JP2000150138A - 高周波加熱装置 - Google Patents

高周波加熱装置

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JP2000150138A
JP2000150138A JP32055198A JP32055198A JP2000150138A JP 2000150138 A JP2000150138 A JP 2000150138A JP 32055198 A JP32055198 A JP 32055198A JP 32055198 A JP32055198 A JP 32055198A JP 2000150138 A JP2000150138 A JP 2000150138A
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dielectric layer
microwave
heated
heating chamber
reflected wave
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JP32055198A
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Tomotaka Nobue
等隆 信江
Akiyoshi Fukumoto
明美 福本
Koji Yoshino
浩二 吉野
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は高周波加熱装置に関するものであ
り、開閉手段に設けた誘電体層でのマイクロ波反射に基
づき加熱室内にマイクロ波の多重伝搬を生じさせて被加
熱物の加熱の均一化を促進するものである。 【解決手段】 加熱室10内に被加熱物を出し入れする
開閉手段11と、開閉手段内に設けたマイクロ波を実質
的に遮蔽する境界面20に対して所定の間隙を有して被
加熱物に対面する側に設けた誘電体層21とを備え、誘
電体層での反射に基いて加熱室内に保有エネルギが分配
されたマイクロ波の多重伝搬を生じさせて被加熱物の加
熱の均一化を促進させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波エネル
ギを用いて被加熱物を誘電加熱する高周波加熱装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の高周波加熱装置は、加熱室内に収
納された被加熱物の加熱の均一化を図る手段に電波攪拌
方式、被加熱物回転方式、複数給電方式あるいは凹凸形
状壁面の加熱室などを利用している。
【0003】電波攪拌方式は、加熱室内に設けた金属性
の板状羽根を回転駆動させる構成からなる。この方式
は、加熱室を形成する金属境界面や被加熱物の表面で反
射を繰り返しながら伝搬しているマイクロ波が金属性の
板状羽根によっても反射する。この金属性の板状羽根か
らのマイクロ波の反射は、板状羽根が無い場合と比べ
て、加熱室内でのマイクロ波の伝搬経路を増加させるも
のであり、被加熱物全体にマイクロ波を乱反射させて被
加熱物の加熱の均一化を促進させるものである。
【0004】被加熱物回転方式は、被加熱物を載置する
載置皿を回転駆動させる構成からなる。この方式では、
加熱室構造および被加熱物の種類や形状等により決定さ
れた加熱室内に生じるマイクロ波の伝搬分布に対して、
被加熱物の方を移動させ被加熱物全体にマイクロ波を伝
搬させ被加熱物の加熱の均一化を促進させるものであ
る。
【0005】複数給電方式は、加熱室を形成する金属境
界面の複数の個所から加熱室内にマイクロ波を給電する
構成からなる。この方式は、単一の給電と比べて最も大
きな特徴は、位相の異なった複数のマイクロ波が加熱室
内に給電されることである。加熱室内に位相の異なるマ
イクロ波を伝搬させることにより、上記電波攪拌方式と
同様に加熱室内にマイクロ波の乱反射状態を生じさせる
ものである。
【0006】凹凸形状壁面の加熱室構造方式は、加熱室
を形成する金属境界面に凹凸を設けた構成からなる。こ
の方式は、凹凸を有する金属境界面によってマイクロ波
を乱反射させるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
電波攪拌方式の加熱室は、金属性板状羽根によって反射
されるマイクロ波を加熱室内に均一に乱反射させること
に物理的限界がある。これは、マイクロ波の伝搬速度に
対して、金属性板状羽根の回転速度があまりに遅いこと
によるものであり、金属性板状羽根の回転速度を制御し
たとしても被加熱物全体に均一にマイクロ波を伝搬させ
ることは非常に難しい。従って、被加熱物の種類や量に
よっては、不測の不均一な加熱分布が生じることを抑制
することが難しい問題を有していた。
【0008】また、被加熱物回転方式は、被加熱物の種
類や量によって加熱室内に生じる電磁場分布は自ずと決
まってしまうため、一つの被加熱物に対応して生じた電
磁場分布がその被加熱物を均一に加熱することに対して
不適であってもその電磁波分布を変更することができな
いという問題を有していた。
【0009】複数給電方式は、理想的な挙動としては前
述したとおりであるが、一つの給電部から放射されるマ
イクロ波の挙動が他の給電部から放射されたマイクロ波
からの影響を受ける。このため、給電部が複数個あって
も、その複数の給電構成によって決定される特定のマイ
クロ波伝搬が加熱室内に生じるので、被加熱物の種類や
量によっては、不測の不均一な加熱分布が生じることを
抑制することが難しい問題を有していた。
【0010】さらに、凹凸形状壁面の加熱室構造は被加
熱物の加熱の均一化を促進できうる乱反射を加熱室内に
生じさせるには、壁面全体にいわゆるゴルフボールのデ
ィンプルのような凹凸を配するとともにそのディンプル
の深さ寸法あるいは突出寸法を使用するマイクロ波の波
長に対して無視できない寸法、例えば1/10波長寸法
以上、にすることが必要である。この結果、加熱室の構
成が複雑となり実用性に難しい構成を強いられる課題を
有していた。
【0011】本発明は加熱室内でのマイクロ波の伝搬に
工夫を施し、被加熱物の加熱の均一化を促進する高周波
加熱装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の高周波加熱装置
は上記課題を解決するために、被加熱物を収納する加熱
室と、前記加熱室に給電するマイクロ波を発生させるマ
イクロ波発生手段と、前記加熱室内に被加熱物を出し入
れするために開閉される開閉手段とを備え、前記開閉手
段は給電されたマイクロ波を実質的に遮蔽する境界面と
前記境界面と所定の間隙を有し、かつ前記被加熱物に対
面する側に設けた誘電体層とを備えている。
【0013】本発明によれば、被加熱物が収納された加
熱室を伝搬しているマイクロ波が開閉手段の誘電体層に
入射すると、誘電体層の表面で反射波と透過波に別れ
る。この時の反射波(以下、一次反射波と称する)は再
び被加熱物が収納された加熱室内空間を伝搬し、被加熱
物に入射した時、被加熱物を誘電加熱する。また、この
時の透過波は誘電体層を伝搬して開閉手段のマイクロ波
を実質的に遮蔽する境界面側に伝搬しその境界面に入射
する。この境界面に入射したマイクロ波は、ほぼすべて
が反射し、再び誘電体層を伝搬および透過し透過波(以
下、透過後反射波と称する)として被加熱物が収納され
た加熱室内空間を伝搬する。そして、被加熱物に入射し
た時、被加熱物を誘電加熱する。
【0014】被加熱物が収納された加熱室を伝搬する一
次反射波と透過後反射波とは、異なる経路を伝搬すると
ともにそれぞれの波が所定の位相差をもって伝搬する。
この一次反射波と透過後反射波の伝搬経路の間隔および
位相差は、誘電体層の層の実効比誘電率および層形状に
基づいて決定することができる。
【0015】一次反射波と透過後反射波との伝搬形態を
最適にすることで加熱室内の被加熱物が収納された空間
には保有するマイクロ波エネルギがそれぞれに分配され
たマイクロ波を多重伝搬させることができ、被加熱物全
体の加熱の均一化を促進させることができる。
【0016】なお、誘電体層内でのマイクロ波伝搬にお
いて、誘電体層内から加熱室側にマイクロ波が伝搬する
時にも反射と透過が発生する。被加熱物が収納された加
熱室から誘電体層の内部に透過し、誘電体層の他方の境
界層面で反射した波は、誘電体層内部を伝搬し、誘電体
層の一方の境界層面を透過して透過波(以下、二次反射
波と称する)として再び被加熱物が収納された加熱室内
空間を伝搬する。また、このような反射と透過は、マイ
クロ波エネルギがなくなるまで無限に繰り返されるが、
説明の便宜上、上述の説明方法を以下の説明文にも使用
する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の高周波加熱装置は請求項
1に記載のように、被加熱物を収納する加熱室と、前記
加熱室に給電するマイクロ波を発生させるマイクロ波発
生手段と、前記加熱室内に被加熱物を出し入れするため
に開閉される開閉手段とを備え、前記開閉手段はマイク
ロ波を実質的に遮蔽する境界面と前記境界面と所定の間
隙を有するとともに開閉手段の前記被加熱物に対面する
側に設けた誘電体層とを備えている。
【0018】そして、開閉手段に設けた誘電体層は、入
射したマイクロ波を反射波と透過波に分ける。一方、開
閉手段に設けたマイクロ波を実質的に遮蔽する境界面
は、マイクロ波を実質的に閉じ込めるために金属材料か
ら構成されているので、入射したマイクロ波をほぼすべ
て反射する。
【0019】これにより、加熱室内を伝搬するマイクロ
波が誘電体層に入射した時、一部が反射して一次反射波
となる。残りの一部は誘電体層の内部に透過した後、金
属材料の境界面で反射して再び誘電体層を伝搬した後、
透過後反射波となる。一次反射波と透過後反射波とは、
異なる伝搬経路とし、さらにお互いの波に位相差を生じ
させることができる。このような一次反射波と透過後反
射波とを伝搬させることにより、被加熱物が収納された
加熱室内に保有エネルギがそれぞれに分配されたマイク
ロ波を多重伝搬させることができ、被加熱物の加熱の均
一化を促進することができる。
【0020】また、本発明の高周波加熱装置は請求項2
に記載のように、誘電体層は、透視可能な材料にて構成
している。
【0021】これにより、従来のこの種の高周波加熱装
置と同様に加熱室内に収納され誘電加熱される被加熱物
の加熱進行状況を開閉手段のパンチング窓を介して確認
できる。
【0022】また、本発明の高周波加熱装置は請求項3
に記載のように、誘電体層は、その層厚さを変化させた
形状にて構成している。
【0023】そして、被加熱物が収納された加熱室側か
ら誘電体層に入射するマイクロ波の一次反射波と透過後
反射波との間の位相差あるいは伝搬空間を誘電体層への
入射場所に応じて変化させることができる。この結果、
被加熱物を収納した加熱室内にはより複雑な多重伝搬が
形成でき被加熱物の加熱の均一化を促進することができ
る。
【0024】また、本発明の高周波加熱装置は請求項4
に記載のように、誘電体層の層厚さは、周辺に対して中
央部を厚くした構成としている。
【0025】これにより、誘電体層からの透過後反射波
の伝搬経路を加熱室内の中央側に移動させることがで
き、被加熱物へのマイクロ波入射を促進して加熱を促進
させることができる。
【0026】また、本発明の高周波加熱装置は請求項5
に記載のように、誘電体層の少なくとも一方の層面を球
面形状としている。
【0027】これにより、誘電体層からの透過後反射波
の伝搬経路の加熱室内の中央側あるいは周辺側への移動
を層厚さを変えた場合に比べてさらに集中的に移動させ
ることができ、被加熱物の形状に応じたマイクロ波入射
をより促進して被加熱物の加熱を促進させることができ
る。
【0028】また、本発明の高周波加熱装置は請求項6
に記載のように、誘電体層は、開閉手段に着脱できる構
成としている。
【0029】そして、被加熱物の形状や種類に応じて最
適な形状の誘電体層を装着することで加熱室内でのマイ
クロ波伝搬を選択できる。たとえば、層厚さが一様な誘
電体層、層厚さを変化させている誘電体層あるいは球面
形状の層面を有する誘電体層を被加熱物に応じて選択装
着することができる。これにより、被加熱物に応じて最
適なマイクロ波伝搬を加熱室内に形成でき、被加熱物を
最適に均一加熱することができる。
【0030】また、本発明の高周波加熱装置は請求項7
に記載のように、誘電体層は、開閉手段に表裏のいずれ
からも着脱できる構成としている。
【0031】そして、被加熱物の形状や種類に応じて加
熱室内でのマイクロ波伝搬を選択できる。たとえば、上
記の球面形状の層面を被加熱物側に配置した場合は加熱
室の中央部にマイクロ波を集中でき、反対に球面形状の
層面を被加熱物と反対側に配置した場合は加熱室の周辺
部にマイクロ波を分散させることができる。これによ
り、被加熱物に応じて最適なマイクロ波伝搬を加熱室内
に形成でき、被加熱物を最適に均一加熱することができ
る。
【0032】また、本発明の高周波加熱装置は請求項8
に記載のように、誘電体層は、低誘電損失でかつ耐熱性
の材料から構成している。
【0033】そして、誘電体層を伝搬するときのマイク
ロ波エネルギの損失を低減し被加熱物へのマイクロ波エ
ネルギの供給効率を高く維持することができる。さらに
は、耐熱性の材料で誘電体層を構成することにより、た
とえばオーブンレンジのように加熱室内空間を高温状態
にして被加熱物を加熱調理する場合の用途にも本発明の
誘電体層の適用範囲を拡大することができる。
【0034】また、本発明の高周波加熱装置は請求項9
に記載のように、誘電体層は、給電されるマイクロ波の
周波数帯における実効比誘電率が3以上で15以下の非
金属材料で構成している。
【0035】そして、誘電体層の実効比誘電率を上記の
範囲に選択することで、一次反射波と透過後反射波とが
それぞれ被加熱物を誘電加熱することが可能なエネルギ
量を有するようにマイクロ波エネルギを分配させること
ができる。
【0036】これにより、加熱室内に発生させる複数の
電磁場分布のエネルギ分配を最適設計できるので、さま
ざまな被加熱物の加熱の均一化を実現することができ
る。
【0037】また、本発明の高周波加熱装置は請求項1
0に記載のように、誘電体層は、多孔質セラミックス材
料からなる格子状構造体としている。
【0038】そして、多孔質セラミックス材料からなる
基材の比誘電率が15より大きい場合でも、その基材を
用いて格子状構造体にすることで、空気層と基材との混
成構造により誘電体層の実効比誘電率を所望範囲の値に
設定することができ、非金属材料の選択の範囲を拡大し
設計自由度を高めることができる。
【0039】また本発明の高周波加熱装置は請求項11
に記載のように、誘電体層の層厚さは、前記誘電体層内
を伝搬するマイクロ波の実効波長に対して1/4波長未
満としている。
【0040】そして、一次反射波と透過後反射波との伝
搬経路の間隔を1/4波長未満とすることにより、一次
反射波と透過後反射波との被加熱物への入射位置の分布
を相互に補完して被加熱物の加熱の均一化を促進するこ
とができる。
【0041】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を用いて
説明する。
【0042】(実施例1)図1は本発明の実施例1の高
周波加熱装置の構成図である。
【0043】図1において、10は被加熱物を収納する
加熱室、11は加熱室10内に被加熱物を出し入れする
ために開閉される開閉手段、12は加熱室10内に給電
するマイクロ波を発生するマイクロ波発生手段である。
マイクロ波発生手段12から発生されたマイクロ波は導
波管13を伝搬して給電部14から加熱室10内に給電
される。加熱室10は給電されたマイクロ波を実質的に
その内部に閉じ込めるために金属材料から構成された金
属境界面にて実質的に閉じられている。
【0044】この金属境界面は、右側壁面15、左側壁
面16、奥壁面17、底部壁面18、上部壁面(図示さ
れていない)、および開閉手段11より構成されてい
る。そしてこの開閉手段11はマイクロ波を実質的に遮
蔽するとともに加熱室10側を透視できる開孔率からな
る開孔部19、たとえばパンチング窓あるいはメッシュ
窓、を有する境界面20およびこの境界面に溶接組立さ
れるとともに誘電体層21を固定支持する誘電体層支持
部材22から構成されている。
【0045】また、誘電体層支持部材22の外周部には
電波遮蔽部材23を配設している。この電波遮蔽部材2
3は、誘電体層支持部材22および開閉手段11と対面
させて加熱室10側に設けた金属フランジ部24と機械
的構造体を形成し、金属フランジ部24と誘電体層支持
部材22との間隙から漏洩しようとするマイクロ波を遮
蔽させている。
【0046】25は電波遮蔽部材23を覆うカバー、2
6は開閉手段11を形どる筐体、27は操作パネル、2
8は装置筐体である。また29は被加熱物を載置し回転
駆動される載置台である。なお、この載置台29は必須
部材ではない。
【0047】誘電体層21は、200℃以上の耐熱温度
を有し給電されるマイクロ波帯で低誘電損失の特性を有
する樹脂材料あるいは無機材料の非金属材料を基材と
し、その基材を所定の層厚さにそれぞれ成形あるいは焼
成成形加工して構成されている。またこの誘電体層21
は、好ましくは透視可能な材料、たとえば耐熱ガラスで
構成される。そして、この誘電体21は、開孔部19を
有する金属材料からなる境界面20と所定の間隙Gをも
って対向配設されている。この誘電体層21はその周縁
に突起させて設けた支持部を誘電体層支持部材22側に
設けたはめあい孔に挿入組立する方法あるいは支持ガイ
ド(図示していない)を用いて誘電体層21の周縁を支
持固定する方法により所定位置に支持固定される。
【0048】次に本発明の誘電体層のマイクロ波に係る
挙動について図2および図3を用いて説明する。
【0049】図2は誘電体層の存在下でのマイクロ波の
伝搬状態を示す図、図3は誘電体層へのマイクロ波の入
射角度に対する一次反射波と透過後反射波のエネルギ分
配を示す特性図である。
【0050】図2において、30は層厚さがt(mm)の誘
電体層である。31は開閉手段に設けた境界面20に対
応する金属面であり、誘電体層30との間隙をG(mm)と
して示している。また、32は誘電体層30に入射角度
θ1でもって入射するマイクロ波である。このマイクロ
波は、誘電体層30の一方の層面33にて反射波34と
透過波35に分かれる。この時の反射波34を以下では
一次反射波と称することにする。また、誘電体層30内
に透過した透過波35は、誘電体層30の他方の層面3
6にて再び反射波37と透過波38に分かれる。この時
の反射波37は、誘電体層30内を伝搬して一方の層面
33にてさらに反射波39と透過波40に分かれる。こ
の時の透過波40を以下では二次反射波と称することに
する。
【0051】一方、誘電体層30の他方の層面36にて
透過波38となったマイクロ波は、間隙Gの空間を伝搬
して金属面31に入射する。この金属面31では、伝搬
してきたマイクロ波はほぼすべて反射し、反射波41と
なって誘電体層30の層面36に入射し、反射波42と
透過波43に分かれる。この時の透過波43は誘電体層
30内を伝搬して一方の層面33にてさらに反射波44
と透過波45に分かれる。この時の透過波45を以下で
は透過後反射波と称することにする。
【0052】層面33にて反射した反射波39や反射波
44は、それが保有するマイクロ波エネルギを消滅する
まで上述した伝搬特性の挙動を繰り返す。そして誘電体
層30の他方の層面36で反射し、層面33にて透過す
る波46、47を二次反射波に含めることにする。ま
た、誘電体層30の他方の層面36で透過し、間隙Gの
空間を伝搬した後、再び誘電体層30内を伝搬して層面
33にて透過した波48、49を透過後反射波に含める
ことにする。
【0053】次に反射波と透過波とが保有するマイクロ
波エネルギについて説明する。簡単化のために、誘電体
層30の誘電損失特性に基づくマイクロ波損失を無視す
ることにし、自由空間の比誘電率を1、誘電体層30の
使用するマイクロ波の周波数帯における実効比誘電率を
ε2とする。誘電体層30の層面における電圧反射係数
Γは(1)式で示される。
【0054】なお、角度θ2は透過波の透過角度であ
る。
【0055】
【数1】
【0056】ここで、
【0057】
【数2】
【0058】また、入射波のエネルギをP(Watts)と
し、一次反射波のエネルギをP1、二次反射波のエネル
ギをP2および透過後反射波のエネルギをP3とする
と、それぞれの波が保有するマイクロ波エネルギはにて
表すことができる。
【0059】
【数3】
【0060】
【数4】
【0061】
【数5】
【0062】上記の(2)、(3)および(4)式を用
いて、各反射波のエネルギ量を計算した結果を図3
(a)、(b)に示す。図3(a)、(b)はそれぞれ
入射角度θ1が0度と45度の場合を示している。また
50は一次反射波、51は二次反射波、52は透過後反
射波の特性をそれぞれ示している。実効比誘電率が1の
場合は誘電体層がない場合に相当し、透過後反射波しか
生じない。誘電体層を設けることで一次反射波を生じ、
また誘電体層の実効比誘電率を大きくすると一次反射波
が有するマイクロ波エネルギが増加し、反対に透過後反
射波のマイクロ波エネルギが減少する。さらに、入射角
度が45度の場合、実効比誘電率を約7に選択すること
で、一次反射波と透過後反射波とがそれぞれに保有する
マイクロ波エネルギ量を等しくすることが可能となる。
【0063】以上のように作用するマイクロ波伝搬を基
に加熱室内での誘電体層の作用について図4および図5
を用いて説明する。
【0064】図4は図1の加熱室内におけるマイクロ波
伝搬の一例を示す図である。図4において、マイクロ波
発生手段12が発生したマイクロ波は導波管13を伝搬
して給電部14から加熱室10内に放射される。53
は、給電部14から放射されたマイクロ波の進行波の一
つを示す。このマイクロ波53は、誘電体層21に入射
するときその層面で一次反射波54と透過波55に分か
れる。透過波55は誘電体層21内を伝搬し誘電体層2
1の他方の層面で反射波(図示していない)と透過波5
6に分かれる。この透過波56は開閉手段のマイクロ波
を実質的に遮蔽する境界面20に入射する。この境界面
20でこの透過波56は完全反射した後、誘電体層21
側へ反射され誘電体層21に入射する。誘電体層21内
に透過した波は誘電体層21内を伝搬しもう一方の層面
を透過した波が加熱室内側に伝搬する。57がこの波で
あり、透過後反射波である。加熱室内10を伝搬する一
次反射波54および透過後反射波57は、それぞれ加熱
室10を形成する各壁面で完全反射され、再び誘電体層
21に入射する。
【0065】なお、図4においては一次反射波54が誘
電体層21に再び入射した時の誘電体層21内への透過
波58は誘電体層21のもう一方の層面の位置に配設さ
れた誘電体層支持部材22の影響を受けて、もう一方の
層面でマイクロ波は完全反射することになる。この現象
は、加熱室10内に収納された被加熱物に対面する開閉
手段11の領域全体に誘電体層21を配設していないこ
とに起因する。しかし、このような現象によって加熱室
10内を伝搬するマイクロ波の割合は極めて少ないた
め、加熱室10内を伝搬するマイクロ波のほとんどを一
次反射波と透過後反射波にて占有させることができ、加
熱室10内のマイクロ波を多重伝搬させることができ
る。この結果、マイクロ波エネルギを分散保有するマイ
クロ波の多重伝搬により被加熱物の均一加熱を促進させ
ることができる。
【0066】次に図5について説明する。図5は、加熱
室10内での強電界の発生メカニズムを説明する図であ
る。
【0067】図4に示した一次反射波54と透過後反射
波57の進行波の相対関係をそれぞれ進行波59、60
にて示す。透過後反射波57の進行波60は、誘電体層
21を透過して伝搬してきたので進行波の先頭60aは
一次反射波54の進行波59の先頭59aに比べて進行
位置が遅れた状態として描いている。
【0068】一方、マイクロ波発生手段12から発生さ
れたマイクロ波は給電部14から加熱室10内の様々な
方向に放射される。図4に示したマイクロ波53とは異
なる方向へ放射されるマイクロ波61を付加して以下の
説明をする。
【0069】マイクロ波61は加熱室10を形成する各
壁面で完全反射して伝搬した後、誘電体層21に入射す
る。そして一次反射波62と透過波に分かれる。一次反
射波62の進行波を63とする。透過波は誘電体層21
内を伝搬しさらに透過した波は開閉手段の境界面20に
おいて完全反射する。この反射した波が再び加熱室10
側に透過すると透過後反射波64になる。
【0070】ここで、加熱室10内の特定位置として一
次反射波54の進行方向の点Aを選択して考える。点A
における一次反射波54の電界強度はプラスの最大値で
ある。また一次反射波62の電界強度はプラスの最大値
である。従って、点Aにおける電界強度は二つの一次反
射波54、62の合成によって形成された結果、電界強
度がプラスの最大となる。同様に透過後反射波57上の
点Bを選択すると、点Bにおける電界強度は透過後反射
波57と一次反射波62の合成によって形成された結
果、ほぼ零になる。この点Aおよび点Bを含むように被
加熱物が収納されている場合、上記の状態においては、
被加熱物の点Aの位置が強く誘電加熱されるが点Bの位
置はほとんど加熱されない。
【0071】この点Aのような電界強度がプラスの最大
(あるいはマイナスの最大)になる位置は、加熱室10
内のマイクロ波伝搬を多重化させているので、時間経過
に伴って加熱室内の至る場所で生じる。この結果被加熱
物はマイクロ波エネルギによって均一に加熱される。
【0072】以上に説明したように、開閉手段に設けた
誘電体層21は、入射したマイクロ波を反射波と透過波
に分ける。一方、開閉手段に設けたマイクロ波を実質的
に遮蔽する境界面20は、マイクロ波を実質的に閉じ込
めるために金属材料から構成されているので、入射した
マイクロ波をほぼすべて反射する。これにより、加熱室
10内を伝搬するマイクロ波が誘電体層21に入射した
時、一部が反射して一次反射波となる。残りの一部は誘
電体層21の内部に透過した後、金属材料の境界面20
で反射して再び誘電体層21を伝搬した後、透過後反射
波となる。被加熱物を収納する加熱室10内での一次反
射波と透過後反射波とは、異なる空間を伝搬することに
なるとともにお互いの伝搬経路の近接する空間では位相
差を生じることになる。このような一次反射波と透過後
反射波とを伝搬させることにより、被加熱物が収納され
た加熱室内に保有エネルギがそれぞれに分配されたマイ
クロ波を多重伝搬させることができ、被加熱物の加熱の
均一化を促進することができる。
【0073】また、誘電体層21を透視可能な材料にて
構成したことにより、従来のこの種の高周波加熱装置と
同様に加熱室内に収納され誘電加熱される被加熱物の加
熱進行状況を開閉手段の開孔窓19を介して確認でき
る。
【0074】さらにまた、本発明の主目的である被加熱
物の加熱の均一化を促進することに対応させたマイクロ
波の多重伝搬の実現には、誘電体層21の実効比誘電率
の選択が重要な因子であることが上述した内容から理解
されるであろう。以下にこの実効比誘電率の選択につい
て本発明が提供する内容を説明する。
【0075】多重伝搬を発生させるには、開閉手段11
のマイクロ波を実質的に遮蔽する金属境界面で反射する
透過後反射波と誘電体21層の層面で反射する一次反射
波とにそれぞれ適当なマイクロ波エネルギ量を分配させ
ることである。
【0076】そして、多重伝搬効用を最大限に作用させ
る一つの目安は、一次反射波と透過後反射波とがそれぞ
れに保有するマイクロ波エネルギ量を等量にすることで
ある。このエネルギ量等配分に関しては、図3より誘電
体層21へのマイクロ波入射角度によって、エネルギ量
を等配分する実効比誘電率の値が変わることが示唆され
ている。しかし、千差万別の表面形状を有する被加熱物
を加熱の対象と考えた場合、被加熱物の表面で反射した
反射波もいずれは誘電体層21に入射することになるた
め、誘電体層21へのマイクロ波の入射角度は最小値の
0度を含めて実効比誘電率を選択し、また誘電体層21
は少なからずのマイクロ波損失を生じて透過後反射波の
エネルギは現実には減少することと被加熱物から反射波
としてより大きな入射角度の存在を考慮して、実効比誘
電率の最小値として3以上を選択している。また、被加
熱物表面での反射を考慮し、入射角度の最小値が0度、
また誘電体層の誘電損失発生を考慮すると、実効比誘電
率の最大値として15以下の範囲、好ましくは10以下
を選択する。
【0077】また、開閉手段はマイクロ波を遮蔽する境
界面と誘電体層との間に空気層を持った構造体としたこ
とにより、開閉手段の断熱性能を高くすることができ
る。従って、本発明の開閉手段構成をオーブンレンジに
適用することでオーブン加熱調理の利便性を高めること
ができる。
【0078】(実施例2)次に本発明の実施例2を図6
を用いて以下に説明する。図6は本発明の実施例2を示
す高周波加熱装置の部分構成図である。
【0079】実施例2が実施例1と相違する構成は、開
閉手段に設けた誘電体層の層厚さを変化させた形状構成
としたことである。すなわち、誘電体層65はその中央
部の層厚さを周辺部に比べて厚く構成している。
【0080】この構成により、誘電体層65に入射した
マイクロ波の一次反射波66と透過後反射波67との伝
搬間隔Wが不均一になる。つまり、層厚さが厚い領域に
入射したマイクロ波の一次反射波と透過後反射波との伝
搬間隔は、層厚さが薄い領域に入射したマイクロ波によ
って形成される一次反射波と透過後反射波との伝搬間隔
に比べてその間隔が狭くなる。図示したように中央部の
層厚さを周辺部に比べて厚くすることで誘電体層65か
ら反射して伝搬するマイクロ波を加熱室10の中央部側
に集めることができる。この結果、加熱室10の中央部
に収納された被加熱物の加熱の均一化と同時に加熱それ
自体の促進を実行させることができる。
【0081】また一方、誘電体層の中央部の層厚さを周
辺部に比べて薄く構成することにより、加熱室内でのマ
イクロ波伝搬を加熱室の壁面側方向に分散させることが
できる。誘電体層の層厚さを変化させた構成により、誘
電体層からの透過後反射波の伝搬経路を加熱室内の中央
側あるいは周辺側に移動させることができ、被加熱物の
形状に応じて被加熱物へのマイクロ波入射を促進して加
熱を促進させることができる。
【0082】(実施例3)次に本発明の実施例3につい
て図7を用いて説明する。実施例3が上記した実施例と
比べて相違する点は、誘電体層の少なくとも一方の層面
を球面形状に構成したことである。すなわち、図7にお
いて誘電体層68は一方の層面を球面形状としている。
図においては、開閉手段のマイクロ波を実質的に遮蔽す
る境界面20側に配設した誘電体層68の層面を球面形
状としている。
【0083】この構成により、誘電体層68に入射した
マイクロ波の一次反射波69と透過後反射波70との伝
搬間隔は、誘電体層68から遠ざかるにつれて拡大して
いく。つまり、加熱室10内を伝搬するマイクロ波を加
熱室10内全体に分散させるように作用させることがで
きる。この結果、大きな形状からなる被加熱物、たとえ
ば冷凍ピザ、あるいは加熱室全体に分散した被加熱物、
たとえば冷凍餃子、冷凍たこ焼きなどのような被加熱物
の加熱の均一化を促進させることができる。
【0084】また一方で、球面形状の層面を被加熱物側
に設けることにより誘電体層からの透過後反射波を加熱
室の中央部側に集中させることができる。誘電体層の層
面を球面形状構成とすることにより、誘電体層からの透
過後反射波の伝搬経路の加熱室内の中央側あるいは周辺
側への移動を実施例2に示した誘電体層の層厚さを変え
た場合に比べてさらに集中的に移動させることができ、
被加熱物の形状に応じマイクロ波入射の集中あるいは分
散をより促進して被加熱物の加熱を促進させることがで
きる。
【0085】(実施例4)次に本発明の実施例4につい
て説明する。実施例4は、上記した各実施例構成の誘電
体層を開閉手段に着脱できる構成としている。
【0086】これにより、被加熱物の形状や種類に応じ
て最適な形状の誘電体層を装着することで加熱室内のマ
イクロ波伝搬を選択できる。すなわち、層厚さが一様な
誘電体層、層厚さを変化させている誘電体層あるいは球
面形状の層面を有する誘電体層を被加熱物に応じて選択
装着することができる。この結果、被加熱物の種類・量
・形状に応じて最適なマイクロ波伝搬を加熱室内に形成
でき、被加熱物を最適に均一加熱することができる。
【0087】(実施例5)次に本発明の実施例5につい
て説明する。実施例5は開閉手段から着脱できる誘電体
層を開閉手段に表裏のいずれからも装着できる構成とし
ている。
【0088】そして、被加熱物の形状や種類に応じて加
熱室内でのマイクロ波伝搬を選択できる。たとえば、実
施例3で示した球面形状の層面を被加熱物側に配置した
場合は加熱室の中央部にマイクロ波を集中でき、反対に
球面形状の層面を被加熱物と反対側に配置した場合は加
熱室の周辺部にマイクロ波を分散させることができる。
これにより、単一の誘電体層部材を利用して、被加熱物
に応じて最適なマイクロ波伝搬を加熱室内に形成でき、
被加熱物を最適に均一加熱する利便性を提供することが
できる。
【0089】(実施例6)次に本発明の実施例6につい
て説明する。この実施例は誘電体層を格子状構造体とし
たものである。
【0090】誘電体層がモノリシック形状な場合、層厚
さは、誘電体層内を伝搬するマイクロ波の実効伝搬波長
に対して1/4波長未満で構成する。
【0091】一方格子状構成の誘電体層の場合、層厚さ
を大きくし機械的強度を高めることができる。また、多
孔質セラミックス材料からなる基材の比誘電率が15よ
り大きい場合でも、その基材を用いて格子状構造体にす
ることで、空気層と基材との混成構造により誘電体層の
層の実効比誘電率を所望範囲の値に設定することがで
き、非金属材料の選択の範囲を拡大し設計自由度を高め
ることができる。
【0092】(実施例7)次に本発明の実施例7につい
て説明する。ここでは誘電体層の層厚さの取扱いについ
ての説明である。
【0093】誘電体層を存在させたことによって誘電体
層から被加熱物側に伝搬するマイクロ波の挙動をもっと
も端的に変化させるには一次反射波と透過後反射波の位
相差を180度とすることである。このことは、誘電体
層にマイクロ波を垂直入射(入射角度が0度)させた場
合を考えれば容易に理解される。すなわち垂直入射の場
合、透過後反射波と誘電体層に180度遅れて入射した
波とが同位相となり、二つの波は重畳されることにな
る。このような一次反射波と透過後反射波との重畳は本
発明のエネルギ量分配の趣旨に反する。従って、被加熱
物の加熱を均一化させる観点からの多重伝搬による最大
の変化を与えうる基本的条件は、一次反射波と透過後反
射波とに90度の位相差を生じさせることである。
【0094】被加熱物を収納した空間を共振させること
なく多重伝搬を生じさせるには、一次反射波と透過後反
射波との位相差を確実に形成させることが必要である。
このために、本発明の実施例7は開閉手段のマイクロ波
を実質的に遮蔽する境界面と誘電体層とが形成する間隙
寸法Gに誘電体層の層厚さtを加算した寸法を、加熱室
内に給電され誘電体層および自由空間を伝搬するマイク
ロ波の実効波長に対して1/4波長未満としている。
【0095】なお、本発明では、上述の位相差を1/4
波長未満の寸法に構成すればよいが、本発明の多重伝搬
効用を最大限に実現するためにより好ましくは、略1/
8波長の寸法がよい。
【0096】なお、上述の各実施例に示した構成部材お
よびその構造はそれぞれを組み合わせて実施させること
ができる。
【0097】
【発明の効果】以上のように本発明によれば以下の効果
を有する。
【0098】(1)本発明の請求項1の高周波加熱装置
によれば、開閉手段に設けた誘電体層により一次反射波
と透過後反射波とを形成させるとともに互いの伝搬経路
を異ならし、さらにお互いの波に位相差を生じさせるこ
とができる。このような一次反射波と透過後反射波とを
伝搬させることにより、被加熱物が収納された加熱室内
に保有エネルギがそれぞれに分配されたマイクロ波を多
重伝搬させることができ、被加熱物の加熱の均一化を促
進することができる。
【0099】(2)本発明の請求項2の高周波加熱装置
によれば、誘電体層を透視可能な材料にて構成している
ので、従来のこの種の高周波加熱装置と同様に加熱室内
に収納され誘電加熱される被加熱物の加熱進行状況を開
閉手段のパンチング窓を介して確認できる。
【0100】(3)本発明の請求項3の高周波加熱装置
によれば、誘電体層は、その層厚さを変化させた形状に
て構成しているので、被加熱物が収納された加熱室側か
ら誘電体層に入射するマイクロ波の一次反射波と透過後
反射波との間の位相差あるいは伝搬空間を誘電体層への
入射場所に応じて変化させることができる。この結果、
被加熱物を収納した加熱室内にはより複雑な多重伝搬が
形成でき被加熱物の加熱の均一化を促進することができ
る。
【0101】(4)本発明の請求項4の高周波加熱装置
によれば、誘電体層の層厚さは、周辺に対して中央部を
厚くした構成としたことより、誘電体層からの透過後反
射波の伝搬経路を加熱室内の中央側に移動させることが
でき、被加熱物へのマイクロ波入射を促進して加熱を促
進させることができる。
【0102】(5)本発明の請求項5の高周波加熱装置
によれば、誘電体層の少なくとも一方の層面を球面形状
としたことにより、誘電体層からの透過後反射波の伝搬
経路を加熱室内の中央側あるいは周辺側への移動を層厚
さを変えた場合に比べてさらに集中的に移動させること
ができ、被加熱物の形状に応じたマイクロ波入射をより
促進して被加熱物の加熱を促進させることができる。
【0103】(6)本発明の請求項6の高周波加熱装置
によれば、誘電体層は、開閉手段に着脱できる構成とし
たことにより、被加熱物の形状や種類に応じて誘電体層
の形状を変えることで加熱室内でのマイクロ波伝搬を選
択できる。たとえば、層厚さが一様な誘電体層、層厚さ
を変化させている誘電体層あるいは球面形状の層面を有
する誘電体層を被加熱物に応じて選択装着することがで
きる。これにより、被加熱物に応じて最適なマイクロ波
伝搬を加熱室内に形成でき、被加熱物を最適に均一加熱
することができる。
【0104】(7)本発明の請求項7の高周波加熱装置
によれば、誘電体層は、開閉手段に表裏のいずれからも
着脱できる構成としている。そして、被加熱物の形状や
種類に応じて加熱室内でのマイクロ波伝搬を選択でき
る。たとえば、上記の球面形状の層面を被加熱物側に配
置した場合は加熱室の中央部にマイクロ波を集中でき、
反対に球面形状の層面を被加熱物と反対側に配置した場
合は加熱室の周辺部にマイクロ波を分散させることがで
きる。これにより、被加熱物に応じて最適なマイクロ波
伝搬を加熱室内に形成でき、被加熱物を最適に均一加熱
することができる。
【0105】(8)本発明の請求項8の高周波加熱装置
によれば、誘電体層は、低誘電損失でかつ耐熱性の材料
から構成しているので、誘電体層を伝搬するときのマイ
クロ波エネルギの損失を低減し被加熱物へのマイクロ波
エネルギの供給効率を高く維持することができる。さら
には、耐熱性の材料で誘電体層を構成することにより、
たとえばオーブンレンジのように加熱室内空間を高温状
態にして被加熱物を加熱調理する場合の用途にも本発明
の誘電体層の適用範囲を拡大することができる。
【0106】(9)本発明の請求項9の高周波加熱装置
によれば、誘電体層は、給電されるマイクロ波の周波数
帯における実効比誘電率が3以上で15以下の非金属材
料で構成したことにより、一次反射波と透過後反射波と
がそれぞれ被加熱物を誘電加熱することが可能なエネル
ギ量を有するようにマイクロ波エネルギを分配させるこ
とができるので、加熱室内に発生させる複数の電磁場分
布のエネルギ分配を最適設計でき、さまざまな被加熱物
の加熱の均一化を実現することができる。
【0107】(10)本発明の請求項10の高周波加熱
装置によれば、誘電体層は、多孔質セラミックス材料か
らなる格子状構造体としているので、多孔質セラミック
ス材料からなる基材の比誘電率が15より大きい場合で
も、その基材を用いて格子状構造体にすることで、空気
層と基材との混成構造により誘電体層の実効比誘電率を
所望範囲の値に設定することができ、非金属材料の選択
の範囲を拡大し設計自由度を高めることができる。
【0108】(11)本発明の請求項11の高周波加熱
装置によれば、誘電体層の層厚さは、前記誘電体層内を
伝搬するマイクロ波の実効波長に対して1/4波長未満
としているので、一次反射波と透過後反射波との伝搬経
路の間隔を1/4波長未満とすることができ、一次反射
波と透過後反射波との被加熱物への入射位置の分布を相
互に補完して被加熱物の加熱の均一化を促進することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の高周波加熱装置の構成図
【図2】本発明に係わる誘電体層の存在下でのマイクロ
波伝搬状態を示す図
【図3】(a)本発明に係わる誘電体層へのマイクロ波
入射角度が0度の場合の反射波のエネルギ分配に与える
影響を示す特性図 (b)本発明に係わる誘電体層へのマイクロ波入射角度
が45度の場合の反射波のエネルギ分配に与える影響を
示す特性図
【図4】図1の要部構成とマイクロ波伝搬挙動を示す図
【図5】図1の要部構成とマイクロ波合成に伴う電界強
度特性を示す図
【図6】本発明の実施例2を示す高周波加熱装置の要部
構成とマイクロ波挙動を示す図
【図7】本発明の実施例3を示す高周波加熱装置の要部
構成とマイクロ波挙動を示す図
【符号の説明】
10 加熱室 11 開閉手段 12 高周波発生手段 20 境界面 21 誘電体層 65 層厚さを変化させた誘電体層 68 球面形状の誘電体層 t 誘電体層の層厚さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉野 浩二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3K090 AA01 BA01 EB02 EB33 3L086 AA01 BA08 BB09 BC01 DA06 DA12

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室
    に給電するマイクロ波を発生させるマイクロ波発生手段
    と、前記加熱室内に被加熱物を出し入れするために開閉
    される開閉手段とを備え、前記開閉手段は給電されたマ
    イクロ波を実質的に遮蔽する境界面と、前記境界面と所
    定の間隙を有し、かつ前記被加熱物に対面する側に設け
    た誘電体層とを備えた高周波加熱装置。
  2. 【請求項2】誘電体層は、透視可能な材料にて構成した
    請求項1記載の高周波加熱装置。
  3. 【請求項3】誘電体層は、その層厚さを変化させた形状
    にて構成した請求項1または請求項2記載の高周波加熱
    装置。
  4. 【請求項4】誘電体層の層厚さは、周辺に対して中央部
    を厚くした構成からなる請求項3記載の高周波加熱装
    置。
  5. 【請求項5】誘電体層の少なくとも一方の層面を球面形
    状とした請求項1または請求項2記載の高周波加熱装
    置。
  6. 【請求項6】誘電体層は、開閉手段に着脱できる構成と
    した請求項1記載の高周波加熱装置。
  7. 【請求項7】誘電体層は、開閉手段に表裏のいずれから
    も着脱できる構成とした請求項6記載の高周波加熱装
    置。
  8. 【請求項8】誘電体層は、低誘電損失でかつ耐熱性の材
    料から構成した請求項1記載の高周波加熱装置。
  9. 【請求項9】誘電体層は、給電されるマイクロ波の周波
    数帯における実効比誘電率が3以上で15以下の非金属
    材料で構成した請求項1記載の高周波加熱装置。
  10. 【請求項10】誘電体層は、多孔質セラミックス材料か
    らなる格子状構造体とした請求項1記載の高周波加熱装
    置。
  11. 【請求項11】誘電体層の層厚さは、前記誘電体層内を
    伝搬するマイクロ波の実効波長に対して1/4波長未満
    とした請求項1記載の高周波加熱装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20180115975A (ko) * 2017-04-14 2018-10-24 사단법인경북대공학설계기술원 마이크로파를 이용한 가열건조기
WO2021157559A1 (ja) * 2020-02-07 2021-08-12 シャープ株式会社 加熱調理器

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