JP2000139142A - 移植機の苗押え装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 苗載台上のマット苗を苗取出し側に縦送りす
る移植機の苗押え装置であって、苗補給時に、誤って苗
押えの下に茎葉部が入り込んで苗押えで押し倒されたま
ま縦送りされることがあっても、押し倒された苗が縦送
りの途中で起き上がるようにして、苗に損傷が生ずるの
を減少させるとともに、押し倒された苗による縦送り性
能の低下を未然に防止できるようにする。 【解決手段】 苗載台１８に配設される苗押え２３を、
マット苗の縦送り方向に延出する押え部２４と、該押え
部２４からマット苗の茎葉部が逃げる空間部２５とで構
成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、苗載台上のマット
苗を苗取出し側に縦送りする移植機における苗押え装置
に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、乗用田植機等の移植機において
は、苗載台上のマット苗を縦送り装置で苗取出し側に縦
送りし、送出されたマット苗から植付け作動するプラン
タが単位植付株の苗を掻取って圃場に移植しているが、
このような移植機には、縦送りされるマット苗が浮き上
がるのを防止するため苗押えを設けたものが知られてい
る。

【０００３】ところが、従来の苗押えは、苗載台の上方
から下方の苗取出し側に向けて苗載台に沿った形状に形
成しただけであったため、苗載台への苗補給時に、マッ
ト苗の茎葉部が誤って苗押えの下に入り込むことがある
と、この茎葉部が苗押えで押し倒され、そのまま苗取出
し側に縦送りされてプランタで掻取られることになり、
このため、往々にして茎葉部が折れたり切れたりして苗
に損傷を生ずることがあった。また押し倒された苗がそ
のまま縦送りされることにより、苗押えとの間の摩擦抵
抗が大きくなって縦送り性能が低下し、移植作業にも支
障を及ぼすことがある。このような時に従来は、いちい
ちマット苗を引上げて再補給していたので、苗補給の能
率化を図ることができなかった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
実情に鑑み創作されたものであって、苗補給時に、誤っ
て苗押えの下に茎葉部が入り込んで苗押えで押し倒され
たまま縦送りされることがあっても、押し倒された苗が
縦送りの途中で起き上がるようにして、苗に損傷が生ず
るのを可及的に減少させるとともに、押し倒された苗に
よる縦送り性能の低下を未然に防止できる移植機におけ
る苗押え装置を提供しようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明が講じた技術的手段は、苗載台上のマット苗
を苗取出し側に縦送りする移植機において、上記苗載台
に配設される苗押えを、マット苗の縦送り方向に延出す
る押え部と、該押え部からマット苗の茎葉部が逃げる空
間部とで構成したことを特徴とし、また、上記苗載台に
配設される苗押えを、マット苗の縦送り方向に延出する
押え部と、該押え部の所定位置を上方に屈曲して形成し
た空間部とで構成すると共に、上記空間部を、押え部で
倒されたマット苗の茎葉部が起き上がる高さの修復部と
したことを特徴とし、さらにまた、上記苗載台に配設さ
れる苗押えを、マット苗の縦送り方向に延出する押え部
と、該押え部の所定位置を上方に屈曲して形成した空間
部とで構成し、上記空間部を、押え部で倒されたマット
苗の茎葉部が起き上がる高さの修復部にすると共に、上
記修復部を、マット苗の左右に並設して設けた押え部
に、それぞれ縦送り方向にずらして配置してあることを
特徴とするものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
示された好適な実施例に基いて詳細に説明する。まず図
１において、１は移植機として例示する乗用田植機の走
行機体であって、この走行機体１は、前輪２および後輪
３を備えた機体フレーム４の前部にボンネット５で覆わ
れたエンジン部６が搭載され、その後方に運転操作部
７、運転席８が配設されている。９は操向ハンドルであ
る。

【０００７】上記走行機体１の後部には、リンク機構１
０を介して植付部１１が昇降自在に装着されている。１
２は上記植付部１１に設けた左右方向の植付部フレーム
であって、植付部フレーム１２の下面側には後方に延出
する複数のプランタケース１３がブラケット１４を介し
て並設固定されており、プランタケース１３の後端に設
けた回転軸１５にプランタ１６が装着されている。１７
はプランタケース１３の前部に配設された駆動シャフト
であって、この駆動シャフト１７からの動力がプランタ
ケース１３に内装した伝動機構を介して回転軸１５に伝
達されてプランタ１６が植付作動する。

【０００８】１８はプランタケース１３の上方に配設さ
れた前高後低状の苗載台であって、その上端側が植付部
フレーム１２の前面に立設した支持ステー１９によって
支承され、苗載台１８の下端にはエプロン２０が配設さ
れている。２１は苗載台１８の底面に設けた苗縦送り装
置である。

【０００９】また、２２は苗載台１８の横送り機構であ
って、苗載台１８に連結された図示しないガイドピース
がスクリューシャフトに螺装されていて、スクリューシ
ャフトの回転により左右に移動するガイドピースが苗載
台１８を左右に往復横送りするようになっている。

【００１０】上記苗載台１８の上面は、図２に示すよう
に上下方向のガイドリブ１８ａによって植付条数分の苗
載面１８ｂに仕切られており、各苗載面１８ｂにマット
苗を載置すれば、機体の走行に伴って苗縦送り装置２１
がマット苗を縦送りし、エプロン２０上に送り出された
マット苗から、植付作動するプランタ１６が単位植付株
毎に苗を掻取って圃場に植付けるようになっている。

【００１１】そして上記各苗載面１８ｂには、それぞれ
マット苗の浮き上がりを防止する左右の苗押え２３が配
設されているが、この苗押え２３は、マット苗の縦送り
方向に延出した押え部２４と、この押え部２４からマッ
ト苗の茎葉部が逃げる空間部２５とによって次ぎのよう
に構成されている。すなわち、押え部２４は苗載台１８
との間に所定間隔を存して縦送り方向に延出した杆体で
形成されており、その上端部を折返し状に折曲して苗押
えホルダ２６の係止部２７に着脱可能に係止されてい
る。また押え部２４の下端部は、苗取出し側に設けた取
付部２８に回動支点２９を介して上下回動自在に枢着さ
れている。

【００１２】そして上方から苗載台１８に供給したマッ
ト苗は押え部２４の下方を縦送りされ、縦送りの過程で
マット苗が浮き上がるのを押え部２４で防止するように
なっている。また上記押え部２４は、苗押えホルダ２６
に設けた複数段の係止部２７と回動支点２９の調整ナッ
トによって取付位置が上下調整可能となっている。

【００１３】また上記押え部２４は、その所定位置を上
方に向けて略コ字状に屈曲することにより空間部２５が
形成されていて、押え部２４の下にマット苗の茎葉部が
入り込んで押え部２４により押し倒されたまま縦送りさ
れることがあっても、押し倒された茎葉部が空間部２５
に至ると押え部２４から逃げるようになっている。そし
て、上記空間部２５は、押し倒された茎葉部が起き上が
ることができる高さに形成されていて、茎葉部が立姿状
に復帰する修復部３０となっている。

【００１４】また、各苗載面１８ｂには、縦送りされる
マット苗の左右に押え部２４が平行状に並設されている
が、左右の押え部２４に設けた修復部３０が縦送り方向
に対して横一線とならないように互いにずらした位置に
配置されていて、図３、図４に示すように、連続して補
給したマット苗の継ぎ目部分Ａが一方の修復部３０に達
したときでも、他方の押え部２４の直線部分が必ず苗の
継ぎ目部分Ａの上方に位置するようになっている。Ｐは
マット苗の茎葉部である。

【００１５】本発明は上記のように構成されているの
で、苗載台１８の各苗載面１８ｂにマット苗を載置すれ
ば、機体の走行に伴って苗縦送り装置２１がマット苗を
縦送りし、エプロン２０上に送り出されたマット苗から
植付作動するプランタ１６が、単位植付株毎に苗を掻取
って圃場に移植する。上記の移植過程で縦送りされるマ
ット苗は、苗載台１８の各苗載面１８ｂに設けた苗押え
２３で、浮き上がりが防止される。

【００１６】そしてマット苗の補給時に、誤って苗押え
２３の下方を横切って補給された茎葉部が、押え部２４
によって押し倒されてそのまま縦送りされることがあっ
ても、押え部２４の所定位置に形成した空間部２５に至
ると、倒された茎葉部は押え部２４の下から空間部２５
に逃げることができ、しかも上記空間部２５は、茎葉部
が起き上がることができる高さの修復部３０となってい
るので、倒された茎葉部を縦送りの途中で適正な立姿状
に復帰させて苗の損傷を少なくすることができるととも
に、倒された茎葉部による押え部２４との摩擦抵抗を可
及的に減少させることができる。

【００１７】また、マット苗の継ぎ目部分Ａが修復部３
０に達したときでも、他方の押え部２４の直線部分が必
ず継ぎ目部分Ａの上方に位置するので、縦送りされるマ
ット苗が継ぎ目部分Ａからマット苗の重量等によつてめ
くれ上がることはなく、整然と縦送りされる。このため
従来のようにマット苗をいちいち引上げて再補給する必
要はなく、苗補給の能率化を図ることができる。

【００１８】

【発明の効果】これを要するに本発明は、苗載台上のマ
ット苗を苗取出し側に縦送りする移植機において、上記
苗載台に配設される苗押えを、マット苗の縦送り方向に
延出する押え部と、該押え部からマット苗の茎葉部が逃
げる空間部とで構成し、また、上記苗載台に配設される
苗押えを、マット苗の縦送り方向に延出する押え部と、
該押え部の所定位置を上方に屈曲して形成した空間部と
で構成すると共に、上記空間部を、押え部で倒されたマ
ット苗の茎葉部が起き上がる高さの修復部とし、さらに
また、上記苗載台に配設される苗押えを、マット苗の縦
送り方向に延出する押え部と、該押え部の所定位置を上
方に屈曲して形成した空間部とで構成し、上記空間部
を、押え部で倒されたマット苗の茎葉部が起き上がる高
さの修復部にすると共に、上記修復部を、マット苗の左
右に並設して設けた押え部に、それぞれ縦送り方向にず
らして配置してあることから、マット苗の補給時に、苗
の茎葉部が押え部の下に入り込んで倒されることがあっ
ても、押え部に形成した空間部が倒れた苗の修復部とな
るので、縦送りの途中で倒れた苗を起き上がらせて、苗
の損傷を少なくすることができる。

【００１９】しかも倒れた苗による押え部の摩擦抵抗が
可及的に小さくなるので、縦送り性能を向上させること
ができる。このため苗の茎葉部が倒されたときでも、マ
ット苗を引き上げて再補給する必要はなく、苗補給の省
力化を図ることができる。

【００２０】そして連続して縦送りされるマット苗の継
ぎ目部分が修復部を通過しても、並設した押え部には、
修復部が縦送り方向にずらして配置されているので、マ
ット苗が継ぎ目部分からめくれるようなことはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】移植機の全体側面図である。

【図２】苗載台の平面図である。

【図３】修復部をずらして設けた移植機の全体側面図で
ある。

【図４】同上要部の斜視図である。

【符号の説明】

１８ 苗載台 ２３ 苗押え ２４ 押え部 ２５ 空間部 ３０ 修復部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】苗載台上のマット苗を苗取出し側に縦送り
   する移植機において、上記苗載台に配設される苗押え
   を、マット苗の縦送り方向に延出する押え部と、該押え
   部からマット苗の茎葉部が逃げる空間部とで構成したこ
   とを特徴とする移植機の苗押え装置。
2. 【請求項２】苗載台上のマット苗を苗取出し側に縦送り
   する移植機において、上記苗載台に配設される苗押え
   を、マット苗の縦送り方向に延出する押え部と、該押え
   部の所定位置を上方に屈曲して形成した空間部とで構成
   すると共に、上記空間部を、押え部で倒されたマット苗
   の茎葉部が起き上がる高さの修復部としたことを特徴と
   する移植機の苗押え装置。
3. 【請求項３】苗載台上のマット苗を苗取出し側に縦送り
   する移植機において、上記苗載台に配設される苗押え
   を、マット苗の縦送り方向に延出する押え部と、該押え
   部の所定位置を上方に屈曲して形成した空間部とで構成
   し、上記空間部を、押え部で倒されたマット苗の茎葉部
   が起き上がる高さの修復部にすると共に、上記修復部
   を、マット苗の左右に並設して設けた押え部に、それぞ
   れ縦送り方向にずらして配置してあることを特徴とする
   移植機の苗押え装置。