JP2000144374A - プラスチック製基材の表面処理法および被覆プラスチック物品 - Google Patents

プラスチック製基材の表面処理法および被覆プラスチック物品

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JP2000144374A JP10316442A JP31644298A JP2000144374A JP 2000144374 A JP2000144374 A JP 2000144374A JP 10316442 A JP10316442 A JP 10316442A JP 31644298 A JP31644298 A JP 31644298A JP 2000144374 A JP2000144374 A JP 2000144374A
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宗人 箱守
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正 森田
Kanenori Matsuzaki
松崎  封徳
Toshiharu Kurauchi
倉内  利春
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチック製基材上に、UL規格に合格す
る密着力が得られるように金属薄膜を形成するため、プ
ラスチック製基材の表面を処理する方法および被覆プラ
スチック物品の提供。 【解決手段】 真空成膜装置を用いて、スパッタリング
法、真空蒸着法、またはイオンプレーティング法等によ
り、プラスチック製基材上にアモルファス炭素を形成
し、次いでクロム、またはチタンの膜を形成する。さら
に、該表面処理済みの基材上に、スパッタ法等によりア
ルミニウム、銅、またはニッケルの被膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック製基
材の表面処理法、および被覆プラスチック物品に関す
る。これらの表面処理は、スパッタリング装置、真空蒸
着装置、イオンプレーティング装置等の真空成膜装置を
用いて行われ、例えば携帯電話内面にコーティングされ
る電磁波シールド被膜形成、鏡等の反射金属被膜の形
成、プラスチック製基材への金属被膜形成の前処理等に
利用される。
【0002】
【従来の技術】従来、電化製品のためのプラスチック筺
体材料として、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン)樹脂が一般的に知られている。この樹脂
は、ゴム成分およびブタジエン成分の効果によりもたら
される、優れた柔軟性、かつ、優れた2次加工性(プラ
スチック表面への金属被膜形成)を有する材料であるの
で、その表面に、Al、Cu、Ni等の電磁波シールド
被膜を湿式メッキまたは真空蒸着等で0.5μmの厚さ
に形成することにより、電磁波シールド被膜を形成して
いた。
【0003】また、近年、エンジニアリングプラスチッ
クといわれるポリカーボネート(PC)からなる筺体が
高強度を有し、かつ、耐熱性に優れていることから注目
され、多くの電化製品に採用されている。また、PCと
ABSとを混合したPC/ABS混合体も同様な効果を
持つことから多く使われるようになっている。
【0004】しかし、これらのPCを含む合成プラスチ
ックは、耐衝撃性に優れている反面、プラスチック表面
の分子の末端が不活性分子により覆われているため、そ
の表面が安定していることから、2次加工性が悪い。従
って、PCまたはPC/ABSへ直接金属被膜を形成す
ると、密着性が極めて弱くなり、電磁波シールドの密着
性の規格として知られるUL規格に合格できるものを作
製することはできなかった。そのため、密着性をあげる
方法として、以下に示す前処理が検討されていたが、い
ずれの前処理を行った場合も、UL規格に合格できる電
磁波シールド被膜を形成することはできなかった。
【0005】(1)高分子被膜のスプレー塗布によるア
ンダーコート処理(プライマー処理) (2)コロナ放電照射による表面改質 (3)紫外線照射による表面改質 (4)有機溶剤(アセトン、メタクレン等)による表面
改質 上記(1)に示す前処理では、基材材料のPCまたはP
C/ABSと異なる高分子材料を該基材表面上にスプレ
ーにより塗布し、電磁波シールド被膜の密着力を向上さ
せる方法であるが、結合力が弱く、UL規格に合格でき
る密着力を得ることは不可能であった。また、人間が手
作業により個々の基材に塗布し、乾燥も半日以上の時間
が必要なため、手間がかかる方法でもあった。上記
(2)および(3)に示す前処理は、プラズマまたは紫
外線をPC、PC/ABSに直接照射してプラスチック
材料表面にC=O基を生成し表面を親水化することで密
着力を向上させる方法であるが、経時変化があるため密
着性の劣化が起こるという問題がある。さらに、上記
(4)の場合も同様に、プラスチック表面を改質し、密
着力を向上させる方法であるが、UL規格を満足するも
のは得られなかった。これは、有機溶剤によりプラスチ
ック表面処理を行うと、該溶剤が表面より深い位置まで
浸透し、表面が荒れると共に、その処理された領域は一
時的に表面改質が行われたに過ぎず、表面が非常に不安
定であるからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するものであり、プラスチック製基材上に、UL
規格に合格する密着力が得られるように金属薄膜を形成
するために、プラスチック製基材の表面を処理する方
法、および被覆プラスチック物品を提供することを課題
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のプラスチック製
基材の表面処理法は、真空成膜装置を用いて、例えばス
パッタ法、真空蒸着法、またはイオンプレーティング法
等により、プラスチック製基材上にアモルファス炭素を
形成し、次いで、その上にクロム、またはチタンの膜を
形成するものである。
【0008】該プラスチック製基材としては、例えば、
ポリカーボネート、ポリカーボネートとABS樹脂との
混合体、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリイミド、
フルオロカーボン樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエ
チレン)、またはこれらの混合体からなる基材を用いる
ことができる。
【0009】該プラスチック製基材の表面を前記したよ
うに処理し、次いで、例えばスパッタ法等により表面処
理済みの基材上にアルミニウム、銅、またはニッケルの
金属薄膜を形成することができる。表面処理工程におい
て、基材表面がクロム、またはチタンの金属表面に改質
されているので、通常のスパッタにおいて使用可能な金
属は殆ど表面処理された基材上に密着性良く形成するこ
とができる。
【0010】また、本発明の被覆プラスチック物品は、
プラスチック製基材と、その上に形成されたアモルファ
ス炭素層とクロム、またはチタンの層とからなる中間層
と、該中間層の上に形成されたアルミニウム、銅、また
はニッケルの被膜とからなっている。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。 (実施例1)スパッタ法によりAl膜からなる電磁波シ
ールド被膜をPC/ABS基材上に形成せしめた。その
際、表1に示すように、被膜の密着性改善のための前処
理(AおよびB)を行って、アモルファスC層とCr層
とからなる中間層を設け、該電磁波シールド被膜の密着
性改善を行った。
【0012】
【表1】 次いで、前処理された基材上に、図1(A)および
(B)に示すスパッタ装置を用いて金属被膜の形成を行
った。真空槽1には、スパッタカソード2基とプラスチ
ック基材2に対向させて配置したプラズマCVD用の電
極3とを設けてあり、プラスチック基材2は基材ホルダ
ー4に固定されている。基材ホルダー4を回転させて、
各基材を各カソードおよび電極2上に移動させ、それぞ
れの基材上に成膜を行った。真空槽1は、1.3×10
-3Pa以下に排気し、C22ガスを所定の圧力まで導入
した後、該電極にRF電力を印加し、基材にアモルファ
スCを形成した。その後、基材をCrターゲット5上に
移動し、Crを50nmの厚さまで成膜した。最後に、
該基材をAlターゲット6上に移動し、Alのスパッタ
成膜を行い500nmのAl膜を形成した。プラズマC
VDによるアモルファスCおよび金属被膜の成膜条件を
表2に示す。なお、スパッタ出力は約1.2kW(60
0V×2.0A)であった。
【0013】
【表2】 上記のようにして形成したAl被膜の密着性を、以下の
ようにして評価し、その結果を表3に示す。
【0014】
【表3】 密着性評価試験は、UL746C、第50章の方法Bに
記載のANSI/ASTMD3359、方法B−クロス
カットテープテストに従って行った。この試験は、試料
に対し、表面被膜を通して下地材まで碁盤目にカット
し、碁盤目上に感圧テープを貼り、このテープを剥がす
際に、カットした表面からの金属薄片の剥離状態を観察
し、剥離なしの場合を「5B」として評価し、65%以
上剥離した場合を「0B」として評価した。なお、5%
未満剥離を「4B」、5〜15%を「3B」として評価
し、4B以上がUL規格合格とされる。
【0015】表3から明らかなように、本発明の金属被
膜の密着性は十分UL規格に合格するものであった。か
くして、UL規格に合格しうる密着性を有する金属被膜
の形成されたプラスチック物品が得られた。 (実施例2)実施例1における中間層を形成する際に、
実施例1の場合と異なり、Cターゲットを用いてスパッ
タし、アモルファスCを得た。このスパッタは、所定の
圧力のC22またはH2をスパッタガス中に導入して行
った。スパッタ条件は表2に示したCr、Alのスパッ
タ条件に準じた。但し、スパッタ出力のみ、RF1kW
にして行った。かくして形成されたアモルファスCの膜
質は実施例1の場合と同様であった。得られた中間層の
上に実施例1と同様にして金属被膜を形成せしめたとこ
ろ金属被膜の密着性は実施例1の場合と同様に良好であ
り、十分UL規格に合格するものであった。 (実施例3)本実施例では、プラスチック基材にアモル
ファスCを形成する方法を、実施例1記載のように基材
に対向させた電極にRF電力を印加して行う代わりに、
基材ホルダーに直接RF電力を印加し、表2に示したア
モルファスC形成条件の下で行った。次いで、実施例1
の方法を繰り返して、金属被膜を形成せしめたところ、
実施例1と同様の密着性が得られ、十分UL規格に合格
するものであった。 (実施例4)本実施例では、実施例1のAlターゲット
の代わりに、銅またはニッケルのターゲットを用いて、
実施例1と同様にして各金属被膜を形成した。これらの
金属被膜の密着性は実施例1の場合と同様であり、十分
UL規格に合格するものであった。 (実施例5)本実施例では、Crターゲットの代わり
に、Tiターゲットを用いて実施例1の方法を繰り返し
た。得られた金属被膜の密着性は実施例1の場合と同様
であり、十分UL規格に合格するものであった。 (実施例6)本実施例では、プラスチック基材の材質と
して、PC/ABSの代わりに、ポリカーボネート単
独、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリイミド、また
はポリテトラフルオロエチレンからなる基材を用いて、
実施例1の方法を繰り返した。得られた金属被膜の密着
性は実施例1の場合と同様であり、十分UL規格に合格
するものであった。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、真空槽内で一貫した金
属被覆を行っており、すなわちプラスチック製基材上に
アモルファス炭素層とクロム等の金属の層とからなる中
間層を設けているので、該中間層の上にアルミニウム等
の金属被膜を形成することができ、この金属被膜の密着
性がUL規格に合格できるものとなる。かくして、本発
明の方法は、種々の用途に利用でき、例えば電磁波シー
ルド被膜の形成等に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)本発明の実施例で用いたスパッタ装置の
構成を示す概念的平面図。 (B)図1(A)のスパッタ装置の断面図。
【符号の説明】
1 真空槽 2 プラスチック
製基材 3 プラズマCVD用電極 4 基材ホルダー 5 Crターゲット 6 Alターゲッ
フロントページの続き (72)発明者 松崎 封徳 茨城県つくば市東光台5−9−7 日本真 空技術株式会社筑波超材料研究所内 (72)発明者 倉内 利春 茨城県つくば市東光台5−9−7 日本真 空技術株式会社筑波超材料研究所内 Fターム(参考) 4K029 AA11 BA03 BA07 BA08 BA12 BA17 BB02 BC06 CA05 DC03 DC16 DC35 FA01 JA01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空成膜装置を用いて、プラスチック製
    基材上にアモルファス炭素を形成し、次いで、その上に
    クロム、またはチタンの膜を形成することを特徴とする
    プラスチック製基材の表面処理法。
  2. 【請求項2】 プラスチック製基材と、その上に形成さ
    れたアモルファス炭素層とクロムまたはチタンの層とか
    らなる中間層と、該中間層の上に形成されたアルミニウ
    ム、銅、またはニッケルの被膜とからなることを特徴と
    する被覆プラスチック物品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102766875A (zh) * 2012-07-09 2012-11-07 珠海承鸥卫浴用品有限公司 Pvd拉丝产品的表面处理工艺
KR101616908B1 (ko) 2009-12-24 2016-05-02 재단법인 포항산업과학연구원 플라즈마를 이용한 건식 금속 코팅 방법
CN115896695A (zh) * 2023-01-09 2023-04-04 北京华锐臻隆技术有限公司 耐氙灯测试的复合板材及其镀膜方法

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