JP2000001769A - 金属蒸着フィルム及び金属蒸着多層フィルム - Google Patents

金属蒸着フィルム及び金属蒸着多層フィルム

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JP2000001769A
JP2000001769A JP17178998A JP17178998A JP2000001769A JP 2000001769 A JP2000001769 A JP 2000001769A JP 17178998 A JP17178998 A JP 17178998A JP 17178998 A JP17178998 A JP 17178998A JP 2000001769 A JP2000001769 A JP 2000001769A
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polypropylene
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copolymer
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Shinji Nakada
伸二 中田
Chikashi Okayama
千加志 岡山
Shinichi Akitaya
真一 秋田谷
Takanori Nakajima
隆則 中島
Yoichi Kugimiya
陽一 釘宮
Taketo Hirose
健人 広瀬
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Original Assignee
Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ポリプロピレン系樹脂フィルムを基材とし、
フィルム基材と金属蒸着膜との間の蒸着強度が高く、金
属蒸着面の印刷性・ラミネート性にも優れた金属蒸着フ
ィルム。 【解決手段】 プロピレンホモポリマー及びエチレン−
プロピレンコポリマーからなり下記a)〜e)を満たす
ポリプロピレン系組成物を主原料として形成されるフィ
ルム基材の少なくとも片面に金属が蒸着されてなる金属
蒸着フィルム a)コポリマーの極限粘度[η]RCが1.7〜2.8dl/g; b)コポリマーとホモポリマーの極限粘度比[η]RC
[η]PPが0.7〜1.2; c)コポリマーとホモポリマーの極限粘度比[η]RC
[η]PPとそれらの重量比W PP/WRCとの積([η]RC
[η]PP)×(WPP/WRC)が1.0〜3.0; d)コポリマーにおけるエチレンの含有量がコポリマー
全量に対して25〜55重量%;かつ、 e)組成物におけるコポリマーの含有量が組成物全量に
対して22〜40重量%。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属蒸着フィルム及
び金属蒸着多層フィルムに関し、詳しくは、特定のポリ
プロピレン系組成物を主原料としたフィルム基材の少な
くとも片面に金属蒸着を施した金属蒸着フィルムであ
り、フィルム基材と金属蒸着膜との間の蒸着強度が高
く、蒸着面の印刷性や他フィルムとの接着性にも優れた
金属蒸着フィルム、及び金属蒸着多層フィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチックフィルムに真空下で
金属を蒸着させた金属蒸着プラスチックフィルムは、そ
の優れた装飾性、ガスバリヤー性、光線遮断性等が活用
されて、既存の金銀糸、建築材料等の素材から食品を主
な対象とする包装材に至る広い範囲に用途が拡大されて
いる。特にアルミニウム蒸着プラスチックフィルムは包
装材用途を中心に広範囲に使用されているが、包装材用
の場合、蒸着面(アルミニウム面)に印刷や他フィルム
とのラミネート等を施して使用するケースが殆どであ
る。
【0003】ところで、ポリプロピレン系フィルム(こ
こで、「ポリプロピレン系」とは、プロピレンの単独重
合体の他に、プロピレンを主成分とするこれとエチレン
または他のα−オレフィンとの共重合体をも包含してい
ることを意味する)はプラスチックフィルムの主要なも
のであり、従来からポリプロピレン系フィルムをベース
フィルムとする金属蒸着ポリプロピレン系フィルムは、
上記諸用途に多量に使用されてきた。しかしながら、こ
の金属蒸着ポリプロピレン系フィルムは、ベースフィル
ムと蒸着膜との接着強度すなわち蒸着強度が低く、また
蒸着金属がアルミニウムの場合は蒸着面の印刷性や他フ
ィルムとの接着性(以下、ラミネート性と言うことがあ
る)が著しく低いことから、印刷やラミネート等が必要
な用途には使用できず、用途開発上の大きな障害となっ
ていた。
【0004】更に、蒸着強度の強い低密度ポリエチレン
系のプラスチックフィルムでは、フィルム表面が粗面化
して金属蒸着面の光沢度が低く、美麗な金属光沢感を呈
する金属蒸着プラスチックフィルムを得ることは出来な
かった。
【0005】ポリプロピレン系樹脂のフィルムで、蒸着
強度の低い原因はポリプロピレン系樹脂が本質的に有す
る不活性にあり、また蒸着面の印刷性・ラミネート性の
低い原因としては、ポリプロピレン系樹脂中に添加され
ている中和剤、スリップ剤、酸化防止剤等が表面に移行
し、これらが蒸着面側では更に蒸着層を通過して滲出
し、反対面側では巻き重ねられたときに蒸着面に転写さ
れることが挙げられる(特公昭58-49574号及び特開昭59
-25829号参照)。後者の原因を更に説明すると、添加物
のうち中和剤として使用される脂肪酸誘導体、特にステ
アリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム等の高級
脂肪酸塩やオレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エ
ルカ酸アミド等の高級脂肪酸アミドは、その含有率が0.
01重量%前後の微量な場合でも、蒸着面(アルミニウム
面)のぬれ指数を33dyn/cm以下に低下させ、蒸着面への
印刷やラミネート接着が不可能な状態となる。
【0006】従来、このような問題点を解決するために
種々の提案がなされている。例えば蒸着強度を高めるた
めの方法としては、フィルム面を物理的または化学的に
粗面化する方法、コロナ放電やガス炎や放射線照射等に
よりフィルム表面を酸化して極性基を付与する方法、あ
るいはフィルム面に接着性材料をコートする方法等が知
られている。しかしながらフィルム面を粗面化または酸
化する方法は、いずれも単独では蒸着強度はなお不充分
であり、また接着性材料をコートする方法は、コートに
先立ちフィルム面を物理的または化学的に前処理してお
く必要があって工程が複雑となり、蒸着フィルムのコス
トが高くなるといった欠点があった。
【0007】また、蒸着強度と共に蒸着面の印刷性・ラ
ミネート性を改善するための方法として、ポリプロピレ
ンに無水マレイン酸等をグラフト重合させたグラフト化
ポリプロピレンをポリプロピレンに配合した混合ポリマ
ーから得たフィルムをベースフィルムとして用いること
も知られている(特開昭50-61469号、特公昭58-49574号
参照)。しかしながら、この場合も上記と同様にフィル
ムコストが高くなり、更にベースフィルム中に残存する
未反応マレイン酸や熱分解により生成した分解物により
臭気が強く、食品包装に使用した場合内容物に異臭が移
行するといった欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の欠点を解消するためになされたものであり、ポリプ
ロピレン系樹脂フィルムをフィルム基材とする金属蒸着
プラスチックフィルムにおいて、フィルム基材と金属蒸
着膜との間の蒸着強度が高く、金属蒸着面の印刷性・ラ
ミネート性にも優れた金属蒸着フィルム、及び金属蒸着
多層フィルムを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、プロピレンの
ホモポリマーおよびエチレン−プロピレンのコポリマー
からなるポリプロピレン系組成物であって、コポリマー
が特定の極限粘度を有し、ホモポリマーとコポリマーの
極限粘度の比およびそれらの重量比が特定の範囲にある
ポリプロピレン系組成物を主原料として形成されるプラ
スチックフィルム基材に金属蒸着を施した金属蒸着フィ
ルムは、フィルム基材と金属蒸着膜との間の蒸着強度が
高く、金属蒸着面の印刷性・ラミネート性にも優れるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、ポリプロピレン系組
成物を主原料として形成されるフィルム基材の少なくと
も片面に金属が蒸着されてなる金属蒸着フィルムであっ
て、前記ポリプロピレン系組成物がプロピレンのホモポ
リマーおよびエチレン−プロピレンのコポリマーからな
り下記a)〜e)の性質を有することを特徴とする金属
蒸着フィルム(以下、「第1の態様の金属蒸着フィル
ム」ということもある)を提供するものである。 a)コポリマーの極限粘度[η]RCが1.7〜2.8dl/g; b)コポリマーとホモポリマーの極限粘度比[η]RC
[η]PPが0.7〜1.2; c)コポリマーとホモポリマーの極限粘度比[η]RC
[η]PPとそれらの重量比W PP/WRCとの積([η]RC
[η]PP)×(WPP/WRC)が1.0〜3.0; d)コポリマーにおけるエチレンの含有量がコポリマー
全量に対して25〜55重量%;かつ、 e)組成物におけるコポリマーの含有量が組成物全量に
対して22〜40重量%。
【0011】上記本発明の金属蒸着フィルムのフィルム
基材主原料であるポリプロピレン系組成物が含有するホ
モポリマーについては、アイソタクチックペンタッド分
率Pが0.95以上であることが好ましい。
【0012】また、上記本発明の金属蒸着フィルムのフ
ィルム基材主原料であるポリプロピレン系組成物が含有
するエチレン−プロピレンコポリマーにおいては、コポ
リマー全量に対して80重量%以上の割合で20℃キシ
レン可溶成分を含有することが好ましい。
【0013】さらに、上記本発明の金属蒸着フィルムの
フィルム基材主原料であるポリプロピレン系組成物にお
けるQ値(Mw/Mn)は、5以下であることが好ましい。
【0014】本発明は、さらに、プロピレンのホモポリ
マーおよびエチレン−プロピレンのコポリマーからなり
上記a)〜e)の性質を有するポリプロピレン系組成物
を原料全量に対して1〜99重量%、および、下記に
示すポリプロピレンおよび/または下記に示すポリプ
ロピレンを原料全量に対して99〜1重量%、配合して
なるフィルム原料から形成されるフィルム基材の少なく
とも片面に金属が蒸着されてなる他の態様の金属蒸着フ
ィルム(以下、「第2の態様の金属蒸着フィルム」とい
うこともある)を提供するものである。 プロピレンのホモポリマーからなり、密度が0.89
〜0.91g/cm3、結晶融点が165〜160℃であるポ
リプロピレン; プロピレンとエチレンもしくは炭素数が4以上のα−
オレフィンとのコポリマーまたはエチレン−プロピレン
−1−ブテンのタポリマーからなり、密度が0.89〜
0.91g/cm3、結晶融点が159〜110℃であるポリ
プロピレン。
【0015】また、本発明は、プロピレンのホモポリマ
ーおよびエチレン−プロピレンのコポリマーからなり上
記a)〜e)の性質を有するポリプロピレン系組成物か
ら形成されるフィルム層、および、上記に示すポリプ
ロピレンおよび/または上記に示すポリプロピレンか
ら形成されるフィルム層を有し、少なくとも片方の表面
層が前記ポリプロピレン系組成物から形成されるフィル
ム層からなる多層フィルム基材の、前記ポリプロピレン
系組成物から形成されるフィルム層表面に金属が蒸着さ
れてなる金属蒸着多層フィルムを提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】(1)金属蒸着フィルム (A)第1の態様の金属蒸着フィルム 本発明の第1の態様の金属蒸着フィルムは、ポリプロピ
レン系組成物を主原料として形成されるフィルム基材の
少なくとも片面に金属が蒸着されてなる金属蒸着フィル
ムであって、前記ポリプロピレン系組成物がプロピレン
のホモポリマーおよびエチレン−プロピレンのコポリマ
ーからなり上記a)〜e)の性質を有することを特徴と
する。まず、本発明の第1の態様の金属蒸着フィルムに
用いるポリプロピレン系組成物について説明する。
【0018】(i)ポリプロピレン系組成物 本発明に用いるポリプロピレン系組成物は、プロピレン
のホモポリマーおよびエチレン−プロピレンのコポリマ
ーからなる。前記ポリプロピレン系組成物の構成成分の
ひとつであるプロピレンホモポリマーは、アイソタクチ
ックペンタッド分率Pが好ましくは0.95以上、更に
好ましくは0.955以上の高結晶性(立体規則性)ポ
リプロピレンである。ホモポリマーのアイソタクチック
ペンタッド分率Pは、組成物の剛性などの機械的特性に
影響し、その値が大きいほど剛性は大きくなり、フィル
ム基材を作製する際の製膜性やフィルム基材にアルミニ
ウム等の金属を蒸着する工程での作業性や生産性が向上
する。
【0019】一方、エチレン−プロピレンコポリマー
は、コポリマー全量に対して25〜55重量%、好まし
くは30〜55重量%のエチレン重合単位を含有するエ
チレン−プロピレンランダム共重合体である。該コポリ
マーのエチレン重合単位は、組成物の剛性及び蒸着強度
に影響し、エチレン重合単位が大きいほど蒸着強度が強
くなるが、大きすぎるとエチレン−プロピレンコポリマ
ー成分のプロピレンホモポリマー成分への分散性に影響
し、得られる金属蒸着フィルムの輝度・光沢度が低下
し、金属光沢が必要な金属蒸着フィルムを生産する場合
は好ましくない。
【0020】また、該コポリマー成分は、135℃のテ
トラリン中で測定した極限粘度[η] RCが1.7〜2.8dl
/g、好ましくは、1.7〜2.6dl/gの範囲にあり、かつ
プロピレンホモポリマーの同一条件で測定した極限粘度
[η]PPとの間の極限粘度比[η]RC/[η]PPが0.7〜1.
2、好ましくは0.8〜1.2の範囲にある。
【0021】ここで、後述する様に上記プロピレンホモ
ポリマー及びエチレン−プロピレンコポリマーを連続的
に製造して、より具体的には、第一段階でプロピレンホ
モポリマーを製造(第1重合工程)し、続く第二段階で
プロピレン−エチレンのコポリマーを連続的に製造(第
2重合工程)して、ポリプロピレン系組成物を得る場
合、該組成物中のエチレン−プロピレンコポリマーの極
限粘度[η]RCは、直接測定できない。しかし、この様な
場合には、前記極限粘度[η]RCは、直接測定可能なプロ
ピレンのホモポリマーの極限粘度[η]PPおよび得られた
ポリプロピレン系組成物全体の極限粘度[η]WHOLE、な
らびに、ポリプロピレン系組成物における前記コポリマ
ー成分の重量%WRCから、下記式(1)により求めるこ
とができる。
【0022】
【数1】 [η]RC={[η]WHOLE−(1−WRC/100)[η]PP]/(WRC/100) (1) エチレン−プロピレンコポリマーの極限粘度[η]RCは、
これを含むポリプロピレン系組成物を用いてフィルム基
材を製造する際の製膜性及び得られるフィルム基材の剛
性などの機械的特性に影響する。また、エチレン−プロ
ピレンコポリマーとプロピレンホモポリマーの極限粘度
比[η]RC/[η]PPは、ポリプロピレン系組成物における
コポリマーのホモポリマーへの分散性に影響を与え、こ
れにより、フィルム基材表面とここに蒸着された金属蒸
着膜との間の蒸着強度が決定される。上記エチレン−プ
ロピレンコポリマーの極限粘度[η]RCが大きいほど機械
的特性が向上するが、これとプロピレンホモポリマーと
の極限粘度比[η]RC/[η] PPが、上記範囲を外れて大き
すぎても、小さすぎても蒸着強度が不足し目的とする特
性を十分に達成できない。また、上記極限粘度[η]
RCが、上記範囲を外れて大きすぎると、得られる金属蒸
着フィルムの光沢度が低下することがあるので、表面光
沢を有する金属蒸着フィルムを目的とする場合は好まし
くない。
【0023】上記本発明に用いるエチレン−プロピレン
コポリマーは、重量基準で好ましくは80重量%以上、
更に好ましくは85重量%以上の20℃キシレン可溶成
分を含有する。
【0024】また、上記極限粘度と同様に、プロピレン
のホモポリマー及びエチレン−プロピレンコポリマーを
連続的に製造してポリプロピレン系組成物を得る場合、
得られる組成物中のエチレン−プロピレンコポリマーの
20℃キシレン可溶成分重量%CXSRCは直接測定でき
ないが、ホモポリマーの20℃キシレン可溶成分重量%
CXSPPおよび組成物全体の20℃キシレン可溶成分重
量%CXSWHOLEは測定可能であるので、これらの測定
結果とポリプロピレン系組成物における前記コポリマー
の重量%WRCから下記式(2)により、上記CXSRCを求
めることができる。
【0025】
【数2】 CXSRC={CXSWHOLE−(1−WRC/100)CXSPP]/(WRC/100) (2) 本発明に用いるポリプロピレン系組成物において、ホモ
ポリマーとコポリマーとの重量比WPP/WRCは、前記し
た両成分の極限粘度比[η]RC/[η]PPとの積として、
([η]RC/[η]PP)×(WPP/WRC)が1.0〜3.0、好
ましくは1.5〜3.0の範囲である。
【0026】成分重量比と極限粘度比との積は、その値
が小さくなると蒸着強度は改善されるが、剛性の低下が
大きくなり、一方、大きくなると目的とする蒸着強度の
改善効果が得られない。
【0027】本発明に用いるポリプロピレン系組成物の
具体的な組成としては、重量基準でエチレン−プロピレ
ンコポリマー成分の組成物全量に対する割合で、22〜
40重量%、好ましくは25〜40重量%の範囲が挙げ
られる。
【0028】また、上記ポリプロピレン系組成物は、M
w/Mn(ここで、Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分
子量である)で示されるQ値が、好ましくは5以下、更
に好ましくは4.5以下であるような狭分散性分子量分
布を有することが好ましい。Q値が上記範囲を越えよう
な分子量分布幅が大きいポリプロピレン系組成物を用い
ると、出来上がりの金属蒸着フィルムの光沢が低下する
ことがある。
【0029】本発明に用いる該ポリプロピレン系組成物
におけるメルトフローレート(MFR;230℃、荷重
21.18Nで測定)は、これを用いてフィルム基材を
成形する際の成形性、及び得られるフィルム基材の外観
の点から、0.1〜50g/10分の範囲にあることが好
ましく、1〜20g/10分の範囲にあることが更に好ま
しい。
【0030】(ii)ポリプロピレン系組成物の製造方法 本発明に用いるポリプロピレン系組成物は、上記の諸特
性を満足すればいかなる方法で製造してもよく、勿論、
別々に製造された上記特性を有するプロピレンのホモポ
リマーとエチレン−プロピレンのコポリマーを混合装置
を用いて混合する等してポリプロピレン系組成物を製造
してもよく、プロピレンのホモポリマーを製造し、引き
続きエチレン−プロピレンのコポリマーを製造するとい
うようにポリプロピレン系組成物を連続的に製造しても
よい。
【0031】この様に、本発明に用いるポリプロピレン
系組成物の製造方法は特に制限されないが、より好適に
は、下記に示す製造方法を例示することができる。
【0032】すなわち、本発明に用いるポリプロピレン
系組成物の好適な製造方法は、大粒径のチタン含有固体
触媒成分(A)と有機アルミニウム化合物(B)および有機ケ
イ素化合物(C)からなる立体規則性触媒の存在下、気相
中において第一段階でプロピレンホモポリマーを製造し
(第1重合工程)、第二段階でプロピレン−エチレンの
コポリマーを連続的に製造する(第2重合工程)とい
う、構成的特徴を有する。
【0033】該製造方法において、チタン含有固体触媒
成分(A)はマグネシウム化合物、シリカ化合物およびア
ルミナ等の無機担体やポリスチレン等の有機担体にチタ
ン化合物を担持したもの、またかかる担持体に必要に応
じてエーテル類、エステル類等の電子供与性化合物を反
応せしめたものなら公知のどの様なものでも使用でき
る。
【0034】たとえば、マグネシム化合物−アルコール
溶液をスプレーし、該固体成分を部分乾燥し、しかる後
該乾燥固体成分をハロゲン化チタンおよび電子供与性化
合物で処理して成るチタン含有固体触媒成分(特開平3-
119003公報)、マグネシウム化合物をテトラヒドロフラ
ン/アルコール/電子供与体に溶解させ、TiCl4単独
または電子供与体の組み合わせで析出させたマグネシム
単体をハロゲン化チタンおよび電子供与性化合物で処理
して成るチタン含有固体触媒成分(特開平4-103604公
報)などが挙げられる。
【0035】チタン含有固体触媒成分(A)は、平均粒径
が25〜300μm、好ましくは30〜150μmのもの
が用いられる。チタン含有固体触媒成分(A)の平均粒径
が25μm以下では上記方法で製造されるポリプロピレ
ン系組成物のパウダーの流動性が著しく損なわれ、重合
器の器壁や攪拌翼等への付着による重合系内の汚染や重
合器から排出されたパウダーの搬送が困難になる等、安
定運転の大きな妨げとなる。
【0036】また、チタン含有固体触媒成分(A)は、正
規分布における均一度は2.0以下のものが好ましい。
均一度が2を越えるとポリプロピレン系組成物のパウダ
ー流動性が悪化して連続での安定運転が困難となる。
【0037】有機アルミニウム化合物(B)としては、一
般式がR1 m3-m(式中R1は、炭素数1〜20の炭化水
素基を、Xはハロゲン原子を表し、mは3≧m>1.5
の正数である)で表される有機アルミニウム化合物(B)
を用いることができる。
【0038】具体的には、トリメチルアルミニウム、ト
リエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウ
ム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−i−ブチル
アルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエ
チルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムセス
キクロライド、ジ−n−プロピルアルミニウムモノクロ
ライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチル
アルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムアイオ
ダイド、エトキシジエチルアルミニウム等を挙げること
ができ、好ましくはトリエチルアルミニウムを使用す
る。
【0039】これら有機アルミニウム化合物は1種の単
独あるいは2種以上の混合物として使用することができ
る。
【0040】有機ケイ素化合物(C)としては、一般式R2
X3 YSi(OR4)Z(式中R2およびR4は炭化水素基、R
3は炭化水素基あるいはヘテロ原子を含む炭化水素基を
表し、0≦X≦2、1≦Y≦3、1≦Z≦3かつX+Y
+Z=4である)で表される有機ケイ素化合物が使用さ
れる。
【0041】具体的にはメチルトリメトキシシラン、エ
チルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシ
ラン、フェニルメチルジメトキシシラン、t−ブチルト
リメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、フ
ェニルトリエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシ
ラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメ
トキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロ
ピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラ
ン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメ
トキシシラン、トリメチルメトキシシラン、シクロヘキ
シルメチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラ
ン等を挙げることができる。好ましくは、ジイソブチル
ジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、
ジ−t−ブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチ
ルジメトキシシランおよびジフェニルジメトキシシラン
が使用される。
【0042】これらの有機ケイ素化合物は1種の単独あ
るいは2種以上の混合物として使用することができる。
【0043】前記チタン含有固体触媒成分(A)、有機ア
ルミニウム化合物(B)および必要に応じて有機ケイ素化
合物(C)を組み合わせた立体規則性触媒を、第1重合工
程のプロピレン重合に用いるが、該チタン含有固体触媒
(A)は、適当なα−オレフィンを予め反応させて予備活
性化処理した触媒として用いることが好ましい。
【0044】チタン含有固体触媒成分(A)の予備活性化
処理においては、有機アルミニウム化合物(B')の使用量
は特に限定されるものではないが、通常チタン含有固体
触媒成分中のチタン原子1モルに対して0.1〜40モ
ル、好ましくは0.3〜20モルの範囲で用い、α−オ
レフィンを10〜80℃で10分〜48時間かけてチタ
ン含有固体触媒成分(A)1グラム当たり0.1〜100
グラム、好ましくは0.5〜50グラムを反応させる。
【0045】予備活性化処理においては、予め有機シラ
ン化合物(C')を有機アルミニウム化合物1モルに対して
0.01〜10モル、好ましくは0.05〜5モルの範
囲で用いてもよい。
【0046】上記の予備活性化処理に用いられる有機ア
ルミニウム(B')としては、本重合に用いられる前記例示
した有機アルミニウム(B)を挙げることができる。この
有機アルミニウム化合物(B')として、本重合時に使用さ
れる有機アルミニウム化合物(B)と同種のものまたは異
なる種類のものを使用できるが、好ましくはトリエチル
アルミニウムを用いる。
【0047】また、予備活性化処理に必要に応じて用い
られる有機ケイ素化合物(C')としては、前記例示した有
機ケイ素化合物(C)と同種のものを挙げることができ
る。この有機ケイ素化合物(C')としても、本重合に使用
される有機ケイ素化合物(C)と同種のものでも、また異
なるものでも使用でき、好ましくは、ジイソブチルジメ
トキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ−
t−ブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジ
メトキシシランおよびジフェニルジメトキシシランを用
いる。
【0048】チタン含有固体触媒成分(A)の予備活性化
処理に用いられるα−オレフィンは、エチレン、プロピ
レン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−
オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセ
ン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコ
セン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペ
ンテン等である。これらのα−オレフィンは、単独のみ
ならず、他のオレフィンの1種または2種以上の混合物
をも含んでいてもよい。また、その重合に際してポリマ
ーの分子量を調節するために水素等の分子量調節剤を併
用することもできる。
【0049】チタン含有固体触媒成分(A)の予備活性化
処理に用いられる不活性溶剤は、ヘキサン、ヘプタン、
オクタン、デカン、ドデカンおよび流動パラフィン等の
液状飽和炭化水素やジメチルポリシロキサンの構造を持
ったシリコンオイル等重合反応に著しく影響を及ぼさな
い不活性溶剤である。これらの不活性溶剤は1種の単独
溶剤または2種以上の混合溶剤のいずれでもよい。
【0050】これらの不活性溶剤の使用に際しては重合
に悪影響を及ぼす水分、イオウ化合物等の不純物は取り
除いた後で使用することが好ましい。
【0051】上記予備活性化処理されたチタン含有固体
触媒成分(A)の存在下に、気相中においてプロピレンの
ホモポリマーを重合する第1重合工程、次いでエチレン
−プロピレンの共重合を行う第2重合工程を連続実施す
る。
【0052】第1重合工程は気相重合には限定されずス
ラリー重合や塊状重合を採用してもよいが、それに連続
する第2重合工程が気相重合であることが好ましいこと
から、第1重合工程も気相重合を採用することが好まし
い。第2重合工程としてスラリー重合や塊状重合を採用
した場合、得られるエチレン−プロピレンコポリマー成
分が溶液中に溶出し、安定運転の継続が困難となる。
【0053】プロピレンホモポリマーの重合条件は重合
形式で異なるが、気相重合法の場合、一定量のパウダー
を混合撹拌しながら予備活性化処理されたチタン含有固
体触媒成分(A)、有機アルミニウム成分(B)および有機ケ
イ素化合物(C)からなる立体規則性触媒の存在下、重合
温度20〜120℃、好ましくは40〜100℃、重合
圧力大気圧〜9.9MPa、好ましくは0.59〜5.0
MPaの条件下にプロピレンを供給してプロピレンホモポ
リマーの重合を行う。有機アルミニウム化合物(B)とチ
タン含有固体触媒成分(A)の使用率はAl/Ti=1〜5
00(モル比)、好ましくは10〜300である。この場
合、チタン含有固体触媒成分(A)のモル数とは実質的に
チタン含有固体触媒成分(A)中のTiグラム原子数をい
う。
【0054】有機ケイ素化合物(C)と有機アルミニウム
成分(B)の使用率は、B/C=1〜10(モル比)、好ましく
は1.5〜8である。
【0055】B/Cのモル比が過大な場合、プロピレンホ
モポリマー成分の結晶性が低下し、ポリプロピレン系組
成物の剛性が不十分となる。また、B/Cモル比が過小な
場合には重合活性が著しく低下し、生産性が低下する。
【0056】プロピレンホモポリマーの分子量の調節に
は、重合時に水素のような分子量調節剤の使用が可能で
あり、プロピレンホモポリマーの極限粘度が本発明の要
件を満たすように実施される。プロピレンホモポリマー
を重合後、生成したパウダーの一部を抜き出し、極限粘
度、メルトフローレート、20℃キシレン可溶成分量お
よびアイソタクチック分率(P)の測定ならびに触媒単
位重量当たりの重合収量の測定に供する。
【0057】第1重合工程のプロピレンホモポリマーの
重合に引き続いて、重合温度20〜120℃、好ましく
は40〜100℃、重合圧力大気圧〜9.9MPa、好ま
しくは0.59MPa〜5.0MPaの条件下でエチレンと
プロピレンの混合モノマーを共重合してエチレン−プロ
ピレンコポリマーを生成させる第2重合工程を実施す
る。前記コポリマー中のエチレン単位含有量はコモノマ
ーガス中のエチレンモノマーとプロピレンモノマーのガ
スモル比を制御して、得られるエチレン−プロピレンコ
ポリマー中のエチレン単位含有量が25〜55重量%、
好ましくは30〜55重量%になるように調節する。
【0058】一方、プロピレンホモポリマーの重量に対
するエチレン−プロピレンコポリマーの重量は、重合時
間の調節や一酸化炭素や硫化水素等の触媒の重合活性調
節剤を使用して、前記コポリマーの重量が22〜40重
量%、好ましくは25〜40重量%になるよう調節す
る。さらにエチレン−プロピレンコポリマー成分の分子
量は、前記コポリマー成分の極限粘度が上記本発明に用
いるポリプロピレン系組成物の要件を満たすように、水
素のような分子量調節剤をエチレン−プロピレン共重合
時に加えて調節する。また、水素の供給方法は得られる
ポリプロピレン系組成物のQ値(Mw/Mn)が本発明の
要件を満たす様に供給される。
【0059】重合方式は、回分式、反連続式あるいは連
続式のいずれでも採用できるが、工業的には連続式重合
が好ましい。
【0060】第2重合工程の終了後に、重合系から未反
応モノマーを除去することにより、本発明に用いるプロ
ピレンのホモポリマーおよびエチレン−プロピレンのコ
ポリマーからなり、上記a)〜e)の性質を有するポリ
プロピレン系組成物を、粒子状ポリマーとして得ること
ができる。得られたポリプロピレン系組成物は極限粘度
の測定、メルトフローレート、20℃キシレン可溶成分
量、Q値(Mw/Mn)の測定およびエチレン含量の測定
ならびに触媒単位重量当たりの重合収量の測定等に供す
る。
【0061】(iii)フィルム基材 この様にして得られるポリプロピレン系組成物が、本発
明の第1の態様の金属蒸着フィルムのフィルム基材を形
成する主原料として用いられる。
【0062】本発明の第1の態様の金属蒸着フィルムに
用いられるフィルム基材は、上記ポリプロピレン系組成
物のみで構成されていてもよいし、前記ポリプロピレン
系組成物と必要に応じて適宜選択される任意成分とで構
成されていてもよい。この様な任意成分として、具体的
には、上記ポリプロピレン系組成物以外のポリマー組成
物、酸化防止剤、充填剤、滑剤、ブロッキング防止剤等
を挙げることができる。これら、任意成分は、本発明の
目的を損なわない範囲の含有量で上記フィルム基材に適
宜含有させることが出来る。なお、得られる金属蒸着フ
ィルムにおける、金属蒸着膜の蒸着強度、金属蒸着面へ
の印刷性、金属蒸着面を介して他の素材をラミネートし
た場合のラミネート強度に代表されるラミネート性等を
低下させないためには、脂肪酸及び脂肪酸形成基を含有
する誘導体等は用いないことが望ましい。
【0063】上記任意成分として、より具体的には、上
記ポリプロピレン系組成物以外のポリマー組成物につい
ては、ポリエチレン系組成物等を挙げることができる。
【0064】さらに、上記ポリエチレン系組成物とし
て、好ましくは、密度が0.930g/cm3以上である
ポリエチレン系組成物が挙げられる。例えば、この様な
ポリエチレン系組成物を、上記ポリプロピレン系組成物
100重量部に対して1〜10重量部の範囲で、上記フ
ィルム基材原料に配合すれば、得られる金属蒸着フィル
ムは、本発明の課題である蒸着強度の向上が達成され、
美麗な光沢感を有するとともに、蒸着面の印刷性、ラミ
ネート性に加えて、スリップ性や耐ブロッキング性に優
れたものとなり、特に有効である。
【0065】本発明において、密度が0.930g/cm
3以上のポリエチレン系組成物が好ましく用いられる理
由は、該密度が0.930g/cm3未満では、得られる
フィルム基材のスリップ性や耐ブロッキング性の改善効
果が見られないことがあるからである。また、フィルム
基材原料へのポリエチレン系組成物の配合量について、
ポリプロピレン系組成物100重量部に対して1〜10
重量部にすることが好ましい理由は、該配合量が1重量
部未満では得られるフィルム基材のスリップ性や耐ブロ
ッキング性の改善効果が見られず、また10重量部を超
えると金属蒸着フィルムとした際の光沢が低下するため
である。
【0066】また、金属光沢の優れた金属蒸着フィルム
を得るためには、上記ポリプロピレン系組成物のメルト
フローレート(MFR−PP)とポリエチレン系組成物
のメルトフローレート(MFR−PE)の比が以下の関
係式で表されるような、ポリエチレン系組成物を選択し
て用いることが特に望ましい。
【0067】
【数3】0.5≦MFR−PE/MFR−PP ここで、メルトフローレートとは、JIS K 721
0に基づき、ポリプロピレン系組成物(MFR−PP)
については試験条件14(230℃、2.16kgf)
で、ポリエチレン系組成物(MFR−PE)については
試験条件4(190℃、2.16kgf)で、それぞれ測
定した値(単位:g/10min)をさす。
【0068】さらに、上記で用いるポリエチレン系組成
物としては、高密度ポリエチレンあるいは直鎖状低密度
ポリエチレンが特に好ましい。
【0069】上記フィルム基材の任意成分として用いら
れる酸化防止剤として、具体的には、分子量が500以
上のリン系およびフェノール系のものが特に望ましい。
【0070】より具体的には、テトラキス−〔メチレン
−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5−ト
リメチル−2,4,6,−トリス(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5
−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−
ジメチルベンジル)イソシアヌレート、6−〔4−ヒド
ロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−
ビス−(n−オクチルチオ)−1,3,5−トリアジ
ン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ
−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌ
レート、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)4,4’−ビフェニレン−ジフォスフォナイト、ト
リス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファ
イト等を挙げることが出来、これらを単独で、または二
種以上を併用することが可能である。
【0071】また、上記フィルム基材原料における酸化
防止剤の含有量は、ポリプロピレン系組成物100重量
部に対して0.03〜0.30重量部程度が適当であ
る。上記酸化防止剤をフィルム基材原料に含有させれ
ば、フィルム基材成形時およびフィルム基材使用時の安
定性の向上にきわめて有効である。
【0072】また、上記充填剤として、具体的には、炭
酸カルシウム、シリカ、クレー、タルク、ハイドロタル
サイト、ゼオライト類等の無機充填剤、ポリメチルシル
セスキオキサン、ポリメチルメタクリレート架橋体、ポ
リスチレン架橋体等の有機充填剤のいずれも用いること
が出来る。
【0073】これら上述した任意成分の適量と該ポリプ
ロピレン系組成物とを混合することにより、本発明の第
1の態様の金属蒸着フィルムに用いるフィルム基材を成
形するためのフィルム基材原料が得られる。前記混合の
方法としては、上記各原料成分が均一に分散する方法で
あればいずれでも良いが、リボンブレンダー、ヘンシェ
ルミキサー(商品名)等で混合し、その混合物を押出機
等で溶融混練する方法が好ましい。
【0074】上記フィルム基材原料から本発明に用いる
フィルム基材が成形されるが、その成形法として、例え
ば、通常のT−ダイ法またはインフレーション法等が挙
げられる。これらの方法で得られる一軸延伸フィルム或
いは二軸延伸フィルムは勿論のこと、その他一般的な方
法で得られる未延伸フィルムについても、本発明の第1
の態様の金属蒸着フィルムに用いるフィルム基材とする
ことが出来る。また、延伸フィルムよりなるフィルム基
材を得るための延伸方法としては、テンター方式による
逐次二軸延伸法やチューブラー方式による同時二軸延伸
法等が例示できる。
【0075】本発明に用いるフィルム基材の厚さは特に
限定されるものではなく、フィルム基材自体を作製する
際の成形性や金属蒸着フィルムとする際の作業性あるい
は、金属蒸着フィルムの用途等により適宜選択される
が、フィルム基材自体の成形性の点で10〜100μm
が好ましく、より好ましくは15〜70μmである。
【0076】この様にして得られるフィルム基材を、そ
のまま後述の金属蒸着に供することも出来るが、必要に
応じて、空気中または窒素、酸素等の特殊ガス雰囲気下
におけるコロナ放電処理、火炎処理等の表面処理により
フィルム基材表面のぬれ性を向上させて更に接着性を向
上させてから金属蒸着に供しても良い。
【0077】(iv)金属蒸着フィルム 本発明の第1の態様の金属蒸着フィルムは、上記フィル
ム基材の少なくとも片面に金属蒸着がなされたものであ
る。
【0078】本発明において上記フィルム基材に蒸着さ
せる金属としてはアルミニウムが最も一般的であるが、
金、銀、銅、ニッケル、クロム、ゲルマニウム、セレ
ン、チタン、スズ、亜鉛等の金属を蒸着させることも可
能である。本発明の第1の態様の金属蒸着フィルムにお
ける金属蒸着層の厚さは、特に制限されないが、通常5
0〜800オングストロームの範囲である。また、金属
蒸着面については、上記フィルム基材の両面とすること
も片面のみとすることも可能である。さらに、フィルム
基材各面について、全面に金属蒸着が施されていてもよ
いし部分蒸着であってもよい。また、金属蒸着面にさら
に着色することや保護用にトップコートすることも可能
である。
【0079】フィルム基材に金属蒸着を施す方法とし
て、例えば、長尺のプラスチックフィルム基材(通常ロ
ール巻形態)に金属蒸着を施す場合には、次に示す様な
一般的公知な真空蒸着法を挙げることができる。ロール
巻きフィルム基材の繰り出し部、蒸着部、及び巻取り部
を備えた真空蒸着装置内の真空度を10-4Torr以下に
し、この装置内でアルミニウム等の所望の金属を容器中
またはフィラメント状で加熱して該金属を溶解蒸発さ
せ、蒸着分子を繰り出されたフィルム基材表面に連続的
に蒸着させて巻き取る。このような真空蒸着装置を使用
する方法はバッチ式であって生産性を向上させる必要か
ら、最近では一本のフィルムロールが幅2m以上、長さ
1万−2万m巻の如く幅広、長尺巻化しており、従って
蒸着用の原反フィルムの高速蒸着性や巻姿等に対する要
求もよりシビアになっている。
【0080】上記説明の真空蒸着法以外にも種々の蒸着
法がある。本発明に用いることが可能な蒸着法として、
例えば、真空中で放電させたときに陰極を構成する金属
が飛散する現象を利用したスパッタリング蒸着や、イオ
ンプレーティングが挙げられる。
【0081】(B)第2の態様の金属蒸着フィルム 本発明の第2の態様の金属蒸着フィルムは、上記本発明
の第1の態様の金属蒸着フィルムにおけるポリプロピレ
ン系組成物を原料全量に対して1〜99重量%、およ
び、上記に示すポリプロピレン(以下、「第1のポリ
プロピレン」ということもある)および/または上記
に示すポリプロピレン(以下、「第2のポリプロピレ
ン」ということもある)を原料全量に対して99〜1重
量%、配合してなるフィルム原料から形成されるフィル
ム基材の少なくとも片面に金属が蒸着されてなることを
特徴とする。
【0082】本発明の第2の態様の金属蒸着フィルムの
フィルム基材に用いられる、本発明の第1の態様の金属
蒸着フィルムにおけるポリプロピレン系組成物について
は、上記(A)(i)に記載した通りである。
【0083】本発明の第2の態様の金属蒸着フィルムの
フィルム基材には、前記ポリプロピレン系組成物に加え
て、さらに、上記第1のポリプロピレンおよび第2のポ
リプロピレンがそれぞれ単独で、あるいはこれらの両方
が組み合わされて用いられる。
【0084】上記本発明に用いる第1のポリプロピレン
は、上記に示す通り、プロピレンのホモポリマーから
なり、密度が0.89〜0.91g/cm3、結晶融点が16
5〜160℃であるポリプロピレンである。本発明の第
2の態様の金属蒸着フィルムにおいて、フィルム基材が
上記第1のポリプロピレンを原料に含有する場合には、
このポリプロピレンの結晶融点が上述の通り165〜1
60℃であることから、得られるフィルム基材が剛性面
に優れるものとなる。
【0085】また、上記本発明に用いる第2のポリプロ
ピレンは、上記に示す通り、プロピレンとエチレンも
しくは炭素数が4以上のα−オレフィンとのコポリマー
またはエチレン−プロピレン−1−ブテンのタポリマー
からなり、密度が0.89〜0.91g/cm3、結晶融点が
159〜110℃であるポリプロピレンである。
【0086】上記第2のポリプロピレンがプロピレンと
炭素数が4以上のα−オレフィンとのコポリマーである
場合の炭素数が4以上のα−オレフィンとして、具体的
には、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オク
テン−1などが例示できる。また、上記第2のポリプロ
ピレンがプロピレンとエチレンもしくは炭素数が4以上
のα−オレフィンとのコポリマーである場合の成分組成
として、具体的には、エチレン−プロピレンコポリマー
を例にすれば、エチレン成分含有量が0.2〜10重量
%、プロピレン成分含有量が99.8〜90重量%程度
の成分組成を挙げることができる。また、上記エチレン
−プロピレン−1−ブテンのタポリマーとしては具体的
に、エチレン成分含有量が0.2〜10重量%、ブテン
−1成分含有量が0.4〜5重量%のエチレン−プロピ
レン−1−ブテンタポリマー等が例示できる。
【0087】上記第2のポリプロピレンの結晶融点は、
159〜110℃、好ましくは140〜110℃であ
る。本発明の第2の態様の金属蒸着フィルムに用いるフ
ィルム基材において、上記第2のポリプロピレンを原料
に含有する場合には、その結晶融点が上記範囲にあるこ
とから、得られるフィルム基材がヒートシール性に優れ
るものとなる。
【0088】さらに、本発明の第2の態様の金属蒸着フ
ィルムのフィルム基材に、第1のポリプロピレンおよび
第2のポリプロピレンがそれぞれ単独で、あるいはこれ
らの両方が組み合わされて用いられる場合の何れにおい
ても、用いる第1のポリプロピレンおよび/または第2
のポリプロピレンについてのメルトフローレート(23
0℃;21.18N)は、フィルム基材成形時の成形
性、得られるフィルムの外観の点から0.1〜50g/1
0分が好ましく、1〜20g/10分が更に好ましい。
【0089】上記第1のポリプロピレンを製造する方法
としては、上記物性を有するプロピレンホモポリマーが
得られる方法であればいかなる方法によってもよいが、
具体的には、少なくともマグネシウム、チタン及びハロ
ゲンを含有する複合体、周期律表第1乃至第3属金属の
有機金属化合物、並びに電子供与体とから形成される触
媒を用い、公知の重合方法でプロピレンを単独重合する
方法が例示できる。
【0090】また上記第2のポリプロピレンを製造する
方法としては、やはり、上記物性を有するプロピレンと
エチレンもしくは炭素数が4以上のα−オレフィンとの
コポリマーまたはエチレン−プロピレン−1−ブテンの
タポリマーが得られる方法であればいかなる方法によっ
てもよいが、具体的には、上記第1のポリプロピレンの
製造方法で例示した方法において、プロピレンを単独重
合する代わりにプロピレンとα−オレフィンを、あるい
は、エチレンとプロピレンと1−ブテンを共重合する方
法が例示できる。または、エチレン−プロピレン−1−
ブテンのタポリマーは、エチレン、プロピレン、1−ブ
テンから選ばれる2種からなるコポリマーを作製後、前
記コポリマー作製時に選ばれなかった1種をグラフト重
合させることによって製造することもできる。
【0091】この様にして得られる第1のポリプロピレ
ンおよび/または第2のポリプロピレンが、上記本発明
の第1の態様の金属蒸着フィルムにおけるポリプロピレ
ン系組成物とともに、本発明の第2の態様の金属蒸着フ
ィルムのフィルム基材を形成する原料として用いられ
る。
【0092】フィルム原料における前記ポリプロピレン
系組成物の含有量は原料全量に対して1〜99重量%で
あり、第1のポリプロピレンおよび/または第2のポリ
プロピレンの含有量は原料全量に対して99〜1重量%
である。
【0093】ここで、本発明の第2の態様の金属蒸着フ
ィルムに用いられるフィルム基材の原料は、上記ポリプ
ロピレン系組成物と第1のポリプロピレンおよび/また
は第2のポリプロピレンのみで構成されていてもよい
し、これらと必要に応じて適宜選択される任意成分とで
構成されていてもよい。この様な任意成分として、具体
的には、上記(A)(iii)の本発明の第1の態様の金
属蒸着フィルムに用いられるフィルム基材において、説
明したのと同様の任意成分を挙げることができる。
【0094】また、この様なフィルム基材成形のための
原料から本発明の第2の態様の金属蒸着フィルムのフィ
ルム基材を成形する方法についても、上記本発明の第1
の態様の金属蒸着フィルムに用いられるフィルム基材に
おいて説明したのと同様の方法を挙げることができる。
【0095】この際、フィルム基材原料が上記第1のポ
リプロピレンと第2のポリプロピレンをともに含有する
場合には、これらを、上記の様にして第1のポリプロピ
レンおよび第2のポリプロピレンとして各々別個に重合
して得られたものをそれぞれ原料に配合することも可能
であり、これらを溶融混練等によって混合して得られる
混合物のかたちで配合することもできる。さらに、上記
第1のポリプロピレンと第2のポリプロピレンとを多段
重合により連続的に重合した形態のものをフィルムの原
料に配合することも可能である。また、多段重合により
上記第1のポリプロピレンと第2のポリプロピレンとを
連続的に重合する方法として、具体的には、複数の重合
器を使用し、例えば1段目でプロピレン単独重合体を製
造し、2段目でプロピレン−α−オレフィン共重合体ま
たはエチレン−プロピレン−1−ブテンタポリマーを製
造する方法が例示できる。
【0096】また、上記本発明に用いるフィルム基材の
厚さは特に限定されるものではなく、フィルム基材自体
を作製する際の成形性や金属蒸着フィルムとする際の作
業性あるいは、金属蒸着フィルムの用途等により適宜選
択されるが、フィルム基材の成形性の点で10〜100
μmが好ましく、より好ましくは15〜70μmであ
る。
【0097】この様なフィルム基材に、必要に応じて、
上記本発明の第1の態様の金属蒸着フィルムのフィルム
基材と同様のコロナ放電処理、火炎処理等の表面処理が
施された後、その少なくとも片面に金属蒸着がなされ
る。前記フィルム基材への金属蒸着は、全面蒸着であっ
てもよいし部分蒸着であってもよい。金属蒸着に用いる
金属あるいは蒸着方法等に関しては、上記(A)(iv)
記載の本発明の第1の態様の金属蒸着フィルムにおける
金属蒸着と同様とすることができる。また、上記本発明
の第1の態様の金属蒸着フィルムと同様、金属蒸着面に
さらに着色することや保護用にトップコートすることも
可能である。
【0098】この様にして得られる本発明の第1の態様
および第2の態様の金属蒸着フィルムは、フィルム基材
と金属蒸着膜との間の蒸着強度が高く、蒸着面の印刷性
や他フィルムとの接着性にも優れた金属蒸着フィルムで
ある。
【0099】また、本発明の第2の態様の金属蒸着フィ
ルムは、さらに、剛性やヒートシール性が改善された金
属蒸着フィルムである。
【0100】次に、本発明の金属蒸着多層フィルムにつ
いて説明する。
【0101】(2)金属蒸着多層フィルム 本発明の金属蒸着多層フィルムは、上記本発明の第1の
態様の金属蒸着フィルムにおけるポリプロピレン系組成
物から形成されるフィルム層、および、上記に示すポ
リプロピレン(第1のポリプロピレン)および/または
上記に示すポリプロピレン(第2のポリプロピレン)
から形成されるフィルム層を有し、少なくとも片方の表
面層が前記ポリプロピレン系組成物から形成されるフィ
ルム層からなる多層フィルム基材の、前記ポリプロピレ
ン系組成物から形成されるフィルム層表面に金属が蒸着
されてなることを特徴とする。
【0102】上記本発明の金属蒸着多層フィルムの多層
フィルム基材に用いる、本発明の第1の態様の金属蒸着
フィルムにおけるポリプロピレン系組成物から形成され
るフィルム層(以下、「ポリプロピレン系組成物層」と
いうこともある)は、上記(A)の(i)、(ii)に説
明したポリプロピレン系組成物を用いて得られる(ii
i)のフィルム基材と同様とすることができる。ただ
し、フィルム層の厚さに関しては、これを積層して本発
明の多層フィルム基材として用いることから、積層され
るフィルム層の数にもよるが、概ね10〜100μmの
厚さとすることが好ましい。
【0103】また、上記第1のポリプロピレンおよび/
または第2のポリプロピレンから形成されるフィルム層
(以下、「ポリプロピレン層」ということもある)の、
第1のポリプロピレンおよび第2のポリプロピレンは、
それぞれ上記(B)で説明した本発明の第2の態様の金
属蒸着フィルムにおける第1のポリプロピレンおよび第
2のポリプロピレンと同様である。第1のポリプロピレ
ンおよび/または第2のポリプロピレンから形成される
フィルム層は、本発明の第1の態様の金属蒸着フィルム
に用いるフィルム基材において、主原料として上記ポリ
プロピレン系組成物を用いる替わりに、第1のポリプロ
ピレンおよび/または第2のポリプロピレンを用いる以
外は、本発明の第1の態様の金属蒸着フィルムに用いる
フィルム基材と同様にして作製することができる。ただ
し、フィルム層の厚さに関しては、これを積層して本発
明の多層フィルム基材として用いることから、積層され
るフィルム層の数にもよるが、概ね10〜100μmの
厚さとすることが好ましい。
【0104】本発明に用いる多層フィルム基材は、上記
ポリプロピレン系組成物層およびポリプロピレン層を有
し、少なくとも片方の表面層が前記ポリプロピレン系組
成物層で構成されていれば、その他の構成については特
に制限されるものではない。前記ポリプロピレン層に
は、ポリプロピレン成分が第1のポリプロピレン単独で
構成されるポリプロピレン層(以下、「第1ポリプロピ
レン層」という)、ポリプロピレン成分が第2のポリプ
ロピレン単独で構成されるポリプロピレン層(以下、
「第2ポリプロピレン層」という)、およびポリプロピ
レン成分が第1のポリプロピレンおよび第2のポリプロ
ピレンで構成されるポリプロピレン層(以下、「混成ポ
リプロピレン層」という)が含まれる。なお、本明細書
において、単に「ポリプロピレン層」という場合は、前
記3種のポリプロピレン層の何れでもよいことを意味す
る。
【0105】本発明に用いる多層フィルム基材の多層構
造として、例えば、ポリプロピレン系組成物層/ポリプ
ロピレン層である2種2層構造、ポリプロピレン系組成
物層/ポリプロピレン層/ポリプロピレン層あるいはポ
リプロピレン系組成物層/ポリプロピレン層/ポリプロ
ピレン系組成物層等の2種3層構造または3種3層構造
等を例示できるが、その中でも、ポリプロピレン系組成
物層/第1ポリプロピレン層/第2ポリプロピレン層の
3種3層構造が、得られる多層フィルムの剛性、ヒート
シール性の点で好ましい。また、多層フィルム基材の各
層を構成するフィルム層は、延伸(一軸延伸、二軸延
伸)されていても未延伸のままでもよい。
【0106】また、上記本発明に用いる多層フィルム基
材の厚さは、特に限定されるものではないが、フィルム
基材の成形性の点を考慮すれば、これを構成する各フィ
ルム層の合計厚さとして、10〜100μmが好まし
く、更に好ましくは15〜70μmである。
【0107】該多層フィルム基材の製造方法としては、
多層押出し成形法、ドライラミネート法、押出ラミネー
ト法等が例示でき、該多層押出し成形法としては、通常
ポリオレフィンフィルムの製造に用いられるTダイ法ま
たはインフレーション法が例示できる。また、延伸フィ
ルムよりなる多層フィルム基材を得るための延伸方法と
しては、テンター方式による逐次二軸延伸法やチューブ
ラー方式による同時二軸延伸法等が例示できる。この様
に本発明の多層フィルム基材を製造する際に、押出、延
伸等の工程は、多層フィルム基材を構成する各フィルム
層毎に行ってもよいし、多層構造としてから行ってもよ
い。
【0108】上記公知の方法で該多層フィルム基材を製
造する場合、各層を構成するポリプロピレン系組成物お
よび第1のポリプロピレンおよび/または第2のポリプ
ロピレンのメルトフローレート(MFR)は特に限定さ
れるものではないが、多層フィルム基材の成形性および
得られる多層フィルム基材の外観の点で、ポリプロピレ
ン系組成物のメルトフローレート(MFRA)と第1の
ポリプロピレンおよび/または第2のポリプロピレンの
メルトフローレート(MFRB)の比(MFRA/MFR
B)が0.1〜10であることが好ましく、0.5〜2で
あることが更に好ましい。
【0109】さらに、本発明に用いる多層フィルム基材
は、ドライラミネートなどの方法により接着剤を介し
て、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルム、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ナイロ
ンフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィル
ムといった透明な基材フィルムと積層することも可能で
あるが、積層の際には少なくとも片方の表面層に前記ポ
リプロピレン系組成物層が残るように積層することが必
要である。
【0110】本発明の金属蒸着多層フィルムは、上記の
様な多層フィルム基材の、ポリプロピレン系組成物から
形成されるフィルム層表面に金属が蒸着されてなるもの
である。前記フィルム層への金属蒸着は、全面蒸着であ
ってもよいし部分蒸着であってもよい。なお、金属蒸着
に際しては、必要に応じて、前記ポリプロピレン系組成
物から形成されるフィルム層表面に、上記本発明の金属
蒸着フィルムのフィルム基材と同様のコロナ放電処理、
火炎処理等の表面処理が施されてもよい。
【0111】また、金属蒸着に用いる金属あるいは蒸着
方法等に関しては、上記(1)(A)(iv)記載の本発
明の第1の態様の金属蒸着フィルムにおける金属蒸着と
同様とすることができる。さらに、上記本発明の金属蒸
着フィルムと同様、金属蒸着面にさらに着色することや
保護用にトップコートすることも可能である。
【0112】この様にして得られる本発明の金属蒸着多
層フィルムは、多層フィルム基材と金属蒸着膜との間の
蒸着強度が高く、蒸着面の印刷性や他フィルムとの接着
性にも優れた金属蒸着フィルムであり、さらに、剛性や
ヒートシール性にも優れている。
【0113】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。
【0114】まず、後述の本発明の実施例と比較例で用
いるポリプロピレン系組成物ペレットおよびポリプロピ
レンペレットの製造例を詳細に説明する。
【0115】なお、製造例で得られたポリプロピレン系
組成物あるいは、製造例に用いたポリプロピレン等の物
性は以下に示す方法により測定されたものである。 a)極限粘度(単位;dl/g):溶媒としてテトラリン(テ
トラクロロナフタレン)を用い135℃の温度条件下、
自動粘度測定装置(AVS2型、三井東圧(株)製)を使用して
測定した。 b)チタン含有固体触媒成分(I)の粒度(単位;μm)お
よび均一度:マスターサイザー(MALVERN社製)を用いて
測定した粒度分布から算出した平均粒径を粒度とし、ま
た60%篩下の粒径を10%篩下の粒径で割った値を均
一度とした。 c)エチレン−プロピレンコポリマー中のエチレン単位
含有率(単位;重量%):赤外線吸収スペクトル法により
測定した。
【0116】d)プロピレンホモポリマー分子鎖中のア
イソタクチックペンタッド分率P:macromolecules 868
7(1975)に準拠し、13C-NMRを使用して測定した。 e)平均分子量(Mn、Mw):試料を135℃のオルト
ジクロルベンゼンに溶解させ、GPC(Gel Permination
Chromatograph)装置(150C型、ウォーターズ社製、使用
カラム;TSK GEL GMH6-HT)を用いて測定した。 g)20℃キシレン可溶成分量(単位;重量%):ISO
/DIS 1873−1に準拠して測定した。 h)メルトフローレート:JIS K 7210に基づ
き試験条件14(230℃、2.16kgf)で測定し
た。
【0117】
【製造例1】 ポリプロピレン系組成物ペレットの製造 後述の表1、表2及び表3に示す、ポリプロピレン系組
成物を下記に示す製造方法により得た。
【0118】1)チタン含有固体触媒成分(I)の調整 窒素置換したSUS製オートクレーブに、無水MgCl2
を95.3g、乾燥EtOH 352mlを入れ、この混合
物を攪拌下に105℃に加熱し溶解させた。1時間攪拌
後、この溶液を105℃に加熱した加圧窒素(1.1MP
a)で二流体スプレーノズルに送入した。窒素ガスの流量
は38L/min.であった。スプレー塔中には冷却用とし
て液体窒素を導入し、塔内温度を−15℃に保持した。
生成物は塔内底部に導入した冷却ヘキサン中に集めら
れ、256gを得た。生成物の分析結果から、この担体
の組成は出発溶液と同じMgCl2・6EtOHであった。
【0119】担体に用いるため、篩い分けを行い45〜
212μmの粒径で球形な担体205gを得た。得られた
担体を室温で、181時間、3L/min.の流量の窒素を
用いて通気乾燥して組成がMgCl2・1.7EtOHの乾燥
担体を得た。
【0120】ガラスフラスコ中において、乾燥担体20
g、四塩化チタン160ml、精製1,2−ジクロルエタ
ン240mlを混合し、攪拌下に100℃に加熱した後、
ジイソブチルフタレート6.8ml加え、さらに100℃
で2時間加熱した後、デカンテーションにより液相部を
除き、再び四塩化チタン160ml、精製1,2−ジクロ
ルエタン320mlを加えた。100℃で1時間加熱保持
した後、デカンテーションにより液相部を除き、精製ヘ
キサンで洗浄した後、乾燥してチタン含有固体触媒成分
(I)を得た。得られたチタン含有固体触媒成分(I)の平
均粒径は115μmであり、その分析値は、Mg;19.
5重量%、Ti;1.6重量%、Cl;59.0重量%、ジ
イソブチルフタレート;4.5重量%であった。
【0121】2)チタン含有固体触媒成分(I)の予備活
性化処理 内容積15Lの傾斜羽根付きSUS製反応器を窒素ガス
で置換した後、40℃での動粘度が7.3センチストー
クスである飽和炭化水素溶剤(CRYSTOL-52、エッソ石油
(株)製)8.3L、トリエチルアルミニウム525mmo
l、ジイソプロピルジメトキシシラン80mmol、前項で
調製したチタン含有固体触媒成分(I)700gを室温で
加えた後、40℃まで加温し、プロピレン分圧0.15
MPaで7時間反応させ、予備活性化処理を行った。分析
の結果、チタン含有固体触媒成分1g当りプロピレン3.
0gが反応していた。
【0122】次に、上記で予備活性化処理されたチタン
含有固体触媒成分(I)を用いて、図1に示すフローシー
トに従って、以下の第1、第2重合反応を行わせ、ポリ
プロピレン系組成物を製造した。
【0123】3)第1重合工程 図1に示すフローシートの攪拌羽根を有する横型重合器
1(L/D=6,内容積100L)に上記予備活性化処
理したチタン含有固体触媒成分(I)を0.5g/hr、有機
アルミニウム化合物(II)としてトリエチルアルミニウム
および有機ケイ素化合物(III)としてジイソプロピルジ
メトキシシランを連続的に供給した。反応温度70℃、
反応圧力2.5MPa、攪拌速度40rpmの条件を維持する
ように配管3を通してプロピレンを連続供給し、さらに
ホモポリマー成分の分子量を調節するために水素ガスを
循環配管2より連続的に供給し、反応器の気相中の水素
濃度にて生成ポリマーの極限粘度を制御した。
【0124】反応熱を配管3から供給される原料プロピ
レンの気化熱により除去した。重合器1から排出される
未反応ガスは配管4を通して反応器系外で冷却、凝縮さ
せて本重合器1に還流した。
【0125】本重合器1で得られたホモポリマー成分
は、重合体の保有レベルが反応容積の50容積%となる
様に配管5を通して重合器1から連続的に抜き出し第2
重合工程の重合器10に供給した。この時、配管5から
ホモポリマー成分の一部を間欠的に抜き出して、アイソ
タクチックペンタッド分率P、20℃キシレン可溶成分
量、メルトフローレート、極限粘度および重合体中のM
g分の誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP法)を行
う触媒単位重量当りの重合体収量を求める試料とした。
【0126】4)第2重合工程 攪拌羽根を有する横型重合器10(L/D=6,内容積
100L)に、配管5を通して第1重合工程からのプロ
ピレンホモポリマー成分、および配管6を通してエチレ
ン−プロピレン混合ガスを連続的に供給し、エチレンと
プロピレンの共重合を行った。反応条件は攪拌速度40
rpm、温度60℃、圧力2.1MPa、気相のエチレン/プ
ロピレンモル比により、コポリマー成分中のエチレン単
位含有量を調節した。コポリマー成分の重合量を調節す
るために重合活性抑制剤として一酸化炭素、またコポリ
マー成分の分子量を調節するため水素ガスを配管7より
それぞれ供給した。
【0127】反応熱は配管6から供給される原料液状プ
ロピレンの気化熱で除去した。
【0128】重合器10から排出される未反応ガスは、
配管8を通して反応器系外で冷却、凝縮させて本共重合
工程に還流させた。共重合工程で生成されたポリプロピ
レン系ブロック共重合体は、重合体の保有レベルが反応
容積の50容積%となるように配管9で重合器10から
抜き出した。
【0129】ポリプロピレン系ブロック共重合体組成物
の生産速度は8〜12kg/hrであった。
【0130】抜き出されたポリプロピレン系ブロック共
重合体組成物はモノマーを除去し、一部は極限粘度、メ
ルトフローレート、Q値(Mw/Mn)、20℃キシレン
可溶成分量および赤外によるコポリマー成分中のエチレ
ンの測定に、またポリプロピレン系組成物中のコポリマ
ー成分の重合比率を求めるため重合体中のMg分をIC
P法による測定に供した。
【0131】上記製造の各段階において各種条件を調整
しながら表1〜3に示す19種類のポリプロピレン系組
成物を製造した。これらのポリプロピレン系組成物の上
記a)〜h)の方法で測定された物性値を表1〜3に示
す。
【0132】表1〜3に示すポリプロピレン系組成物9
9.62重量%にテトラキス[メチレン(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]メタン0.10重量%、トリス(2,4−ジ−t−
ブチルフェニル)フォスファイト0.05重量%、ハイ
ドロタルサイト0.03重量%、ケイ酸アルミニウム
(ブロッキング防止剤)0.2重量%、を配合し、ヘン
シェルミキサー(商品名)で混合後、単軸押出機(口径
40mmφ)を用いて溶融混練し、ペレット化した。この
ペレット化した組成物を表1〜3に示すようにBC−1
〜BC−19と略称する。
【0133】なお、BC−1〜BC−8、およびBC−
14〜BC−17は、本発明の金属蒸着フィルムに適用
可能なポリプロピレン系組成物を含有するペレットであ
り、BC−9〜BC13、BC−18、BC−19は、
本発明の金属蒸着フィルムに適用可能なポリプロピレン
系組成物とは物性の異なるポリプロピレン系組成物を含
有するペレットである。
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】
【表3】
【0137】
【製造例2】 ポリプロピレンペレットの製造 1)ポリプロピレンペレットの製造−1 密度が0.90g/cm3、結晶融点が163℃、MFRが
7.0g/10分であるプロピレン単独重合体をポリプロ
ピレンとして用いて以下の様にしてポリプロピレンペレ
ットを製造した。
【0138】上記ポリプロピレン99.62重量%にテ
トラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.10重
量%、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォ
スファイト0.05重量%、ハイドロタルサイト0.03
重量%、ケイ酸アルミニウム(ブロッキング防止剤)
0.2重量%、を配合し、ヘンシェルミキサー(商品
名)で混合後、単軸押出機(口径40mmφ)を用いて溶
融混練し、ペレット化した。得られたポリプロピレンペ
レットを以下、PP−1と略称する。
【0139】2)ポリプロピレンペレットの製造−2 密度が0.90g/cm3、結晶融点が132℃、MFRが
6.0g/10分であるプロピレン−エチレン−1−ブテ
ン共重合体をポリプロピレンとして用いて以下の様にし
てポリプロピレンペレットを製造した。
【0140】上記ポリプロピレン99.62重量%にテ
トラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.10重
量%、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォ
スファイト0.05重量%、ハイドロタルサイト0.03
重量%、ケイ酸アルミニウム(ブロッキング防止剤)
0.2重量%、を配合し、ヘンシェルミキサー(商品
名)で混合後、単軸押出機(口径40mmφ)を用いて溶
融混練し、ペレット化した。得られたポリプロピレンペ
レットを以下、PP−2と略称する。
【0141】次に、上記製造例で得られたポリプロピレ
ン系組成物およびポリプロピレンを用いて、下記実施例
及び比較例の金属蒸着フィルムを作製した。
【0142】なお、実施例及び比較例において得られた
フィルム基材および金属蒸着フィルムは、以下の評価方
法により評価された。
【0143】(1)ヘイズ(Haze):ASTM D
1003により、未蒸着のフィルム基材を測定した値
(単位;%)をヘイズとして示す。この値が小さい程、
透明性及びフィルム外観が良いことを意味する。
【0144】(2)金属光沢:ASTM D 523に
より、蒸着フィルムの蒸着面を感度1/20で測定した
値(単位;%)を光沢度として示す。この値が大きい
程、蒸着フィルム面の外観が良いことを意味する。ま
た、指示角は20度で測定し70%以上を良とする。
【0145】(3)巻き姿:所定の長さの蒸着フィルム
を連続して巻取って得られたフィルムロールを肉眼で観
察し、しわや巻きこぶが無くフィルムを引き出した時に
局部的に歪みやくせの無いものを○(巻き姿良好)、しわ
や巻きこぶがあり、フィルムを引き出した時にフィルム
にしわが残ったり、歪みやくせのあるものを×(巻き姿
不良)と評価した。
【0146】(4)蒸着膜の蒸着強度(蒸着膜剥離強
度):片面に金属(アルミニウム)蒸着したフィルム基
材の蒸着面と二軸延伸ポリプロピレンフィルム(#20)と
をドライラミネート用の接着剤を用いて貼り合わせ、4
0℃で2日間エージングし、接着剤が完全に乾固後、界
面での90度の剥離強度を引張試験機で測定し1.5N/
15mm以上を良とする。
【0147】
【実施例1〜8及び比較例1〜5】Tダイを備えた単層
押出機(口径65mmφ)を用いBC−1〜BC−13を
押出温度230℃で押出し、エアーチャンバー及び表面
温度30℃の冷却ロールで急冷して厚み25μmの無延
伸フィルムをロール巻きで得た。得られたフィルムのヘ
イズを測定した後、これらロール巻きのフィルムをフィ
ルム基材として、真空蒸着装置を用いて、その片面にア
ルミニウムを厚さ500オングストロームとなるように
連続的に真空蒸着して、約100m巻きの金属蒸着フィ
ルムを製造した。得られた金属蒸着フィルムを評価し、
その結果を表4及び表5に示した。
【0148】
【表4】
【0149】
【表5】
【0150】
【実施例9〜11及び比較例6〜8】Tダイを備えた単
層押出機(口径65mmφ)を用いBC−1又はBC−9
にPP−1及び/又はPP−2をブレンドしたものを押
出温度230℃で押出し、エアーチャンバー及び表面温
度30℃の冷却ロールで急冷して厚み25μmの無延伸
フィルムをロール巻きで得た。得られたフィルムのヘイ
ズを測定した後、これらロール巻きのフィルムをフィル
ム基材として、真空蒸着装置を用いて、その片面にアル
ミニウムを厚さ500オングストロームとなるように連
続的に真空蒸着して、約100m巻きの金属蒸着フィル
ムを製造した。得られた金属蒸着フィルムを評価し、そ
の結果を表6に示した。なお、表6に示されるPP−1
及びPP−2の配合量は、ブレンドして得られるフィル
ム原料全量に対する重量%である。
【0151】
【表6】
【0152】
【実施例12、13及び比較例9、10】多層Tダイを
備えた3種3層押出機(口径50mmφの単軸押出機が1
台、同40mmΦの単軸押出機が2台)を用い、BC−
2、BC−4、BC−9、BC−13を冷却ロール面側
単軸押出機(コロナ処理面側)に供給し、PP−1をコ
ア層用単軸押出機に供給し、PP−2をエアーチャンバ
ー側単軸押出機に供給し、230℃で溶融させ、共押出
し、エアーチャンバー及び表面温度30℃の冷却ロール
で冷却固化して厚み25μm、(厚み構成比=1/3/
1)からなる3層無延伸フィルムをロール巻きで得た。
得られたフィルムのヘイズを測定した後、これらロール
巻きのフィルムをフィルム基材として、真空蒸着装置を
用いて、その片面にアルミニウムを厚さ500オングス
トロームとなるように連続的に真空蒸着して、約100
m巻きの金属蒸着フィルムを製造した。得られた金属蒸
着多層フィルムを評価し、その結果を表7に示した。
【0153】
【表7】
【0154】
【実施例14〜16及び比較例11、12】本願発明の
金属蒸着フィルムおよび金属蒸着多層フィルムに用いる
フィルム基材および多層フィルム基材の各層は、延伸さ
れたものであってもよい。延伸方法は、通常行われてい
る方法を採用できる。ここでは、延伸されたフィルム基
材を以下のような方法により製造し、金属蒸着を行っ
て、その性能を評価した。
【0155】Tダイを備えた単層押出機(口径65mm
φ)を用いBC−14、BC−15、BC−17、BC
−18、BC−19を押出温度250℃で押出し、エア
ーナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで冷却固化し
て厚み1.0mmの未延伸シートを成形した。次いで、得
られた未延伸シートから10cm×10cmの大きさの
シートをカットし、これをバッチ式二軸延伸機を用いて
延伸温度158℃で二軸延伸(押出方向に4.2倍、横
方向に8.2倍)して厚み25μmの二軸延伸フィルムを
得た。このフィルムの中央部からA4版程度の大きさの
フィルムを切り出し、そのヘイズを測定した後、このフ
ィルムを基材として、その片面にアルミニウムを厚さ5
00オングストロームとなるように真空蒸着して、金属
蒸着フィルムを製造した。得られた金属蒸着フィルムを
評価し、その結果を表8に示した。
【0156】
【表8】
【0157】
【実施例17及び比較例13】多層Tダイを備えた3種
3層押出機(口径65mmφの中間層用単軸押出機が1
台、口径50mmφの表層用単軸押出機が2台)を用い、
BC−14、BC−18を冷却ロール面側単軸押出機
(コロナ処理面側)に供給し、PP−1をコア層用単軸
押出機に供給し、PP−2をエアーナイフ側単軸押出機
に供給し、250℃で溶融させ、共押出し、エアーナイ
フ及び表面温度30℃の冷却ロールで冷却固化して厚み
1.0mm、(厚み構成比=3/19/3)からなる3層
未延伸シートを成形した。次いで、得られた3層未延伸
シートから10cm×10cmの大きさのシートをカッ
トし、これをバッチ式二軸延伸機を用いて延伸温度15
8℃で二軸延伸(押出方向に5.0倍、横方向に8.0
倍)して厚み25μmの二軸延伸フィルムを得た。この
フィルムの中央部からA4版程度の大きさのフィルムを
切り出し、そのヘイズを測定した後、このフィルムを基
材として、その片面にアルミニウムを厚さ500オング
ストロームとなるように真空蒸着して、金属蒸着フィル
ムを製造した。得られた金属蒸着多層フィルムを評価
し、その結果を表9に示した。
【0158】
【表9】
【0159】
【実施例18〜20及び比較例14、15】Tダイを備
えた単層押出機(口径65mmφ)を用いBC−14、B
C−16、BC−17、BC−18、BC−19を押出
温度250℃で押出し、エアーナイフ及び表面温度50
℃の冷却ロールで冷却固化して厚み0.13mmの未延伸
シートを成形した後、連続式一軸延伸機を用いて延伸温
度120℃で押出方向に5.0倍一軸延伸して厚み25
μmの一軸延伸フィルムをロール巻きで得た。得られた
フィルムのヘイズを測定した後、これらロール巻きのフ
ィルムをフィルム基材として、真空蒸着装置を用いて、
その片面にアルミニウムを厚さ500オングストローム
となるように連続的に真空蒸着して、約100m巻きの
金属蒸着フィルムを製造した。得られた金属蒸着フィル
ムを評価し、その結果を表10に示した。
【0160】
【表10】
【0161】これらの結果から、明らかなように本発明
の金属蒸着フィルム、及び金属蒸着多層フィルムは、フ
ィルム基材の透明性に優れることから金属蒸着フィルム
とした際の金属光沢度がよく、また、フィルム基材と金
属蒸着膜との間の蒸着強度にも優れている。
【0162】
【発明の効果】本発明の金属蒸着フィルム、及び金属蒸
着多層フィルムは、フィルム基材と金属蒸着膜との間の
蒸着強度が高く、金属蒸着面の印刷性・ラミネート性に
も優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 製造例で用いたポリプロピレン系組成物製造
のための連続重合装置のフローシートを示す図である。
【符号の説明】
1:第1重合工程用重合器 2:水素ガス供給配管(第1重合工程用) 3:原料プロピレン供給配管(第1重合工程用) 4:未反応ガス還流配管(第1重合工程用) (4a:未反応ガス排出配管、4b:冷却器、4c:未
反応ガス供給配管) 5:重合体抜き出し配管(第1重合工程用) 6:原料混合ガス供給配管(第2重合工程用) 7:活性抑制剤/水素ガス供給配管(第2重合工程用) (7a:活性抑制剤供給配管、7b:水素ガス供給配
管) 8:未反応ガス還流配管(第2重合工程用) (8a:未反応ガス排出配管、8b:冷却器、8c:未
反応ガス供給配管) 9:重合体抜き出し配管(第2重合工程用) 10:第2重合工程用重合器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 隆則 千葉県市原市五井8890番地 (72)発明者 釘宮 陽一 千葉県市原市草刈1850番地1号 (72)発明者 広瀬 健人 千葉県市原市八幡海岸通1963番地4号 Fターム(参考) 3E086 BA13 BA15 BA40 BB51 BB62 4F100 AB01B AB01C AK07A AK07D AK64A AK66D AK80A AK80D BA02 BA03 BA04 BA06 BA10B BA10C EH66B EH66C JA04A JA04D JA06A JA13A JA13D JK01 JN01 JN24 YY00A 4K029 AA11 AA25 BA01 BA03 CA01 CA03 CA05 FA05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン系組成物を主原料として
    形成されるフィルム基材の少なくとも片面に金属が蒸着
    されてなる金属蒸着フィルムであって、前記ポリプロピ
    レン系組成物がプロピレンのホモポリマーおよびエチレ
    ン−プロピレンのコポリマーからなり下記a)〜e)の
    性質を有することを特徴とする金属蒸着フィルム: a)コポリマーの極限粘度[η]RCが1.7〜2.8dl/g; b)コポリマーとホモポリマーの極限粘度比[η]RC
    [η]PPが0.7〜1.2; c)コポリマーとホモポリマーの極限粘度比[η]RC
    [η]PPとそれらの重量比W PP/WRCとの積([η]RC
    [η]PP)×(WPP/WRC)が1.0〜3.0; d)コポリマーにおけるエチレンの含有量がコポリマー
    全量に対して25〜55重量%;かつ、 e)組成物におけるコポリマーの含有量が組成物全量に
    対して22〜40重量%。
  2. 【請求項2】 ホモポリマーのアイソタクチックペンタ
    ッド分率Pが0.95以上である請求項1記載の金属蒸
    着フィルム。
  3. 【請求項3】 コポリマーが80重量%以上の20℃キ
    シレン可溶成分を含有する請求項1記載の金属蒸着フィ
    ルム。
  4. 【請求項4】 ポリプロピレン系組成物のQ値(Mw/M
    n)が5以下である請求項1記載の金属蒸着フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のポリプロピレン系組成物
    を原料全量に対して1〜99重量%、および、下記に
    示すポリプロピレンおよび/または下記に示すポリプ
    ロピレンを原料全量に対して99〜1重量%、配合して
    なるフィルム原料から形成されるフィルム基材の少なく
    とも片面に金属が蒸着されてなる金属蒸着フィルム: プロピレンのホモポリマーからなり、密度が0.89
    〜0.91g/cm3、結晶融点が165〜160℃であるポ
    リプロピレン; プロピレンとエチレンもしくは炭素数が4以上のα−
    オレフィンとのコポリマーまたはエチレン−プロピレン
    −1−ブテンのタポリマーからなり、密度が0.89〜
    0.91g/cm3、結晶融点が159〜110℃であるポリ
    プロピレン。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のポリプロピレン系組成物
    から形成されるフィルム層、および、下記に示すポリ
    プロピレンおよび/または下記に示すポリプロピレン
    から形成されるフィルム層を有し、少なくとも片方の表
    面層が前記ポリプロピレン系組成物から形成されるフィ
    ルム層からなる多層フィルム基材の、前記ポリプロピレ
    ン系組成物から形成されるフィルム層表面に金属が蒸着
    されてなる金属蒸着多層フィルム: プロピレンのホモポリマーからなり、密度が0.89
    〜0.91g/cm3、結晶融点が165〜160℃であるポ
    リプロピレン; プロピレンとエチレンもしくは炭素数が4以上のα−
    オレフィンとのコポリマーまたはエチレン−プロピレン
    −1−ブテンのタポリマーからなり、密度が0.89〜
    0.91g/cm3、結晶融点が159〜110℃であるポリ
    プロピレン。
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