JP2000167336A - パルスコロナ放電による排ガス中の有機物分解方法とその装置 - Google Patents
パルスコロナ放電による排ガス中の有機物分解方法とその装置Info
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Abstract
よる排ガス中の有機物分解方法とその装置を提供する。 【解決手段】 平均電界強度15kV/cm以下で放電が開
始されるようにパルス電圧印加前に予め排ガス中に電子
を供給しておくための電子供給手段を備えるものとす
る。この電子供給手段としては、例えば、予備放電電極
14を有し,この予備放電電極14とパルス電圧印加用
の主放電電極15との間で予備放電を発生させることに
より,電子を供給するものとする。
Description
電極との間に排ガスを通流し、前記両電極間にパルス電
源からパルス電圧を印加することにより放電を起こし、
この放電の作用により排ガス中の有機物を分解するパル
スコロナ放電による排ガス中の有機物分解方法とその装
置に関する。
に代表されるように、排ガス中に含まれる有機物による
環境汚染が問題となっている。
排ガス中で放電を起こし、この放電の作用で有機物を分
解する方法が知られている。
ように考えられる。まず、放電によって生じた電子が電
界によって加速され、高いエネルギーを持つようにな
る。その後、下記の二つのプロセスによって有機物が分
解される。高速の放電電子が酸素分子に衝突して酸素
分子を解離し、解離によって生じた酸素ラジカルが有機
物を酸化分解する。高速の放電電子が有機物と衝突す
ることによって、有機物を分解する。放電による排ガス
処理方式には、無声放電方式や沿面放電方式など種々の
方式があるが、その中の一つにパルスコロナ放電方式が
ある。このパルスコロナ放電方式の排ガス処理方法およ
び装置の従来例について、図4を用いて説明する。
スコロナ放電式排ガス処理装置の概略構成図である。本
装置は、パルス電源1と、同軸円筒型の放電反応容器2
とからなり、この放電反応容器2は、外側に円筒状の接
地電極5を備え、その中心部に棒状の放電電極6を備え
ている。外側の接地電極5には、排ガス流入孔3と排ガ
ス流出孔4を設け、放電電極6と接地電極5との間に排
ガスが通流されるように構成されている。棒状の放電電
極6に、パルス電源1からパルス状の高電圧を印加する
と、放電電極6と接地電極5との間でコロナ放電7が起
こる。この放電の作用により排ガス中の有機物を分解す
る。放電持続時間が長くなると、ガスの温度が上昇し放
電電力が熱エネルギーとして外部に放出され、有機物の
分解効率が悪化する。そこでパルスコロナ放電方式で
は、例えばパルス幅を1μs以下にすることにより、放
電持続時間を短くし、ガス温度の上昇を押さえて分解効
率を向上するようにしている。
ルスコロナ放電方式の排ガス処理装置では、副生成物と
して窒素酸化物(NOx)が生成されることが問題になっ
ている。発生したNOxを除去するために有機物分解処理
工程の後段に、更にNOx除去工程を設けるようなことも
行われているが、装置が複雑になりコストの増大につな
がっている。
おいて、NOxが発生しやすい理由は、以下のとおりであ
る。例えば、パルス幅1μs以下の短パルス電圧を印加
して放電を起こす場合、直流電圧によって放電を起こす
ときと比較して、放電開始電圧が高くなることが知られ
ている(この電圧上昇分を過電圧率という。)。これは
短パルス電圧を印加した場合、電圧の時間変化が急峻な
ため、放電開始に十分な電圧が印加されてから実際に放
電が開始するまでの時間的な遅れの間に、電極間の電圧
が上昇してしまうために発生する現象である。
は放電空間の電界が、過電圧の分だけ強くなる。そして
放電電子はより強い電界によって加速されるため、より
高いエネルギーを持つようになる。この結果、パルスコ
ロナ放電方式では他方式の放電による排ガス処理装置に
比べてNOxが発生しやすくなっている。この発明は、上
記の問題を解決するためになされたもので、本発明の課
題は、NOxの発生を抑制可能なパルスコロナ放電による
排ガス中の有機物分解方法とその装置を提供することに
ある。
に、本発明者等は放電によるNOxの生成プロセスに着目
した。すなわち放電によるNOxの生成プロセスは下記の
ように考えられる。 電界によって加速された放電電子が窒素分子に衝突し
て、窒素分子を解離する 解離によって生じた窒素ラジカルが酸素と結合してNO
xになる NOxの発生プロセスの第1段階は、窒素分子を解離して
窒素ラジカルを生じることである。つまり窒素分子の解
離を抑制すれば、NOxの発生も抑制できる。表1に各種
の有機物、酸素、窒素の結合解離エネルギーを示す。
ルギーはおよそ3〜5eVの範囲にある。また酸素の結合
解離エネルギーは5.1eVである。これに対し窒素の結合
解離エネルギーは9.8eVと他の結合解離エネルギーに比
較して高い。このことから電子のエネルギーを低く押さ
えれば、有機物を分解しつつNOxの生成を抑制すること
が可能であることが分かる。
前述の課題を解決するため、平均電界強度15kV/cm以
下で放電が開始されるようにパルス電圧印加前に予め排
ガス中に電子を供給しておくこととする(請求項1ない
し請求項8に共通)。放電が開始される平均電界強度と
しては、8kV/cm以上、15kV/cm以下が好適である
(請求項2)。
平均電界強度15kV/cm以下で放電が開始されるように
パルス電圧印加前に予め排ガス中に電子を供給するため
の電子供給手段を備えるものとする(請求項3)。前記
電子供給手段としては種々の方式が適用でき、請求項4
ないし請求項8の発明の構成とする。
は、予備放電電極を有し,この予備放電電極とパルス電
圧印加用の主放電電極との間で予備放電を発生させるこ
とにより,電子を供給するものとする。請求項5の発明
によれば、上記請求項4の発明において、パルス電源の
出力を二つに分け、一方は予備放電電極に印加されるよ
うにし、他方は遅延回路を経て主放電電極に印加される
ようにして、予備放電発生後に主放電が発生するように
してなるものとする。
手段は、紫外線やX線などの電磁波照射手段を有し,こ
の手段から電磁波を放電電極に照射することによって放
電電極から光電子を放出させ電子供給するものとする。
請求項7の発明によれば、上記電磁波照射手段は紫外線
光源とする。
電源を、直流の高電圧電源と、充電用コンデンサと、パ
ルス調整用抵抗と、放電スイッチとから構成し、この放
電スイッチの動作時に放電スイッチから放出される電磁
波を放電電極に照射することによって放電電極から光電
子を放出させ、平均電界強度15kV/cm以下で放電が開
始されるようにパルス電圧印加前に予め排ガス中に電子
を供給するようにしてなるものとする。
況や要請などにより、好適な方式を採用し得る。
印加する直前に、電子供給手段によって放電空間に放電
を開始させるための初期電子をあらかじめ供給するの
で、電圧印加と放電開始の時間的ずれが従来とくらべて
少なくなる。このため過電圧に到る前のより低い電圧で
放電が発生するので、放電電子のエネルギーが全体的に
低くおさえられ、電子分布も前記窒素の結合解離エネル
ギーの9.8eV以下が主となって、NOxの発生を抑制するこ
とができる。
考察する。
率と電解強度との関係を示す。有機物を分解処理するた
めには、前述のように、酸素原子の生成が不可欠であ
り、一方、NOxの発生を抑制するためには、窒素原子の
生成効率が低い程、また窒素分子ガスの電離係数が小で
ある程よい。酸素原子の生成のための電解強度の下限
は、約8kV/cmであり、窒素原子の生成効率は、電解強
度15kV/cm付近から急激に低下する。さらに窒素分子
は、電解強度15kV/cm以下ではほとんど電離せず,酸
素分子のみが電離する。以上の結果から、電解強度の上
限は略15kV/cm、下限は略8kV/cmとするのが好適で
あることが判る。
態について以下にのべる。
給するタイプの排ガス処理装置の実施例の概略図、図1
(b)は放電反応器内部に設置された電極の断面図であ
る。排ガス流入孔11および排ガス流出孔12を有する
接地電極13を備える同軸円筒型の放電反応容器10の
中心にある主放電電極15の表面に、溝15aを設け、
ここに予備放電用電極14を配設する。パルス電源8の
出力を二つに分け、一方はそのまま予備放電電極に、も
う一方は遅延回路9を経てから主放電電極15に接続す
る。パルス電源8の出力は、予備放電電極に印加された
後、電子の残存時間を考慮して、例えば1〜100ns遅れて
主放電電極に印加されるように調整されている。
ることによって、まず予備放電電極14と主放電電極と
の間に予備放電が発生する。この予備放電によって主放
電電極15の近傍に電子が供給される。その後、主放電
電極15にパルス電圧が印加され、主放電電極15と接
地電極13との間に主放電が発生する。この主放電によ
って排ガス中に含まれる有機物が分解される。
以下で主放電が開始されるように予め電子が供給される
ため、従来の方法に比較して放電開始電圧は低くなり、
その結果NOxの発生が抑制される。
を有する実施例について、以下に説明する。図2は放電
スイッチからの電磁波の照射によって電子を供給するタ
イプの排ガス処理装置の実施例の概略図を示す。排ガス
流入孔23および排ガス流出孔24を有する接地電極1
3ならびにガラス窓22を備える同軸円筒型の放電反応
容器21に排ガスを流通し、放電を発生させて排ガス中
の有機物を処理する。パルス電源は、直流の高電圧電源
16と、充電用コンデンサ17と、パルス調整用抵抗1
8と、放電スイッチ19とからなり、直流の高電圧電源
16により充電用コンデンサ17に高電圧を充電し、放
電スイッチ19を作動させることにより、放電電極26
に高電圧パルスを印加する構成になっている。
波20が放射される。この電磁波20がガラス窓22を
通して放電電極26に照射されるように配置する。
せた後、放電スイッチ19を作動すると、まず放電スイ
ッチ19から放射した紫外線などの電磁波が放電電極2
6に照射され、光電子放出によって電子が供給される。
この後、放電電極26に高電圧パルスが印加され接地電
極25との間で主放電が発生し、この主放電の作用によ
って排ガス中の有機物を分解する。
始されるように予め電子が供給されるため、従来の方法
に比較して放電開始電圧は低くなり、その結果NOxの発
生が抑制される。なお、前記のように、放電スイッチを
用いて電磁波を照射する方法によらず、電磁波照射手段
として紫外線光源を用いて、放電スイッチを用いないパ
ルス電源と組み合わせた装置とすることもできる。
方式では、放電が開始される前に電極間が過電圧とな
り、放電電子が強い電界によって加速されてより高いエ
ネルギーを持つようになるため、NOxが発生しやすい問
題があったが、この発明では、平均電界強度15kV/cm
以下で放電が開始されるようパルス電圧印加前に予め排
ガス中に電子を供給することとしたので、NOxの発生を
抑制可能なパルスコロナ放電による排ガス中の有機物分
解方法とその装置を提供することができる。また本発明
によれば、放電開始電圧が従来より低くなるので、放電
による消費電力を減少させる効果もある。
は、予備放電によって電子を供給するタイプの排ガス処
理装置の実施例の概略図、図1(b)は放電反応器内部
に設置された電極の断面図である。
ッチからの電磁波の照射によって電子を供給するタイプ
の排ガス処理装置の実施例の概略図である。
との関係を示す図である。
ロナ放電式排ガス処理装置の概略構成図である。
容器、13,25:接地電極、14:予備放電電極、1
5:主放電電極、15a:溝、16:高電圧電源、1
7:充電用コンデンサ、18:パルス調整用抵抗、1
9:放電スイッチ、20:電磁波、22:ガラス窓。
Claims (8)
- 【請求項1】 放電電極と接地電極との間に排ガスを通
流し、前記両電極間にパルス電源からパルス電圧を印加
することにより放電を起こし、この放電の作用により排
ガス中の有機物を分解するパルスコロナ放電による排ガ
ス中の有機物分解方法において、平均電界強度15kV/
cm以下で放電が開始されるようにパルス電圧印加前に予
め排ガス中に電子を供給しておくこと特徴とするパルス
コロナ放電による排ガス中の有機物分解方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の方法において、放電が開
始される平均電界強度を、8kV/cm以上、15kV/cm以
下の範囲としたことを特徴とするパルスコロナ放電によ
る排ガス中の有機物分解方法。 - 【請求項3】 放電電極と接地電極との間に排ガスを通
流し、前記両電極間にパルス電源からパルス電圧を印加
することにより放電を起こし、この放電の作用により排
ガス中の有機物を分解するパルスコロナ放電による排ガ
ス中の有機物分解装置において、平均電界強度15kV/
cm以下で放電が開始されるようにパルス電圧印加前に予
め排ガス中に電子を供給しておくための電子供給手段を
備えたことを特徴とするパルスコロナ放電による排ガス
中の有機物分解装置。 - 【請求項4】 請求項3記載の装置において、電子供給
手段は、予備放電電極を有し,この予備放電電極とパル
ス電圧印加用の主放電電極との間で予備放電を発生させ
ることにより,電子を供給するものであることを特徴と
するパルスコロナ放電による排ガス中の有機物分解装
置。 - 【請求項5】 請求項4記載の装置において、パルス電
源の出力を二つに分け、一方は予備放電電極に印加され
るように接続してなり、他方は遅延回路を経て主放電電
極に印加されるように接続してなり、予備放電発生後に
主放電が発生するようにしてなることを特徴とするパル
スコロナ放電による排ガス中の有機物分解装置。 - 【請求項6】 請求項3記載の装置において、電子供給
手段は、紫外線やX線などの電磁波照射手段を有し,こ
の手段から電磁波を放電電極に照射することによって放
電電極から光電子を放出させ電子供給するものであるこ
とを特徴とするパルスコロナ放電による排ガス中の有機
物分解装置。 - 【請求項7】 請求項6記載の装置において、電磁波照
射手段は紫外線光源であることを特徴とするパルスコロ
ナ放電による排ガス中の有機物分解装置。 - 【請求項8】 放電電極と接地電極との間に排ガスを通
流し、前記両電極間にパルス電源からパルス電圧を印加
することにより放電を起こし、この放電の作用により排
ガス中の有機物を分解するパルスコロナ放電による排ガ
ス中の有機物分解装置において、パルス電源は、直流の
高電圧電源と、充電用コンデンサと、パルス調整用抵抗
と、放電スイッチとからなり、この放電スイッチの動作
時に放電スイッチから放出される電磁波を放電電極に照
射することによって放電電極から光電子を放出させ、平
均電界強度15kV/cm以下で放電が開始されるようにパ
ルス電圧印加前に排ガス中に予め電子を供給するように
してなることを特徴とするパルスコロナ放電による排ガ
ス中の有機物分解装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34585198A JP3991252B2 (ja) | 1998-12-04 | 1998-12-04 | パルスコロナ放電による排ガス中の有機物分解装置 |
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JP34585198A Expired - Fee Related JP3991252B2 (ja) | 1998-12-04 | 1998-12-04 | パルスコロナ放電による排ガス中の有機物分解装置 |
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Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002151295A (ja) * | 2000-11-13 | 2002-05-24 | Yaskawa Electric Corp | 放電発生装置 |
JP2002153834A (ja) * | 2000-11-16 | 2002-05-28 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 灰・土壌の無害化処理方法び装置 |
JP2003243200A (ja) * | 2002-02-14 | 2003-08-29 | Japan Science & Technology Corp | レーザー光照射による直流放電発生装置及び環境汚染ガスの処理方法 |
JP2009156063A (ja) * | 2007-12-25 | 2009-07-16 | Toyota Industries Corp | 内燃機関の排ガス処理システム |
JP2010259977A (ja) * | 2009-04-30 | 2010-11-18 | Japan Ae Power Systems Corp | 高電圧パルス放電型脱臭装置 |
CN105080302A (zh) * | 2015-08-17 | 2015-11-25 | 杭州科瑞特环境技术有限公司 | 一种紫外光-等离子体协同降解有机废气装置及其方法 |
JP6782952B1 (ja) * | 2019-05-08 | 2020-11-11 | 株式会社クメタ製作所 | プラズマ生成装置 |
WO2020226086A1 (ja) * | 2019-05-08 | 2020-11-12 | 株式会社クメタ製作所 | プラズマ生成装置 |
-
1998
- 1998-12-04 JP JP34585198A patent/JP3991252B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2020226086A1 (ja) * | 2019-05-08 | 2020-11-12 | 株式会社クメタ製作所 | プラズマ生成装置 |
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