JP2622249B2 - 施肥装置付き歩行型田植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】本発明は、施肥装置付き歩行型田
植機に関し、詳しくは、機体のボンネット上部に予備苗
のせ台を備えた施肥装置付き歩行型田植機に関する。 【０００２】 【従来の技術】この種の施肥装置付き歩行型田植機で
は、予備苗と肥料とを、その量的変化による影響の少な
い状態で搭載するために、双方とも車輪の接地点近くに
設ける必要がある。このため、従来では、下記[1],[2]
に示すごとくの構造のものが採用されていた。 [1] ボンネットの上方に沿って予備苗のせ台を配備する
とともに、この予備苗のせ台の横外側方に施肥用ホッパ
ーを取付け支持するとともに、このホッパーの下部に連
なる繰出し機構から流下ホースを介して苗植付け箇所近
傍に配備された作溝器に肥料を流下案内するよう構成し
たもの（例えば、実開昭６０‐１１４６２４号公報参
照）。 [2] 機体フレームに施肥用ホッパーを搭載設置し、この
ホッパーの上部開口を覆う蓋体を、予備苗を搭載可能な
形状にして予備苗載せ部を構成したもの（実開昭５７‐
１３８５１２号公報）。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】上記[1] に記載の従来
構造によると、機体の左右両側部に施肥用ホッパーが配
置されるから、機体左右両側部に位置する走行車輪との
干渉を回避するために施肥用ホッパーを高い位置に設け
る必要があり、多量の肥料を貯溜して比較的大重量とな
るホッパーの重心位置が高い位置になり、機体操縦の際
に操縦ハンドルを上下させると、前記重心位置が前後に
移動して操縦操作が行い難いものになる欠点があるとと
もに、予備苗のせ台の左右両側にホッパーが上方突出す
る構造であるから、この予備苗のせ台に対する苗補給作
業がこのホッパーによって阻害され、苗補給作業が行い
難いものとなる欠点もあった。また、上記[2] に記載の
従来構造のものでは、予備苗載せ部が施肥ホッパーの上
側になるため、この予備苗載せ部からの苗の取り出し、
並びに予備苗載せ部への苗の補給を、施肥ホッパーによ
って妨げられることは避けられるが、その反面、施肥ホ
ッパーの苗補給の都度、蓋体である予備苗載せ部を取り
除かなければならないという、きわめて不便な作業を余
儀なくされる。また、比較的高い頻度で行わなければな
らない予備苗載せ部から苗植付装置の苗のせ台に対する
苗補給に際して、予備苗載せ部が操縦部から遠い位置で
あるがために苗補給の都度、泥中を歩いて予備苗載せ台
位置へ移動しなければならない不便さがあり、さらに
は、重い苗が載るために、施肥ホッパー自体の強度も増
強する必要があった。本発明の目的は、機体重心が高く
なり過ぎたり、操縦部からの苗補給操作が行い難い状態
を招くことなく、予備苗載せ台に対する予備苗の取り出
しや補給、並びに施肥ホッパーへの肥料の補給を行い易
く、また、施肥ホッパーの保護をも図り得る施肥装置付
き歩行型田植機を提供する点にある。 【０００４】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に講じた本発明の技術手段は、側面視で推進車輪の接地
点の上方近傍箇所に施肥装置を配置するとともに、前記
施肥装置における施肥用ホッパーよりも高い位置に機体
前後方向に沿って固定レールを配備し、この固定レール
に、側面視で前記施肥用ホッパーの上方に位置する箇所
と前記施肥用ホッパーの上部を開放する箇所とに亘り前
後スライド移動自在に予備苗のせ台を支持したことであ
る。 【０００５】 【作用】上記技術手段を講じたことによる作用は次の通
りである。 （ａ）側面視で推進車輪の接地点の上方近傍箇所に施肥
装置を配置することで、肥料を貯溜して比較的重量の大
きなものである施肥装置の重心位置が機体の上下動によ
っても機体前後方向で余り変化せず、機体前後バランス
の変化が生じることを避け易い。しかも、肥料の消費に
伴ないホッパー内重量が変化しても、その重心は車輪の
接地点近くであるから、この点でも機体の前後重量バラ
ンスの変化が少ない。 （ｂ）又、予備苗のせ台が施肥装置よりも高い位置の固
定レールの上方に配置されるから、予備苗のせ台よりも
高い位置に突出する部材が存在せず苗の補給作業が容易
に行えるとともに、苗植付作業中にはこの予備苗のせ台
を施肥装置の上方に位置させておくことで、施肥装置と
同様に、その重心位置が車輪の接地点の上方近傍箇所に
位置し、載置苗の有無や量の変化にかかわらず機体の前
後重量バランスの変化が少ないものとなる。 （ｃ）そして、このように予備苗のせ台を施肥装置より
も高い位置に配置する結果、施肥装置に対する肥料補給
作業が行い難くなる欠点を、予備苗のせ台が前後スライ
ド移動自在である構成を採用することによって解決し、
肥料の補給作業の際には、予備苗のせ台を施肥用ホッパ
ーの上部を開放する位置にスライドさせることでホッパ
ー上方が開放されて容易に行えることになる。 （ｄ）また、予備苗載せ台を開放位置にスライド移動さ
せても、ホッパー周りで、そのホッパーよりも高い位置
には、予備苗のせ台のスライド支持用の固定レールが存
在することになるから、このレールが、ホッパーに対す
る他物の接触を避けるための防護部材としても有効に作
用することになる。 【０００６】 【発明の効果】従って、作業状況に応じて重量が変化す
る予備苗のせ台と施肥装置とを、機体前後重量バランス
に悪影響を与えにくいところの、側面視での推進車輪の
接地点の上方近傍箇所付近に集約的に配置して、操縦操
作性の向上を図ることができるものでありながら、予備
苗載せ台の前後スライド移動によって、予備苗の補給や
肥料の補給を行い易い状態での作業形態を得ることがで
き、これらの予備苗載せ台と施肥装置との集約的配置に
よって前述の補給作業の作業性の低下を招くことも無
い。しかも、肥料の補給時に予備苗載せ台を開放位置に
スライド移動させても、ホッパー周りの高い位置には、
予備苗のせ台のスライド支持用の固定レールが存在する
ことになるから、この固定レールが、ホッパーに対する
他物の接触を避けるための防護部材としても作用するこ
とになる。したがって、強度的には肥料の貯留を行える
に足る程度の、比較的脆弱なもので構成される傾向にあ
るホッパーを、常に保護された状態に位置させることが
できる利点もある。 【０００７】 【実施例】施肥装置付田植機として４条植歩行型田植機
を例として説明する。図１に示すように、前記歩行型田
植機は、機体前部に配設されたエンジン１及びミッショ
ンケース２、このミッションケース２から後方に延出さ
れた機体フレーム兼用の伝動ケース３、この伝動ケース
３の後端に連結されたセンター植付ケース４、このセン
ター植付ケース４に左右の横向き伝動ケースを介して伝
動連結された左右のサイド植付ケース６，６、これら植
付ケース４，６に取付けられた苗植付機構７、植付作動
に連動して左右に往復横摺動する苗のせ台８、先端に推
進車輪９，９を軸支してミッションケース２側面に枢支
され上下揺動可能な車輪伝動ケース１０，１０、苗のせ
台８前方に配置された施肥装置１１、機体下方に設けた
センタフロート１２Ａ及びサイドフロート１２Ｂ、苗の
せ台８背面に設けられた操縦ハンドル１３、とから構成
されている。 【０００８】施肥装置１１について詳述する。図１ない
し図３に示すように、施肥装置１１は施肥用ホッパーと
して、中央の２条分に対して肥料を供給するセンターホ
ッパー１４と、左右推進車輪９，９の横外方に位置して
外側の２条に対して夫々肥料を供給する左右サイドホッ
パー１５，１５とを備え、センターホッパー１４には２
条分の繰出し機構１６，１６、及び、流下パイプ１７，
１７、並びに、作溝器１８，１８を設けるとともに、各
サイドホッパー１５，１５には１条分の繰出し機構１
６、及び流下パイプ１７、並びに、作溝器１８を設けて
構成されている。 【０００９】これら施肥装置１１についての取付構造を
説明する。図１及び図３に示すように、前記車輪伝動ケ
ース１０基端部のミッションケース２に対する上下揺動
軸心位置にミッションケース２側に属する固定支軸を延
出するとともに、この固定支軸に対してサイドホッパー
１５を支持する支持部材２０の前端を固着してある。
又、前記苗のせ台８の下方には、機体側（センタ植付ケ
ース）に自身の軸心周りで回動自在に植付深さ調節レバ
ー１９を連結した横向き支軸２１が架設され、この横向
き支軸２１の両側端に前記サイドフロート１２Ｂ，１２
Ｂの後支点を構成するブラケット２２が相対揺動可能に
取付けられるとともに、前記支持部材２０の後端を枢着
してある。このようにして、略水平に架設された支持部
材２０はサイドホッパー１５の下方に位置設定され、こ
の支持部材２０から更に単一の縦向きの支持フレーム２
３が立設されて、この支持フレーム２３の上端屈折部が
前記繰出し機構１６の外装ケース１６Ａの一側面を支持
して、サイドホッパー１５を取付固定する構成がとられ
ている。 【００１０】一方、センタホッパー１４に対しては、前
記ミッションケース２とセンター植付ケース４とを伝動
連結する伝動ケース３より十字形の板状フレーム２４を
立設し、この板状フレーム２４の水平部で両脇に位置す
る繰出し機構１６，１６の繰出しケース１６Ａ，１６Ａ
の一側面を支持して、センタホッパー１４の取付構造を
形成している。以上のように、繰出しケース１６Ａ，１
６Ａに対して一側面からのみ支持フレーム２３，２４で
支持しているので、繰出しケース１６Ａ，１６Ａ内に設
けられた繰出しロータ（図示せず）に対する摺接掻落し
ブラシ３９を前記支持フレーム２３の存在側とは異なる
側面に設けることができ、前記ブラシ３９の取付取外し
が容易である。 【００１１】上記のように機体に支持固定された施肥装
置１１は次のような繰出し駆動系を有している。図示し
ていないが、繰出し機構１６はそのケース１６Ａ内に肥
料を繰出す繰出しロータが設けられ、この繰出しロータ
を回動駆動するロータ軸２５がケース１６Ａから機体後
方に向けて延設されている。そして、図３に示すよう
に、サイドホッパー１５側ロータ軸２５には三角形状の
駆動部材２６が固着されるとともに、サイド側苗植付機
構７の揺動アームから駆動部材２６に連結ロッド２７が
立設されている。又、センタホッパー１４側の２本のロ
ータ軸２５，２５には同様に三角形状の駆動部材２６，
２６が固着されるとともに、両駆動部材２６，２６が１
本の横向きロッド２８で一体的に連結され、かつ、前記
一方の駆動部材２６に対して対応する中央側苗植付機構
７の揺動アームから連結ロッド２７が立設されている。
以上の構成からロータ軸２５は揺動アームの往復揺動運
動に従って、一定角度で正逆駆動され、肥料を繰出すべ
く構成してある。 【００１２】次に、ローリング構造について説明する。
図４に示すように、前記センタフロート１２Ａは機体前
後軸心Ｘ周りでローリング作動可能に構成されるととも
に、両サイドに一体作動可能な補助フロート２９，２９
を連結している。この補助フロート２９とセンタフロー
ト１２Ａとを連結するフレーム３０からローリング制御
用バルブ３１にリンク機構３２を延設し、接地圧変動に
かかるローリング作動によって、前記左右の推進車輪
９，９を背反昇降させて苗植付機構７を備えた苗植付装
置４０の対地姿勢を一定に維持するローリング構造を構
成している。このセンタフロート１２Ａに対して前記作
溝器１８が取付けられ、センタフロート１２Ａのローリ
ング作動によっても施肥溝の深さが変化しない構成にな
っている。又、前記センタフロート１２Ａの作溝器１８
取付位置より前方側には横外側方への第１張出し部１２
ａを設け、この第１張出し部１２ａで植付予定箇所を整
地する構成をとるとともに、前記作溝器１８取付位置よ
り後方側には横外側方への第２張出し部１２ｂを設け、
この第２張出し部１２ｂで施肥後の溝を肥料とともに埋
込むべく構成してある。 【００１３】次に、予備苗のせ台３３の取付構造につい
て詳述する。図１ないし図３に示すように、前記センタ
ホッパー１４の上方に、環状に形成された固定フレーム
３４がミッションケース２とセンタ植付ケース４に亘っ
て支持されるとともに、この固定フレーム３４上を摺動
する予備苗のせ台３３の主フレーム３５が搭載されてい
る。この主フレーム３５は、前後一対のアーチ状フレー
ム３５Ａとこの前後のアーチ状フレーム３５Ａの下端同
志を連結する前後向きフレーム３５Ｂ，３５Ｂとで構成
され、前記前後向きフレーム３５Ｂ，３５Ｂに前記固定
フレーム３４を上下から挟み込む樹脂製摺動部材３６，
３６を前後に一つづつ取付けて、前記固定フレーム３３
上を前後に摺動移動可能に構成されている。又、前記前
後アーチ状フレーム３５Ａ，３５Ａの両横側面には予備
マット苗を載置する樹脂製の苗のせ具３７が上下二段に
設置してあり、この苗のせ具３７はサイドホッパー１５
の上方に位置することになるので、アーチ状フレーム３
５Ａへの取付端側程低位に位置すべく傾斜姿勢に設定し
てある。 【００１４】一方、これを受けて、サイドホッパー１５
の蓋体１５Ａは、このサイドホッパー１５の機体幅方向
横側面に設けた揺動支点軸Ｙ周りに上下に揺動開閉可能
であり、肥料を補給する際に十分な開口状態が得られる
ように構成されている。以上のように構成された予備苗
のせ台３３は左右のアーチ状フレーム３５Ａ，３５Ａか
ら操縦部側に延出された環状把手３８が押引操作される
ことによって摺動可能であり、センタホッパー１４への
肥料補給時には、機体前方側に移動されて、センタホッ
パー１４の開閉蓋１４Ａを十分揺動開放できるように、
前記開閉蓋１４Ａの上方空間を解放可能に構成されてい
る。 【００１５】〔別実施例〕 前記支持部材２０としては前記したパイプ状のものに限
定されるものではない。 【００１６】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
容易にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】 【図１】全体側面図 【図２】施肥装置と予備苗のせ台との配置を示す正面図 【図３】施肥装置と予備苗のせ台との配置を示す平面図 【図４】センタフロートとローリング機構との関係を示
す斜視図 【符号の説明】 ９ 推進車輪 １１ 施肥装置 １４ 施肥用ホッパー ３３ 予備苗載せ台 ３４ 固定レール

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小池 康三 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社ク ボタ 堺製造所内 (72)発明者 東尾 登 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社ク ボタ 堺製造所内 (56)参考文献 実開 昭59−124422（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−72115（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−187927（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−52916（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭51−138512（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】側面視で 推進車輪（９）の接地点の上方近傍箇所に施肥
   装置（１１）を配置するとともに、前記施肥装置（１
   １）における施肥用ホッパー（１４）よりも高い位置に
   機体前後方向に沿って固定レール（３４）を配備し、こ
   の固定レール（３４）に、側面視で前記施肥用ホッパー
   （１４）の上方に位置する箇所と前記施肥用ホッパー
   （１４）の上部を開放する箇所とに亘り前後スライド移
   動自在に予備苗のせ台（３３）を支持してある施肥装置
   付き歩行型田植機。