JP2000154833A - 等速ジョイント - Google Patents
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Abstract
ボールの間に大きな集中応力が生じるおそれを減少させ
て、等速ジョイントの寿命の低下を少なくする。 【解決手段】 等速ジョイントは、インナレース10と
ケージ20とアウタレース30とボール28よりなる固
定式のボールジョイントである。インナレースの第1ボ
ール溝12の間に形成される突部10aの軸線方向一端
側の外周面11側には切欠き13が設けられ、またイン
ナレースの外周面と第1ボール溝の間の稜線に設けたサ
イド面取り14には、切欠き側に進むにつれて円周方向
面取り幅C1が次第に広くなる幅広部14aを設けて、
切欠きの半径方向深さを減少させている。これにより、
ボールの転動により第1ボール溝との間の接触楕円が移
動しても、切欠きが接触楕円内に入って応力集中を生じ
るおそれは減少する。
Description
改良、特に軸線方向にスライドしない固定式のボールジ
ョイントの改良に関する。
ば図3に示すように、球面状の外周面2に複数の第1ボ
ール溝3を形成したインナレース1と、第1ボール溝3
と同数の第2ボール溝32が球面状の内周面31に形成
されたアウタレース30と、この両レース1,30の間
に介装されて各外周面2及び内周面31と摺動可能に球
面係合されたケージ20と、このケージ20に形成され
た複数の貫通窓24により保持され両ボール溝3,32
と転動可能に係合されて両レース1,30の間で回転を
伝達する複数のボール28を備えたものがある。この種
のボールジョイントでは、ケージ20の内面21は一端
側に円筒状の導入面23を形成してあり、インナレース
1をケージ20内に組み付けるには、図5及び図6に示
すように、インナレース1の第1ボール溝3をこの導入
面23に跨がせて第1ボール溝3の間の突部1aを貫通
窓24内に挿入し、この挿入された突部1a付近を中心
としてインナレース1を矢印Aのように回動させてケー
ジ20内に入れ、外周面2の中心点を内面21の中心点
に合わせてからインナレース1を90度回転させて外周
面2と内面21を球面係合させている。
差角の最大値を大きくするためには、インナレース1の
軸線方向厚さを大にして第1ボール溝3の長さを大きく
する必要がある。しかしこのようにすると、インナレー
ス1の厚さが貫通窓24の円周方向幅B(図6参照)よ
りも大きくなることがあるので、その場合には図6に示
すように各突部1aの軸線方向一端側の外周面2側に切
欠き4を設け、各突部1aの半径方向先端部の軸線方向
長さを短くしてこの先端部が貫通窓24内に挿入可能と
なるようにしている。
9に示すように、外周面2と第1ボール溝3の間に形成
される稜線にサイド面取り5を設け、外周面2の外側縁
(切欠き4側)とその反対側縁に外側面取り6と内側面
取り7を設けている。前述のように切欠き4を設けたイ
ンナレース1はケージ20の貫通窓24内に突部1aを
挿入した場合、切欠き4の切上り斜面部4aの側縁が当
接点Pb(図5及び図6参照)において貫通窓24の内
側縁に点接触してそれ以上の挿入が停止され、この当接
点Pbを中心としてインナレース1とケージ20は矢印
Aに示すように相対回動して組付けがなされる。
さ(外周面2から切上り斜面4aまでの深さ)を減少さ
せると、当接点Pbとそれからもっとも離れたインナレ
ース1の突部1aの先端部との間の距離が増大し、イン
ナレース1がケージ20の導入面23付近と干渉してケ
ージ20内に入らなくなるが、この際、インナレース1
側である外周面2とサイド面取り5と外側面取り6の境
界に形成される頂点Paが、ケージ20側である内面2
1と導入面23の間の交線Qと最初に干渉して入らなく
なる。従来はこの干渉が生じる直前の状態、すなわち図
9に示すように、当接点Pb(図6参照)を中心とする
交線Qの軌跡Rのすぐ内側を頂点Paが通るように切欠
き4の半径方向深さを設定している。
ンナレース1とアウタレース30の間の回転方向ガタを
なくして確実なトルク伝達を行うために、ボール28の
中心を含む第1ボール溝3の中心面に対し両側に等距離
離れた接触楕円において第1ボール溝3とボール28と
が互いに接触して転動がなされるようになっている。
術の等速ジョイントでは、切欠き4によりインナレース
1の断面積(図7の下半部に見られる断面積)が減少す
るので、強度が低下するという問題がある。また、軸交
差角が大きい状態で等速ジョイントを作動させるとボー
ル28が第1ボール溝3に沿って大きく移動し、これに
より第1ボール溝3とボール28の間の接触楕円が切欠
き4にかかる位置まで移動することがある。このような
状態になると接触楕円内に入った切欠き4の縁部及びこ
れに対応するボール28の一部に大きな集中応力が生
じ、等速ジョイントの寿命が低下するという問題が生じ
る。本発明はインナレースの切欠きの半径方向深さを従
来よりも減少させることを可能として、このような各問
題を解決することを目的とする。
る等速ジョイントは、複数の第1ボール溝が回転軸線方
向に沿って形成された球面状の外周面を有するインナレ
ースと、カップ状で第1ボール溝と同数の第2ボール溝
が回転軸線方向に沿って形成された球面状の内周面を有
するアウタレースと、両レースの間に介装されて各外周
面及び内周面と摺動可能に球面係合され第1ボール溝と
同数の貫通窓が形成されたケージと、このケージの貫通
窓により保持され両ボール溝と転動可能に係合されて両
レースの間で回転を伝達する複数のボールを備え、イン
ナレースにはケージ内に球面係合する際に各第1ボール
溝の間の突部を貫通窓に挿入可能とするために同突部の
軸線方向一端側の外周面側に切欠きを設けてなる等速ジ
ョイントにおいて、インナレースの外周面と第1ボール
溝の間に形成される稜線に設けたサイド面取りには切欠
き側に進むにつれて円周方向面取り幅が次第に広くなる
幅広部を設けたことを特徴とするものである。
に設けることが望ましい。
による等速ジョイントの実施の形態の説明をする。この
実施の形態の等速ジョイントは、図3に示すように、イ
ンナレース10と、カップ状のアウタレース30と、こ
の両レース10,30の間で回転を伝達する複数のボー
ル28と、両レース10,20の間に介装されて各ボー
ル28を保持するケージ20を備えている。インナレー
ス10以外は、前述した従来技術の等速ジョイントと実
質的に同じである。
ナレース10は厚い円盤状で、球面状をなす外周面11
にはその表面に沿って回転軸線方向に延びる6本の第1
ボール溝12が円周方向で等間隔に形成され、作動軸
(図示省略)を連結するためのスプライン孔17が同軸
的に形成されている。各第1ボール溝12の間に形成さ
れる6個のの突部10aには、外端面10b側(アウタ
レース30の開放端側)の外周面11側に切欠き13が
形成されている。切欠き13はインナレース10の外端
面10bと平行に外周面11から内向きに延びる平面部
13aと、その内端から外端面10bに向かって切れ上
がる斜面部13bよりなり、インナレース10の内端面
10cから平面部13aまでの距離、すなわち各突部1
0aの半径方向先端部の軸線方向長さは、後述するケー
ジ20の貫通窓24の円周方向幅B(図6参照)よりも
小さくなるようにする。切欠き13の半径方向深さ、す
なわち外周面11から平面部13aと切上り斜面部13
bの交線までの距離は、上記従来技術の切欠き4よりも
dだけ小さくしてあり、これについての詳細は後述す
る。
1ボール溝12の間に形成される各稜線にはサイド面取
り14を設け、外周面11の軸線方向両端縁には外側面
取り15と内側面取り16を設けている。図2(a) にも
っともよく示すように、各サイド面取り14の切欠き1
3側となる部分(外周面11の半径最大部より切欠き1
3側の部分)には、円周方向面取り幅C1が切欠き13
側に進むにつれて次第に広くなる幅広部14aを設けて
ある。これを、図2(a) のb−b線断面図である図2
(b) で見るとより明らかであり、外周面11とサイド面
取り14(幅広部14a)と外側面取り15の境界に形
成される頂点Pcは、上述した従来技術(同図に破線で
示す)の頂点Paに比して突部10aの幅方向中心近く
まで移動する。また、従来技術の頂点Paの部位におい
て、幅広部14aは従来技術の外周面2Aよりも距離d
だけ半径方向内側へ移動している。なお各サイド面取り
14の半径方向面取り幅C2(図1参照)は、軸線方向
全長においてほゞ一定である。
ように、インナレース10の外周面11と摺動可能に球
面係合する球面状の内面21と、これと同軸的に配置さ
れ次に述べるアウタレース30の内周面31と摺動可能
に球面係合する球面状の外面22を有する環状で、ボー
ル28を保持する6個の貫通窓24が円周方向に沿って
等間隔に形成されている。ケージ20の内面21には、
インナレース10の切欠き13側と対応する一端側に、
円筒状の導入面23を形成して穴径を大にしてある。
ップ状で、ケージ20の外面22と摺動可能に球面係合
する球面状の内周面31にはその表面に沿って回転軸線
方向に延びる6本の第2ボール溝32が円周方向で等間
隔に形成され、閉じた側には軸部35が同軸的かつ一体
的に突出形成されている。内周面31の開放端側には、
等速ジョイントの軸交差角が大きくなった際に、インナ
レース10にスプライン結合される作動軸(図示省略)
との干渉を避けるための面取り33が形成されている。
をケージ20内に入れてインナレース10の外周面11
とケージ20の内面21が球面係合されるようにサブ組
み付けした後、従来と同様、貫通窓24と第1ボール溝
12内にボール28を入れたこのサブ組付体をアウタレ
ース30内に入れてケージ20の外面22とアウタレー
ス30の内周面31とを球面係合させることにより組み
立てられる。
するインナレース10の組付けを詳細に説明する。切欠
き13を設けたインナレース10は、上記従来技術の場
合と同様(図6参照)、第1ボール溝12が導入面23
を跨ぐようにして1つの突部10aの先端部を1つの貫
通窓24内に挿入し、切欠き13の切上り斜面部13b
の側縁が貫通窓24の内側縁に当接する当接点Pbを中
心として回動されてケージ20内に入れられる。この場
合において、インナレース10の形状寸法が幅広部14
aを含むサイド面取り14を除き図7及び図8に示す従
来技術と同一であり、ケージ20も同一であれば、図4
(a) における外周面11及び幅広部14aの位置は三点
鎖線11A及び14aAで示すようになり、この外周面
11の位置は図9における外周面2の位置(図4(a) で
は同じ位置を破線2Aで示す)と同じになる。図4(a)
に示すように、この状態では、三点鎖線14aAで示す
幅広部14aの位置は、ケージ20の内面21と導入面
23の間の交線Qの当接点Pbを中心とする軌跡Rとの
間に距離dとほゞ同じ隙間があいている。従って切欠き
13の半径方向深さ、すなわち外周面11から平面部1
3aと切上り斜面部13bの交線までの距離を、dだけ
上記従来技術の切欠き4よりも小さくしても(図1参
照)、外周面11及び幅広部14aは半径方向外側に距
離dだけ移動して図4(b)で示す位置になるだけであ
り、図9における頂点Paと同様、図4(b)における頂
点Pcが交線Qと干渉することはないので、インナレー
ス10をケージ20内に入れて組み付けることができ
る。
ケージ20に対するインナレース10の組み付けを困難
にすることなしに、切欠き13の半径方向深さを距離d
だけ減少させ、その分だけその部分の第1ボール溝12
の深さを増大させることができる。従って、軸交差角が
大きい状態で等速ジョイントを作動させることによりボ
ール28が第1ボール溝3に沿って大きく移動しても、
第1ボール溝12とボール28の間の接触楕円内に切欠
き13が入るおそれは減少する。これにより、切欠き1
3の縁部及びこれに対応するボール28の一部に大きな
集中応力が生じるおそれが減少するので、等速ジョイン
トの寿命が低下するおそれは従来に比して減少する。ま
た、切欠き13によるインナレース10の断面積の減少
も少なくなるので、インナレース10の強度が低下する
おそれも少なくなる。
り14に設けただけでも、上述したようなケージ20に
対するインナレース10の組み付けを困難にすることな
しに等速ジョイントの寿命が低下するおそれを減少させ
るという作用効果を得ることはできる。しかしながら幅
広部14aは、上記実施の形態のように全てのサイド面
取り14に設けることが好ましい。そのようにすれば、
どの突部10aを貫通窓24に挿入しても組み付けるこ
とができるので組み付けが容易になり、また幅広部14
aは外周面11との間の面取り角度が小さくなるので、
作動に伴うインナレース10とケージ20の相対移動に
より摺動面となる外周面11と内面21の間ににグリー
ス等の潤滑剤が入りやすくなり、従って耐久性は一層向
上する。
向面取り幅に対応する寸法だけインナレースに形成する
切欠きの半径方向深さを減少することができるので、ボ
ールが第1ボール溝に沿って大きく移動してこの両者間
の接触楕円が移動しても、切欠きが接触楕円内に入るお
それは減少する。従って、切欠きの縁部及びこれに対応
するボールの一部に大きな集中応力が生じるおそれが減
少するので、等速ジョイントの寿命が低下するおそれも
従来に比して減少する。また、切欠きによるインナレー
スの断面積の減少も少なくなるので、インナレースの強
度が低下するという問題も従来より少なくなる。
によれば、どの突部を貫通窓に挿入しても組み付けるこ
とができるので組み付けが容易になり、また幅広部では
面取りの角度が小さくなり、作動に伴うインナレースと
ケージの相対移動によりそれらの摺動面の間にグリース
等の潤滑剤が入りやすくなるので、耐久性を一層向上さ
せることができる。
インナレースを示す断面図である。
り、(b) は(a) のb−b線に沿った拡大断面図である。
破断した側面図である。
んでいる状態を示す部分拡大断面図である。
組み込む方法を示すケージを破断した全体正面図であ
る。
断面図である。
図である。
る。
2…第1ボール溝、13…切欠き、14…サイド面取
り、14a…幅広部、20…ケージ、24…貫通窓、2
8…ボール、30…アウタレース、31…内周面、32
…第2ボール溝、C1…円周方向面取り幅、C2…半径
方向面取り幅。
Claims (2)
- 【請求項1】 複数の第1ボール溝が回転軸線方向に沿
って形成された球面状の外周面を有するインナレース
と、カップ状で前記第1ボール溝と同数の第2ボール溝
が回転軸線方向に沿って形成された球面状の内周面を有
するアウタレースと、前記両レースの間に介装されて前
記各外周面及び内周面と摺動可能に球面係合され前記第
1ボール溝と同数の貫通窓が形成されたケージと、この
ケージの貫通窓により保持され前記両ボール溝と転動可
能に係合されて前記両レースの間で回転を伝達する複数
のボールを備え、前記インナレースには前記ケージ内に
球面係合する際に前記各第1ボール溝の間の突部を前記
貫通窓に挿入可能とするために同突部の軸線方向一端側
の外周面側に切欠きを設けてなる等速ジョイントにおい
て、前記インナレースの前記外周面と第1ボール溝の間
に形成される稜線に設けたサイド面取りには前記切欠き
側に進むにつれて円周方向面取り幅が次第に広くなる幅
広部を設けたことを特徴とする等速ジョイント。 - 【請求項2】 前記幅広部は全ての前記サイド面取りに
設けてなる請求項1に記載の等速ジョイント。
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-
1998
- 1998-11-19 JP JP32979198A patent/JP3678026B2/ja not_active Expired - Fee Related
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