JP2000160362A - 耐候性に優れる表面処理鋼材 - Google Patents
耐候性に優れる表面処理鋼材Info
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- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
Abstract
を均一かつ安定的に形成可能な耐候性に優れる表面処理
鋼材を提供する。 【解決手段】 非晶質さびと樹脂とからなる単層の塗膜
で表面を覆われた鋼材である。非晶質さびにはMoが含ま
れる。非晶質さびにはさらにCr,Cu,P,Ni,V,Wか
ら選ばれる1種または2種以上が含まれる。前記塗膜は
必要に応じてその表面を樹脂皮膜で覆われる。
Description
面処理鋼材に関する。
加することにより、大気中における耐食性を向上させる
ことができる。これらの低合金鋼は耐候性鋼と呼ばれる
が、屋外において数年で腐食に対して保護性のある錆
(以下、安定錆と称す)を形成する。前記安定錆が形成
された後には塗装等の耐食処理作業を不要とするいわゆ
るメインテナンスフリー鋼である。
数年かかるため、それまでの期間中に赤錆や黄錆等の浮
き錆や流れ錆を生じてしまい、外観的にも好ましくな
く、周囲の環境汚染にもなるという問題を残している。
この問題の解決手段として、例えば特開平1−142088号
公報には、鋼材を予めFeイオンと、P, Cu, Cr, Mnイオ
ンの1種または2種以上とをある量だけ含有する酸性水
溶液で処理して皮膜を形成させ、続いてリン酸塩処理皮
膜を形成させる耐候性鋼の表面処理方法が提案されてい
る。しかし、この方法は、リン酸塩処理皮膜を形成させ
る以前に適当な前処理を施す必要があるなど、処理内容
が複雑であり、また、鋼材の溶接が必要な場合には、溶
接部に処理を施すことは容易なことではなく建築構造物
への適用が困難なものである。
酸塩皮膜を形成させた上で塗装を施すことが従来行われ
ているが、塗装により安定錆の形成が遅くなり、また塗
膜自体が劣化して外観を著しく損ねる等の問題がある。
また、特開平6−93467 号公報には、鋼表面がCr,Cu,
P,Niの1種または2種以上をある量以上含有するα-F
eOOHで覆われている耐候性に優れた鋼材が開示され、こ
の鋼材を得るための錆層形成方法として、一つには鋼材
表面あるいはその錆層に、Cr(III) イオンおよび/また
はCu(II)イオンをある量だけ含む水溶液あるいは該水溶
液とFe, P, Niイオンの1種または2種以上をある量だ
け含む水溶液との混合水溶液を塗布し、形成された錆層
にOH- を供給しpH7超の環境とする方法、また一つには
鋼材表面あるいはその錆層に、Cr(III) イオンおよび/
またはCu(II)イオンをある量だけ含む水溶液あるいは該
水溶液とFe, P, Niイオンの1種または2種以上をある
量だけ含む水溶液との混合水溶液にα-FeOOH粉末をある
量混合してなる溶液を塗布する方法が開示されている。
形成され、耐食性が不十分であることに加え、流れ錆や
点さびによる外観不良が起こる問題があった。また、特
開平6−322549号公報には、自由な彩色が可能でかつ長
期の耐候性を有する鋼材として、下層にα-FeOOH皮膜、
上層に有機樹脂皮膜が被覆された表面処理鋼材が開示さ
れ、下層のα-FeOOH皮膜形成方法の例として、(a) サン
ドブラスト→Cr,Cu 処理→アルカリ処理→水洗→乾燥、
および(b) 工業地帯での屋外暴露20年→ワイヤブラシケ
レン→水洗→温風乾燥、が開示されている。
膜の密着性、およびα-FeOOH皮膜と有機樹脂皮膜の密着
性の少なくともいずれかが不安定であり、施工時または
施工後の暴露中に部分的な剥離や塗膜浮き上がりが発生
する場合があった。
に鑑み、本発明は、美観を損なわず環境汚染を伴わず安
定錆層を均一かつ安定的に形成可能な耐候性に優れる表
面処理鋼材を提供することを目的とする。
を達成すべく鋭意考究・実験を重ねた結果、非晶質さび
と樹脂からなる溶液を鋼表面に塗布することにより、該
表面全域でほぼ均一な塗膜(人工錆層と称す)を形成す
ることができ、そのことによって耐候性および塗膜密着
性が向上することを見いだした。
Moを添加し鋼表面に塗布することにより、耐候性が飛躍
的に向上するという知見を得るに至り、この知見に基づ
きさらに検討を加えて本発明を完成した。本発明は、非
晶質さびと樹脂とからなる単層の塗膜で表面を覆われた
耐候性に優れる表面処理鋼材である。
あるいはさらに、非晶質さび中にCr,Cu,P,Ni,V,
Wから選ばれる1種または2種以上が含まれることが好
ましい。Moの非晶質さび内含有量は0.10wt%以上である
ことが好ましい。また、Cr,Cu,P,Ni,V,Wから選
ばれる1種または2種以上の非晶質さび内合計含有量は
0.10wt%以上であることが好ましい。
皮膜で覆われていることが好ましい。本発明において
「非晶質さび」とは、鉄さび(Fe,O,Hからなる化合
物であって鉄の酸化物、水酸化物の単体または混合物)
であって、非晶質成分を20%以上含むものをいう。鉄さ
び中の非晶質成分は、同鉄さび中の結晶質成分をX線回
折により同定・定量し前記鉄さびの全量から差し引くこ
とにより定量することができる。非晶質さび中には、80
wt%未満のα-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOH、Fe2O 3 、Fe
O 、Fe3O4 などの結晶質成分のほか、不可避的に混入す
る不純物が含まれていてもよい。また、前記鉄さび中に
は、Fe,O,H以外の有効成分(Mo,Ni,Cr,P,V,
Cu,W)が1種または2種以上含まれていてもよい。
であれば割れや空隙等の構造的欠陥が生成しにくく、大
気中の酸素や水さらには塩素イオンなどの腐食物質の侵
入を防ぐことにもなり、結果として大気腐食環境を遮断
しやすくなり、浮き錆や流れ錆などの基本的原因である
Feイオンの流出を軽減することができる。さらに、大気
腐食環境中で錆が化学的に安定であれば、錆の相変態や
溶解を伴う電気化学反応が抑制される。
その表面が非晶質さびを主成分とする鉄さび間の隙間を
樹脂が埋める構造をなし、かかる構造により、良好な耐
候性が備わると共に、鋼材地鉄との密着性に優れ、また
上層に塗装を施す場合には該上層塗膜との密着性にも優
れる。ただし、鉄さび中の結晶質成分(α-FeOOH、β-F
eOOH、γ-FeOOH、Fe2O3 、FeO 、Fe3O4 など)が合計で
80wt%以上になると耐候性改善効果が弱まる。なお、結
晶質成分の中での存在比率については、α-FeOOHが50wt
%以上であることが好ましい。というのは、人工錆層中
の鉄さびが80wt%以下の結晶質成分を含む場合、大気腐
食環境中において安定な最終化合物であるα-FeOOHが多
い方が人工錆層の安定度がより高くなると考えられるか
らである。
質さび(非晶質成分20wt%以上の鉄さび)の中でも、非
晶質成分50wt%以上のものがより好ましい。また、非晶
質さび中にMoが含まれる本発明鋼材では、非晶質さび中
にMoが共析し、さらに優れた耐候性が発揮される。Mo添
加の効果については、Moが非晶質さび中のFeと一部置き
換わった形態になり、あるいは、単純に非晶質さびとMo
系イオンが混在し、腐食因子が浸透してきた時にMoイオ
ンにより安定した化合物が生成され該化合物が非晶質さ
び中に分散して、錆層を自然環境の変化に対してより安
定なものとすることが推察され、例えば、Mo系イオンに
よるClイオンやSO4 イオンなどの腐食因子の遮蔽(透過
抑制)効果などによる鋼表面での腐食抑制効果が考えら
れる。
wt%未満では耐候性改善効果が小さいため、0.10wt%以
上含有させることが好ましい。上限については、効果と
コストの兼ね合いから15wt%程度以下とするのがよい。
また、Moを含む非晶質さび中に、第2元素(Cr,Cu,
P,Ni,V,W)の1種または2種以上が合計で0.10wt
%以上含まれると耐候性改善効果がさらに大きくなる。
これらの第2元素の添加には、錆中に共析して錆をさら
に緻密化し、構造的遮蔽効果を助長する作用があると考
えられる。なお、効果とコストとの兼ね合いから第2元
素の含有量は15wt%程度以下とするのがよい。
脂に対する重量比が10wt%未満であると耐候性向上効果
が小さくなり、一方、95wt%超であると樹脂が不足して
密着性改善効果が小さくなるため、非晶質さびの樹脂に
対する重量比は10〜95wt%とするのが望ましい。人工錆
層に含まれる樹脂の種類は特に限定されるものではな
く、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ポリエ
ステル樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、アルキド
樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂などを1種あるいは2
種以上組み合わせたものを充当できる。なお、密着性お
よび非晶質さび均一分散の面からは、ブチラール樹脂、
アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂が好適であ
る。
以下同じ)が1.0 μm未満であると、部分的に覆い残し
が生じる可能性が高くなり、場所によって耐候性に格差
が生じることが懸念されるため、人工錆層の膜厚は1.0
μm以上であることが望ましい。なお、表面凹凸による
不均一を勘案すれば、さらに好ましいのは3μm以上で
ある。他方、人工錆層は、その膜厚が厚ければ厚いほど
流れ錆防止効果が大きいのであるが、コストとの兼ね合
いからその膜厚は50μm程度、より好ましくは30μm程
度以下とするのがよい。
質さびをMoの化合物、またはMo+第2元素の化合物と共
に水または有機溶媒に加えて溶液とし、該溶液に樹脂を
混合させたものを刷毛塗り、スプレー、コーター等によ
り鋼材表面に塗布・成膜する。また、前記人工錆層の表
面は樹脂皮膜(上層膜)で覆われていることが好まし
い。これにより、人工錆層が上層膜で保護されて、流れ
錆の発生がさらに抑制される。本発明では人工錆層中に
樹脂が含まれるので、上層膜をなす樹脂に顔料を添加
し、自由に彩色して周囲の景観に応じた色調の鋼材とす
ることができる。
ないが、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ポ
リエステル樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、アル
キド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂などを1種または
2種以上組合せて使用し、単層あるいは複層に成膜すれ
ばよい。なお、紫外線等で変色し難いという面では、ア
クリル樹脂、フッ素樹脂、ブチラール樹脂、シリコン樹
脂が好適である。
タン、カーボンブラック、チタンイエロー、フタロシア
ニングリーン、フタロシアニンブルーなどの着色顔料、
タルク、マイカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの
体質顔料、クロム酸亜鉛、酸化クロムなどの防錆顔料、
無公害顔料であるリン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、モリ
ブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸アルミニウムな
どが使用できる。その他、チキソ剤、分散剤、酸化防止
剤等の慣用添加剤を加えることもできる。
に満たないと、流れ錆発生抑制効果が弱く、色彩効果も
弱いため、上層膜を設ける場合にはその膜厚を3μm以
上とするのが好ましい。なお、下地(人工錆層)の表面
凹凸による不均一を勘案すれば、より好ましいのは5μ
m以上である。また、上層膜厚は厚ければ厚いほど上記
効果が大きいが、効果とコストとの兼ね合いから50μm
程度以下、より好ましくは20μm程度以下とするのが良
い。
×70mm×3mmの試験片を採取し、これら試験片に対し、
表面をショットブラストで清浄化し、残存油分をアルコ
ールで除去後、表2に本発明の実施例および比較例とし
て示した各種条件で表面処理を施して各種塗膜を形成
し、海岸地帯(飛来塩分量 0.2mg/dm2/day)にて150日
間の大気暴露試験を行った。原料としての鉄さび中の非
晶質成分含有量は、鉄さびの全量からX線内部定量分析
法(ZnO を標準物質とする)により測定したα-FeOOH、
β-FeOOH、γ-FeOOH、Fe3O4 の各量を差し引いて求め
た。
生状況及び赤錆等発生による外観変化)の観察と腐食減
量の測定により調査した。また、塗膜の密着性について
は、塗膜形成後の試験片を50mm×20mmに剪断後その非調
査面側を研削して2mm厚のサンプルとし、このサンプル
に万力およびペンチで両端45度ねじり・ねじり戻し試験
を施した後、調査面(非研削面)にセロハンテープによ
る剥離試験を行って調査した。
準に則って整理し、同表に示す。表2より、本発明範囲
内にある実施例では、流れ錆発生が少なく、腐食減量も
少なく、塗膜密着性も良好で、総合評価がどれも4以上
であり、うち、非晶質さび中のMo量が 10.00wt%と最も
多くかつP量が5.50wt%と最も多い実施例6、ならびに
人工錆層+上層膜の複層塗膜とした実施例8〜10では総
合評価が5に達した。
晶質成分が20wt%未満で非晶質さびに該当せず、比較例
3は人工錆層が塗布でなく化学変化によって形成され、
比較例4は樹脂のみ塗布され、いずれも本発明範囲外に
あるため総合評価が3以下であった。
中で極めて長期にわたり十分な耐候性を持続し得る鋼材
が実現し、この鋼材を建築構造物に適用することで、メ
インテナンス省略あるいはメインテナンス回数削減が図
れるばかりか、この鋼材は塗膜密着性に優れるため、施
工中の塗装作業で発生しがちなタッチアップによる塗膜
剥離が少なくなり、その良好な耐候性を鋼材全面で均一
に確保できるという優れた効果を奏する。
Claims (6)
- 【請求項1】 非晶質さびと樹脂とからなる単層の塗膜
で表面を覆われた耐候性に優れる表面処理鋼材。 - 【請求項2】 非晶質さび中にMoが含まれる請求項1記
載の鋼材。 - 【請求項3】 非晶質さび中にCr,Cu,P,Ni,V,W
から選ばれる1種または2種以上が含まれる請求項2に
記載の鋼材。 - 【請求項4】 非晶質さびと樹脂とからなる単層の塗膜
で表面を覆われ、非晶質さび中にMoが0.10wt%以上含ま
れる請求項2または3に記載の鋼材。 - 【請求項5】 非晶質さび中にCr,Cu,P,Ni,V,W
から選ばれる1種または2種以上が合計で0.10wt%以上
含まれる請求項3または4に記載の鋼材。 - 【請求項6】 前記塗膜の表面が樹脂皮膜で覆われた請
求項1〜5のいずれかに記載の鋼材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33813798A JP3817942B2 (ja) | 1998-11-27 | 1998-11-27 | 耐候性に優れる表面処理鋼材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33813798A JP3817942B2 (ja) | 1998-11-27 | 1998-11-27 | 耐候性に優れる表面処理鋼材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000160362A true JP2000160362A (ja) | 2000-06-13 |
JP3817942B2 JP3817942B2 (ja) | 2006-09-06 |
Family
ID=18315272
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33813798A Expired - Lifetime JP3817942B2 (ja) | 1998-11-27 | 1998-11-27 | 耐候性に優れる表面処理鋼材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3817942B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115044280A (zh) * | 2022-06-21 | 2022-09-13 | 武汉钢铁有限公司 | 一种适用于热轧耐候钢的带氧化皮涂装的锈色涂层材料及其使用方法 |
-
1998
- 1998-11-27 JP JP33813798A patent/JP3817942B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115044280A (zh) * | 2022-06-21 | 2022-09-13 | 武汉钢铁有限公司 | 一种适用于热轧耐候钢的带氧化皮涂装的锈色涂层材料及其使用方法 |
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---|---|
JP3817942B2 (ja) | 2006-09-06 |
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