JPH0543614Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、複数条の苗植付けと各条ごとの施肥
を同時に行うように構成した施肥装置付きの歩行
型田植機に関する。

〔従来の技術〕

近年の歩行型田植機は、推進車輪の後部に後傾
斜姿勢の苗のせ台を配備して、苗のせ台の後方に
位置する操縦者が前方の見通し良好に機体を操縦
できるように構成されている。

このような機体構成の歩行型田植機に施肥装置
を装備する場合、肥料を貯留するホツパーの配置
が重要となつてくる。つまり、肥料の補給頻度少
なく連続作業を行うためにはできるだけ多量の肥
料を貯留できることが望ましく、多量の肥料を貯
留したホツパーの重量が機体の重量バランスを崩
さないように装備する必要がでてくる。

そこで、このような点を考慮したものとして、
例えば実開昭59−77318号公報に示されるように、
肥料貯留用のホツパーを推進車輪の上方に前後方
向に並べることで、ホツパー重量によつて機体の
前後重量バランスが崩れること回避したものが提
案されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記構成では、ホツパー重量により機体の前後
重量バランスが崩れることはないのであるが、肥
料の流下径路を可及的に屈曲させないためにはホ
ツパー高さを充分とる必要があり、そのため機体
重心が高くなり、機体の左右傾動に対する安定性
が悪化する不具合があつた。

また、田植機において能率よく連続作業を行う
ために予備苗のせ台を装備することが望まれるの
であるが、ホツパーが高位置ににある上記従来構
成では予備苗のせ台を機体の重量バランスを崩す
ことなく設置することが困難となるものであつ
た。

本考案は、ホツパーと予備苗のせ台とを合理的
に装備することで、それらの重量によつて機体の
重量バランスが崩されること少なく、かつ、肥料
の補給や予備苗のせ台の取扱いも容易に行えるよ
うにすることを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の特徴構成は、推進車輪の後部に後傾斜
姿勢の苗のせ台を配備した走行型田植機におい
て、前記推進車輪の側部に位置し、かつ、上向き
開口部に開閉蓋を備えた施肥用のホツパーの上方
に予備苗のせ台を配置するとともに、予備苗のせ
台をホツパーより上方に設けた固定フレーム上を
前後移動可能に支持し、この予備苗のせ台が前記
苗のせ台から前方に離れて開閉蓋上方に位置する
状態と、予備苗のせ台が前記苗のせ台に接近して
蓋上方空間を開放する状態に切換えられるべく構
成してある点にある。

〔作用〕

上記構成によると、ホツパーおよび予備苗のせ
台の重心は推進車輪の軸心上方近くにあり、機体
の前後重量バランスを悪化することが少ない。

ホツパーが推進車輪の側部の低位置にあるの
で、その上方の予備苗のせ台も低く設置でき、機
体全体の重心を高くすることがない。

しかも、ホツパー上方の予備苗のせ台は前後に
移動させることでホツパー上方を開放して肥料補
給を可能としているので、例えば予備苗のせ台と
ホツパーとの間に肥料補給用の空間を大きくあけ
て予備苗のせ台をホツパー上方に設置する場合に
比較して予備苗のせ台をホツパーに近接させて低
く設置することができる。

〔考案の効果〕

従つて、本考案によれば、ホツパーおよびその
上方の予備苗のせ台を機体に対して重量バランス
を悪化することなく低く設置できて安定よく走行
できるとともに、低い位置での肥料補給や予備苗
の取扱いができて作業性の高いものとすることが
できた。

また、前後動可能な予備苗のせ台を後方の苗の
せ台側に近接移動させることで、植付け作業中に
おいて予備苗のせ台から苗のせ台への苗の移し替
えが容易となり、便利に取扱えるとともに、苗の
移し替えが完了すれば、予備苗のせ台を前方に移
動させて機体の前後重量バランスを悪化させない
状態にして軽快に操縦することができ、取扱性の
優れたものとなつている。

〔実施例〕

以下、本考案を４条植えの施肥装置付き歩行型
田植機に適用した実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図に示すように、この歩行型田植機は、機
体前部に配設されたエンジン１およびミツシヨン
ケース２、このミツシヨンケース２から後方に延
出された機体フレーム兼用の伝動ケース３、この
伝動ケース３の後端に連結されたセンター植付ケ
ース４、このセンター植付ケース４に左右の横向
き伝動ケースを介して伝動連結された左右のサイ
ド植付ケース６，６、これら植付ケース４，６に
取付けられた苗植付機構７、植付け作動に連動し
て左右に往復横摺動する苗のせ台８、先端に推進
車輪９，９を軸支してミツシヨンケース２側面に
枢支され上下揺動可能な車輪伝動ケース１０，１
０、苗のせ台８前方に配置された施肥装置１１、
機体下方に設けたセンターフロート１２Ａおよび
サイドフロート１２Ｂ、苗のせ台８背面に設けら
れた操縦ハンドル１３、等から構成されている。

次に、前記施肥装置１１について詳述する。

第１図ないし第３図に示すように、この施肥装
置１１は、中央の２条分に対して肥料を供給する
センターホツパー１４と左右推進車輪９，９の横
外方に位置して外側の２条に対して夫々肥料を供
給するサイドホツパー１５，１５とを備え、セン
ターホツパー１４には２条分の繰出し機構１６，
１６、および、流下パイプ１７，１７、並びに作
溝器１８，１８を設けるとともに、各サイドホツ
パー１５，１５には夫々１条分の繰出し機構１
６、および、流下パイプ１７、並びに作溝器１８
を設けて構成されている。

これら施肥装置１１についての取付け構造を説
明する。

第１図および第３図に示すように、前記車輪伝
動ケース１０基端部のミツシヨンケース２に対す
る上下揺動軸心位置にミツシヨンケース２側に属
する固定支軸を延出するとともに、この固定支軸
に対してサイドホツパー１５を支持する支持部材
２０の前端を固着してある。また、前記苗のせ台
８の下方には、機体側（センター植付ケース）に
自身の軸心周りで回転自在に植付深さ調整レバー
１９を連結した横向き支軸２１が架設され、この
横向き支軸２１の両側端に前記サイドフロート１
２Ｂ，１２Ｂの後支点を構成するブラケツト２２
が相対揺動可能に取付けられるとともに、前記支
持部材２０の後端を枢着してある。

このようにして、略水平に架設された支持部材
２０はサイドホツパー１５の下方に位置設定さ
れ、この支持部材２０から更に単一の縦向きの支
持フレーム２３が立設されて、この支持フレーム
２３の上端屈折部が前記繰出し機構１６の外装ケ
ース１６Ａの一側面を支持して、サイドホツパー
１５を取付け固定する構成がとられている。

一方、センターホツパー１４に対しては、前記
ミツシヨンケース２とセンター植付ケース４とを
伝動連結する伝動ケース３より十字形の板状フレ
ーム２４を立設し、この板状フレーム２４の水平
部で両脇に位置する繰出し機構１６、１６の繰出
しケース１６Ａ，１６Ａ一側面を支持して、セン
ターホツパー１４の取付け構造を形成している。
以上のように、繰出しケース１６Ａ，１６Ａに対
して一側面からのみ支持フレーム２３，２４で支
持しているので、繰出しケース１６Ａ，１６Ａ内
に設けられた繰出しロータ（図示せず）に対する
摺接掻落しブラシ３９を前記支持フレーム２３の
存在側とは異なる側面に設けることができ、前記
ブラシ３９の取り付け取外しが容易である。

上記のように機体に支持固定された施肥装置１
１は次のような繰出し駆動系を有している。

図示していないが、繰出し機構１６はその繰出
しケース１６Ａ内に肥料を操出す繰出しロータが
設けられるとともに、この繰出しロータを回転駆
動するロータ軸２５が繰出しケース１６Ａから機
体後方に向けて延出されている。そして、第３図
に示すように、サイドホツパー１５側のロータ軸
２５には三角形状の駆動部材２６が固着されると
ともに、サイド側苗植付機構７の揺動アームから
駆動部材２６に連結ロツド２７が立設されてい
る。また、センターホツパー１４側の２本のロー
タ軸２５，２５には同様に三角形状の駆動部材２
６，２６が固着されるとともに、両駆動部材２
６，２６が１本の横向きロツド２８で一体的に連
結され、かつ、前記一方の駆動部材２６に対して
対応する中央側苗植付機構７の揺動アームから連
結ロツド２７が立設されている。以上の構成か
ら、ロータ軸２５は揺動アームの往復揺動運動に
従つて一定角度で正逆駆動され、肥料を繰出すよ
うに構成してある。

次に、ローリング構造について説明する。

第４図に示すように、前記センターフロート１
２Ａは機体前後軸心Ｘ周りでローリング作動可能
に構成されるとともに、両サイドに一体作動可能
な補助フロート２９，２９を連結している。この
補助フロート２９とセンターフロート１２Ａとを
連結するフレーム３０からローリング制御用バル
ブ３１にリンク機構３２を延設し、接地圧変動に
かかるローリング作動によつて前記左右の推進車
輪９，９を背反昇降させて、苗植付機構７を備え
た苗植付装置４０の対地姿勢を一定に維持するロ
ーリング構造を構成している。このセンターフロ
ート１２Ａに対して前記作溝器１８が取付けら
れ、センターフロート１２Ａのローリング作動に
よつても施肥溝の深さが変化しない構成になつて
いる。

また、前記センターフロート１２Ａの作溝器１
８取位置より前方側には横外側方への第１張出し
部１２ａを設け、この第１張出し部１２ａで植付
け予定箇所を整地する構成をとるとともに、前記
作溝器１８取位置より後方側には横外側方へ第２
張出し部１２ｂを設け、この第１張出し部１２ｂ
で施肥後の溝を肥料とともに埋込むべく構成して
ある。

前記センターホツパー１４およびサイドホツパ
ー１５，１５の上方にわたつて予備苗のせ台３３
が前後移動可能に配備してあり、次にこの予備苗
のせ台３３の構造について詳述する。

第１図ないし第３図に示すように、前記センタ
ーホツパー１４の上方に、環状に形成された固定
フレーム３４がミツシヨンケース２とセンタ植付
ケース４に亘つて支持されるとともに、この固定
フレーム３４上を摺動する予備苗のせ台３３の主
フレーム３５が搭載されている。この主フレーム
３５は、前後一対のアーチ状連結フレーム３５Ａ
と、この前後のアーチ状連結フレーム３５Ａの下
端同志を連結する前後向きフレーム３５Ｂとで構
成され、前記前後向きフレーム３５Ｂ，３５Ｂに
前記固定フレーム３４を上下から挟み込む樹脂製
の摺動部材３６，３６を前後に一個づつ取付け
て、前記固定フレーム３４上を前後に摺動移動可
能に構成されている。

また、前記アーチ状連結フレーム３５Ａ，３５
Ａの両横側面には予備マツト苗を載置する樹脂製
の苗のせフレーム３７が上下二段に設置してあ
り、この苗のせフレーム３７はサイドホツパー１
５の機体幅方向横側面に設けられた揺動支点軸Ｙ
周りに上方に揺動開閉可能であり、肥料を補給す
る際に十分な開口状態が得られるように構成され
ている。

以上のように構成された予備苗のせ台３３はア
ーチ状連結フレーム３５Ａ，３５Ａからなる操縦
部側に延出された環状把手３８を押し引き操作す
ることによつて摺動可能であり、センターホツパ
ー１４への肥料補給時には、第１図中の実線で示
すように予備苗のせ台３３を機体後方側に移動さ
せて、センターホツパー１４の開閉蓋１４Ａを十
分揺動開放できるように、前記開閉蓋１４Ａの上
方空間を解放可能に構成されている。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対
照を便利にする為に符号を記すが、該記入により
本発明は添付図面の構造に限定されるものではな
い。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る施肥装置付き歩行型田植機
の実施例を示し、第１図は全体側面図、第２図は
施肥装置と予備苗のせ台との配置を示す正面図、
第３図は施肥装置と予備苗のせ台との配置を示す
平面図、第４図はセンターフロートとローリング
機構との関係を示す斜視図である。 １４，１５……ホツパー、１４Ａ，１５Ａ……
開閉蓋、３３……予備苗のせ台、３４……固定フ
レーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 推進車輪９の後部に後傾斜姿勢の苗のせ台８を
   配備した走行型田植機において、前記推進車輪９
   の側部に位置し、かつ、上向き開口部に開閉蓋１
   ４Ａ，１５Ａを備えた施肥用のホツパー１４，１
   ５の上方に予備苗のせ台３３を配置するととも
   に、予備苗のせ台３３をホツパー１４，１５より
   上方に設けた固定フレーム３４上を前後移動可能
   に支持し、この予備苗のせ台３３が前記苗のせ台
   ８から前方に離れて開閉蓋１４Ａ，１５Ａ上方に
   位置する状態と、予備苗のせ台３３が前記苗のせ
   台８に接近して蓋上方空間を開放する状態に切換
   えられるべく構成してある施肥装置付き歩行型田
   植機。