JP2000150975A - 超伝導検出器 - Google Patents

超伝導検出器

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JP2000150975A
JP2000150975A JP11219286A JP21928699A JP2000150975A JP 2000150975 A JP2000150975 A JP 2000150975A JP 11219286 A JP11219286 A JP 11219286A JP 21928699 A JP21928699 A JP 21928699A JP 2000150975 A JP2000150975 A JP 2000150975A
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博 仲川
Masahiro Aoyanagi
昌宏 青柳
Hiroshi Akaho
博司 赤穂
Kenji Ishibashi
健二 石橋
Kyosuke Maehata
京介 前畑
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 センサ用超伝導トンネル接合(STJ)素子のジ
ョセフソン電流を抑制するための外部磁場を正確に位置
付けし、超伝導量子干渉素子(SQUID)等他のSTJ素子集
積回路に磁気的悪影響を与えない。 【解決手段】 センサ用STJ素子と、センサ用STJ素子に
ジョセフソン電流抑制に必要な外部磁場を印加するため
の超伝導コイル若しくはスパイラル形状の超伝導インダ
クタンス線若しくは超伝導グランドプレート及びセンサ
用STJ素子の計測出力を処理するSTJ素子回路をマイクロ
ファブリケーション技術を用いて同一チップ上に集積、
作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、センサに超伝導ト
ンネル接合素子を用いた放射線、光、X線などの電磁波
を検出する超伝導検出器において、超伝導トンネル接合
(Superconducting tunnel junction、以下単にSTJと
いう。)のジョセフソン電流を抑制するために外部磁場
を印加する磁場発生装置をSTJ素子と同一チップ上に作
製した装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来この種の超伝導検出器として図9
(a)に示す検出器が知られている。81は超伝導検出
器の心臓部となる数百ミクロン角の寸法を持つSTJ素子
で、該素子に使用されている超伝導電極材料を超伝導転
移温度(Tc)の十分の一以下の温度に冷却する冷却装置
が設けられている。STJ素子は通常、数百ナノメートル
の厚さの下部電極超伝導薄膜上に1ナノメートル程度の
トンネル障壁層になる絶縁膜が形成され、その上に下部
電極超伝導薄膜と同程度の厚みを持つ上部電極超伝導薄
膜が形成されたサンドイッチ型の構成を持つ。82はST
J素子の上部電極超伝導薄膜、83は下部電極超伝導薄
膜、84はトンネル障壁絶縁層(体)、例えばAl
絶縁体層である。85,86は図示されていない定電
流源によりSTJ素子電極にバイアス電流Iを供給するバ
イアス線、87は上部、下部電極間の計測電圧Vであ
る。88は上部電極82内に照射される電磁波であるX
線である。上部電極82、下部電極83は超伝導検出器
の電磁波センサ面として機能する。
【0003】図9(b)は超伝導検出器の電流電圧特性
を示す。電磁波であるX線がセンサ面の上部電極82、
下部電極83に照射されていないときは、電流電圧特性
は線89で、接合電極間電圧はV0である。電磁波が電
極に照射されると、超伝導電子が励起、準粒子が発生し
て、電流電圧特性は線89から線90に変動し、接合電
極間の計測電圧はVからV1に低下する。この電圧変
化ΔV=V−Vにより、電磁波が検出される。
【0004】STJ素子のエネルギーギャップは半導体に
比べて約1/1000であるため、統計揺らぎが半導体
の数十分の一になり、その分、エネルギー分解能が向上
することが知られている。すでに、ニオブ超伝導金属を
用いたSTJ素子で5.9KeVの入射エネルギーを持つX線を2
7eVの感度で計測することに成功している。これは半導
体検出器の理論的限界とされる120eVをはるかに凌駕し
ている。これにより、SJT素子検出器は物性分析及び医
療診断等の超精密測定に使用されようとしている。半導
体検出器では前記理論的限界の感度で計測されている
が、SJT素子検出器では理論的限界(4eV)の感度で計
測できるまでには、なお一桁程度分解能を向上させなけ
ればならない。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】図9(b)に示す電流
電圧特性は、一定のバイアス電流を印加して、接合電極
間電圧Vが発生している条件の特性で説明したが、実
際には直流ジョセフソン効果のため、接合にジョセフソ
ン電流(臨界電流)Ic以下のバイアス電流Iを流しても
電極間に電圧Vは発生しない(図10(a)参照)。SJ
T素子を電磁波等の検出器として使用するためには、こ
のジョセフソン電流を抑制しなければならない。従来こ
の種の超伝導検出器においては、STJ素子冷却用のクラ
イオスタットの周囲に大きな磁場発生装置を設置し、SJ
T面に平行に外部磁場を印加してジョセフソン電流Icを
抑制することが考えられた(図10(b)参照)。
【0006】この外部磁場はSTJ素子のジョセフソン電
流を抑制するのが主目的あったが、われわれの実験によ
るとこの磁場はSTJのなかに共振による電流ステップ
(フィスケステップ、Fiske Step)を発生させること
がわかった(図11参照)。このため超伝導検出器のバ
イアス電流はこの電流ステップの影響を受けない値に設
定される必要がある。しかし、外部磁場とSTJとの相対
位置が微小でも変動すると、この電流ステップ自体も変
動することが確認されている。クライオスタットで超伝
導検出装置を冷却するとき、液体へリウムの沸騰やポン
プの振動によりSTJには微少な振動が生じ、上記電流ス
テップも変動する。これがエネルギー分解能の向上を阻
む大きな要因になると考えられる。そのため、外部磁界
そのものの安定化とSTJ素子と外部磁界との相対位置を
安定化させることが重要であった。
【0007】更に、STJ素子によって計測された量を計
算処理するのに使用される、超伝導量子干渉素子(Supe
rconducting Quantum Interference Devices、以下
単にSQUIDという。)やジョセフソン論理ゲートは微小
な外部磁場(マイクロガウスのレベル)の存在に大きく
影響されるため、これまでの超伝導検出器の動作に必要
な数百ガウスの外部磁場の中では動作は勿論、別チップ
にしてこれを磁気遮蔽することも困難であった。
【0008】本発明は、センサ用STJ素子に印加する外
部磁場を発生する超伝導磁界発生装置を、マイクロファ
ブリケーション技術を用いてセンサ用STJ素子に磁場を
閉じこめるように、又局在させるように形成すること
で、センサ用STJ素子と、超伝導磁気発生装置及びデジ
タル処理などを行うジョセフソン論理素子などとを同一
チップ上に実現できる超伝導検出器を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
に、本発明は、センサ用STJ素子に印加する磁場を発生
するための超伝導磁界発生装置として、マイクロファブ
リケーション技術を用いて超伝導磁気コイル若しくはス
パイラル形状の超伝導インダクタンス線及び超伝導グラ
ンドプレーンを、STJ素子が集積されている同一超伝導
チップ上に作製したものである。
【0010】本発明に使用できる超電導コイル、インダ
クタンス線としてはニオブ系や鉛合金薄膜などを始めと
する超伝導金属薄膜が使用でき、従来のニオブ系や鉛合
金系超伝導集積回路として作製することができる。
【0011】
【発明の実施の態様】図1は請求項1の超伝導検出器の
実施例である。図1(b)は上側からみた図、図1
(a)は図1(b)のAA´線の断面図、図1(c)は
図1(b)のCC´線の断面図、図1(d)は図1
(b)のDD´線の断面図である。1はSTJ素子、2は
超伝導上部電極、3は超伝導下部電極、4はトンネル障
壁絶縁体(層)、5,6は検出器のバイアス電流を流す
超伝導バイアス線、7はチップ基板、8は超伝導コイ
ル、9は集積回路を絶縁、保護する絶縁層、10は超伝
導コイル6により発生した磁場である。超伝導コイル8
は8aの下部電極部分、8bのコンタクト部分、8cの
上部電極部分、8dのコンタクト部分、8eの下部電極
部分、・・・・で構成される。
【0012】図7は本発明に適用される超伝導コイル8
の作製方法の一例で、図8はSTJ素子の作製と超伝導コ
イル作製との関連を説明する図である。最初数インチの
直径及び1mm以下の厚みを持つ一般的なシリコンや石
英、サファイアなどのウェハ基板(図7(a))7の全
面にスパッタ法や蒸着法を用いて鉛やニオブなどの超伝
導金属で製膜し、下部電極を図7(b)のように作製す
る。この超伝導薄膜の微細加工は半導体デバイス作製と
同じフォトレジストを用いたフォトリゾグラフィ技術に
より行われる。(以下、図1〜図8において同一参照数
字を付したものは同一なものである。)
【0013】超伝導コイルの下側の超伝導電極部分に相
当するフォトレジスト61を図7(c)のように形成し
た後、反応性イオンエッチングなどの方法によりドライ
エッチングを行って(62)不要な箇所の超伝導薄膜を
除去すると、図7(d)に示すように下部電極部分8a
が完成する。この上に蒸着やスパッタなどの製膜技術に
より酸化シリコン(SiO,SiO)などの絶縁層9を
形成する(同図(e))。超伝導下部電極部分8aと電
気的接続を形成する部分にフォトリゾグラフィ技術とド
ライエッチング技術により微小な穴(コンタクトホール
63)を形成する(図7(f))。この上に、超伝導下
部電極と同じ要領で超伝導薄膜を形成(同図(g))
し、フォトリゾグラフィ,ドライエッチング技術を用い
て超伝導上部電極部分8c、超伝導コンタクト部分8
b,8dを同図(h)のように形成し、超伝導コイルは
完成する。超伝導コイル間を接続する線は、下部電極作
成の工程でSTJ素子の下部電極の側部に作成する(図8
(a)参照)。超伝導コイル保護のため上面を更に絶縁
層で被覆してもよい。基板7にノイズ遮蔽,素子の接地
するためにグランドプレーンを設けても良い。
【0014】STJ素子の作製について簡単に一例を説明
する。図8(a),(b)はそれぞれ図7(d)の工
程、図6(h)の工程を上から見た図である。STJ素子
の超伝導下部電極3、バイアス線6は超伝導コイルの下
部電極8aと同時に作製される(図8(a)参照)。超
伝導下部電極上面と超伝導コイル磁場との相対的位置の
調整は、必要に応じ超伝導コイルの下部電極の上面を研
磨することにより行われる。トンネル障壁絶縁体(層)
4、超伝導上部電極2、バイアス線5の作成は超伝導コ
イル8の作製工程とは別の工程でおこなわれる。STJ素
子及び超伝導コイルの上面は露出しているが、保護のた
め絶縁層で覆っても良い。
【0015】超伝導コイル8はSTJに面し、その内径範
囲が接合面であるトンネル障壁絶縁層を包むように配置
されるので、超伝導コイルの磁場は、マイスナー効果に
よりSTJ接合面のトンネル障壁絶縁層に吸込まれ、かつ
超伝導コイルの上部電極、下部電極はSTJの接合面と平
行に作製されているので、磁場はSTJの接合面と平行に
なり、ジョセフソン電流の抑制は効率良く行われる。具
体的には、ジョセフソン電流が数十mAの場合を用いて6
keVのX線信号を検出した時の検出出力信号の電流レベ
ルは約1μAである。そのため通常ジョセフソン電流は
10−5〜10 程度に抑制する必要がある。これに
必要なSTJ面に印加される磁場の強度は、例えば、100Φ
程度(但し、Φは磁気量子=2.07×10−15Wb)で
ある。(図9(b)参照)
【0016】図1には、 超伝導コイルの電流供給につ
いて図示していないが、外部電源から直流電流を供給
し、ジョセフソン・スイッチにより超伝導コイルを短
絡、外部電源を遮断することにより超伝導コイルには電
流が流れ続ける。
【0017】図2は請求項2の超伝導検出器の実施例で
ある。超伝導コイル8は、トロイダル型構造で磁場は閉
路となっている。したがって、閉磁場はコイル内に局在
化され、超伝導コイルは磁場に影響されやすいジョセフ
ソン素子などを避けて、形成することができるので、磁
場に影響されやすいジョセフソン素子などとセンサ用ST
J素子とを同一チップに形成することができる。
【0018】図3は請求項3の超伝導検出器の実施例で
ある。図3(b)は上側からみた図であり、図3(a)
は図3(b)のAA´線の断面を下側から見た図であ
る。31は、絶縁層を介してSTJ素子1の上側に配置さ
れ、上部電極2等と磁気的に結合しているスパイラル形
状の超伝導インダクタンス線、32は絶縁層を介して基
板5の上側に配置された超伝導グランドプレーンであ
る。スパイラル形状のインダクタンス線31はそのスパ
イラル一区画をSTJ素子の上に、上部電極面2とSTJ素子
に磁場が印加される面とに平行になるように配置すれば
効果的である。
【0019】超伝導体に電流を流すとマイスナー効果に
より電流は超伝導体表面に集中する。また、電流が流れ
ている超伝導体の近くにもう一つの超伝導体が近接する
と、超伝導体の電流で誘起される磁場を打消すようにも
う一つの超伝導体にミラー(鏡像)効果による電流が流
れる。図3の実施例における発生磁場を図4により模式
的に説明する。
【0020】図4(b)は図4(a)の断X−Y線の断
面図である。インダクタンス線31に制御電流I1を矢
印の方向に流すと、マイスナー効果とミラー効果によっ
て、電流はインダクタンス線31の下面に集中して流れ
る。そのため、STJの上部電極2の上面に電流I1と逆向
きのミラー電流I2が流れる。このミラー電流はSTJの下
面を逆向きに電流Iとなって戻る。ここで、電流I1
電流I2は互いに逆向きで対抗して流れるためコイルを
形成したのと同じような効果が得られ、結果として電流
1による磁場はインダクタンス線とSTJの上部電極の間
の絶縁層(1)に閉じこめられ、図面の前方から後方方
向の磁場Hが生じる。
【0021】同様に、電流IはSTJ1のトンネル障壁
絶縁体4を介して電流Iを誘起、逆向き電流Iを介
して最終的には超伝導グランドプレーン32に電流I
が生じる。電流I,Iにより下部電極と超伝導グラ
ンドプレーン32の間の絶縁層(2)に磁場が集中し、
図面の前方から後方方向の磁場Hが生じる。また、電
流I,電流Iにより上部電極2,下部電極3の間の
トンネル障壁絶縁体4に図面の前方から後方方向に磁場
10を生じる。
【0022】電流I〜Iにより磁場は、上部電極
2、下部電極3の幅で絶縁体層(1)、(2)、トンネ
ル障壁絶縁体4内に閉じこめられ(図4(b))、絶縁
層(体)内を平行に通過し、上部電極、下部電極の出入
側面では、磁場は上方に押し上げられ水平方向成分はほ
とんどなくなり(図4(a))、インダクタンス線31
の上方における磁場は超伝導グランドプレーン32のミ
ラー効果により減少する。これらにより、超伝導グラン
ドプレーンがない場合に比べて、インダクタンス線及び
STJ素子近傍にインダクタンス線32により発生した磁
場は著しく集中するので、該近傍の外にある他のSTJ素
子には悪影響を及ぼさない。
【0023】図3,図4の実施例の構成においては、イ
ンダクタンス線31をSTJ素子1の上にスパイラル形状
で複数回帰させて、インダクタンス線が発生する磁場を
ジョセフソン電流の抑制に必要な量だけ増大させ調整し
ている。STJ素子1の上では複数のインダクタンス線3
1を平行に配置すれば印加磁場の効率が良くなる。スパ
イラル形インダクタンス線31は、図1の超伝導コイル
と同じくファブリケーション技術により作製した超伝導
薄膜のマイクロストリップ線であることは、勿論であ
る。
【0024】図5は、請求項4のセンサ用STJ素子アレ
イを使用した超伝導検出器の実施例である。図5の実施
例ではトロイダル構造の超伝導コイルにより発生する磁
場はセンサ素子である10個のSTJ素子1の各接合面に
平行に通過する閉磁路を構成している。センサ面を広く
することにより超伝導検出器の感度を良くすることがで
きる。図5のように複数のSTJ素子グループ毎に超伝導
コイルを設けることも可能である。更に、該実施例では
超伝導コイルから漏洩する磁場も極力低減できることか
ら、STJ素子からの計測信号を検出、増幅、デジタル変
換、デジタル論理信号処理などを行う量子干渉素子回路
(SQUID)やジョセフソン論理回路などの超伝導処理回
路部51を20個のセンサ用STJ素子と同一チップ上に
集積している。グランドプレーンをノイズ遮蔽,素子を
接地するために該チップ全体の基板に設けると良い。
【0025】図6は、請求項5のアレイ型超伝導検出器
の実施例で、図3のスパイラル形状インダクタンス線に
よる磁場発生装置を5×4個のセンサ用STJ素子アレイ
に適用したものである。スパイラル形状インダクタンス
線31は5×4個のセンサ用STJ素子1の上を複数回帰
させて配置されている。回帰した複数のインダクタンス
線31は、STJ素子の直ぐ上では平行である。スパイラ
ル形状インダクタンス線による磁場は図4で説明したよ
うスパイラル形状インダクタンス線31の近傍に局在化
されるので、図5の実施例と同様に超伝導回路素子とセ
ンサ用STJ素子アレイとを同一チップ上に集積配置する
ことができる。
【0026】図6の実施例では全センサ用STJ素子のバ
イアス線6は超伝導グランドプレーンに接続されてい
る。各センサ用STJ素子の電圧変化をバイアス線5の電
圧で検出し、図5の超伝導処理回路部51と同じ回路で
演算処理して、各センサ用STJ素子に照射された電磁波
等がそれぞれ計測できる。これにより、空間的な電磁波
線等の入射位置とそのエネルギーを高分解能検出するピ
クセル検出器を実現できる。
【0027】全センサ用STJ素子のバイアス線をそれぞ
れ直列に接続して、センサ用STJ素子の全電圧変化を検
出して、全センサ用STJ素子に照射される電磁波等を検
出することもできる。超伝導グランドプレーンは他のジ
ョセフソン処理回路等のSTJ素子の下に配置されてもよ
い。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、超伝導コイルをマイク
ロファブリケーション技術を用いてSTJ素子と同一チッ
プ上に形成することで、位置決めも精確になり、任意の
方向から精確に接合面に平行な外部磁場を印加すること
ができ、かつ、漏洩磁束をマイクロメータのレベル範囲
に閉じこめることが可能になり、同一チップ上に磁場に
影響されやすいジョセフソン論理素子などを集積できる
ことから、STJ素子で検出した信号のデジタル処理など
を同一チップ上に実現でき、検出器の小型化、信頼性向
上に大きく寄与できる。
【0029】従来不可能であった超伝導電磁波検出用ST
J素子とSTJ素子が発生する微弱な信号を増幅するSQUID
や信号のアナログ/デジタル(A/D)変換やその信号処
理を行うジョセフソン回路とを同一チップ上に形成する
ことが可能になり、検出器のエネルギー分解能の性能向
上および小型化が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図 1】請求項1,2の実施例を説明する図である。
【図 2】請求項1,2の閉磁路を説明する図である。
【図 3】請求項3の実施例の平面図及び断面図であ
る。
【図 4】請求項3の実施例におけるスパイラル形状イ
ンダクタンス線により発生する磁場を説明する図であ
る。
【図 5】請求項4の実施例を説明する図である。
【図 6】請求項5の実施例を説明する図である。
【図 7】請求項1,2,3の超伝導コイルを作製する
方法の一例を示す図である。
【図 8】超伝導コイルの作製とSTJ素子の作製との関
連を説明するための図である。
【図 9】超伝導検出器の原理を説明する図である。
【図10】STJの電流電圧特性を説明する図である。
【図11】フィスケステップを説明する図である。
【符号の説明】
1 超伝導トンネル接合(STJ)素子 2 上部電極 3 下部電極 4 トンネル障壁絶縁体 5,6 バイアス線 7 基板 8 超伝導コイル 9 絶縁層 10 接合面を通過する磁場 31 スパイラル形状インダクタンス線 32 超伝導グランドプレーン 50 超伝導検出器チップ 51 超伝導検出器の超伝導処理回路部 52 超伝導検出器出力 I バイアス電流 I1 制御電流
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤穂 博司 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業技 術院電子技術総合研究所内 (72)発明者 石橋 健二 福岡県福岡市東区箱崎6−10−1 九州大 学工学部エネルギー科学科内 (72)発明者 前畑 京介 福岡県福岡市東区箱崎6−10−1 九州大 学工学部エネルギー科学科内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 センサ用超伝導トンネル接合素子が形成
    されている同一の基板上に、該超伝導トンネル接合素子
    の接合面にジョセフソン電流を抑制する前記接合面に平
    行な磁場を発生する超伝導コイルを、超伝導トンネル接
    合素子を左右に包み込む構造で形成したことを特徴とす
    る超伝導検出器。
  2. 【請求項2】 超伝導コイルを発生磁場を閉路とするト
    ロイダル型構造で形成したことを特徴とする請求項1の
    超伝導検出器。
  3. 【請求項3】 センサ用超伝導トンネル接合素子が形成
    されている基板と、前記超伝導トンネル接合素子と前記
    基板との間に絶縁層を介して形成された超伝導グランド
    プレーンと、前記超伝導トンネル接合素子の接合面に平
    行に前記接合面を通過する磁場を発生させるように、前
    記超伝導トンネル接合素子の上に絶縁層を介して形成し
    たスパイラル形状インダクタンス線とを集積配置したこ
    とを特徴とする超伝導検出器。
  4. 【請求項4】 アレイ状に配置された複数のセンサ用超
    伝導トンネル接合素子と、複数の超伝導回路素子と、該
    センサ用超伝導トンネル接合素子の各接合面に平行に、
    該全接合面を通る閉磁場を発生させるように複数の該セ
    ンサ用超伝導トンネル接合素子の間に設けた超伝導コイ
    ルとをグランドプレーンを形成した同一基板上に集積し
    たことを特徴とする超伝導検出器。
  5. 【請求項5】 アレイ状に配置された複数のセンサ用超
    伝導トンネル接合素子と、複数の超伝導回路素子と、複
    数の該センサ用超伝導トンネル接合素子の各接合面に平
    行に、該全接合面を通る閉磁場を発生させるように、前
    記超伝導トンネル接合素子の上に絶縁層を介して形成し
    たスパイラル形状インダクタンス線とをグランドプレー
    ンを形成した同一基板上に集積したことを特徴とする超
    伝導検出器。
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