JP2000153594A - 二層ポリエステル樹脂シート、並びにこれを用いたポリエステル樹脂積層体及びその製造方法 - Google Patents

二層ポリエステル樹脂シート、並びにこれを用いたポリエステル樹脂積層体及びその製造方法

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JP2000153594A
JP2000153594A JP10330849A JP33084998A JP2000153594A JP 2000153594 A JP2000153594 A JP 2000153594A JP 10330849 A JP10330849 A JP 10330849A JP 33084998 A JP33084998 A JP 33084998A JP 2000153594 A JP2000153594 A JP 2000153594A
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acid
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Makoto Oshita
誠 尾下
Osamu Doi
治 土井
Yoshiaki Yonetani
義明 米谷
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一対のシート間に電子部品及び/又はその複
合部品を配置して、低温低圧で熱プレスするという簡単
な方法で積層体を得ることができる二層シート、並びに
この二層シートを用いた電子部品及び/又はその複合部
品を破損させることなく内蔵したポリエステル樹脂積層
体とその製造方法を提供する。 【解決手段】(1) PET系ポリエステル樹脂100
重量部と粒状無機化合物3〜50重量部からなるポリエ
ステル樹脂組成物の層(A)と、非晶性ポリエステル樹
脂の層(B)とからなる二層ポリエステル樹脂シート。
(2)一対の前記二層ポリエステル樹脂シートの層
(B)間に電子部品及び/又はその複合部品が挿入され
たポリエステル樹脂積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粒状無機化合物を
特定量含有するポリエチレンテレフタレート系ポリエス
テル樹脂組成物の層(A) と、非晶性ポリエステル樹脂の
層(B) とからなるシート成形性、機械的強度、耐熱性な
どに優れた二層ポリエステル樹脂シート、並びにこれを
用いた電子部品及び/又はその複合部品が挿入されたポ
リエステル樹脂積層体及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、ICモジュールを内蔵したICカ
ードが開発され、一部では実用化されている。このう
ち、一対の熱可塑性樹脂シートからなる基材の間に、接
着層を介して、ICメモリー、マイクロプロセッサ、ア
ンテナコイルなどから構成されたモジュールを挟み込
み、この状態で熱プレス加工して、一体化したICカー
ドは一般に知られており、採用例も多い。
【0003】上記の基材を形成する熱可塑性樹脂として
は、環境への負荷が少なく、しかも安価なことから、ポ
リエチレンテレフタレート(以下「PET」という。)
に代表されるPET系ポリエステル樹脂の延伸シートが
用いられている。しかし、これらのPET系ポリエステ
ル樹脂の延伸シートは、電子部品を破壊しない程度の低
温低圧の条件ではシート同志の接着性がないため、これ
らを複数枚熱プレスして積層体にする場合には、エポキ
シ系接着剤やポリエステル系ホットメルト接着剤などを
基材へ塗布したり、あるいは非晶性ポリエステル樹脂シ
ートなどの接着層を使用する必要があり、製造工程が煩
雑で、コストアップになるという問題があった。また、
異種材料を熱プレスして積層体にする場合には、その組
合せによっては、積層体にそりが発生し易いという問題
もあった。
【0004】このような問題を解決するものとして、本
発明者らは、PET系ポリエステル樹脂に、特定形状の
粒状無機化合物を特定量配合した非晶状態のPET系ポ
リエステル樹脂シートを提案した(特願平10−197897号
公報)。しかし、このPET系ポリエステル樹脂シート
二枚の間に電子部品などを挟み込んだ状態で、低温低圧
で熱プレスをして積層体とする場合には、電子部品の埋
め込み性の点で十分といえるものではなかった。
【0005】この問題を解決するものの一つとして、本
発明者らは、埋め込み性に優れる非晶性ポリエステル樹
脂シートを、一対のPET系ポリエステル樹脂シートの
間に用いることにより、電子部品及び/又はその複合部
品が挿入されたポリエステル樹脂積層体を製造する方法
を提案したが(特願平10−216344号)、製造工程が煩雑
で、コストアップになるという問題を解消できるもので
はなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点
を解決し、シート成形性、機械的強度、耐熱性などに優
れ、なおかつ低温低圧でのシート間の自己接着性や電子
部品などの埋め込み性に優れたポリエステル樹脂シー
ト、並びにこれを用いた電子部品及び/又はその複合部
品が挿入されたポリエステル樹脂積層体及びその製造方
法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討をした結果、本発明に至った
ものである。すなわち、本発明の要旨は次の通りであ
る。 (1) ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂 1
00重量部と粒状無機化合物3〜50重量部とからなるポリ
エステル樹脂組成物の層(A) と、非晶性ポリエステル樹
脂の層(B) とからなる二層ポリエステル樹脂シート。 (2) 非晶性ポリエステル樹脂の層(B) の重量割合が、シ
ート全体の5〜30%である上記(1) 記載の二層ポリエス
テル樹脂シート。 (3) 上記(1) 又は(2) 記載の一対の二層ポリエステル樹
脂シートの層(B) の間に電子部品及び/又はその複合部
品が挿入されたポリエステル樹脂積層体。 (4) 上記(1) 又は(2) 記載の一対の二層ポリエステル樹
脂シートの層(B) の間に電子部品及び/又はその複合部
品を挟み込んだ状態で、熱プレスにより一体的に積層す
ることを特徴とする上記(3) 記載のポリエステル樹脂積
層体の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0009】本発明の二層ポリエステル樹脂シートは、
ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂(以下
「PET系ポリエステル樹脂」という。) 100重量部と
粒状無機化合物3〜50重量部とからなるポリエステル樹
脂組成物の層(A) と、非晶性ポリエステル樹脂の層(B)
とからなるものである。
【0010】層(A) を構成するPET系ポリエステル樹
脂は、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単
位とするもので、エチレンテレフタレート単位を少なく
とも80モル%以上の割合で含有するものであり、極限粘
度は、0.5 〜1.0 の範囲のものが好ましい。極限粘度が
0.5よりも小さくなると、シートの機械的強度が低下
し、極限粘度が 1.0を超えるとシート成形性に劣るもの
となる。
【0011】なお、PET系ポリエステルには、上記成
分の他に、フタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウムスル
ホイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4'-
ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボ
ン酸などの芳香族ジカルボン酸成分、トリメリット酸、
ピロメリット酸及びそれらの酸無水物などの芳香族多価
カルボン酸成分、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セ
バシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂
肪族ジカルボン酸成分、1,2 −プロパンジオール、1,3
−プロパンジオール、1,2 −ブタンジオール、1,3 −ブ
タンジオール、1,4- ブタンジオール、2,3-ブタンジオ
ール、ジエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、
ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ポ
リエチレングリコールなどの脂肪族ジオール成分、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの脂肪
族多価アルコール成分、1,4-シクロヘキサンジメタノー
ル、1,4-シクロヘキサンジエタノールなどの脂環族ジオ
ール成分、4-ヒドロキシ安息香酸やε−カプロラクトン
のヒドロキシカルボン酸成分などの共重合成分が、本発
明の特性を損なわない範囲で少量(通常は20モル%未
満、好ましくは10モル%未満で含有されていてもよい。
【0012】しかし、上記のPET系ポリエステル樹脂
のみで層(A) を構成すると、機械的強度や耐熱性などに
優れた二層シートを得ることができないため、本発明に
おいては、PET系ポリエステル樹脂 100重量部に対
し、粒状無機化合物を3〜50重量部の割合で配合する必
要がある。粒状無機化合物の配合割合が3重量部よりも
少なくなると、機械的強度や耐熱性などに優れた二層シ
ートが得られない。一方、粒状無機化合物の配合割合が
50重量部を超えると、シート成形性に極めて劣るものと
なる。
【0013】上記の粒状無機化合物は特に限定されるも
のではないが、具体的には、マイカ、タルク、シリカ、
炭酸カルシウム、亜鉛華、ハラサイトクレー、カオリ
ン、塩基性炭酸マグネシウム、石英粉、二酸化チタン、
硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナなどが挙げら
れ、中でも特にマイカが好適に使用できる。
【0014】また、シートの表面平滑性をさらに向上さ
せるためには、粒状無機化合物として、平均粒径が1〜
60μmであるとともに、粒子径をその厚みで割ったアス
ペクト比が1〜100であるものを使用することが好まし
い。平均粒径が1μmよりも小さいものは入手不能であ
り、60μmを超えるとシート成形した際の表面平滑性に
劣るものとなる。アスペクト比が1より小さいものは入
手不能であり、アスペクト比が 100を超えるとシート成
形した際の表面平滑性に劣るものとなる。
【0015】なお、本発明におけるポリエステル樹脂組
成物の層(A) には、粒状無機化合物以外に、必要に応じ
て熱安定剤、酸化安定剤、光安定剤、滑剤、顔料、可塑
剤、架橋剤、耐衝撃性向上剤、難燃剤、難燃助剤、帯電
防止剤などの各種のプラスチック添加剤を、本発明の特
性を損なわない範囲で配合することもできる。
【0016】本発明における非晶性ポリエステル樹脂の
層(B) は、一対のシート同志の低温低圧での自己接着性
や、電子部品及び/又はその複合部品の埋め込み性の向
上を目的として使用されるものである。
【0017】上記の非晶性ポリエステル樹脂は、示差走
査熱量計(島津製作所社製、DSC-7)を用いて、窒素雰
囲気下で昇温速度20℃/分で測定したときの融解熱量
が、1cal/g 以下のものであり、ガラス転移点が40〜80
℃の範囲にあるものが好ましい。ガラス転移点が40℃よ
りも低くなると、シート成形性に劣るものとなり、80℃
を超えると、シート同志の低温低圧での自己接着性や、
電子部品及び/又はその複合部品の埋め込み性が低下す
る。
【0018】この非晶性ポリエステル樹脂は、例えば、
二価のアルコール成分と二価のカルボン酸成分とを、直
接エステル法やエステル交換法などの溶融重縮合法によ
る公知の方法によって製造することができるが、シート
の機械的強度や耐熱性の点から、その数平均分子量を1
0,000以上とすることが好ましい。このような分子量を
有する非晶性ポリエステル樹脂とするためには、重合時
のポリエステル溶融物の粘度を適当なところで止める方
法や、一官能のアルコールやカルボン酸を予め添加する
方法などが挙げられる。
【0019】二価のアルコール成分としては、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、
1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポ
リエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフ
ェノールSのエチレンオキサイド付加物、2-(9,10-ジヒ
ドロ-9- オキサ-10-オキサイド−ホスファフェナンスレ
ン)メチルコハク酸ビス-(2-ヒドロキシエチル)-エステ
ルなどが挙げられる。これらの原料は、必ずしも1種類
で用いる必要はなく、2種類以上を共重合させて用いて
もよい。この中で、エチレングリコールとネオペンチル
グリコールを共存させて用いることが好ましい。また、
三価以上のアルコール、例えばトリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、グリセリンなども用いるこ
とができる。
【0020】二価のカルボン酸成分としては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、
アジピン酸、イタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
アイコ酸二酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、
ドデカン二酸、シクロヘサンジカルボン酸などが挙げら
れる。これらの原料は必ずしも1種類で用いる必要はな
く、2種類以上共重合して用いてもよい。この中で、テ
レフタル酸とイソフタル酸、アジピン酸を共存させて用
いることが好ましい。また、三価以上のカルボン酸、例
えばトリメリット酸、ピロメリット酸なども用いること
ができる。さらに、上記のジメチルエステル体などのア
ルキルエステル体を用いることも可能である。また、ε
−カプロラクトン、γ−ブチロラクトンなどの環構造を
有した原料も使用することができる。
【0021】また、非晶性ポリエステル樹脂を製造する
際に使用することができる触媒は、三酸化アンチモン、
二酸化ゲルマニウム、酢酸コバルト、酢酸亜鉛、テトラ
ブチルチタネート、ジメチルスズマレエート、酢酸ナト
リウムなどが挙げられ、これらは単独で用いることもで
きるが、複数混合して使用することも可能である。ま
た、必要に応じて酸化防止剤などの添加剤を添加するこ
とも可能である。
【0022】本発明における非晶性ポリエステル樹脂の
具体例としては、ユニチカ社製のエリーテル(登録商
標)UE−3210、UE−3200などがある。UE−3210はフタル
酸、イソフタル酸、アジピン酸、ネオペンチルグリコー
ル、エチレングリコールの共重合体であり、UE−3200は
テレフタル酸、イソフタル酸、ネオペンチルグリコー
ル、エチレングリコールの共重合体である。この他に、
イーストマンケミカル社製PETGがある。PETGは、テレフ
タル酸、シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコ
ールの共重合体である。
【0023】本発明の二層ポリエステル樹脂シートを製
造するに際しては、従来公知の方法を採用することがで
きる。具体的には、二台以上の溶融押出機を備えた複層
シート成形装置を使用して、上記したPET系ポリエス
テル樹脂組成物と非晶性ポリエステル樹脂とを同時に溶
融押し出しして、二層構造のポリエステル樹脂シートと
する。
【0024】この際、PET系ポリエステル樹脂組成物
は、二軸溶融混練機によってペレット化したものを複層
シート成形装置の押出機に供給すればよいが、溶融混練
機能を備えたシート成形装置であれば、事前にペレット
化しておく必要はない。また、複層シート成形装置の設
定温度は、PET系ポリエステル樹脂の融点付近もしく
はそれ以上とすることが好ましく、通常は 240〜280 ℃
で成形ができるように設定する。さらに、PET系ポリ
エステル樹脂組成物と非晶性ポリエステル樹脂の供給量
は、それぞれの押出機の吐出量を変更することによって
調整する。
【0025】このようして得られる二層シートの非晶性
ポリエステル樹脂層の(B) の重量割合は、シート全体の
5〜30%であることが好ましい。この割合が5%未満で
は、電子部品などの埋め込み性に劣るものとなり、逆に
30%を超えると、シートの機械的強度が不十分なものと
なる。
【0026】また、二層シートの厚みは、0.1 〜1.0 mm
の範囲にあるものが成形性や表面平滑性の点で好まし
く、特にICカード用としては0.1 〜0.4 mmの範囲にあ
るものが好ましい。シートの厚みは、複層シート成形装
置の吐出量あるいはシートの引取速度を変更することに
よって調整する。
【0027】次に、本発明のポリエステル樹脂積層体及
びその製造方法について説明する。本発明のポリエステ
ル樹脂積層体は、上記のように作製された一対の二層ポ
リエステル樹脂シートの層(B) の間に電子部品及び/又
はその複合部品が挿入されたものである。
【0028】本発明における電子部品及び/又はその複
合部品(以下「電子部品類」という。」)としては、I
Cモジュール、半導体素子、抵抗器、コンデンサ、変成
器スイッチ、水晶振動子、磁気ヘッド、コネクター、液
晶素子、プリント配線板(回路基板)、アンテナ、コイ
ル、トランス、スイッチ、モータ、スイッチング電源、
小型電池、ハイブリッドIC、リードフレーム、フラッ
トケーブル、スリットボード及びこれらの任意のものを
組み合わせたものが挙げられるが、ICモジュールが特
に好ましい。また、これらの部品は、樹脂封止や樹脂被
覆されたものであってもよい。
【0029】本発明のポリエステル樹脂積層体を製造す
るには、まず初めに、一対の二層ポリエステル樹脂シー
トの層(B) の間に電子部品類を挟み込む。次に、この状
態を保ったまま、熱プレス成形機を用いて熱プレス成形
し、一体化する。
【0030】この際、熱プレス成形時の最終到達温度
は、PET系ポリエステル樹脂のガラス転移点より高
く、なおかつ挿入された電子部品類に熱的損傷を与えな
いように、通常は80〜150 ℃、好ましくは 100〜130 ℃
とする。また、昇温速度は、通常3〜50℃/分、好まし
くは5〜10℃/分とする。また、プレス最高圧力は、シ
ート同志の自己接着性と電子部品類の圧力損傷とのバラ
ンスを考慮し、通常は 0.5〜5 MPa、好ましくは1〜3
MPaとする。さらに、熱プレス成形の保持時間は、通常
は20分以下、好ましくは5〜15分とする。
【0031】このようにして得られた積層体では、二層
ポリエステル樹脂シート中の非晶性ポリエステル樹脂の
層(B) が接着剤層としての効果を発揮するので、低温低
圧でのプレス成形が可能となり、電子部品類の埋め込み
性や表面平滑性に優れたものとなる。この効果は、二層
ポリエステル樹脂シートを80℃以上の高温で前もって熱
処理した場合でも保持されるので、例えば、熱プレス前
の印刷などによって加熱されたシートについても同様の
効果が得られる。また、積層体の表裏層は、PET系ポ
リエステルを含有するポリエステル樹脂組成物の層(A)
が設けられているので、機械的強度や耐熱性などに優れ
たものとなる。従って、電子部品類を内蔵したポリエス
テル積層体を製造するに際して、従来法で採用されてい
るシートに電子部品類を内蔵するための埋め込み部を
形成する、接着剤や接着層を新たに設ける、補強用
シートを使用するという方法が必要でなく、簡単にしか
も安価に電子部品類を内蔵した積層体を製造することが
可能となる。
【0032】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。なお、実施例及び比較例における各種特性値
の評価は次の通りである。 (a) シート成形性 シートを成形する際の状況によって次の二段階で評価し
た。 ○:良好にシートを生産することができた。 ×:シート切れまたはシートに穴が発生し、良好に生産
できない。 (b) 自己接着性 積層体を構成するシート間に、カッター刃を軽く差し入
れることにより、密着力を観察し、次の二段階で評価し
た。 ○:剥離が全く発生しなかった。 ×:剥離が一部あるいは全面にわたって発生した。 (c) ICチップの状態 フェノールとテトラクロロエタンとの等重量混合物を溶
媒として、温度 100℃で1時間積層体を浸漬し、その樹
脂成分を溶解した後、ICチップの表面を実体顕微鏡で
観察することにより、その状態を次の2段階で評価し
た。 ○:表面に異常がなかった。 ×:表面に亀裂が生じていた、もしくは変形していた。 (d) 埋め込み性 積層体の表面を表面粗さ計(ミツトヨ社製、サーフテス
ト 201)を用いて、測定距離12.5mmで十点平均粗さRz
を測定し、その値によって、ICチップの埋め込み性を
次の2段階で評価した。 ○:Rzの値が15μm未満。 ×:Rzの値が15μm以上。 (e) 引張強度及び引張弾性率 ASTM−D638に記載の方法に準じて、積層体の引張強度及
び引張弾性率を測定した。
【0033】実施例1 二層シート中の層(A) を構成するポリエステル樹脂組成
物のペレットを次のように作製した。PET系ポリエス
テル樹脂として、極限粘度0.78のPET(ユニチカ社
製、SA-3215P)100 重量部、粒状無機化合物として平均
粒径13μm、アスペクト比25のマイカ(レプコ社製、M-
400 )17重量部、酸化防止剤 0.2重量部の配合比で、二
軸溶融混練機(東芝機械社製、TEM-70)を用いてペレッ
トを作製した。二軸溶融混練機での製造条件は、温度 2
50〜280 ℃、吐出量 150kg/hr 、スクリュー L/D28であ
った。また、二層シート中の層(B) を構成する非晶性ポ
リエステル樹脂としては、PETG 6763 ペレット(イース
トマンケミカル社製)を使用した。これら二種類のペレ
ットを別々に二台の押出機を備えた複層シート成形装置
に供給し、非晶性ポリエステル樹脂の層(B) の重量割合
がシート全体の20%となる、厚み0.25mmの二層シートを
作製した。複層シート成形装置での製造条件は、温度温
度 250〜280 ℃、吐出量 100kg/hr 、スクリュー L/Dは
25であった。得られた二層シートの構成と特性を表1に
示す。上記のように作製した一対の二層シートの層(B)
の間に厚み 0.2mmのICチップを配置した状態で、熱プ
レス成形機を用いて、常温から 130℃まで昇温速度10℃
/分で昇温し、温度 130℃で10分間保持した後、速やか
に常温まで冷却した。圧力は温度70℃までは0.1MPa、70
〜90℃間で徐々に2MPa まで上昇し、冷却終了まで保持
した。以上の方法により平均厚みが0.45mmの積層体を得
た。なお、熱プレス成形機の使用時には、プレス板とし
て十点平均粗さRzが6μmのアルミ合金製マット板を
用いた。得られた積層体の特性を表1に示す。
【0034】実施例2、3 二層シートの層(A) の構成が表1になるようにペレット
を作製した。それ以外は実施例1と同様にして、二層シ
ート及び積層体を作製した。得られた二層シートの構成
と特性、及び積層体の特性を表1に示す。
【0035】実施例4、5 二層シートの層(B) の重量割合が表1になるようした以
外は実施例1と同様にして、二層シート及び積層体を作
製した。得られた二層シートの構成と特性、及び積層体
の特性を表1に示す。
【0036】実施例6、7 二層シートの層(B) として、実施例6ではエリーテル U
E-3210(ユニチカ社製)、実施例7ではエリーテル UE-
3200(ユニチカ社製)を使用した。それ以外は実施例1
と同様にして、二層シート及び積層体を作製した。得ら
れた二層シートの構成と特性、及び積層体の特性を表1
に示す。
【0037】実施例8 実施例1と同様にして得られた一対の二層シートを、熱
風乾燥機内で 100℃、10分間の熱処理を行った。その
後、実施例1と同様にして積層体を作製した。得られた
二層シートの構成と特性、及び積層体の特性を表1に示
す。
【0038】実施例1〜8における二層シートの構成と
特性、及び積層体の特性を表1にまとめて示す。
【0039】
【表1】
【0040】実施例1〜8においては、二層シートの層
(A) に、PET樹脂に対するマイカの配合割合が本発明
の範囲内であるポリエステル樹脂組成物を使用し、二層
シートの層(B) に非晶性ポリエステル樹脂を使用し、層
(B) の重量割合を本発明の好ましい範囲内としたため、
シート成形性は良好で、熱プレスによって得られた積層
体の諸特性も良好であった。すなわち、積層体を構成す
るシート間の密着性は良好で、ICチップは積層体中に
良好に埋め込まれており、積層体の引張強度及び引張弾
性率も十分なものであった。
【0041】比較例1 二層シート中の層(A) の原料組成が表2に示すようにな
るようにペレットを作製した。それ以外は実施例1と同
様にして、二層シート及び積層体を作製した。得られた
二層シートの構成と特性、及び積層体の特性を表2に示
す。
【0042】比較例2 二層シートの層(A) の構成が表2になるようにペレット
を作製した。それ以外は実施例1と同様にして、シート
を作製しようとしたが、シート切れが多発し、シート成
形性が不良となった。得られた二層シートの構成と特性
を表2に示す。
【0043】比較例3、4 二層シートの層(B) の重量割合が表2になるようした以
外は実施例1と同様にして、二層シート及び積層体を作
製した。得られた二層シートの構成と特性、及び積層体
の特性を表2に示す。
【0044】比較例5 二層シートの層(B) として、非晶性ポリエステル樹脂の
代わりに、結晶性ポリエステル樹脂であるPET樹脂 S
A-3215P (ユニチカ社製)を使用した。それ以外は実施
例1と同様にして、二層シートを作製した。この二層シ
ートを使用して、ICチップを埋め込んで積層体を作製
しようとしたが、シート間に剥離が生じて、良好な積層
体が得られなかった。得られた二層シートの構成と特
性、及び積層体の特性の一部を表2に示す。
【0045】比較例1〜5における二層シートの構成と
特性、及び積層体の特性を表2にまとめて示す。
【0046】
【表2】
【0047】比較例1においては、二層シートの層(A)
に、PET樹脂に対するマイカの配合割合が本発明の下
限である3重量部よりも少なくしたポリエステル樹脂組
成物を使用したため、積層体の引張強度及び引張弾性率
が劣るものとなった。比較例2においては、二層シート
の層(A) に、PET樹脂に対するマイカの配合割合が本
発明の上限である50重量部よりも多くしたポリエステル
樹脂組成物を使用したため、二層シートを良好に生産す
ることができなかった。比較例3においては、二層シー
トの層(B) の重量割合が、本発明の好ましい下限である
5%よりも少なかったため、積層体表面に凸部が発生し
て埋め込み性が不良であり、埋め込んだICチップには
亀裂が入るという不良があった。比較例4においては、
二層シートの層(B) の重量割合が、本発明の好ましい上
限である30%よりも大きかったため、積層体の引張強度
及び引張弾性率が劣るものとなった。比較例5において
は、二層シートの層(B) に、結晶性ポリエステル樹脂を
使用したため、シート間に剥離が生じて、良好な積層体
が得られなかった。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、一対のシート間に電子
部品類を配置して、低温低圧で熱プレスするという簡単
な方法で積層体とすることができる二層シートを得るこ
とができる。また、この二層シートを用いることによ
り、新たに接着剤層を設けるなどの必要がなくなり、製
造工程が簡素化し、時間短縮やコストダウンなどが図
れ、かつ電子部品類の埋め込み性や表面平滑性に優れた
積層体を得ることができる。このため、本発明の二層ポ
リエステル樹脂シートは、一対のシートでICモジュー
ルを挟んで一体化することで得られるICカードの基材
として特に好適に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA43 AA46 AB01 AF11 AG22 AG28 AH04 AH12 BC01 4F100 AA01A AA01D AC05 AK42A AK42B AK42D AK42E AL05A AL05D AS00C BA02 BA05 BA06 BA07 BA10A BA10B DE01A DE01D GB15 GB41 JA12B JA12E YY00B YY00E 4J002 CF061 DE106 DE136 DE146 DE236 DE266 DG046 DG056 DJ016 DJ036 DJ046 DJ056 FD016 GF00 GG00 GQ05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレート系ポリエス
    テル樹脂 100重量部と粒状無機化合物3〜50重量部とか
    らなるポリエステル樹脂組成物の層(A) と、非晶性ポリ
    エステル樹脂の層(B) とからなる二層ポリエステル樹脂
    シート。
  2. 【請求項2】 非晶性ポリエステル樹脂の層(B) の重量
    割合が、シート全体の5〜30%である請求項1記載の二
    層ポリエステル樹脂シート。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の一対の二層ポリエ
    ステル樹脂シートの層(B) の間に電子部品及び/又はそ
    の複合部品が挿入されたポリエステル樹脂積層体。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の一対の二層ポリエ
    ステル樹脂シートの層(B) の間に電子部品及び/又はそ
    の複合部品を挟み込んだ状態で、熱プレスにより一体的
    に積層することを特徴とする請求項3記載のポリエステ
    ル樹脂積層体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002038380A1 (en) * 2000-11-09 2002-05-16 Toppan Printing Co., Ltd. Surface treating of polymer
JP2005254584A (ja) * 2004-03-11 2005-09-22 Tsutsunaka Plast Ind Co Ltd 導電性ポリエステル系樹脂シート

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