JP2000154271A - 板状発泡体及びその成形体 - Google Patents

板状発泡体及びその成形体

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JP2000154271A
JP2000154271A JP10331251A JP33125198A JP2000154271A JP 2000154271 A JP2000154271 A JP 2000154271A JP 10331251 A JP10331251 A JP 10331251A JP 33125198 A JP33125198 A JP 33125198A JP 2000154271 A JP2000154271 A JP 2000154271A
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Japan
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propylene
ethylene
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polymer
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Application number
JP10331251A
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English (en)
Inventor
Noriaki Saito
則昭 斉藤
Hiroyuki Maehara
浩之 前原
Yuichi Yamanaka
勇一 山中
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JNC Corp
Original Assignee
Chisso Corp
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリプロピレンを発泡体の製造に用いる従来技
術においては、ポリプロピレン溶融時の強度の向上が不
十分であり、発泡倍率の高い板状発泡体の場合、気泡の
大きさを均一で緻密にすることは困難であった。 【解決手段】 135℃のテトラリン中で測定した固有
粘度が15〜100dl/gである超高分子量エチレン
(共)重合体0.01〜5.0重量部と同条件測定の固
有粘度が0.2〜10dl/gであるプロピレン(共)
重合体100重量部よりなるオレフィン(共)重合体組
成物を含む樹脂組成物と、加熱もしくは除圧により気体
を発生する発泡剤を用いて板状成形体を製造し、該板状
成形体を加熱もしくは除圧により発泡させて得られる板
状発泡体及びその成形体。 【効果】、発泡による気泡の大きさが均一であり、連続
気泡による粗大な空洞がほとんどない板状発泡体が得ら
れた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロピレン系重合
体組成物を用いた板状発泡体及びその成形体に関する。
さらに詳しくは、特定の固有粘度を有する少量の高分子
量エチレン(共)重合体とプロピレン(共)重合体とか
らなる組成物を用いた板状発泡体及びその成形体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、板状発泡体は軽量であり、断熱
性に優れ、また耐衝撃力など外部応力の緩衝性に優れて
いるため、断熱材、緩衝材、芯材、食品容器など様々な
用途に広く用いられている。これら板状発泡体の素材と
して、高融点であり、高弾性率を有し、コスト面に優
れ、また耐溶剤性に優れているポリプロピレンの適用が
試みられた。しかしながら、ポリプロピレンは溶融時の
強度が低いため、発泡させるときの気泡壁の強度が十分
でなく、気泡壁が破損しやすい。そのため、気泡の大き
さが均一で緻密な発泡体を製造することが困難であっ
た。
【0003】ポリプロピレンの溶融時の強度を高める方
法として、溶融状態下において、ポリプロピレンに有機
過酸化物と架橋助剤を反応させる方法(特開昭59−9
3711号公報、特開昭61−152754号公報
等)、半結晶性ポリプロピレンに低温で分解する過酸化
物を酸素不存在下で反応させて、自由端長鎖分岐を有し
ゲルを含まないポリプロピレンを製造する方法(特開平
2−298536号公報)などが開示されている。
【0004】溶融張力等の溶融粘弾性を向上させる他の
方法として、固有粘度または分子量の異なるポリエチレ
ン若しくはポリプロピレンを配合した組成物や、このよ
うな組成物を多段階重合によって製造する方法が提案さ
れている。
【0005】例えば、超高分子量ポリプロピレン2〜3
0重量部を通常のポリプロピレン100重量部に添加
し、融点以上210℃以下の温度範囲で押し出す方法
(特公昭61−28694号公報)、多段重合法により
得られた極限粘度比が2以上の分子量の異なる2成分の
ポリプロピレンからなる押し出しシート(特公平1−1
2770号公報)、高粘度平均分子量のポリエチレンを
1〜10重量%含む、粘度平均分子量の異なる3種類の
ポリエチレンからなるポリエチレン組成物を溶融混練
法、若しくは多段重合法によって製造する方法(特公昭
62−61057号公報)、高活性チタン・バナジウム
固体触媒成分を用いて、多段重合法により、極限粘度が
20dl/g以上の超高分子量ポリエチレンを0.05
ないし1重量%未満重合させるポリエチレンの重合方法
(特公平5−79683号公報)、1−ブテンや4−メ
チル−1−ペンテンで予備重合処理された高活性チタン
触媒成分を用いて特殊な配列の重合器による多段重合法
により、極限粘度が15dl/g以上の超高分子量ポリ
エチレンを0.1〜5重量%重合させるポリエチレンの
重合方法(特公平7−8890号公報)などが開示され
ている。
【0006】さらに、担持型チタン含有固体触媒成分お
よび有機アルミニウム化合物触媒成分にエチレンとポリ
エン化合物が予備重合されてなる予備重合触媒を用いて
プロピレンを重合することにより、高溶融張力を有する
ポリプロピレンを製造する方法(特開平5−22212
2号公報)および同様の触媒成分を用い予備重合をエチ
レンの単独で行い極限粘度が20dl/g以上のポリエ
チレンを含有するエチレン含有予備重合触媒を用いる高
溶融張力を有するエチレン・α−オレフィン共重合体の
製造方法(特開平4−55410号公報)が開示されて
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記提案されている種
々の組成物やそれらの製造方法においては、ポリオレフ
ィンの溶融張力のある程度の向上は認めらるものの、架
橋助剤による臭気の残留、成形加工性など改善すべき点
も残っている。
【0008】また、高分子量のポリオレフィンの製造工
程を、通常のプロピレン(共)重合工程に組み込む多段
重合法においては、その高分子量のポリオレフィンを微
量生成させるためのコントロールが難しく、また分子量
の十分に大きいポリオレフィンを生成するために低い重
合温度が必要なこともあってプロセスの改造を必要と
し、さらにポリプロピレン組成物の生産性も低下する。
【0009】ポリエン化合物を予備重合させる方法にお
いては、別途にポリエン化合物を準備する必要があり、
またポリエチレンを予備重合させる方法を開示した文献
に基づいてプロピレンを重合した場合、最終的に得られ
るポリプロピレン組成物への予備重合したポリエチレン
の分散性が不均一であり、ポリプロピレン組成物の安定
性の面でさらに改善が要求される。
【0010】上記したように、従来技術においては、ポ
リプロピレンは溶融時の強度の向上が不十分であり、発
泡倍率の高い板状発泡体の場合、気泡の大きさを均一で
緻密にすることは困難であった。また、臭気の問題で改
善すべき課題を有している。
【0011】本発明者等は、前記目的を達成すべく鋭意
研究した結果、少なくとも、特定の固有粘度を有する高
分子量エチレン(共)重合体と特定の固有粘度を有する
プロピレン(共)重合体とからなるプロピレン系重合体
組成物を用いることにより、気泡の大きさが均一で緻密
な板状発泡体が得られることを見出し、本発明に至っ
た。
【0012】本発明は、気泡径の大きさが均一かつ緻密
な板状発泡体及びその成形体を提供することを目的とす
るものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の第一発明は、下
記(a)、(b)を主成分とするプロピレン系重合体組
成物を含む樹脂組成物と、加熱もしくは除圧により気体
を発生する発泡剤を用いて板状成形体を製造し、該板状
成形体を加熱もしくは除圧により発泡させて得られる板
状発泡体である。 (a)135℃のテトラリン中で測定した固有粘度が
0.2〜10dl/gである、プロピレン単独重合体ま
たはプロピレン重合単位を50重量%以上含有するプロ
ピレン−オレフィン共重合体(これらをまとめて、「プ
ロピレン(共)重合体」と称する)。 (b)(a)成分100重量部あたり、135℃のテト
ラリン中で測定した固有粘度が15〜100dl/gで
ある、エチレン単独重合体またはエチレン重合単位50
重量%以上を含有するエチレン−オレフィン共重合体
(これらをまとめて、「高分子量エチレン(共)重合
体」と称する)0.01〜5.0重量部。
【0014】前記プロピレン系重合体組成物は、遷移金
属化合物触媒成分、遷移金属原子1モルに対し0.01
〜1000モルの周期表(1991年版)第1族、第2
族、第12族および第13族に属する金属よりなる群か
ら選択された金属の有機金属化合物および遷移金属原子
1モルに対し0〜500モルの電子供与体の組合せから
なるポリオレフィン製造用触媒と、この触媒に担持され
た上記の(b)成分である高分子量エチレン(共)重合
体とを含む予備活性化触媒の存在下に、プロピレンを単
独で重合させるかまたはプロピレンとプロピレン以外の
オレフィンを共重合させて(a)成分のプロピレン
(共)重合体を製造させてなることが好ましい。
【0015】本発明の板状発泡体は、前記プロピレン系
重合体組成物を含む樹脂組成物と、加熱により気体を発
生する分解型発泡剤とを、該分解型発泡剤が気体を発生
しない温度で溶融混練し、次いで板状成形体とした後、
該板状成形体を、該分解型発泡剤が気体を発生する温度
以上の温度に加熱して発泡させてなる板状発泡体が好ま
しい。
【0016】本発明の第二発明は、前記板状発泡体を熱
成形してなる成形体である。
【0017】
【発明実施の形態】プロピレン系重合体組成物の(b)
成分であるエチレン(共)重合体は、135℃のテトラ
リン中で測定した固有粘度(以下、固有粘度の測定は、
全て同じ溶媒、測定温度で実施した。)が15〜100
dl/g、好ましくは17〜50dl/gの重合体であ
る。このように、固有粘度を15dl/g以上にまで高
分子量化させる必要があるため、(b)成分の高分子量
エチレン(共)重合体は高分子量化の効率面からエチレ
ン重合単位を50重量%以上とすることが好ましい。即
ち、エチレン単独重合体またはエチレン重合単位を50
重量%以上、好ましくは70重量%以上、特に好ましく
は90重量%以上含有するエチレン−オレフィン共重合
体が適しており、これらの重合体は1種のみならず2種
以上の混合物であってもよい。
【0018】(b)成分のエチレン(共)重合体の固有
粘度が15dl/g未満であると、得られるプロピレン
系重合体組成物の溶融時の強度が低下し、得られる板状
発泡体の成形性向上効果が不十分となり、発泡セルの大
きさは粗大かつ不均一となる。また(b)成分のエチレ
ン(共)重合体の固有粘度の上限については特に限定さ
れないが、(a)成分のプロピレン(共)重合体の固有
粘度との差が大きいと、組成物とした際に(a)成分の
プロピレン(共)重合体中への(b)成分の高分子量エ
チレン(共)重合体の分散が悪くなり、結果として溶融
時の強度が上昇しなくなり成形性の向上効果が不十分に
なる。さらに製造上の効率からも上限は100dl/g
程度とするのがよい。
【0019】(b)成分がエチレン共重合体である場合
のエチレンと共重合されるエチレン以外のオレフィンと
しては、特に限定されないが、炭素数3〜12のオレフ
ィンが好ましく用いられる。具体的には、プロピレン、
1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテ
ン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン,3−メチ
ル−1−ペンテン等が挙げられ、これらのオレフィンは
1種のみならず2種以上であってもよい。
【0020】(b)成分のエチレン(共)重合体の密度
については特に制限はないが、しいて示せば、0.88
0〜0.980g/cm3程度のものが好適である。
【0021】プロピレン系重合体組成物を構成する
(a)成分のプロピレン(共)重合体は、その固有粘度
が0.2〜10dl/g、好ましくは0.5〜8.0d
l/g、更に好ましくは1.0〜5.0dl/gの結晶
性プロピレン(共)重合体であって、0.2dl/g未
満の場合、または10dl/gを超える場合、板状発泡
体の成形性が悪化する。また該プロピレン(共)重合体
は、プロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位を
50重量%以上、好ましくは70重量%以上含有するプ
ロピレン−オレフィンランダム共重合体もしくはプロピ
レン−オレフィンブロック共重合体である。これらの重
合体は1種のみならず2種以上の混合物であってもよ
い。
【0022】(a)成分がプロピレン共重合体である場
合のプロピレンと共重合されるプロピレン以外のオレフ
ィンとしては、特に限定されないが、炭素数2〜12の
オレフィンが好ましく用いられる。具体的には、エチレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン,3−
メチル−1−ペンテン等が挙げられ、これらのオレフィ
ンは1種のみならず2種以上であってもよい。
【0023】(a)成分のプロピレン(共)重合体の立
体規則性については特に制限はなく、結晶性であればど
のようなプロピレン(共)重合体であってもよい。具体
的には13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)で測定し
たアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が0.
80〜0.99、好ましくは0.85〜0.99の結晶
性を有するプロピレン(共)重合体が使用される。
【0024】アイソタクチックペンタッド分率(mmm
m)とはエイ・ザンベリ(A.Zambelli)等によって提案
(Macromolecules 6, 925 (1973))された13C−NMR
により測定される、ポリプロピレン分子鎖中のペンタッ
ド単位でのアイソタクチック分率であり、スペクトルの
測定におけるピークの帰属決定法はエイ・ザンベリ(A.Z
ambelli)等によって提案(Macromolecules 8, 687 (197
5))された帰属に従って決定される。具体的には、ポリ
マー濃度20重量%のo−ジクロロベンゼン/臭化ベン
ゼン=8/2重量比の混合溶液を用い、67.20MH
z、130℃にて測定することによって求められる。測
定装置としては、たとえばJEOL−GX270NMR
測定装置(日本電子(株)製)が用いられる。
【0025】本発明において、プロピレン系重合体組成
物の230℃における溶融張力MS(単位:cN)とそ
の固有粘度[ηI](単位:dl/g)との間に、 log(MS)>4.24×log[ηI]−1.10 で表される関係を有することが好ましい。溶融張力MS
が小さいと、溶融樹脂中に発泡剤(発泡剤が分解して生
成する成分を含む)を保持しにくくなり、その結果、樹
脂中から逃散して十分な発泡ができなかったり、連続気
泡の発泡体となる。上限については特に限定されない
が、あまりにも溶融張力が大きいと厚肉の板状発泡体が
製造しにくくなる。
【0026】ここで、230℃における溶融張力MS
は、メルトテンションテスター2型((株)東洋精機製
作所製)を用いて、装置内にてプロピレン系重合体組成
物を230℃に加熱し、溶融プロピレン系重合体組成物
を直径2.095mmのノズルから20mm/分の速度
で23℃の大気中に押し出してストランドとし、このス
トランドを3.14m/分の速度で引き取る際の糸状プ
ロピレン系重合体組成物の張力を測定した値(単位:c
N)である。
【0027】本発明において、プロピレン系重合体組成
物は、(b)成分の高分子量エチレン(共)重合体が該
組成物中に微粒子として分散していることが好ましい。
また、該エチレン(共)重合体は数平均粒子直径が1〜
5000nmであることが好ましく、10〜500nm
の範囲が特に好ましい。
【0028】本発明に用いるプロピレン系重合体組成物
の製造方法としては、どのような製造方法を採用しても
よいが、エチレンまたはエチレンとその他のオレフィン
との混合物により予備活性化された触媒の存在下に、プ
ロピレン単独あるいはプロピレンとプロピレン以外のオ
レフィンを重合させる方法が好ましい。
【0029】本発明における用語「予備活性化」は、プ
ロピレン単独重合またはプロピレンと他のオレフィンと
の共重合を実施するに先立って、ポリオレフィン製造用
触媒を予め活性化することを意味し、ポリオレフィン製
造用触媒の存在下にエチレンを単独で重合するかまたは
エチレンとその他のオレフィンとを共重合して、触媒に
少量のエチレン(共)重合体を担持させることにより行
う。重合効率を上げるなどの目的で、上記エチレン
(共)重合体の担持に先立って、プロピレン単独または
プロピレンとその他のオレフィンとの混合物による予備
重合を行い、少量のプロピレン(共)重合体を担持させ
ることが望ましい。このとき、プロピレン(共)重合体
の代わりに、またはプロピレン(共)重合体に追加して
プロピレン以外のオレフィンの重合体を予備重合により
担持させてもよい。
【0030】即ち、本発明における好ましい予備活性化
触媒は、チタン化合物等を含む遷移金属化合物触媒成
分、遷移金属原子1モルに対し0.01〜1000モル
の周期表(1991年版)第1族、第2族、第12族お
よび第13族に属する金属よりなる群から選択された金
属の有機金属化合物および遷移金属原子1モルに対し0
〜500モルの電子供与体の組合せからなるポリオレフ
ィン製造用触媒と、該触媒に担持させた、触媒中の遷移
金属化合物触媒成分1g当たり0.01〜100gの、
固有粘度が15dl/gより小さいプロピレン(共)重
合体、および遷移金属化合物触媒成分1g当たり0.0
1〜5000gの、固有粘度が15〜100dl/gで
ある高分子量エチレン(共)重合体からなるものであ
る。
【0031】前記のオレフィン(共)重合用予備活性化
触媒においては、遷移金属化合物触媒成分として、ポリ
オレフィン製造用として提案されている遷移金属化合物
触媒成分を主成分とする公知の触媒成分のいずれをも使
用することができ、なかでも工業生産上、チタン含有固
体触媒成分が好適に使用される。
【0032】チタン含有固体触媒成分としては、三塩化
チタン組成物を主成分とするチタン含有固体触媒成分
(特公昭56−3356号公報、特公昭59−2857
3号公報、特公昭63−66323号公報等)、マグネ
シウム化合物に四塩化チタンを担持した、チタン、マグ
ネシウム、ハロゲン、および電子供与体を必須成分とす
るチタン含有担持型触媒成分(特開昭62−10481
0号公報、特開昭62−104811号公報、特開昭6
2−104812号公報、特開昭57−63310号公
報、特開昭57−63311号公報、特開昭58−83
006号公報、特開昭58−138712号公報等)な
どが提案されており、これらのいずれをも使用すること
ができる。
【0033】上記以外の遷移金属化合物触媒成分とし
て、通常メタロセンと称されるπ電子共役配位子を少な
くとも1個有する遷移金属化合物も用いることができ
る。この時の遷移金属は、Zr,Ti,Hf,V,N
b,TaおよびCrから選択することが好ましい。
【0034】π電子共役配位子の具体例としては、η−
シクロペンタジエニル構造、η−ベンゼン構造、η−シ
クロプタトリエニル構造、又は、η−シクロオクタテト
ラエン構造を有する配位子が挙げられ、特に好ましいの
は、η−シクロペンタジエニル構造を有する配位子であ
る。
【0035】η−シクロペンタジエニル構造を有する配
位子としては、たとえば、シクロペンタジエニル基、イ
ンデニル基、フルオレニル基等が挙げられる。これらの
基は、アルキル基、アリール基およびアラルキル基のよ
うな炭化水素基、トリアルキルシリル基のようなケイ素
置換炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリー
ロキシ基、鎖状および環状アルキレン基などで置換され
ても良い。
【0036】遷移金属化合物がπ電子共役配位子を2個
以上含む場合には、そのうち2個のπ電子共役配位子同
士は、アルキレン基、置換アルキレン基、シクロアルキ
レン基、置換シクロアルキレン基、置換アルキリデン
基、フェニル基、シリレン基、置換ジメチルシリレン
基、ゲルミル基などを介して架橋していても良い。この
ときの遷移金属触媒成分は、上記のようなπ電子配位子
を少なくとも1個有する他に、アルキル基、シクロアル
キル基、アリール基、アラルキル基のような炭化水素
基、ケイ素置換炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキ
シ基、置換スルホナト基、アミドシリレン基、アミドア
ルキレン基などを有しても良い。なお、アミドシリレン
基やアミドアルキレン基のような2価の基はπ電子共役
配位子と結合しても良い。
【0037】上記のような通常メタロセンと称されるπ
電子共役配位子を少なくとも1個有する遷移金属化合物
触媒成分は、微粒子状担体に担持させて用いることも可
能である。このような微粒子状担体としては、無機又は
有機化合物であって、粒子径が5〜300μm、好まし
くは10〜200μmの顆粒状ないしは球状の微粒子固
体が使用される。このうち、担体に使用する無機化合物
としては、SiO2,Al23,MgO,TiO2,Zn
O等またはこれらの混合物が挙げられる。これらの中で
は、SiO2またはAl23を主成分とする物が好まし
い。また、担体に使用する有機化合物としては、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテ
ン等の炭素数2〜12のα−オレフィンの重合体または
共重合体、さらにはスチレンまたはスチレン誘導体の重
合体または共重合体が挙げられる。
【0038】有機金属化合物としては、周期表(199
1年版)第1族、第2族、第12族および第13族に属
する金属よりなる群から選択された金属の有機基を有す
る化合物、たとえば、有機リチウム化合物、有機ナトリ
ウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合
物、有機アルミニウム化合物などを挙げることができ、
これらの1種または2種以上を前記遷移金属化合物触媒
成分と組み合わせて使用することができる。
【0039】特に、一般式がAlR1 p2 q
3-(p+q)(式中、R1およびR2は、アルキル基、シクロ
アルキル基、アリ−ル基等の炭化水素基およびアルコキ
シ基の同種または異種を、Xはハロゲン原子を表わし、
pおよびqは、0<p+q≦3の整数を表わす)で表わ
される有機アルミニウム化合物を好適に使用することが
できる。
【0040】有機アルミニウム化合物の具体例として
は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブチ
ルアルミニウム、トリ−i−ブチルアルミニウム、トリ
−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−i−ヘキシルアル
ミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等のトリア
ルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライ
ド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロライド、ジ−i
−ブチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウ
ムブロマイド、ジエチルアルミニウムアイオダイド等の
ジアルキルアルミニウムモノハライド、ジエチルアルミ
ニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイド
ライド、エチルアルミニウムセスキクロライド等のアル
キルアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウム
ジクロライド等のモノアルキルアルミニウムジハライド
などの他ジエトキシモノエチルアルミニウム等のアルコ
キシアルキルアルミニウム挙げることができ、好ましく
は、トリアルキルアルミニウムおよびジアルキルアルミ
ニウムモノハライドを使用する。これらの有機アルミニ
ウム化合物は、1種だけでなく2種類以上を混合して用
いることもできる。
【0041】また、有機金属化合物としてアルミノキサ
ン化合物も使用することができる。アルミノキサンと
は、下記一般式化1、または化2で表される有機アルミ
ニウム化合物である。
【0042】
【化1】
【0043】
【化2】
【0044】化1および化2において、Rは炭素数1〜
6、好ましくは、1〜4の炭化水素基であり、具体的に
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソ
ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基、
アリル基、2−メチルアリル基、プロペニル基、イソプ
ロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ブテニル
基等のアルケニル基、シクロプロピル基、シクロブチル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロア
ルキル基、およびアリール基などである化合物が挙げら
れる。これらのうち特に好ましいのは、アルキル基であ
り、各Rは同一でも異なっていても良い。pは2〜40
の整数であるが、好ましくは6〜30、特に好ましくは
8〜30である。
【0045】また、使用できる有機金属化合物として、
更にホウ素系有機金属化合物も挙げることができる。こ
のホウ素系有機金属化合物は、遷移金属化合物とホウ素
原子を含むイオン性化合物もしくはホウ素原子含有ルイ
ス酸を反応させることにより得られる。このとき用いら
れる遷移金属化合物としては、オレフィン(共)重合用
予備活性化触媒を製造する際に使用する遷移金属化合物
触媒成分と同様のものが使用可能であるが、好ましく用
いられるのは、前述した通常メタロセンと称される少な
くとも1個のπ電子共役配位子を有する遷移金属化合物
触媒成分である。
【0046】ホウ素原子を含むイオン性化合物として
は、具体的には、テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタ
フルオロフェニル)硼酸トリ−n−ブチルアンモニウ
ム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフ
ェニルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェ
ニル)硼酸メチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)硼酸トリジメチルアンモニウム、テト
ラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルアン
モニウム等が挙げられる。
【0047】ホウ素原子含有ルイス酸としては、下記の
一般式化3で表される化合物が使用可能である。
【化3】 BR123 (式中、R1、R2、R3は、それぞれ独立してフッ素原
子またはフッ素化メチル基などの置換基を有しても良い
フェニル基、またはアルキル基を示す。)
【0048】上記一般式で表される化合物として具体的
には、トリ(n−ブチル)ホウ素、トリフェニルホウ
素、トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェ
ニル]ホウ素、トリス(4−フルオロメチルフェニル)
ホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ
素、トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ホウ
素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等が挙げ
られ、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素が特に
好ましい。
【0049】電子供与体は、ポリオレフィンの生成速度
および/または立体規則性を制御することを目的として
必要に応じて使用される。電子供与体として、たとえ
ば、エーテル類、アルコール類、エステル類、アルデヒ
ド類、脂肪酸類、ケトン類、ニトリル類、アミン類、ア
ミド類、尿素およびチオ尿素類、イソシアネート類、ア
ゾ化合物、ホスフィン類、ホスファイト類、ホスフィナ
イト類、硫化水素およびチオエーテル類、ネオアルコー
ル類などの分子中に酸素、窒素、硫黄、燐のいずれか1
種または2種以上の原子を有する化合物および有機ケイ
素化合物などが挙げられる。
【0050】エーテル類としては、ジメチルエーテル、
ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n
−ブチルエーテル、ジ−i−アミルエーテル、ジ−n−
ペンチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジ−i
−ヘキシルエーテル、ジ−nオクチルエーテル、ジ−i
−オクチルエーテル、ジ−n−ドデシルエーテル、ジフ
ェニルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン等が、アルコール類としては、メタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノール、ぺントノー
ル、ヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサノ
ール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、エチレ
ングリコール、グリセリン等が、またフェノール類とし
て、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフ
ェノール、ナフトール等が挙げられる。
【0051】エステル類としては、メタクリル酸メチ
ル、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ビニル、酢酸−n−プロピル、酢酸−i−プロ
ピル、ギ酸ブチル、酢酸アミル、酢酸−n−ブチル、酢
酸オクチル、酢酸フェニル、プロピオン酸エチル、安息
香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息
香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸−2−エチル
ヘキシル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、アニ
ス酸メチル、アニス酸エチル、アニス酸プロピル、アニ
ス酸フェニル、ケイ皮酸エチル、ナフトエ酸メチル、ナ
フトエ酸エチル、ナフトエ酸プロピル、ナフトエ酸ブチ
ル、ナフトエ酸−2−エチルヘキシル、フェニル酢酸エ
チル等のモノカルボン酸エステル類、コハク酸ジエチ
ル、メチルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチ
ル、マレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジエチル等
の脂肪族多価カルボン酸エステル類、フタル酸モノメチ
ル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ
−n−プロピル、フタル酸モノ−n−ブチル、フタル酸
ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−i−ブチル、フタル酸ジ
−n−ヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フ
タル酸ジ−n−オクチル、i−フタル酸ジエチル、i−
フタル酸ジプロピル、i−フタル酸ジブチル、i−フタ
ル酸ジ−2−エチルヘキシル、テレフタル酸ジエチル、
テレフタル酸ジプロピル、テレフタル酸ジブチル、ナフ
タレンジカルボン酸ジ−i−ブチル等の芳香族多価カル
ボン酸エステル類が挙げられる。
【0052】アルデヒド類としては、アセトアルデヒ
ド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド等が、カ
ルボン酸類として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、
修酸、コハク酸、アクリル酸、マレイン酸、吉草酸、安
息香酸などのモノカルボン酸類および無水安息香酸、無
水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸などの酸無水物
が、ケトン類として、アセトン、メチルエチルケトン、
メチル−i−ブチルケトン、ベンゾフェノン等が例示さ
れる。
【0053】窒素含有化合物としては、アセトニトリ
ル、ベンゾニトリル等のニトリル類、メチルアミン、ジ
エチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミ
ン、β(N,N−ジメチルアミノ)エタノール、ピリジ
ン、キノリン、α−ピコリン、2,4,6−トリメチル
ピリジン、2,2,5,6−テトラメチルピペリジン、
2,2,5,5,テトラメチルピロリジン、N,N,
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、アニリ
ン、ジメチルアニリン等のアミン類、ホルムアミド、ヘ
キサメチルリン酸トリアミド、N,N,N’,N’,
N”−ペンタメチル−N’−β−ジメチルアミノメチル
リン酸トリアミド、オクタメチルピロホスホルアミド等
のアミド類、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素等
の尿素類、フェニルイソシアネート、トルイルイソシア
ネート等のイソシアネート類、アゾベンゼン等のアゾ化
合物類が例示される。
【0054】燐含有化合物としては、エチルホスフィ
ン、トリエチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフ
ィン、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィ
ンオキシド等のホスフィン類、ジメチルホスファイト、
ジ−n−オクチルホスフィン、トリフェニルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィンオキシド等のホスフィン
類、ジメチルホスファイト、ジ−n−オクチルホスファ
イト、トリエチルホスファイト、トリ−n−ブチルホス
ファイト、トリフェニルホスファイト等のホスファイト
類が例示される。
【0055】硫黄含有化合物としては、ジエチルチオエ
ーテル、ジフェニルチオエーテル、メチルフェニルチオ
エーテル等のチオエーテル類、エチルチオアルコール、
n−プロピルチオアルコール、チオフェノール等のチオ
アルコール類が挙げられ、さらに、有機ケイ素化合物と
して、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、
トリフェニルシラノール等のシラノール類、トリメチル
メトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフ
ェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、トリメチルエトキ
シシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジ−i−プロピ
ルジメトキシシラン、ジ−i−ブチルジメトキシシラ
ン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエ
トキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニ
ルトリアセトキシシラン、シクロペンチルメチルジメト
キシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、ジシ
クロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチル
ジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラ
ン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、2−ノルボル
ニルメチルジメトキシシラン等の分子中にSi−O−C
結合を有するアルコキシシラン類等が挙げられる。これ
らの電子供与体は、単独であるいは2種類以上を混合し
て使用することができる。
【0056】プロピレン系重合体組成物の(b)成分と
なるエチレン(共)重合体の、予備活性化触媒中におけ
る遷移金属化合物触媒成分1g当たりの担持量は0.0
1〜5,000g、好ましくは0.05〜2,000
g、さらに好ましくは0.1〜1,000gである。該
担持量が遷移金属化合物触媒成分1g当たり0.01g
未満では、該予備活性化触媒を用いて得られるプロピレ
ン系重合体組成物の溶融張力の向上効果が不十分であ
り、成形性への向上効果が不十分である。また5,00
0gを越える場合にはそれらの効果の向上が顕著でなく
なるばかりでなく、プロピレン系重合体組成物の均質性
が悪化する場合があるので好ましくない。
【0057】一方、予備活性化触媒中のプロピレン
(共)重合体は、前述のごとく固有粘度が15dl/g
より小さいプロピレン(共)重合体であって、遷移金属
化合物触媒成分1g当たりの担持量は0.01〜100
gの範囲が好適である。該プロピレン(共)重合体はプ
ロピレン系重合体組成物の(a)成分の一部として組み
入れられる。
【0058】予備活性化触媒は、次に述べる予備活性化
処理により製造するのが好ましい。即ち、遷移金属化合
物触媒成分、該触媒成分中の遷移金属1モルに対し0.
01〜1,000モル、好ましくは0.05〜500モ
ルの有機金属化合物、および該遷移金属1モルに対し0
〜500モル、好ましくは0〜100モルの電子供与体
の組み合わせからなるポリオレフィン製造用触媒を、重
合容積1リットル当たり、触媒成分中の遷移金属原子に
換算して0.001〜5,000ミリモル、好ましくは
0.01〜1,000ミリモル存在させ、溶媒の不存在
下または遷移金属化合物触媒成分1gに対し100リッ
トルまでの溶媒の存在下において、プロピレン単独また
はプロピレンとその他のオレフィンとの混合物の所要量
を供給し予備重合させて遷移金属化合物触媒成分1gに
対し0.01〜100gのプロピレン(共)重合体を生
成させ、次いで所要量のエチレン単独またはエチレンと
その他のオレフィンとの混合物を供給し予備活性化重合
させて遷移金属化合物触媒成分1gに対し0.01〜
5,000gのエチレン(共)重合体を生成させること
により、遷移金属化合物触媒成分にプロピレン(共)重
合体およびエチレン(共)重合体を被覆担持させる。な
お、本明細書中において、「重合容積」の用語は、液層
重合の場合には重合器内の液相部分の容積を、気相重合
の場合には重合器内の気相部分の容積を意味する。
【0059】遷移金属化合物触媒成分の使用量は、効率
的、かつ制御された重合反応速度を維持する上で、前記
範囲であることが好ましい。また、有機金属化合物の使
用量が、少なすぎると重合反応速度が遅くなりすぎ、ま
た大きくしても重合反応速度のそれに見合う上昇が期待
できないばかりか、目的のプロピレン系重合体組成物中
に有機金属化合物の残さが多くなるので好ましくない。
さらに、電子供与体の使用量が多すぎると、重合反応速
度が低下する。
【0060】予備活性化処理は、前述のごとく溶媒を用
いて液相中で行うことができ、また溶媒を用いずに気相
中で行うことも可能である。溶媒を用いる場合には使用
量が多すぎると、大きな反応容器を必要とするばかりで
なく、効率的な重合反応速度の制御及び維持が困難とな
る。溶媒としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デ
カン、ドデカン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化
水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族
炭化水素、他にガソリン留分や水素化ジーゼル油留分等
の不活性溶媒、オレフィン自身などを用いることができ
る。
【0061】また、予備活性化処理は水素の存在下にお
いても実施してもよいが、固有粘度15〜100dl/
gの高分子量エチレン(共)重合体を生成させるために
は、水素は用いないほうが好適である。
【0062】予備活性化処理におけるプロピレン単独ま
たはプロピレンとその他のオレフィンとの混合物の予備
重合条件は、プロピレン(共)重合体が遷移金属化合物
触媒成分1g当たり0.01g〜100g生成する条件
であればよく、通常、−40℃〜100℃の温度下、
0.1MPa〜5MPaの圧力下で、1分〜24時間実
施する。またエチレン単独またはエチレンとその他のオ
レフィンとの混合物の予備活性化重合条件は、エチレン
(共)重合体が遷移金属化合物触媒成分1g当たり0.
01〜5,000g、好ましくは0.05〜2,000
g、さらに好ましくは0.1〜1,000gの量で生成
するような条件であれば特に制限はなく、通常、−40
℃〜40℃、好ましくは−40℃〜30℃、さらに好ま
しくは−40℃〜20℃程度の比較的低温度下、0.1
MPa〜5MPa、好ましくは0.2MPa〜5MP
a、特に好ましくは0.3MPa〜5MPaの圧力下
で、1分〜24時間、好ましくは5分〜18時間、特に
好ましくは10分〜12時間である。
【0063】また、前記予備活性化処理後に、予備活性
化処理による重合活性の低下を抑制することを目的とし
て、プロピレン単独、プロピレンとその他のオレフィン
との混合物またはプロピレン以外のオレフィンによる追
加の重合を、遷移金属化合物触媒成分1g当たりのプロ
ピレン(共)重合体またはプロピレン以外のオレフィン
の重合体の生成量が0.01〜100gの範囲内である
ように行ってもよい。この場合、有機金属化合物、電子
供与体、溶媒などの使用量はエチレンまたはエチレンと
その他のオレフィンとの混合物による予備活性化重合と
同様な範囲で行うことができるが、遷移金属原子1モル
当たり0.005〜10モル、好ましくは0.01〜5
モルの電子供与体の存在下に行うのが好ましい。また、
反応条件については−40〜100℃の温度下、0.1
〜5MPaの圧力下で、1分から24時間実施する。
【0064】予備活性化触媒は、そのままオレフィン
(共)重合用触媒として、または追加の有機金属化合物
及び電子供与体をさらに含有させて、プロピレン系重合
体組成物を得るための重合に用いる。このとき、追加の
有機金属化合物の使用量は、予備活性化触媒中の遷移金
属原子1モルに対し予備活性化触媒中の有機金属化合物
との合計で0.05〜3,000モル、好ましくは0.
1〜1,000モルの範囲内とし、また追加の電子供与
体の使用量は、予備活性化触媒中の電子供与体との合計
で0〜5,000モル、好ましくは0〜3,000モル
の範囲内とするのがよい。
【0065】有機金属化合物の合計の含有量が少なすぎ
ると、プロピレン系重合体組成物を得るための重合にお
ける重合反応速度が遅すぎ、一方過剰に多くしても該重
合反応速度の期待されるほどの上昇は認められず非効率
的であるばかりではなく、最終的に得られるプロピレン
系重合体組成物中に残留する有機金属化合物残さが多く
なるので好ましくない。さらに電子供与体の合計の含有
量が過大になると該重合反応速度が著しく低下する。
【0066】予備活性化触媒に必要に応じて追加使用さ
れる有機金属化合物や電子供与体の種類については、既
に例示した有機金属化合物および電子供与体と同様なも
のを使用することができる。また、1種の単独使用でも
よく2種以上を混合使用してもよい。更に、予備活性化
処理の際に使用したものと同種でも異なっていてもよ
い。
【0067】有機金属化合物や電子供与体を追加するに
あたっては、予備活性化触媒中に存在する溶媒、未反応
のオレフィン、既に存在する有機金属化合物および電子
供与体等を濾別またはデカンテーションにより除去する
か、または溶媒および未反応のオレフィンを減圧蒸留ま
たは不活性ガス流等により蒸発させ除去して一旦紛粒体
とした後、得られた粉粒体もしくはこの粉粒体に溶媒を
添加した懸濁液と、追加の有機金属化合物および所望に
より電子供与体とを組み合わせて、オレフィン(共)重
合用触媒としてもよい。
【0068】プロピレン系重合体組成物の製造方法にお
いて、オレフィン(共)重合用触媒の使用量は、重合容
積1リットルあたり、触媒中の遷移金属原子に換算し
て、0.001〜1,000ミリモル、好ましくは0.
005〜500ミリモルである。遷移金属化合物触媒成
分の使用量を上記範囲とすることにより、プロピレン単
独またはプロピレンとその他のオレフィンとの混合物の
効率的かつ制御された(共)重合反応速度を維持するこ
とができる。
【0069】プロピレン系重合体組成物を得るためのプ
ロピレン単独またはプロピレンとその他のオレフィンと
の混合物の重合においては、その重合プロセスとして公
知のオレフィン重合プロセスが使用可能であり、具体的
には、前述の不活性溶媒中でオレフィンの重合を実施す
るスラリー重合法、オレフィン自身を溶媒として用いる
バルク重合法、オレフィンの重合を気相中で実施する気
相重合法、さらに重合して生成するポリオレフィンが液
状である液相重合、あるいはこれらのプロセスの2以上
を組み合わせた重合プロセスを使用することができる。
【0070】上記のいずれの重合プロセスを使用する場
合も、重合条件として、重合温度は20〜120℃、好
ましくは30〜100℃、特に好ましくは40〜100
℃の範囲、重合圧力は0.1〜5MPa、好ましくは
0.3〜5MPaの範囲において、連続的、半連続的、
若しくはバッチ的に重合時間は5分間〜24時間程度の
範囲が採用される。上記の重合条件を採用することによ
り、プロピレン系重合体組成物の(a)成分であるプロ
ピレン(共)重合体を高効率かつ制御された反応速度で生
成させることができる。
【0071】プロピレン(共)重合体の分子量調節に
は、水素等の分子量調節剤を重合時に使用することが有
効であり、この使用量を調節することによってプロピレ
ン(共)重合体の固有粘度を本発明の目的に合うように
調節することができる。
【0072】重合反応終了後、必要に応じ公知の触媒失
活処理工程、触媒残さ除去工程、乾燥工程等の後処理工
程を経て、プロピレン系重合体組成物を得ることができ
る。
【0073】本発明においては、前記プロピレン系重合
体組成物を単独で用いるのみならず、該プロピレン系重
合体組成物に他の樹脂を混合して用いることもできる。
他の樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエ
チレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレ
ン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニ
ル共重合体等のエチレン系樹脂、シンジオタクチックポ
リプロピレン、ブテン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、
石油樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系
樹脂、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・ブテンゴ
ム等の熱軟化性樹脂が挙げられ、1種のみならず2種以
上用いることができる。配合量はプロピレン系重合体組
成物100重量部に対し、最大50重量部程度が好まし
い。
【0074】更に、本発明のプロピレン系重合体組成物
に対しては、上述した成分に加えて安定剤として酸化防
止剤、中和剤、耐候剤、紫外線吸収剤、その他添加剤と
して帯電防止剤、滑剤、難燃剤、着色剤、及びタルク、
炭酸カルシウム等の無機充填剤等を本発明の目的を損な
わない範囲で配合することができる。
【0075】特に、板状発泡体の耐熱性、剛性を向上す
る目的で、プロピレン系重合体組成物100重量部に対
し無機充填剤3〜40重量部を混合して用いることがで
きる。無機充填剤としては、例えばタルク、炭酸カルシ
ウム、ガラス、ゼオライト、硫酸バリウム等が挙げられ
る。これらの平均粒径は1〜30μmであることが好ま
しい。
【0076】本発明において、上記の各成分の混合に
は、例えばヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミ
キサー(商品名)などの高速撹拌機付混合機、リボンブ
レンダー、タンブラーなどの通常の混合装置を使用すれ
ばよい。また、溶融混練を必要とする場合には通常の単
軸押出機または二軸押出機などが使われる。混練温度は
190〜300℃が一般的であり、好ましくは200〜
270℃、より好ましくは200〜250℃である。
【0077】本発明の板状発泡体は、前記プロピレン系
重合体組成物に必要に応じて他の樹脂、熱安定剤、無機
充填材等の添加剤を配合した樹脂組成物(以下、「樹脂
組成物A」と称する)と、加熱あるいは除圧により気体
を発生する発泡剤とからなる板状成形体を、加熱あるい
は除圧して発泡させて製造する。
【0078】具体的には、樹脂組成物Aと加熱により気
体を発生する分解型発泡剤とを実質的に該熱分解型発泡
剤が気体を発生しない温度で溶融混練した後、板状成形
体とし、次いで該板状成形体を少なくとも該分解型発泡
剤が気体を発生する温度まで加熱して発泡させ板状発泡
体を得る方法があげられる。
【0079】この方法の場合、分解型発泡剤としては、
ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロ系発泡
剤、アゾジカルボンアミドやアゾジカルボン酸バリウム
等のアゾ系発泡剤、トルエンスルホニルセミカルバジド
等のスルホヒドラジド系発泡剤、重炭酸ナトリウム、ク
エン酸等を用いることができ、これら発泡剤は混合して
用いることもできる。
【0080】発泡剤の使用量は発泡剤の種類、所望する
発泡倍率等により異なるが、通常、樹脂組成物A100
重量部に対し、1〜100重量部であることが好まし
い。
【0081】この方法の場合、発泡体の気泡径を調整す
る目的で気泡調整剤(発泡核剤)を添加しても良い。気
泡調整剤としてはタルク、二酸化珪素、二酸化チタン、
炭酸カルシウム等の無機粉末、重炭酸ナトリウム、クエ
ン酸、重炭酸ナトリウムとクエン酸の混合物等が挙げら
れ、これらの気泡調整剤は混合して用いることもでき
る。気泡調整剤の配合量は所望する発泡体の物性により
異なるが、一般的には、無機充填剤を多量に含有させる
場合を除いて、プロピレン系重合体組成物100重量部
に対し0.01〜3重量部程度である。
【0082】また、樹脂組成物Aと分解型発泡剤の溶融
混練に用いられる装置としては、ロール、コニーダー、
バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸
押出機などの混練機、2軸表面更新機または2軸多円板
装置などの横型撹拌機、ダブルヘリカルリボン撹拌機な
どの縦型撹拌機などがあげられる。これらのうち、特に
ロールもしくは単軸または2軸押出機が生産性の点から
好ましい。
【0083】この方法における溶融混練温度および溶融
混練時間は、用いられる発泡剤および混練条件により適
宜選択すればよく、また、樹脂の種類により異なるが、
溶融混練温度が130℃〜250℃、溶融混練時間が1
〜60分間であることが通常である。
【0084】また、ロール、またはTダイなどを有する
押出機を用いて樹脂組成物Aと発泡剤との混合物を得る
場合は、混合物は板状で得られるが、混合物が板状で得
られない場合は、この混合物を発泡剤が実質的に分解し
ない温度で加熱プレスする方法等により板状の成形体と
する。
【0085】樹脂組成物Aと発泡剤とを混合してなる板
状成形体を加熱して発泡させる時の加熱温度および加熱
時間は、発泡剤の種類などにより適宜選択すればよい
が、加熱温度は150〜300℃、加熱時間は0.1〜
10分間であることが通常である。また、加熱発泡させ
る工程は1工程ばかりでなく2工程以上の多工程で実施
させてもよい。
【0086】更に、この方法の場合、樹脂組成物Aと発
泡剤との混合割合の異なる層よりなる多層構造の板状成
形体や、発泡剤を含まない層、または他の樹脂よりなる
層を含む多層構造の板状成形体を加熱して発泡させこと
により、密度の異なる層よりなる多層構造の板状発泡体
を得ることができる。特に多重マニホールドダイまたは
フィードブロックを使用した押出成形法により板状成形
体を成形する方法が好適に用いられる。
【0087】また、本発明における発泡体製造方法の別
の例として、樹脂組成物Aよりなる板状成形体に高圧下
で無機ガスあるいは揮発性発泡剤を吸収圧入させ、樹脂
組成物Aと発泡剤からなる板状成形体を得た後、急激に
圧力を除圧することにより板状成形体中の発泡剤をガス
化させ、発泡させる方法をあげることができる。
【0088】本発明の板状発泡体の密度は、0.018
〜0.75g/cm3、特に0.03〜0.5g/cm3
が好ましく、断熱性、緩衝性、圧縮強度、剛性、軽量性
等の特性が好適である。また、厚みは、0.2〜100
mmが好ましい。特に、熱成形用には厚み0.2〜10
mmの薄物の板状発泡体が好適に用いられる。なお、発
泡体の耐熱性、剛性を向上する目的で無機充填剤を用い
た場合には、密度0.05〜0.94g/cm3、厚み
0.2〜10mmの板状発泡体であることが好ましい。
【0089】本発明の板状発泡体は、必要に応じて2枚
以上の板状発泡体を熱や溶融樹脂、接着剤等を用いて張
り合わせても良い。また、発泡体の片面または両面に無
発泡のシート、不織布等を張り合わせても良い。
【0090】本発明の第二の発明は、前記板状発泡体を
熱成形してなる成型体である。熱成形の方法としては、
真空成形、圧空成形やこれらの応用として、フリードロ
ーイング成形、プラグアンドリッジ成形、リッジ成形、
マッチドモールド成形、ストレート成形、ドレープ成
形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグア
シスト成形、プラグアシストリバースドロー成形等やこ
れらを組み合わせた方法等を適用することができる。
【0091】
【実施例】以下に、本発明を実施例および比較例により
さらに詳細に説明する。実施例および比較例において使
用する用語の定義および測定方法は以下の通りである。 −プロピレン系重合体組成物− 固有粘度[η]:135℃のテトラリン中で測定した極
限粘度を、オストヴァルト粘度計(三井東圧化学(株)
製)により測定した値(単位:dl/g)。オレフィン
共重合体中のコモノマー重合単位含有量:13C−NMR
法によって測定(日本電子(株)製FT−NMRスペク
トロメーターにより測定)された各ピークの面積から算
出した(単位:重量%)。 −板状発泡体− 発泡体の密度:JIS K6767に準じて測定した
(単位:g/10min)。 平均セル径:発泡体の厚み方向と垂直に面を切り出し、
カメラ付き顕微鏡にて写真を撮影して、面積0.25〜
1.0cm2中の全ての発泡セルの長径と短径を測定。
長径と短径の平均を発泡セル径とし、測定した全発泡セ
ルの平均値を平均セル系(単位:mm)とした。 セル均一性:平均セル径の3倍以上の大きさの発泡セル
数が10%以上のものを「×」とし、10%未満のもの
を「○」とした。
【0092】(実施例1) (1)遷移金属化合物触媒成分の調製 撹拌機付きステンレス製反応器中において、デカン3
7.5リットル、無水塩化マグネシウム7.14kg、
および2−エチル−1−ヘキサノール35.1リットル
を混合し、撹拌しながら140℃で4時間加熱反応を行
って均一な溶液とした。この均一溶液中に無水フタル酸
1.67kgを添加し、さらに130℃にて1時間撹拌
混合を行い、無水フタル酸をこの均一溶液に溶解した。
【0093】得られた均一溶液を室温(23℃)に冷却
した後、この均一溶液を−20℃に保持した四塩化チタ
ン200リットル中に3時間かけて全量滴下した。滴下
後、4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達した
ところでフタル酸ジ−i−ブチル5.03リットルを添
加し、2時間110℃にて撹拌保持して反応を行った。
反応終了後、熱濾過して固体部を採取し、固体部を27
5リットルの四塩化チタン中に再懸濁させた後、再び1
10℃で2時間、反応を持続した。
【0094】反応終了後、再び熱濾過により固体部を採
取し、n−ヘキサンにて、洗浄液中に遊離のチタンが検
出されなくなるまで充分洗浄した。続いて、濾過により
溶媒を分離し、固体部を減圧乾燥してチタン2.4重量
%を含有するチタン含有担持型触媒成分(遷移金属化合
物触媒成分)を得た。
【0095】(2)予備活性化触媒の調製 内容積30リットルの傾斜羽根付きステンレス製反応器
を窒素ガスで置換後、n−ヘキサン18リットル、トリ
エチルアルミニウム60ミリモルおよび前項で調整した
チタン含有担持型触媒成分150g(チタン原子換算で
75.16ミリモル)を添加した後、プロピレン500
gを供給し、−2℃で40分間、予備重合を行った。
【0096】別途、同一の条件で行った予備重合後に生
成したポリマーを分析した結果、チタン含有担持型触媒
成分1g当たり、3.0gのポリプロピレンが生成し、
このポリプロピレンの固有粘度[ηA]は2.80dl
/gであった。
【0097】反応時間終了後、未反応のプロピレンを反
応器外に放出し、反応器の気相部を1回、窒素置換した
後、反応器内の温度を0℃に保持しながら、反応器内の
圧力を0.59MPaに維持するようにエチレンを反応
器に連続的に6時間供給し、予備活性化重合を行った。
別途、同一の条件で行った予備活性化重合後に生成した
ポリマーを分析した結果、チタン含有担持型触媒成分1
g当たり、ポリマーが73.3g存在し、かつポリマー
の固有粘度[ηT]は29.7dl/gであった。
【0098】エチレンによる予備活性化重合で生成した
チタン含有担持型触媒成分1g当たりのポリエチレン量
(WB)は、予備活性化処理後のチタン含有担持型触媒
成分1g当たりのポリマー生成量(WT)と予備重合後
のチタン含有担持型触媒成分1g当たりのポリプロピレ
ン生成量(WA)との差として次式で求められる。 WB=WT−WA また、エチレンによる予備活性化重合で生成したポリエ
チレンの固有粘度[η B]は、予備重合で生成したポリ
プロピレンの固有粘度[ηA]および予備活性化処理で
生成したポリマーの固有粘度[ηT]から次式により求
められる。 [ηB]=([ηT]×WT−[ηA]×WA)/(WT−W
A
【0099】反応時間終了後、未反応のエチレンを反応
器外に放出し、反応器の気相部を1回、窒素置換し、プ
ロピレン系重合体組成物製造のための予備活性化触媒ス
ラリーとしたが、別途、同一条件で行ったプロピレンに
よる予備重合およびエチレンによる予備活性化重合のデ
ータを用いた上記式による計算結果から、エチレンによ
る予備活性化重合で生成したポリエチレン量は、チタン
含有担持型触媒成分1g当たり70.3g、該ポリエチ
レンの固有粘度は30.9dl/gであった。
【0100】(3)プロピレン系重合体組成物の製造 窒素置換された、内容積110リットルの撹拌機を備え
た連続式横型気相重合器(長さ/直径=3.7)に、触
媒成分の分散媒体としてポリプロピレンパウダー25k
gを導入し、さらに予備活性化触媒スラリーをチタン含
有担持型触媒成分として0.62g/h、またトリエチ
ルアルミニウムおよびジイソプロピルジメトキシシラン
をチタン含有担持型触媒成分中のチタン原子に対し、そ
れぞれモル比が90および15となるように連続的に供
給した。
【0101】さらに、重合温度70℃の条件下、重合器
内の水素濃度のプロピレン濃度に対する比が0.005
5となるように水素を、また重合器内の圧力が2.15
MPaを保持するようにプロピレンをそれぞれ重合器内
に供給して、プロピレンの気相重合を150時間連続し
て行った。重合中は重合器内の重合体の保有レベルを6
0容積%に維持するように、重合器からポリマーを11
kg/hの速度で抜き出した。抜き出したポリマーを、
水蒸気を5容積%含む窒素ガスにより100℃にて30
分間接触処理し、固有粘度が1.98dl/gであるポ
リマーを得た。得られたポリマーは、(b)成分に該当
する予備活性化処理により生成したポリエチレンの含有
率0.40重量%のプロピレン系重合体組成物であり、
(a)成分のポリプロピレンの固有粘度は1.86dl
/gであった。
【0102】(4)板状発泡体の製造 このプロピレン系重合体組成物100重量部と、テトラ
キス[メチレン−3−(3’−5’−ジ−t−ブチル−
4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.3重
量部、1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン0.1重量部、ト
リス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイ
ト0.01重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量
部を混合し、次いでシリンダー設定温度230℃、バレ
ル内径40mmの造粒機を用いてペレット状の樹脂組成
物Aとした。
【0103】このペレット状の樹脂組成物A100重量
部と分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド(低密度
ポリエチレンベースのマスターバッチを使用、マスター
バッチ中のアゾジカルボンアミド含有量20重量%)2
重量部とを混合し(ドライブレンド)、Tダイ付き40
mmφ押出機(単軸押出機、L/D比32)に供給し、
180℃で溶融押出した後、表面温度80℃の冷却ロー
ルに巻き付けて冷却固化し、厚み0.75mmの板状成
形体とした。
【0104】この板状成形体を表面温度220℃の無端
ベルト間で加熱し、板状発泡体を製造した。得られた板
状発泡体の性状を表1に示す。
【0105】(実施例2、3)実施例1において、分解
型発泡剤アゾジカルボンアミドの配合量を表1に示す量
に変えたことを除いては実施例1と同一の条件で板状発
泡体を製造した。得られた発泡体の性状を表1に示す。
【0106】(実施例4) (1)遷移金属化合物触媒成分の調製 実施例1と同一条件で、チタン含有担持型触媒成分を得
た。 (2)予備活性化触媒の調製 実施例1と同一条件で、予備活性化触媒スラリーを得
た。 (3)プロピレン系重合体組成物の製造 実施例1の条件において、予備活性化触媒スラリーの供
給をチタン含有担持型触媒成分として0.61g/h、
重合器内の水素濃度のプロピレン濃度に対する比を0.
007に変えたことを除いては実施例1と同一の条件で
実施し、固有粘度が1.80dl/gのポリマーを得
た。得られたポリマーは、(b)成分に該当する予備活
性化処理により生成したポリエチレンの含有率0.39
重量%のプロピレン系重合体組成物であり、(a)成分
のポリプロピレンの固有粘度は1.69dl/gであっ
た。 (4)板状発泡体の製造 実施例1と同一条件で、板状発泡体を製造した。得られ
た板状発泡体の性状を表2に示す。
【0107】(実施例5、6)分解型発泡剤アゾジカル
ボンアミドの配合量を表2に示す量に変えたことを除い
ては実施例4と同一の条件で板状発泡体を製造した。得
られた発泡体の性状を表2に示す。
【0108】(比較例1) (1)遷移金属化合物触媒成分の調製 実施例1と同一条件で、チタン含有担持型触媒成分を得
た。 (2)予備活性化触媒の調製 実施例1において、エチレンによる予備活性化重合条件
を変化させてポリエチレンの遷移金属化合物触媒成分1
gあたりの生成量を70.3gから0.15gへ変えた
ことを除いては実施例1と同一の条件で行った。 (3)プロピレン系重合体組成物の製造 実施例1と同一条件で、固有粘度が1.86dl/gの
ポリマーを得た。得られたポリマーは、(b)成分に該
当する予備活性化処理により生成したポリエチレンの含
有率0.00085重量%のプロピレン系重合体組成物
であり、(a)成分のポリプロピレンの固有粘度は1.
86dl/gであった。 (4)板状発泡体の製造 実施例1と同一の条件で板状発泡体を製造した。得られ
た発泡体の性状を表3に示す。
【0109】(比較例2,3)比較例1において、分解
型発泡剤アゾジカルボンアミドの配合量を表3に示す量
に変えたことを除いては比較例1と同一の条件で板状発
泡体を製造した。得られた発泡体の性状を表3に示す。
【0110】(比較例4) (1)遷移金属化合物触媒成分の調製 実施例1と同一条件で、チタン含有担持型触媒成分を得
た。 (2)予備活性化触媒の調製 比較例1と同一条件で、予備活性化触媒スラリーを得
た。 (3)プロピレン系重合体組成物の製造 実施例4と同一条件で、固有粘度が1.69dl/gの
ポリマーを得た。得られたポリマーは(b)成分に該当
する予備活性化処理により生成したポリエチレンの含有
率0.00083重量%のプロピレン系重合体組成物で
あり、(a)成分のポリプロピレンの固有粘度は1.6
9dl/gであった。 (4)板状発泡体の製造 実施例1と同一の条件で板状発泡体を製造した。得られ
た発泡体の性状を表3に示す。
【0111】(実施例7) (1)遷移金属化合物触媒成分の調製 実施例1と同一条件で、チタン含有担持型触媒成分を得
た。 (2)予備活性化触媒の調製 実施例1と同一条件で、予備活性化触媒スラリーを得
た。 (3)プロピレン系重合体組成物の製造 実施例1と同一条件で、プロピレン系重合体組成物を得
た。 (4)板状発泡体の製造 このプロピレン系重合体組成物100重量部と、テトラ
キス[メチレン−3−(3’−5’−ジ−t−ブチル−
4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.3重
量部、1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン0.1重量部、ト
リス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイ
ト0.01重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量
部、低密度ポリエチレン[MFR(190℃測定)2.
5g/10min、密度0.918g/cm3]10重
量部を混合し、次いでシリンダー設定温度230℃、バ
レル内径40mmの造粒機を用いてペレット状の樹脂組
成物Aとした。このペレット状の樹脂組成物A100重
量部を用いて、実施例1と同様にして、厚み2.0mm
の板状成形体を製造し、次いで実施例1と同様にして板
状発泡体を製造した。得られた板状発泡体の性状を表4
に示す。
【0112】(実施例8)低密度ポリエチレンをエチレ
ン・プロピレンゴム[MFR(230℃測定)0.7g
/10min、プロピレン重合単位含有量23重量%]
に変えたことを除いては実施例7と同様にして板状発泡
体を製造した。得られた板状発泡体の性状を表4に示
す。
【0113】(実施例9) (1)遷移金属化合物触媒成分の調製 実施例1と同一条件で、チタン含有担持型触媒成分を得
た。 (2)予備活性化触媒の調製 実施例1と同一条件で、予備活性化触媒スラリーを得
た。 (3)プロピレン系重合体組成物の製造 実施例4と同一条件で、プロピレン系重合体組成物を得
た。 (4)板状発泡体の製造 このプロピレン系重合体組成物100重量部と、テトラ
キス[メチレン−3−(3’−5’−ジ−t−ブチル−
4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.3重
量部、1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン0.1重量部、ト
リス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイ
ト0.01重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量
部、低密度ポリエチレン[MFR(190℃測定)2.
5g/10min、密度0.918g/cm3]5重量
部、エチレン・プロピレンゴム[MFR(230℃測
定)0.7g/10min、プロピレン重合単位含有量
23重量%]10重量部、タルク(平均粒径8μm)1
5重量部を混合し、次いでシリンダー設定温度230
℃、バレル内径40mmの造粒機を用いてペレット状の
樹脂組成物Aとした。このペレット状の樹脂組成物A1
00重量部を用いて、実施例1と同様にして、厚み0.
50mmの板状成形体を製造し、次いで実施例1と同様
にして板状発泡体を製造した。得られた板状発泡体の性
状を表4に示す。
【0114】(比較例5) (1)遷移金属化合物触媒成分の調製 実施例1と同一条件で、チタン含有担持型触媒成分を得
た。 (2)予備活性化触媒の調製 比較例1と同一条件で、予備活性化触媒スラリーを得
た。 (3)プロピレン系重合体組成物の製造 比較例1と同一条件で、プロピレン系重合体組成物を得
た。 (4)板状発泡体の製造 実施例7と同一の条件で板状発泡体を製造した。得られ
た発泡体の性状を表5に示す。
【0115】(比較例6) (1)遷移金属化合物触媒成分の調製 実施例1と同一条件で、チタン含有担持型触媒成分を得
た。 (2)予備活性化触媒の調製 比較例1と同一条件で、予備活性化触媒スラリーを得
た。 (3)プロピレン系重合体組成物の製造 比較例1と同一条件で、プロピレン系重合体組成物を得
た。 (4)板状発泡体の製造 実施例8と同一の条件で板状発泡体を製造した。得られ
た発泡体の性状を表5に示す。
【0116】(比較例7) (1)遷移金属化合物触媒成分の調製 実施例1と同一条件で、チタン含有担持型触媒成分を得
た。 (2)予備活性化触媒の調製 比較例1と同一条件で、予備活性化触媒スラリーを得
た。 (3)プロピレン系重合体組成物の製造 比較例4と同一条件で、プロピレン系重合体組成物を得
た。 (4)板状発泡体の製造 実施例9と同一の条件で板状発泡体を製造した。得られ
た発泡体の性状を表5に示す。
【0117】(実施例10) (1)遷移金属化合物触媒成分の調製 実施例1と同一条件で、チタン含有担持型触媒成分を得
た。 (2)予備活性化触媒の調製 実施例1において、エチレンによる予備活性化重合条件
を変化させてポリエチレンの遷移金属化合物触媒成分1
gあたりの生成量を70.3gから45.3gへ変え、
ポリエチレンの固有粘度を30.9dl/gから32.
2dl/gへ変えたことを除いては実施例1と同一の条
件で行った。 (3)プロピレン系重合体組成物の製造 内容積500リットルの拡販機付きステンレス製重合器
を窒素置換した後、20℃においてn−ヘキサン240
リットル、トリエチルアルミニウム780ミリモル、ジ
イソプロピルジメトキシシラン130ミリモル、および
前記(2)で得た予備活性化触媒スラリーのチタン含有
担持型触媒成分4.5g相当分を重合器内に投入した。
引き続いて、60℃に昇温した後、プロピレン濃度に対
する水素濃度比およびエチレン濃度比をどちらも0.0
3になるように調整して、重合器内の気相部圧力0.7
9MPaを保持しながらプロピレン、水素およびエチレ
ンを連続的に3時間重合器内に供給しプロピレン・エチ
レンの共重合を実施した。重合時間経過後、メタノール
1リットルを重合器内に導入し、触媒失活反応を60℃
にて15分間実施し、引き続き未反応ガスを排出後、溶
媒分離、重合体の乾燥を行い、固有粘度2.18dl/
g、エチレン重合単位含有量3.4重量%のポリマー4
3.2kgを得た。得られたポリマーは(b)成分に該
当する予備活性化処理により生成したポリエチレン含有
率0.47重量%のプロピレン系重合体組成物であり、
(a)成分のプロピレン・エチレンランダム共重合体の
固有粘度は2.04dl/g、エチレン重合単位含有量
は2.9重量%であった。 (4)板状発泡体の製造 実施例1と同一条件で、ペレット状の樹脂組成物Aとし
た。分解型発泡剤アゾジカルボンアミドの配合量を10
重量部に変え、板状成形体の厚みを3.0mmに変えた
ことを除いては実施例1と同様にして板状成形体を得、
実施例1と同一条件で、板状発泡体を製造した。得ら
れた板状発泡体の性状を表6に示す。
【0118】(実施例11) (1)遷移金属化合物触媒成分の調製 実施例1と同一条件で、チタン含有担持型触媒成分を得
た。 (2)予備活性化触媒の調製 実施例10と同一条件で、予備活性化触媒スラリーを得
た。 (3)プロピレン系重合体組成物の製造 内容積500リットルの拡販機付きステンレス製容器を
窒素置換した後、20℃においてn−ヘキサン240リ
ットル、トリエチルアルミニウム780ミリモル、ジイ
ソプロピルジメトキシシラン78ミリモル、および前記
(2)で得た予備活性化触媒スラリーのチタン含有担持
型触媒成分4.5g相当分を重合器内に投入した。引き
続いて、水素50リットルを重合器内に導入し、70℃
に昇温した後、重合温度70℃の条件下、重合器内の気
相部圧力を0.79MPaに保持しながらプロピレンを
連続的に90分間、重合器内に供給し第1段階の重合工
程を実施した。第1段階の重合工程終了後、プロピレン
の供給を停止し、器内温度を30℃まで冷却し、水素と
未反応のプロピレンを放出した。この時点で重合スラリ
ーの一部を抜き出し、固有粘度の測定を行ったところ
2.08dl/gであった。器内温度を60℃に昇温
後、水素45リットルを重合器内に導入し、エチレンの
供給比率が33重量%となるようにエチレンとプロピレ
ンを2時間連続的に供給し第2段階の重合工程を実施し
た。エチレンの全供給量は6.5kgであった。重合時
間経過後、メタノール1リットルを重合器内に導入し、
触媒失活反応を60℃にて20分間実施し、引き続き未
反応ガスを排出後、溶媒分離、重合体の乾燥を行い、固
有粘度が2.28dl/g、エチレン重合単位含有量が
11.5重量%のポリマー41.7kgを得た。得られ
たポリマーは(b)成分に該当する予備活性化重合によ
るポリエチレン含有率0.49重量%のプロピレン系重
合体組成物であり、(a)成分のプロピレン・エチレン
ブロック共重合体の固有粘度は2.13dl/g、エチ
レン重合単位含有量は11.1重量%、第2段階の重合
工程で得られたポリマー中のエチレン含有量は60重量
%、また該ポリマーの全重合工程で得られたポリマー中
に占める割合は18.4重量%であった。尚、第2段階
の重合工程で得られたポリマーのエチレン重合単位含有
量と全重合工程で得られたポリマー中に占める割合は、
予めエチレン/プロピレンの反応量比を変化させた共重
合体を調製し、これを標準サンプルとして、赤外線吸収
スペクトルで検量線を作り、第2段階の重合工程のエチ
レン/プロピレン反応量比(第2段階の重合工程で得ら
れたポリマー中のエチレン重合単位含有量)を求め、更
に全ポリマー中のエチレン含有量から重合割合を算出し
た。 (4)板状発泡体の製造 実施例10と同一条件で、板状発泡体を製造した。得ら
れた板状発泡体の性状を表6に示す。
【0119】(実施例12)実施例1〜9で得られた板
状発泡体を用いて熱成形を行った。熱成形は上下450
℃のセラミックヒーター(ヒーター間距離350mm)
を有する加熱炉の中央に板状発泡体をセットし、下記の
時間加熱した後、プラグアシスト真空成形を行い、得ら
れた成型品の成形状態を観察した。成型品は開口外径1
00mm、深さ65mm、底部外径70mmのどんぶり
である。 板状発泡体の実施例番号及び加熱時間 実施例1:38秒、 実施例2:38秒、 実施例3:39秒、 実施例4:38秒、 実施例5:38秒、 実施例6:39秒、 実施例7:48秒、 実施例8:48秒、 実施例9:30秒 得られた熱成型品は、いずれも部分的に厚みが著しく薄
くなったり穴が開いたりすることのない均質度の高い成
型品となった。
【0120】(比較例8)比較例1〜7で得られた板状
発泡体を用いて熱成形を行った。熱成形は上下450℃
のセラミックヒーター(ヒーター間距離350mm)を
有する加熱炉の中央に板状発泡体をセットし、下記の時
間加熱した後、プラグアシスト真空成形を行い、得られ
た成型品の成形状態を観察した。成型品は開口外径10
0mm、深さ65mm、底部外径70mmのどんぶりで
ある。 板状発泡体の比較例番号及び加熱時間 比較例1:38秒、 比較例2:38秒、 比較例3:39秒、 比較例4:38秒、 比較例5:48秒、 比較例6:48秒、 比較例7:30秒 得られた熱成型品は、いずれもいたる所に穴が開き、ま
た穴の開いていない所では厚みが著しく薄くなったりす
る不良成型品となった。
【0121】(実施例13)T−ダイ付き押出機(押出
機シリンダー径:65mm、L/D比:28)を有する
ラミネーターを用い、実施例3で得られた板状発泡体の
片側表面に無発泡のプロピレン単独重合体(MFR4.
0)よりなる層を積層し(無発泡層の厚み:0.2m
m)、2層シートを得た。このシートを用いて熱成形を
行った。熱成形は上下450℃のセラミックヒーター
(ヒーター間距離350mm)を有する加熱炉の中央に
板状発泡体をセットし、41秒間加熱した後、プラグア
シスト真空成形を行い、開口外径100mm、深さ65
mm、底部外径70mmのどんぶりに成形した。得られ
た熱成型品は、部分的に厚みが著しく薄くなったり穴が
開いたりすることのない均質度の高い成型品であった。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】
【0125】
【表4】
【0126】
【表5】
【0127】
【表6】
【0128】
【発明の効果】本発明の板状発泡体は、発泡による気泡
の大きさが均一であり、連続気泡による粗大な空洞がほ
とんどないことから、断熱性、緩衝性等に優れ、建材・
土木資材(例えば、折板、断熱防水材、屋根下地材、設
備配管保温剤、エアコン配管保温剤、バスタブシンク断
熱材、ソーラー断熱材、養生用シート等)、産業包装資
材(例えば、精密機器包装、ガラス陶磁器包装、工業部
品包装等)、車両・船舶の内装材(例えば、自動車内装
材、船舶断熱材、車輛天井材、サンパイザー等)、工業
用資材(冷暖房機器断熱材、伝染被覆材等)、農業用
(育苗保温マット、果実包装、ハウス等の温室保温材
等)、食品容器(折箱、食品中敷、等)等に好適に用い
ることが出来る。更に、熱成形性が良好で均質度の高い
成型品が得られることから食品包装用のトレー等にも好
適に用いることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年1月28日(2000.1.2
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正内容】
【0073】本発明においては、前記プロピレン系重合
体組成物を単独で用いるのみならず、該プロピレン系重
合体組成物に他の樹脂を混合して用いることもできる。
他の樹脂としては、本発明のプロピレン系重合体組成物
以外のプロピレン系重合体、高密度ポリエチレン、中密
度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポ
リエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン・
酢酸ビニル共重合体等のエチレン系樹脂、シンジオタク
チックポリプロピレン、ブテン系樹脂、環状オレフィン
系樹脂、石油樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、
フッ素系樹脂、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・
ブテンゴム、エチレン・ヘキセンゴム、エチレン・オク
テンゴムなどのエチレン・ハイヤーオレフィンゴム等の
熱軟化性樹脂が挙げられ、1種のみならず2種以上用い
ることができる。配合量はプロピレン系重合体組成物1
00重量部に対し、最大50重量部程度が好ましい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正内容】
【0074】更に、本発明のプロピレン系重合体組成物
に対しては、上述した成分に加えて安定剤として酸化防
止剤、中和剤、耐候剤、紫外線吸収剤、その他添加剤と
して帯電防止剤、滑剤、難燃剤、着色剤、及びタルク、
炭酸カルシウム等の無機充填剤、または有機充填剤(例
えば、木粉、パルプ、古紙、合成紙、天然繊維、合成繊
維など)等を本発明の目的を損なわない範囲で配合する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F074 AA17 AA24 AA98 AB05 BA02 BA12 CA29 DA03 DA12 DA32 DA33 DA34 DA47 4J002 BB032 BB052 BB121 BB141 EQ016 FD326 GA00 GG00 GL00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(a)、(b)を主成分とするプロピ
    レン系重合体組成物を含む樹脂組成物と、加熱もしくは
    除圧により気体を発生する発泡剤を用いて板状成形体を
    製造し、該板状成形体を加熱もしくは除圧により発泡さ
    せて得られる板状発泡体。 (a)135℃のテトラリン中で測定した固有粘度が
    0.2〜10dl/gである、プロピレン単独重合体ま
    たはプロピレン重合単位を50重量%以上含有するプロ
    ピレン−オレフィン共重合体(これらをまとめて、「プ
    ロピレン(共)重合体」と称する)。 (b)(a)成分100重量部あたり、135℃のテト
    ラリン中で測定した固有粘度が15〜100dl/gで
    ある、エチレン単独重合体またはエチレン重合単位50
    重量%以上を含有するエチレン−オレフィン共重合体
    (これらをまとめて、「高分子量エチレン(共)重合
    体」と称する)0.01〜5.0重量部。
  2. 【請求項2】プロピレン系重合体組成物が、遷移金属化
    合物触媒成分、遷移金属原子1モルに対し0.01〜1
    000モルの周期表(1991年版)第1族、第2族、
    第12族および第13族に属する金属よりなる群から選
    択された金属の有機金属化合物および遷移金属原子1モ
    ルに対し0〜500モルの電子供与体の組合せからなる
    ポリオレフィン製造用触媒と、この触媒に担持された請
    求項1に記載の(b)成分である高分子量エチレン
    (共)重合体とを含む予備活性化触媒の存在下に、プロ
    ピレンを単独で重合させるかまたはプロピレンとプロピ
    レン以外のオレフィンとを共重合させて(a)成分のプ
    ロピレン(共)重合体を製造することにより得られる請
    求項1に記載の板状発泡体。
  3. 【請求項3】プロピレン系重合体組成物を含む樹脂組成
    物と、加熱により気体を発生する分解型発泡剤とを、該
    分解型発泡剤が気体を発生しない温度で溶融混練し、次
    いで板状成形体とした後、該板状成形体を、該分解型発
    泡剤が気体を発生する温度以上の温度に加熱して発泡さ
    せてなる請求項1または2に記載の板状発泡体。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3に記載の板状発泡体を熱
    成形してなる成形体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002331572A (ja) * 2001-05-08 2002-11-19 Chisso Corp 発泡ポリプロピレン樹脂シートの成形方法及び発泡成形体
JP2007204613A (ja) * 2006-02-02 2007-08-16 Japan Polypropylene Corp α−オレフィン重合用触媒およびα−オレフィン重合体の製造法
US8344037B2 (en) 2008-08-29 2013-01-01 Sumitomo Chemical Company, Limited Resin composition for cross-linked foam molding, cross-linked foam molded article, and method for production of cross-linked foam molded article

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