmであり、その分析値は、Mg 19.
5重量%,Ti 1.6重量%,Cl 59.0重量%,ジ
イソブチルフタレート4.5重量%であった。
【0068】2)チタン含有固体触媒成分の予備活性化
処理 内容積15lの傾斜羽根付きSUS製反応器を窒素ガス
で置換した後、40℃での動粘度が7.3センチストー
クスである飽和炭化水素溶剤(CRYSTOL-52、エッソ石油
(株)製)8.3l、トリエチルアルミニウム525mmo
l、ジイソプロピルジメトキシシラン80mmol、前項で
調製したチタン含有固体触媒成分700gを室温で加え
た後、40℃まで加温し、プロピレン分圧0.15MPa
で7時間反応させ、予備活性化処理を行った。分析の結
果、チタン含有固体触媒成分1g当りプロピレン3.0
gが反応していた。
【0069】3)第1重合工程 添付の図1に示すフローシートにおいて、攪拌羽根を有
する横型重合器(長さ/直径=L/D=6,内容積10
0リットル)に上記予備活性化処理したチタン含有固体
触媒成分を0.5g/hr、有機アルミニウム化合物として
トリエチルアルミニウムおよび有機ケイ素化合物として
ジイソプロピルジメトキシシランを連続的に供給した。
反応温度70℃、反応圧力2.5MPa、攪拌速度40rp
mの条件を維持するようにプロピレンを連続供給し、さ
らに結晶性PPの分子量を調節するために水素ガスを循
環配管2より連続的に供給し、反応器の気相中の水素濃
度にて生成ポリマーの極限粘度を制御した。
【0070】反応熱を原料プロピレン配管3から供給さ
れる原料プロピレンの気化熱により除去した。重合器か
ら排出される未反応ガスは未反応ガス配管4を通して反
応器系外で冷却、凝縮させて本重合器1に還流した。
【0071】本重合器で得られた結晶性PPは、重合体
の保有レベルが反応容積の50容積%となる様に配管5
を通して重合器1から連続的に抜き出し、第2重合工程
の重合器10に供給した。この時、重合体抜き出し配管
5から結晶性PPの一部を間欠的に抜き出して、極限粘
度および触媒単位重量当りの重合体収量を求める試料と
した。
【0072】4)第2重合工程 攪拌羽根を有する横型重合器10(L/D=6,内容積
100リットル)に第1重合工程からの結晶性PPおよ
びエチレンとプロピレンの混合ガスを連続的に供給し、
エチレンとプロピレンの共重合を行った。反応条件は攪
拌速度40rpm、温度60℃、圧力2.1MPa,気相の
エチレン/プロピレンモル比により、非晶性RC中のエ
チレン単位含有量を調節した。非晶性RCの重合量を調
節するために、重合活性抑制剤として一酸化炭素、ま
た、非晶性RCの分子量を調節するため水素ガスを活性
抑制剤導入配管7よりそれぞれ供給した。
【0073】反応熱は原料混合ガス配管6から供給され
る原料液状プロピレンの気化熱で除去した。
【0074】重合器から排出される未反応ガスは、未反
応ガス配管8を通して反応器系外で冷却、凝縮させて本
共重合工程に還流させた。共重合工程で生成されたプロ
ピレン系組成物は、重合体の保有レベルが反応容積の5
0容積%となるように重合体抜き出し配管9で重合器1
0から抜き出した。得られるポリプロピレン系組成物の
生産速度は8〜12kg/hrであった。
【0075】抜き出されたポリプロピレン系組成物はモ
ノマーを除去し、一部は極限粘度、赤外線吸収スペクト
ル法による非晶性RC中のエチレン含有量の測定に、ま
た、非晶性RCの重合比率を求めるため重合体中のMg
分をICP法による測定に供した。製造例1〜9で得ら
れたポリプロピレン系組成物BC−1〜9の物性を表1
に示した。
【0076】製造例10(PP−1の製造) 製造例1の結晶性PPの製造法に準じて結晶性PPを製
造した。 製造例11(PP−2の製造) 製造例1の非晶性RCの製造法に準じて結晶性RCを製
造した。 製造例12(PP−3の製造) 製造例1に準じてポリプロピレン系組成物を製造した。
【0077】得られたPP−1〜3の物性を表2に示し
た。MFRPP、MFRWHOLE 又はMFRは下記フィルム
MFRに準じて測定した。尚、MFRRCについては下記
式により算出した。 log(MFRWHOLE )=WPP/100×log(MF
PP)+WRC/100×log(MFRRC
【0078】実施例及び比較例で用いたフィルムの評価
方法は下記の方法に拠った。 (1)フィルムMFR(単位;g/10min ):JIS K 7210
に準じ、温度230℃荷重21.18Nで規定のダイを通
して、フィルムを溶融押出し単位時間に流れ出る重量を
求めた。
【0079】(2)引き裂き強度(単位;N/mm):ASTM
D 1922に準じ、フィルムの試験片に20mmのノッチを
入れ、残り43mmを引き裂くに要するエネルギーを求め
た。
【0080】(3)剥離強度試験(単位;N/15mm):15
×100mmの試験片を一部分はがしそれぞれの反対方向に
引っ張り(引っ張り速度300mm/min.)剥離させそのとき
の強さをはかる。強度が強いほど良好である。
【0081】(実施例1)表1に示すBC−1またはB
C−4の99.75重量%に対して、各々テトラキス
[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]メタン0.05重量%、ト
リス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイ
ト0.1重量%及びステアリン酸カルシウム0.1重量
%の配合割合にてヘンシェルミキサー(商品名)で混合
後、単軸押出機(口径40mmφ)を用いて200℃で溶
融混練し、ペレット化し、表3に示すようにコア層を形
成する(A)層用ペレット(AA)(組成物BC−1に
対応)またはスキン層を形成する(B)層用ペレット
(BB)(組成物BC−4に対応)を製造した。
【0082】多層Tダイを備えた3種3層押出機(口径
65mmφの単軸押出機が1台、同50mmΦの単軸押出機
が2台)を用い、上記ペレット(AA)とペレット(B
B)をそれぞれ別の押出機に供給し、230℃で溶融さ
せ、共押出し、エアーチャンバー及び表面温度30℃の
冷却ロールで冷却固化して厚み70μm、(B)/
(A)/(B)(厚み構成比=1/2/1)からなる3
層無延伸フィルムを得た。
【0083】(実施例2〜4)実施例1のBC−1およ
びBC−4の一方または両方に代えて表3に記載の組成
物に変更したペレットを使用した以外は、実施例1と同
様にして、3層無延伸フィルムを得た。 (実施例5〜8)実施例1において、(A)層のペレッ
トとして、BC−5を用い、(B)層にペレットとして
BC−4及びPP−1、PP−2またはPP−3の混合
物(表3の「%」は重量%、また、組成物(b)の「W
RC−B」は各々の成分のWRCにそれら重量比率を乗
した値の和である)からなるペレットを用いた他は実施
例1と同様にして、3層無延伸フィルムを得た。 (比較例1〜6)実施例1のBC−1およびBC−4の
一方または両方に代えて表4に記載の組成物に変更した
ペレットを使用した以外は、実施例1と同様にして、3
層無延伸フィルムを得た。尚、比較例3の(B)層は、
BC−4とPP−1の混合物(表3の「%」は重量%)
を用いた。
【0084】得られた3層無延伸フィルムと表面が塗装
された金属片(15mm×100mm)とを以下に示す
粘着剤を用いて貼り合わせ、40℃で2日間エージング
し、粘着剤が完全に乾固後、界面での90度の剥離強度
を引っ張り試験機で評価し、その結果を表3(実施例1
〜8)及び表4(比較例1〜6)に示した。アクリル系
共重合体(アクリル酸n−ブチル98重量部、アクリル
酸2重量部及び重合開始剤といてラウロイルパーオキサ
イド0.5重量部を酢酸エチルに溶解し、N2 雰囲気
下、酢酸エチルの還流温度下で8時間反応させて重合し
たのち酢酸エチルを揮発除去したもの)100重量部に
酢酸エチルを35重量部及びエポキシ系架橋剤(商品
名:テトラッド X、三菱瓦斯化学(株)製)を0.1
重量部混合した粘着剤。
【0085】表1〜4の結果から、実施例1〜8は、
(A)層が、組成物(a)から構成され、かつ [η]RC=1.7〜2.8dl/g; [η]RC/[η]PP=0.7〜1.2; ([η]RC/[η]PP)×(WPP/WRC)=1.0〜3.
0; 非晶性RCのエチレン含有量=25〜55重量%;かつ
「WRC−A」=22〜40重量%の範囲にあり、
(B)層が、相関式(1):0.5<「WRC−B」/
「WRC−A」<1.0を満足する「WRC−B」を有
した組成物(b)からなるために、接着性および引き裂
き強度が良好であることがわかる。
【0086】これに対し、(A)層が本発明の組成物
(a)で構成されても、「WRC−B」/「WRC−
A」が1.0以上の場合(比較例1、2)接着力の低下
がみられ、0.5以下の場合(比較例3)引き裂き強度
の低下が認められる。
【0087】また、(A)層が本発明の組成物(a)で
構成されていない、比較例4〜6では以下の結果を得
た。尚、比較例5は、形式的に相関式(1)を満足して
いるだけである。(A)層において、非晶性RCの
[η]RCおよび([η]RC/[η]PP)×(WPP/WRC
が本発明の範囲よりも大きい組成物を用いた比較例4で
は、接着力の低下と引き裂き強度の低下が認められ、ま
た、(A)層において、非晶性RCの[η]RCおよび
[η]RC/[η]PPが本発明の範囲よりも小さい組成物
を用いた比較例5では、接着力の低下が認められる。ま
た、(A)層において、非晶性RCのWRCが小さく、
かつ([η]RC/[η]PP)×(WPP/WRC)が本発明の
範囲よりも大きい組成物を用いた比較例6では引き裂き
強度の低下が認められる。
【0088】以上のように、本発明で規定した多層フィ
ルムは接着剤の塗工性と引き裂き強度に優れるという効
果を発揮するが、比較例で示した多層フィルムは何れか
の点で劣っていることが判る。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
【発明の効果】本発明の多層フィルムは、接着剤の塗工
性が良好で接着力が強く、更に引き裂き強度が優れた特
性を有している。従って、本発明は、金属表面の保護に
使用されるプロテクトフィルムに好適に用いることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリプロピレン系組成物を得るための連続重合
装置のフローシートを示す。
【符号の説明】
1,10 重合器 2 循環配管 3 原料プロピレン配管 4,8 未反応ガス配管 5,9 重合体抜き出し配管 6 原料混合ガス配管 7 活性抑制剤導入配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 釘宮 陽一 千葉県市原市草刈1850番地の1ちはら台4 −10−2 Fターム(参考) 4F100 AK07A AK07B AK07C AK07J AK08B AK08C AK08J AK64A AK64B AK64C AL01B AL01C AL05A BA03 BA08 BA10B BA10C BA14 BA27 BA31 GB32 GB90 JA04A JA04B JA04C JA11A JA11B JA11C JA12A JA12B JA12C JK03 JL11 JL14 YY00A YY00B YY00C 4J002 BB12W BB14X BB15X GF00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(B)/(A)/(B)の3層構造からな
    る多層フィルムの各層が、プロピレンホモポリマー(P
    Pという)およびエチレン−プロピレンコポリマー(R
    Cという)からなるポリプロピレン系組成物であって、
    (A)層は、結晶性PPおよび非晶性RCからなるポリ
    プロピレン系組成物(a)からなり、該組成物(a)
    は、 [η]RC=1.7〜2.8dl/g; [η]RC/[η]PP=0.7〜1.2; ([η]RC/[η]PP)×(WPP/WRC)=1.0〜3.
    0; 非晶性RCのエチレン含有量=25〜55重量%;かつ
    「WRC−A」=22〜40重量%の範囲にあり、
    (B)層は、「WRC−B」が以下の相関式(1)を満
    足するポリプロピレン系組成物(b)からなることを特
    徴とするポリプロピレン系プロテクトフィルム。 0.5<「WRC−B」/「WRC−A」<1.0……相関式(1) ([η]RC:非晶性RCの極限粘度、[η]PP:結晶性
    PPの極限粘度、WPP:結晶性PPの重量、WRC:非晶性
    RCの重量、「WRC−A」:該組成物(a)に対する
    非晶性RCの重量%、「WRC−B」:該組成物(b)
    に対する非晶性RCの重量%)
  2. 【請求項2】(B)層を構成する前記組成物(b)が、
    (A)層を構成する前記組成物(a)50〜99重量%
    と結晶性PPおよび/またはプロピレンとα−オレフィ
    ンとの結晶性コポリマー(c)1〜50重量%を配合し
    たポリプロピレン系組成物であることを特徴とする請求
    項1記載のポリプロピレン系プロテクトフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6872447B1 (en) * 1999-07-14 2005-03-29 Nichiban Company Limited Surface-protective pressure-sensitive adhesive sheet
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