JP2000154592A - 露出型柱脚構造 - Google Patents
露出型柱脚構造Info
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Abstract
アンカーボルトの定着を十分に確保できる、また、立上
り主筋の本数が従来より少なくてもアンカーボルトの定
着を十分に確保できる露出型柱脚構造を提供する。 【解決手段】 建築物の鉄骨柱8をベースプレート9を
介し基礎コンクリート1に固着した露出型柱脚構造にお
いて、実質的に基礎はり主筋によってアンカーボルト2
の定着を確保したことを特徴とする。また、引張側の基
礎はり主筋の総断面積と基礎はり主筋の引張許容応力度
の積が、基礎はり主筋に生じる引張力より大きくなるよ
うにしてアンカーボルト2の定着を確保したことを特徴
とする。
Description
管コンクリート構造における建築物の柱をベースプレー
トを介し基礎コンクリートに固着した露出型柱脚構造に
関する。
おける露出型柱脚構造においては、その柱脚性能を存分
に発揮させるために、アンカーボルトが破断するまでア
ンカーボルトが基礎コンクリートから抜け出さないよう
にアンカーボルトを十分に定着させる必要がある。
用いられている。まず、第1の方法について図6を用い
て説明するが、詳細は発明の実施の形態の欄に後述す
る。図6は、基礎コンクリートに埋込まれた定着板付き
のアンカーボルトに引張力が作用した図である。図6に
おいて、基礎コンクリート1中のアンカーボルト2に引
張力Tが作用すると、アンカーボルト2の下端部に固定
させた定着板3を介して基礎コンクリート1に応力がか
かる。そして、この応力が基礎コンクリート1の耐力を
超えると定着板3から45°上方向に基礎コンクリート
1が破壊するコーン状破壊を生じる。4はコーン状破壊
面を表す。そこで、第1の方法として、コーン状破壊を
防ぐために基礎コンクリート1のボリュームを大きくす
ることによりアンカーボルト2の定着を確保していた。
明するが、詳細は発明の実施の形態の欄に後述する。図
7は、立上り主筋を配筋した露出型柱脚構造の概略断面
図を示す。図7において、鉄骨柱8はベースプレート9
の上部に溶接またはボルト締めにより接合される。ベー
スプレート9は鋼板、鋳造あるいは鍛造製からなるもの
で、基礎コンクリート1中に埋込まれた複数本のアンカ
ーボルト2にナット10により固定される。アンカーボ
ルト2の下端部には鋼板製などの定着板3がナット11
により固定される。ベースプレート9の底面と基礎コン
クリート1との間にはモルタル12が設けられる。
うに、柱脚部5より下方に位置する基礎柱形部6の基礎
コンクリート1のボリュームがコーン状破壊面4の領域
より小さくなる場合がある。このように基礎コンクリー
ト1のボリュームを十分に大きくできない場合、第2の
方法として、基礎柱形部6にアンカーボルト2の強度に
見合うように通常16〜40本の立上り主筋7を設ける
ことにより、アンカーボルト2の定着耐力を確保してい
た。この方法は特公平8−14110号に開示されてい
る。
合でも、基礎柱形部6を鉄筋コンクリート柱と仮定し
て、立上り主筋量を設計していた。
構造では、アンカーボルトの定着を十分に確保するため
に、柱脚部より下方に位置する基礎コンクリートのボリ
ュームを大きくする必要がある。このため施工コストが
高くなったり、建物の意匠性が悪くなるといった問題が
あった。また、基礎コンクリートのボリュームを大きく
できない場合でも、アンカーボルトの周りに多くの立上
り主筋を設ける必要があるため施工が煩雑となる問題が
あった。
を解決するために、基礎コンクリートのボリュームが小
さくてもアンカーボルトの定着を十分に確保できる、ま
た、立上り主筋の本数が従来より少なくてもアンカーボ
ルトの定着を十分に確保できる露出型柱脚構造を提供す
ることである。
定着を確保する第1および第2の方法は、基礎コンクリ
ート中に埋め込まれたアンカーボルト単体に引張力が作
用していることに基づいて対処されたものである。これ
に対し、本発明は柱脚部の全体の挙動を考慮することに
よりアンカーボルトの定着確保を図った。そして、本発
明の露出型柱脚構造の性能を実大実験により確認し、本
発明を完成した。
図1は、露出型柱脚の柱脚部に曲げモーメントが作用し
た図を示す。柱脚部5に曲げモーメントMが作用する
と、アンカーボルト2に引張力Tが生じる。同時に、ベ
ースプレート9の底面に圧縮力Sおよび定着板3に圧縮
反力Rが発生する。この際、基礎コンクリート1部分で
は、定着板3とベースプレート9との間に斜めに発生す
る圧縮力が作用する。いわゆる圧縮ストラッドDが形成
される。
断力に対しては弱いが、圧縮力に対しては強度が強い性
質を持っている。そこで、この性質を利用して圧縮力に
よりアンカーボルトの定着を図るようにした。つまり、
圧縮ストラッドの剛体回転を抑えればアンカーボルトの
定着を確保できると考えた。そのためには、柱脚部の強
度に対して、柱脚部の下方に位置する基礎柱形部が柱・
はり接合部におけるパネルゾーンとして十分な強度を持
たせることが必要である。この考え方で設計したものが
本発明の露出型柱脚構造である。
り間を通る基礎はり主筋によって、柱脚部の強度に対し
て基礎柱形部が柱・はり接合部におけるパネルゾーンと
して十分な強度を持たすことによりアンカーボルトの定
着を確保した。基礎はり主筋は、基礎柱形部の上端側を
通るはり上端筋と、下端側を通るはり下端筋とから構成
され、はり上端筋がベースプレートの底面より下方近傍
を通り、はり下端筋がアンカーボルトの下端部に固定し
た定着板より上方を通る、もしくは定着板より下方近傍
を通るように配筋することにより、圧縮ストラッドの剛
体回転が抑えられる。
の基礎コンクリート天端から基礎はり天端までの高さが
500mmを超える立上り基礎に固着される柱脚の場
合、はり上端筋をベースプレートの底面より下方近傍に
配筋できないので本発明の効果が十分に得られない。こ
の場合、従来の方法を用いて基礎柱形部を鉄筋コンクリ
ート柱と仮定して設計し立上り主筋を設ける。
築物の柱をベースプレートを介し基礎コンクリートに固
着した露出型柱脚構造において、実質的に基礎はり主筋
によってアンカーボルトの定着を確保したことを特徴と
する。
の基礎はり主筋の総断面積atと基礎はり主筋の引張許
容応力度ftの積が、基礎はり主筋に生じる引張力Tよ
り大きくなるようにしてアンカーボルトの定着を確保し
たことを特徴とする。
はり主筋のはり上端筋がベースプレートの底面より下方
近傍を通り、基礎はり主筋のはり下端筋がアンカーボル
トの下端部に固定した定着板より上方を通る、もしくは
定着板より下方近傍を通るように配筋することによりア
ンカーボルトの定着を確保したことを特徴とする。
形部の立上がり主筋が4本以内であることを特徴とす
る。
形部の立上がり主筋が8本以内であることを特徴とす
る。
プレートが載置された位置の基礎コンクリート天端から
基礎はり天端までの高さが500mm以下であることを
特徴とする。
柱脚部の試験体を2体作製した。図2は、本発明の柱脚
構造例である鉄骨柱脚の試験体を示す。図3は、従来の
柱脚構造例である鉄骨柱脚の試験体を示す。図2および
図3において、上が概略上断面図であり、下が概略側断
面図である。本発明の柱脚構造例(試験体No.1)と従
来の柱脚構造例(試験体No.2)の両試験体は、アンカ
ーボルトの定着を基礎コンクリートのボリュームにより
確保できない隅柱をモデルとした。また、両試験体とも
基礎コンクリート天端と基礎はり天端の高さを同じとし
た。
には図7と同じ符号を付している。両試験体において、
一辺が20cmの角形鋼管からなる鉄骨柱8をベースプレ
ート9の上面に溶接した後、ベースプレート9を基礎コ
ンクリート1中から露出した4本のアンカーボルト2の
上端ねじ部にナット10により固定した。アンカーボル
ト2は、表面をアンボンド処理し、0.5tf/cm2程
度の初期張力を導入した。
に、基礎はり主筋のはり上端筋21および基礎はり主筋
のはり下端筋22を配筋した。立上り主筋7を本発明例
(試験体No.1)は4本、従来例(試験体No.2)は16
本、アンカーボルト2の周囲に設けた。立上り主筋7の
周囲には帯筋24を均等間隔に設けた。また、はり上端
筋21とはり下端筋22を取り巻くようにスターラップ
25を設けた。形板26により4本のアンカーボルト2
を固定した。
は基礎はりの幅、mcdは最外縁のアンカーボルトの間
隔、mBdははり上端筋とはり下端筋との間の距離を表
す。
の定着を基礎コンクリートのボリュームによって確保で
きない隅柱モデル形状であり、前述した第2の方法に基
づいて配筋設計した。ここで、従来のアンカーボルトの
定着確保方法である第1および第2の方法について詳細
に説明する。
ームを大きくすることにより、アンカーボルトの定着を
確保する方法であり、(1)式を満足させる必要がある。
ームを十分に大きくできない、つまり(1)式を満足でき
ない場合、ベースプレート下の基礎柱形部に十分な量の
立上り主筋、基礎はり主筋、帯筋などの鉄筋を配筋し
て、定着板に生ずる応力が鉄筋を介して、基礎または基
礎はりへ十分に伝わるようにする方法である。このと
き、各鉄筋量は[1]〜[3]に示すように、基礎柱形
部を鉄筋コンクリート柱と見なして設計する。
局時の立上り主筋量をそれぞれ算出し、鉄筋量の多い方
を選定する。
行「鉄筋コンクリート構造計算基準・同解説」の付1
6.長方形柱の断面算定図表に示されるM/(b・D2)
およびN/(b・D)より長方形柱の引張鉄筋比Ptを算
出し、引張鉄筋の断面積atを求め、立上り主筋量を決
定する。
算時の基礎立上り部の終局曲げ強度に関する(3)式、(4)
式および(5)式を用いて求める。
ンカーボルトの定着を確保するため、(6)式および(7)式
を満足させる必要がある。
時および終局時の帯筋量をそれぞれ算出し、鉄筋量の多
い方を選定する。
QASを(9)式により検討し決定する。
終局強度を(11)式または(12)式により検討し、帯筋量を
決定する。
いて説明する。本発明例の試験体No.1は、柱脚部の強
度に対して基礎柱形部が柱・はり接合部におけるパネル
ゾーンとして十分な強度を持たせるために以下の[A]
および[B]に基づいて設計した。
のに必要な基礎はり主筋量があれば、アンカーボルトの
定着に対して十分である。
たは側柱の場合には、(15)式および(16)式により基礎柱
形部の基礎はり主筋量を決定する。(15)式により基礎は
り主筋のはり上端筋量を、(16)式により基礎はり主筋の
はり下端筋量を求めた。
めた。
各部材について説明する。試験体No.1およびNo.2に使
用した鋼材の機械的性質を表2に示す。
リートの素材試験結果を表3に示す。
に示す。
体No.1では前述の(15)〜(17)式により、基礎はり主筋
量および帯筋量を算出し決定した。本発明の柱脚構造の
特徴は、基本的に立上り主筋を省略してもアンカーボル
トの定着を十分確保できることである。しかしながら、
帯筋を省略することはできないため、帯筋をアンカーボ
ルトの周りに枠状に巻付けられるように、少なくとも立
上り主筋を四隅に各1本設ける必要がある。
ん断実験を行った。実験は、試験体を反力床上に固定し
た状態で、油圧ジャッキにより鉄骨柱頭部に徐々に増加
する水平の力を作用させ、柱脚部に正負繰り返しの曲げ
モーメントとせん断力を同時に作用させた。荷重はロー
ドセルで測定し、柱脚回転量は変位をダイヤルゲージで
測定した。
明する。図4および図5は、試験体No.1(本発明例)
および試験体No.2(従来例)の柱脚部モーメントMと
回転角Rの関係を示す。両試験体とも、裁荷を終了した
R=1/20radまで耐力低下は認められない。したが
って、本発明の柱脚構造は、基礎はり主筋によりアンカ
ーボルトが十分に定着されることが確認できた。
験体No.2における柱脚部の曲げ耐力ならびに弾性剛性
の結果を表5に示す。表5より、基礎はり主筋によりア
ンカーボルトを定着した本発明例の柱脚構造は、立上り
主筋を介してアンカーボルトの定着を確保した従来の柱
脚構造と同等の結果が得られることが確認できた。
礎コンクリートのボリュームを小さくしても基礎はり主
筋によりアンカーボルトの定着を確保できるので次の効
果がある。 (1)建物の意匠性が良くなる。 (2)施工が簡便になる。 (3)コンクリートのボリュームおよび鉄筋量が少なく
なりコスト低減が可能になる。 (4)柱脚の設計が簡便になる。
た図である。
示す図である。
す図である。
Mと回転角Rの関係を示す図である。
と回転角Rの関係を示す図である。
ンカーボルトに引張力が作用した図である。
面図である。
定着板、4 コーン状破壊面、 5 柱脚部、 6 基
礎柱形部、 7 立上り主筋、8 鉄骨柱、 9 ベー
スプレート、 10 ナット、 11 ナット、12
モルタル、20 基礎はり、 21 基礎はり主筋のは
り上端筋、22 基礎はり主筋のはり下端筋、 24
帯筋、 25 スターラップ、26 形板
Claims (6)
- 【請求項1】 建築物の柱をベースプレートを介し基礎
コンクリートに固着した露出型柱脚構造において、実質
的に基礎はり主筋によってアンカーボルトの定着を確保
したことを特徴とする露出型柱脚構造。 - 【請求項2】 建築物の柱をベースプレートを介し基礎
コンクリートに固着した露出型柱脚構造において、引張
側の基礎はり主筋の総断面積atと基礎はり主筋の引張
許容応力度ftの積が、基礎はり主筋に生じる引張力T
より大きくなるようにしてアンカーボルトの定着を確保
したことを特徴とする露出型柱脚構造。 - 【請求項3】 建築物の柱をベースプレートを介し基礎
コンクリートに固着した露出型柱脚構造において、基礎
はり主筋のはり上端筋がベースプレートの底面より下方
近傍を通り、基礎はり主筋のはり下端筋がアンカーボル
トの下端部に固定した定着板より上方を通る、もしくは
定着板より下方近傍を通るように配筋することによりア
ンカーボルトの定着を確保したことを特徴とする露出型
柱脚構造。 - 【請求項4】 建築物の柱をベースプレートを介し基礎
コンクリートに固着した露出型柱脚構造において、基礎
柱形部の立上がり主筋が4本以内であることを特徴とす
る請求項1〜3のいずれかに記載の露出型柱脚構造。 - 【請求項5】 建築物の柱をベースプレートを介し基礎
コンクリートに固着した露出型柱脚構造において、基礎
柱形部の立上がり主筋が8本以内であることを特徴とす
る請求項1〜3のいずれかに記載の露出型柱脚構造。 - 【請求項6】 ベースプレートが載置された位置の基礎
コンクリート天端から基礎はり天端までの高さが500
mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
かに記載の露出型柱脚構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32977298A JP3990504B2 (ja) | 1998-11-19 | 1998-11-19 | 露出型柱脚構造 |
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JP2000154592A true JP2000154592A (ja) | 2000-06-06 |
JP3990504B2 JP3990504B2 (ja) | 2007-10-17 |
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ID=18225101
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32977298A Expired - Lifetime JP3990504B2 (ja) | 1998-11-19 | 1998-11-19 | 露出型柱脚構造 |
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