JP2000150288A - コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents
コンデンサ及びその製造方法Info
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- JP2000150288A JP2000150288A JP31852998A JP31852998A JP2000150288A JP 2000150288 A JP2000150288 A JP 2000150288A JP 31852998 A JP31852998 A JP 31852998A JP 31852998 A JP31852998 A JP 31852998A JP 2000150288 A JP2000150288 A JP 2000150288A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 強誘電体膜が容易に剥離することがなく、し
かもtanδが小さい大容量のコンデンサを得る。 【解決手段】 リード線15を取り付けた焼結体13を
高温且つ高圧環境下にある強アルカリ溶液中に電圧を印
加しない無電解式の水熱合成法によってPZT膜17を
形成する。PZT膜17の表面に二酸化マンガンからな
る金属酸化物層を介してポリピロールからなる導電性高
分子化合物膜21を形成してコンデンサ素子1を作る。
コンデンサ素子1の表面にカーボンペースト層3を形成
し、カーボンペースト層3の表面に銀樹脂ペーストから
なる電極層5を形成する。電極層5に他方のリード線の
端部を半田付け接続する。
かもtanδが小さい大容量のコンデンサを得る。 【解決手段】 リード線15を取り付けた焼結体13を
高温且つ高圧環境下にある強アルカリ溶液中に電圧を印
加しない無電解式の水熱合成法によってPZT膜17を
形成する。PZT膜17の表面に二酸化マンガンからな
る金属酸化物層を介してポリピロールからなる導電性高
分子化合物膜21を形成してコンデンサ素子1を作る。
コンデンサ素子1の表面にカーボンペースト層3を形成
し、カーボンペースト層3の表面に銀樹脂ペーストから
なる電極層5を形成する。電極層5に他方のリード線の
端部を半田付け接続する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンデンサ及びそ
の製造方法に関するものである。
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平9−17684号等には、チタン
を主成分とする多孔性の焼結体をコンデンサの一方の電
極として用い、この焼結体の表面上に電解式の水熱合成
法により強誘電体膜を形成したコンデンサの構造が開示
されている。三次元構造を有する多孔性の焼結体からな
る電極の表面積は、平面状の電極の表面積に比べて大き
いため、大きな容量を得ることができる。2本のリード
線を有するこの種のコンデンサは次のようにして作る。
まず、一方のリード線の端部が固定されたチタンを主成
分とする多孔性の焼結体を作る。次にこの焼結体を水酸
化ストロンチウム等の強誘電体膜を形成する材料を含有
するアルカリ溶液中に白金板からなる対向電極と共に浸
漬する。そして高温、高圧の環境下で焼結体と対向電極
とに電圧を印加して電解処理を行う電解式の水熱合成法
により焼結体の表面にSrTiO3で表されるチタン酸
ストロンチウム膜(以下、単にSTO膜という)または
BaTiO3 で表されるチタン酸バリウム膜(以下、単
にBTO膜という)からなる強誘電体膜を形成する。次
に強誘電体膜にMnO2 等の金属酸化物を介して導電性
高分子化合物膜を形成してコンデンサ素子を完成する。
そして、コンデンサ素子の表面上に導電性ペースト(カ
ーボンペーストと銀樹脂ペースト)を用いて電極層を形
成する。そして、この電極層に他方のリード線の端部を
半田付けする。
を主成分とする多孔性の焼結体をコンデンサの一方の電
極として用い、この焼結体の表面上に電解式の水熱合成
法により強誘電体膜を形成したコンデンサの構造が開示
されている。三次元構造を有する多孔性の焼結体からな
る電極の表面積は、平面状の電極の表面積に比べて大き
いため、大きな容量を得ることができる。2本のリード
線を有するこの種のコンデンサは次のようにして作る。
まず、一方のリード線の端部が固定されたチタンを主成
分とする多孔性の焼結体を作る。次にこの焼結体を水酸
化ストロンチウム等の強誘電体膜を形成する材料を含有
するアルカリ溶液中に白金板からなる対向電極と共に浸
漬する。そして高温、高圧の環境下で焼結体と対向電極
とに電圧を印加して電解処理を行う電解式の水熱合成法
により焼結体の表面にSrTiO3で表されるチタン酸
ストロンチウム膜(以下、単にSTO膜という)または
BaTiO3 で表されるチタン酸バリウム膜(以下、単
にBTO膜という)からなる強誘電体膜を形成する。次
に強誘電体膜にMnO2 等の金属酸化物を介して導電性
高分子化合物膜を形成してコンデンサ素子を完成する。
そして、コンデンサ素子の表面上に導電性ペースト(カ
ーボンペーストと銀樹脂ペースト)を用いて電極層を形
成する。そして、この電極層に他方のリード線の端部を
半田付けする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電解式の水熱合成法に
よりSTO膜やBTO膜を形成する場合には、通電によ
り焼結体の表面にTiO2 の膜を形成し、さらに数十V
の電圧の印加によりBaイオンまたはSrイオンとTi
O2 とを反応させてBaTiO3 またはSrTiO3 の
微粒子を生成し、この微粒子により所定の厚みの膜を形
成する。成膜の過程では、BaTiO3 またはSrTi
O3 の微粒子はTiO2 の膜の内部に食込むようにして
生成されるため、膜はTiO2 の膜の内部に向かって成
長する。TiO2 がなくなると膜の成長は停止する。
よりSTO膜やBTO膜を形成する場合には、通電によ
り焼結体の表面にTiO2 の膜を形成し、さらに数十V
の電圧の印加によりBaイオンまたはSrイオンとTi
O2 とを反応させてBaTiO3 またはSrTiO3 の
微粒子を生成し、この微粒子により所定の厚みの膜を形
成する。成膜の過程では、BaTiO3 またはSrTi
O3 の微粒子はTiO2 の膜の内部に食込むようにして
生成されるため、膜はTiO2 の膜の内部に向かって成
長する。TiO2 がなくなると膜の成長は停止する。
【0004】このような電解式の水熱合成法により形成
したSTO膜やBTO膜を形成する方法では、通電が必
要なために成膜に費用がかかり、結果としてコンデンサ
の価格が高くなる。また電解式の水熱合成法により形成
したSTO膜やBTO膜を有するコンデンサは、膜厚を
厚くしてもtanδが10%台と大きく高周波特性が悪
いという問題がある。また容量を大きくするために強誘
電体膜の厚みを薄くすると耐電圧特性が落ちるため、容
量をある程度犠牲にしても膜厚を厚くする必要がある。
無電解式の水熱合成法では1/100μm台の膜厚しか
得られないため、従来は電解式の水熱合成法により膜厚
を厚くしているのである。さらに電解式の水熱合成法に
より形成したSTO膜やBTO膜と焼結体との結合強度
は低く、強い衝撃が加わると強誘電体膜と焼結体との間
に剥離が発生する問題もある。
したSTO膜やBTO膜を形成する方法では、通電が必
要なために成膜に費用がかかり、結果としてコンデンサ
の価格が高くなる。また電解式の水熱合成法により形成
したSTO膜やBTO膜を有するコンデンサは、膜厚を
厚くしてもtanδが10%台と大きく高周波特性が悪
いという問題がある。また容量を大きくするために強誘
電体膜の厚みを薄くすると耐電圧特性が落ちるため、容
量をある程度犠牲にしても膜厚を厚くする必要がある。
無電解式の水熱合成法では1/100μm台の膜厚しか
得られないため、従来は電解式の水熱合成法により膜厚
を厚くしているのである。さらに電解式の水熱合成法に
より形成したSTO膜やBTO膜と焼結体との結合強度
は低く、強い衝撃が加わると強誘電体膜と焼結体との間
に剥離が発生する問題もある。
【0005】本発明の目的は、強誘電体膜が容易に剥離
することがなく、しかもtanδが小さい大容量のコン
デンサを提供することにある。
することがなく、しかもtanδが小さい大容量のコン
デンサを提供することにある。
【0006】本発明の目的は、強誘電体膜が容易に剥離
することがなく、しかもtanδが小さい大容量のコン
デンサを安価に製造できるコンデンサの製造方法を提供
することにある。
することがなく、しかもtanδが小さい大容量のコン
デンサを安価に製造できるコンデンサの製造方法を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも表
面部がチタンを主成分とする材料により形成された導電
性を有する多孔性の三次元構造体と、この三次元構造体
の表面の上に水熱合成法により形成された強誘電体膜
と、強誘電体膜上に直接または金属酸化物を介して形成
された導電性高分子化合物膜とを備えてなるコンデンサ
素子と、導電性高分子化合物膜に電気的に接続されてコ
ンデンサ素子の表面上に導電性ペーストを用いて形成さ
れた電極層とを具備するコンデンサを改良の対象にす
る。本発明では、無電解式の水熱合成法により形成され
たPb(ZrTi)O3 で表されるペロブスカイト型の
チタン酸ジルコン酸鉛により強誘電体膜(以下、単にP
ZT膜という)を形成する。ここでいう無電解式の水熱
合成法とは、被形成部材(三次元構造体)を強誘電体膜
を形成するための材料を含有する強アルカリ溶液中に浸
漬した状態で、被形成部材に通電を行わずに(電圧を印
加せずに)高温、高温中に所定時間放置して強誘電体膜
を形成する方法である。無電解式の水熱合成法では電気
を必要としないので、安価にコンデンサを製造できる。
また無電解式の水熱合成法で形成したPZT膜を強誘電
体層として備えたコンデンサに関しては、tanδが
0.005〜0.05と小さく、耐電圧特性が高いため
に、tanδを小さくしたり耐電圧特性を上げるために
PZT膜の膜厚を厚くする必要がなく、強誘電体層の厚
みを従来よりも薄くして大容量のコンデンサを得ること
ができる。さらに無電解式の水熱合成法で形成したPZ
T膜は、焼結体側に非晶質層が形成され、この非晶質層
の上に結晶質層が形成された構造を有している。そして
この非晶質層が強い接着力を示すため、コンデンサに強
い衝撃が加わっても、PZT膜と焼結体との間で剥離が
発生することはない。そのため本発明によれば十分に実
用に耐える大容量のコンデンサを安価に得ることができ
る。
面部がチタンを主成分とする材料により形成された導電
性を有する多孔性の三次元構造体と、この三次元構造体
の表面の上に水熱合成法により形成された強誘電体膜
と、強誘電体膜上に直接または金属酸化物を介して形成
された導電性高分子化合物膜とを備えてなるコンデンサ
素子と、導電性高分子化合物膜に電気的に接続されてコ
ンデンサ素子の表面上に導電性ペーストを用いて形成さ
れた電極層とを具備するコンデンサを改良の対象にす
る。本発明では、無電解式の水熱合成法により形成され
たPb(ZrTi)O3 で表されるペロブスカイト型の
チタン酸ジルコン酸鉛により強誘電体膜(以下、単にP
ZT膜という)を形成する。ここでいう無電解式の水熱
合成法とは、被形成部材(三次元構造体)を強誘電体膜
を形成するための材料を含有する強アルカリ溶液中に浸
漬した状態で、被形成部材に通電を行わずに(電圧を印
加せずに)高温、高温中に所定時間放置して強誘電体膜
を形成する方法である。無電解式の水熱合成法では電気
を必要としないので、安価にコンデンサを製造できる。
また無電解式の水熱合成法で形成したPZT膜を強誘電
体層として備えたコンデンサに関しては、tanδが
0.005〜0.05と小さく、耐電圧特性が高いため
に、tanδを小さくしたり耐電圧特性を上げるために
PZT膜の膜厚を厚くする必要がなく、強誘電体層の厚
みを従来よりも薄くして大容量のコンデンサを得ること
ができる。さらに無電解式の水熱合成法で形成したPZ
T膜は、焼結体側に非晶質層が形成され、この非晶質層
の上に結晶質層が形成された構造を有している。そして
この非晶質層が強い接着力を示すため、コンデンサに強
い衝撃が加わっても、PZT膜と焼結体との間で剥離が
発生することはない。そのため本発明によれば十分に実
用に耐える大容量のコンデンサを安価に得ることができ
る。
【0008】PZT膜を形成するには、焼結体を、高温
且つ高圧環境下にあるPb化合物,Zr化合物,Ti化
合物を含む強アルカリ溶液中に無電解状態で浸漬する水
熱合成法により形成する。PZT膜は、無電解式の水熱
合成法でも所望の厚みに形成できる。
且つ高圧環境下にあるPb化合物,Zr化合物,Ti化
合物を含む強アルカリ溶液中に無電解状態で浸漬する水
熱合成法により形成する。PZT膜は、無電解式の水熱
合成法でも所望の厚みに形成できる。
【0009】また、導電性高分子化合物膜としては、ポ
リピロール等を用いることができる。ポリピロールは、
三次元構造体内の細部に浸透して膜を形成できる上、コ
ンデンサのtanδを小さくできる利点がある。
リピロール等を用いることができる。ポリピロールは、
三次元構造体内の細部に浸透して膜を形成できる上、コ
ンデンサのtanδを小さくできる利点がある。
【0010】また、三次元構造体としては、焼結体を用
いるのが好ましい。焼結体は細孔部が小さいため、電極
の表面積を大きくでき、大きな容量を得ることができ
る。
いるのが好ましい。焼結体は細孔部が小さいため、電極
の表面積を大きくでき、大きな容量を得ることができ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態のコ
ンデンサの概略断面図である。本図に示すように、この
コンデンサは、コンデンサ素子1と、コンデンサ素子1
の表面上に形成されたカーボンペースト層3及び半田付
け電極層5と、半田付け電極層5に半田接続部7により
一端が接続されたリード線9と、樹脂外装部11とを有
している。この例では、カーボンペースト層3と半田付
け電極層5とにより、導電性ペーストを用いて形成され
る電極層が構成されている。コンデンサ素子1は、図2
の部分拡大図に示すように、チタンを主成分とする多孔
性の焼結体(三次元構造体)13を有しており、この焼
結体13の内部には、チタン製のリード線15の端部が
埋設されて固定されている。なお図2では、焼結体13
の多孔部を誇張して描いている。そして、焼結体13の
表面全体及びリード線15の焼結体13側の一部分上に
は、図3の部分拡大図に示すように、Pb(ZrTi)
O3 で表されるペロブスカイト型のチタン酸ジルコン酸
鉛からなる強誘電体膜(PZT膜)17が無電解式の水
熱合成法により形成されている。この強誘電体膜17の
表面には、二酸化マンガンからなる金属酸化物層19を
介してポリピロールからなる導電性高分子化合物膜21
が形成されている(図2では強誘電体膜17,金属酸化
物層19及び導電性高分子化合物膜21は一括して太線
で示している)。
を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態のコ
ンデンサの概略断面図である。本図に示すように、この
コンデンサは、コンデンサ素子1と、コンデンサ素子1
の表面上に形成されたカーボンペースト層3及び半田付
け電極層5と、半田付け電極層5に半田接続部7により
一端が接続されたリード線9と、樹脂外装部11とを有
している。この例では、カーボンペースト層3と半田付
け電極層5とにより、導電性ペーストを用いて形成され
る電極層が構成されている。コンデンサ素子1は、図2
の部分拡大図に示すように、チタンを主成分とする多孔
性の焼結体(三次元構造体)13を有しており、この焼
結体13の内部には、チタン製のリード線15の端部が
埋設されて固定されている。なお図2では、焼結体13
の多孔部を誇張して描いている。そして、焼結体13の
表面全体及びリード線15の焼結体13側の一部分上に
は、図3の部分拡大図に示すように、Pb(ZrTi)
O3 で表されるペロブスカイト型のチタン酸ジルコン酸
鉛からなる強誘電体膜(PZT膜)17が無電解式の水
熱合成法により形成されている。この強誘電体膜17の
表面には、二酸化マンガンからなる金属酸化物層19を
介してポリピロールからなる導電性高分子化合物膜21
が形成されている(図2では強誘電体膜17,金属酸化
物層19及び導電性高分子化合物膜21は一括して太線
で示している)。
【0012】本実施の形態のコンデンサは次のようにし
て製造した。まず、リード線15の端部が埋設されるよ
うに、平均粒子径50μmのチタン粉末を用いて円柱形
状に焼結体13を成形した。
て製造した。まず、リード線15の端部が埋設されるよ
うに、平均粒子径50μmのチタン粉末を用いて円柱形
状に焼結体13を成形した。
【0013】次に、焼結体13の表面上に無電解式の水
熱合成法により結晶性のPZT膜(強誘電体膜)17を
次のようにして形成した。まず、Pb(NO3 )2 水溶
液16mmol、ZrOCl2 水溶液8mmol、Ti
Cl4 水溶液0.08mmol及びKOH水溶液0.3
mmolの強アルカリの混合溶液中にリード線15を取
り付けた焼結体13を浸漬する。そして、180℃,1
0気圧中で12時間の水熱処理を行い、Pb(ZrT
i)O3 の結晶核を生成した。次にPb(NO3)2 水
溶液16mmol、ZrOCl2 水溶液8.32mmo
l、TiCl4 水溶液7.68mmol及びKOH水溶
液2.24mmolの強アルカリの混合溶液(溶液合計
640ml)中に結晶核を生成した焼結体13を浸漬
し、160℃中で10時間の水熱処理を行ってKを含有
するPb(ZrTi)O3 の膜を形成した。その後、純
水中で3分間の超音波洗浄を2回行ってから、1mol
/lの酢酸水溶液中で3分間の超音波洗浄を2回行い、
更に純水中で3分間の超音波洗浄を2回行った。次にこ
れを100℃で12時間の乾燥を行いPZT膜17の形
成を終えた。このようにして形成されたPZT膜17の
厚みは、10μmであり、誘電率εは約800であっ
た。
熱合成法により結晶性のPZT膜(強誘電体膜)17を
次のようにして形成した。まず、Pb(NO3 )2 水溶
液16mmol、ZrOCl2 水溶液8mmol、Ti
Cl4 水溶液0.08mmol及びKOH水溶液0.3
mmolの強アルカリの混合溶液中にリード線15を取
り付けた焼結体13を浸漬する。そして、180℃,1
0気圧中で12時間の水熱処理を行い、Pb(ZrT
i)O3 の結晶核を生成した。次にPb(NO3)2 水
溶液16mmol、ZrOCl2 水溶液8.32mmo
l、TiCl4 水溶液7.68mmol及びKOH水溶
液2.24mmolの強アルカリの混合溶液(溶液合計
640ml)中に結晶核を生成した焼結体13を浸漬
し、160℃中で10時間の水熱処理を行ってKを含有
するPb(ZrTi)O3 の膜を形成した。その後、純
水中で3分間の超音波洗浄を2回行ってから、1mol
/lの酢酸水溶液中で3分間の超音波洗浄を2回行い、
更に純水中で3分間の超音波洗浄を2回行った。次にこ
れを100℃で12時間の乾燥を行いPZT膜17の形
成を終えた。このようにして形成されたPZT膜17の
厚みは、10μmであり、誘電率εは約800であっ
た。
【0014】次にPZT膜17を形成した焼結体13を
硝酸マンガン溶液中に浸漬した後、温度200〜400
℃で熱処理する工程を5回繰り返し行って、PZT膜1
7の表面に二酸化マンガンからなる金属酸化物層19を
形成した。この金属酸化物層19は、PZT膜17と後
に形成される導電性高分子化合物膜21との間との接合
を良好なものとするために形成されるものである。
硝酸マンガン溶液中に浸漬した後、温度200〜400
℃で熱処理する工程を5回繰り返し行って、PZT膜1
7の表面に二酸化マンガンからなる金属酸化物層19を
形成した。この金属酸化物層19は、PZT膜17と後
に形成される導電性高分子化合物膜21との間との接合
を良好なものとするために形成されるものである。
【0015】次に、支持電解質とピロールモノマーとを
溶解した電解液中に金属酸化物層19等を形成した焼結
体13と対向電極とを浸漬し、焼結体13を陽極として
電解重合を行って、金属酸化物層19の表面上にポリピ
ロールからなる導電性高分子化合物膜21を形成してコ
ンデンサ素子1を完成した。また、金属酸化物層19を
用いることなく導電性高分子化合物膜21をPZT膜1
7の上に直接形成することもできる。
溶解した電解液中に金属酸化物層19等を形成した焼結
体13と対向電極とを浸漬し、焼結体13を陽極として
電解重合を行って、金属酸化物層19の表面上にポリピ
ロールからなる導電性高分子化合物膜21を形成してコ
ンデンサ素子1を完成した。また、金属酸化物層19を
用いることなく導電性高分子化合物膜21をPZT膜1
7の上に直接形成することもできる。
【0016】次に導電性高分子化合物膜21に電気的に
接続するように、コンデンサ素子1の表面にカーボンペ
ーストを塗布した後に加熱してカーボンペーストを硬化
させてカーボンペースト層3を形成した。カーボンペー
ストは、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂にカーボン粉
末を混練したもので、焼成温度は250℃〜300℃で
ある。このカーボンペースト層3は、後に形成する銀樹
脂ペーストからなる半田付け電極層5がマイグレーショ
ンによりポリピロール中に拡散していくのを防ぐ役割
と、半田付け電極層5を形成する際の熱から導電性高分
子化合物膜21を保護する役割りとを果たしている。次
にカーボンペースト層3の表面にフェノール樹脂等の熱
硬化性樹脂にAg粉末を混練してなる銀樹脂ペーストを
塗布した後に加熱して銀樹脂ペーストを加熱硬化させて
半田付け電極層5を形成した。次に半田付け電極層5に
リード線9の端部を半田接続部7により半田付け接続し
た。そして、各部を合成樹脂で覆って樹脂外装部11を
形成してコンデンサを完成した。
接続するように、コンデンサ素子1の表面にカーボンペ
ーストを塗布した後に加熱してカーボンペーストを硬化
させてカーボンペースト層3を形成した。カーボンペー
ストは、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂にカーボン粉
末を混練したもので、焼成温度は250℃〜300℃で
ある。このカーボンペースト層3は、後に形成する銀樹
脂ペーストからなる半田付け電極層5がマイグレーショ
ンによりポリピロール中に拡散していくのを防ぐ役割
と、半田付け電極層5を形成する際の熱から導電性高分
子化合物膜21を保護する役割りとを果たしている。次
にカーボンペースト層3の表面にフェノール樹脂等の熱
硬化性樹脂にAg粉末を混練してなる銀樹脂ペーストを
塗布した後に加熱して銀樹脂ペーストを加熱硬化させて
半田付け電極層5を形成した。次に半田付け電極層5に
リード線9の端部を半田接続部7により半田付け接続し
た。そして、各部を合成樹脂で覆って樹脂外装部11を
形成してコンデンサを完成した。
【0017】本例によれば、多孔性の焼結体の表面に強
誘電体膜を直接形成することにより、複雑な工程を必要
とせずに、容易に小形で大容量のコンデンサが得られ
る。また、強誘電体膜がペロブスカイト型複合酸化物を
主成分とするため、単一酸化物に比べて誘電率が大き
く、より大容量のコンデンサを得られる。また、強誘電
体膜の表面に形成された導電性高分子化合物膜はポリピ
ロールからなるため、従来のMnO2 等の金属酸化物の
みからなるコンデンサに比べて等価直列抵抗が小さく、
高周波特性に優れている。
誘電体膜を直接形成することにより、複雑な工程を必要
とせずに、容易に小形で大容量のコンデンサが得られ
る。また、強誘電体膜がペロブスカイト型複合酸化物を
主成分とするため、単一酸化物に比べて誘電率が大き
く、より大容量のコンデンサを得られる。また、強誘電
体膜の表面に形成された導電性高分子化合物膜はポリピ
ロールからなるため、従来のMnO2 等の金属酸化物の
みからなるコンデンサに比べて等価直列抵抗が小さく、
高周波特性に優れている。
【0018】また、上記例では、カーボンペースト層3
及び金属酸化物層19をそれぞれ形成したが、これらの
層は、必要に応じて形成すればよく、必ずしも形成する
必要はない。
及び金属酸化物層19をそれぞれ形成したが、これらの
層は、必要に応じて形成すればよく、必ずしも形成する
必要はない。
【0019】また、上記例では、三次元構造体としてチ
タンを主成分とする焼結体を用いたが、三次元構造体と
して発泡金属体等の他の三次元構造体を用いても構わな
い。また、三次元構造体にチタンを含まないものを用い
る場合には、三次元構造体の表面にCVD洗浄によりT
iO2 の膜を形成しておけばよい。
タンを主成分とする焼結体を用いたが、三次元構造体と
して発泡金属体等の他の三次元構造体を用いても構わな
い。また、三次元構造体にチタンを含まないものを用い
る場合には、三次元構造体の表面にCVD洗浄によりT
iO2 の膜を形成しておけばよい。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、電気を必要としない無
電解式の水熱合成法で強誘電体膜を形成するので、安価
にコンデンサを製造できる。また無電解式の水熱合成法
で形成したPZT膜を強誘電体層として備えたコンデン
サに関しては、tanδが0.005〜0.05と小さ
く、耐電圧特性が高いために、tanδを小さくしたり
耐電圧特性を上げるためにPZT膜の膜厚を厚くする必
要がなく、強誘電体層の厚みを従来よりも薄くして大容
量のコンデンサを得ることができる。さらに無電解式の
水熱合成法で形成したPZT膜は、焼結体側に非晶質層
が形成され、この非晶質層の上に結晶質層が形成された
構造を有している。そしてこの非晶質層が強い接着力を
示すため、コンデンサに強い衝撃が加わっても、PZT
膜と焼結体との間で剥離が発生することはない。そのた
め本発明によれば十分に実用に耐える大容量のコンデン
サを安価に得ることができる。
電解式の水熱合成法で強誘電体膜を形成するので、安価
にコンデンサを製造できる。また無電解式の水熱合成法
で形成したPZT膜を強誘電体層として備えたコンデン
サに関しては、tanδが0.005〜0.05と小さ
く、耐電圧特性が高いために、tanδを小さくしたり
耐電圧特性を上げるためにPZT膜の膜厚を厚くする必
要がなく、強誘電体層の厚みを従来よりも薄くして大容
量のコンデンサを得ることができる。さらに無電解式の
水熱合成法で形成したPZT膜は、焼結体側に非晶質層
が形成され、この非晶質層の上に結晶質層が形成された
構造を有している。そしてこの非晶質層が強い接着力を
示すため、コンデンサに強い衝撃が加わっても、PZT
膜と焼結体との間で剥離が発生することはない。そのた
め本発明によれば十分に実用に耐える大容量のコンデン
サを安価に得ることができる。
【図1】本発明の実施の形態のコンデンサの概略断面図
である。
である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
1 コンデンサ素子 3 カーボンペースト層 5 電極層 13 焼結体 17 強誘電体膜(PZT膜) 21 導電性高分子化合物膜
Claims (4)
- 【請求項1】 少なくとも表面部がチタンを主成分とす
る材料により形成された導電性を有する多孔性の三次元
構造体と、前記三次元構造体の表面の上に水熱合成法に
より形成された強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に直接
または金属酸化物を介して形成された導電性高分子化合
物膜とを備えてなるコンデンサ素子と、 前記導電性高分子化合物膜に電気的に接続されて前記コ
ンデンサ素子の表面上に導電性ペーストを用いて形成さ
れた電極層とを具備するコンデンサにおいて、 前記強誘電体膜が無電解式の水熱合成法により形成され
たPb(ZrTi)O3 で表されるペロブスカイト型の
チタン酸ジルコン酸鉛により形成されていることを特徴
とするコンデンサ。 - 【請求項2】 前記導電性高分子化合物膜は、ポリピロ
ールにより形成されていることを特徴とする請求項1に
記載のコンデンサ。 - 【請求項3】 前記三次元構造体が焼結体であることを
特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ。 - 【請求項4】 少なくとも表面部がチタンを主成分とす
る材料により形成された導電性を有する多孔性の焼結体
と、前記焼結体の表面の上に水熱合成法により形成され
たPb(ZrTi)O3 で表されるペロブスカイト型の
チタン酸ジルコン酸鉛により形成されている強誘電体膜
と、前記強誘電体膜上に直接または金属酸化物を介して
形成された導電性高分子化合物膜とを備えてなるコンデ
ンサ素子と、 前記導電性高分子化合物膜に電気的に接続されて前記コ
ンデンサ素子の表面上に導電性ペーストを用いて形成さ
れた電極層とを具備するコンデンサの製造方法におい
て、 高温且つ高圧環境下にあるPb化合物,Zr化合物及び
Ti化合物からなる強誘電体形成材料を含む強アルカリ
溶液中に前記焼結体を浸漬し、無電解式の水熱合成法に
より前記強誘電体膜を形成することを特徴とするコンデ
ンサの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31852998A JP2000150288A (ja) | 1998-11-10 | 1998-11-10 | コンデンサ及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31852998A JP2000150288A (ja) | 1998-11-10 | 1998-11-10 | コンデンサ及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000150288A true JP2000150288A (ja) | 2000-05-30 |
Family
ID=18100141
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31852998A Withdrawn JP2000150288A (ja) | 1998-11-10 | 1998-11-10 | コンデンサ及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000150288A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6963157B2 (en) * | 2002-01-21 | 2005-11-08 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | Lead zirconate titanate fiber, smart board using lead zirconate titanate fiber, actuator utilizing smart board, and sensor utilizing smart board |
CN104458859A (zh) * | 2014-12-12 | 2015-03-25 | 上海大学 | La0.88Sr0.12MnO3纳米纤维修饰的碳糊电极及其制备方法和应用 |
-
1998
- 1998-11-10 JP JP31852998A patent/JP2000150288A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6963157B2 (en) * | 2002-01-21 | 2005-11-08 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | Lead zirconate titanate fiber, smart board using lead zirconate titanate fiber, actuator utilizing smart board, and sensor utilizing smart board |
CN104458859A (zh) * | 2014-12-12 | 2015-03-25 | 上海大学 | La0.88Sr0.12MnO3纳米纤维修饰的碳糊电极及其制备方法和应用 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060110 |