JP2000161386A - 主クラッチの冷却方法 - Google Patents

主クラッチの冷却方法

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JP2000161386A
JP2000161386A JP10335448A JP33544898A JP2000161386A JP 2000161386 A JP2000161386 A JP 2000161386A JP 10335448 A JP10335448 A JP 10335448A JP 33544898 A JP33544898 A JP 33544898A JP 2000161386 A JP2000161386 A JP 2000161386A
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均 野村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油圧クラッチ機構および油圧昇降機構を有す
るとともに、エンジンよりの出力の接続および断絶を行
う湿式多板クラッチを備える作業車両において、主クラ
ッチの冷却効率の向上を課題とする。 【解決手段】 油圧昇降装置用の分流器88aからのド
レン油と油圧クラッチの潤滑・冷却のドレン油を合流さ
せ、湿式多板クラッチ21の冷却を行う。主クラッチ2
1のリリーフ弁102を油圧クラッチ機構の潤滑・冷却
用のリリーフ弁101の油圧回路の下流に設ける。主ク
ラッチ21を枢支する回動軸23を中空構造とし、該回
動軸23の後端部開放し、ドレン回路よりの冷却油を供
給する。該軸23後端の開放部内側にオイルフェンス1
25を設ける。また、該軸23後方に作動油を供給する
パイプ105を配設し、該パイプ105の先端をノズル
形状に構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンからの出
力を湿式多板クラッチを備える作業車両のクラッチの冷
却および潤滑するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、エンジンからの出力を湿式多
板式の主クラッチを介して車軸伝動系に伝達する構成の
農用作業車の技術は公知となっている。このトランスミ
ッションは、主クラッチとして油中で作動する湿式多板
式摩擦クラッチを用いることで、クラッチより発生する
熱を作動油を媒介して効率的に拡散させ、該クラッチ部
分の損耗を低減して、クラッチの寿命を延ばすこととし
ている。湿式多板式クラッチの基本構造については、例
えば、特許番号1080623の如き技術が公知となっ
ている。また、主クラッチの冷却に関しては、特許番号
1825166の如き技術が公知となっている。従来、
油圧クラッチの作動油はエンジンに装着された油圧ポン
プにより供給され、該油圧ポンプにより六カ所の油圧ク
ラッチに作動油が供給されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一つのエンジンに装着
された油圧ポンプにより六カ所の油圧クラッチに作動油
が供給されているため、エンジンがアイドリング状態に
ある場合は主クラッチへの作動油の供給が不足する。ま
た、昇降装置用の油圧回路の分流器からのドレン油の吐
出量はエンジンの回転数に関係なく、一定であり、エン
ジンの高回転時には主クラッチの冷却油としての作動油
の供給量が不足する。
【0004】一個のリリーフ弁により油圧クラッチ、主
クラッチの冷却油回路を構成すると、供給油量、油温、
管路抵抗等により、それぞれの機構への作動油の供給量
が不安定になり、冷却不足となる。
【0005】軸の外周部に刻設された溝より、該軸の縦
穴に油を供給する方法では軸方向に空間を必要とし、ミ
ッション自体の構成が長くなる。また、回転している軸
に直角方向に油を供給するため、遠心力に対抗する圧力
を必要とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとす
る課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するた
めの手段を説明する。請求項1に記載のごとく、油圧ク
ラッチ機構および油圧昇降機構を有するとともに、エン
ジンよりの出力の接続および断絶を行う湿式多板クラッ
チを備える作業車両において、油圧昇降装置用の分流器
からのドレン油と油圧クラッチの潤滑・冷却のドレン油
を合流させ、湿式多板クラッチの冷却を行う。
【0007】請求項2に記載のごとく、油圧クラッチ機
構および油圧昇降機構を有するとともに、エンジンより
の出力の接続および断絶を行う湿式多板クラッチを備え
る作業車両において、主クラッチのリリーフ弁を油圧ク
ラッチ機構の潤滑・冷却用のリリーフ弁の油圧回路の下
流にもうけ、油圧クラッチ機構の冷却・潤滑を優先す
る。
【0008】請求項3に記載のごとく、油圧クラッチ機
構および油圧昇降機構を有するとともに、エンジンより
の出力の接続および断絶を行う湿式多板クラッチを備え
る作業車両において、主クラッチを枢支する回動軸を中
空構造とし、該回動軸の後端部を開放し、ドレン回路よ
りの冷却油を供給する。
【0009】請求項4に記載のごとく、油圧クラッチ機
構および油圧昇降機構を有するとともに、エンジンより
の出力の接続および断絶を行う湿式多板クラッチを備え
る作業車両において、主クラッチを枢支する回動軸後端
の開放部内側にオイルフェンスを設け、該回動軸後端よ
りの作動油の流出を防止する。
【0010】請求項5に記載のごとく、油圧クラッチ機
構および油圧昇降機構を有するとともに、エンジンより
の出力の接続および断絶を行う湿式多板クラッチを備え
る作業車両において、主クラッチを枢支する回動軸の後
方に作動油を供給するパイプを配設し、該パイプの先端
をノズル形状に構成する。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態を説明す
る。図1は作業車両の側面図、図2は同じく平面図、図
3は主クラッチ及びトランスミッションの構成を示した
側面断面展開図、図4は本作業車の動力伝達構成を示し
たスケルトン図、図5は本作業車の油圧回路図、図6は
作動油供給経路を示す側面断面図、図7はリリーフ弁の
配置構成を示す側面断面図、図8は主クラッチの側面断
面図、図9はクラッチボスの側面断面図、図10はクラ
ッチハウジングの構成を示す側面断面図、図11は冷却
パイプの構成を示す正面断面図、図12は主クラッチの
従動側軸の側面断面図である。
【0012】本発明の一実施例に係る作業車両の全体的
な構成について、図1、図2を用いて説明する。この作
業車両は、前後に前輪1及び後輪2を懸架する本体の前
部にボンネット6を配設し、該ボンネット6内部にはエ
ンジン5を配置している。ボンネット6の後方にはステ
アリングハンドル10を設けており、上記ステアリング
ハンドル10の後方にはシート11を配設している。ま
た、シート11の側部には主変速レバー77が突設され
る。ステアリングハンドル10及びシート11は、キャ
ビン12によって覆われる。
【0013】エンジン5の後方にはミッションケース9
を配設し、エンジン5からの動力を後輪2に伝達して駆
動している。但し、操作によっては、前輪1にも同時に
駆動力を伝達する四輪駆動とすることも可能である。
【0014】また、エンジン5の駆動力はミッションケ
ース9後端から突出したPTO軸15に伝達されて該P
TO軸15を駆動し、機体後端に接続した作業機を駆動
するように構成している。
【0015】そして、作業車を操作するオペレータの足
元には、クラッチを断接操作するためのクラッチ操作手
段たるクラッチペダル16が支持されている。ただし、
クラッチペダル16の代わりにクラッチレバーとしても
よい。
【0016】作業車両の後方には作業機100が接続さ
れており、該作業機にはPTO軸より駆動力が伝達さ
れ、該作業機100が駆動される。また、作業機100
は作業車両に備えられた昇降装置により作業機100の
上下位置および左右の傾斜角度を調整可能に構成されて
いる。
【0017】次に、ミッションケース9内の構成につい
て、図3および図4にもとづいて説明する。エンジン5
の後方にはミッションケース9が配設されており、該ミ
ッションケース9は前後に二分割される構成(9a・9
b)としており、間にセンタープレート13を挟持して
いる。また、後半部のトランスミッションハウジング9
bの後部左右側にはリアアクスルケースが固設される。
【0018】次に、後車軸伝動系の構成について説明す
る。即ち、上記クラッチカバー8内には前記クラッチペ
ダル16に連係される湿式多板式の主クラッチ21が配
置され、該主クラッチ21の原動側軸22にエンジン5
のクランク軸の回転が入力される。主クラッチ21の従
動側軸23は機体後方に延出され、その後端に形設した
ギア23aには走行クラッチ軸24に遊嵌された主変速
四速歯車34が噛合している。該主変速四速歯車34は
主軸25に固設された伝達歯車44に噛合している。該
主軸25には三枚の伝達歯車41・42・43が更に固
設されあるいは形設されており、該三枚の伝達歯車41
・42・43を介して、走行クラッチ軸24にそれぞれ
遊嵌された主変速一速歯車31、主変速二速歯車32、
主変速三速歯車33に動力が伝達される。
【0019】従って、主クラッチ21の従動側軸23が
回転すると、主変速一速歯車31、主変速二速歯車3
2、主変速三速歯車33及び主変速四速歯車34は各々
異なる回転数で回転することとなる。そして、上記主変
速レバー77に連動連結された油圧制御弁により、四つ
の油圧クラッチ51・52・53・54のいずれか一が
選択されて「接」とされて、四段階の変速が可能とな
り、主軸25の回転が該変速を経て走行クラッチ軸24
に伝達される。
【0020】走行クラッチ軸24はセンタープレート1
3を貫通して後方に延長される。該延長部分には正転側
歯車26及び逆転側歯車27がそれぞれ同一軸心上に遊
嵌される。そして、後述するリバーサレバー82に連係
する油圧制御弁の操作により、前進側のリバーサ用油圧
クラッチ56又は後進側のリバーサ用油圧クラッチ57
のいずれか一が選択され接続され、走行クラッチ軸24
の回転は正転側歯車26又は逆転側歯車27のいずれか
一に伝達される。ただし、リバーサレバー82がニュー
トラル位置の場合は、回転は両歯車26・27いずれに
も伝達されない。
【0021】正転側歯車26は副変速軸35に相対回転
不能に連結され、同時に、クリープ変速軸36に固設さ
れた伝達歯車37に噛合しており、その回転を両軸35
・36に伝達する。逆転側歯車27は、正逆転軸38の
一端に形設された歯車39に噛合しており、該正逆転軸
の他端に形設された歯車40は、クリープ変速軸36に
固設された前記伝達歯車37に噛合する。従って、逆転
側歯車27の回転は、正逆転軸38を介して該クリープ
変速軸36を逆転方向に回転させる。また、該クリープ
変速軸36の伝達歯車37に噛合する正転側歯車26を
介して、それに連結された副変速軸35を逆転方向に回
転させる。
【0022】副変速軸35の後部には副変速第二軸45
が同一軸心上に配置され遊転可能としており、該副変速
第二軸45にはクリープ変速歯車46が遊嵌される。該
クリープ変速歯車46はクリープ変速軸36に形設した
歯車47に噛合している。また、副変速第二軸45には
入力クラッチスライダ91が軸方向摺動可能にスプライ
ン嵌合され、図示せぬクリープ変速レバーに連係されて
いる。従って、該入力クラッチスライダ91は、上記ク
リープ変速レバーの操作により副変速軸35又はクリー
プ変速歯車46のいずれか一に噛み合って、その回転を
副変速第二軸45に伝達可能としている。即ち、該入力
クラッチスライダ91の摺動に基づく選択により、副変
速軸35の回転又は副変速軸35からクリープ変速軸3
6によるクリープ変速を経た回転のいずれか一が、副変
速第二軸45に入力される。
【0023】また、出力軸48が副変速第二軸45と平
行に軸支され、該出力軸48には二枚の伝達歯車49・
50が固設される。該伝達歯車49・50は副変速第二
軸45に遊嵌された二枚の変速歯車59・60に噛合し
ている。また、副変速第二軸45には出力クラッチスラ
イダ92が軸方向摺動可能にスプライン嵌合されてい
る。該出力クラッチスライダ92は図略の副変速レバー
に連係されている。従って、副変速レバーの操作により
出力クラッチスライダ92が摺動され、二枚の変速歯車
59・60のいずれか一に噛み合って、該副変速第二軸
45の回転を二枚の変速歯車59・60のいずれか一に
伝達可能としている。従って、出力クラッチスライダ9
2の摺動に基づく選択により、副変速第二軸45の回転
が二段の変速を経て出力され、出力軸48に入力され
る。
【0024】トランスミッションハウジング後部9bに
は後輪デフ部66bが配置され、前記出力軸48の回転
が、その後端に形設したベベルギア20を介して該後輪
デフ部66bに入力され、リアアクスルケース内の車
軸、伝達歯車等を経由して後輪2を駆動する。
【0025】次に、PTO伝動系について説明する。即
ち、トランスミッションハウジング前部9a内には主軸
25と平行にPTOクラッチ軸29が配置され、該PT
Oクラッチ軸29には四枚のPTO変速歯車、即ちPT
O一速歯車61、PTO二速歯車62、PTO三速歯車
63、PTO四速歯車64が遊嵌される。該PTO変速
歯車61・62・63・64は、主軸25に固設あるい
は形設した四枚の前記伝達歯車41・42・43・44
に噛合しており、主軸25の回転により該PTO変速歯
車61・62・63・64が異なる回転数で回転され
る。また、PTOクラッチ軸29にはPTO逆転歯車6
5が遊嵌され、該PTO逆転歯車65は、走行クラッチ
軸24に遊嵌された前述の主変速一速歯車31に噛合し
ている。即ち、該主変速一速歯車31は、PTO逆転付
与機構のアイドルギアとしての役割をも果たす。
【0026】また、PTOクラッチ軸には二つのPTO
クラッチスライダ93・94が軸方向摺動可能にスプラ
イン嵌合される。また、該PTOクラッチスライダ93
・94は、図略のPTO変速レバーに連係されている。
従って、両PTOクラッチスライダ93・94の摺動に
基づく選択により、主軸の回転が四段階の変速を経た後
にPTO軸に伝達される。また、主変速一速歯車31、
PTO逆転歯車65を介して、主軸25の回転が正逆変
換されてPTOクラッチ軸29に伝達される。即ち、正
転四速、逆転一速の変速が両軸25・29の間に行われ
る。前記PTOクラッチ軸29はPTO軸15に相対回
転不能に連結される。該PTO軸15は後方に延出さ
れ、作業車後端に接続された作業機100を駆動する。
【0027】次に、前車軸伝動系について説明する。即
ち、前記PTO軸15にはパイプ状の前輪入力軸55が
遊転可能に外嵌され、該前輪入力軸55と平行に前輪ク
ラッチ軸30が軸支される。前記前輪入力軸55には入
力歯車67が固設され、該入力歯車67は前記出力軸4
8に固設された二枚の伝達歯車のうちの一枚49に噛合
している。該前輪入力軸55には更に二枚の変速歯車1
8・19が固設され、該変速歯車は前輪クラッチ軸30
に遊嵌された二枚の歯車、即ち四輪駆動側歯車68及び
前輪倍速側歯車69にそれぞれ噛合している。
【0028】そして、図略の4WD・前輪倍速切替スイ
ッチに連動する油圧制御弁の操作により、二つの油圧ク
ラッチ78・79のいずれか一が選択され接続されて、
前輪入力軸55の回転が略二倍の増速あるいは略等速で
前輪クラッチ軸30に伝達される。前輪クラッチ軸30
の回転は前端に連結する前輪伝達軸14、ユニバーサル
ジョイント等を介して前輪側のデフ部66aに入力さ
れ、フロントアクスルケース内の車軸、伝達歯車等を介
して前輪1を駆動する。
【0029】以上構成の作業車に具備される油圧回路の
構成を、図5をもとに説明する。即ち、油タンク(ミッ
ションケース)71内の作動油はサクションストレーナ
73を経て二方向に分岐され、一方は走行系油圧ポンプ
72によりパワーステアリングユニット74に圧送され
る。このパワーステアリングユニット74は、ステアリ
ングハンドル10を操作するのに必要なトルクを低減す
べく設けられるものであって、ステアリングハンドル1
0に連動した切換弁75により、前輪操向装置に連結さ
れた複動シリンダ76が駆動され、前輪1に舵取り角を
与えることとしている。
【0030】パワーステアリングユニット74を経た作
動油は三つに分岐され、一つは主変速レバー77に連動
した主変速コントロールバルブ80により、四つの油圧
クラッチ51・52・53・54のいずれか一を作動さ
せ、主変速を行う。もう一つは比例減圧弁81を経て、
リバーサレバー82に連動したリバーサコントロールバ
ルブ83により、二つのリバーサ用油圧クラッチ56・
57のうちいずれか一を作動させ、作業車の前進又は後
進の切り換えを行う。前記比例減圧弁81は電磁バルブ
よりなる切換弁より構成されている。残りは電磁コント
ロールバルブ95を経て、二つの油圧クラッチ78・7
9のうちいずれか一を作動させて、前輪増速又は四輪駆
動の切り換えを行う。前輪増速時は、更に後輪左右に設
けられるブレーキ装置84・85のうち旋回内側のもの
を作動させて、旋回半径を小さいものとしている。
【0031】次に、作業機制御系の油圧回路について説
明する。前記油タンク71からサクションストレーナ7
3を経て分岐された作動油は、作業機用油圧ポンプ86
により、外部油圧取出部87を経て作業機制御用ユニッ
ト88に圧送される。そして、作業機昇降用シリンダ8
9及び作業機水平制御シリンダ90を適宜作動させ、作
業車後端に連結された作業機の昇降及び水平制御を行
う。
【0032】上記構成において、前記作業起用油圧ポン
プ86により作業機制御用ユニット88に圧送された作
動油の一部は該作業機制御用ユニット88の分流器88
aを経て主クラッチ21に供給される。また、油圧クラ
ッチ51・52・53・54・56・57により構成さ
れるパワーシフト機構(主変速機構)の作動・冷却用の
ドレン油はリリーフ弁101を介して主クラッチ21に
供給される構成になっている。
【0033】作業用油圧ポンプ86により作業機制御用
ユニット88に作動油が供給され、該作業機制御ユニッ
ト88に圧送された作動油により作業機の昇降および水
平制御が行われる。作業機制御ユニット88のドレン油
および作業機制御ユニット88に過剰に圧送された作動
油が分流器88aを介して、前記主クラッチ21に供給
される。該主クラッチ21に供給された作動油は主クラ
ッチ21の冷却および潤滑に用いられる。
【0034】また、走行系油圧ポンプ72により前記パ
ワーシフト機構(主変速機構)に供給された作動油は油
圧クラッチ51・52・53・54・56・57の作動
もしくは冷却に用いられた後に、ドレン油としてリリー
フ弁101に供給される。該リリーフ弁101を介した
作動油は、主クラッチ21に供給され、該主クラッチ2
1の冷却および潤滑に用いられる。
【0035】上記の作業機制御用ユニット88より主ク
ラッチ21に導入される作動油とパワーシフト機構を介
して主クラッチ21に導入される作動油は合流部103
において合流し、該合流部103を介して主クラッチ2
1に供給される。これにより、作業機制御用の作動油及
び変速制御用の作動油のドレン回路油により湿式クラッ
チである主クラッチ21の冷却を行うことが可能であ
る。このため、主クラッチ21の冷却油を特別な油圧供
給装置を設けることなく、安定供給できる。
【0036】前記パワーシフト機構よりのドレン油は、
エンジン5の回転数によって変動し、エンジン5がアイ
ドリング状態にある場合にはパワーシフト機構よりのド
レン油の供給が停止する。このため、エンジン5がアイ
ドリング状態にある時にはパワーシフト機構よりのドレ
ン油による主クラッチ21の冷却が行われない。しか
し、作業機制御用ユニット88の分流器88aより主ク
ラッチ21へ作動油が供給されるため、主クラッチ21
の冷却最低油量を確保できる。上記の構成により、主ク
ラッチ21への潤滑および冷却用の作動油を安定供給
し、該主クラッチ21の耐久性を向上できるとともに、
変速機構および作業機制御機構をコンパクトに構成でき
る。
【0037】また、前記リリーフ弁101の下流側には
リリーフ弁102が配設されている。該リリーフ弁10
2は主クラッチ21のリリーフ弁であり、主クラッチ2
1に供給される冷却油が一定の圧力以上になった場合、
該リリーフ弁102が開き、作動油を排出する構成にな
っている。該リリーフ弁102とリリーフ弁101が連
設されているため、パワーシフト機構(主変速機構)に
優先的に作動油を供給し、該パワーシフト機構の冷却及
び潤滑をするとともに、リリーフ弁101に供給される
作動油に対して圧力差を付けて主クラッチ21に供給可
能である。すなわち、リリーフ弁101に供給された作
動油の圧力過剰に高い場合には、該リリーフ弁101に
隣接して配設されたリリーフ弁102により過剰に作動
油が排出される構成になっている。このため、主クラッ
チ21に過剰な作動油が供給されることがない。パワー
シフト機構の潤滑・冷却のための油圧回路のリリーフ弁
101の下流側に主クラッチ21の冷却用の油圧回路の
リリーフ弁102を配設するので、リリーフ弁101と
リリーフ弁102の配設位置を一カ所に集中し、油路を
短く構成できる。また、供給油量が少ない場合にはパワ
ーシフト機構の潤滑・冷却が優先されるため、該パワー
シフト機構の耐久性を向上させる。
【0038】次に図6乃至図12において本発明の構成
について説明する。図6において、トランスミッション
ハウジング前部9aの後部、センタープレート13の接
続部にリリーフ弁101、リリーフ弁102が設けられ
ている。該リリーフ弁101の排出側は前記トランスミ
ッションハウジング前部9aに固設もしくは一体成形さ
れたケース111およびリリーフ弁102により被装さ
れており、該ケース111には油路106が接続されて
いる。該油路106は三つ又状に構成された合流部10
3に接続しており、該合流部103には前記作業器制御
用ユニット88の分流器88aより作動油が導入された
デリバリパイプ107が接続されている。また、合流部
103には主クラッチ21に作動油を供給するデリバリ
パイプ108が接続しており、前記合流部103におい
て合流した分流器88aより作動油とリリーフ弁101
を介した作動油がデリバリパイプ108に導入される。
【0039】デリバリパイプ108はミッションケース
9の前部に延出され、該デリバリパイプ108の他端は
冷却パイプ105に接続されている。該冷却パイプ10
5はトランスミッションハウジング前部9a固設されて
おり、冷却パイプ105の他端は前記主クラッチ21の
従動側軸23の後方に配設されている。該従動側軸23
は中空構造になっており、従動側軸23の中空部に前記
冷却パイプ105により作動油を供給し、主クラッチ2
1の潤滑および冷却を行う構成になっている。
【0040】図7において、リリーフ弁101およびリ
リーフ弁102近傍に構成について説明する。リリーフ
弁101はトランスミッションハウジング前部9aの後
部、センタープレート13との接続部に設けられてお
り、該センタープレート13に設けられた油路109よ
り該リリーフ弁101に作動油が導入される構成になっ
ている。該リリーフ弁101に導入された作動油は、圧
力がリリーフ弁101の設定圧に達すると該リリーフ弁
101が開き、リリーフ弁101を介して排出される。
【0041】該リリーフ弁101の排出側はケース11
1およびリリーフ弁102により覆われており、該ケー
ス111はトランスミッションハウジング前部9aに固
設または一体成形されている。ケース111には油路1
06が接続されており、該油路106を介して作動油を
前記合流部103に供給する構成になっている。また、
ケース111内の作動油の圧力はリリーフ弁102によ
り調節されており、該ケース111に過剰な作動油が流
入しケース111内の圧力がリリーフ弁102の設定圧
に達した場合には該リリーフ弁102が開き、過剰な作
動油をミッションケース9内に排出する構成になってい
る。これにより、油路106に過剰な作動油が流入する
ことを防止できる。
【0042】前記油路109には前記パワーシフト機構
(主変速機構)より作動油が供給されており、該パワー
シフト機構よりの作動油の供給はエンジン5の運転状況
により変動する。しかし、リリーフ弁101とリリーフ
弁102により、前記油路106への過剰な作動油の流
入を防止し、安定した作動油の主クラッチ21への供給
を実現できる。また、構成が容易であるため、耐久性が
高く整備性がよい。このため、低いコストで構成でき、
ランニングコストも低減される。
【0043】次に図8においてクラッチ21付近の構成
について説明する。主クラッチ21はクラッチカバー8
およびトランスミッションハウジング前部9aにより被
装されており、該主クラッチ21には原動側軸22およ
び従動側軸23が挿嵌されている。該原動側軸22の後
部は中空構造になっており、該中空部には従動側軸の前
端が挿入され相対回動自在に構成されている。原動側軸
22にはクラッチハウジング21aが挿嵌され、相対回
動負荷に構成されている。また、クラッチハウジング2
1aにはフリクションプレート121が複数枚装着され
ており、該フリクションプレート121はクラッチボス
21bに装着されたクラッチプレート122と交互に配
設されている。
【0044】該クラッチプレート122を装着されたク
ラッチボス21bには従動側軸23が挿嵌されており、
該クラッチボス21bと従動側軸23は相対回動不能に
構成されている。該クラッチボス21bの後方にはプレ
ッシャープレート21cが配設されており、該プレッシ
ャープレート21cにも従動側軸23が挿嵌されてい
る。該クラッチボス21bとプレッシャープレート21
cは相対回動不能に構成されており、該プレッシャープ
レート21cとクラッチボス21b間にはバネが装着さ
れており、該バネの付勢力により前記フリクションプレ
ート121とクラッチプレート122が圧着され、クラ
ッチハウジング21aの回動をクラッチボス21bに伝
達する。すなわち、原動側軸22の駆動力がクラッチ2
1を介して従動側軸23に伝達される。
【0045】また、図示しないフォークにより、プレッ
シャープレート21cを前方に摺動させることにより、
前記プレッシャープレート21cとクラッチボス21b
の間に配設されたバネを圧縮し、フリクションプレート
121とクラッチプレート122の間に隙間を設けるこ
とにより、原動側軸22より従動側軸23への動力の伝
達を切ることができる。
【0046】従動側軸23の内部は前部の内径が小さ
く、後部の内径が大きく構成された中空構造になった中
空軸に構成されており、該従動側軸23の主クラッチ2
1を挿嵌した部分には該従動側軸23の中心より外側に
孔が設けられている。また、該従動側軸23の後部内側
にはオイルフェンス125が装着されている。従動側軸
23の後方には冷却パイプ105が配設されており、該
冷却パイプ105の先端より作動油を吐出させ、前記従
動側軸23内に作動油を供給する構成になっている。
【0047】上記構成において、冷却パイプ105より
従動側軸23内に吐出された作動油の一部は従動側軸2
3の先端の内径の小さい部分および後部の内径の大きい
供給されるとともに、該従動側軸23の回転による遠心
力により、前方もしくは後方に作動油が移動する。後方
に移動した作動油は該従動側軸23の後部に付着した作
動油とともに、前記従動側軸23に設けられた孔124
より該従動側軸23外に飛散する。該従動側軸23の後
部内側にはオイルフェンス125が配設されており、従
動側軸23における作動油の逆流を防止し、該従動側軸
23内に吐出された作動油の従動側軸23後部よりの流
出を防止する構成になっている。これにより、従動側軸
23に供給された作動油を有効に使用することができ
る。
【0048】該従動側軸23の孔124より従動側軸2
3の外に飛散した作動油は、該孔124が主クラッチ2
1の配設位置に設けられているため、主クラッチ21に
供給される。孔124より主クラッチ21に供給される
作動油は該主クラッチ21において前記プレッシャープ
レート21cとクラッチボス21bの間より該プレッシ
ャープレート21cとクラッチボス21bに供給される
とともに、クラッチボス21bを介してクラッチハウジ
ング21aおよびフリクションプレート121、クラッ
チプレート122に供給される。
【0049】図9および図10に示すごとく、クラッチ
ボス21bには従動側軸23を軸芯として外側に向け孔
130が複数個設けられており、該孔130より作動油
がフリクションプレート121、クラッチプレート12
2に供給される。該クラッチボス21bの回動に伴う遠
心力により、前記作動油がクラッチボス21bよりフリ
クションプレート121、クラッチプレート122に供
給されため、該作動油が滞り無く供給される構成になっ
ている。また、該プレッシャープレート21cとクラッ
チボス21bを被装するクラッチハウジング21aのフ
リクションプレート121配設位置には隙間が設けられ
ており、該隙間より作動油がクラッチハウジング21a
の外に排出される構成になっている。
【0050】上記のごとく、従動側軸23内部に供給さ
れた作動油はクラッチボス21b、プレッシャープレー
ト21c、クラッチハウジング21a、クラッチプレー
ト122、フリクションプレート121に供給される。
該作動油は従動側軸23より前記クラッチボス21b、
プレッシャープレート21c、クラッチハウジング21
a、クラッチプレート122、フリクションプレート1
21に供給されるため、摩擦により温度の高いクラッチ
プレート122、フリクションプレート121を冷却す
る前にクラッチボス21b、プレッシャープレート21
cの冷却をおこなうため、効率的に主クラッチ21を冷
却可能であり、主クラッチ21において発生するスラッ
ジを該主クラッチ21の外に作動油とともに排出するた
め、該主クラッチ21の耐久性を向上する。
【0051】次に冷却パイプ105の構成について図1
1および図12を用いて説明する。冷却パイプ105は
トランスミッションハウジング前部9aの側壁に挿入固
定されており、該冷却パイプ105の先端は前述のごと
く、従動側軸23の後端に位置し、該従動側軸23の中
空部分に向けられている。該冷却パイプ105の後端は
デリバリパイプ108に接続されており、該デリバリパ
イプ108は合流部103においてデリバリパイプ10
7および油路106に接続されている。該構成により、
デリバリパイプ108および油路106を介した作動油
がデリバリパイプ108を介して冷却パイプ105に供
給される。
【0052】該冷却パイプ105はトランスミッション
ハウジング9a側壁より延出され、該冷却パイプ105
の先端は前記従動側軸23の軸芯上に達している。この
ため、従動側軸23に該従動側軸23の軸芯後方より前
方に向け作動油を吐出し、該従動側軸23に均等に作動
油を供給可能である。また、該冷却パイプ105の先端
を図12に示すごとく、ノズル形状に構成することによ
り、該冷却パイプ105の先端の開口部に対する従動側
軸23の後端開口部の内径の比を大きく構成でき、従動
側軸23の軸芯触れによる影響を減少できる。さらに、
該冷却パイプ105の先端をノズル形状に構成すること
により、冷却パイプ105より吐出される作動油の飛距
離を長くでき、従動側軸23の後端と冷却パイプ105
の先端の間隔を大きく構成可能であり、軸芯振れによる
従動側軸23と冷却パイプ105に干渉を防止できる。
【0053】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
以下に示すような効果を奏するのである。即ち、請求項
1に示す如く、油圧クラッチ機構および油圧昇降機構を
有するとともに、エンジンよりの出力の接続および断絶
を行う湿式多板クラッチを備える作業車両において、油
圧昇降装置用の分流器からのドレン油と油圧クラッチの
潤滑・冷却のドレン油を合流させ、湿式多板クラッチの
冷却を行うので、主クラッチの冷却油を特別な油圧供給
装置を設けずに安定して供給できる。
【0054】請求項2に示す如く、油圧クラッチ機構お
よび油圧昇降機構を有するとともに、エンジンよりの出
力の接続および断絶を行う湿式多板クラッチを備える作
業車両において、主クラッチのリリーフ弁を油圧クラッ
チ機構の潤滑・冷却用のリリーフ弁の油圧回路の下流に
もうけ、油圧クラッチ機構の冷却・潤滑を優先するの
で、油圧による主変速および主クラッチの冷却油を供給
するとともに、油圧回路においてリリーフ弁を直列に接
続し、圧力差を設けることができ、主変速機構への供給
油量を確保できる。
【0055】請求項3に示す如く、油圧クラッチ機構お
よび油圧昇降機構を有するとともに、エンジンよりの出
力の接続および断絶を行う湿式多板クラッチを備える作
業車両において、主クラッチを枢支する回動軸を中空構
造とし、該回動軸の後端部を開放し、ドレン回路よりの
冷却油を供給するので、冷却油圧回路の設定圧力を低く
構成でき、駆動効率がよい。
【0056】請求項4に示す如く、油圧クラッチ機構お
よび油圧昇降機構を有するとともに、エンジンよりの出
力の接続および断絶を行う湿式多板クラッチを備える作
業車両において、主クラッチを枢支する回動軸後端の開
放部内側にオイルフェンスを設け、該回動軸後端よりの
作動油の流出を防止するので、作動油の流入を効率的に
行うことができ、作動油の流入効果を向上できる。
【0057】請求項5に示す如く、油圧クラッチ機構お
よび油圧昇降機構を有するとともに、エンジンよりの出
力の接続および断絶を行う湿式多板クラッチを備える作
業車両において、主クラッチを枢支する回動軸の後方に
作動油を供給するパイプを配設し、該パイプの先端をノ
ズル形状に構成するので、作動油の供給効率を上げるこ
とができる。供給油の圧送向上が実現される。ノズル構
造にし、冷却パイプの先端を絞った構造をとるため、主
クラッチを枢支する回動軸の後端の開口内径と冷却パイ
プとの隙間を大きくでき、軸芯振れによる干渉を防止で
きる。また、冷却パイプの振動による前記軸との干渉を
防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】作業車両の側面図である。
【図2】同じく平面図である。
【図3】主クラッチ及びトランスミッションの構成を示
した側面断面展開図である。
【図4】本作業車の動力伝達構成を示したスケルトン図
である。
【図5】本作業車の油圧回路図である。
【図6】作動油供給経路を示す側面断面図である。
【図7】リリーフ弁の配置構成を示す側面断面図であ
る。
【図8】主クラッチの側面断面図である。
【図9】クラッチボスの側面断面図である。
【図10】クラッチハウジングの構成を示す側面断面図
である。
【図11】冷却パイプの構成を示す正面断面図である。
【図12】主クラッチの従動側軸の側面断面図である。
【符号の説明】
5 エンジン 21 主クラッチ 22 原動側軸 23 従動側軸 101 リリーフ弁 102 リリーフ弁 103 合流部 105 冷却パイプ 106 油路 107 デリバリパイプ 108 デリバリパイプ 124 孔 125 オイルフェンス

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油圧クラッチ機構および油圧昇降機構を
    有するとともに、エンジンよりの出力の接続および断絶
    を行う湿式多板クラッチを備える作業車両において、油
    圧昇降装置用の分流器からのドレン油と油圧クラッチの
    潤滑・冷却のドレン油を合流させ、湿式多板クラッチの
    冷却を行うことを特徴とする主クラッチの冷却方法。
  2. 【請求項2】 油圧クラッチ機構および油圧昇降機構を
    有するとともに、エンジンよりの出力の接続および断絶
    を行う湿式多板クラッチを備える作業車両において、主
    クラッチのリリーフ弁を油圧クラッチ機構の潤滑・冷却
    用のリリーフ弁の油圧回路の下流に設け、油圧クラッチ
    機構の冷却・潤滑を優先することを特徴とする主クラッ
    チの冷却方法。
  3. 【請求項3】 油圧クラッチ機構および油圧昇降機構を
    有するとともに、エンジンよりの出力の接続および断絶
    を行う湿式多板クラッチを備える作業車両において、主
    クラッチを枢支する回動軸を中空構造とし、該回動軸の
    後端部を開放し、ドレン回路よりの冷却油を供給するこ
    とを特徴とする主クラッチの冷却方法。
  4. 【請求項4】 油圧クラッチ機構および油圧昇降機構を
    有するとともに、エンジンよりの出力の接続および断絶
    を行う湿式多板クラッチを備える作業車両において、主
    クラッチを枢支する回動軸後端の開放部内側にオイルフ
    ェンスを設け、該回動軸後端よりの作動油の流出を防止
    することを特徴とする主クラッチの冷却方法。
  5. 【請求項5】 油圧クラッチ機構および油圧昇降機構を
    有するとともに、エンジンよりの出力の接続および断絶
    を行う湿式多板クラッチを備える作業車両において、主
    クラッチを枢支する回動軸の後方に作動油を供給するパ
    イプを配設し、該パイプの先端をノズル形状に構成する
    ことを特徴とする主クラッチの冷却方法。
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