JP2000159518A - 骨格置換低シリカフォージャサイト型ゼオライトおよびその製造方法並びにリチウム交換したガス分離用骨格置換低シリカフォージャサイト型ゼオライト - Google Patents

骨格置換低シリカフォージャサイト型ゼオライトおよびその製造方法並びにリチウム交換したガス分離用骨格置換低シリカフォージャサイト型ゼオライト

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JP2000159518A
JP2000159518A JP10336849A JP33684998A JP2000159518A JP 2000159518 A JP2000159518 A JP 2000159518A JP 10336849 A JP10336849 A JP 10336849A JP 33684998 A JP33684998 A JP 33684998A JP 2000159518 A JP2000159518 A JP 2000159518A
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type zeolite
faujasite
skeleton
lsx
silica faujasite
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JP10336849A
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Hajime Funakoshi
肇 船越
Satoshi Yoshida
吉田  智
Shigeru Hirano
茂 平野
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Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
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  • Separation Of Gases By Adsorption (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】吸着分離剤として好適な、骨格を形成するAl
原子の一部がCr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれ
た少なくとも1種以上の原子で置換されLSXを提供す
ることにあり、また、当該LSXをリチウム交換したガ
ス分離用骨格置換低シリカフォージャサイト型ゼオライ
トを提供する。 【解決手段】SiO2/Al23モル比が1.9〜2.
1の低シリカフォージャサイト型ゼオライト骨格を形成
するAl原子の一部が、Cr、Mn、Fe、Co、Ni
から選ばれた少なくとも1種以上の原子で置換され、X
線回折法においてフォージャサイト単相構造であること
を特徴とする骨格置換低シリカフォージャサイト型ゼオ
ライト、及び、X線回折法においてフォージャサイト単
相であるSiO2/Al23モル比が1.9〜2.1の
低シリカフォージャサイト型ゼオライトと、Cr、M
n、Fe、Co、Niから選ばれた少なくとも1種以上
の化合物との混合物を熱処理することによる製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、骨格を形成するA
l原子の一部が異種原子に置換された従来にない新規な
低シリカフォージャサイト型ゼオライトおよびその製造
方法ならびにそのゼオライトをリチウム交換したガス分
離用骨格置換低シリカフォージャサイト型ゼオライトに
関する。
【0002】この骨格置換低シリカフォージャサイト型
ゼオライトは、優れたガス吸着性能、特に窒素吸着性能
に優れ、酸素と窒素の混合ガスから吸着法によって酸素
を分離濃縮するゼオライト吸着分離剤として極めて優れ
た性能を有する。
【0003】
【従来の技術】ゼオライトの骨格を形成するAlまたは
Siを他の元素で置換することが可能であることは公知
である。例えば、富永博夫編「ゼオライトの化学と応
用」1987年講談社発行96〜97頁には、Be、
B、Ga、Cr、Fe、Ge、Ti、P等の原子はゼオ
ライトの骨格を形成するAlまたはSiを一部置換する
ことが可能であると開示されている。
【0004】ゼオライトは触媒の原料として用いられて
おり、SiO2/Al23モル比が高いゼオライトにお
いて、その触媒特性を改良するためにAlまたはSiを
他の元素で置換することが行われている。
【0005】例えば、特開昭57−196719号公報
には、Al原子の一部または全部が3価の遷移金属原子
で置換された、SiO2/(Al23+M23)モル比
が5以上の結晶性シリケートの合成方法が開示されてお
り、これをメタノールからの芳香族炭化水素合成等の添
加反応に用いた場合、活性、選択性が高いことが開示さ
れている。
【0006】特開昭62−275017号公報では、A
l原子の一部をFe原子に置換したフェリエライト型結
晶構造を有するSiO2/(Al23+Fe23)モル
比が10〜40のフェロアルミノシリケートが開示され
ており、これをメタノールの添加反応の触媒に用いた場
合、炭素数3の炭化水素の選択率が高いことが開示され
ている。
【0007】特開平4−240113号公報では、Al
原子の一部を鉄族またはチタン族に置換したフォージャ
サイト型結晶構造を有するSiO2/(Al23+Mm
n)モル比が4〜8の一般にY型ゼオライトと呼ばれる
金属含有ゼオライトが開示されており、芳香族炭化水素
のアルキル化触媒として優れていることが開示されてい
る。
【0008】ゼオライトは吸着分離剤の原料としても用
いられており、SiO2/Al23モル比が2.0のA
型ゼオライトや、フォージャサイト型ゼオライトのなか
でもSiO2/Al23モル比が2.5前後のX型ゼオ
ライト等が用いられている。
【0009】また、フォージャサイト型ゼオライトのな
かでもSiO2/Al23モル比が最も低い、SiO2
Al23モル比が1.9〜2.1の低シリカフォージャ
サイト型ゼオライト(以下、「LSX」という)は極め
て優れた吸着分離剤の原料となることが知られている。
【0010】しかし、LSXは、SiO2/Al23
ル比がA型ゼオライトやソーダライト等と同じ組成であ
るため、特殊な合成方法を採用する必要があり、純粋な
LSXを工業的に合成することは困難であると考えられ
ていた。
【0011】例えば、特開昭53−8400号公報には
ナトリウム、カリウム、アルミネート、及びシリケート
を含む混合物を50℃以下の温度で結晶化するか、ある
いは50℃以下の温度で15時間から72時間と極めて
長い時間熟成し、ついで60〜100℃の温度範囲で結
晶化する方法が開示されている。
【0012】また、特公平5−25527号公報には、
ナトリウム、カリウム、アルミネートを含む混合物とシ
リケートを含む混合物を4〜12℃という低温で混合、
ゲル化し、次いでこのゲルを36℃で48時間熟成した
後、70℃に昇温し結晶化する方法が開示されており、
最終混合における冷却及び過大な機械的エネルギー発生
の回避が重要であると明示されている。
【0013】LSXの製造は、ナトリウム、カリウム、
アルミネートを及びシリケートを含む溶液を低温で混合
し、ゲル化させた後は、静置状態で長時間熟成し、さら
に静置状態で結晶化温度まで昇温・結晶化することが必
須であると考えられてきた。しかし、原料を低温まで冷
却することは工業的に不利であり、さらに、ゲルは伝熱
特性が極めて悪いために、大規模での合成においては静
置状態で温度の均一化に非常に長時間を必要とするとい
う困難さがあった。
【0014】本発明者らは、上記課題を解決するために
鋭意検討を行い、SiO2/Al23モル比が1.9〜
2.1の低シリカフォージャサイト型ゼオライトをアル
ミネートを含む溶液とシリケートを含む溶液を混合し、
ゲル化し、その後、熟成、結晶化を行うことにより、工
業的にスケールアップが容易で、しかも高純度なLSX
を合成できることを以前に見出していた。
【0015】しかし、一般にSiO2/Al23モル比
が低いA型やX型で代表されるゼオライトは、骨格を形
成するAlを他の元素で置換することは比較的困難であ
り、特にLSXに至っては骨格を形成するAlを他の原
子で置換したものは知られていなかった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
記載の背景において、吸着分離剤として好適な、骨格を
形成するAl原子の一部がCr、Mn、Fe、Co、N
iから選ばれた少なくとも1種以上の原子で置換されL
SXを提供することにあり、また、当該LSXをリチウ
ム交換したガス分離用骨格置換低シリカフォージャサイ
ト型ゼオライトを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、吸着分離
剤として好適なLSXの特性を更に改良すべく鋭意検討
を重ねた結果、LSXを、LSX骨格を形成するAl原
子の一部が、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれ
た少なくとも1種以上の原子で置換され、X線回折法に
おいてフォージャサイト単相であることを特徴とする、
骨格置換低シリカフォージャサイト型ゼオライトとする
ことにより、従来のLSXと比較し、更に吸着分離剤と
しての特性を向上させることができることを見いだし、
さらに、骨格置換低シリカフォージャサイト型ゼオライ
トを効率よく合成する方法を見いだし本発明を完成する
に至った。
【0018】なお、低シリカフォージャサイト型ゼオラ
イト(LSX)のSiO2/Al23モル比は理論的に
は2.0であるが、化学組成分析の測定上の誤差等を考
慮した場合、SiO2/Al23モル比が1.9〜2.
1であればLSXと考えられることは明かである。。
【0019】以下、本発明について詳細に説明する。
【0020】本発明における第1の発明は、SiO2
Al23モル比が1.9〜2.1の低シリカフォージャ
サイト型ゼオライト骨格を形成するAl原子の一部が、
Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれた少なくとも
1種以上の原子で置換され、X線回折法においてフォー
ジャサイト単相構造であることを特徴とする骨格置換低
シリカフォージャサイト型ゼオライトに関する。
【0021】圧力スイング吸着分離による酸素の製造方
法(酸素PSA法)では一般に、吸着剤を充填した塔を
2つまたは3つ準備し、塔に空気を流し吸着剤に窒素ガ
スを吸着させ酸素ガスを得る工程と、窒素を吸着した吸
着剤から減圧により窒素を除去し吸着剤を再生する工程
を交互に行い連続的に酸素ガスを製造する。しかし、塔
に空気を流し吸着剤に窒素ガスを吸着させ酸素ガスを得
る工程において、吸着剤は酸素ガスも一部吸着してしま
い、吸着された酸素ガスは再生工程で窒素ガスとともに
除去され、空気中に含まれる全ての酸素ガスを取り出す
ことは酸素PSA法では不可能である。
【0022】従って、吸着剤に求められる性能は単に窒
素の吸着量が多いだけでなく、酸素の吸着量が少ないこ
とである。一般に吸着剤の性能は窒素吸着量と酸素吸着
量で表現され、窒素吸着量が多く酸素吸着量が少ないほ
ど優れた吸着剤と考えられる。
【0023】本発明者らはLSXの性能を向上すべく検
討を行った結果、LSXとCr、Mn、Fe、Co、N
iから選ばれた少なくとも1種以上の化合物との混合物
において、これらの原子が単なる付着物としてLSXと
混在している場合、窒素吸着量及び酸素吸着量はこれら
の化合物の存在量に比例して低下するのに対し、驚くべ
きことに、これらの混合物を熱処理することにより、窒
素吸着量は同じか増加するのに対し、酸素吸着量が減少
することを見いだし本発明に至った。
【0024】すなわち、熱処理により骨格を形成するA
l原子の一部がCr、Mn、Fe、Co、Niから選ば
れた少なくとも1種以上の原子と置換され、原因は不明
であるが、この様な骨格中のAlが置換したLSXが、
これまで知られていたLSXと比較して更に吸着性能が
向上する現象を見いだし本発明に至った。
【0025】骨格置換シリカフォージャサイト型ゼオラ
イトはX線回折法においてフォージャサイト単相構造で
あることも重要である。骨格置換を無理に行おうとして
フォージャサイト骨格が破壊された場合、窒素吸着量が
低下するため、本発明の主旨、すなわち、吸着分離剤と
して好適なLSXの特性を更に改良という目的から外れ
るためである。
【0026】本発明における第2の発明は、SiO2
Al23モル比が1.9〜2.1の低シリカフォージャ
サイト型ゼオライトと、Cr、Mn、Fe、Co、Ni
から選ばれた少なくとも1種以上の化合物との混合物を
熱処理することによる骨格置換低シリカフォージャサイ
ト型ゼオライトの製造方法である。
【0027】Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれ
た少なくとも1種以上の化合物としては、特に限定され
ず、これらの元素の水酸化物、酸化物、塩化物、硫酸
塩、硝酸塩、酢酸塩等を例示することができる。
【0028】LSXと上記化合物の混合方法としては、
例えばLSXと上記化合物をボールミル等の混合器を用
いて混合してもよい。また、上記化合物の水溶性塩を水
に溶解し、LSXと接触させLSXに残存しているアル
カリ分と反応させ、水酸化物としてLSX表面にこれら
の元素を沈着させ、過剰のイオンを水洗して取り除く方
法を用いてもよい。
【0029】熱処理温度は、500℃以上700℃未満
であることが好ましく、更に好ましくは550℃から6
50℃の範囲を例示することができる。熱処理温度が低
い場合、LSX骨格のAl原子とCr、Mn、Fe、C
o、Niから選ばれた少なくとも1種以上の原子の置換
反応が生じず、また、熱処理温度が高すぎる場合は、フ
ォージャサイト骨格そのものの崩壊が生じるためであ
る。
【0030】熱処理時間は、特に限定されないが、0.
5時間から10時間程度を例示することができる。熱処
理温度が短すぎると置換反応が不十分であり、長すぎた
場合、生産性が低下するだけでなく、フォージャサイト
骨格そのものの崩壊が生じる可能性がある。
【0031】また、熱処理中のおける雰囲気も非常に重
要であり、熱処理中の水蒸気分圧は可能な限り下げるこ
とが必要である。熱処理中の水蒸気分圧が高い場合、L
SX骨格の崩壊が生じるためである。
【0032】LSXは結晶水を持っているため、混合物
をるつぼ等の容器にいれ加熱した場合、LSXの結晶水
が脱離し、熱処理中の水蒸気分圧が上昇しLSX骨格の
崩壊が生じる。好ましい熱処理の方法としては、例え
ば、乾燥空気等を流しながらロータリーキルンを用いる
方法や、混合物を塔に充填し乾燥した空気を所要温度に
加熱し送り込む方法を例示することができる。
【0033】また、本発明者らは、骨格置換LSXを製
造するために鋭意検討した結果、LSXを合成し、その
後、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれた少なく
とも1種以上の化合物と混合し熱処理を行うよりも、L
SXの合成時、すなわち、アルミネートを含む溶液とシ
リケートを含む溶液を混合し、ゲル化し、その後、熟
成、結晶化を行うことによりLSXを合成する方法にお
いて、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれた少な
くとも1種以上の化合物を結晶化終了までに加えること
により、LSXと、Cr、Mn、Fe、Co、Niから
選ばれた少なくとも1種以上の化合物との均一な混合物
が調製でき、これを熱処理することにより、骨格置換L
SXを容易に製造できることを見いだした。
【0034】Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれ
た少なくとも1種以上の化合物を加える時期としては結
晶化終了までであればいつ加えてもよいが、アルミネー
トを含む溶液とシリケートを含む溶液を混合してゲル化
を行う前、すなわち、アルミネートを含む溶液あるいは
シリケートを含む溶液のどちらかに加える方が好まし
い。
【0035】加えるCr、Mn、Fe、Co、Niから
選ばれた少なくとも1種以上の化合物としては、特に限
定されず、これらの元素の水酸化物、酸化物、塩化物、
硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩等を例示することができる。
【0036】これらの化合物が塩化物、硫酸塩、硝酸塩
等の水溶性の塩であれば水に溶解して加える方が好まし
い。LSXの合成は常にアルカリ領域で行われているた
め、水溶性の塩を加えたときは、これらの化合物が微細
な水酸化物として沈澱するため均一な混合物が得られや
すいためである。なお、化合物が塩化物であれば塩素イ
オンが、硫酸塩であれば硫酸イオンが、硝酸塩であれば
硝酸イオン等が生成しアルカリ濃度が変動すのでこれら
の塩を添加する場合、あらかじめLSX合成時のアルカ
リ濃度を調整しておくことが好ましい。
【0037】最も好ましい化合物は、Cr、Mn、F
e、Co、Niから選ばれた少なくとも1種以上の水溶
性の化合物を水に溶解し、水酸化ナトリウム等のアルカ
リを加え、ゲル状の水酸化物を合成し、水洗を行い余分
な塩を除去した水酸化物である。なぜならばこの様な水
酸化物は微細なため均一な混合物が得られやすく、ま
た、対イオンがないためにpH等が変動せず、生成する
LSX純度の低下の可能性がないためである。
【0038】Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれ
た少なくとも1種以上の化合物の添加量は特に限定され
ないが、理論的に生成するLSXの骨格を形成するAl
原子の量に対しこれらの原子の量が0.01〜20mo
l%となるようにすることが好ましい。添加した化合物
はその後の熱処理により一部LSXの骨格を形成するA
l原子と置換するが、添加した全ての原子がAlと置換
するわけではなく、残りは酸化物等として存在する。酸
化物等として存在するものは吸着性能を実質的には有し
ないために、これらの原子の添加量が20%を越えた場
合、見かけ上の窒素吸着量が低下する。また、添加する
量が0.01%未満であると吸着性能の向上が不十分で
ある。
【0039】一般にハイシリカゼオライトの場合、ハイ
シリカゼオライトの結晶化終了までに骨格置換を行う成
分を加えることにより、骨格置換ゼオライト比較的容易
に合成することが可能である。しかし、LSXの場合、
結晶化終了までに骨格置換を行う成分を加えても骨格置
換LSXを合成することは極めて困難であり、得られる
ものはLSXと骨格置換を行う成分との混合物である。
【0040】以上のようにして、製造したLSXとC
r、Mn、Fe、Co、Niから選ばれた少なくとも1
種以上の化合物との混合物を、濾過、洗浄し、乾燥す
る。濾過、洗浄、乾燥の方法としては公知の方法を用い
ることができる。
【0041】乾燥後の粉末は、Na−K型のLSXとC
r、Mn、Fe、Co、Niから選ばれた少なくとも1
種以上の化合物との混合物である。この混合物は単にL
SXと化合物が混ざりあったものや、LSXの表面に化
合物が付着しているだけではなく、LSXの一次粒子内
部にも化合物が取り込まれており、極めて高分散にかつ
均一に混合された混合物である。この混合物を熱処理す
ると、通常の混合物を熱処理するよりも容易に骨格置換
LSXを得ることができると考えられる。
【0042】次に本発明の骨格置換LSXを用いたイオ
ン交換体および用途に関して説明する。
【0043】合成終了後のLSXはNa−K型である。
これを原料に吸着分離剤を製造する場合、Li型にイオ
ン交換することが吸着性能すなわち窒素吸着量を増加さ
せ、酸素吸着量を減少させるので最も好ましい。
【0044】本発明において、Li型の骨格置換LSX
をえるためには、LSXとCr、Mn、Fe、Co、N
iから選ばれた少なくとも1種以上の化合物との混合物
をあらかじめイオン交換し、Li型LSXとCr、M
n、Fe、Co、Niから選ばれた少なくとも1種以上
の化合物との混合物を調製し、その後熱処理を行ってL
i型骨格置換LSXを調製してもよいし、Na−K型の
LSXとCr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれた少
なくとも1種以上の化合物との混合物に熱処理を行いN
a−K型骨格置換LSXを調製しその後イオン交換を行
ってもよい。本発明の骨格置換LSXは、従来のLSX
と異なるがイオン交換の方法としては特に限定されず、
従来より知られている方法を用いることができる。
【0045】このときのLi交換率はLi/(Li+N
a+K)で求めることができ、本発明における骨格置換
LSXのリチウム交換率は75%以上100%まで、あ
るいは75%以上88%未満までが好ましい。リチウム
交換率は高ければ高いいほど吸着性能は高くなるが、リ
チウムが高価であるため製造コストも高くなる。従って
Liイオン交換率は、吸着剤として求める性能と価格の
両方の点より、最適値を判断することができる。
【0046】本発明の骨格置換LSXを母ゼオライトと
して用いた、リチウム型骨格置換LSXをPSA法によ
る酸素製造における吸着剤として用いた場合、窒素吸着
量はLi型LSXとほぼ同等か若干高い程度であるが、
酸素の吸着量がLi型LSXと比較して少ないために、
優れた吸着剤となる。
【0047】
【実施例】以下、実施例において本発明をさらに詳細に
説明する。しかし、本発明はこれら実施例のみに限定さ
れるものではない。尚、実施例における各測定方法は以
下の通りである。
【0048】(1)化学組成の測定方法 試料を硝酸とフッ酸を用い溶解した後、ICP発光分析
装置(パーキンエルマー社製、型式:optima 3
000)を用い、Na、K、Al、Si、Feを測定
し、これらをそれぞれ、Na2O、K2O、Al23、S
iO2、Fe23に換算して求めた。
【0049】(2)結晶構造の測定方法 X線回折装置(マックサイエンス社製、型式:MXP−
3)を用い測定した。
【0050】(3)水分平衡吸着量の測定方法 100℃で乾燥した粉末を相対湿度80%のデシケータ
ー中で16時間以上放置し、900℃1時間強熱し測定
した。すなわち、水分吸着後の重量をX1、これを90
0℃1時間強熱した後の重量をX2とし、水分平衡吸着
量(%)は以下の式より求めた。
【0051】水分平衡吸着量(%)={(X1−X2)/
2}×100 (4)Li型LSXへのイオン交換方法 水酸化リチウムを加えpH=12に調製した3mol/
リットルの塩化ナトリウム水溶液を、LSX1mol当
たり塩化リチウムが5molとなるように加え、バッチ
式で70℃でイオン交換した。この操作を目的のリチウ
ム交換率になるまで行った。
【0052】(5)窒素および酸素吸着量の測定 約500mgの試料を秤量し、カーン式電子天秤を用い
て測定した。前処理条件として、0.001mmHgの
圧力下、350℃で2時間活性化を行った。各ガスの吸
着量は、1気圧25℃において測定した。
【0053】実施例1 硫酸鉄n水和物(assey70%)28.2gを純水
300mlに溶解し、これに48%水酸化ナトリウム溶
液100gを添加し、ゲル状の水酸化鉄の沈澱を作っ
た。このゲル状の水酸化鉄を濾過、水洗し、硫酸イオン
およびナトリウムイオンを除去した。濾過、水洗後のゲ
ル状の水酸化鉄は水を含んだ状態で126gで鉄の重量
はFe23として7.9gであった。
【0054】これを内容積3リットルのステンレス製反
応容器に入れ、さらにケイ酸ナトリウム水溶液(Na2
O=3.8重量%、SiO2=12.6重量%)917
g、水623g、水酸化ナトリウム(純度99%)23
1g、工業用水酸化カリウム水溶液(純度48%)44
6gを入れ250rpmで撹拌しながらウォーターバス
を用い40℃に保った。この溶液に40℃に保ったアル
ミン酸ナトリウム水溶液(Na2O=20.0重量%、
Al23=22.5重量%)458gを1分かけて投入
した。投入直後よりゲル化が始まった。投入終了直前、
ゲル全体の粘度は上昇し、反応容器上部でスラリーの部
分的な停滞が生じたものの約3分後には全体が均一に流
動化した。スラリー全体が均一に流動化した時点でLS
X粉末(強熱減少量22.5%)0.36gを小量の水
に分散し添加した。このとき加えたLSXの量は、生成
するLSXに対し0.1重量%である。添加終了後のス
ラリーの組成は、5.01Na2O・1.96K2O・
1.92SiO2・Al23・0.05Fe23・11
8H20である。このまま250rpmで撹拌を継続
し、40℃で6時間熟成を行った。熟成後、撹拌を継続
しながら1時間かけて70℃に昇温した。昇温後、撹拌
を停止し、70℃で8時間結晶化を行った。得られたL
SX粉末と水酸化鉄との混合物を濾過し、純水で十分に
洗浄した後、70℃で1晩乾燥した。
【0055】得られたLSX粉末と水酸化鉄との混合物
は目視観察の結果、全体が薄い茶色であり部分的に水酸
化鉄が濃縮されたような色むらは見られずは極めて均一
に混合されたLSXと水酸化鉄の混合物であった。X線
回折の結果はフォージャサイト型ゼオライト単相であ
り、また組成分析の結果、このものの化学組成は0.7
2Na2O・0.28K2O・Al23・0.06Fe2
3・2.0SiO2であり、水分平衡吸着量は33.6
%であった。
【0056】得られたLSX粉末と水酸化鉄との混合物
をLi型へのイオン交換操作を5回行いイオン交換を行
った。このときのLiイオン交換率は99%であった。
イオン交換後の粉末を1〜2mmにプレス成形で整粒
し、石英管に充填し、600℃に熱した乾燥空気を0.
1m/秒の線速で2h流通させることにより熱処理を行
い、Al原子の一部をFe原子で置換した、Li型骨格
置換LSXとした。
【0057】熱処理後のX線回折の結果はフォージャサ
イト型ゼオライト単相構造であった。
【0058】Li型骨格置換LSXの窒素および酸素吸
着量を測定したところ、窒素吸着量は28.7Ncc/
g、酸素吸着量は4.0Ncc/gであった。
【0059】比較例1 600℃の熱処理を行わない以外は実施例1と同じ操作
を行った。
【0060】Li型LSXと水酸化鉄の混合物の窒素お
よび酸素吸着量を測定したところ、窒素吸着量は29.
1Ncc/g、酸素吸着量は4.3Ncc/gであっ
た。
【0061】比較例2 水酸化鉄を添加せずに実施例1と同様の操作を行い通常
のLSXを合成した。合成したLSXを実施例1と同じ
操作を行いLiイオン交換率99%のLSXとし、窒素
および酸素吸着量を測定したところ、窒素吸着量は3
0.1Ncc/g、酸素吸着量は4.5Ncc/gであ
った。
【0062】実施例1では比較例2と比べ窒素吸着量が
約5%低下しているが、これは骨格置換しなかった鉄が
存在するためと推定でき、一方酸素吸着量は20%と大
きく低下しており、総合的な吸着特性は明らかに向上し
ている。また、実施例1と比較例1をくらべた場合、窒
素吸着量はほとんど差がないのに対し、酸素吸着量のみ
が低下している。これらのことより、実施例1におい
て、鉄化合物が単なる混合物として存在しているのでは
なく、Fe原子が骨格内のAl原子と置換することによ
り性能向上を果たしていると判断される。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、従来技術では知られて
いなかった骨格置換LSXを合成することができる。こ
の骨格置換LSXをLi交換して吸着分離剤とした場
合、これまで最も吸着分離特性がよいと考えられてきた
Li型LSXよりも特性が優れた吸着剤を製造すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D012 BA02 4G066 AA25B AA26B AA27B AA61B AA62B BA31 BA36 CA27 DA03 FA05 FA12 FA21 FA37 GA14 4G073 BA03 BA28 BA32 BA36 BA40 BA44 CZ03 DZ02 FD23 FE04 UA06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】SiO2/Al23モル比が1.9〜2.
    1の低シリカフォージャサイト型ゼオライト骨格を形成
    するAl原子の一部が、Cr、Mn、Fe、Co、Ni
    から選ばれた少なくとも1種以上の原子で置換され、X
    線回折法においてフォージャサイト単相構造であること
    を特徴とする骨格置換低シリカフォージャサイト型ゼオ
    ライト。
  2. 【請求項2】X線回折法においてフォージャサイト単相
    であるSiO2/Al23モル比が1.9〜2.1の低
    シリカフォージャサイト型ゼオライトと、Cr、Mn、
    Fe、Co、Niから選ばれた少なくとも1種以上の化
    合物との混合物を熱処理することを特徴とする請求項1
    記載の骨格置換低シリカフォージャサイト型ゼオライト
    の製造方法。
  3. 【請求項3】SiO2/Al23モル比が1.9〜2.
    1の低シリカフォージャサイト型ゼオライトをアルミネ
    ートを含む溶液とシリケートを含む溶液を混合し、ゲル
    化し、その後、熟成、結晶化を行うことにより製造する
    方法において、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ば
    れた少なくとも1種以上の化合物を結晶化終了までに加
    えることにより、SiO2/Al23モル比が1.9〜
    2.1の低シリカフォージャサイト型ゼオライトと、C
    r、Mn、Fe、Co、Niから選ばれた少なくとも1
    種以上の化合物との混合物を調製し、熱処理することを
    特徴とする、請求項2に記載の骨格置換低シリカフォー
    ジャサイト型ゼオライトの製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の骨格置換低シリカフォージ
    ャサイト型ゼオライトをリチウムイオンでイオン交換
    し、リチウム交換率が75%以上100%以下としたリ
    チウム交換したガス分離用骨格置換低シリカフォージャ
    サイト型ゼオライト。
  5. 【請求項5】請求項4記載のリチウム交換したガス分離
    用骨格置換低シリカフォージャサイト型ゼオライトにお
    いて、リチウム交換率が75%以上88%未満であるこ
    とを特徴とするリチウム交換したガス分離用骨格置換低
    シリカフォージャサイト型ゼオライト。
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