JP2000159192A - パラフォイルを備えた飛行体の自動誘導システム及びその航法誘導装置 - Google Patents

パラフォイルを備えた飛行体の自動誘導システム及びその航法誘導装置

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JP2000159192A JP10332672A JP33267298A JP2000159192A JP 2000159192 A JP2000159192 A JP 2000159192A JP 10332672 A JP10332672 A JP 10332672A JP 33267298 A JP33267298 A JP 33267298A JP 2000159192 A JP2000159192 A JP 2000159192A
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    • G05D1/101Simultaneous control of position or course in three dimensions specially adapted for aircraft
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 適切な飛行経路が確保でき、高精度の落下精
度が得られるパラフォイルを備えた飛行体の自動誘導シ
ステム及びその航法誘導装置を提供する。 【解決手段】 GPS受信機11、DGPSビーコン受
信機12、磁気方位センサ13等からの情報に基づいて
フライトコンピュータ16によって風向及び風速を推定
して最適な飛行経路を決定し、アクチュエータ18a及
び18bによってパラフォイルの制御索5a及び5bを
適宜引くことによって、上記決定された飛行経路に従っ
て飛行降下して目標接地点に着地する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パラフォイルを備
えた飛行体の自動誘導システム及びその航法誘導装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来からパラシュート、ラムエアパラシ
ュート、パラフォイル等の落下傘を用いた物資の投下や
気象観測、飛翔型無人機、宇宙機の回収は、滑走路以外
の不整地であっても行えることから広く実施されてい
る。
【0003】また、このようなパラフォイルを備えた飛
行体による物資の投下や回収は風の影響を受けやすく、
落下目標位置と落下位置がずれることがあり、このずれ
を修正する方向にパラフォイルを操縦して誘導すること
が行われていた。
【0004】この誘導するための誘導装置の先行技術と
しては、例えば特開平5−185993号公報がある。
【0005】この特開平5−185993号公報に開示
の誘導装置は、図14にブロック図を示すようにGPS
101で検出した飛行体の3次元の位置(X、Y、Z)
と、地磁気センサ102で検出した水平方向の向き(B
x、By)により、制御器103で滑空中の飛行体の現
在の進行方向を判断し、この進行方向と予め設定された
落下目標位置の方向とのずれに応じてDCモータ104
に駆動信号(±V)を送り、これにより、ずれを修正す
る方向に該当するパラフォイルの左或いは右の操縦索1
05を操作して進行方向が落下目標位置の方向に一致す
るように飛行体を旋回させるものである。
【0006】この誘導装置によると、例えば図15に示
すようにパラフォールを備えた飛行体Pが落下目標位置
0に向かっている際に、横風Wを受けたとしても、GP
S101による位置検出、及び地磁気センサ102によ
る姿勢検出を常に行い、姿勢及び進路の修正を速やかに
行うことにより、図中実線で示す横風時の進路上におい
ても、各矢印Eで示すように、進行方向が落下目標位置
0の方向となるように制御し続けるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平5−185
993号後方によると、位置及び姿勢を常に検出して進
路を修正することができ、風の影響を受けた場合でも飛
行体の姿勢を速やかに修正することができる。
【0008】しかし、単に、落下目標位置、換言すると
目標接地点の方向に進行方向を修正する誘導を行うのみ
であることから、パラフォイルを備えた飛行体は高度の
回復ができないこと起因して飛行経路の選定が重要であ
り、強風下等での落下精度の著しい低下が懸念される。
【0009】従って、かかる点に鑑みなされた本発明の
目的は、適切な飛行経路が確保でき、高精度の落下精度
が得られるパラフォイルを備えた飛行体の自動誘導シス
テム及びその航法誘導装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する請求
項1に記載のパラフォイルを備えた飛行体の自動誘導シ
ステムの発明は、パラフォイルを備えた飛行体を目標接
地点に誘導する自動誘導システムにおいて、接地目標点
の上方所定域で投下された上記飛行体のパラフォイルを
開傘する開傘ステップと、上記飛行体のパラフォイルが
開傘した後、風速及び風向を推定する風速・風向推定ス
テップと、上記推定した風速及び風向に基づいて上記飛
行体の着地飛行経路を決定する飛行経路決定ステップ
と、上記決定された着地飛行経路に上記飛行体を飛行移
動する飛行経路誘導ステップと、上記着地飛行経路に従
って上記飛行体が下降飛行する経路飛行ステップとを備
えたことを特徴とする。
【0011】請求項1の発明によると、接地目標値の上
方所定域で投下された飛行体のパラフォイルが開傘した
後、風速及び風向を推定し、この推定した風速及び風向
に基づいて飛行体の着地飛行経路を決定して、着地飛行
経路に従って上記飛行体が下降飛行することから、推定
された風速及び風向に対応した最適な着地飛行経路が確
保され、高精度の落下精度が得られる。
【0012】請求項2に記載のパラフォイルを備えた飛
行体の自動誘導システムの発明は、パラフォイルを備え
た飛行体を目標接地点に誘導する自動誘導システムにお
いて、接地目標点の風上でかつ上方所定域において投下
された飛行体のパラフォイルを開傘する開傘ステップ
と、上記飛行体のパラフォイルが開傘した後、風速及び
風向を推定する風速・風向ステップと、上記推定した風
速及び風向に基づいて上記飛行体が風上から風下に降下
移動する着地飛行経路を決定する飛行経路決定ステップ
と、上記決定された着地飛行経路近傍位置に上記飛行体
を飛行移動せしめる飛行経路誘導ステップと、上記着地
飛行経路近傍位置で上記飛行体が風下に向かうように姿
勢変更する姿勢変針ステップと、上記飛行体の高度を調
整する高度調整ステップと、上記高度調整された飛行体
を着地飛行経路に従って風上から風下に下降飛行する経
路飛行ステップと、上記目標接地点の風下で風上に向か
うように飛行体の姿勢変更して着地する着地ステップと
を備えたことを特徴とする。
【0013】請求項2の発明は、請求項1の発明をより
具体化したものであって、この請求項2の発明による
と、請求項1の発明に加え、飛行体の高度を調整する高
度調整ステップを有することから飛行体が過剰に風下に
流されることが防止され、かつ目標接地点の風下で風上
に向かうように姿勢変更して着地することによって着地
速度が抑制されて着地の衝撃が緩和される。
【0014】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載のパラフォイルを備えた飛行体の自動誘導シス
テムにおいて、上記風速及び風向の推定は、GPS乃至
DGPSに基づいて取得された飛行体の対地速度ベクト
ル及び対気速度ベクトルに従って算出さることを特徴と
する。
【0015】請求項3の発明によると、GPS乃至DG
PSに基づいて取得された飛行体の対地速度ベクトルに
よって効率的に風速及び風力が推定される。
【0016】請求項4に記載の発明は、請求項1または
2に記載のパラフォイルを備えた飛行体の自動誘導シス
テムにおいて、上記風速及び風向の推測は、GPS乃至
DGPSに基づいて取得される飛行体の対地速度ベクト
ル、飛行体の方位角及び飛行体の対気速度に従って算出
されることを特徴とする。
【0017】請求項4の発明によると、GPS乃至DG
PSに基づいて取得される飛行体の対地速度ベクトル、
飛行体の方位角及び飛行体の対気速度に基づいて効率的
に風速及び風力が推定される。
【0018】請求項5に記載の発明は、請求項2に記載
のパラフォイルを備えた飛行体の自動誘導システムにお
いて、上記飛行体の高度調整は、上記飛行体の連続旋回
によってなされることを特徴とする。
【0019】請求項5の発明によると、飛行体の高度調
整がパラフォイルの特性を有効に活用した連続旋回によ
って容易に高度調整がなされる。
【0020】請求項6に記載のパラフォイルを備えた飛
行体の航法誘導装置の発明は、パラフォイルを備えた飛
行体を目標接地点に誘導する航法誘導装置において、上
記飛行体のパラフォイルが開傘した後の風速及び風向を
推定する風速及び風向推定手段と、該風速・風向推定手
段によって推定された風速及び風向に基づいて着地飛行
経路を決定する飛行経路決定手段と、該着地飛行経路決
定手段により決定された着地飛行経路に従って下降飛行
するようにパラフォイルを制御する飛行制御手段とを備
えたことを特徴とする。
【0021】請求項6の発明によると、航法誘導装置が
風速及び風向を推定する風速・風向推定手段、風速及び
風向に基づいて着地飛行経路を決定する飛行経路決定手
段、着地飛行経路に従って下降飛行するようにパラフォ
イルを制御する飛行制御手段とを備えることから上記請
求項1〜5に記載の自動誘導システムを効率的に達成す
ることができる。
【0022】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
のパラフォイルを備えた飛行体の航法誘導装置におい
て、上記風速・風向推定手段は、GPS受信機と、上記
GPS受信機によって得られた対地速度ベクトルに基づ
いて風速及び風向を推定するフライトコンピュータとを
備えたことを特徴とする。
【0023】請求項7の発明によると、飛行体の飛行に
伴うGPS受信機によって得られた対地速度ベクトルに
基づいてフライトコンピュータによって風速及び風向を
推定することができる。
【0024】請求項8に記載の発明は、請求項6に記載
のパラフォイルを備えた飛行体の航法誘導装置による
と、上記風速・風向推定手段は、GPS受信機と、飛行
体の方位角を検出する磁気方位センサと、上記GPS受
信機によって得られた対地側ベクトルと、磁気センサに
よって得られた飛行体の方位角と、飛行体の対気速度に
基づいて風速及び風向を推定するフライトコンピュータ
とを備えたことを特徴とする。
【0025】請求項8の発明によると、飛行体の飛行に
伴うGPS受信機によって得られた対地速度ベクトル及
び磁気方位センサによって得られた飛行体の方位角及び
飛行体の対気速度に基づいてフライトコンピュータによ
って風速及び風向を推定することができる。
【0026】請求項9に記載の発明は、請求項7または
8のパラフォイルを備えた飛行体の航法誘導装置におい
て、上記GPS受信装置に加えてDGPSビーコン受信
機を用いることを特徴とする。
【0027】請求項9の発明によると、GPS受信装置
に加えてDGPSビーコン受信機を用いることから、よ
り高精度で対地速度ベクトルが得られ、高精度で風速及
び風向を推定することができる。
【0028】請求項10に記載の発明は、請求項7〜9
に記載のパラフォイルを備えた飛行体の航法誘導装置に
おいて、上記飛行経路決定手段は、推定された風速及び
風力に基づいて着地飛行経路を決定するフライトコンピ
ュータであって、上記飛行制御手段は、上記フライトコ
ンピュータの制御によってパラフォイルの制御索を引く
アクチュエータであることを特徴とする。
【0029】請求項10の発明によると、飛行経路決定
手段がフライトコンピュータによって、飛行制御手段が
フライトコンピュータ及びパラフォイルの制御索を引く
アクチュエータによって構成することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】次に、本発明によるパラフォイル
を備えた飛行体の自動誘導システム及びその航法誘導装
置の実施の形態について図1乃至図13によって説明す
る。
【0031】例えば、図1に概要を示すように、パラフ
ォイルを備えた飛行体(以下、機体と称する)1の概要
は、翼型のパラフォイル2と、主要機器が搭載されるペ
イロード搭載フレーム3と、多数の懸吊索4及び左右の
制御索5a、5b(一方のみ図示)を備え、飛行中パラ
フォイル2により多数の懸吊索4を介してペイロード搭
載フレーム3が懸吊され、ペイロード搭載フレーム3の
上部に搭載された航法誘導装置10によって制御索5
a、5bの引き長さを調整することによって進行方向が
制御されるようになっている。
【0032】航法誘導装置10は、図2にブロック図を
示すように、GPS受信機11、DGPSビーコン受信
機12、磁気方位センサ13、電波高度計14、オーバ
ーライド受信機15、フライトコンピュータ16、ジャ
ンクションボックス17、DCモータ等のアクチュエー
タ18a、18b及びバッテリ19を備え、GPS受信
機11とDGPSビーコン受信機12には各々アンテナ
11a、12aが装備されている。
【0033】また、機体1に搭載される航法誘導装置1
0とは別に、地上にDGPS基準局21及びラジコン送
信機22が準備されている。
【0034】GPS受信機15はDGPSビーコン受信
機12と共に機体1の対地速度及び現在位置を実時間で
提供するDGPSとして作用する。
【0035】また、DGPS基準局21が存在しない場
合GPSは単独で使用することも可能であり、磁気方位
センサ13は機体1の方位角を、電波高度計14は飛行
高度を取得する。これらの情報はフライトコンピュータ
16に入力されて風速・風向推定手段として機能し、自
動飛行中のフライトコンピュータ16は、この情報に基
づいて現在とるべき速度、高度、飛行方向等を決定する
飛行経路決定手段として機能する。
【0036】フライトコンピュータ16は、アクチュエ
ータ18a、18bに制御指令を出力し、左右の制御索
5a、5bの引き長さを調節することによりパラフォイ
ル2を旋回させて機体1の飛行方位角を調整する飛行制
御手段として機能する。また、左右の制御索5a、5b
を同時に引く制御指令により、対気前進速度、降下速度
等の飛行経路角の調整も行う。
【0037】オーバーライド受信機15は、例えば地上
のラジコン操縦者が操作するラジコン送信機22からの
指令により、緊急事態や着陸の際の詳細な誘導に使用さ
れる。このオーバーライド機能が作動している場合に
は、アクチュエータ5a、5bの作動指令、機体3の制
御指令はラジコン送信機22から発せられ、機体3に搭
載される航法誘導装置10の制御指令より優先される。
【0038】そして、DGPSや磁気方位センサ13等
から出力される機体1の状態量を基に、フライトコンピ
ュータ16によって対地高度がゼロとなった時に目標接
地点に着地するために現在とるべき飛行マヌーバーを決
定し、アクチュエータ18a、18bにそのマヌーバー
を実現するための制御指令を出力する。
【0039】この着地にあたり、無風から気体の対気前
進速度を上回る強い風の条件下でも、自動定点着陸を行
う性能を確保する誘導則の重要な要素として、風の推
定、風の影響、高度処理がある。
【0040】次に、これら誘導則の要素である上記風の
推定、風の影響の考慮、高度調整について順次説明す
る。
【0041】(風の推定)風の影響を考慮して機体1の
誘導を行うためには、可能な限り正確な風速、風向値を
実時間で得る必要がり、この風推定法の例としてDGP
SまたはGPS単独による風推定法1について図3及び
図4によって説明する。
【0042】機体1による定常旋回を行い、GPS受信
機15、DGPSビーコン受信機12、DGPS基準局
21或いはGPS受信機15単独からの情報に基づいて
フライトコンピュータ16によって図3(a)に示すよ
うに2個の対地速度ベクトルVgを取得し、図3(b)
のように各対地速度ベクトルVgの先端を結ぶ直線の垂
直二等分線aと各対地速度ベクトルVgの先端間を半径
とする│Va│の円との交点cを数学的に求める。この
点cが大気から見た旋回中心となる。このとき必要とな
る対気速度ベクトルVaは、推定値を使用することも、
また気体の対気速度ベクトルVaを測定可能なエアーデ
ータセンサを使った計測値を使用することも可能であ
る。
【0043】この場合、演算された円中心cは2点あ
り、2つの対地ベクトルデータのみでは、実際の旋回に
伴う円中心かの決定は困難であり、いくつかの対地速度
ベクトルデータより想定された円中心に統計的な処理を
行い決定する。具体的には複数の円中心推定結果の分散
の小さい方が実際の円中心となる。このため最低でも半
旋回程度の旋回を行い、複数のデータポイントを取得す
ることが好ましい。
【0044】推定された円中心は、図4に示すように風
ベクトルVaを有しており、旋回中の円中心を推定する
ことによって風推定が行える。
【0045】また、他の風推定法の例としてDGPS及
び磁気方位センサ13による風推定法2について図5に
よって説明する。
【0046】機体1は、直線飛行を行い、その時のGP
S受信機15、DGPSビーコン受信機12、DGPS
基準局21或いはGPS受信機15単独からの情報に基
づいて対地速度ベクトルVgを取得すると共に、磁気方
位センサ13による機体1の方位角、換言すると進行方
向より風ベクトルVwの推定を行い、次に示す式によっ
て推算される。この際に必要とされる対気速度ベクトル
Vaは推定値を使用することも、また気体の対気速度ベ
クトルVaを測定可能なエアーデータセンサを使った計
測値を使用することも可能である。
【0047】
【数1】
【0048】(風の影響の考慮)機体1の揚抗比L/D
は、基本的に一定であるため、対気速度ベクトルVaは
準平衡滑空状態では一定であり、風の有無に係わらず、
その対気的な前進速度や降下速度に大きな変化がなく、
本誘導則は機体1を不動な対地的な座標上を誘導するの
ではなく、移動している対気的な座標上を誘導すること
により、無風状態から機体1の前進速度を上回る風の条
件下でも同一の誘導則で高い落下精度を実現可能とする
ものである。
【0049】その対気的な座標で重要となる疑似目標接
地点について図6によって説明すると、誘導の対地座標
及び対気座標は、そのY軸の+方向が風に正対するよう
に設定され、対地座標は目的接地点Aを原点に固定され
る一方、対気座標は現在の高度と風速によって常に移動
する疑似目標接地点Bを原点として、対地座標のY軸上
を風下(−方向)に向かって移動する。疑似目標接地点
Bは常に実目標接地点Aの風上方向にオフセットされる
が、これは大気の移動、即ち風の影響を予め考慮するた
めである。
【0050】これにより、仮に風速が機体1の大気前進
速度を上回る条件下でも、後述する後ろ向きで飛行して
着陸する機体1が目標接地点Aより風下に流され、目標
接地点Aまで戻ってこられない状態を未然に回避するこ
とができる。対地座標に対する疑似目標地点Bの関係、
即ち距離Dは次の式で表される。
【0051】
【数2】
【0052】従って、距離Dは高度Hが小さくなる程小
さくなり、高度Hがゼロ、即ち機体1が接地した時点で
疑似目標接地点Bは実目標と同一する。従って、常に対
気座標の原点である疑似目標接地点Bに対して誘導を行
うことにより、理論的に風に影響されることなく誘導を
行うことが可能となる。
【0053】(高度調整)高度調整は、機体1の高い落
下精度を確保する上で重要となるのが、いかに効率よく
目的接地点A近傍で高度の処理を行うかであり、この高
度処理は、例えば、連続旋回やレーストラック旋回によ
る方法がある。
【0054】この連続旋回は、航空機と比較して旋回半
径が小さいパラフォイルの特性を生かした最も効率のよ
い高度処理方法であり、図7に示すように連続して機体
1を旋回することにより無風状態であればほぼ定点上で
高度を処理することが可能である。
【0055】この機体1の旋回は、旋回に有すると予想
される時間の間、右または左の制御索5a或いは5bを
アクチュエータ18a或いは18bによって引くことに
よってなされる。
【0056】一方、レーストラック旋回について説明す
ると、風がある条件下で機体1を連続旋回した場合、旋
回中の機体1は風速と同速度で風下に流されることにな
る。そこで図8のように連続旋回を行いつつも、定期的
に風上へ機体1を移動することにより不必要に目標接地
点Aから離れることを防ぐ高度処理方法である。
【0057】次に、上記風の推定、風の影響の考慮、高
度調整の要素を取り入れた誘導則の実例を図9及び図1
0の機体1の作動を示すフローチャートを参照して説明
する。
【0058】この誘導則は、風を推定するフェーズ1、
ノミナル経路即ち着地飛行経路へ移行するフェーズ2、
高度調整を行うフェーズ3、ファイナルアプローチであ
るフェーズ4、ファイナルフレアであるフェーズ5を有
しおり、機体の作動と共にこれらの各フェーズについて
も説明する。
【0059】開傘ステップS1においてパラフォイル2
を開傘後、風速・風向推定ステップS2におけるフェー
ズ1、即ち機体1を定常旋回してDGPSまたはGPS
単独によりる上記風推定法1、或いは機体1を直線飛行
してDGPS及び磁気方位センサ13による上記風推定
法2により得た気体の状態量を基に風の初期値を推定す
る。風の推定はフェーズ1のみに限定されることなく、
他のフェーズにおいても機体1が定状旋回或いは直線飛
行を行う度に風の推定は行われ、常に最新の推定値が誘
導に使用される。この風の推定に従って飛行経路決定ス
テップS3においてフライトコンピュータ16によって
着地飛行経路が決定される。
【0060】続いて飛行経路誘導ステップ4におけるフ
ェーズ2によって、対気座標上の風向と同方向に走る経
路に向かって移動する。その際機体1の対気座標のY軸
に対して直角に向かって飛行する。
【0061】着地飛行経路経路上に到達した時点で姿勢
変針ステップ5において、旋回性能を基に旋回に有する
と予想される時間の間、右または左の制御索5a或いは
5bを引いて機体1を旋回させて機体1を風下に向け、
着地飛行経路上を飛行する。
【0062】無風の場合は機体1が既に着地飛行経路上
に到達したものとして着地飛行経路上を飛行する。対気
座標において疑似目的地点Bより風下に到達した時点で
高度調整ステップ6のフェーズ3の高度調整に移行す
る。着地飛行経路は目標接地点Aを貫き、風向と同方向
に走る風軸と平行で極近い位置に設定される。この着地
飛行経路上に素早く移動することにより不必要に風下に
流されることを防ぐ。
【0063】高度調整ステップ6において、フェーズ
3、即ち現在位置と目標接地点Aの関係から必要に応じ
て連続旋回及びレーストラック旋回に入ることにより高
度を処理し、経路飛行ステップ7で風に乗って降下飛行
する。高度調整は基本的に連続旋回により行うが、風の
あるときには、連続旋回中に機体1が目標から風下に流
されるのでレーストラック旋回を定期的に行い、風上へ
機体1を飛行させることにより、不必要に目標から離れ
ることを防ぐ。
【0064】このフェーズ3による高度調整は、接地時
の対地速度を最小にし、ペイロードへの衝撃を緩和する
ために、ファイナルアプローチは機体1を風上に向けて
行う。機体1の揚抗比(L/D)は一定であり、従っ
て、目標への飛行経路は一本であるため、ファイナルア
プローチの飛行経路と機体1の現在位値の関係は、図9
のようになる。
【0065】即ち図9の点線の経路で目標へ到達するこ
とは可能であるが必要以上に目標から離れるのは賢明で
ない。そこで高度調整を行うことにより、図9のファイ
ナルアプローチの開始点DWPを目標へ接近させ、不必
要な風下への移動を減らすことができ、その結果、調整
後の飛行経路は実線のようになる。ファイナルアプロー
チの開始点DWPが予め設定した閾値以下になった段階
で飛行変針ステップ8のフェーズ4に移行する。
【0066】フェーズ4は、接地時の対地速度を最小に
し、ペイロードへの衝撃を減らすために、ファイナルア
プローチは、機体1を風上に向けて行う。フェーズ4以
前で風下方向に飛行していた機体1を180°旋回せし
めて風に正対させ、目標接地点に対する方位角誤差及び
経路角誤差を修正しつつ経路角誤差を修正しつつ目標を
目指して飛行する。
【0067】着地ステップ9において、フェーズ5によ
って、電波高度計等の高度計により機体1と接地面の相
対距離を測定し、その閾値以下になった時点で機体1を
フルフレア、即ち制御索5a及び5b同時に同一長さで
引くことにより機体1を減速させ、飛行経させて軟着陸
させる。
【0068】従って、飛行前にペイロードをペイロード
搭載フレーム3に固定し、航空機に搭載され、上空で風
速、風向を考慮して現在位置から確実に目標接地点に到
達できるように設定された投下地点で空中投下される。
そして空中で風圧により開傘したパラフォイル2は、ペ
イロードを懸吊して準平衡滑空飛行を行いつつ目標接地
点に向かって航法誘導制御装置10による誘導されれ、
具体的にはアクチュエータ18a、18bによって左右
の制御索5a、5bの一方を引くことにより機体1を旋
回させ、機体方位角を任意の方向に変更し、或いは制御
索5a及び5bを同時に引くことにより的確に目的着地
点Aに着地することができる。
【0069】また、本発明は図11に示すようにペイロ
ード搭載フレーム3の代わりに飛翔型無人機51や図1
2のように宇宙機52をパラフォイル2に懸吊すること
も可能であり、この場合航法誘導制御装置10は、専用
のもの搭載することも可能であるが、飛翔型無人機51
や宇宙機52ないに搭載された機器を用いることも可能
である。
【0070】飛翔無人機51或いは宇宙機52は、所定
飛行終了後または緊急事態等で予め設定された回収区域
に向けて飛行し、回収区域に到達した後、搭載された対
気速度センサ等を使用して風向、風速を基に目標回収点
に到達できるように開傘地点を設定し、上記実施の形態
同様に誘導回収することができる。
【0071】更に、図13に示すようにペイロード搭載
フレーム3にプロペラ56を装着したエンジン57、燃
料タンク58等えお備えたペイロード55を搭載するこ
とにより、離陸の際プロペラ56の推力によりパラフォ
イル2が離陸に必要な揚力を発生するまで地上滑走を
し、機体1が離陸した後は通常の航空機のように目的地
まで巡航する。その際機体1の進行方向を左右の制御索
5a、5bを適宜アクチュエータで引くことによって制
御され、目的地到達後は、上記実施の形態と同様の作動
により目標接地点に誘導される。
【0072】
【発明の効果】以上説明したパラフォイルを備えた飛行
体の自動誘導システムの発明によると、接地目標値の上
方所定域で投下された飛行体のパラフォイルが開傘した
後、風速及び風向を推定し、この推定した風速及び風向
に基づいて飛行体の着地飛行経路を決定して、飛行経路
に従って上記飛行体が下降飛行することから、推定され
た風速及び風向に従って最適な着地飛行経路が確保さ
れ、高精度の落下精度が得られる。
【0073】一方、パラフォイルを備えた飛行体の航法
誘導装置の発明によると、航法誘導装置が風速及び風向
を推定する風速及び風向推定手段、風速及び風向に基づ
いて着地飛行経路を決定する飛行経路決定手段、着地飛
行経路に従って下降飛行するようにパラフォイルを制御
する飛行制御手段とを備えることからパラフォイルを備
えた飛行体の自動誘導システムを効率的に達成すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を説明するパラフォイルを
備えた飛行体の概要説明図である。
【図2】同じく、航法誘導装置を説明するブロック図で
ある。
【図3】同じく、風の推定方法の説明図である。
【図4】同じく、風の推定方法の説明図である。
【図5】同じく、他の風の推定方法の説明図である。
【図6】同じく、風の影響の説明図である。
【図7】同じく、高度調整方法の説明図である。
【図8】同じく、他の高度調整方法の説明図である。
【図9】同じく、飛行体の誘導則の説明図である。
【図10】同じく、飛行体の作動を説明するフローチャ
ートである。
【図11】同じく、他の飛行体を示す説明図である。
【図12】同じく、更に他の飛行体を示す説明図であ
る。
【図13】同じく、更に他の飛行体を示す説明図であ
る。
【図14】従来の誘導装置を説明するブロック図であ
る。
【図15】従来の誘導装置による飛行体の飛行経路の説
明図である。
【符号の説明】
1 パラフォイルを備えた飛行体(機体) 2 パラフォイル 3 ペイロード搭載フレーム3 4 懸吊索 5a 制御索 5b 制御索 10 航法誘導制御装置 11 GPS受信機 12 DGPSビーコン受信機 13 磁気方位センサ 14 電波高度計 16 フライトコンピュータ 18a アクチュエータ 18b アクチュエータ 21 DGPS基準局 22 ラジコン送信機 Vg 対地速度ベクトル Va 対気速度ベクトル Vw 風ベクトル

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パラフォイルを備えた飛行体を目標接地
    点に誘導する自動誘導システムにおいて、 接地目標点の上方所定域で投下された上記飛行体のパラ
    フォイルを開傘する開傘ステップと、 上記飛行体のパラフォイルが開傘した後、風速及び風向
    を推定する風速・風向推定ステップと、 上記推定した風速及び風向に基づいて上記飛行体の着地
    飛行経路を決定する飛行経路決定ステップと、 上記決定された着地飛行経路に上記飛行体を飛行移動す
    る飛行経路誘導ステップと、 上記着地飛行経路に従って上記飛行体が下降飛行する経
    路飛行ステップとを備えたことを特徴とするパラフォイ
    ルを備えた飛行体の自動誘導システム。
  2. 【請求項2】 パラフォイルを備えた飛行体を目標接地
    点に誘導する自動誘導システムにおいて、 接地目標点の風上でかつ上方所定域において投下された
    飛行体のパラフォイルを開傘する開傘ステップと、 上記飛行体のパラフォイルが開傘した後、風速及び風向
    を推定する風速・風向ステップと、 上記推定した風速及び風向に基づいて上記飛行体が風上
    から風下に降下移動する着地飛行経路を決定する飛行経
    路決定ステップと、 上記決定された着地飛行経路近傍位置に上記飛行体を飛
    行移動せしめる飛行経路誘導ステップと、 上記着地飛行経路近傍位置で上記飛行体が風下に向かう
    ように姿勢変更する姿勢変針ステップと、 上記飛行体の高度を調整する高度調整ステップと、 上記高度調整された飛行体を着地飛行経路に従って風上
    から風下に下降飛行する経路飛行ステップと、 上記目標接地点の風下で風上に向かうように飛行体の姿
    勢変更して着地する着地ステップとを備えたことを特徴
    とするパラフォイルを備えた飛行体の自動誘導システ
    ム。
  3. 【請求項3】 上記風速及び風向の推定は、 GPS乃至DGPSに基づいて取得された飛行体の対地
    速度ベクトル従って算出されることを特徴とする請求項
    1または2に記載のパラフォイルを備えた飛行体の自動
    誘導システム。
  4. 【請求項4】 上記風速及び風向の推測は、 GPS乃至DGPSに基づいて取得される飛行体の対地
    速度ベクトル、飛行体の方位角及び飛行体の対気速度に
    従って算出されることを特徴とする請求項1または2に
    記載のパラフォイルを備えた飛行体の自動誘導システ
    ム。
  5. 【請求項5】 上記飛行体の高度調整は、 上記飛行体の連続旋回によってなされることを特徴とす
    る請求項2に記載のパラフォイルを備えた飛行体の自動
    誘導システム。
  6. 【請求項6】 パラフォイルを備えた飛行体を目標接地
    点に誘導する航法誘導装置において、 上記飛行体のパラフォイルが開傘した後の風速及び風向
    を推定する風速及び風向推定手段と、 該風速・風向推定手段によって推定された風速及び風向
    に基づいて着地飛行経路を決定する飛行経路決定手段
    と、 該飛行経路決定手段により決定された着地飛行経路に従
    って下降飛行するようにパラフォイルを制御する飛行制
    御手段とを備えたことを特徴とするパラフォイルを備え
    た飛行体の航法誘導装置。
  7. 【請求項7】 上記風速・風向推定手段は、 GPS受信機と、 上記GPS受信機によって得られた対地速度ベクトルに
    基づいて風速及び風向を推定するフライトコンピュータ
    とを備えたことを特徴とする請求項6に記載のパラフォ
    イルを備えた飛行体の航法誘導装置。
  8. 【請求項8】 上記風速・風向推定手段は、 GPS受信機と、 飛行体の進行飛行体の方位角を検出する磁気方位センサ
    と上記GPS受信機によって得られた対地速度ベクトル
    と、磁気センサによって得られた飛行体の方位角と、飛
    行体の対気速度に基づいて風速及び風向を推定するフラ
    イトコンピュータとを備えたことを特徴とする請求項6
    に記載のパラフォイルを備えた飛行体の航法誘導装置。
  9. 【請求項9】 上記GPS受信装置に加えてDGPSビ
    ーコン受信機を用いることを特徴とする請求項7または
    8に記載のパラフォイルを備えた飛行体の航法誘導装
    置。
  10. 【請求項10】 上記飛行経路決定手段は、 推定された風速及び風力に基づいて飛行経路を決定する
    フライトコンピュータであって、 上記飛行制御手段は、 上記フライトコンピュータの制御によってパラフォイル
    の制御索を引くアクチュエータであることを特徴とする
    請求項7〜9に記載のパラフォイルを備えた飛行体の航
    法誘導装置。
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