JP2000162621A - 液晶装置の製造方法及び液晶注入装置 - Google Patents

液晶装置の製造方法及び液晶注入装置

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JP2000162621A
JP2000162621A JP10334215A JP33421598A JP2000162621A JP 2000162621 A JP2000162621 A JP 2000162621A JP 10334215 A JP10334215 A JP 10334215A JP 33421598 A JP33421598 A JP 33421598A JP 2000162621 A JP2000162621 A JP 2000162621A
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vacuum
injection
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Masayuki Yazaki
正幸 矢崎
Hideki Kitahara
秀樹 北原
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一対の基板間に液晶が封入されてなる液晶装
置の製造方法の一工程で用いられる液晶注入方法及び装
置において、液晶注入に起因した流動配向による悪影響
を低減する。 【解決手段】 一対の基板(100、20)をシール材
で貼り合わせた後、真空チャンバ(201)内で、第1
ヒータ(211)により、一対の基板間に液晶をその等
方相転移温度よりも低い第1所定温度にまで加熱した雰
囲気で真空注入する。次に、第2ヒータ(212)によ
り、液晶をその等方相転移温度以上の第2所定温度にま
で加熱して等方処理し、冷却プレート(213)で冷却
する。その後、封止材により液晶を封止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対の基板間に液
晶が封入されてなる液晶装置の製造方法であって、特に
液晶装置の一工程で用いられる液晶注入方法及び装置の
技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】液晶装置の製造においては、一方の基板
に、アクティブマトリクス駆動、パッシブマトリクス駆
動、セグメント駆動等の駆動方式に応じた、画素電極、
走査線、データ線、薄膜トランジスタ(以下適宜、TF
Tと称す)、薄膜ダイオード(以下適宜、TFDと称
す)などが形成された後に、配向膜が形成される。他方
の基板に、やはり駆動方式に応じた、対向電極、配線、
ブラックマスクやブラックマトリクスと称される遮光
膜、カラーフィルタ等が形成された後に、配向膜が形成
される。そして、これらの配向膜が夫々形成された一対
の基板は、液晶に対向しており実際に画像が表示される
画像表示領域の周囲に位置するシール領域において、シ
ール材により貼り合わせられる。これらの工程により、
所謂空セルが製造される。その後、この空セル内に液晶
が封入されて、液晶セルが製造される。更に、偏光板等
が取り付けられて液晶装置が製造される。
【0003】従来、このような空セル内に液晶を注入す
る工程には、真空注入法が用いられている。真空注入法
では、真空チャンバ内に空セルを配置して、真空脱気し
た後に、液晶を滴下する。すると、シール材内や空セル
内に含まれるスペーサと称されるギャップ材により所定
ギャップを有する基板間に、平面的に見てシール材の一
部が欠落してなる液晶注入口を介して液晶が注入され
る。このように液晶注入が終わると、先ず液晶注入口か
ら液晶が漏れないように封止材により液晶注入口が封止
される。
【0004】この時点における液晶の配向状態には、液
晶注入の際の液晶の流動方向に依存して、流動配向と呼
ばれる流動状態の痕跡が残っており、そのままでは液晶
の配向不良として画像不良を引き起こす原因の一つとな
る。そこで従来は、液晶注入口を封止した後に、液晶の
配向状態を、流動方向ではなく配向膜のラビング方向に
より大きく依存させるため、一旦等方相転移温度以上の
高温度にして等方処理(即ち、ネマチック相を等方相に
相転移した後に再配向させる高温処理)を行うようにし
ている。この際特に、加温中に基板の反りや変形が生じ
ないように徐々に加温される。
【0005】以上のように従来の液晶注入技術によれ
ば、真空注入に伴う流動配向による悪影響を等方処理に
より低減して、最終的に配向不良の少ない液晶装置が製
造可能とされている。
【0006】他方、この種の液晶装置においては、表示
画像の高品位化及び装置全体の小型軽量化が図られてお
り、このため特に画素ピッチが小さくされ、精細度が高
められて来ている。画素ピッチを小さくすると、基板に
垂直な方向に液晶に印加される本来の液晶駆動用の縦電
界に対して、データ線、走査線、画素電極等間の電位差
に起因する、基板に平行な方向の横電界の大きさが相対
的に大きくなる。この縦電界に対する横電界の大きさ
は、対角数インチから十数インチ程度の大型の液晶セル
では各画素の大きさ自体が大きいため余り問題とならな
いが、例えば対角1インチや0.7インチ程度のプロジ
ェクタ用やビューファインダ用の小型の液晶セルでは非
常に問題となる。このため、液晶層厚に等しい基板間ギ
ャップを狭めることにより、相対的に縦電界を大きくす
る技術が採用されている。
【0007】なお、この基板間ギャップを所定値とする
ために、大型の液晶セルではスペーサと称される所定径
のギャップ材が液晶中に散布される。これに対し、液晶
層中にギャップ材を入れたのではギャップ材の影が拡大
投影等されて画質劣化してしまう小型の液晶セルでは、
ギャップ材がシール材中に含まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、画素ピ
ッチの微細化に伴って基板間ギャップを狭めると、前述
した液晶注入における流動経路の断面積が減少するの
で、液晶の流動速度は低下する。
【0009】ここで本願発明者による実験及び研究によ
れば、液晶の流動速度が低い程、前述の液晶注入後にお
ける等方処理の効果が薄れて、流動の痕跡が流動配向と
して残ることが判明している。更に、液晶注入からの時
間が経つ程、前述した等方処理の効果が低下することも
判明している。即ち、流動速度が低い程或いは流動配向
状態を長い時間とる程、等方処理後に、配向膜のラビン
グ方向に依存して安定する液晶分子数に対して流動方向
に依存して安定する液晶分子数の割合が増加してしま
い、最終的に配向不良による表示むらの発生率が高くな
ってしまうという問題がある。
【0010】特に、小型の液晶装置の場合には、前述の
ようにギャップ材を液晶中に散布できないため、液晶注
入中における圧力低下により空セルの中央付近がつぶれ
て両基板が相互に密着する結果、より液晶の流動経路が
狭くなり、より流動速度が低下する。このため、小型の
液晶装置の場合には、上記問題はより深刻化してしま
う。また、通常別々の装置により行われる前述の液晶注
入と等方処理との間には、更に別の装置により行われる
封止工程が入るため、上記問題を解決するために有効と
思われる液晶注入から等方処理を行うまでの時間短縮に
対する制約となっている。
【0011】これらに加えて、液晶注入工程における液
晶の流動速度の低さは当該工程を短時間で行う際の基本
的な障害となっており、液晶注入工程、封止工程、等方
処理工程等が別々の装置で行われることと共に、液晶装
置の製造プロセスを長時間化し、製造コストを高める要
因にもなっているという問題点もある。
【0012】本発明は上述の問題点に鑑みなされたもの
であり、一対の基板間に液晶が封入されてなる液晶装置
の製造方法の一工程で好適に用いられ、液晶注入に起因
した流動配向による悪影響を低減可能である液晶注入方
法及び装置を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の第1液晶装置の
製造方法は上記課題を解決するために、一対の基板間に
液晶が挟持されてなり、前記一対の基板の液晶面側に配
向膜が形成されてなる液晶装置の製造方法において、前
記一対の基板間に前記液晶を前記液晶の等方相転移温度
よりも低い第1所定温度にまで加熱した雰囲気で真空注
入する真空注入工程と、前記真空注入工程の後に前記液
晶を前記一対の基板間に封止する封止工程とを含むこと
を特徴とする。
【0014】本発明の第1の液晶装置の製造方法によれ
ば、真空注入工程において、液晶は、その等方相転移温
度よりも低い第1所定温度にまで加熱された雰囲気で、
真空注入される。ここで、液晶の粘性は温度に依存して
おり、常温から上昇するにつれて粘性が低下する。従っ
て、加熱により常温よりも高められた第1所定温度の雰
囲気中では、液晶の粘性は、常温雰囲気中の場合と比べ
て低下し、流動性が高まる。更に、液晶は温度に依存し
て相転移するものであり、等方相転移温度まで上昇する
と、ネマチック相は等方相になる。従って、等方相転移
温度より低い第1所定温度においては、液晶はネマチッ
ク相を維持している。そして、仮にこのように流動性が
極めて高い等方相の液晶を空セル中に注入したのでは、
非常に高速で流動する結果、今度は、注入中に気泡を取
り込む等の理由により、最終的に流動の痕跡を非常に強
く残すことが判明している。そこで、本発明の第1の液
晶装置の製造方法においては、等方相転移温度よりも低
い第1所定温度にまで加熱された雰囲気で真空注入を行
って、ネマチック相の液晶を、常温雰囲気中よりも粘性
の低められた状態で流動させるようにする。これによ
り、流動速度は適度に高まり、流動速度が遅い程より多
く発生すると共に等方処理による回復がより困難になる
性質を持つ流動配向の発生を効率的に抑えることが可能
となる。更に、流動速度が高まるために真空注入工程に
かかる時間自体が短縮され、その短縮に応じて、後に行
われる等方処理までの時間も短縮される。従って、流動
配向は、等方処理を施すまでの時間が長い程、等方処理
による回復がより困難になる性質をも有するため、この
真空注入工程は流動配向を低減する上で非常に効率的で
ある。加えて、液晶注入工程を短時間で行うことは、ス
ループットの向上と低コスト化を図ることにもつなが
る。このように流動配向の発生を抑えるように短時間で
真空注入された後に、封止工程により、例えば封止材を
用いて液晶は一対の基板間に封止される。
【0015】第1の液晶装置の製造方法の一の態様で
は、前記第1所定温度は、前記液晶の種類及び前記所定
間隙に基づいて予め設定される。
【0016】この態様によれば、流動速度が液晶の種類
及び基板間の所定間隙にも依存して変化するので流動配
向の程度も温度と共にこれらに依存して変化することに
着目して、実際に採用される個別具体的な液晶の種類及
び基板間の所定間隙に応じて、流動配向が十分に低減さ
れる第1所定温度を予め設定しておく。そして、真空注
入工程において、この予め設定された第1所定温度の雰
囲気で真空注入すれば、液晶の種類や基板間の所定間隙
が様々に変化する場合にも、流動配向を十分に低減する
ことが可能となる。
【0017】この場合、例えば、前記第1所定温度は、
40℃以上80℃以下に設定される。
【0018】第1の液晶装置の製造方法の他の態様で
は、前記封止工程の前に、前記真空注入された液晶を前
記等方相転移温度以上の第2所定温度にまで加熱する加
熱工程を更に含む。
【0019】この態様によれば、流動配向は時間が経つ
ほど安定して等方処理の効きが悪くなること及び液晶に
は表面張力があるので注入後に直ぐに封止しなくてもセ
ル内部空間に留まることに着目して、封止工程の前に、
等方相転移温度以上の第2所定温度にまで液晶を加熱す
る加熱工程により、等方処理を行うようにする。従っ
て、従来のように真空注入後に封止を行った後に等方処
理を行う場合と比較して、等方処理が行われるまでの時
間を大幅に短縮することが可能となり、よって、当該加
熱工程における等方処理により、流動配向を極めて効率
的に低減することが可能となる。
【0020】本発明の第2の液晶装置の製造方法は上記
課題を解決するために、液晶を所定方向に配向させるた
めの配向膜が形成されており該配向膜が所定間隙で対向
するように貼り合せられた一対の基板間に前記液晶を注
入する液晶注入方法であって、前記一対の基板間に前記
液晶を真空注入する真空注入工程と、前記液晶を前記液
晶の等方相転移温度以上の第2所定温度にまで加熱する
加熱工程と、前記加熱工程の後に前記液晶を封止する封
止工程とを含む。
【0021】本発明の第2の液晶装置の製造方法によれ
ば、先ず真空注入工程において、液晶は真空注入され
る。ここで、流動配向は、時間が経つほど安定して等方
処理の効きが悪くなること及び液晶には表面張力がある
ので注入後に直ぐに封止しなくてもセル内部空間に留ま
ることが判明している。そこで、封止工程の前に、等方
相転移温度以上の第2所定温度にまで液晶を加熱する加
熱工程により、等方処理を行うようにする。従って、従
来のように真空注入後に封止を行った後に等方処理を行
う場合と比較して、等方処理が行われるまでの時間を大
幅に短縮することが可能となり、よって、当該加熱工程
における等方処理により、流動配向を極めて効率的に低
減することが可能となる。このように流動配向の発生を
抑えるように直ぐに加熱工程により等方処理が行われた
後に、封止工程により、例えば封止材を用いて液晶は一
対の基板間に封止される。
【0022】第1又は第2の液晶装置の製造方法の他の
態様では、前記加熱工程は、前記真空注入工程が終了す
る前に加熱を開始する。
【0023】この態様によれば、真空注入工程が終了す
る前に、加熱工程による等方処理が開始されるので、等
方処理が行われるまでの時間を更に大幅に短縮すること
が可能となる。
【0024】第1又は第2液晶装置の製造方法の他の態
様では、前記加熱工程と前記封止工程との間に、前記液
晶を冷却する冷却工程を更に含む。
【0025】この態様によれば、加熱工程後の冷却工程
により、液晶が表面張力によりセル内部空間に留まって
いるという比較的不安定な状態にある封止工程までの時
間を短縮しつつ、冷却後に、例えば封止材を用いて封止
工程を施すことが可能となる。
【0026】第1又は第2の液晶装置の製造方法の他の
態様では、前記一対の基板は、注入口を残すその周囲に
おいてギャップ材を含むシール材により貼り合わされて
おり、前記真空注入工程では、前記注入口を介して前記
液晶を真空注入し、前記封止工程では、封止材により前
記注入口を封止する。
【0027】この態様によれば、真空注入工程により、
第1所定温度の雰囲気で流動性の高い液晶が注入口を介
して真空注入され、封止工程により、封止材により注入
口が封止される。従って、比較的小さい注入口を利用し
ての液晶注入が可能となり、液晶をその表面張力により
セル内部空間に比較的安定に留まらせておくことが可能
となる。
【0028】本発明の液晶注入装置は上記課題を解決す
るために、液晶を所定方向に配向させるための配向膜が
形成されており該配向膜が所定間隙で対向するように貼
り合せられた一対の基板間に前記液晶を注入する液晶注
入装置であって、前記一対の基板を前記液晶の等方相転
移温度よりも低い第1所定温度にまで加熱する第1加熱
手段と、該第1加熱手段により加熱された状態にある前
記一対の基板間に前記液晶を真空注入する真空注入手段
と、該真空注入手段により真空注入された前記液晶を挟
持した状態にある前記一対の基板を前記等方相転移温度
以上の第2所定温度にまで加熱する第2加熱手段と、該
第2加熱手段により加熱された前記一対の基板を冷却す
る冷却手段とを備える。
【0029】本発明の液晶注入装置によれば、先ず、第
1加熱手段により、一対の基板は、液晶の等方相転移温
度よりも低い第1所定温度にまで加熱される。この際、
注入すべき液晶も第1加熱手段により基板と共に加熱さ
れてよい。次に、真空注入手段により、加熱された状態
にある一対の基板間に液晶が真空注入される。従って、
ネマチック相の液晶を、常温雰囲気中よりも粘性の低め
られた状態で流動させることができ、流動速度は適度に
高まり、前述した本発明の第1液晶注入方法の場合と同
様に、流動配向の発生を効率的に抑えることが可能とな
る。更に、流動速度が高まるために真空注入工程にかか
る時間自体が短縮され、その短縮に応じて、後に行われ
る等方処理までの時間も短縮される。次に、第2加熱手
段により、真空注入された液晶を挟持した状態にある一
対の基板は、等方相転移温度以上の第2所定温度にまで
加熱される。この際、真空注入された液晶も、第2加熱
手段により基板と共に加熱されてよい。従って、封止工
程の前に、等方相転移温度以上の第2所定温度にまで液
晶を加熱する加熱工程により、等方処理を行うことがで
き、前述した本発明の第2液晶注入方法の場合と同様
に、等方処理が行われるまでの時間を大幅に短縮するこ
とが可能となり、流動配向を極めて効率的に低減するこ
とが可能となる。次に、冷却手段により、加熱された一
対の基板は冷却される。従って、冷却工程により、液晶
が表面張力によりセル内部空間に留まっているという比
較的不安定な状態にある封止工程までの時間を短縮でき
る。以上のように冷却された後に、封止装置により、例
えば封止材を用いて一対の基板間に液晶が封止される。
【0030】液晶注入装置の一の態様では、前記第1加
熱手段及び前記真空注入手段は、真空チャンバ内に配置
されている。
【0031】この態様によれば、真空チャンバ内に共に
配置された第1加熱手段及び真空吸引手段により、液晶
を第1所定温度の雰囲気で真空注入できる。
【0032】液晶注入装置の他の態様では、前記一対の
基板の前記液晶に対向しない側の面を吸着保持すると共
に前記一対の基板よりも剛性の高い吸着板を更に備え
る。
【0033】この態様によれば、吸着板により、一対の
基板は吸着保持され、この状態で、第1加熱手段及び真
空吸引手段により第1所定温度の雰囲気で液晶が真空注
入され、更に第2加熱手段により等方処理が行われ、更
に冷却手段により冷却される。ここで特に、吸着板は、
一対の基板よりも剛性が高いため、第1及び第2加熱手
段並びに冷却手段により温度変化が急峻になるように加
熱又は冷却する最中における、一対の基板の反りや変形
を低減することが可能となり、短時間の液晶注入が可能
となると共に液晶注入における装置欠陥の発生率を低め
ることも可能となる。
【0034】本発明のこのような作用及び他の利得は次
に説明する実施の形態から明らかにされよう。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0036】(液晶装置の構成)先ず、本実施形態のの
液晶注入方法を用いる液晶装置の製造プロセスにより製
造される液晶装置の一例について、液晶層、シール材及
び配向膜を中心に図1及び図2を参照して説明する。こ
こでは、駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス
駆動方式の液晶装置を例にとり説明を加える。尚、図1
は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素
と共に対向基板の側から見た平面図であり、図2は、図
1のH−H’断面図である。
【0037】図1及び図2において、液晶装置は、一対
の基板であるTFTアレイ基板10と対向基板20の間
に液晶層50が挟持されてなり、TFTアレイ基板10
と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置
するシール領域に設けられたシール材52により相互に
固着されている。
【0038】シール材52は、両基板を貼り合わせるた
めの、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、
後述の製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に
塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられ
たものである。また、シール材52中には、当該液晶装
置がプロジェクタ用途のように小型で拡大表示を行う液
晶装置であれば、両基板間の距離(基板間ギャップ)を
所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビー
ズ等のギャップ材(スペーサ)が含まれていてもよい。
或いは、当該液晶装置が液晶ディスプレイや液晶テレビ
のよう大型で等倍表示を行う液晶装置であれば、このよ
うなギャップ材は、液晶層50中に含まれてよい。
【0039】図1において、シール材52が配置された
シール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの周
辺を規定する周辺見切りと称される遮光膜53が(対向
基板20側に)設けられている。
【0040】図1において、シール材52が配置された
シール領域の外側の周辺領域には、データ線駆動回路1
01及び実装端子102がTFTアレイ基板10の一辺
に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、こ
の一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。更にT
FTアレイ基板10の残る一辺には、画面表示領域の両
側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための
複数の配線105が設けられている。また、対向基板2
0のコーナー部の少なくとも一個所において、TFTア
レイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとる
ための上下導通材106が設けられている。データ線駆
動回路101及び走査線駆動回路104は各画素に設け
られた画素電極に対し、TFTアレイ基板10上にマト
リクス状に形成された各画素スイッチング用TFT30
(図2参照)を介して画像信号を選択的に供給するため
のデータ線(ソース電極)及び走査線(ゲート電極)に
各々電気的接続されている。データ線駆動回路101に
は、図示しない制御回路から即時表示可能な形式に変換
された画像信号が入力され、走査線駆動回路104がパ
ルス的に走査線に順番に走査信号(ゲート電圧)を送る
のに合わせて、データ線駆動回路101は画像信号(ソ
ース電圧)をデータ線に送る。
【0041】図2において、TFTアレイ基板10上に
は、画素スイッチング用TFT30や走査線、データ
線、容量線等の配線が形成された後の最上層部分に、ポ
リイミド(PI)系材料からなる配向膜21が形成され
ている。他方、対向基板20上(図2では、下側の面
上)には、対向電極の他、各画素毎に非開口領域を規定
するブラックマスク又はブラックマトリクスと称される
遮光膜23、カラーフィルタ等が形成された最上層部分
(図2では、最も下側の面上)に、配向膜21と同じく
ポリイミド系材料からなる配向膜22が形成されてい
る。これらの一対の配向膜21及び22は夫々、後述の
製造プロセスにおいて、ポリイミド系材料を塗布し、焼
成した後、液晶層50中の液晶を所定方向に配向させる
と共に液晶に所定のプレチルト角を付与するように配向
処理が施されている。尚、遮光膜23は、表示画像にお
けるコントラストの向上、色材の混色防止などの機能を
有しており、前述の如き走査線やデータ線に沿って(即
ち、各画素の境界に)発生し易いリバースチルトドメイ
ン等の配向不良領域を隠す機能をも有する。このような
遮光膜23を対向基板20の側ではなく、TFTアレイ
基板10上に形成してもよい。
【0042】また、液晶層50は、例えば一種又は数種
類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、一対の
配向膜21及び22の間で、所定の配向状態をとる。液
晶層50は、図1に示したように液晶注入口の部分が欠
落したシール材53及びこの液晶注入口を後述する液晶
注入工程の後に封止する封止材54により液晶が基板間
に封入されてなる。
【0043】以上説明したTFTアクティブマトリクス
駆動方式の液晶装置の例に対して後述の本発明の液晶注
入方法を適用すると、液晶層50における流動配向によ
る配向不良が低減されるため、表示ムラの少ない液晶装
置を製造できる。そして特に、ギャップ材が液晶層50
中に散布されていない小型の液晶装置に後述の本発明の
液晶注入方法を適用した場合に、顕著な効果が期待でき
る。但し、本願発明を、TFTアクティブマトリクス駆
動方式以外の、TFDアクティブマトリクス方式、パッ
シブマトリクス駆動方式などいずれの方式の液晶装置に
適用しても、適当な流動速度で液晶注入が行われる結
果、流動配向による配向不良が低減されると共に製造プ
ロセスの短時間化を図ることが可能である。更に、駆動
回路内蔵型の液晶装置(図1及び図2参照)のみなら
ず、駆動回路を外付けする型の液晶装置や対角1インチ
から15インチ程度或いはそれ以上の様々なサイズの液
晶装置に、本発明の液晶注入方法を適用しても、やはり
配向不良が低減されると共に製造プロセスの短時間化を
図ることが可能である。
【0044】(液晶装置の製造プロセス)次に、本実施
形態における液晶注入方法及び装置を用いて行われる液
晶装置の製造プロセスについて図3から図7を参照して
説明する。ここに、図3は、製造プロセスを順を追って
示す工程図であり、図4は、この製造プロセスのうち液
晶注入工程に用いられる液晶注入装置の概略図である。
また、図5は、液晶の粘性の温度依存性を示す特性図で
あり、図6は、液晶注入工程における注入温度を変化さ
せた場合の表示むらの発生率の変化特性を示す特性図で
あり、図7は、液晶注入から等方処理までの経過時間に
対する表示むら発生率の変化特性を示す特性図である。
【0045】図3に示すように、図1及び図2に示した
液晶装置の製造プロセスは、概ねTFTアレイ基板10
側におけるプロセスと、対向基板20側におけるプロセ
スと、両者を貼り合せた後のプロセスとに分かれる。
【0046】図3において一方で、TFTアレイ基板1
0側のプロセスとしては、石英等の基板上に画素電極、
TFT30等の素子並びに走査線、データ線等の配線が
プレーナ技術により形成された素子基板に対して、先
ず、これに付着した汚れやゴミ、埃を除去するための受
け入れ洗浄を行う(ステップS1)。
【0047】次に、配向膜21の形成を行う(ステップ
S2)。具体的には、例えば配向膜21の材料であるポ
リイミド(PI)系材料を基板の全面に塗布した後に焼
成を行う。
【0048】次に、形成された配向膜21に対する配向
処理を、その表面を一定方向に擦るラビング処理により
行う(ステップS3)。この際、上述のポリイミド系材
料の選択及びこのラビング処理におけるラビング条件に
より、液晶を所定方向に配向させること及び液晶に所定
のプレチルト角を付与することが可能となる。
【0049】次に、シール領域に対して、ギャップ材を
含むシール材52を印刷するか或いはギャップ材を混入
したシール材52を印刷し(ステップS4)、更に、上
下導通材106をシール材52の四隅に塗布する(ステ
ップS5)。
【0050】図3において他方で、対向基板20側のプ
ロセスとしては、ガラス等の基板上に対向電極や配線等
が形成された対向側基板に対して、先ず、これに付着し
た汚れやゴミ、埃を除去するための受け入れ洗浄を行う
(ステップS6)。
【0051】次に、配向膜22の形成を行う(ステップ
S7)。具体的には、例えば配向膜21の材料であるポ
リイミド(PI)系材料を基板の全面に塗布した後に焼
成を行う。
【0052】次に、形成された配向膜21に対する配向
処理を、その表面を一定方向に擦るラビング処理により
行う(ステップS8)。この際、上述のポリイミド系材
料の選択及びこのラビング処理におけるラビング条件に
より、液晶を所定方向に配向させること及び液晶に所定
のプレチルト角を付与することが可能となる。
【0053】図3において、ステップS1からS5を経
たTFTアレイ基板10とステップS6からS8を経た
対向基板20とを、シール材52により貼り合わせ(ス
テップS9)、精度良くアラインメントした後(ステッ
プS10)、基板間ギャップを所望の液晶セルギャップ
となるまで加圧下で締め付けて圧着する(ステップS1
1)。シール材52中に含むギャップ材により、このよ
うな所望の基板間ギャップが得られる。
【0054】次に、シール材52に対して、紫外線照
射、加熱或いはそれらの両者により、シール材52を硬
化させる(ステップS12)。
【0055】次に、本発明の液晶注入方法及び装置を用
いた液晶注入工程が行われる(ステップS13)。
【0056】ここで、この液晶注入工程について図4か
ら図7を参照して詳しく説明する。
【0057】図4に示すように、液晶注入工程では、液
晶の等方相転移温度よりも低い第1所定温度にまで加熱
する第1加熱手段の一例としての第1ヒータ211と、
第1ヒータ211により加熱された雰囲気で液晶を真空
注入する真空注入手段の一例として減圧下で液晶を滴下
する滴下装置202を含む真空チャンバ201と、液晶
の等方相転移温度以上の第2所定温度にまで加熱する第
2加熱手段の一例としての第2ヒータ212と、冷却手
段の一例としての冷却プレート213とを備えた液晶注
入装置200が用いられる。本実施形態では特に、図1
及び図2を参照して説明した液晶装置を複数構成する複
数のTFTアレイ基板10を含む基板100上に形成さ
れた複数の空セル(液晶セル)に対して、同時に液晶注
入するように構成されている。このため、液晶注入工程
におけるスループットを高めることができる。但し、基
板100を分断した後に、個々の空セルに液晶注入する
ことも可能である。第1ヒータ211は、基板100を
直接又は吸着板を介して載置して、複数の空セルを基板
100と共に加熱し、更に液晶を含む滴下装置202と
共に注入すべき液晶を加熱するように構成されている。
また、第2ヒータ212は、第1ヒータ211から移動
されてきた基板100を直接又は吸着板を介して載置し
て、複数の空セルを基板100と共に加熱するように構
成されており、冷却プレート213は、第2ヒータ21
2から移動されてきた基板100を直接又は吸着板を介
して載置して、複数の空セルを基板100と共に冷却す
るように構成されている。
【0058】このように構成された液晶注入装置200
を用いて、液晶注入工程では、先ず、 減圧された真空
チャンバ201内において、第1ヒータ211及び滴下
装置202により、液晶は、その等方相転移温度よりも
低い第1所定温度にまで加熱された雰囲気で真空注入さ
れる。
【0059】ここで、図5に示すように、液晶の粘度は
温度に依存しており、常温から上昇するにつれて粘度が
低下する。より具体的には、メルク社製のMJ9823
0(商品名)を液晶サンプルとして、ウペローデ型粘度
計を用いて粘度測定を行った本例では、20〜30℃程
度の常温では、粘度が40〜25[/cSt]程度ある
のに対して、40〜60℃程度の加熱された雰囲気で
は、粘度が15〜8[/cSt]程度にまで低下する。
他方で、液晶は温度に依存して相転移するものであり、
液晶の種類に依存するが例えば110〜130℃程度で
ある等方相転移温度まで上昇すると、ネマチック相は等
方相になる。即ち、等方相転移温度まで上昇すると、液
晶は、ほぼ完全に近い液状となり、粘度は極めて低くな
る。そして、仮にこのように粘度が極めて低く流動性が
極めて高い液晶を空セル中に注入したのでは、非常に高
速で流動する結果、今度は、注入中に気泡を取り込む等
の理由により、最終的に流動の痕跡を非常に強く残すこ
と、即ち表示むらを引き起こすことになる。
【0060】そこで、本実施形態では、第1ヒータ21
1における第1所定温度は、流動速度が液晶の種類及び
基板間ギャップにも依存して変化するので、流動配向の
程度も、温度と共にこれらに依存して変化することに着
目して、実験的、経験的、理論的或いはシミュレーショ
ン等により、実際に採用される個別具体的な液晶の種類
及び基板間ギャップに応じて、流動配向が十分に低減さ
れる温度に予め設定される。この場合、例えば、第1所
定温度は、40〜80℃程度の温度(例えば、50℃)
に設定される。
【0061】第1ヒーター211により以上のように設
定された第1所定温度にまで加熱された液晶は、ネマチ
ック相のままで、常温雰囲気中よりも粘度の低められた
状態で空セル内に、適度に高められた流動速度で流入す
る。
【0062】ここで、図6に示すように、液晶の注入温
度が常温から上昇するにつれて表示ムラの発生率は低下
する。より具体的には、メルク社製のMJ98230を
液晶サンプルとして、所定基準に従っての表示ムラ検査
を行った本例では、比較的高ドット周波数(即ち、微細
画素ピッチ)18μmの対角0.9インチの液晶セルの
場合には、20〜30℃程度の常温で液晶注入した際に
は、表示ムラの発生率が15〜3%程度であるのに対し
て、40〜60℃程度の加熱された雰囲気で液晶注入し
た際には、表示ムラの発生率が0.2〜0%程度にまで
低下する。また、ドット周波数26μmの対角1.3イ
ンチの液晶セルの場合には、20〜30℃程度の常温で
液晶注入した際には、表示ムラの発生率が25〜8%程
度であるのに対して、40〜60℃程度の加熱された雰
囲気で液晶注入した際には、表示ムラの発生率が1〜0
%程度にまで低下する。
【0063】このように流動速度が遅い程より多く発生
すると共に等方処理による回復がより困難になる性質を
持つ流動配向の発生を、本実施形態では適度に加温した
雰囲気で液晶注入を行うことにより効率的に抑えること
が可能となる。
【0064】更に、図7に示すように、流動配向は、等
方処理を施すまでの時間が長い程、等方処理による回復
がより困難になり、等方処理の後の表示ムラの発生率が
上昇する。より具体的には、メルク社製のMJ9823
0を液晶サンプルとして、所定基準に従っての表示ムラ
検査を行った本例では、XGA型の対角0.9インチの
液晶セルに対して40℃の注入温度で液晶注入を行った
場合に、液晶注入から等方処理までの経過時間が30分
以内であれば、表示ムラの発生率がほぼ0%程度であ
り、経過時間が1時間程度であれば、表示ムラの発生率
が0.5%程度であるのに対して、経過時間が2時間程
度となると、表示ムラの発生率が3%程度に上昇し、更
に経過時間が5〜10時間程度となると、表示ムラの発
生率が10〜15%程度にまで上昇してしまうのであ
る。
【0065】このように液晶注入から等方処理までの経
過時間が長い程、等方処理による回復がより困難になる
性質を持つ流動配向の発生を、本実施形態では流動速度
の高められた迅速な真空注入を行って真空注入工程にか
かる時間を短縮することにより効率的に抑えることがで
きる。
【0066】このように迅速な真空注入が、ある程度進
行するか或いは完了すると続いて、図4に示すように、
基板100は、第2ヒータ212上に移動されて、第2
ヒータ212により、等方相転移温度以上の第2所定温
度にまで加熱される。ここで、図7で示したように流動
配向は時間が経つほど安定して等方処理の効きが悪くな
ること、及び液晶には表面張力があるので注入後に直ぐ
に封止しなくても空セルの内部空間に留まることに着目
して、本実施形態では、封止工程の前に、第2ヒータ2
12を用いて第2所定温度にまで液晶を加熱する加熱工
程により、等方処理を行う。従って、従来のように封止
工程の後に、等方処理工程を行う場合と比較して、等方
処理が行われるまでの時間を大幅に短縮することが可能
となり、よって、当該加熱工程における等方処理によ
り、流動配向を極めて効率的に低減することが可能とな
る。尚、液晶の第2所定温度は、例えば等方相転移温度
より10℃高い120℃程度に設定され、等方処理を施
す時間としては、液晶が相転移の後に再配向を良好に行
うのに十分な例えば1分から3分程度とする。この第2
所定温度の等方処理により、液晶の配向の乱れや配向不
良が除去される。
【0067】このように第2ヒータ212による等方処
理が完了すると続いて、図4に示すように、基板100
は、冷却プレート213上に移動されて、冷却プレート
213により冷却される。このように冷却プレート21
3により強制冷却することにより、当該液晶注入装置2
00による液晶注入処理全体にかかる時間を短縮するこ
とができ、液晶が表面張力によりセル内部空間に留まっ
ているという比較的不安定な状態にある、後工程である
封止工程までの時間を短縮できる。
【0068】以上の結果、液晶注入工程(ステップ1
3)により、液晶注入に起因した流動配向による悪影響
を低減でき、これに対応して表示むらの発生率を低減す
ることが可能となる。特に、第1所定温度は、液晶の種
類及び基板間ギャップに応じて適度な流動速度が得られ
るように設定されているので、液晶の種類や基板間の所
定間隙が様々に変化する場合にも、流動配向を十分に低
減することが可能となる。
【0069】再び図3に戻り、封止材54により液晶注
入口を封止し(ステップS14)、基板100を複数の
図1及び図2に示したような液晶装置に分断した後(ス
テップS15)、再び洗浄し(ステップS16)、更
に、所定の配線や素子の導通・絶縁検査や表示むらの検
査等を行った後(ステップS17)、外部配線の接続、
偏光板、位相差フィルム等の貼り付けなどの実装処理が
行われて(ステップS18)、液晶装置が完成する。
【0070】尚、本実施形態では、図4に示したように
真空チャンバ201外で、第2ヒータ212による等方
処理を施すようにしたが、第2ヒータ212も真空チャ
ンバ201内に配置して或いは第1及び第2ヒータ21
1及び212を共通化して、等方処理のための第2所定
温度の加熱工程を、真空注入工程が終了する前に開始す
るようにしてもよい。このように加熱すれば、等方処理
が行われるまでの時間を更に大幅に短縮することが可能
となる。但し、等方相の液晶は流動性が極めて高いた
め、真空注入工程の余り早い段階で加熱工程を開始した
のでは、注入中に気泡を取り込む等の弊害が顕在化する
かもしれないが、例えば、液晶がセル内部の平面全体に
浸透した時点(即ち、シール材中にギャップ材が含まれ
る小型の液晶セルの場合、一対の基板の中央付近が互い
に密着するようにつぶれて液晶セルが中薄の状態にあ
り、当該つぶれの回復に伴って液晶が浸透し続けている
時点)で加熱工程を開始すれば、このような弊害を未然
に防げる。
【0071】また、以上説明した本実施形態では、図4
に示した液晶注入装置200内において、基板100及
び対向基板20のうち少なくとも一方の外面を、これら
の基板よりも剛性の高い吸着板により吸着保持するよう
にしてもよい。このようにすれば、第1及び第2ヒータ
211及び212並びに冷却プレート213の上に吸着
板を介して載置された基板100及び対向基板20は、
これらよりも剛性が高い吸着板に吸着されているため、
温度変化が急峻になるように加熱又は冷却する最中にお
ける、これらの基板の反りや変形を低減することが可能
となる。従って、流動配向を低減するために液晶注入時
間を短縮すべく加熱及び冷却を急峻に行っても基板の反
りや変形に起因する装置欠陥の発生を防ぐことも可能と
なる。
【0072】更に本実施形態では、両基板は、注入口を
残すその周囲においてシール材52により貼り合わされ
ており、液晶注入工程では、注入口を介して液晶を真空
注入し、封止工程では、封止材54により注入口が封止
されるので、注入口の大きさを制限することにより、液
晶をその表面張力によりセル内部空間に比較的安定に留
まらせておくことが可能とされている。
【0073】尚、以上説明した各実施の形態における液
晶パネルでは、対向基板20の外面及びTFTアレイ基
板10の外面には各々、例えば、TN(ツイステッドネ
マティック)モード、 STN(スーパーTN)モー
ド、D−STN(ダブル−STN)モード等の動作モー
ドや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラック
モードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、
偏光板などが所定の方向で配置される。
【0074】更に、以上の各実施の形態において、特開
平9−127497号公報、特公平3−52611号公
報、特開平3−125123号公報、特開平8−171
101号公報等に開示されているように、TFTアレイ
基板10上において画素スイッチング用TFT30に対
向する位置(即ち、TFTの下側)にも、例えば高融点
金属からなる遮光膜を設けてもよい。このようにTFT
の下側にも遮光膜を設ければ、TFTアレイ基板10の
側からの裏面反射(戻り光)や複数の液晶装置をプリズ
ム等を介して組み合わせて一つの光学系を構成する場合
に、他の液晶装置からプリズム等を突き抜けて来る投射
光部分等が当該液晶装置のTFTに入射するのを未然に
防ぐことができる。また、対向基板20上に1画素1個
対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。この
ようにすれば、入射光の集光効率を向上することで、明
るい液晶装置が実現できる。更にまた、対向基板20上
に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積すること
で、光の干渉を利用して、RGB色を作り出すダイクロ
イックフィルタを形成してもよい。このダイクロイック
フィルタ付き対向基板によれば、より明るいカラー液晶
装置が実現できる。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように本発明の第1液晶注
入方法によれば、第1所定温度に加熱した雰囲気で適度
な流動速度により液晶注入できるので、更により短時間
で当該液晶注入を完了でき、液晶注入に起因した流動配
向を低減することが出来る。また、本発明の第2液晶注
入方法によれば、第2所定温度に加熱した等方処理を封
止工程前に行うので、液晶注入から等方処理までの経過
時間を短縮することができ、液晶注入に起因した流動配
向を低減することが出来る。従って、第1又は第2液晶
注入方法により、最終的には流動配向による表示むらの
発生率を低減することが可能となる。
【0076】更に、本発明の液晶注入装置によれば、本
発明の第1及び第2液晶注入方法を好適に実施すること
が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態により製造される液晶装置
の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’断面図である。
【図3】実施形態の製造プロセルにおける各工程を示す
工程図である。
【図4】図3に示した工程のうち液晶注入工程において
用いられる液晶注入装置の概略図である。
【図5】液晶の粘性の温度依存性を示す特性図である。
【図6】液晶注入工程における注入温度を変化させた場
合の表示むらの発生率の変化特性を示す特性図である。
【図7】液晶注入から等方処理までの経過時間に対する
表示むら発生率の変化特性を示す特性図である。
【符号の説明】
10…TFTアレイ基板 20…対向基板 21…配向膜 22…配向膜 23…遮光膜 30…TFT 50…液晶層 52…シール材 53…遮光膜 54…封止材 100…基板 101…データ線駆動回路 104…走査線駆動回路 200…液晶注入装置 201…真空チャンバ 202…滴下装置 211…第1ヒータ 212…第2ヒータ 213…冷却プレート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H088 FA10 FA30 GA02 HA03 HA08 JA05 JA13 MA04 MA18 2H089 LA07 NA25 NA31 NA44 NA45 NA55 NA60 QA12 QA16 RA05 RA10 TA09

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板間に液晶が挟持されてなり、
    前記一対の基板の液晶面側に配向膜が形成されてなる液
    晶装置の製造方法において、 前記一対の基板間に前記液晶を前記液晶の等方相転移温
    度よりも低い第1所定温度にまで加熱した雰囲気で真空
    注入する真空注入工程と、 前記真空注入工程の後に前記液晶を前記一対の基板間に
    封止する封止工程とを含むことを特徴とする液晶装置の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1所定温度は、前記液晶の種類及
    び前記所定間隙に基づいて予め設定されることを特徴と
    する請求項1に記載の液晶装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第1所定温度は、40℃以上80℃
    以下に設定されることを特徴とする請求項2に記載の液
    晶装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記封止工程の前に、前記真空注入され
    た液晶を前記等方相転移温度以上の第2所定温度にまで
    加熱する加熱工程を更に含むことを特徴とする請求項1
    から3のいずれか一項に記載の液晶装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 液晶を所定方向に配向させるための配向
    膜が形成されており該配向膜が所定間隙で対向するよう
    に貼り合せられた一対の基板間に前記液晶を注入する液
    晶装置の製造方法であって、 前記一対の基板間に前記液晶を真空注入する真空注入工
    程と、 前記液晶を前記液晶の等方相転移温度以上の第2所定温
    度にまで加熱する加熱工程と、 前記加熱工程の後に前記液晶を封止する封止工程とを含
    むことを特徴とする液晶装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記加熱工程は、前記真空注入工程が終
    了する前に加熱を開始することを特徴とする請求項4又
    は5に記載の液晶装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記加熱工程と前記封止工程との間に、
    前記液晶を冷却する冷却工程を更に含むことを特徴とす
    る請求項4から6のいずれか一項に記載の液晶装置の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記一対の基板は、注入口を残すその周
    囲においてギャップ材を含むシール材により貼り合わさ
    れており、 前記真空注入工程では、前記注入口を介して前記液晶を
    真空注入し、 前記封止工程では、封止材により前記注入口を封止する
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載
    の液晶装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 液晶を所定方向に配向させるための配向
    膜が形成されており該配向膜が所定間隙で対向するよう
    に貼り合せられた一対の基板間に前記液晶を注入する液
    晶注入装置であって、 前記一対の基板を前記液晶の等方相転移温度よりも低い
    第1所定温度にまで加熱する第1加熱手段と、 該第1加熱手段により加熱された状態にある前記一対の
    基板間に前記液晶を真空注入する真空注入手段と、 該真空注入手段により真空注入された前記液晶を挟持し
    た状態にある前記一対の基板を前記等方相転移温度以上
    の第2所定温度にまで加熱する第2加熱手段と、 該第2加熱手段により加熱された前記一対の基板を冷却
    する冷却手段とを備えたことを特徴とする液晶注入装
    置。
  10. 【請求項10】 前記第1加熱手段及び前記真空注入手
    段は、真空チャンバ内に配置されていることを特徴とす
    る請求項9に記載の液晶注入装置。
  11. 【請求項11】 前記一対の基板の前記液晶に対向しな
    い側の面を吸着保持すると共に前記一対の基板よりも剛
    性の高い吸着板を更に備えたことを特徴とする請求項9
    又は10に記載の液晶注入装置。
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