JP2000160096A - 耐カジリ性および加工性に優れたアルカリ可溶型樹脂皮膜被覆めっき鋼板 - Google Patents
耐カジリ性および加工性に優れたアルカリ可溶型樹脂皮膜被覆めっき鋼板Info
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Abstract
膜を形成しためっき鋼板で、プレス加工の際に金型温度
が100℃以上に上昇しても樹脂皮膜にカジリが発生し
ないものを提供する。 【解決手段】 樹脂皮膜を酸価が40〜90、ウレタン
結合含有量がイソシアネ−ト基(NCO)換算で12〜
20重量%、100℃における弾性率が1000〜60
000N/cm2および流動開始温度が75〜170℃
である樹脂組成物にして、皮膜厚を0.2〜10μmに
した。また、樹脂皮膜には、必要に応じて平均粒径0.
1〜5μmの合成樹脂粉末を1〜25重量%および/ま
たはシリカ粉末を1〜30重量%含有させたり、めっき
鋼板表面と樹脂皮膜との間にクロメ−ト皮膜を介在させ
た。
Description
が高温になっても、保護皮膜が耐カジリ性に優れ、しか
も、その保護皮膜をアルカリ溶液で除去可能な保護皮膜
被覆めっき鋼板に関する。
めっき鋼板やアルミニウム系めっき鋼板のようなめっき
鋼板を用いて部材を製造することが行われているが、そ
の製造は、通常、鉄鋼メ−カ−からクロメ−ト処理を施
しためっき鋼板を購入して、それをプレス加工する方法
で行われている。ここで、プレス加工は無塗油で実施す
ると、めっき層にカジリ性が生じ、耐食性、連続プレス
性が低下するので、これらを防止するため、プレス加工
前に高粘度潤滑油を塗布し、プレス加工後脱脂してい
た。
雑にするほか、費用の上昇や作業環境の悪化をもたらす
ので、近年では、クロメ−ト処理めっき鋼板の代わり
に、クロメ−ト処理後さらに樹脂エマルジョンで処理し
て、表面に潤滑性に優れた樹脂皮膜を形成しためっき鋼
板を用いて、潤滑油の塗布や脱脂を省略することが行わ
れている。このめっき鋼板の樹脂皮膜はプレス加工の際
に潤滑性を発揮させて、プレス加工後は電着塗装や粉体
塗装などのような上塗り塗装の下塗り塗膜として利用す
ることを目的としているため、樹脂は塗装前処理のアル
カリ脱脂に耐える耐水性、耐アルカリ性に優れたものに
していた。また、樹脂皮膜によっては潤滑性を向上させ
るため、樹脂皮膜中にポリオレフィン樹脂やフッ素樹脂
のような合成樹脂粉末を含有させていた。
ポット溶接やシ−ム溶接で組み立てたり、接着剤で貼付
けたりするものがあるが、部材に樹脂皮膜が存在する
と、溶接時の発熱により熱分解して、発煙や臭気を発生
し、作業環境を悪化させるという問題があった。また、
樹脂皮膜が合成樹脂粉末を含有していると、上塗り塗装
の塗膜密着性や接着剤の接着性が劣るという問題もあっ
た。
傷付き防止手段として使用されているアルカリ可溶型樹
脂皮膜を直接形成するのを利用する方法がある。この方
法は樹脂皮膜がめっき鋼板表面に直接形成されているの
で、めっき鋼板を部材に加工した後通常実施するアルカ
リ脱脂を施せば、樹脂皮膜を溶解除去されてしまう。こ
のため、溶接や接着の際には樹脂皮膜が存在せず、発煙
や臭気が発生しない。また、素地が露出しているため塗
膜密着性や接着性は良好である。
く方法としては、樹脂皮膜を2層構造にして、下層を耐
カジリ性に優れたエポキシ変性アクリル樹脂皮膜、上層
を耐ブロッキング性に優れたアクリル樹脂皮膜にする方
法(特開平8−252887号公報)があるが、この方
法は樹脂皮膜が2層構造であるため、樹脂皮膜の形成作
業が繁雑で、樹脂皮膜も高価になる。そこで、樹脂皮膜
を1層にする方法として、酸価が40〜90、25℃に
おける該樹脂の弾性率が1000〜40000N/cm
2のカルボキシル基含有ウレタン樹脂皮膜を形成する方
法(特開平9−254312号公報)が提案されてい
る。しかし、めっき鋼板を連続プレス加工して、金型の
温度が100℃以上に上昇したり、100℃以上の温度
で温間加工を行うと、まだカジリが発生するという問題
があった。
1層であっても、金型の温度が100℃以上に上昇して
も、樹脂皮膜にカジリが発生しないアルカリ可溶型樹脂
皮膜被覆めっき鋼板を提供するものである。
ボキシル基を有するウレタン樹脂であって、その酸価が
40〜90、ウレタン結合含有量がイソシアネ−ト基
(NCO)換算で12〜20重量%、100℃における
弾性率が1000〜60000N/cm2および流動開
始温度が75〜170℃である樹脂を含んでなる樹脂組
成物の樹脂皮膜をめっき鋼板表面に0.2〜10μm形
成した。また、樹脂皮膜には、必要に応じて平均粒径
0.1〜5μmの合成樹脂粉末を1〜25重量%および
/またはシリカ粉末を1〜30重量%含有させたり、め
っき鋼板表面と樹脂皮膜との間にクロメ−ト皮膜を介在
させた。
で、プレス加工の際の金型温度が常温の場合はもとよ
り、100℃以上になってもカジリが発生しない樹脂皮
膜材料を開発すべく種々検討した結果、分子中に遊離カ
ルボキシル基を有するウレタン系樹脂を用いて、樹脂の
酸価、ウレタン結合含有量、弾性率および流動開始温度
を調整すれば可能であることを見いだした。
れているが、塗料に使用するものは塗膜の耐水性を高め
るため、分子中には遊離カルボキシル基を導入していな
い。しかし、本発明では遊離カルボキシル基を導入し
て、逆に耐水性を弱め、アルカリ溶液で溶解除去できる
ようにするのである。このウレタン樹脂に遊離カルボキ
シル基を導入した場合、酸価が40未満であると、通常
のアルカリ脱脂作業では樹脂皮膜を溶解除去できず、9
0を超えると、造膜性が低下して、耐カジリ性が低下す
る。このため、カルボキシル基は酸価が40〜90にな
るように導入する。なお、酸価とはウレタン樹脂1g中
に含まれる酸分(酸基)を中和するのに必要な水酸化カ
リウムのmg数をいう。また、樹脂をカルボキシル基を
有するものにするにはカルボキシル基含有親水性化合物
をジイソシアネ−トと反応させることにより行えばよ
い。
分当たりのウレタン結合含有量は、イソシアネ−ト基
(以下NCOという)換算で12〜20重量%である
が、樹脂固形分当たりのウレタン結合含有量がNCO換
算で12重量%より少ないと、皮膜強度が低下し、プレ
ス加工でカジリが発生してしまう。しかし、ウレタン結
合含有量をNCO換算で20重量%より多くすると、皮
膜の凝集力が大きくなり、酸価を大きくしても、皮膜の
アルカリ溶解性が低下してしまう。このため、樹脂固形
分当たりのウレタン結合含有量はNCO換算で12〜2
0重量%にする。また、塗料に使用するウレタン樹脂の
ウレタン結合含有量とは、ウレタン樹脂固形分中のウレ
タン結合量を樹脂固形分中に添加したNCOの含有量で
表したものを言い、下記の計算方法で得ることができ
る。
つ、カルボン酸塩あるいはカルボキシル基を少なくとも
1個有する親水性化合物 B:有機ポリイソシアネ−ト化合物 C:数平均分子量が300〜10000のポリオ−ル化
合物 D:低分子量ポリヒドロキシル化合物 E:ポリアミン系鎖伸長剤
樹脂皮膜の延性を大きくして、プレス加工の際に樹脂皮
膜を絞りに追従させ、金型がめっき鋼板と接触しないよ
うにする。しかし、樹脂の弾性率があまり小さいと、樹
脂皮膜の強度が低下して、耐カジリ性が低下してしま
う。このため、樹脂の弾性率は100℃にて1000N
/cm2以上にする。一方、100℃での弾性率が60
000N/cm2を超えると、皮膜の凝集力が増加し、
樹脂皮膜のアルカリ溶解性が低下してしまう。ここで言
う樹脂の弾性率とは、樹脂を動的粘弾性測定装置(例え
ばORIENTEC社製、レオバイブロン DDV−0
1−EP)で加振周波数=3.5Hz、測定温度=−5
0〜200℃、昇温速度=5℃/分で測定した100℃
におけるE′(貯蔵弾性率)の値を言う。
間加工で樹脂皮膜が軟化すると、樹脂皮膜にはカジリが
発生してしまう。そこで、樹脂皮膜は温間加工にも耐え
られるように、樹脂の流動開始温度を75〜170℃に
する。流動開始温度が75℃より低いと、金型が高温に
なった場合の耐カジリ性が不十分で、170℃より高い
と、皮膜の凝集力が増加し、樹脂皮膜のアルカリ溶解性
が低下してしまう。ここで言う流動開始温度とは、島津
フロ−テスタ−(島津製作所製、CFT−500A)
で、口径1mm、長さ1mmのダイスを用いて、荷重9
8N、昇温速度=3℃/分で測定した値を言う。
基含有ウレタン樹脂の具体例としては、(A)分子内に
少なくとも1個以上の活性水素を有し、かつ、カルボン
酸塩あるいはカルボキシル基を少なくとも1個有する親
水性化合物、(B)有機ポリイソシアネ−ト化合物、
(C)数平均分子量が300〜10000のポリオ−ル
化合物、(D)低分子量ポリヒドロキシル化合物および
/または(E)ポリアミン系鎖伸長剤、必要に応じて、
(A)のカルボキシル基を中和するための(F)中和剤
を反応させることにより得られるものである。
例えば、2,2−ジメチロ−ルプロピオン酸、2,2−ジ
メチロ−ルブタン酸、2,2−ジメチロ−ル酪酸、2,2
−ジメチロ−ル吉草酸、ジオキシマレイン酸、2,6−
ジオキシ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸等のカル
ボン酸含有化合物およびこれらの誘導体またはこれらを
共重合させて得られるポリエステルポリオ−ル等が挙げ
られ、これらは単独でも、併用でもよい。さらに、これ
らの親水性化合物に加えて、本発明の効果を低減させな
い範囲で、分子量が300〜20000のポリオキシエ
チレングリコ−ル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプ
ロピレン共重合体グリコ−ルまたはそのモノアルキルエ
−テル等のノニオン基含有化合物、あるいはスルホン酸
基、リン酸基含有の親水性化合物を併用しても差し支え
ない。
合物としては、フェニレンジイソシアネ−ト、トリレン
ジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−
ト、ナフタレンジイソシアネ−ト等の芳香族ジイソシア
ネ−トやヘキサメチレンジイソシアネ−ト、リジンジイ
ソシアネ−ト、シクロヘキサンジイソシアネ−ト、イソ
ホロンジイソシアネ−ト、ジシクロヘキシルメタンジイ
ソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、テトラメ
チルキシリレンジイソシアネ−ト等の脂肪族あるいは脂
環族ジイソシアネ−トが挙げられる。
均分子量が300〜10000、好ましくは500〜5
000の高分子ポリオ−ルであり、例えば、ポリエステ
ルポリオ−ル、ポリエ−テルポリオ−ル、ポリカ−ボネ
−トポリオ−ル、ポリアセタ−ルポリオ−ル、ポリアク
リレ−トポリオ−ル、ポリエステルアミドポリオ−ル、
ポリチオエ−テルポリオ−ル、ポリブタジエン系等のポ
リオレフィンポリオ−ル等が挙げられる。
ては、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、
1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、
1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、
ネオペンチルグリコ−ル、1,8−オクタンジオ−ル、
ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、テト
ラエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル(分子
量300〜6000)、ジプロピレングリコ−ル、トリ
プロピレングリコ−ル、ビスヒドロキシエトキシベンゼ
ン、1,4−シクロヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘ
キサンジメタノ−ル、ビスフェノ−ルA、水素添加ビス
フェノ−ルA、ハイドロキノンおよびそれらのアルキレ
ンオキシド付加体等のグリコ−ル成分と、コハク酸、ア
ジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカル
ボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペ
ンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボ
ン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4
−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカル
ボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル
酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキ
シ)エタン−p,p′−ジカルボン酸、およびこれらの
ジカルボン酸無水物あるいはエステル形成性誘導体、p
−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキ
シ)安息香酸およびこれらのヒドロキシ安息香酸のエス
テル形成性誘導体等の酸成分とから脱水縮合反応によっ
て得られるポリエステルの他にε−カプロラクトン等の
環状エステル化合物開環重合反応によって得られるポリ
エステルおよびこれらの共重合ポリエステル等が挙げら
れる。
は、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリ
エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、トリメチ
レングリコ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタ
ンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ネオペンチル
グリコ−ル、グリセリン、トリメチロ−ルエタン、トリ
メチロ−ルプロパン、ソルビト−ル、蔗糖、アコニット
糖、トリメリット酸、ヘミメリット酸、リン酸、エチレ
ンジアミン、ジエチレントリアミン、トリイソプロパノ
−ルアミン、ピロガロ−ル、ジヒドロキシ安息香酸、ヒ
ドロキシフタル酸、1,2,3−プロパントリチオ−ル等
の活性水素原子を少なくとも2個以上有する化合物の1
種または2種以上を開始剤としてエチレンオキサイド、
プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレン
オキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラ
ン、シクロヘキシレン等のモノマ−の1種または2種以
上を常法により付加重合させたものが挙げられる。
ては、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−
ル、ジエチレングリコ−ル等のグリコ−ルとジフェニル
カ−ボネ−ト、ホスゲンとの反応によって得られる化合
物が挙げられる。
性と樹脂皮膜のアルカリ溶解性とを調和させるには、ポ
リエステル系ポリオ−ルとポリエ−テル系ポリオ−ルの
併用が好ましい。
としては、分子量300以下の分子内に少なくとも2個
以上の水酸基を含有する化合物で、例えば、ポリエステ
ルポリオ−ルの原料として用いたグリコ−ル成分、グリ
セリン、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパ
ン、ソルビト−ル、ペンタエリスリト−ル等の1種また
は2種以上のものが挙げられる。
エチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、
ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロン
ジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミ
ン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジシクロヘキシルメ
タンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、トリ
エチレンテトラアミン等が挙げられる。
ナトリウム、水酸化カリウム等の不揮発性塩基や、トリ
メチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノ−ル
アミン、ジイソプロピルアミノエタノ−ル、トリエタノ
−ルアミン等の三級アミン類、アンモニア等の揮発性塩
基が挙げられるが、この中で特に揮発性塩基が好まし
い。中和期としては、(A)のカルボキシル基含有親水
化合物がウレタン化反応を起こす反応前、反応中、反応
後のいずれでも差し支えない。
く、本発明の効果を損なわない限り公知慣用の方法でよ
い。また、形態についても、特に制限はないものの、塗
装作業の観点からは有機溶剤可溶性、水分散性、水溶性
のものが好ましく、作業環境の観点からは水分散性、水
溶性のものがより好ましい。水性ウレタン樹脂は造膜性
改善のために例えばアルキレングリコ−ル誘導体、ある
いは脂肪族ジカルボン酸のジアルキルエステル、N−メ
チル−2−ピロリドン等のような造膜助剤を含有させて
もよい。
と、耐カジリ性が不充分であり、10μmを超えると、
アルカリ脱脂での樹脂皮膜溶解に時間を要するので、厚
みは0.2〜10μmにする。
い合成樹脂粉末を、その一部が樹脂皮膜より突出するよ
うに添加すると、加工の厳しい部材へも無塗油でプレス
加工できる。しかし、合成樹脂粉末の添加量が樹脂組成
物の1重量%未満であると、潤滑性が充分でなく、25
重量%を超えると、処理液中への安定な分散が困難にな
り、ゲル化してしまう。このため、樹脂組成物への添加
量は1〜25重量%、処理液の長期安定性を確保するた
めには1〜10重量%にする。また、合成樹脂粉末は平
均粒径が0.1μm未満であると、合成樹脂粉末が樹脂
皮膜中に埋没し、金型への滑り込み性が不十分となり、
5μmを超えると、合成樹脂粉末が樹脂皮膜より突出し
過ぎて金型に削り取られ易くなるので、潤滑性を発揮し
ない。このため、平均粒径は0.1〜5μmにする。
ないが、フッ素樹脂、あるいはポリエチレンやポリプロ
ピレン等のようなポリオレフィン樹脂、ABSやポリス
チレン等のスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂や塩化ビニ
リデン樹脂等のようなハロゲン化樹脂が挙げられる。ま
た、これらの樹脂は1種または2種以上の混合物として
使用してもよい。さらに、合成樹脂粉末の形態にも特に
制限はなく、所定の粒子径に機械粉砕したもの、化学的
にあるいは機械的に媒体中に分散懸濁液にしたものでも
よい。
と、樹脂皮膜の耐熱性が向上し、金型温度が100℃に
上昇しても、樹脂皮膜には損傷が認められず、耐カジリ
性は向上する。しかし、シリカ粉末の添加量が樹脂皮膜
の1重量%未満であると、耐カジリ性の向上効果が不十
分で、30重量%を超えると、処理液中の安定性が低下
するので、、樹脂組成物への添加量は1〜30重量%に
する。このシリカ粉末は前記合成樹脂粉末と同時に添加
してもよい。
i系合金のめっきを施したAl系めっき鋼板、Zn−5
%AlやZn−55%Alに代表されるZn−Al系合
金めっき鋼板、Zn系めっき鋼板のいずれでもよい。め
っき鋼板には樹脂皮膜を形成する前にクロメ−ト処理を
施して、めっき鋼板表面と樹脂皮膜との間にクロメ−ト
皮膜が存在するようにすると、アルカリ溶液で樹脂皮膜
を溶解除去しても、クロメ−ト皮膜が残存するため、ク
ロメ−ト皮膜の存在しないものより耐食性が良好にな
り、上塗り塗装を施した場合の塗膜密着性も向上する。
クロメ−ト皮膜の形成は反応型、塗布型、電解型のいず
れのクロメ−ト処理液によってもよい。クロメ−ト処理
液には必要に応じてリン酸や無機ゾルを添加してもよ
い。クロメ−ト皮膜のクロム付着量はCr換算で5〜1
00mg/m2にするのが望ましい。クロム付着量がC
r換算で5mg/m2より少ないと、耐食性が不十分で
あり、100mg/m2より多いと、絶縁性が高くなる
ため、抵抗溶接性が急激に低下する。
特に制限はなく、例えば、カルボキシル基含有ウレタン
樹脂の処理液またはそれに合成樹脂粉末および/または
シリカ粉末を添加して、ロ−ルコ−タ−、フロ−コ−タ
−、刷毛、静電霧化、シャワ−リング、バ−コ−タ−、
スプレ−のような塗装方法から経済性と生産性を考慮し
て塗装方法を選択し、鋼板に均一皮膜が得られるように
塗装した後、常温乾燥、加熱強制乾燥等で乾燥すればよ
い。
イソシアネ−ト、アジピン酸、1,4−ブチレングリコ
−ル、エチレングリコ−ル系ポリエステルポリオ−ルの
各成分を変化させて、反応させることにより酸価、ウレ
タン結合含有量、100℃での弾性率および流動開始温
度を調整したカルボキシル基含有ウレタン樹脂のエマル
ジョン処理液をまず準備した。そして、次に、それらの
処理液を溶融Zn−4.7%Al合金めっき鋼板(めっ
き付着量片面40g/m2、板厚0.8mm)の表面にバ
−コ−タ−で塗布して、オ−ブンで乾燥し、厚さの異な
る樹脂皮膜を形成した。表1に得られた樹脂皮膜被覆め
っき鋼板の樹脂皮膜であるウレタン樹脂と皮膜厚みを示
す。次に、この鋼板について下記の特性を調査した。こ
の結果を表2に示す。
放置し、処理液に増粘やゲル化が認められる日数を観察
した。そして、20日間放置しても増粘やゲル化の認め
られないものを記号◎で、10日間までに増粘やゲル化
の認められないものを記号○で、10日間経過前に増粘
やゲル化の認められたものを記号×で評価した。 (2)樹脂皮膜の溶解性試験 試験片をNaOH溶液(pH;12、液温;40℃)に
浸漬して、皮膜を溶解除去できるまでに要する時間が1
分未満のものを記号◎、1分以上、2分未満のものを記
号○、2分以上、5分未満のものを記号△、5分以上の
ものを記号×で評価した。
(金型温度;20、100、140℃、ポンチ径;40
mmφ、絞り比;2.35、しわ押さえ力;1.5×10
4N)を実施し、試験部の皮膜残存率が80%以上のも
のを記号◎、60〜80%未満のものを記号○、40〜
60%未満のものを記号△、40%未満のものを記号×
で評価した。 (4)加工性試験 円板試験片(104mmφ)を用いて、円筒絞り加工試
験(金型温度;100℃、ポンチ径;40mmφ、絞り
比;2.60、しわ押さえ力;2.5×104N)を行
い、加工前の試験片径をL1、加工後の試験片平均径を
L2とした場合のL 2/L1が0.80未満のものを記号
◎、0.80〜0.86未満のものを記号○、0.86〜
0.90未満のものを記号△、0.90以上のものを記号
×で評価した。
DDV−01−FPを用いて、加振周波数3.5Hz
で測定した。なお、弾性率は貯蔵弾性率E′の値を示し
ている。
11の処理液に合成樹脂粉末を添加したものを用いた。
表3に得られた樹脂皮膜被覆めっき鋼板の樹脂皮膜組成
を、表4に試験結果を示す。
者8、後者2の割合である。
シアネ−ト、イソフタル酸、無水フタル酸、2,2−ジ
メチル−1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブチレング
リコ−ル系ポリエステルポリオ−ル、ポリプロピレング
リコ−ルの各成分を反応させて、酸価が70、100℃
での弾性率が30000N/cm2、ウレタン結合含有
量がNCO換算で15重量%、流動開始温度が120℃
のカルボキシル基含有ウレタン樹脂を合成して、そのエ
マルジョン処理液に平均粒径1.2μmの合成樹脂粉末
(ポリエチレン樹脂粉末/フッ素樹脂粉末=8/2の混
合物)を8重量%添加した後、さらに、シリカ粉末を表
5に示すように添加し、ガラス容器に密封して、40℃
の雰囲気中に10〜20日間放置した。そして、このエ
マルジョン処理液をクロメ−ト処理(クロム付着量はC
r換算で15mg/m2)を施した実施例1と同一のめ
っき鋼板表面にバ−コ−タ−で塗布して、オ−ブンで乾
燥し、樹脂皮膜を1.5μm形成し、実施例1と同様の
試験を実施した。表5にこの結果を示す。
った。
っき鋼板は、樹脂皮膜を従来と同様にカルボキシル基を
有するウレタン樹脂組成物で形成したものであるが、樹
脂のウレタン結合含有量、弾性率および流動開始温度を
変更すると、加工性と潤滑性が向上するため、プレス加
工で金型温度が100℃以上になっても、樹脂皮膜にカ
ジリが発生しない。また、樹脂組成物に合成樹脂粉末や
シリカ粉末を添加して、潤滑性や耐カジリ性を向上させ
ても、樹脂皮膜は溶解除去してしまうものであるため、
上塗り塗装の塗膜密着性や接着剤の接着性に悪影響を与
えない。さらに、めっき鋼板表面と樹脂皮膜との間にク
ロメ−ト皮膜が存在するようにすると、樹脂皮膜をアル
カリ溶液で溶解除去しても、クロメ−ト皮膜が残存する
ため、クロメ−ト皮膜の存在しないものより耐食性が良
好になり、上塗り塗装を施した場合の塗膜密着性も向上
する。
Claims (4)
- 【請求項1】 分子中にカルボキシル基を有するウレタ
ン樹脂であって、その酸価が40〜90、ウレタン結合
含有量がイソシアネ−ト基(NCO)換算で12〜20
重量%、100℃における弾性率が1000〜6000
0N/cm 2および流動開始温度が75〜170℃であ
る樹脂を含んでなる樹脂組成物の樹脂皮膜をめっき鋼板
表面に0.2〜10μm形成したことを特徴とする耐カ
ジリ性および加工性に優れたアルカリ可溶型樹脂皮膜被
覆めっき鋼板。 - 【請求項2】 請求項1において、皮膜中に平均粒径
0.1〜5μmの合成樹脂粉末を1〜25重量%含有さ
せたことを特徴とする耐カジリ性および加工性に優れた
アルカリ可溶型樹脂皮膜被覆めっき鋼板。 - 【請求項3】 請求項1において、シリカ粉末を1〜3
0重量%含有させたことを特徴とする耐カジリ性および
加工性に優れたアルカリ可溶型樹脂皮膜被覆めっき鋼
板。 - 【請求項4】 請求項1において、めっき鋼板表面と樹
脂皮膜との間にクロメ−ト皮膜を介在させたことを特徴
とする耐カジリ性および加工性に優れたアルカリ可溶型
樹脂皮膜被覆めっき鋼板。
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JP33536898A JP3647659B2 (ja) | 1998-11-26 | 1998-11-26 | 耐カジリ性および加工性に優れたアルカリ可溶型樹脂皮膜被覆めっき鋼板 |
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JP33536898A JP3647659B2 (ja) | 1998-11-26 | 1998-11-26 | 耐カジリ性および加工性に優れたアルカリ可溶型樹脂皮膜被覆めっき鋼板 |
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JP33536898A Expired - Lifetime JP3647659B2 (ja) | 1998-11-26 | 1998-11-26 | 耐カジリ性および加工性に優れたアルカリ可溶型樹脂皮膜被覆めっき鋼板 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002144478A (ja) * | 2000-11-16 | 2002-05-21 | Nippon Steel Corp | 成形性に優れたアルカリ可溶型潤滑表面処理金属製品 |
WO2002078949A1 (fr) * | 2001-03-30 | 2002-10-10 | Nippon Steel Corporation | Produit metallique enduit d'une pellicule lubrifiante alcalino-soluble se pretant particulierement au formage et au depelliculage, stable a long terme, et peu sensible a la temperature de sechage de la pellicule |
-
1998
- 1998-11-26 JP JP33536898A patent/JP3647659B2/ja not_active Expired - Lifetime
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AU2002214316B2 (en) * | 2000-11-16 | 2005-09-08 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corporation | Metal product with excellent moldability surface-treated with alkali-soluble lubricant |
CN1309556C (zh) * | 2000-11-16 | 2007-04-11 | 新日本制铁株式会社 | 成型性优异的碱可溶性润滑表面处理金属制品 |
WO2002078949A1 (fr) * | 2001-03-30 | 2002-10-10 | Nippon Steel Corporation | Produit metallique enduit d'une pellicule lubrifiante alcalino-soluble se pretant particulierement au formage et au depelliculage, stable a long terme, et peu sensible a la temperature de sechage de la pellicule |
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